JP4576674B2 - Iii族窒化物系化合物半導体素子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はIII族窒化物系化合物半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
III族窒化物系化合物半導体素子は発光ダイオード等の発光素子に用いられる。かかる発光素子では、例えばサファイア製の基板表面に素子機能を有するIII族窒化物系化合物半導体層をエピタキシャル成長させた構成である。
【0003】
しかしながら、サファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層では熱膨張係数や格子定数が異なるので、サファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層との間に歪みが生じる。この歪みの為に生ずる現象として、サファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層の積層体にそりが発生する。このそりがあまりにも大きくなると、半導体の結晶性が損なわれたり半導体層にクラックが入るおそれのあることはもとより、素子作製時のアライメント調整にも不具合が生じる。
そのため、従来ではいわゆる低温堆積層を基板とIII族窒化物系化合物半導体層との間に形成して上記の歪みを緩和していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的な有機金属気相成長法(以下、「MOCVD」法という)を採用して素子を形成するときのIII族窒化物系化合物半導体層の成長温度は1000℃以上である。一方、低温堆積層の成長温度は400〜500℃程度であるため、1000℃程度で行われる基板クリーニングからIII族窒化物系化合物半導体層までの温度履歴をみると、高温(1000℃)→低温(400〜500℃)→高温(1000℃)となり、温度調整が困難なばかりでなく、熱効率も悪い。
そこで、堆積層を高温で形成することが考えられるが、基板上に直接1000℃前後の高温でIII族窒化物系化合物半導体(例えば低温堆積層と同じAlN層)を成長させると、そりの問題が再び浮上する。
【0005】
本発明者らは、上記そりの問題を解決すべく検討を重ねてきた結果、特願平2000-41222号(出願人整理番号:990438、代理人整理番号:P0149-01)において下記構成の発明を提案している。即ち
素子機能を有するIII族窒化物系化合物半導体層をその表面上に形成可能な下地層を有し、該下地層の表面には傾斜が形成されており、前記下地層の表面において該傾斜面の占める面積割合が、平面投影面上で、5〜100%である、ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体素子。
【0006】
また、他の見方をすれば、下地層をテクスチャー構造とする。ここにテクスチャー構造とは、任意の断面をみたとき下地層表面がノコギリ歯状に、即ち傾斜面を介して谷と山とが繰返している構造を指す。この山部は、独立した多角錐形(円錐形も含む)の場合と山脈状に連なっている場合の両方を含む。
また、上記発明において、断面台形状とは山部頂上における平坦領域が多くなったものを指し、更に平坦領域が多くなったものをピット状と呼ぶ。
上記発明では斜面領域の占める割合が平面投影面上で70〜100%をテクスチャー構造、30〜70%を断面台形状、5〜30%をピット状と呼ぶ。
【0007】
このような下地層を用いることによりIII族窒化物系化合物半導体層と下地層を含めた基板との間の歪みが緩和される。これは、ヘテロ界面に傾斜面が存在することによりヘテロ界面にかかる応力が当該傾斜面と平行に加わることとなって分散され、もって応力が緩和されることによると考えられる。このようにして歪みが緩和されると、そりの問題が低減される。その結果、III族窒化物系化合物半導体層へクラックが入ることを未然に防止できることはもとよりその結晶性が向上し、さらには素子作製時のアライメントも取り易くなる。
【0008】
本願発明者らは上記表面構造を有する下地層についてさらに検討を重ねてきたところ、下記の課題を見出すに至った。
上記提案の発明の実施例では、下地層の材料として専らAlNを選択して検討をしている。AlNを用いてテクスチャー構造等を有する下地層をMOCVD法で形成しようとすると、反応容器内の圧力をIII族窒化物系化合物半導体層成長時よりも低くする必要があった。具体的には、下地層の成長時には反応容器内の圧力を50〜300Paとすることが好ましく、他方下地層の上に形成されるIII族窒化物系化合物半導体層(通常n型GaNからなるnコンタクト層)を成長させるときの反応容器内の圧力は1気圧であった。
このように成膜プロセス中に圧力変動があると、圧力変動前後の界面が荒れ易く、当該界面をきれいにするには厳しい条件制御が要求されることとなる。また、成膜装置にも圧力変動を可能にするための機構が要求され、その結果装置が大型化・高額化する。これは素子の製造コストを引き上げる原因となる。
【0009】
この発明はかかる課題を解決し、素子機能を有するIII族窒化物系化合物半導体層と実質的に同一の製造条件(圧力条件)で下地層を断面台形状、より具体的には六角錐台形状の凸部を有する下地層を形成できるようにすることを一つの目的とする。
この発明は新規な構成を有する、特に新規構成の下地層を有するIII族窒化物系化合物半導体素子を提供することを他の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的の少なくとも1つを達成すべくなされたものであり、その構成は次の通りである。
基板と、
該基板の上に形成され、表面に六角錐台形の凸部を有する下地層と、
該下地層の上に形成され、素子機能を有するIII族窒化物系化合物半導体層と、
を備えてなるIII族窒化物系化合物半導体素子。
【0011】
このように構成されたIII族窒化物系化合物半導体素子によれば、その表面が六角錐台の凸部を有する形状とされることにより、III族窒化物系化合物半導体層と下地層を含めた基板との間の歪みが緩和される。これは、III族窒化物系化合物半導体層−下地層間のヘテロ界面に傾斜面(六角錐台の斜面が該当)が存在することにより当該ヘテロ界面にかかる応力が当該傾斜面と平行に加わることとなって分散され、もって応力が緩和されることによると考えられる。このようにして歪みが緩和されると、そりの問題が低減される。その結果、III族窒化物系化合物半導体層へクラックが入ることを未然に防止できることはもとよりその結晶性が向上し、さらには素子作製時のアライメントも取り易くなる。
【0012】
【発明の実施の態様】
以下、この発明の各要素について詳細に説明する。
基板
基板はその上に下地層を形成できるものであれば特に限定されないが、III族窒化物系化合物半導体で形成された下地層を用いる場合基板はサファイア、SiC(炭化シリコン)及びGaN(窒化ガリウム)等の六方晶材料、Si(シリコン)やGaP(リン化ガリウム)、GaAs(砒化ガリウム)などの立方晶材料を用いることが出来る。
【0013】
III族窒化物系化合物半導体層
III族窒化物系化合物半導体は、一般式としてAlXGaYIn1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表され、AlN、GaN及びInNのいわゆる2元系、AlxGa1−xN、AlxIn1−xN及びGaxIn1−xN(以上において0<x<1)のいわゆる3元系及びAlXGaYIn1−X−YN(0<X<1、0<Y<1)の4元系を包含する。III族元素の一部をボロン(B)、タリウム(Tl)等で置換しても良く、また、窒素(N)の一部もリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置換できる。
発光素子や受光素子の素子機能部分は上記2元系若しくは3元系のIII族窒化物系化合物半導体より構成することが好ましい。
III族窒化物系化合物半導体は任意のドーパントを含むものであっても良い。n型不純物として、Si、Ge、Se、Te、C等を用いることができる。p型不純物として、Mg、Zn、Be、Ca、Sr、Ba等を用いることができる。
なお、p型不純物をドープした後にIII族窒化物系化合物半導体をさらに低抵抗化するために電子線照射、プラズマ照射若しくは炉による加熱することも可能である。
III族窒化物系化合物半導体は、有機金属気相成長法(MOCVD法)のほか、周知の分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド系気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、電子シャワー法等によっても形成することができる。
【0014】
素子には、発光ダイオード、受光ダイオード、レーザダイオード、太陽電池等の光素子の他、整流器、サイリスタ及びトランジスタ等のバイポーラ素子、FET等のユニポーラ素子並びにマイクロウェーブ素子などの電子デバイスを挙げられる。また、これらの素子の中間体としての積層体にも本発明は適用されるものである。
なお、発光素子の構成としては、MIS接合、PIN接合やpn接合を有したものや、ホモ構造、ヘテロ構造若しくはダブルへテロ構造のものを用いることができる。発光層として量子井戸構造(単一量子井戸構造若しくは多重量子井戸構造)を採用することもできる。
【0015】
上で説明したIII族窒化物系化合物半導体により下地層も形成される。即ち、AlXGaYIn1ーXーYN(0<X<1、0<Y<1、0<X+Y<1)で表現される四元系の化合物半導体、AlXGa1−XN(0<X<1)で表現される三元系の化合物半導体、並びにAlN、GaN及びInNが含まれる。
【0016】
下地層の表面には六角錐台形状の凸部が形成されている。凸部の形成方法は特に限定されるものではないが、実施例では特定の材料を特定の条件で成長させる方法を採った。当該凸部をエッチングなどの方法で形成することも可能である。
【0017】
MOCVD法により六角錐台形状の凸部を有する下地層を形成するには、下地層の材料をGaNとしてそこに高濃度にマグネシウム(Mg)をドープする。Mgのドープ量は1020/cm3以上とすることが好ましい。この範囲未満であると、GaNを成長させたときに六角錐台形状の凸部が生じないか、生じるにしてもそのためには厳しい条件制御が要求される。更に好ましいMgのドープ量は3×1020/cm3以上であり、更に更に好ましくは1×1021/cm3 である。
Mgドーパントの原料としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム、ビスメチルシクロペンタジエニルマグネシウム、ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム、ビス−n−プロピルシクロペンタジエニルマグネシウム、ビス−i−プロピルシクロペンタジエニルマグネシウム等の一般式CP2Mg(ここで、CPはRC5H4を示す。ただし、Rは水素又は炭素数1以上4以下の低級アルキル基を示す。)で表される有機金属化合物が適当な蒸気圧を有するために好適に用いられる。
【0018】
下地層の材料であるGaNのIII族元素(Ga)の一部をアルミニウム(Al)、インジウム(In)、ボロン(B)、タリウム(Tl)等で置換しても良く、また、窒素(N)の一部もリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置換できる。ただし、六角錐台形の凸部の形成を阻害しない置換量範囲内においてである。
Mgにより形成されるホール濃度を超えるn型ドーパントを加えることにより、下地層をn型にすることができる。シリコン(111)基板などの導電性基板を用いるときには下地層にも導電性を帯びさせることが好ましい。
【0019】
下地層の成長温度は特に限定されないが、III族窒化物系化合物半導体層の成長温度と実質同一とすることが製造条件管理を容易にする見地から好ましい。
下地層を成長させるときの容器内圧力は素子機能を有するIII族窒化物系化合物半導体層と実質同一である。発光素子を例にとれば下地層の上にGaNからなるn型コンタクト層が形成されることとなるが、実施例においては下地層とn型コンタクト層とが同一のGaN材料製となるので、下地層形成時の容器内圧力はn型コンタクト層形成時においてもそのまま維持される。この場合、基板温度も同様に維持される。
六角錐台形状の凸部を有する下地層の上にIII族窒化物系化合物半導体層を成長させた場合、III族窒化物系化合物半導体には横方向の成長速度が充分確保されているので(特開平10−312971号公報参照)、III族窒化物系化合物半導体層(好ましくは、下地層上の第1層目の層)に1〜2μmの厚さがあれば、その表面はフラットになる。
【0020】
基板と下地層との間に堆積層を形成することが好ましい。
下地層がIII族窒化物系化合物半導体からなる場合、堆積層も同じくIII族窒化物系化合物半導体で形成するか或いは金属窒化物系化合物半導体で形成することが好ましい。堆積層はIII族窒化物系化合物半導体のなかでもAlxGa1−xN(0≦x≦1)からなるものとすることが好ましく、更に好ましくはAlNである。金属窒化物系化合物半導体のなかでは窒化チタン、窒化ハフニウム、窒化ジルコニウム及び窒化タンタルから選ばれる1種又は2種以上からなるものとすることが好ましい。更に好ましくは窒化チタンである。このとき基板はサファイア製とすることが好ましく、更に好ましくはサファイア基板のa面に堆積層を形成する。
かかる堆積層の形成方法として周知のIII族窒化物系化合物半導体及び金属窒化物系化合物半導体の形成方法(MOCVD法やスパッタ法等)が採用できる。
堆積層の膜厚はとくに限定されるものではないが、数〜数100nm(数10〜数1000Å)とする。
本発明者らの検討によれば、基板と下地層(歪緩和層)との間に堆積層を介在させることにより、下地層表面の形状を制御し易くなる。即ち、所望の構造の六角錐台表面を形成するための条件の幅が広くなり、当該所望の構造の表面の形成が容易になる。これにより、かかる下地層を有する素子を歩留りよく製造できる。
【0021】
堆積層はこれを二層以上設けることができる。
基板の上に接して形成される第1の堆積層の上にIII族窒化物系化合物半導体、好ましくはAlN又はGaNからなる中間層を形成し、この中間層の上に第2の堆積層を形成し(これを繰返すことも可能)、この第2の堆積層の上に下地層を形成する。
第1の堆積層と第2の堆積層とは同一の組成であっても、異なる組成であってもよい。
中間層の厚さも特に限定されるものではない。
複数の堆積層が形成される例として、特開平7−267796号公報及び特開平9−199759号公報を参照されたい。
【0022】
下地層のIII族窒化物系化合物半導体層との間に反射層を形成することもできる。この反射層の形成材料には窒化チタン、窒化ハフニウム、窒化ジルコニウム若しくは窒化タンタルの1種又は2種以上が選ばれる。中でも窒化チタンが好ましい。これらの金属窒化物の成長方法は特に限定されないが、プラズマCVD、熱CVD、光CVD等のCVD(Chemical Vapour Deposition)、スパッタ、リアクティブスパッタ、レーザアブレーション、イオンプレーティング、蒸着、ECR法等の(Physical Vapour Deposition)等の方法を利用できる。
反射層の膜厚は0.1〜5.0μmとすることが好ましい。反射層の膜厚が上限値を超えると、下地層の表面の凹凸が埋められて、反射層の表面がフラットになる惧れがあり、そうすると反射面とIII族窒化物系化合物半導体層とのヘテロ界面における応力緩和が期待できなくなる。他方、下限値を下回る膜厚では光の反射が不充分となる。反射層の更に好ましい膜厚は0.1〜1.0μmであり、更に更に好ましくは0.2〜0.5μmである。
【0023】
以上説明した例では、六角錐台形状の凸部をもつ下地層の上にIII族窒化物系化合物半導体層を成長させ、このIII族窒化物系化合物半導体層をそのまま素子機能層とする場合を想定して説明してきた。なお、このIII族窒化物系化合物半導体層を中間層としてさらにその表面に歪緩和のために同様な凸部を有する第2の下地層を形成することも可能である(さらにこれを繰返すことも可能である)。これにより、素子機能を有するIII族窒化物系化合物半導体層の歪が更に緩和され、その結晶性が向上する。
この中間層は、下地層の表面構造が反映された凸部のある表面を有するものであっても、フラットな表面を有するものであってもよい。
【0024】
【実施例】
次にこの発明の実施例について説明する。
実施例は発光ダイオード10であり、その構成を図1に示す。
各層のスペックは次の通りである。
層 : 組成:ドーパント (膜厚)
透光性電極19
p型クラッド層(兼コンタクト層)18: p−GaN:Mg (0.3μm)
発光層 17 : 多重量子井戸構造
量子井戸層 : In0.15Ga0.85N (3.5nm)
バリア層 : GaN (3.5nm)
量子井戸層とバリア層の繰り返し数:1〜10
n型クラッド層(兼コンタクト層)16: n−GaN:Si (4μm)
下地層 15 : GaN:Mg (1.5μm)
基板 11 : サファイア(a面) (350μm)
【0025】
n型クラッド層16は発光層17側の低電子濃度n-層と下地層15側の高電子濃度n+層とからなる2層構造とすることができる。後者はnコンタクト層と呼ばれる。
発光層17は多重量子構造のものに限定されない。発光素子の構成としてはシングルへテロ型、ダブルへテロ型及びホモ接合型のものなどを用いることができる。発光層として単一量子井戸構造のものを用いることもできる。
発光層17とp型クラッド層18との間にマグネシウム等のアクセプタをドープしたバンドギャップの広いIII族窒化物系化合物半導体層を介在させることができる。これは発光層17中に注入された電子がp型クラッド層18に拡散するのを防止するためである。
p型クラッド層18を発光層17側の低ホール濃度p−層と電極側の高ホール濃度p+層とからなる2層構造とすることができる。後者はpコンタクト層と呼ばれる。
量子井戸層はInN、GaN、InGaN及びInAlNを含むInGaAlNであれば良く、バリア層は量子井戸層よりエネルギーギャップが大きいGaN、InGaN、InAlN、AlGaNを含むInGaAlNであればよい。
【0026】
上記構成の発光ダイオードは次のようにして製造される。
まず、MOCVD装置の反応装置内へ水素ガスを流通させながら当該サファイア基板を1130℃まで昇温して表面をクリーニングする。
その後、その基板温度においてTMG及びNH3並びCP2Mgを導入してMg:GaN製の下地層15をMOCVD法で成長させる。このとき、TMG:47μmol/分、NH3:10SLM、Cp2Mg>3μmol/分、反応器内圧力:大気圧の条件で流し、所定の膜厚を成長させることでGaN下地層15の表面は六角錐台形の凸部を有するものとなる(図2参照)。
六角錐台形状の凸部が形成される理由は、Mgが多量に入ることによってMgが成長の核となってそこを起点に六角形にGaN結晶が成長することによると考えられる。
【0027】
次に、基板温度及び反応容器内圧力を維持したままn型クラッド層16を形成し、それ以降のIII族窒化物系化合物半導体層17、18を常法(MOCVD法)に従い形成する。この成長法においては、アンモニアガスとIII族元素のアルキル化合物ガス、例えばトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)やトリメチルインジウム(TMI)とを適当な温度に加熱された基板上に供給して熱分解反応させ、もって所望の結晶を基板の上に成長させる。
【0028】
次に、Ti/Niをマスクとしてp型クラッド層18、活性層17及びn型クラッド層16の一部を反応性イオンエッチングにより除去し、n電極パッド21を形成すべきn型クラッド層16を表出させる。
【0029】
半導体表面上にフォトレジストを一様に塗布して、フォトリソグラフィにより、p型クラッド層18の上の電極形成部分のフォトレジストを除去して、その部分のp型クラッド層18を露出させる。蒸着装置にて、露出させたp型クラッド層18の上に、Au−Co透光性電極層19を形成する。
次に、同様にしてp電極パッド20、n電極パッド21を蒸着する。
【0030】
図3に他の実施例の発光ダイオード30を示す。図1の例と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施例の発光ダイオード30では、サファイア基板11と下地層15との間にAlN製の堆積層31が介在されている。
各層のスペックは次の通りである。
層 : 組成:ドーパント (膜厚)
透光性電極19
p型クラッド層(兼コンタクト層)18:p−GaN:Mg (0.3μm)
発光層 17: 多重量子井戸構造
量子井戸層 : In0.15Ga0.85N (3.5nm)
バリア層 : GaN (3.5nm)
量子井戸層とバリア層の繰り返し数:1〜10
n型クラッド層(兼コンタクト層)16:n−GaN:Si (4μm)
下地層 35: GaN:Mg (0.2μm)
堆積層31: AlN (15nm)
基板 11: サファイア(a面) (350μm)
【0031】
上記構成の発光ダイオード30は次のようにして製造される。
まず、アルゴンガスのスパッタ装置によりサファイア基板温度300〜500℃で窒素ガス導入のアルミニウムターゲットによる反応性スパッタを行う。このようにしてAlNを堆積させたサファイア基板をMOCVD装置へセットし、水素ガス、アンモニアガスを流通させながら当該基板を1130℃まで昇温する。
下地層35以降の層の形成方法は図1のものと同様である。
【0032】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0033】
以下、次の事項を開示する。
11 表面に六角錐台形の凸部を有する下地層を基板の上に形成し、
該下地層の上に素子機能を有するIII族窒化物系化合物半導体層を形成する、ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
12 前記下地層はマグネシウムがドープされたGaNからなる、ことを特徴とする11に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
13 前記下地層にけるマグネシウムの濃度は1020/cm3以上である、ことを特徴とする12に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
14 前記下地層はn型ドーパントがドープされており、全体としてn型である、ことを特徴とする12又は13に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
15 前記基板はサファイア製若しくはシリコン単結晶製である、ことを特徴とする11〜14のいずれかに記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
16 前記下地層と前記基板との間に堆積層が介在される、ことを特徴とする11〜15のいずれかに記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
17 前記III族窒化物系化合物半導体層は発光素子又は受光素子の機能を有する、ことを特徴とする11〜16のいずれかに記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
18 前記下地層と前記III族窒化物系化合物半導体層とはMOCVD法により実質的に同一の圧力の下で形成される、ことを特徴とする11〜17のいずれかに記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
21 基板と、
該基板の上に形成され、表面が六角錐台形の凸部を有する下地層と、
該下地層の上に形成され、III族窒化物系化合物半導体層と、
を備えてなる積層体。
22 前記下地層はマグネシウムがドープされたGaNからなる、ことを特徴とする21に記載の積層体。
23 前記下地層にけるマグネシウムの濃度は1020/cm3以上である、ことを特徴とする22に記載の積層体。
24 前記下地層はn型ドーパントがドープされており、全体としてn型である、ことを特徴とする22又は23に記載の積層体。
25 前記基板はサファイア製若しくはシリコン単結晶製である、ことを特徴とする21〜24のいずれかに記載の積層体。
26 前記下地層と前記基板との間に堆積層が介在される、ことを特徴とする21〜25のいずれかに記載の積層体。
27 前記III族窒化物系化合物半導体層は発光素子又は受光素子の機能を有する、ことを特徴とする21〜26のいずれかに記載の積層体。
31 表面が六角錐台形の凸部を有する下地層を基板の上に形成し、
該下地層の上にIII族窒化物系化合物半導体層を形成する、ことを特徴とする積層体の製造方法。
32 前記下地層はマグネシウムがドープされたGaNからなる、ことを特徴とする31に記載の積層体の製造方法。
33 前記下地層にけるマグネシウムの濃度は1020/cm3以上である、ことを特徴とする32に記載の積層体の製造方法。
34 前記下地層はn型ドーパントがドープされており、全体としてn型である、ことを特徴とする32又は33に記載の積層体の製造方法。
35 前記基板はサファイア製若しくはシリコン単結晶製である、ことを特徴とする31〜34のいずれかに記載の積層体の製造方法。
36 前記下地層と前記基板との間に堆積層が介在される、ことを特徴とする31〜35のいずれかに記載の積層体の製造方法。
37 前記III族窒化物系化合物半導体層は発光素子又は受光素子の機能を有する、ことを特徴とする31〜36のいずれかに記載の積層体の製造方法。
41 基板と素子機能を有するIII族窒化物系化合物半導体層との間に下地層を有するIII族窒化物系化合物半導体素子であって、前記下地層はその表面に六角錐台形の凸部が形成されるように成長されたものである、ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体素子。
42 前記下地層はマグネシウムがドープされたGaNからなる、ことを特徴とする41に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
43 前記下地層にけるマグネシウムの濃度は1020/cm3以上である、ことを特徴とする42に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
44 前記下地層はn型ドーパントがドープされており、全体としてn型である、ことを特徴とする42又は43に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
45 前記基板はサファイア製若しくはシリコン単結晶製である、ことを特徴とする41〜44のいずれかに記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
46 前記下地層と前記基板との間に堆積層が介在される、ことを特徴とする41〜45のいずれかに記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
47 前記III族窒化物系化合物半導体層は発光素子又は受光素子の機能を有する、ことを特徴とする41〜46のいずれかに記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の実施例の発光ダイオードを示す。
【図2】図2は六角錐台形の下地層を示す部分拡大図である。
【図3】図3はこの発明の他の実施例の発光ダイオードを示す。
【符号の説明】
10、30 発光ダイオード
15、35 下地層
16 n型クラッド層
17 発光層
18 p型クラッド層
25 反射層
Claims (4)
- サファイア、SiC、Si、GaP若しくはGaAsからなる基板の上に、MgをドープしたIII族窒化物系化合物半導体層からなる下地層を成長させることによりその上面に六角錐台形状の凸部を生じさせ、
前記下地層の上に素子機能を有するIII族窒化物系化合物半導体層を形成する、
ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。 - 前記下地層を形成する際に、前記Mgにより形成されるホール濃度を超えるn型ドーパントを加えることにより、該下地層をn型にする、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記基板の上に堆積層を形成し、該堆積層の上に前記下地層を形成する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記基板はサファイアからなり、前記下地層はMgを10 20 /cm 3 以上ドープしたGaNからなりMOCVD法により成長される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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