JP2016534528A - ナトリウム−ハロゲン二次電池 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ナトリウム系負極を収納する負極室と、液体正極溶液中に配置される集電体を収納する正極室とを含むナトリウム−ハロゲン二次電池に関する。液体正極溶液は、ハロゲン及び/又はハライドを含む。電池は、液体正極溶液から負極を分離するナトリウムイオン伝導性電解質膜を含む。ある実施態様においては、ナトリウム系負極は電池作動中に溶融しているが、別の実施態様においては、作動中固体であるナトリウム負極またはナトリウム挿入カーボン電極を含む。【選択図】図1

Description

本願は2013年10月9日出願の米国仮特許出願第61/888,933号(発明の名称:Na−I電池のNASICON膜)の優先権を主張する。本願は2013年9月6日出願の米国特許出願第14/019,651号(発明の名称:ナトリウム−ハロゲン電池)の一部継続出願である。当該米国特許出願第14/019,651号は、2012年9月6日出願の米国仮特許出願第61/697,608号(発明の名称:ナトリウム−ハロゲン電池)、2013年3月12日出願の米国仮特許出願第61/777,967号(発明の名称:ナトリウム−ハロゲン二次電池)、2013年3月14日出願の米国仮特許出願第61/781,530(発明の名称:ナトリウム−ハロゲン二次フローセル)、2012年12月12日出願の米国仮特許出願第61/736,444(発明の名称:臭素または臭化物電極およびナトリウム選択性膜を有する電池)の優先権を主張する。これら全ての出願は参照により本願に引用される。
<連邦政府の資金による研究の明示>
本発明は、Sandia National Labより支給される契約番号1189875の連邦政府の援助によりなされたものである。連邦政府は本発明のいくらかの権利を有する。
本発明は、概して電池に関する。詳しくは、本発明は、ナトリウムイオン選択性電解質膜およびハロゲン及び/又はハライドから成る液体正極溶液を有するナトリウム系二次電池(または再充電可能な電池)を提供する。
電池は、周知のように種々の用途のための電気エネルギーを貯蔵および放出するために使われる。電気エネルギーを生み出すために、電池は、代表的には化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する。通常、単電池は、外部回路に通じている以外は電気的に絶縁された2つの半セルから成る1つ以上のガルバニ電池を含むものである。放電中は、電気化学的還元が正極で起こり、一方電気化学的酸化が電池の負極で起こる。電池中の正極および負極は互いに物理的に接触していないが、それらは、通常、少なくとも1つの(又はそれ以上)イオン電導性および電気絶縁性で、固体状態、液体状態またはそれらの組合せの状態で電解質によって化学的には接続されている。外部電極または外部負荷が、負極に接続されている端子と正極に接続されている端子とに接続されると、電池は外部回路を通じて電子を流し、イオンは電解質を通じて移動する。
電池は種々の方法に分類される。例えば、完全に一回の放電のみの電池は、一次電池または一次セルと言われる。それに対し、放電および充電を一度以上繰り返せる電池は、二次電池または二次セルと言われる。複数回充放電出来るセルまたは電池の性能はそれぞれの充電および放電サイクルのファラデー効率による。
ナトリウム系の再充電可能な電池は種々の材料および構成から成るが、多くは(全てではないが)、高ファラデー効率を必要とするナトリウム電池は、固体セラミック一次電解質膜などの固体一次電解質セパレーターを使用する。固体セラミック一次電解質膜を使用する主な利点は、その電池のファラデー効果が100%に達することである。確かに、ほとんどの他の電池の電池構成、電極溶液は経時的に内部混合でき、それによりファラデー効率が低くなり、電池容量が失われる。
高いファラデー効率を必要とするナトリウム電池に使用される基本となる電解質セパレーターは、通常、イオン伝導性ポリマー、イオン伝導性液体またはゲルを浸透させた多孔質材料、または緻密セラミックスから成る。これに関し、商業的に入手できる多くの再充電可能なナトリウム電池は、溶融ナトリウム金属負極、ナトリウムβ’’−アルミナセラミック電解質セパレーター、及び溶融硫黄およびカーボンの複合体から成る溶融正極から成る(ナトリウム/硫黄電池と呼ばれる)。これらの従来の高温ナトリウム系再充電可能な電池は比較的高い比エネルギー密度および極く少量の電力密度を有するため、そのような再充電可能な電池は、代表的には、固定電源や通常電源装置などの高い比エネルギー密度が必要とされながら、高い電力密度に遭遇することのないような特殊な分野で使用される。
従来のナトリウム系再充電可能な電池に関連する有利な性質にもかかわらず、そのような電池は大きな欠点を有する。例えば、ナトリウムβ’’−アルミナセラミック電解質セパレーターは、約270℃を超える温度において通常より伝導性が増加し、溶融ナトリウムとの濡れが良好になるため、及び/又は溶融正極は通常高い温度(例えば、約170℃又は180℃を超える温度を必要とするため)で溶融状態に留めるため、多くの従来のナトリウム系再充電可能な電池は、約270℃より高い温度で作動し、熱管理問題や熱密閉に関する大きな問題が発生する。例えば、あるナトリウム系再充電可能な電池は、電池からの熱の消散や、負極および正極を比較的高温に維持することが困難である。他の例において、ナトリウム系電池の比較的高温での作動は、安全性に大きな問題が生じる。更に他の例において、ナトリウム系電池の比較的高温での作動は、高温での耐久性および操作性が可能な構成部材を必要とする。従って、そのような構成部材は比較的高価である。更に他の例において、従来のナトリウム系電池を比較的高い作動温度に加熱するには大きなエネルギーを必要とするため、そのような電池は作動にコストがかかり、エネルギー効率が悪い。
それ故、ナトリウム系再充電可能な電池は利用可能であるものの、上述のそのような電池の課題がなお存在する。従って、このような電池分野における改良の要求、あるいは従来のナトリウム系再充電可能な電池を他のナトリウム系再充電可能な電池に置換える要求が高まっている。
本開示はナトリウム−ハロゲン二次電池を提供する。記載されるナトリウム−ハロゲン二次電池は、いかなる好適な構成要素から成ってもよいが、ある実施態様において、電池はナトリウ系負極を収納する負極室を含む。そのような実施態様において、電池は更に、ハロゲン及び/又はハライドを含む液体正極溶液中に配置される集電体を収納する正極室を含む。電池は、液体正極溶液から負極を分離するナトリウムイオン伝導性電解質膜を含む。
負極はいかなる好適なナトリウム系アノードから成ってもよいが、ある実施態様において電池が作動中に溶融するナトリウム金属から成る。しかしながら、負極は、電池が作動中に固体が残存するようなナトリウムアノード又はナトリウム挿入カーボンから成っていてもよい。そのような実施態様において、負極は、電池が作動中に固体状に残存し、電池は、負極および電解質膜間に配置される非水(非水性)陽極液溶液を有する。
ナトリウムイオン伝導性電解質膜は、ナトリウムイオンを選択的に移送し、電池の作動温度において安定であり、正極溶液および負極(または非水陽極液)と接触しても安定であり、電池が所望に機能するのであれば、いかなる膜から成っていてもよい(本発明では、セパレーターの好適な種類を参照するために使用される)。実際に、これに限定されないある実施態様において、電解質膜は、実質的に水を透過しないNaSICON型膜(例えば、米国ユタ州ソルトレークシティーのCeramatec社で製造されているNaSELECT(登録商標)膜)から成る。従って、そのような実施態様において、水不透過電解質膜は、ナトリウム負極ともし接触すれば激しく反応するような水溶液から正極溶液が成ることを許容する。
正極室内の集電体は、電池が所望に機能するのであれば、いかなる好適な材料から成っていてもよい。実際に、これに限定されないある実施態様において、集電体は、ワイヤー、フェルト、メッシュ、プレート、ホイル、チューブ、発泡体、または他の好適な集電体形状から成る。更に、集電体はいかなる好適な材料から成っていてもよいが、ある実施態様において、集電体は、炭素、白金、銅、ニッケル、亜鉛、ナトリウム挿入カソード材料(例えば、NaMnO)及び/又は他の好適な集電体材料から成る。
正極室中の液体正極溶液は、電解質膜に及び電解質膜からナトリウムイオンを伝導でき、電池が所望に機能するのであれば、いかなる好適な材料から成っていてもよい。好適な正極溶液物質の例としては、これに限定されないが、水性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、NMF(N−メチルホルムアミド)、エチレングリコール等)及びナトリウムイオンを容易に伝導し、化学的に電解質膜に適合する非水溶媒(例えば、グルセロール、イオン液体、有機電解質など)が上げられる。更に、ある実施態様において、正極溶液は、溶融フルオロスルホニルアミド(例えば、l−エチル−3−メチルイミダゾリウム−(ビス(フルオロスルホニル)アミド)([EMIM][FSA])から成る。
正極溶液もまたハロゲン及び/又はハライドから成る。好適なハロゲンの例としては、臭素、ヨウ素および塩素が上げられる。同様に、好適なハライドの例としては、臭化物イオン、ポリ臭化物イオン、ヨウ化物イオン、ポリヨウ化物イオン、塩化物イオン及びポリ塩化物イオンが挙げられる。ハロゲン/ハライドは、正極溶液中にいかなる好適な方法で導入されてもよいが、ある実施態様において、NaBr、NaI又はNaClとして添加される。
ある実施態様において、開示される電池は、正極溶液および/または正極室中に存在するフリーに浮遊するハロゲンの量を制限するように改良される。電池中のハロゲンの量は、いかなる好適な方法によっても減少および/または制御させることが出来るが、ある実施態様において、十分な量のハロゲン化ナトリウム(例えば、NaBr、NaI等)及び/又は元素状ハロゲン(例えば、臭素、ヨウ素など)を含ませて、正極溶液中のフリーハロゲン分子からポリハライド(例えば、Br 、I 等)を形成させる方法、正極溶液中のハライド、ハロゲン及び/又はポリハライドとアダクトを形成するような(又は他の錯体)錯化剤(例えば、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、臭化N−メチル−N−メチルモルホリニウム、ヨウ化N−メチル−N−メチルモルホリニウム等)を添加する方法、溶液中のハライドイオンが酸化されて対応するハロゲンを形成する前に酸化されて金属イオンとなり、溶液中のハライドイオンと反応して金属ハロゲン化物(例えば、CuBr、CuI、NiBr、NiI、ZnBr、ZnI等)を形成できる金属(例えば、銅、ニッケル、亜鉛など)から成る集電体を使用する方法、および他の好適な方法が挙げられる。
ある実施態様において、電池が高温で作動中、形成されるハロゲンを錯化し、溶液中にこの物質を留めておくために(更に、ガスに変換されないために)過剰のハロゲン化ナトリウム(例えば、過剰のI、Br)又は錯化剤を有することが好ましい。実際に、ある実施態様において、最大で1/3倍のNaI(ハロゲン化ナトリウム又は錯化剤)を系に加えてもよい。更に、Iを使用する実施態様において、他の種のステンレススチール等の他のより安価な材料も使えるが、電池の躯体は内側にテフロン(登録商標)を有する最高のステンレススチールから成る。更にある実施態様において、カソード室はTeflon(登録商標)裏地を有するポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成る。テフロン(登録商標)は、デュポン社の登録商標である。
ある実施態様において、電池は正極室と流体連結する第1リザーバーを含む。そのような実施態様において、第1リザーバーは、液体正極溶液をリザーバーから流し出し、正極室中の集電体を通過させるように構成されるポンプ機構と連結する。ある実施態様において、電池は又、負極室と流体連結する第2リザーバーを含む。そのような実施態様において、第2リザーバーは、溶融負極(または非水陽極液)をリザーバーから流し、負極室に通じるように構成されるポンプ機構と連結する。
開示される二次電池は、いかなる好適な作動温度で作動させてもよい。実際に、ある実施態様において、負極が約100〜150℃(例えば、約120℃±約10℃)の温度で、電池の作動時に負極が溶融し、電池が機能する(例えば、放電したり充電したりする)。更に、ある実施態様において、約60℃(例えば、約20℃±約10℃)未満で、電池の作動時に負極に固体状態が残存する。更に、ある実施態様において、電池は250℃未満の温度で、又は200℃未満の温度で、或いは180℃未満の温度で、もしくは150℃未満の温度などで、作動するように設計される。
本実施態様におけるこれらの要旨および利点は、以下の記載および添付の請求の範囲からより明らかになるであろう。
本発明によれば、ナトリウムイオン選択性電解質膜およびハロゲン及び/又はハライドから成る液体正極溶液を有するナトリウム系二次電池(または再充電可能な電池)を提供できる。
図1は、溶融ナトリウム負極から成るナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な実施態様のスキーム図であり、電池が放電しているプロセスを示す。 図1Aは、溶融ナトリウム負極およびポンプ機構から成るナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な実施態様のスキーム図であり、電池が放電しているプロセスを示す。 図2は、溶融ナトリウム負極から成るナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な実施態様のスキーム図であり、電池が再充電しているプロセスを示す。 図2Aは、溶融ナトリウム負極およびポンプ機構から成るナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な実施態様のスキーム図であり、電池が再充電しているプロセスを示す。 図3は、ナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な実施態様の断面斜視図を示し、電池はチューブ形状から成り、負極室は少なくとも部分的に電池の正極室に配置される。 図3Aは、ナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な他の実施態様の断面斜視図を示し、電池はチューブ形状から成り、負極室は少なくとも部分的に電池の正極室に配置される。 図4は、ナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な実施態様のスキーム図であり、電池は固体負極および負極と固体ナトリウム伝導性電解質膜との間に配置される非水陽極液から成る。 図4Aは、ナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な実施態様のスキーム図であり、電池は固体負極、ポンプ機構および負極と固体ナトリウム伝導性電解質膜との間に配置される非水陽極液から成る。 図5A及び5Bは、本発明の実施態様で好適に使用されるNaSICON型材料の代表的な実施態様の断面顕微鏡写真を示す。 図6は、ナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な実施態様のスキーム図であり、電池の正極溶液が溶融ハロゲン化ナトリウム及び溶融ナトリウムフルオロスルホニルアミドから成る。 図6Aは、ポンプ機構を有するナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な実施態様のスキーム図であり、電池の正極溶液が溶融ハロゲン化ナトリウム及び溶融フルオロスルホニルアミドから成る。 図7Aは、ポンプ機構を有するナトリウム−ハロゲン二次電池の代表的な実施態様のスキーム図であり、電池は、正極溶液が正極室に流れ込み、負極が負極室に流れ込むように構成される。 図8は、電池の代表的な実施態様の試験作動で得られた実験結果を示すグラフである。 図9は、電池の代表的な実施態様の試験作動で得られた実験結果を示すグラフである。 図10は、電池の代表的な実施態様の試験作動で得られた実験結果を示すグラフである。 図11は、電池の代表的な実施態様の試験作動で得られた実験結果を示すグラフである。 図12は、電池の代表的な実施態様の試験作動で得られた実験結果を示すグラフである。 図13は、本発明に従った他の電池のスキーム図である。 図14は、本発明に従った他の電池のスキーム図である。 図15は、本発明に従った他の電池のスキーム図である。 図16は、本発明に従った他の電池のスキーム図である。 図17は、電池の代表的な実施態様の試験作動で得られた実験結果を示す。 図18は、電池の代表的な実施態様の試験作動で得られた実験結果を示す。 図19は、電池の代表的な実施態様の試験作動で得られた実験結果を示す。 図20は、電池の代表的な実施態様の試験作動で得られた実験結果を示す。 図21は、電池の代表的な実施態様の試験作動で得られた実験結果を示す。 図22A及び22Bは、電池化学1及び2の詳細を示す上記の図2及び2Aと類似の二次電池の略図である。
この明細書を通じて参照される「ある実施態様」、「1つの実施態様」または類似の語は、実施態様に関連して記載される具体的な要旨、構成および性能が本発明の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。それ故、本明細書を通じて「ある実施態様において」、「1つの実施態様において」、「他の実施態様において」及び類似の語は、全て同じ実施態様を参照してもよく、また必ずしもそうでなくてもよい。更に、以下の記載は本発明に記載の種々の構成要素および要旨の幾つかの実施態様および実施例を参照するが、記載された実施態様および実施例の全ては、あらゆる点において単なる例示であり、如何なる方法においても本発明がこれらに限定されているわけではないと理解すべきである。
更に、記載される本発明の要旨、構造または性質は、一つ以上の実施態様をいかなる好適な方法で組合せてもよい。以下の記載は、本発明の実施態様の理解を通じて提供されるナトリウム系負極、液体正極溶液、集電体、ナトリウムイオン伝導性解質膜などの好適な数多くの具体例が提供される。本発明は、一つ以上の具体的な詳細なしで、又は他の方法、構成要素、材料などを伴って実施できることは当業者に理解できるであろう。他の実施態様において、よく知られた構造、材料および操作は、本発明の要旨を曖昧にすることを避けるために詳細を示したり記載したりしていない。
上述のように、二次電池は放電され再充電され、本明細書ではその両方の状態での電池配列および方法が記載される。その種々の形式において「再充電する」という語は2回目の充電を意味するが、1回目の又は最初の充電という意味にも有効で適用できる(あるいはその逆にも)と当業者は理解すべきである。それ故、この明細書では、「再充電する」、「再充電された」及び「再充電可能な」という語は、「充電する」、「充電された」及び「充電可能な」という語にそれぞれ置換えることが出来る。
本発明は、ナトリウムから成る負極と、ハロゲン及びハライドの少なくとも一つから成る液体正極溶液とを含むナトリウム−ハロゲン二次電池を提供する。記載される電池はいかなる好適な構成要素から成っていてもよいが、図1に、ナトリウム系負極20を含む負極室15、液体正極溶液35中に配置される集電体30から成る正極室25、正極溶液から負極を分離するナトリウムイオン伝導性電解質膜40、第1の端子45及び第2の端子50から成るナトリウム−ハロゲン二次電池10の代表的な実施態様を示す。記載される電池10を良く理解するために、電池がどのように機能するかを以下に簡単に説明する。この説明に引き続き、図1に示す電池のそれぞれの構成要素を更に詳しく説明する。
ナトリウム−ハロゲン二次電池10が機能する方法に戻ると、電池はいかなる好適な方法によっても実際上機能する。ある実施例として、図1は、電池10が放電すると、負極20から電子(e)が流れ(例えば、第1の端子45を介して)、ナトリウムが負極20から酸化されてナトリウムイオン(Na)形成することを示す。図1は、これらのナトリウムイオンがそれぞれ、ナトリウム系負極20からナトリウムイオン伝導性電解質膜40を介して正極溶液35に移送されることを示す。
対照的な実施例として、図2は、二次電池10が再充電すると、電子(e)が充電器などの外部電源(図示せず)からナトリウム系負極20に流れ込み、電池10が放電した時(図1に示すような)と逆の化学反応が起こることを示す。具体的には、図2は、電池10が再充電すると、ナトリウムイオン(Na)がそれぞれ正極溶液35から電解質膜40を介して負極20に移送され、ナトリウムイオンは還元されてナトリウム金属(Na)を形成することを示す。
電池10の種々の構成要素を参照すると、電池(上述の)は負極室15及び正極室25から成る。これに関し、これらの2室は、電池10が所望に機能するのであれば、いかなる好適な形状や大きさから成っていてもよく、いかなる好適な性質を有していてもよい。例えば、負極室および正極室はチューブ状、矩形状または他の好適な形状から成る。更に、これらの2室は、互いにいかなる好適な空間的関係を有していてもよい。例えば、図2は、負極室15及び正極室25が互いに隣合っている実施態様を示し、図3は1室(例えば、負極室15)が少なくとも部分的に他の室の中に配置され(例えば、正極室25)、電解質膜40及び他の隔壁によって2室の内容物が分離されたままとなっていることを示す。
負極20に関し、電池10が所望に機能するのであれば(例えば、放電および再充電するのであれば)、電池10はいかなる好適なナトリウム系負極20を有していてもよい。ナトリウム系負極材料の好適な例としては、これに限定されないが、実質的に純粋なナトリウム試料、他の好適なナトリウム含有負極材料から成るナトリウムアロイ及びナトリウム挿入材料が挙げられる。実際にある実施態様において、負極は実質的に純粋な所定量のナトリウムから成る。他の実施態様においては、負極はナトリウム挿入(インターカレーション)材料から成る。
負極20がナトリウム挿入材料から成る場合、挿入材料は、電池10の放電中に負極中のナトリウム金属が酸化されてナトリウムイオン(Na)を形成し、電池の再充電中にナトリウムイオンが還元されて挿入材料に挿入されるのであれば、いかなる好適な材料から成ってもよい。ある実施態様において、挿入材料は、電解質膜40(以下に説明する)抵抗を全く又はほとんど増加させない材料から成る。換言すれば、ある実施態様において、挿入材料はナトリウムイオンを容易にその中を移動させ、負極室15から正極室25(あるいはその逆も)にナトリウムイオンを透過させる速度に全く又はほとんど悪影響を及ぼさない。
ある実施態様において、負極20の挿入材料は、ナトリウム金属(および/またはナトリウム金属アロイ)挿入カーボン(例えば、グラファイト、メソ多孔性カーボン、ホウ素がドープされたダイアモンド、カーボン及び/又はグラフェン)から成る。それ故、ある負極の実施態様は、ナトリウム挿入カーボン材料から成る。
電池10の作動時に(例えば、放電および/または充電)、電池が所望に機能するのであれば、ナトリウム系負極20はいかなる好適な温度であってもよい。実際に、ある実施態様において(例えば、負極がナトリウム金属から成る実施態様において)、電池は、電池が機能している時に負極が溶融しているようないかなる好適な作動温度においても機能する。実際に、ある実施態様において、電池が溶融負極から成る場合、電池が機能する時の負極の温度(または作動温度)は、約100〜155℃である。他の実施態様において、電池の作動温度は約110〜150℃である。更に他の実施態様において、電池の作動温度は約115〜125℃である。更にある実施態様において、電池の作動中負極が溶融している場合、電池の作動温度は、上記の作動温度の範囲内のいかなる領域(例えば、約120℃±2℃)であってもよい。更にある実施態様において、電池は、250℃未満、好ましくは200℃未満、より好ましくは180℃未満などで作動させてもよい。
電池10の作動中に負極20が固体状に残る実施態様(例えば、負極がナトリウム挿入カーボン及び/又は固体ナトリウムアノードから成る実施態様)において、電池が所望に機能するいかなる好適な温度で電池は作動する。実際に、電池が作動時に負極が固体であるようなある実施態様において、電池の作動温度は、約−20〜98℃である。他の実施態様において、電池の作動温度は、約18〜65℃である。更に他の実施態様において、電池の作動温度は、約20〜60℃である。更に他の実施態様において、電池の作動温度は、約30℃〜50℃である。更に電池が作動時に負極が固体として残るような実施態様において、電池の作動温度は、上記の作動温度範囲のある部分である(例えば、約20℃±10℃)。
ある実施態様において(例えば、電池10の作動時に負極20が溶融している)、負極20は電解質膜40に直接接触している(及び/又は濡れている)が、他の実施態様において(例えば、電池の作動時に負極が固体として残っている)、負極は任意に電解質膜と直接接触しない。実際に、図4は、電池10の作動中に負極20が固体として残存し、非水陽極液溶液65は電解質膜40から負極20を分離するようなある実施態様を示す。そのような実施態様において、非水陽極液溶液はいかなる好適な機能を遂行してもよく、これに限定されないが、負極の亀裂破損や電解質膜のダメージを防いだりする(あるいは妨げる)ような負極および電解質膜間の物理的なバッファを提供する。
電池10は非水陽極液溶液65から成るが、陽極液溶液は、負極20及び電解質膜40に化学的に適合性がり、負極から電解質膜に及びその逆に通すことが出来るのに十分な伝導性があれば、いかなる好適な化学物質から成っていてもよい。これに関し、好適な非水陽極液の例としては、これに限定されないが、プロピレンカーボネート;エチレンカーボネート;一つ以上の有機電解質、イオン液体、極性非プロトン性有機溶媒、ポリシロキサン化合物、アセトニトリル系化合物など;酢酸エチル;及び/又は他の好適な非水液体および/またはゲルが挙げられる。好適な非水陽極液溶液の更に具体的な記載は、2010年11月5日出願の米国特許出願公開第2011/0104526号明細書に記載されており、参照により本発明に引用される。
ナトリウムイオン伝導性電解質膜40について説明すると、ナトリウムイオンを選択的に透過し、電池10が非水正極溶液35又は水性正極溶液35で機能するのであればいかなる好適な膜であってもよい。ある実施態様において、電解質膜はNaSICON型(sodium Super Ion CONductive(ナトリウム超イオン伝導))材料から成る。電解質膜がNaSICON型材料から成る場合、NaSICON型材料は記載される電池10に好適に使用できる如何なる公知または新規のNaSICON型材料から成っていてもよい。NaSICON型の好適な例としては、これに限定されないが、NaZrSiPO12、Na1+xSiZr3−x12(xは約1.6〜2.4)、YがドープされたNaSICON(Na1+x+yZr2−ySi3−x12、Na1+xZr2−ySi3−x12−y(x=2、y=0.12)、Na1−xZrSi3−x12(xは約0〜3、ある場合において約2〜2.5)及びFeがドープされたNaSICON(NaZr2/3Fe4/312)の組成物が挙げられる。実際に、ある実施態様において、NaSICON型膜はNaSiZrPO12から成る。他の実施態様において、NaSICON型膜は、Ceramatec,Inc.社(ソルトレークシティー、ユタ州、米国)により製造されている一つ以上のNaSELECT(登録商標)材料から成る。更に、他の実施態様において、NaSICON型膜は、公知または新規のサーメットに支持されたNaSICON膜複合体から成る。そのような実施態様において、複合体NaSICON膜はいかなる好適な組成から成ることが出来、例えば、これに限定されないが、NiO/NaSICON又は他の好適なサーメット層から成る多孔性NaSICON−サーメット層と、緻密NaSICON層とから成る。更にある実施態様において、NaSICON膜は単斜晶セラミックから成っていてもよい。
ある実施態様において(図5A及び5Bに示される)、電解質膜40は、NaSICON型材料の比較的薄い緻密層を担持している第1の多孔質基材70(例えば、比較的厚く多孔質なNaSICON型材料)から成る。そのような実施態様において、第1の多孔質基材は、緻密層のスカッフホールド(足場)として働くことを含むいかなる好適な機能を遂行してもよい。その結果、電解質膜のある実施において、上述の比較的低い作動温度での分極抵抗ロスを最小とする。更に、ある実施態様において、多孔質スカッフホールド及び緻密NaSICON型層の両方を有することにより、電解質膜は比較的高い機械的強度を有する(例えば、電池に圧がかかったり、作動したりすること等による電池10内の圧力変化を許容できる)。
多孔性基材層70はいかなる好適な厚さを有していてもよいが、ある実施態様において約50〜1250μmの厚さである。他の実施態様において、多孔性基材層の厚さは約500〜1000μmである。更に他の実施態様において、多孔性基材層の厚さは約700〜980μmである。更に他の実施態様において、多孔性基材層の厚さは上記の範囲のある好適な部分である(例えば、約740〜960μm)。
基材層70上の緻密層75は、電池10が所望に機能すればいかなる好適な厚さを有していてもよい。実際に、ある実施態様において、緻密層の厚さは(例えば、NaSICON型材料の緻密層)、約20〜400μmである。他の実施態様において、緻密層の厚さは約45〜260μmである。更に他の実施態様において、多孔性基材層の厚さは上記の範囲のある好適な部分である(例えば、約50μm±10μm)。
電解質膜40は、電池10が所望に作動すればいかなる好適なナトリウム伝導性を有していてもよい。実際に、ある実施態様において(例えば、電解質膜がNaSELECT(登録商標)又は他の好適なNaSICON型材料から成る場合)、電解質膜は、約4×10−3〜20×10−3S/cm−1(又はその範囲のある好適な部分である)の伝導性を有する。
電解質膜40がNaSICON型材料から成る場合、NaSICON型材料は電池10にいくつかの有利な性質を付与する。その一つとしては、NaSICON型材料はβ’’−アルミナセラミック電解質セパレーターとは対照的に、実質的に水不透過で水の存在下で安定なため、NaSICON型材料は、ナトリウム負極20とは適合しえないような水性正極溶液などの正極溶液35を電池が含むことを許容する。それ故、電解質膜としてのNaSICON型膜の使用はにより、幅広い電池化学的性質を電池が有することが出来る。NaSICON型膜に関連する他の有利な性質としては、そのような膜はナトリウムイオンを選択的に透過し、負極20及び正極溶液35を混合させないため、そのような膜により、電池の容量減衰は最小となり、常温において電池が比較的安定した電池寿命を有するようになる。実際に、あるNaSICON型材料(例えば、NaSELECT(登録商標)膜)は、固体−固体材料の永続的選択性による.自己放電、クロスオーバー及び/又は関連するシステムの非効率性を除外することが出来る。
集電体30に関し、電池が所望に充放電できるのであれば、電池10はいかなる好適な集電体を有していてもよい。例えば、集電体は、実際に、ナトリウム系再充電可能電池システムで使用出来るいかなる集電体形状から成ってもよい。ある実施態様において、集電体は、1つ以上のワイヤー、フェルト、ホイル、プレート、平行板、チューブ、メッシュ、メッシュスクリーン、発泡体、(例えば、金属発泡体、カーボン発泡体など)及び/又は他の好適な集電体形状から成る。実際に、ある実施態様において、集電体は比較的大きい表面積(例えば、1つ以上のメッシュスクリーン、金属発泡体など)を有する形状から成る。
集電体30は、電池10が所望に機能するのであれば、いかなる好適な材料から成っていてもよい。これに関し、これに限定されない好適な集電体材料の例としては、カーボン、白金、銅、ニッケル、亜鉛、ナトリウム挿入材料(例えば、NaMnO等)、ニッケル発泡体、ニッケル、硫黄複合体、ハライド硫黄(例えば、塩化硫黄)、および/または他の好適な材料が挙げられる。更に、これらの材料が共存してもよく、また組み合わせて存在してもよい。ある実施態様において、集電体は、炭素、白金、銅、ニッケル、亜鉛および/またはナトリウム挿入材料(例えば、NaMnO)から成る。
集電体30は、電池10が所望に機能するのであれば、正極室25中のいかなる好適な場所に配置してもよい。ある実施態様において、集電体は電解質膜40に接して(例えば、図3に示す)または電解質膜40に近づけて(例えば、図6に示す)配置される。
正極溶液35に関し、電池10が所望に機能するのであれば、溶液はいかなるナトリウムイオン伝導性材料から成っていてもよい。実際に、ある実施態様において、正極溶液は、水性または非水溶液から成る。これに関し、好適な水性または水適合性溶液の例としては、これに限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド(NMF)、エチレングリコール、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、イオン液体溶液および/またはナトリウムイオン及び電解質膜40と化学的に適合性のある他の好適な水性溶液が挙げられる。実際に、ある実施態様において、正極電解質溶液は、NMF、ホルムアミド及び/又はDMSOから成る。
ある実施態様において、正極溶液35は非水性溶媒から成っていてもよい。そのような実施態様において、電池10が所望に機能するのであれば、正極溶液はいかなる好適な非水性溶媒から成っていてもよい。そのような非水性溶媒の例としては、これに限定されないが、グリセロール、エチレン、プロピレン及び/又はナトリウムイオン及び電解質膜40と化学的に適合性のある他の好適な非水性溶液が挙げられる。
ある実施態様において(例えば、図6に示すような溶融ナトリウム負極20とナトリウム挿入集電体30(例えば、NaMnO)から成る実施態様の場合)、正極溶液35は、溶融ナトリウム−FSA(ナトリウム−ビス(フルオロスルホニル)アミド)電解質から成る。実際に、Na−FSAは約107℃の融点を持ち(Na−FSAは電池10の代表的な作動温度において溶融している)、Na−FSAは約50〜100mS/cmの範囲の伝導性を有するので、ある実施態様において、Na−FSAは有用な溶媒として使用される(例えば、溶融ハロゲン化ナトリウム(NaX、XはBr、I、Cl等から選択される)のために)。これに関し、Na−FSAは以下の構造を有する。
正極溶液35がNa−FSAから成る場合、電解質膜におよび電解質膜からナトリウムイオンを伝導し、電池10が所望に機能するのであれば、溶液はいかなる好適なフルオロスルホニルアミドから成っていてもよい。好適なフルオロスルホニルアミドの例としては、これに限定されないが、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−(ビス(フルオロスルホニル)アミド([EMIM][FSA])及び他の類似の化学物質が挙げられる。
ある実施態様において、正極溶液35は更にハロゲン及び/又はハライドの一つ以上のから成る。。これに関し、ハロゲン及びハライド並びにそれから形成されるポリハライド及び/又は金属ハライド(例えば、集電体30が銅、ニッケル、亜鉛などの金属から成る場合(以下に説明する))は電池10が作動中正極として作用し、特に制限無くいかなる好適な機能も遂行できる。好適なハロゲンの例としては、臭素、ヨウ素および塩素が挙げられる。同様に、好適なハライドの例としては、臭化物イオン、ポリ臭化物イオン、ヨウ化物イオン、ポリヨウ化物イオン、塩化物イオン及びポリ塩化物イオンが挙げられる。ハロゲン及び/又はハライドは正極溶液にいかなる方法によって導入されてもよいが、ある実施態様において、NaXとして添加される(XはBr、I、Cl等から選択される。
ある実施態様において、正極溶液35がハロゲン(‘X’、例えば、臭素またはヨウ素)および/またはハライドから成る場合、電池の作動中の電池の負極20、正極/集電体30おける反応および電池の総反応を以下に示す(式中「⇔」は→←の矢印が上下に記載される記号の代わりとして表す(以下同じ))。
負極:Na⇔Na+1e
正極:2X⇔X+2e
総反応:2Na+X⇔2Na+2X
従って、Xがヨウ素から成る場合、電池10は以下の化学反応を生じ、理論的な起電力(V)および比エネルギー(Wh/kg)は以下の通りとなる。
負極:Na⇔Na+1e(−2.71V)
正極:2I⇔I+2e(0.52V)
総反応:2Na+I⇔2Na+I(3.23V)(581Wh/kg)
更に、Xが臭素から成る場合、電池は以下の化学反応を生じ、理論的な起電力および比エネルギーは以下の通りとなる。
負極:Na⇔Na+1e(−2.71V)
正極:2Br⇔Br+2e(1.08V)
総反応:2Na+Br⇔2Na+2Br(3.79V)(987Wh/kg)
正極/集電体30における実際の電荷移動反応が少なくとも2つの工程で生じることが認められている。2つの起電力反応は、電池化学反応1(電池再充電に関しては、図22Aにスキームが示される)及び電池化学反応2(再充電電池化学反応に関しては、図22Bにスキームが示される)に以下に示され、指定される。これらの反応は多段反応の独立した反応であってもよく、また電池のコンディションによっては、1つの反応工程が他の反応工程より優先されてもよいことが認められている。
正極:X +2e⇔3X(電池化学反応1)
正極:3X+2e⇔2X (電池化学反応2)
総反応:2Na+X ⇔2Na+3X(電池化学反応1)
総反応:2Na+3X⇔2Na+2X (電池化学反応2)
正極/集電体30において、少なくとも2つの起電力反応があることが好ましく、「電池化学反応」番号によって指定する。
Xがヨウ素から成る場合、電池10は以下の化学反応を生じ、理論的な起電力(V対SHE(standard hydrogen electrode:標準水素電極))および比エネルギー(Wh/kg)は以下の通りとなる。
負極:Na⇔Na+1e(−2.71V)
正極:I +2e⇔3I(0.29V:化学反応1)
正極:3I+2e⇔2I (0.74V:化学反応2)
総反応:2Na+I ⇔2Na+3I(2.8V:化学反応1)(388Wh/kg)
総反応:2Na+3I⇔2Na+2I(3.25V:化学反応2)(193Wh/kg)
正極における充電反応は、1)ヨウ化物が3ヨウ化物に成り、2)3ヨウ化物がヨウ素と成る2つの工程が生じる。同様に、正極における放電反応は、1)ヨウ素が3ヨウ化物に成り、2)3ヨウ化物がヨウ化物に成る2つの工程が生じる。すなわち、充放電反応は、上述の化学反応反応の組合せにより生じる。
Xが臭素から成る場合、電池10は以下の化学反応を生じ、理論的な起電力(V対SHE)および比エネルギーは(Wh/kg)以下の通りとなる。
負極:Na⇔Na+1e(−2.71V)
正極:Br +2e⇔3Br(0.82V:化学反応1)
正極:3Br+2e⇔2Br (1.04V:化学反応2)
総反応:2Na+I ⇔2Na+3I(3.53V:化学反応1)(658Wh/kg)
総反応:2Na+3I⇔2Na+2I (3.75V:化学反応2)(329Wh/kg)
正極における充電反応は、1)臭化物が3臭化物に成り、2)3臭化物が臭素に成る2つの工程が生じる。同様に、正極における放電反応は、1)臭素が2臭化物に成り、2)3臭化物が臭化物に成る2つの工程が生じる。すなわち、充放電反応は、上述の化学反応反応の組合せにより生じる。
正極において生じる電池化学反応1、電池化学反応2及び電池化学反応1と2との組合せは、幾つかのファクターに従って選択され又は適合される。そのファクターとしては、これに限定されないが、水性および非水ヨウ化ナトリウム溶液、電圧変動(制限)、添加剤、溶液濃度、温度、ポリヨウ化物とヨウ素(臭化物および臭素)との間の平衡、作動温度でのフリーヨウ素(フリー臭素)の存在などである。
正極溶液35中の種々の構成要素は、電池10が所望に機能するのであれば、いかなる好適な濃度において存在させることが出来る。
ある実施態様において、ハロゲン(例えば、臭素、ヨウ素または塩素)は、電池10の作動中(例えば、充電中)に電池10内で形成される。これに関し、電池が機能する際、ハロゲンは電池に種々の影響を及ぼす。一つの例としては、正極溶液35中で製造されるハロゲンは比較的高い蒸気圧を有し、電池を望ましくない圧力下に曝すことになる。他の例としては、正極溶液中のハロゲンは溶液中の他の試薬と反応して望ましくない化学物質(例えば、HOX及び/又はHX、正極溶液が水性であり、XがBr、I等から選択される)を形成する。ある実施態様において、正極溶液中で製造されるハロゲンに関連した課題を低減する及び/又は回避するために、正極溶液中に存在する元素状ハロゲン(例えば、臭素、ヨウ素など)の総量を少なくするように改良する。そのような実施態様において、正極溶液中に存在するハロゲンの量をコントロールしながら電池が作動するのであれば、電池はいかなる方法によって改良されてもよい。
ある実施態様において、正極溶液35中のハロゲンの量を低減するために、溶液は過剰量のハロゲン化ナトリウム(例えば、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化ナトリウム等)および/または過剰量の元素状ハロゲン(例えば、臭素、ヨウ素、塩素など)から成る。そのような実施態様において、正極溶液は、正極溶液35中で一つ以上のポリハライド(例えば、Br 、I 、Cl 等)を形成できるようないかなる好適な量のハロゲン化ナトリウム及び/又は元素状ハロゲンから成っていてもよい。(図2及び2Aに示し、XはBr、I又はClを示す)。そのような実施態様において、ポリハライドは、対応するハロゲンと類似の電気的活性を有しながら、対応するハロゲンよりも低い蒸気圧を有する。
ある実施態様において、正極溶液35中のハロゲン量を低減するために、正極溶液は、ハロゲン、ハライド及び/又はポリハライドと正極溶液内で錯体形成可能な又はアダクト(例えば、ハライド−アミンアダクト、ハライド−アンモニウムアダクト等)形成可能な一つ以上の錯化剤を含む。これに関し、錯化剤は、正極溶液中でハロゲン、ハライド及び/又はポリハライドとアダクト及び/又は錯体を形成可能ないかなる化学物質から成っていてもよい。そのような錯化剤の例としては、これに限定されないが、一つ以上の臭化物−アミンアダクト、ヨウ化物−アミンアダクト、塩化物−アミンアダクト、テトラメチルアンモニウムハライド(例えば、テトラメチル臭化アンモニウム、テトラメチルヨウ化アンモニウム、テトラメチル塩化アンモニウム等)、アンモニウム化合物、N−メチル−N−メチル−モルホリニウムハライド等が挙げられる。実際に、正極溶液がNaBr/Brから成るある実施態様において、錯化剤は、テトラメチル臭化アンモニウムから成り、臭素と反応してテトラメチル3臭化アンモニウムを形成する。他の実施態様において、(例えば、図4に示すような、負極室15が非水陽極液65から成り、正極溶液35がNaBr/Brから成り、集電体30がカーボンから成るような実施態様)、錯化剤はN−メチル−N−メチルモルホリニウム臭化物から成る。
他の実施態様において、正極溶液35中で生成するハロゲンの量を低減するために、電池10は、金属集電体30を利用し、集電体で使用する金属に対応する金属ハライドとハライドイオンとを溶液中で形成することによって、ハロゲン(例えば、臭素、ヨウ素、塩素など)の発生を回避する。そのようなプロセスはいかなる好適な方法で行うことができるが、ある実施態様において、その方法は、正極溶液中のハライドイオンが酸化されて対応するハロゲンが形成する前に集電体中の金属が酸化されることによる。それ故、不揮発性金属ハライド(例えば、CuBr、NiBr、ZnBr、CuI、NiI、ZnI等)が形成される。これに関し、集電体は、電池の作動中に金属ハライドを形成することにより、ハロゲンの発生を回避できるいかなる好適な金属から成っていてもよい。そのような金属の例として、これに限定されないが、銅、ニッケル、亜鉛、それらの組み合わせ及びそれらのアロイが挙げられる。これに関し、金属集電体から成る電池の半電池反応に対応する例を以下に示す。
Cu+X⇔CuX+1e
Ni+2X⇔NiX+2e
Zn+2X⇔ZnX+2e
ニッケル集電体30から成るNaBr/Br電池10の総反応の例をいかに示す。
2Na+NiBr⇔2NaBr+Ni
金属集電体30から成る電池は種々の広い起電力を発する。正極溶液35中にNaBr/Brを含み、集電体が銅、ニッケル又は亜鉛から成る電池10の場合、電池の起電力は、それぞれ約2.57V、約2.61V及び約2Vである。
正極室25中のハロゲン(例えば、臭素、ヨウ素など)の総量を低減するための他の実施態様において、電池10は上記の方法を好適に組合せて改良されてもよい。その例として、これに限定されないが、集電体30が銅、ニッケル、亜鉛または他の好適な金属から成り、正極溶液35が錯化剤および、過剰量のハロゲン化ナトリウム及び/又は過剰量の元素状ハロゲンを含む電池が挙げられる。
端子45及び50について参照すると、電池10は、電池が外部回路(図示せず、これに限定されないが1つ以上の電池を含む)と電気的に接続できるのであれば、如何なる好適な端子を有していてもよい。これに関し、端子はいかなる好適な材料、形状、サイズから成っていてもよい。
図1A及び2Aを参照すると、電池10の更なる実施態様においてが記載される。図1A及び2Aは、図1及び2に示す実施態様とそれぞれ類似のものである。しかしながら、図1A及び2Aは更なる構成要素を含む(図1Aは電池10の放電を示し、図2Aは電池10の充電を示す)。具体的に、図1A及び2Aは、ナトリウム系負極20から成る負極室15と、液体正極溶液35中に配置される集電体30から成る正極室25と、正極溶液から負極を分離するナトリウムイオン伝導性電解質膜40と、第1の端子45と、第2の端子50と、正極溶液を収納する外部リザーバー55と、液体正極溶液をリザーバーから流し出し、正極室中の集電体を通過させるように構成されるポンプ機構60とから成るナトリウム−ハロゲン二次電池10の代表的な実施態様を示す。
ポンプ機構60について参照すると、電池10は、リザーバー55から電池に流体を押出すことが出来るのであればいかなる好適なポンプ機構であってもよい。実際に、電池10が、第1のリザーバー55と、リザーバーから正極溶液35を送液し、正極室25内の集電体30を通過させるように設計されたポンプ機構60とを有するある実施態様を図7Aに示す。ある実施態様において(更に図7Aに示す)、電池10はまた、第2のリザーバー56及び第2のポンプ機構62に連結される。そのような実施態様において、第2のポンプ機構は、第2のリザーバー56から流体(例えば、溶融ナトリウム、非水陽極液65、第2陽極液など)を押出し、負極室15に流すことが出来るのであればいかなる好適なポンプ機構であってもよい。ポンプ機構は幾つかの利点を持って負極室を通じて流体を電池に供給するが、ある実施態様において、そのような構成は、いかなるときにおいても負極室内のナトリウムの総量を低減でき、それにより、もしも正極溶液35が負極20に接触した際のダメージ及び/又は危険性を低減できる。更に、ある実施態様において、正極室に正極溶液をポンプで送液することにより、電池は電池中の正極溶液の総量を制限でき、それにより電池中に存在するハロゲンの量を制御できる。
電池10が一つ以上のポンプ機構(例えば、60及び62)、及び/又はリザーバー(例えば、55及び56)に接続する場合、ポンプ機構は、電池が所望に機能するのであれば、いかなる好適な速度で電池(例えば、正極室25及び/又は負極室15)に流体を押出すように構成されてもよい。これに関し、種々の電池の実施態様の具体的な送液速度は、正極溶液35中の種々の成分の溶解度、負極室15の構成成分および/または電池の所望の充電/放電速度に依存する。
図1A、2A及び7Aに示される実施態様に加えて、ポンプ機構(例えば、60及び62)及び/又はリザーバー(例えば、55及び56)は他の実施態様において追加されてもよいと理解すべきである。例えば、図4Aは、図4に関連して記載された類似の電池10の実施態様を示す。しかしながら、図4Aの実施態様において、正極溶液35を送液して正極溶液35が電極30に接触するためのポンプ機構60及びリザーバー55が電池10に追加されている。同様に、図6Aに関しては、この電池10は図6に示すものと類似しているが、この電池10は、正極溶液35を送液して正極溶液35が電極30に接触するためのポンプ機構60及びリザーバー55が追加されている。更に、図7Aの実施態様においては、一つ以上のポンプ機構60、62及び/又は一つ以上のリザーバー55、56が除かれているように構築することもできると理解すべきである。
他の例としては、負極室15及び正極室25は、いかなる好適なサイズを有していてもよいが、図1A、2A、3A及び4A、6A及び7Aは、正極溶液35の大部分が正極室の外側(例えば、正極溶液の一部を蓄えられるように構成される一つ以上の外部リザーバー55)に蓄えるように正極室25が比較的小さい場合の少なくとも幾つかの実施態様を示す。そのような構成は電池10の特徴の多様性を付与するが、ある実施態様において、比較的小さいサイズの正極室を有することにより、電池の正極室中に存在する正極溶液の量を比較的小さくすることが出来、それにより、正極室中の正極溶液の比較的大部分を集電体30に接触させることが出来る。
上述の構成要素に加えて、電池10は、任意に他のいかなる好適な構成要素および特徴を有していてもよい。これに限定されないが、図6は、一つ以上の熱管理システム80を有する電池10の実施態様を示す。そのような実施態様において、電池は、電池が好適な作動温度範囲に維持されるいかなる好適な熱管理システムを有していてもよい。そのような熱管理システムの例としては、これに限定されないが、ヒーター、熱交換器、冷却器、一つ以上の温度センサー及び/又は適切な温度制御回路などから成る熱管理システムである。
電池10に使用できる他の好適な構成要素の例としては、電池は、リザーバー55と正極電解質室25との間に一つ以上の回収器(図示せず)を有する。そのような回収器はいかなる好適な機能を遂行してもよいが、ある実施態様において、回収器は、回収器を通じて溶液が流れている際に、ハロゲン(例えば、臭素、ヨウ素など)を液体正極溶液35から回収する。
他の例において、電池10は、放電中に、負極室15から正極室25にナトリウムイオンの移送を適合させるためのいかなる好適な方法によって改良されてもよい。これに関し、記載される電池10のある実施態様において、電池のケーシングを相殺するような容積を有していてもよい(図示せず)。他の例として、正極溶液35は、電池10がここに記載されるように機能するのであれば、いかなる好適な他の成分を有していてもよい。ある実施態様において、正極溶液は、カーボン(例えば、粉末カーボン、カーボン含有材料など)及び/又はナトリウム伝導性で、電解質膜40及び集電体30と化学的に適合する溶液とできる他の材料を含んでもよい。
他の例において、電池が所望に機能するのであれば、電池10は、電池の安全性が改良されるようないかなる好適な方法によって改良されてもよい。実際に、ある実施態様において、電池は一つ以上の圧力開放バルブを有する(図示せず)。他の実施態様において、電池は一つ以上の保護外部カバーを有する。更に他の実施態様において、電池がダメージを受けたり故障したりことに関連した危険性を低減するために、電池は2つ以上の小さな電池に分割される。更に実施態様において、電解質膜がダメージを受けた際に負極と正極溶液との間に生じる露出を最小限にするために、電解質膜40に加えて、電池は、負極20と正極溶液35との間に一つ以上の更なるセパレーターを有する。
いかに電池10が改良されるかの他の例として、電池のある実施態様は、電池のある部分、これに限定されないが、正極室25及び/又は負極室15の圧力を制御するように構成される圧力管理システムを含む。この圧力管理システムは、いかなる好適な機能を遂行してもよいが、ある実施態様において、ハロゲンが正極溶液35中の他の化学物質(例えば、過剰のハロゲン化ナトリウム、過剰の元素状ハロゲン、一つ以上の錯化剤、集電体30からの金属イオン等)と化学的に反応する溶液中に、ハロゲンを留めておくのに十分に高い正極室内の圧力を維持する。
上述の電池10の利点に加え、記載される電池は幾つかの別の利点を有する。その例として、150℃未満の温度範囲で作動が可能であることにより、電池10は、従来の溶融ナトリウム再充電可能電池よりも顕著に低い作動温度で作動する。従って、記載される電池は、電池の作動中に電池の加熱のため及び/又は電池からの熱放散のために必要なエネルギーはより少なく、危険な使用または操作がより少なく、より環境に優しい。更に、比較的高温で作動する従来のナトリウム再充電可能電池は、比較的高価な構成部材を必要とするが(例えば、金属またはセラミック構成部材、ガラスシール及び/又は熱膨張適合部材)、記載される電池の実施態様において、より安価な材料から作ることが出来る(例えば、ポリマー材料、エポキシ、エポキシ及び/又はプラスチック機械的シール部材(例えば、図3に示すようなO−リング85、キャップ90、チューブフランジ92等))。図3Aは、電解質膜40及び他の隔壁によって2室の内容物が分離されたまま、一室(例えば、負極室15)が他の室(例えば、正極室25)内に少なくとも部分的に配置される電池10の他の実施態様を示す。
他の例において、記載される電池10のある実施態様では、ジュール熱を介して適切な作動温度に維持される。その結果、そのような電池は比較的高い効率を有し、高い作動温度に電池を維持する必要ための追加のエネルギーは必要ない。
他の例において、記載される電池10のある実施態様では、競合する従来の電池と比較して(例えば、Na/S電池は約2.07Vの理論起電力、Zn/Br電池は約1.85Vの理論起電力)、比較的高い理論起電力を有する(例えば、約3.23〜3.79V)。更に、記載される電池のある実施態様では、競合する従来の電池と比較して(例えば、Na/S再充電可能電池の理論比エネルギーは約755Wh/kg、従来のZn/Br再充電可能電池の理論比エネルギーは約429Wh/kg)比較的高い理論比エネルギー(例えば、NaBr/Br電池なら約987Wh/kg、NaI/I電池なら約581Wh/kg)を有する。同様に、記載される電池のある実施態様では、競合する従来の電池と比較して(例えば、Na/Sの実用的比エネルギーは約150〜240Wh/kg、Zn/Br電池の実用的比エネルギーは約65Wh/kg)、比較的高い実用的比エネルギー(例えば、NaBr/Br電池の実施態様において約330〜440Wh/kg)。
記載される電池10の実施態様に関連する比較的高い起電力および比エネルギーの結果、競合する従来の電池で得られるのと同じ起電力および比エネルギーに必要な実施態様はより少なくてすむ。これに関し、より少ない電池の使用は、電池の内部接続ハードウェアや所望の起電力および比エネルギーを得るために必要な充電制御回路の量を低減させることが出来る。それ故、記載される電池の実施態様では、電池、内部接続ハードウェア、充電制御回路などの削減によって、全体の電池の複雑さ及び総コストを低減できる。更に、電池の比較的高い容量および起電力により、このような電池は幅広い分野に利用でき、これに限定されないが、グリッドスケールの電気エネルギー貯蔵システム及び電気自動車に利用できる。
他の利点として、記載される電池10の実施態様では、競合する従来の電池と比較して比較的長いサイクル寿命を有する(例えば、Na/S電池の約4000サイクルやZn/Br電池の約2000サイクルとは対照的に、NaBr/Br電池の実施態様で約5000ディープサイクル)。更に、記載される電池のある実施態様において、サイクル中でナトリウム及びハロゲンの沢山の利用が可能であるため、そのような実施態様での放電/充電サイクルは、競合する従来の電池と比較して比較的深い(例えば、高いSOC(充電状態:state of charge)及びDOD(放電深度:depth of discharge)(約70%〜80%)を有する)。
他の例として、記載される電池10の実施態様では、電解質膜40(例えば、多孔質支持体上の完全に緻密なNaSICON型材料)を介したナトリウムイオンの高移動性および、特にここに記載される低温から中温(例えば、常温〜約150℃)におけるレドックス反応の比較的高速な動力学のため、比較的高電流(それ故高電力も)を生出すことが出来る。
図13を参照すると、電池10の更なる実施態様が示される。この実施態様は、NaSELECT(登録商標)として販売されている(米国、ユタ州、ソルトレークシティーのCeramatec,Inc.社より)NaSICON膜などのナトリウムイオン伝導性電解質膜40を含む。電池10はまた、ナトリウム系負極20を含み、図13の実施態様ではナトリウム金属から成る。負極は負極室15内に収納される。ナトリウムイオンは、それぞれ負極20から正極室25にナトリウムイオン伝導性電解質膜40を介して移送される。必要により、集電体30aが負極室15内で使用されてもよい。当業者ならば、集電体30aに使用される材料の具体的な種類については自明であろう。
正極室25は集電体30を含み、この場合、カーボン集電体であるが、他の材料も使える(例えば、金属)。液体正極溶液35はまた、正極室25内に収納される。図13の実施態様において、この溶液は、溶媒中にNaBr/Brを含む混合物である。もちろん、他のハロゲン/ハライド含有物質もまた使用できる。図13の実施態様において、電池10は、溶融ナトリウムアノード及び水性又は非水臭素カソードから形成される。この電池は理論起電力3.79Vを有する。Na金属の融点が約100℃であるため、この電池は110℃を超えて、好ましくは120℃を超えて作動する。この実施態様に関する陰極液は、過剰の臭化ナトリウムと付随する元素状臭素とがBr 等のナトリウムポリハライドを形成するように考案される。これらの化学種は、より低い蒸気圧を有するが、電気的活性は臭素ど類似である(もちろん、臭素はハライド物質として示されているが、他の種のハライドが使用されてもよい)。
図13の実施態様は、特別な利点を有する。例えば、本発明の1つの応用可能性として、例えば、グリッドスケールのEnergy Storage Systems(エネルギー貯蔵システム:ESS)及び電気自動車(EV)市場などの大きいスケールの二次電池としての使用が挙げられる。更に、膜40は室温伝導度が5×10−3S/cm程度を有する。更に、NaSICON膜は完全に湿気や他の共通の溶媒(例えば、メタノール)に不活性である。
図13に関し、液体正極溶液35が、臭素および/またはポリ臭化物と臭化物−アミンアダクト等のアダクトを形成するような化学種を含むように更なる実施態様が構成される。以下に、錯化剤として働くテトラメチルアンモニウム臭化物の例を示す。
Br+テトラメチルアンモニウム臭化物⇔テトラメチルアンモニウム3臭化物
ある実施態様において、電池システムが加圧化になってもよいように、膜はNaSICONチューブである。この圧力は臭素を溶液中に留めるように使用される。
図14に関し、電池10の別の実施態様が示される。電池10のこの実施態様は図13に示されるそれと類似である。しかしながら、図14の実施態様において、電池10は、金属集電体30を使い、酸化されて対応する臭化物を形成することにより、臭素の発生を回避する。以下に、これに限定されないがカソードの半電池反応を示す。
Cu+Br⇔CuBr+e
Ni+2Br⇔NiBr+2e
Zn+2Br⇔ZnBr+2e
電池の総反応の例として配下の通りである。
2Na+NiBr⇔2NaB+Ni
この電池10は、臭化物イオンを臭素に酸化する前に集電体30金属の酸化によるもので、不揮発性金属臭化物を形成する。これらの電池の起電力は、金属がCu、Ni及びZnの場合、それぞれ2.57V、2.61V及び2Vである。電池は、臭化物または臭素電極、錯化剤および120℃で水性または非水溶媒を含む。電池はこれらの条件下で安定なNaSICON膜を有する。
図15に関し、電池10の更なる実施態様を示す。図15の実施態様において、電池10は固体ナトリウムアノードを含む。しかしながら、図15に示すように、電池10は、ナトリウム挿入カーボンアノード20aを含む。正極室25、液体正極溶液35として使用される水性または非水性臭素または臭化物溶液から成る。陽極液60は膜40(NaSICON膜であってもよい)に隣接して配置される。
図15の電池10は、常温〜60℃で作動し、元素状臭素が効果的に錯化され(例えば、N−メチル−N−メチルモルホリニウム臭化物)、フリー臭素が100倍を超えて還元される。臭素を効果的に常温で錯化できる他の錯化剤も使用できる(MEMBrが亜鉛−臭素系で使用される)、ある実施態様において、この電池10は、ナトリウム挿入カーボンとNaSICON膜40との中間に非水陽極液65を使用する。
図15に示す電池10のある具体的な実施態様は、臭化物または正極室25中のハロゲン/ハロゲン化物質としての臭化物を使用することである。NaSICON膜を伴うこの水性または非水溶媒は常温で安定である。電池10は、Naの可逆的メッキが可能であり、臭素カソードを有する。電池は、実際のC−レート(C/5)において少なくとも25回の可逆的サイクル及び実際の放電深度(DOD>50%)で作動する。
図16を参照すると、電池10の更なる実施態様が示される。電池はZn負極20b及び正極(正極室25で使用される集電体であるが、この構成は図16に示していない)を使用する。電池10はナトリウムイオン伝導性で水不透過の緻密NaSICON膜40を使用する。陽極液65及び液体正極溶液35は、臭化ナトリウム系溶液であり、臭化亜鉛溶液ではない。
この電池10において、Znアノード20bは、臭化ナトリウムを含有する水性溶液内(又は他のアルカリ金属イオン及びハライドイオンの溶液)に配置される。この図に示されるアノードはZnであるが、他の金属もまた使用できる。液体正極溶液35(陰極液)は、グラファイト集電体を有する臭素/臭化ナトリウム溶液である。放電中、Znは酸化されて臭化亜鉛を形成し、ナトリウムイオンはカソード集電体に移送され、臭素と反応して臭化ナトリウムを形成する。充電中、Znは再析出し、臭素が再生する。細孔型型電池と比較したこの電池10の利点は以下の通りである。
(1)陽極液の組成はZnの可逆沈積が可能なように調製される。実際に、陽極液はNaBr及びNaOHの混合物であるため、容量低下となる亜鉛デントライト(樹枝状結晶)が形成されない。
(2)陰極液からの臭素は亜鉛金属に決して接しないため、自己放電しない。
(3)特異な電解質化学が陽極液流および陰極液流のための必要性を回避する。
(4)より高電圧の電池となる非水溶媒が使用される場合、Mg等の他のより低い還元電圧を有する元素が使用できる。
電池10は、臭化ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウム溶液中にZnアノードを有するNaSICON系電池であり、沈積が可逆である。この電池のNaSICON膜は、常温において臭化物/臭素/錯化剤/水性または非水溶媒の存在に安定である。
電池10は、常温作動可逆NaBr/Brカソードを有するように構成される。電池10は、Znアノード及びNaBr/Brカソードを有するあまり性能がよくない電池においてさえ、実際のC−レート(C/5)及び実際の深放電(DOD≧50%)において、少なくとも25回の可逆サイクルが可能である。
以下の実施例は本発明の要旨内での種々の例示である。これらの実施例は例示であって、これらの実施例は、本発明の総合的なものではなく、実施できる多くの実施態様を除外するものではないと考えるべきである。
実施例1:
この実施例として、溶融ナトリウム負極20と、白金メッシュ集電体30と、正極溶液とから成る電池10を調製した。正極溶液は、NaIの20重量%ホルムアミド溶液から成り、I対NaIのモル比率が1:3で、正極としてホルムアミドに対して5重量%のカーボンを含む。この実施例において、約120℃の温度まで2000分を超えて作動させたのち、電池は図8に示す性能特性を有していた。具体的には、図8は、電池が比較的ノイズのある充電/放電曲線を有しており、幾らかの大きな過電圧も認められることを示す。これに関し、このようなノイズのある曲線および過電圧はホルムアミドの使用による結果であると考えられる。これは、ホルムアミドはNaIのみを溶解し、ヨウ素を溶解しないこと、ホルムアミドはガスの泡を作ること、そしてホルムアミドは、正極溶液35に存在する溶媒としての他の好適な溶媒より伝導性が悪いこと等の理由による。それにもかかわらず、図8は、記載されるNaI/NaI電池の少なくともある実施態様は実現可能性を示すものである。
実施例2:
第2の例において、負極20と、白金メッシュ集電体30と、約25重量%までのNaI及び約75%を超えるDMSOから成る正極溶液と、NaSICON型膜とを有し、5mA/cm〜10mA/cmの電流密度を有する電池10を調製した。この実施例において、約120℃までの温度で150時間を超えて作動させた後、電池は、上述の電気化学1の従う図9に示す特性を有した。具体的には、図9に示すその特性は、この実施例の電池が前の実施例のよりもより低い過電圧を有することを示す。これに関し、DMSO溶液はホルムアミドよりもより伝導性が高く、それにより、より低い過電圧を電池に付与すると考えられる。更に、この実施例において、DMSOはNaI及びヨウ素を溶解したことは明らかである。更に、DMSOは、この電池が実施例1の電池よりも良好に作動する安定した電気化学的窓を有すると考えられる。従って、この実施例から明らかなように、少なくとも幾つかの電池の実施態様での使用において、ホルムアミドよりも優れた溶媒である。
実施例3:
実施例3において、電流密度約3.65mA/cmを有し、上記の2つの実施例で使用された膜のほぼ4倍の表面積を有する電解質膜40、溶融ナトリウム負極20、白金メッシュ集電体30、約25重量%までのNaIと約75重量%を超えるDMSOとから成り、NaI1モルに対して0.5モルのIを有する正極溶液35を含む第1の大型電池を調製した。更に、電流密度約3.65mA/cmを有し、上記の2つの実施例で使用された膜のほぼ4倍の表面積を有する電解質膜40、溶融ナトリウム負極20、白金メッシュ集電体30、約25重量%までのNaIと約75重量%を超えるDMSOとから成り、NaI1モルに対して0.5モルのIを有する正極溶液35を含む第2の大型電池を調製した。これらの2つの電池は、約120℃までの温度で120時間を超えて、電池の可能な容量の放電深度約20%で作動させた。上述の電池化学1に従った、DMSO溶媒を使用した電池の性能特性を図10に示す。ホルムアミドを使用した電池の性能特性と類似であった。図11は、上述の電池化学1に従った、電池の可能な容量の放電深度50%で作動させた際のDMSO電池の性能特性を示す。これに関し、図11は、比較的ディープサイクルでこのような電池を作動させる実現可能性を示している。
実施例4:
1つの例において、溶液ナトリウム負極と、NaSICON型膜から成る電解質膜40と、カーボンが加えられているホルムアミド溶媒中にNaI/Iを溶解した正極溶液35とを含み、電流密度がほぼ10mA/cmである電池10を調製した。電池は約110℃で30時間作動させた。上述の電池化学1に従うこの実施例の電池の作動特性を図12に示す。これに関し、図12は、実施例の電池の電圧降下が比較的大きく、データ中にいくらかノイズがあることを示すものの、それにもかかわらず、図12は、ヨウ素を使用するナトリウム−ハロゲン系電池の実現可能性を示すものである。
実施例5:
1つの電池化学1及び2の例において、ハロゲンがヨウ素であり、標準電気化学的サイクリックボルタメトリー(CV)法を使用して、ほぼpHが中性のヨウ化ナトリウム溶液の酸化について研究した。3つの白金電極(一つは基準電極、一つは対電極、もう一つは活電極)を0.2MのNaI/0.1MのIから成る水性溶液に浸して試験装置の調製を行った。試験は常温で行った。試験中、電圧は、電池の開路電圧に対して徐々に上昇し、徐々に減少した。そして、基準電極を使用して活電極電位を測定した。活電極と対電極における反応により発生する電池電流も測定した。図17は、活電極電位を基準電極に対して500mV/s(左側)および5mV/s(右側)でスキャンした際に生じる異なるプロセス(電流増加により示される)を示す。アノード正スキャン(酸化)で0.3Vにおいて生じる最初のプロセスは、上述の電池化学1の反応に従うヨウ化物の3ヨウ化物への酸化であった(以下に示す)。
3NaI→NaI+2Na+2e
次の酸化ピークは、電池化学2の反応に従い3ヨウ化物が酸化して分子状ヨウ素となり、0.8Vに生じる。
NaI→3/2I+Na+e
このデータは、ナトリウムヨウ化物を3ヨウ化物に容易に酸化できることを示し、溶融Naと結びつき、3ヨウ化物をヨウ素に酸化してより高い電池化学2(開路電圧3.15V)となるのと比較して、より低い起電力の電池化学1(2.8Vの回路電圧)となる。
実施例6:
1つの電池化学の例において、溶液ナトリウム負極と、NaSICON型膜から成る電解質膜と、NMF溶媒中に溶解する35重量%NaI(I無し)から成る正極溶液とを含み、約8.8mA/cmの電流密度を有する263mAh電池を調製した。電池は約110℃で24時間作動させた。この実験例での電池の作動テストにおけるいくつかの性能特性を図18に示す。これに関し、図18は、最初の6サイクルにおいて一定電圧の充電(3.25V(電圧平坦部分))した後、一定電流充電(電圧上昇部分)を行ったことを示す。正極の電池化学2の示すシステムの充電OCVを約3Vに上昇させることで十分であった。最後のサイクルは一定電流で、高充電OCVが維持され、高電位電池化学2を示すことが維持された。
実施例7:
ある例として、溶融ナトリウム負極と、NaSICON型膜から成る電解質膜と、35重量%のNaIがNMF溶媒(I無し)に溶解したものから成る正極溶液とを含み、7.5mA/cmの電流密度を有する263mAh電池を調製した。電池は約110℃で200時間作動させた。この実験例での電池の作動テストにおけるいくつかの性能特性を図19に示す。これに関し、図19は、高電圧における一定の電圧での充電で使用された初期サイクルを示す。その電圧は、正極電池化学2の示す3Vを超えるまでのサイクルの休止に関するシステムの充電OCVを上昇させるに十分な電圧であった。
実施例8:
溶融ナトリウム負極と、NaSICON型膜から成る電解質膜と、35重量%のNaIがNMF溶媒(I無し)に溶解したものから成る正極溶液と含み、約3.8mA/cmの電流密度を有する263mAhの電池を調製した。この電池は約110℃で3回充電/放電させた。この実験例での電池の作動テストにおけるいくつかの性能特性を図20に示す。これに関し、図20は、部分的により高い一定の電圧での充電が、クーロン効率および提供容量の増加を示す。
実施例9:
1つの例において、溶液ナトリウム負極およびNaSICON型膜から成る電解質膜を含む2つの電池を調製した。当該電池は、約8.3mA/cmの電流密度を有し、正極溶液は、NMF溶媒またはDMSO溶媒に溶解した7MのI(過剰のヨウ素を予め供給しておいた)及び3MのNaIから成る。電池は、約120℃で放電された。この実施例の電池の作動テストの充電特性を図21に示す。これに関し、図21は、DMSO注意で生じる電池化学1及び2(ヨウ素から3ヨウ化物からヨウ化物)の組合せに対し、NMF中で生じる電池化学1(3ヨウ化物からヨウ化物)を示す。この結果は、NaI及びIを溶解するために使用される溶媒が、電池化学で放電中に生じることに影響を及ぼすことを示す。
それ故、上述の例は、ヨウ化ナトリウムを溶解し、(少なくとも部分的に)ヨウ素を溶解する溶媒としてDMSO又はNMFを使用するNa−ヨウ素電池の例である。このシステムでは、NaI/ヨウ素カソードの得られる容量は約50%の深放電を可能にし、NaI/ヨウ素に実際の電池システムにおいて約70%の深放電を可能にする。ある実施態様において、Ptカソードは、グラファイト、硬質カーボン又は、マンガン、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル及び他のバルブ金属などのより低コストである材料に置き換えてもよい。電池で使用される膜は、NaSICON膜で、10mA/cm以上の電流密度を有する。
ここに記載される電池(セル)は、他の種類の電池に対して顕著な利点を有する。例えば、上述のように、公知の再充電可能なナトリウム電池の多くは、例えば約250℃を超えるような、あるいは270℃を超えるような高温で作動させる必要がある。しかしながら、ここに記載されるように、本発明では、作動温度が250℃未満である。事実、ある実施態様において、常温で作動し、約60℃未満で作動し、約150℃未満で作動し、200℃未満で作動し、180℃未満などで作動する。これらの電池の作動温度範囲は、資源に関して顕著な利点、すなわち非常に高温(270℃等の)に電池を加熱するために配分される必要が無いという利点を有する。
更に、本発明の幾つかの実施態様において、セパレーターとしてのナトリウムβ’’−アルミナセラミック材料の代りにNaSICONを使用する。NaSICONは水や他の溶媒に対して適合性があるため、NaSICONはナトリウムβ’’−アルミナセラミックに対し特別な利点を有する。更に、NaSICONは、膜の一方の側の反応物質が、膜の他の側の反応物質を汚す/干渉するという心配無く、それぞれの側を最適化できるように電池の2つの側に分離できる。
ここに記載される全ての特許出願および特許は参照により引用される。
本発明は、本発明の要旨または基本性質を大きく逸脱しない範囲で実施される。記載される実施態様および実施例は単なる例示であり、本発明をこれらに限定するわけではないと考えるべきである。本発明の要旨は、上記の記載よりも、特許請求の範囲で規定されるものである。特許請求の範囲の均等の手段および範囲内で改変されたものも本発明の範囲に含まれる。

Claims (15)

  1. ナトリウムから成る負極から成る負極室と、ハロゲン及びハライドの少なくとも1つから成る液体正極溶液中に配置される集電体から成る正極室と、液体正極溶液から負極を分離するナトリウムイオン伝導性電解質膜とから成るナトリウム−ハロゲンナトリウム−ハロゲン二次電池であって、放電中に負極は電気化学的に酸化してナトリウムイオンを放出し、充電中に負極は電気化学的にナトリウムイオンを還元してナトリウム金属を形成し、二次電池が正極室内で以下に示される反応を1つ以上遂行するように構成されることを特徴とするナトリウム−ハロゲンナトリウム−ハロゲン二次電池。
    NaX+2e⇔3NaX
    3X+2Na+2e⇔2NaX
  2. 負極が溶融ナトリウム金属から成る請求項1に記載の二次電池。
  3. 負極の温度が150℃未満で二次電池が作動する請求項1に記載の二次電池。
  4. 負極の温度が100℃を超えて二次電池が作動する請求項3に記載の二次電池。
  5. 電解質膜がNaSICON型材料から成る請求項1に記載の二次電池。
  6. NaSICON型材料が、多孔質層と緻密機能コート層とを有する複合膜から成る請求項5に記載の二次電池。
  7. 液体正極溶液が、3X+2Na+2e⇔2NaXの正極室における反応を優先するように選択された溶媒から成る請求項1に記載の二次電池。
  8. 液体正極溶液がジメチルスルホキシド溶媒から成る請求項1に記載の二次電池。
  9. 液体正極溶液がN−メチルホルムアミド溶媒から成る請求項1に記載の二次電池。
  10. 液体正極溶液がNaBr、NaI及びNaClから選択される化合物から成る請求項1に記載の二次電池。
  11. 液体正極溶液が、二次電池の作動中にナトリウムポリハライドを形成するの十分な量のハロゲン化ナトリウム及び元素状ハロゲンの少なくとも1つから成る請求項1に記載の二次電池。
  12. 液体正極溶液が、液体正極溶液中のハロゲン、ハロゲン化ナトリウム及びポリハライドの少なくとも1つと錯体形成できる錯化剤から成る請求項1に記載の二次電池。
  13. 錯化剤がテトラメチルアンモニウムハライド化合物から成る請求項1に記載の二次電池。
  14. 集電体が、グラファイト、硬質炭素、マンガン、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、銅、ニッケル、亜鉛およびこれらの組合せから成る群より選択される材料から成る請求項1に記載の二次電池。
  15. 更に、正極室と流体連結する第1リザーバーと、液体正極溶液をリザーバーから流し出し、正極室中の集電体を通過させるように構成される第1のポンプ機構とを有する請求項1に記載の二次電池。
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