JP4574647B2 - 分析物モニタリングデバイスの性能の改良 - Google Patents

分析物モニタリングデバイスの性能の改良 Download PDF

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Description

本発明は、経時的に一連の分析物関連シグナルを提供する分析モニタリングシステムの性能を改良するための方法の実行を制御するためのプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサ;上記方法を実行して検知デバイスを制御するためにプログラムされた1つ以上のマイクロプロセッサ;上記方法を実行し、検知デバイスを制御し、サンプリングデバイスを制御するようにプログラムされた、1つ以上のマイクロプロセッサ;本発明の方法を使用するモニタリングシステム;および上記方法自体;ならびに調節可能なパラメータの最適化を必要とする予測モデルにおける使用のためのパラメータの改善された最適化のためのアルゴリズムを包含するが、これらに限定されない。1つの実施形態において、上記方法は、グルコースモニタリングシステムに関し、例えば、予測のより遅い(slower)時定数(1/k2)を使用することによって、分析物レベル(例えば、血中グルコース(BG)レベル)のより正確かつ丈夫な予測を行うための、Gluco Watch(登録商標)(Cygnus,Inc.,Redwood City,CA)バイオグラファーモニタリングデバイスのようなモニタリングシステムに関する。そのようなslower時定数は、例えば、二指数関数的経験モデルから誘導され得、例えば、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイス酵素反応ベースバイオセンサー電流 対 時間、または計算電荷 対 時間データから誘導され得る。本発明の別の特徴において、(1/c2)値(c2(すなわち、c遅い-反応)は、指数関数前計数である)は、経時的に一連の分析物関連シグナルにおいて生じ得るシグナル減衰についての補正を提供する。他の特徴において、本発明は、(i)分析物モニタリングデバイスにおけるスキップした測定を減少するためのデータ点の条件付きスクリーニングのための方法の実行、(ii)内挿した分析物測定値および/または外挿した分析物測定値をスクリーニングするための方法の実行、(iii)分析物関連シグナルの最大積分値を得るために1つでかまたは組み合わせて使用され得る種々の積分方法の実行を制御するためのプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサ;ならびにそのようなマイクロプロセッサを備える分析物モニタリングデバイス;およびその方法自体に関する。さらに、本発明は、予測モデルにおける使用のためのパラメータの改善された最適化のためのアルゴリズム(例えば、調節可能なパラメータの最適化を必要とする、Mixtures of Experts(MOE))に関する。
(発明の背景)
酵素反応ベースのバイオセンサーに関連する測定アプローチおよびデータ処理アプローチは、電流対時間プロフィールの評価に歴史的に基づいている。そのような分析の限界は、(a)化学反応速度および(b)その応答を制御する物理プロセスに影響を与える、実験変数における変化に起因する測定値に対する有害な影響を包含する。
類似する問題が、従来の速度論ベースの方法が均一な溶液中での分析物の酵素的決定に適用された場合に、従来の速度論ベースの方法において遭遇された(Chen,W.ら、Analytica Chemica Acta 388:231〜241,1999)。そのような分析の結果は、一般には、限定された線形性範囲を有し、酵素活性に影響を与える実験変数によって影響を受ける。酵素反応ベースのセンサーに適用されるデータ分析法は、反応速度および質量の輸送速度に影響を与える変数によって、影響を受ける。しかし、均一な溶液において酵素を使用する初速度法の適用(すなわち、速度論ベースの溶液方法)は、反応速度に影響を与える変数によってのみ、影響される傾向がある。
種々の測定アプローチおよびデータ処理アプローチ(以下のアプローチを含むが、これらに限定されない)が、分析物濃度の均一溶液測定における問題を減少または排除するための試みにおいて使用されてきた。Enghら(Anal.Chem.60:545,1988)は、速度ベースのアプローチの代替的適用を使用し、酵素的方法の耐久性の改善を示したが、これらの方法が高基質濃度で感度を改善するためにはほとんど役立たなかったこともまた示した。均一溶液分析物のために、2速度法(Wentzell,P.D.ら、Anal.Chem.58:2851,1986)および偽平衡法(Meiling,G.E.ら、Anal.Chem.50:1611,1978;Harris,R.C.,Clin.Chem.29:2079,1983)は、平衡法を用いて観察されたのと同様の程度まで、実験変数に対する依存性を減少する能力を示した。
2速度法および偽平衡法(均一系方法に基づく)が、これらの方法がバイオセンサーに適合され得、その結果、均一溶液において達成されたのと類似する測定改善が観察されるか否かを決定するために、酵素反応ベースのバイオセンサーに適用されている(Chenら、Analytica Chimica Acta 388:231〜241,1999;Wentzell,P.D.ら、Anal.Chem.58:2851,1986;Meiling,G.E.ら、Anal.Chem.50:1611,1978;Harris,R.C.,Clin.Chem.29:2079,1983)。このような研究において典型的に使用される酵素反応ベースのバイオセンサーは、酵素と、ガラス状炭素電極の表面上に固定された電子媒介物質とからなった(例えば、Chenら、Analytica Chimica Acta 388:231〜241,1999)。酵素反応ベースのバイオリセンサーの性能特徴のいくらかの改善が観察されたが、両方の方法は、酵素反応ベースのバイオセンサーデータに適用された場合に、限界を有することが示された。
公開された米国特許出願番号US/2002/0026110およびPCT国際特許出願番号WO0188534は、センサーが生成したシグナルのデータ処理のための推定速度論(PK)方法を使用して、バイオセンサーの性能および信頼性を改善するための方法を記載する。これらの方法において、シグナルの一時的領域からのデータが、適切なモデルおよび曲線当てはめ法とともに使用されて、この反応の完了時に系について測定されるシグナルが予測される。
電気化学センサーを使用する分析物モニタリングデバイスにおいて、経時的なシグナル減衰が、有意な問題であり得る。シグナル減衰を取り扱う一方法は、シグナル減衰の補償を可能にするシグナル処理を提供するアルゴリズムを使用する。そのような一シグナル処理アルゴリズムは、Mixtures of Experts(MOE)と呼ばれる(例えば、Kurnik,R.T.,Sensors and Actuators B 60,1(1999);および米国特許第6,180,416号および同第6,326,160号を参照のこと)。現在のMOE法でさえ、シグナル減衰についてある程度まで補償するに過ぎない。典型的には、標準的MOE補償は、例えば、長期間モニタリングの終わりに対しては不十分になる。
本発明は、経時的に一連の分析物関連シグナルを供給する分析物モニタリングシステムの性能を改善する方法を提供する。本発明の特徴は、まず、曲線およびモデルをその一時的データに適合するために、同様の原理および処理技術を使用するが、本発明は、関連情報を抽出するために、異なる様式で適合した変数を使用する。予測速度論(PK)を使用する以前の方法とは異なり、本発明の一特徴は、指数関数の時間定数および指数前項からの情報を使用して、シグナル減衰補正を提供すること、分析物値を予測することである。分析物モニタリングシステムの性能を改善するさらに方法もまた、開示される。
(発明の要旨)
本発明は、本明細書中に記載される方法を制御するためのプログラミングを含む、1つ以上のマイクロプロセッサに関する;本発明は、これらの1つ以上のマイクロプロセッサを含む分析物モニタリングシステムに関する;そして本発明は、方法それ自体に関し、これらの方法としては、シグナル減衰について補償するための方法、遅れ時間を減少するための方法、有用性を拡張するための方法、精度を改善するための方法、ノイズを減少するための方法、スキップしたシグナルを減少するための方法、および効率を改善するための方法が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明は、調節可能なパラメータの最適化を必要とする予測モデルにおける使用のための、パラメータの改善された最適化のためのアルゴリズムに関する。
第1の特徴において、本発明は、本明細書下記の「1/k2効果」を使用する、マイクロプロセッサ、分析物モニタリングシステム、および方法に関する。この第1の特徴において、本発明は、1つ以上のマイクロプロセッサを含み、このマイクロプロセッサは、本明細書中に記載される1/k2法の工程を制御するためのプログラミングを含む。例えば、この1つ以上のマイクロプロセッサは、経時的に測定された電荷シグナルを得ることを制御するようにプログラムされており、被験体から抽出したグルコースの量または濃度に詳細に関連する測定した電荷シグナル応答曲線を含む。この測定電荷シグナル応答曲線は、速度論領域を含む。この1つ以上のマイクロプロセッサは、(i)Eq.(3A)にて示される数学モデル
Q(t)=S0+c1/k1(1−e-k1t)+c2/k2(1−e-k2t) (Eq.3A)
を使用し、ここで、「Q」は、電荷を示し、「t」は、経過時間を示し、「S0」は、適合パラメータであり、「c1」および「c2」は、それぞれ第1反応および第2反応についてt=0における電流分布に対応する指数前項であり、「k1」および「k2」は、それぞれ第1反応および第2反応についての速度定数である。この1つ以上のマイクロプロセッサは、(ii)誤差最小化法を、予測応答曲線を測定電荷シグナル応答曲線の速度論領域(または速度論領域の少なくとも一部)に適合するためのモデルおよび誤差最小化法を使用して、パラメータS0、c1、c2、k1およびk2の値を反復して推定する。この誤差最小化法は、予測電荷シグナル応答曲線の速度論領域と、測定電荷シグナル応答曲線の速度論領域との間の差異に基づいて計算された誤差を提供する。この推定は、予測電荷シグナル応答曲線と測定電荷シグナル応答曲線との間の計算誤差が最小になるか、またはさらなる統計学的に有意な変化がその計算誤差において観察されなくなるまで、1つ以上のマイクロプロセッサによって反復して実施され、その時、そのパラメータの反復推定が停止する。この反復推定および誤差最小化は、これらのパラメータの推定値をもたらす。その後、この1つ以上のマイクロプロセッサは、1/k2を、グルコースの量または濃度と相関付けて、被験体におけるグルコースの量または濃度の測定を提供する。さらに、この1/k2パラメータは、他の計算のための入力パラメータ(例えば、推定アルゴリズム(例えば、Mixtures of Experts(MOE)))として使用されて、グルコースの量または濃度の測定を提供し得る。
この1つ以上のマイクロプロセッサは、作動的組合せである作動関連デバイス(例えば、経時的に測定された電荷シグナルを得るための検知デバイス)を制御するようにさらにプログラムされ得る。さらに、この1つ以上のマイクロプロセッサは、測定サイクルを制御するようにプログラムされ得、これは、(a)被験体からサンプルを抽出するためのサンプリングデバイスを操作する工程(このサンプルは、グルコースを含む)、および(b)経時的に測定された電荷シグナルを得るための検知デバイスを操作する工程を包含する。
この1つ以上のマイクロプロセッサは、一連の測定された電荷シグナル応答曲線をもたらす一連の測定サイクルを実施するためのさらにプログラムされ得る。一連の測定サイクルが得られる場合、一連の測定における各測定電荷シグナル応答曲線についての各予測応答曲線の推定の後、グルコースの量または濃度が、各推定パラメータ1/k2に基づいて1つ以上のマイクロプロセッサによって計算される。この計算は、例えば、較正値を適用することを包含する方法であり得る。
この測定電荷シグナル応答曲線が、測定電流シグナル応答曲線の積分により得られた場合、この1つ以上のマイクロプロセッサは、この積分を制御するようにさらにプログラムされ得る。さらに、この積分が実施される前に、この1つ以上のマイクロプロセッサは、測定電流シグナル応答曲線のバックグラウンド差引き補正を制御するようにさらにプログラムされ得る。
本発明はまた、上記の1つ以上のマイクロプロセッサを備えるモニタリングシステムを包含し、このモニタリングシステムは、測定電荷シグナル応答曲線を得るために使用される検知デバイスをさらに含み、この1つ以上のマイクロプロセッサは、この検知デバイスの操作を制御するようにさらにプログラムされている。さらに、このモニタリングシステムはまた、サンプリングデバイスを含み得、この1つ以上のマイクロプロセッサは、このサンプリングデバイスおよび検知デバイスの操作を制御するようにさらにプログラムされ得る。
この1つ以上のマイクロプロセッサはまた、これは、被験体由来のグルコースを含むサンプルを、例えば、1つ以上の収集レザバ中へと、このレザバ中のグルコース濃度を得るためにサンプリングデバイスを使用して抽出するのを制御するようにプログラムされ得、この1つ以上のマイクロプロセッサは、このサンプリングデバイスの操作を制御するようにプログラムされる。この収集レザバは、被験体の皮膚または粘膜表面と接触しており得、このグルコースは、例えば、その皮膚または粘膜表面へと適用されるイオン泳動電流、超音波泳動(sonophoresis)またはレーザーデバイスを使用して、皮膚または粘膜表面を通って抽出され得る。この収集レザバは、抽出されたグルコースと反応して電気化学的に検出可能なシグナルを生成する、酵素を含み得る。1つの実施形態において、この酵素は、グルコースオキシダーゼを含む。グルコースオキシダーゼが使用される場合、この電気化学的に検出可能なシグナルはペルオキシドであり、このシグナルは、バイオセンサー電極の反応性表面にて検出され得、この検出は、検知デバイスを使用して達成され得る。この1つ以上のマイクロプロセッサは、検知デバイスの操作を制御するようにさらにプログラムされ得る。この実施形態において、この測定電荷シグナル応答曲線の速度論領域は、例えば、0秒〜約180秒の測定時間に対応し得る。
この特徴において、本発明は、被験体において存在するグルコースの量または濃度の頻繁な測定のためのモニタリングシステムを備える。このモニタリングシステムは、作動的な組合せで、検知デバイスと1つ以上のマイクロプロセッサとを含み得、この1つ以上のマイクロプロセッサは、1/k2法(例えば、上記のような)を制御するためのプログラミングを含む。この検知デバイスは、グルコース含有サンプルと作動的に接触している。この検知デバイスは、経時的に測定された電荷シグナル(測定された電荷シグナル応答曲線を含む)をグルコースから得、ここでこの測定電荷シグナルは、グルコースの量または濃度と特異的に関連する。この測定電荷シグナル応答曲線は、速度論領域を含む。この1つ以上のマイクロプロセッサは、検知デバイスと作動的に連絡している。この1つ以上のマイクロプロセッサは、一連の測定電荷シグナルを、選択された時間間隔で測定された電荷シグナル応答曲線の形態で得るために、検知デバイスを制御可能である。さらに、この1つ以上のマイクロプロセッサは、この一連の各測定電荷シグナルについての1/k2値の推定を制御するようにプログラムされる。
さらに、この分析物モニタリングデバイスの1つ以上のマイクロプロセッサは、被験体からグルコース含有サンプルを頻繁に抽出するためのサンプリングデバイスの操作を制御するようにプログラムされ得、このサンプリングデバイスは、被験体の皮膚または粘膜表面を通ってグルコースを抽出するように適合されており、このサンプリングデバイスは、他の構成要素と作動的に組み合わされている。このモニタリングシステムが検知デバイスを含む場合、このサンプリングデバイスは、サンプルが収集される1つ以上の収集レザバを含み得る。例示的サンプリングデバイスとしては、イオン泳動(iontophoretic)デバイス、超音波泳動(sonophoretic)デバイス、またはレーザーデバイスが挙げられ、被験体からグルコース含有サンプルを1つ以上の収集レザバへと抽出する。1つ以上の収集レザバは、抽出されたグルコースと反応して電気化学的に検出可能なシグナルを生成する酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)を含み得る。グルコースオキシダーゼが使用される場合、電気化学的に検出可能なシグナルはペルオキシドであり、そのシグナルは、バイオセンサー電極の反応表面で検出され得、その検出は、検知デバイスを使用して達成され得る。この実施形態において、測定電荷シグナル応答曲線の速度論領域は、0秒〜約180秒の測定時間に対応し得る。
本発明のこの特徴はまた、被験体においてグルコースの量または濃度を提供する方法に関する。この方法において、経時的に測定される電荷シグナルが得られ、それは、被験体から抽出されるグルコースの量または濃度と特異的に関連する測定電荷シグナル応答曲線を含む。この測定電荷シグナル応答曲線は、速度論領域を含む。この方法は、(i)数学的モデル、例えば、Eq.(3A)
Q(t)=S0+c1/k1(1−e-k1t)+c2/k2(1−e-k2t) (Eq.3A)
に提示されるモデルを使用し、ここで、「Q」は、電荷を示し、「t」は、経過時間を示し、「S0」は、適合パラメータであり、「c1」および「c2」は、それぞれ第1反応および第2反応についてt=0における電流分布に対応する指数前項であり、「k1」および「k2」は、それぞれ第1反応および第2反応についての速度定数である。そして、この方法は、予測応答曲線を測定電荷シグナル応答曲線の速度論領域に適合するためのモデルおよび誤差最小化法を使用して、パラメータc1、c2、k1およびk2の値を反復して推定するための誤差最小化法を使用する。この誤差最小化法は、予測電荷シグナル応答曲線の速度論領域と、測定電荷シグナル応答曲線の速度論領域との間の差異に基づいて計算された誤差を提供する。また、この推定は、予測電荷シグナル応答曲線と測定電荷シグナル応答曲線との間の計算誤差が最小になるか、またはさらなる統計学的に有意な変化がその計算誤差において観察されなくなるまで、反復して実施され、その時、そのパラメータの反復推定が停止する。この反復推定および誤差最小化は、これらのパラメータの推定値をもたらす。その後、この方法は、1/k2を、グルコースの量または濃度と相関付けて、被験体におけるグルコースの量または濃度の測定を提供する。
1つの実施形態において、1/k2は、例えば、以下の式:
[Glu]t=[Glu]cal/(1/k2cal × (1/k2t
を使用して、較正値を適用する工程を包含する方法によってグルコースの量または濃度と相関付けられて、グルコースの量または濃度の測定値を提供する。ここで、Glutは、時間tにおけるグルコース濃度であり、Glucalは、較正時間における推定1/k2と対応するその較正時間におけるグルコース濃度であり、(1/k2tは、時間tにおける推定1/k2である。
第2の特徴において、本発明は、シグナル減衰についての補正において、例えば、被験体におけるグルコースの量または濃度の検出のために使用される電気化学的センサーのシグナル減衰について補正する際に、1/c2値を使用することに関する。本発明のこの特徴は、電気化学的センサーのシグナル減衰について補正する方法を実行するための1つ以上のマイクロプロセッサを包含する。この1つ以上のマイクロプロセッサは、電気化学的センサーを使用して経時的に測定電荷シグナルを得る工程を制御するためのプログラミングを含み、この測定電荷シグナルは、被験体から抽出したグルコースの量または濃度に特異的に関連する測定電荷シグナル応答曲線を含む。この測定電荷シグナル応答曲線は、速度論領域を含む。この1つ以上のマイクロプロセッサは、(i)Eq.(3A)
Q(t)=S0+c1/k1(1−e-k1t)+c2/k2(1−e-k2t) (Eq.3A)
に提示される数学的モデルと、(ii)誤差最小化法とを使用するようにプログラムされ、予測応答曲線を測定電荷シグナル応答曲線の速度論領域(または速度論領域の少なくとも一部)に適合するためのモデルおよび誤差最小化法を使用して、パラメータS0、c1、c2、k1およびk2の値を反復して推定する。ここで、「Q」は、電荷を示し、「t」は、経過時間を示し、「S0」は、適合パラメータであり、「c1」および「c2」は、それぞれ第1反応および第2反応についてt=0における電流分布に対応する指数前項であり、「k1」および「k2」は、それぞれ第1反応および第2反応についての速度定数である。この誤差最小化法は、予測電荷シグナル応答曲線の速度論領域と、測定電荷シグナル応答曲線の速度論領域との間の差異に基づいて計算された誤差を提供する。また、この推定は、予測電荷シグナル応答曲線と測定電荷シグナル応答曲線との間の計算誤差が最小になるか、またはさらなる統計学的に有意な変化がその計算誤差において観察されなくなるまで、反復して実施され、その時、そのパラメータの反復推定が停止する。この反復推定および誤差最小化は、これらのパラメータの推定値をもたらす。この1つ以上のマイクロプロセッサは、例えば、測定電荷シグナルに1/c2から推定した利得率を乗算することによって、電気化学的センサーのシグナル減衰について補正するためのプログラミングを含む。
この1つ以上のマイクロプロセッサは、測定サイクルを制御するようにさらにプログラムされ得る。この測定サイクルは、経時的に測定電荷シグナルを得るための検知デバイスを操作する工程を包含し得る。あるいは、この測定サイクルは、(a)被験体からサンプル(このサンプルはグルコースを含む)を抽出するためのサンプリングデバイスを操作する工程、および(b)経時的に測定電荷シグナルを得るための検知デバイスを操作する工程を包含し得る。この1つ以上のマイクロプロセッサは、一連の測定電荷シグナル応答曲線をもたらす一連の測定サイクルを実施するためにプログラムされ得る。一連の測定が使用される場合、一連の測定における各測定電荷シグナル応答曲線についての各推定応答曲線の推定の後、この1つ以上のマイクロプロセッサは、各推定パラメータ1/c2に関する利得率を決定し、各利得率に、その利得率が推定された予測応答曲線に対応する測定電荷シグナルを乗算するように、プログラムされ得る。そのような一連の測定は、例えば、時間t、t−1、t−2などにおける、測定電荷シグナル応答曲線を含み得る。この1つ以上のマイクロプロセッサは、その一連の測定から得た2つ以上の利得率を正規化および/または平滑化して、正規化および/または平滑化した利得率を得、時間tにおける測定電荷シグナルにその正規化および/または平滑化した利得率を乗算することにより電気化学的センサーのシグナル減衰について補正するように、プログラムされ得る。例えば、その一連の測定は、少なくとも5つの測定電荷シグナル応答曲線を含み、その正規化および/または平滑化した利得率は、(1/c2t、(1/c2t-1、(1/c2t-2、(1/c2t-3、および(1/c2t-4、および(1/c2t-5に基づいて計算され得る。
この測定電荷シグナル応答曲線が、測定電荷シグナル応答曲線の積分により得られた場合、この1つ以上のマイクロプロセッサは、この積分を制御するようにプログラムされ得る。さらに、この積分が実施される前に、この1つ以上のマイクロプロセッサは、測定電流シグナル応答曲線のバックグラウンド差引き補正を制御するようにプログラムされ得る。
1つの実施形態において、経時的に測定電荷シグナルを得ることは、1つ以上のレザバ中のグルコースの濃度を得るためにサンプリングデバイスを使用して、被験体からグルコース含有サンプルを1つ以上の収集レザバ中へと抽出する工程を包含する。この1つ以上のマイクロプロセッサは、このサンプリングデバイスの操作を制御するようにプログラムされ得る。この収集レザバは、被験体の皮膚または粘膜表面と接触しており得、このグルコースは、例えば、皮膚または粘膜表面に適用されたイオン泳動電流、超音波泳動、またはレーザーデバイスを使用して、その皮膚または粘膜表面を通って抽出され得る。この収集レザバのうちの1つ以上は、抽出したグルコースと反応して電気化学的に検出可能なシグナルを生成する酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)を含み得る。この酵素がグルコースオキシダーゼである場合、この電気化学的に検出可能なシグナルはペルオキシドであり、このシグナルは、電気化学的センサーの反応性表面にて検出され得、この検出は、検知デバイスを使用して達成され得、この1つ以上のマイクロプロセッサは、この検知デバイスの操作を制御するようにプログラムされ得る。この実施形態において、測定電荷シグナル応答の速度論領域は、0〜約180秒の測定時間に対応し得る。
上記1つ以上のマイクロプロセッサは、モニタリングシステムにおいて使用され得る。このようなモニタリングシステムは、上記1つ以上のマイクロプロセッサを含み得、作動的に組み合わせて、測定電荷シグナル応答曲線を得るために使用される検知デバイスをさらに含み得、この1つ以上のマイクロプロセッサは、この検知デバイスの操作を制御するようにさらにプログラムされる。あるいは、このモニタリングシステムは、1つ以上のマイクロプロセッサ、サンプリングデバイス、および測定電荷シグナル応答曲線を得るために使用される検知デバイスを、すべて作動的に組み合わせて、含み得、この1つ以上のマイクロプロセッサは、サンプリングデバイスおよび検知デバイスの操作を制御するようにさらにプログラムされる。
本発明のこの特徴の1つの実施形態において、本発明のモニタリングシステムは、作動可能に組み合わせて、検知デバイスおよび1つ以上のマイクロプロセッサを含み得る。この検知デバイスは、グルコース含有サンプルと作動的に接触される。この検知デバイスは、電気化学的センサーを使用して、経時的に測定電荷シグナルを得る。測定電荷シグナルは、抽出したグルコースからの測定電荷シグナル応答曲線を含み、この測定電荷シグナルは、グルコースの量または濃度と特異的に関連する。この測定電荷シグナル応答曲線は、速度論領域を含む。この1つ以上のマイクロプロセッサは、検知デバイスと作動的に連絡する。この1つ以上のマイクロプロセッサは、一連の測定電荷シグナルを、選択した時間間隔で測定電荷シグナル応答曲線の形態で得るために、検知デバイスを制御可能であり、その一連の各測定電荷シグナルについて1/c2値を推定可能である。このモニタリングシステムはまた、被験体からグルコース含有サンプルを頻繁に抽出するためのサンプリングデバイスを、作動的に組み合わせて含み得、例えば、このサンプリングデバイスは、被験体の皮膚または粘膜表面を通ってグルコースを抽出するように適合される。この1つ以上のマイクロプロセッサは、サンプリングデバイスの操作を制御するように、さらにプログラムされる。例えば、この1つ以上のマイクロプロセッサは、測定サイクルを制御するようにプログラムされ得、この測定サイクルは、(a)被験体からサンプルを抽出するためのサンプリングデバイスを操作する工程、および(b)経時的に測定電荷シグナルを得るための検知デバイスを操作する工程を包含する。
このモニタリングシステムにおいて、このサンプリングデバイスは、そのサンプルが収集される1つ以上の収集レザバを含み得る。このサンプリングデバイスは、被験体からグルコース含有サンプルを少なくとも1つの収集レザバ中へと抽出するための、イオン泳動(iontophoretic)デバイスを含み得る。1つ以上の収集レザバは、抽出したグルコースと反応して電気化学的に検出可能なシグナルを生成する、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)を含み得る。酵素がグルコースオキシダーゼである場合、この電気化学的に検出可能なシグナルはペルオキシドであり、このシグナルは、電気化学センサーの反応性表面にて検出され得、この検出は、検知デバイスを使用して達成される。
本発明のこの特徴の方法は、電気化学的センサーを使用して経時的に測定電荷シグナルを得る工程を包含する。この測定電荷シグナルは、被験体から抽出したグルコースの量または濃度と特異的に関連する測定電荷シグナル応答曲線を含む。この測定電荷シグナル応答曲線は、速度論領域を含む。この方法は、(i)Eq.(3A)
Q(t)=S0+c1/k1(1−e-k1t)+c2/k2(1−e-k2t) (Eq.3A)
に提示される数学的モデルと、(ii)誤差最小化法とを使用して、予測応答曲線を測定電荷シグナル応答曲線の速度論領域に適合するためのモデルおよび誤差最小化法を使用して、パラメータS0、c1、c2、k1およびk2の値を反復して推定する。ここで、「Q」は、電荷を示し、「t」は、経過時間を示し、「S0」は、適合パラメータであり、「c1」および「c2」は、それぞれ第1反応および第2反応についてt=0における電流分布に対応する指数前項であり、「k1」および「k2」は、それぞれ第1反応および第2反応についての速度定数である。この誤差最小化法は、予測電荷シグナル応答曲線の速度論領域と、測定電荷シグナル応答曲線の速度論領域との間の差異に基づいて計算された誤差を提供する。また、この推定は、予測電荷シグナル応答曲線と測定電荷シグナル応答曲線との間の計算誤差が最小になるか、またはさらなる統計学的に有意な変化がその計算誤差において観察されなくなるまで、反復して実施され、その時、そのパラメータの反復推定が停止する。この反復推定および誤差最小化は、これらのパラメータの推定値をもたらす。この電気化学的センサーのシグナル減衰についての補正は、測定電荷シグナルに1/c2から推定した利得率を乗算することによって達成される。
第3の特徴において、本発明は、分析物の量または濃度の決定において1/k2および/または1/c2を使用することによって、分析物モニタリングデバイス(例えば、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイス)の有効モニタリング時間を増加するための方法を提供する。例えば、単一のGlucoWatch(登録商標)(Cygnus,Inc.,Redwood City,CA)AutoSensorを用いるGlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスの有効モニタリング時間は、24時間までおよびそれ以上へと伸長され得る。さらに、これらのパラメータ(1/k2および/または1/c2)は、分析物の量または濃度の推定の精度を上げるために、他のアルゴリズム(例えば、MOE)への入力パラメータとして使用され得る。
第4の特徴では、本発明は、皮膚伝導性測定値(すなわち、汗読取値)の定量に関する。1実施形態では、本発明のこの特徴は、被験体中のグルコースの量または濃度に関連した測定値、このグルコース測定値と調子を合わせて関連した皮膚伝導性読取値、およびこのグルコース測定値と関連した1以上のさらなるデータ保全性スクリーンを提供することを制御するためのプログラミングを備える、1以上のマイクロプロセッサを含む。この測定値は、以下のいずれかの場合に許容される:(i)この皮膚伝導性読取値および1以上のさらなるデータ保全性スクリーンが、所定の許容可能な範囲内もしくは所定の閾値内に入る場合、または(ii)この皮膚伝導性読取値が、所定の許容可能な範囲の外側に入るかもしくは所定の閾値を越え、1以上のさらなるデータ保全性スクリーンが、所定の許容可能な範囲内もしくは所定の閾値内に入る場合。この測定値は、皮膚伝導性読取値が所定の許容可能な範囲の外側に入るかまたは所定の閾値を越え、1以上のさらなるデータ保全性スクリーンのうちの1以上が所定の許容可能な範囲の外側に入るかもしくは所定の閾値を越える場合、スキップされる(すなわち、選別除去される)。さらなるデータ保全性スクリーンとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ピークセンサー電流および/またはバックグラウンド電流。別の実施形態では、本発明のこの特徴は、分析物モニタリングシステムを含む。この分析物モニタリングシステムは典型的に、ちょうど記載した1以上のマイクロプロセッサ、およびグルコースの量または濃度に関連した測定値を提供するために用いられる検知デバイス、および皮膚伝導性読取値を提供するために用いられる皮膚伝導性測定デバイスを備え、ここで、これらの1以上のマイクロプロセッサは、検知デバイスおよび皮膚伝導性測定デバイスの動作を制御するために、さらにプログラミングされている。このモニタリングデバイスは、サンプリングデバイスをさらに備え得、ここで、この1以上のマイクロプロセッサは、グルコースを含むサンプルを提供するサンプリングデバイスの動作を制御するようにさらにプログラミングされている。1実施形態では、本発明は、皮膚伝導性測定値を定量するための方法に関する。
第5の特徴では、本発明は、典型的に、単調性傾向を有するデータ点を含む、分析物関連シグナルを定量することに関し、ここで、1以上のデータ点は、非単調性である。1実施形態では、本発明のこの特徴は、被験体中のグルコースの量または濃度に関連した(データ点を含む)測定シグナルを提供することを制御するためのプログラミングを備える、1以上のマイクロプロセッサを含み、ここで、これらのデータ点は典型的に、単調性傾向を有する。このデータ点は、1以上の非単調性事象に関して評価され、ここで(i)このデータ点が許容可能な単調性傾向を有する場合、この測定シグナルは、さらなる処理のために受け入れられるか、または(ii)このデータ点が1以上の非単調性事象を含むならば、総測定シグナルに対する1以上の非単調性事象の寄与パーセントがさらに評価される。(ii)の状況では、1以上の非単調性事象の寄与パーセントが、総測定シグナルに対する所定の閾値未満であるか所定の範囲内に入るならば、この測定シグナルは、さらなる処理が許容される。しかし、1以上の非単調性事象の寄与パーセントが、総測定シグナルに対する所定の閾値よりも大きいかまたは所定の範囲の外に入るならば、この測定シグナルは、さらなる処理が許容されず、この測定シグナルはスキップされる。例示的な分析物関連測定シグナルとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:電流測定または電荷測定。別の実施形態では、本発明のこの特徴は、分析物モニタリングシステムを含む。この分析物モニタリングシステムは典型的に、ちょうど記載した1以上のマイクロプロセッサ、および測定シグナル(例えば、グルコースの量または濃度に関連する)を提供するために用いられる検知デバイスを備え、ここで、1以上のマイクロプロセッサは、この検知デバイスの動作を制御するためにさらにプログラミングされている。このモニタリングデバイスは、サンプリングデバイスをさらに備え得、ここで、この1以上のマイクロプロセッサは、分析物(例えば、グルコース)を含むサンプルを提供するサンプリングデバイスの動作を制御するためにさらにプログラミングされている。1実施形態では、本発明は、(典型的に、単調性傾向を有するデータ点を含む)分析物関連シグナルを定量する方法に関し、ここで、1以上のデータ点は、非単調性である。
第6の特徴では、本発明は、所定の測定サイクル由来の使用に適さない(例えば、誤差に関連した)分析物関連シグナルが内挿または外挿によって置換されるべきであるか否かを定量することに関する。1実施形態では、本発明のこの特徴は、以下の基準の1以上を適用することにより、所定の測定サイクル由来の使用に適さない分析物に関連した電気化学的電流シグナルが、内挿または外挿によって置換されるべきか否かを定量することを制御するためのプログラミングを備える、1以上のマイクロプロセッサを含む:(i)この測定サイクルに関するセンサー整合チェック値が、所定の許容可能な範囲内または所定の閾値内に入るならば、対応する分析物関連シグナルが置換され得る;(ii)この測定サイクルに関するバックグラウンド電流における変化が所定の許容可能な範囲内または所定の閾値内に入るならば、この対応する分析物関連シグナルが置換され得る;(iii)温度における変化が所定の許容可能な範囲内または所定の閾値内に入るならば、この対応する分析物関連シグナルが置換され得る;および(iv)内挿/外挿の計算において用いられるセンサー間の任意の比は、このような比が基づくシグナルに対して、所定の期間内に算出されなければならず、その代わり、この使用に適さないシグナルが一連の分析物関連シグナルにおいて置換されるべきであるならば、この使用に適さない分析物関連シグナルは、以下のいずれかによって評価される:(A)この使用に適さない分析物関連シグナルの前の1以上の分析物関連シグナルおよびこの使用に適さない分析物関連シグナルの後の1以上の分析物関連シグナルが入手可能であるならば、内挿を用いて、使用に適さない介在の分析物関連シグナルを評価するか、または(B)使用に適さない分析物関連シグナルの前の2以上の分析物関連シグナルが入手可能であるならば、外挿を用いて、使用に適さない、その後の分析物関連シグナルを評価する。この一連の分析物関連シグナルは典型的に、経時的に分析物モニタリングデバイスから入手され、各分析物関連シグナルは、この分析物モニタリングデバイスを用いてモニタリングされる被験体中の分析物(例えば、グルコース)の量または濃度に関連する。これらの1以上のマイクロプロセッサは、分析物関連シグナルを提供する検知デバイスの動作を制御するためにさらにプログラミングされ得る。さらに、これらの1以上のマイクロプロセッサは、分析物を含むサンプルをこの検知デバイスに提供するサンプリングデバイスの動作を制御するためにさらにプログラミングされ得る。別の実施形態では、本発明のこの特徴は、分析物モニタリングシステムを備える。この分析物モニタリングシステムは典型的に、ちょうど記載した1以上のマイクロプロセッサ、および分析物関連シグナル(例えば、グルコースの量または濃度に関連する)を提供するために用いられる検知デバイスを備え、ここで、この1以上のマイクロプロセッサは、この検知デバイスの動作を制御するためにさらにプログラミングされている。このモニタリングデバイスは、サンプリングデバイスをさらに含み得、ここで、この1以上のマイクロプロセッサは、分析物(例えば、グルコース)を含むサンプルを提供するサンプリングデバイスの動作を制御するためにさらにプログラミングされている。1実施形態では、本発明は、所定の測定サイクル由来の使用に適さない(例えば、誤差に関連した)分析物関連シグナルが内挿または外挿によって置換されるべきか否かを定量するための方法に関する。
第7の特徴では、本発明は、分析物関連電流シグナルについての積分方法を選択することに関する。1実施形態では、本発明のこの特徴は、分析物関連電流シグナルについての電流積分方法を選択することを制御するためのプログラミングを備える1以上のマイクロプロセッサを含む、ここで、この分析物関連電流シグナルは、データ点を含む。1実施形態では、2つのセンサーシステムが、分析物関連電流シグナルを検出するために用いられ、これらの2つのセンサーの各々は、電気化学的センサーである。各センサーは、交互に、カソードおよびアノードとして作用する。データ点を含む電流シグナルは、アノードおよびカソードから測定半サイクルにおいて検出され、この分析物関連電流シグナルは、このカソードから入手される。バックグラウンドベースラインは、カソードとして作用する場合、例えば、このセンサーがアノードとして作用した場合に以前の半サイクルにおいて同じセンサーに関して検出された電流シグナルの最後の2つのデータ点から、所定のセンサーに関して決定される。このバックグラウンドベースラインは、この分析物関連電流シグナルから差し引かれ、分析物関連電流シグナルの過剰差し引きが生じた場合、以下の積分方法のうちの1つを用いて、分析物関連電流シグナルに基づいて分析物関連電荷シグナルが決定される:(i)最大積分値に達し、この最大積分値をこの分析物関連電荷シグナルとして用いる場合、積分を停止すること;または(ii)このカソードにおけるこの分析物関連電流シグナルから、最後の2つのデータ点に基づいてバックグラウンドベースラインを再計算し、この再計算されたバックグラウンドベースラインをこの分析物関連電流シグナルから差し引きし、このバックグラウンドを差し引きした分析物関連電流シグナルを積分して、この分析物関連電荷シグナルを得ること。別の実施形態では、本発明のこの特徴は、分析物モニタリングシステムを含む。この分析物モニタリングシステムは典型的に、ちょうど記載した1以上のマイクロプロセッサ、および分析物関連シグナル(例えば、グルコースの量または濃度に関連する)を提供するために用いられる検知デバイスを備え、ここで、この1以上のマイクロプロセッサは、この検知デバイスの動作を制御するためにさらにプログラミングされている。この検知デバイスは、例えば、2つのセンサーシステムを備え得る。このモニタリングデバイスは、サンプリングデバイスをさらに備え得、ここで、この1以上のマイクロプロセッサは、分析物(例えば、グルコース)を含むサンプルを提供するサンプリングデバイスの動作を制御するためにさらにプログラミングされている。1実施形態では、本発明は、分析物に関連した電流シグナルについての積分方法を選択するための方法に関する。
第8の特徴では、本発明は、調整可能パラメータの最適化を必要とするモデルにおいて使用するためのパラメータの最適化に関する。1実施形態では、本発明のこの特徴は、1以上のアルゴリズムを実行して、調整可能パラメータの最適化を必要とするモデルにおいて使用するためのパラメータを最適化する、1以上のコンピュータプログラムを備える。この1以上のアルゴリズムは、データセットをトレーニングセットおよび確認セットへと分けることを含む。次いで、このモデルは、トレーニングされて、このトレーニングセットを用いて調整可能パラメータが決定される。このトレーニングは、このモデルのパラメータが完全に収束され、これらのパラメータがこの確認セットを用いて確認される前に停止され、ここで、この確認されたパラメータは、このモデルにおける使用のために最適化されたパラメータである。この確認工程は、このモデルの予測がこの確認セットの独立したデータに対して正確であることを確実にする。調整可能パラメータの最適化を必要とする1つの例示的なモデルは、MOEモデルである。本発明はまた、このような1以上のアルゴリズムを含むソフトウェアまたはファームウェアを備える。
本発明はまた、本発明のアルゴリズムを含む、このようなソフトウェアの使用のためのハードウェア(例えば、コンピュータシステム)を備える。1実施形態では、本発明は、調整可能パラメータの最適化を必要とするモデルにおいて使用するための最適化パラメータについての方法に関する。
第9の特徴では、本発明は、分析物モニタリングデバイスによって使用される予測モデルにおいて使用するためのパラメータの最適化に関し、ここで、この予測モデルは、調整可能パラメータの最適化を必要とする。1実施形態では、本発明のこの特徴は、1以上のアルゴリズムを実行する1以上のコンピュータプログラムを備え、ここで、この1以上のアルゴリズムは、この分析物モニタリングデバイスによって用いられる予測モデルについて種々のレベルの精度に対応する2以上の領域を定める複数分析物読取値に基づくパラメータの最適化を含む。領域のうちの1以上は、1以上の他の領域(例えば、分析物標的領域)と比較して、臨床結果(例えば、重篤な障害または死亡)に対して関連した、より高いリスクを有する。このパラメータの最適化は、この予測モデルに関連した誤差が、1以上の他の領域において、より高いリスクと関連し、許容可能な領域において最小にされるまで実施される。本発明のこの特徴の1実施形態では、この最適化は、例えば、以下を表す一対の点のx−y平面を構築することにより、対になった点の分布の最適化を含む:(i)x座標として独立して測定した標的分析物の量または濃度、および(ii)対になったy座標としての、標的分析物の量または濃度の対応するモデル予測。このモデルは、典型的に、分析物関連値の評価または予測のための分析物モニタリングデバイスによって用いられる。このx−y平面は、分析物モニタリングデバイスのモデル予測に関する種々の精度レベルに対応する2以上の領域へと分けられる。特定の領域に関する各対の点(pp)に数値を割り当てる、個々の数学的リスク関数(F)が構築される。この個々のリスク関数をまとめて総リスク関数が提供され、総リスク関数は、このモデルに関して最適化されたパラメータをもたらすように最小化される。1つのこのような例示的なモデルは、MOEモデルである。例示的な分析物は、グルコースである。例示的な分析物がグルコースである場合、この予測モデルに関する種々の精度レベルに対応する2以上の領域は、低血糖症領域、グルコース標的範囲、および高血糖領域を含み得、1以上の他の領域に対してより高い関連したリスクを有する領域の1以上は、低血糖症領域および高血糖領域を含む。
本発明はまた、このような1以上のアルゴリズムを含む、ソフトウェアまたはファームウェアを備える。本発明はまた、本発明のアルゴリズムを含む、このようなソフトウェアまたはファームウェアの使用のためのハードウェア(例えば、コンピュータシステム)を備える。1実施形態では、本発明は、分析物モニタリングデバイスによって用いられる予測モデルにおいて使用するためのパラメータの最適化のための方法に関し、ここで、この予測モデルは、調整可能パラメータの最適化を必要とする。
本発明のこれらおよび他の実施形態は、本明細書中の開示を考慮すれば、当業者には容易にわかる。
(発明の詳細な説明)
(1.0.0 定義)
本明細書中で使用する用語法は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、限定を意味するものではないことが理解される。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないと明確に記載される場合を除いて複数対象を含む。従って、例えば、「レザバ」に関しては、二つ以上のこのようなレザバの組み合わせを含み、「分析物」に関しては、1つ以上の分析物の混合物などを含む。
別に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的用語および科学的用語は、本発明に関係する当業者によって通常理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載した方法および物質と類似または等価の他の方法および物質が、本発明の実践に使用され得るが、好ましい物質および方法は、本明細書中に記載される。
本発明を記載し、かつ特許請求する際に、以下の専門用語が、下に提示する定義に従って、使用される。
用語「マイクロプロセッサ」とは、集積回路チップ上に含まれるコンピュータプロセッサをいい、このようなプロセッサはまた、メモリおよび関連回路も含み得る。マイクロプロセッサは、選択された機能、計算方法、スイッチングなどを実行または制御するプログラム化された命令を、さらに含み得る。マイクロプロセッサおよび関連デバイスは、多くの供給元から市販され、この供給元としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Cypress Semiconductor Corporation、San Jose、CA;IBM Corporation、White Plains、New York;Applied Microsystems Corporation、Redmond、WA;Intel Corporation、Chandler、Arizona;および、National Semiconductor、Santa Clara、CA。
用語「分析物」および「標的分析物」は、任意の目的の生理学的分析物を表すために使用され、これは、化学的分析、物理学的分析、酵素学的分析、または光学的分析で検出および/または測定される特異的基質または成分である。検出可能なシグナル(例えば、化学的シグナルまたは電気化学的シグナル)が、このような分析物またはこれらの誘導体から、直接的にかまたは間接的にかのいずれかで得られ得る。さらに、用語「分析物」および「基質」は、本明細書中で交換可能に使用され、かつ同じ意味を有することが意図され、従って、任意の目的の物質を包含する。好ましい実施形態において、この分析物は、目的の生理学的分析物(例えば、グルコース)、または生理作用を有する化学物質(例えば、薬物または薬理学的薬剤)である。
「サンプリングデバイス」「サンプリング機構」または「サンプリングシステム」とは、目的の分析物の濃度を決定する目的で、生体系(biological system)からサンプルを得るための任意のデバイスおよび/または関連した方法をいう。このような「生体系」としては、目的の分析物が抽出され得る、任意の生体系が挙げられ、血液、間質液、汗および涙が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、「生体系」は、生存している系(living system)および人工的に維持された系を含む。用語「サンプリング」機構とは、一般に、膜(例えば、角質層または粘膜)を越えて生体系から物質を抽出することをいい、ここでこのサンプリングは、侵襲的、低侵襲的、半侵襲的または非侵襲的である。この膜は、天然または人工的であり得、植物性または動物性(例えば、天然または人工の、皮膚、血管組織、腸管組織など)であり得る。典型的に、このサンプリング機構は、「レザバ」または「収集レザバ」と操作的に接触し、このサンプリング機構は、生体系からレザバ中へ分析物を抽出し、レザバ中に分析物を得るために使用される。サンプリング技術の限定されない例としては、イオン泳動、音波泳動(sonophoresis)(例えば、国際公開番号WO91/12772;米国特許第5,636,632号を参照)、吸引、エレクトロポレーション、熱穿孔法(thermal poration)、受動拡散(例えば、国際公開番号WO97/38126;WO97/42888、WO97/42886、WO97/42885、およびWO97/42882;ならびにWO97/43962を参照)、微細(microfine)(ミニチュア)鋭尖またはカニューレ、微粒子銃(例えば、高速に加速された粒子を使用)、皮下移植物または挿入物、ならびにレーザーデバイス(例えば、Jacquesら(1978)J.Invest.Dermatology 88:88−93;国際公開番号WO99/44507;国際公開番号WO99/44638;および国際公開番号WO99/40848を参照)が挙げられる。イオン泳動的サンプリングデバイスは、例えば、国際公開番号WO97/24059;欧州特許出願番号EP0942278;国際公開番号WO96/00110;国際公開番号WO97/10499;米国特許第5,279,543号;同第5,362,307号;同第5,730,714号;同第5,771,890号;同第5,989,409号;同第5,735,273号;同第5,827,183号;同第5,954,685号および同第6,023,629号に記載される。さらに、高分子膜は、例えば電極表面で、この電極の反応性表面に対する干渉種(interfering species)のアクセスをブロックまたは阻害するために使用され得る。
用語「生理学的流体」とは、サンプリングされる任意の所望の流体をいい、血液、脳脊髄液、間質液、精液、汗、唾液、尿などが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「人工膜」または「人工表面」とは、例えば、高分子膜、あるいはインビボまたはインビトロで生育または培養された単層の厚さかまたはそれより大きい細胞の凝集をいい、このような膜または表面は、生物の組織として機能するが、既存の供給源または宿主から、実際に由来または摘出されたものではない。
「モニタリングシステム」、「分析物モニタリングシステム」または「分析物モニタリングデバイス」は、生体系に存在する生理学的分析物の頻繁な測定(例えば、血液または間質液中の分析物の量または濃度)を得るのに有用なシステムをいう。このようなシステムとしては、検知デバイスおよびこの検知デバイスと作動可能に組み合わされた1つ以上のマイクロプロセッサ、またはサンプリングデバイス、検知デバイス、およびこのサンプリングデバイスおよび検知デバイスと作動可能に組み合わされた1つ以上のマイクロプロセッサが挙げられるが、これらに限定されない。
「測定サイクル」は、測定シグナル(例えば、測定シグナル応答曲線)を提供するために、典型的には、被験体からの分析物の抽出(例えば、サンプリングデバイスを用いて)、および抽出分析物の検知(例えば、検知デバイスを用いて)を含む。完全な測定サイクルは、1つ以上のセットの抽出および検知を含み得る。
用語「頻繁な測定(frequent mesurement)」は、特定の生体系から得られた、2つ以上の一連の測定値をいい、これらの測定値は、一連の測定値が得られる時間(例えば、秒間隔、分間隔または時間間隔)にわたって、生体系と操作接触して維持された単一のデバイスを用いて得られる。従って、この用語は、継続的かつ連続的な測定を含む。
用語「被験体」は、哺乳類綱のメンバー(例えば、ヒトおよび非ヒト霊長類(例えば、チンパンジーおよび他の類人猿およびサル種)が挙げられるが、これらに限定されない);家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマ);ペット(例えば、イヌおよびネコ);げっ歯類(例えば、マウス、ラットおよびモルモット)を含む実験動物などを特に含む、任意の温血動物を包含する。この用語は、特定の年齢または性別を示さず、従って、成体被験体および新生仔被験体を含み、雄であっても雌であってもよい。
用語「経皮」は、経皮技術と経粘膜技術の両方、すなわち、皮膚(例えば、角質層、または粘膜組織)を横切る、標的分析物の抽出を含む。本明細書中の「経皮」の文脈中に記載される本発明の特徴は、他に特に規定がない限り、経皮技術と経粘膜技術の両方に適用することを意味する。
用語「経皮抽出」または「経皮的に抽出された」とは、皮膚または粘膜組織を横切って、組織表面下からの分析物の抽出および/または輸送を引き起こす、任意のサンプリング方法をいう。従って、この用語は、例えば、イオン泳動(逆イオン泳動(reverse iontophoresis))、電気浸透、音波導入、微小透析、吸引、および受動拡散を使用した、分析物の抽出を含む。これらの方法は、当然、皮膚浸透エンハンサーまたは皮膚透過性亢進技術(例えば、種々の物質または物理的方法(例えば、テープストリッピング(tape stripping)または顕微針を用いた穿刺))の適用と併用され得る。用語「経皮的に抽出された」はまた、熱穿孔法、レーザーマイクロポレーション、エレクトロポレーション、微細切開、微細カニューレ、皮下移植または挿入、それらの併用、などを用いる抽出技術を含む。
用語「イオン泳動」とは、組織へ電気エネルギーを印加して、組織を越えて物質を輸送するための方法のことをいう。従来のイオン泳動において、レザバが、輸送されるべき材料の容器として働くために(またはその材料のための閉じ込めを提供するために)組織表面に提供される。イオン泳動は、当業者に公知の標準的な方法を使用して(例えば、固定されたアノード「イオン泳動式電極」とカソード「イオン泳動式電極」との間で直流(DC)を使用してか、アノードイオン泳動式電極とカソードイオン泳動式電極との間に直流(DC)を交互にしてか、またはより複雑な波形を使用して(例えば、イオン泳動式電極間に交番極性(AP)を有する電流を適用して(その結果、各電極は、交互にアノードかまたはカソードである))、電位を確立することにより実行され得る。例えば、米国特許第5,711,890号、同第6,023,629号、同第6,298,254号および国際公開番号WO96/00109を参照のこと。
用語「逆イオン泳動」とは、印加される電位または電流により生物学的流体から膜を越える物質の移動のことをいう。逆イオン泳動において、レザバが、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスにおいて使用されるように、抽出された材料を受け入れるために組織表面に提供される。
「電気浸透」とは、電場誘導対流によって物質が膜を通って移動することをいう。本明細書中において交換可能に用いられる用語イオン泳動、逆イオン泳動および電気浸透は、イオン伝導性媒体を通る膜への電位の印加の際に膜(例えば、上皮膜)を超える任意のイオン荷電物質またはイオン非荷電物質の移動のことをいう。
用語「検知デバイス」または「検知機構」とは、目的の分析物もしくはその誘導体の濃度または量を測定するために使用され得る任意のデバイスを含む。分析物(例えば、血液または間質流体中)を検出するための好ましい検知デバイスとしては、一般的に電気化学デバイス、光学および化学デバイスならびにそれらの組み合わせが挙げられる。電気化学デバイスの例としては、Clark電極システム(例えば、Updikeら、(1967)Nature 214:986−988を参照のこと)および他の電流測定電気化学デバイス、電量測定電気化学デバイスまたは電位差測定電気化学デバイスならびに光学的方法(例えば、UV検出または赤外線検出(例えば、米国特許第5,747,806号))が挙げられる。例えば、Yangらに対する米国特許第5,267,152号は、近IR照射拡散反射レーザー分光法を使用して血中グルコース濃度を測定する非侵襲性技術を記載する。近IR分光測定デバイスはまた、Rosenthalらに対する米国特許第5,086,229号、Khalilらに対する同第5,747,806号およびRobinsonらに対する同第4,975,581号にも記載される。さらなる例としては、例えば、米国特許第6,134,461号および同第6,175,752号に記載される、被験体中の分析物の量または濃度の連続的モニタリングのために使用される検知システムが挙げられる。
「バイオセンサー」または「バイオセンサデバイス」としては、「センサー要素」が挙げられるが、これに限定されず、「センサー要素」としては、「バイオセンサー電極」または「検知電極」または「作用電極」が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、ある時点かまたは所定の時間の間にわたる電気シグナルの量を決定するためにモニタリングされる電極のことをいい、次いで、このシグナルは、化合物の濃度と相関付けられる。この検知電極は、分析物またはその誘導体を電気シグナルへ変換する反応性表面を有する。この反応性表面は、任意の導電性材料(例えば、白金族金属(白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウムおよびイリジウムを含む)、ニッケル、銅および銀ならびにこれらの酸化物および二酸化物ならびに前記の組み合わせまたは合金であるが、これらに限定されず、これらはまた炭素も含み得る)から構成され得る。いくつかのバイオセンサー電極についての実施形態は、EP0942278およびGB2335278に記載されている。電流測定バイオセンサーの構築に適するいくつかの触媒性材料、膜および製造技術は、Newman,J.D.ら(1995)、Analytical Chemistry 67:4594−4599によって記載される。
「センサー要素」は、検知電極に加えて構成要素を含み得る。例えば、「センサー要素」は、「参照電極」または「対電極」を含み得る。用語「参照電極」は、参照電位を提供する電極を意味するために使用される。例えば、電位は、参照電極と作用電極との間に確立され得る。用語「対電極」は、電気化学的回路を完成するための電流源または電流シンクとして作用する電気化学的回路における電極を意味するために使用される。参照電極が回路中に含まれ、その電極が対電極の機能を実行し得る場合に対電極が用いられることは、不可欠ではないが、参照電位が平衡状態である場合、参照電極によって提供される参照電位が最も安定しているので、別個の対電極と参照電極とを有することが好ましい。参照電極が対電極としてさらに作用することが必要とされる場合、参照電極を通って流れる電流は、この平衡状態を妨害し得る。従って、対電極および参照電極として機能する、別個の電極が好ましい。
1つの実施形態において、「検知要素」の「対電極」は、「二モード電極」を含む。用語「二モード電極」とは、典型的には、例えば、米国特許第5,954,685号に記載されるような、例えば、(「検知要素」の)対電極および(「サンプリング機構」の)イオン泳動式電極の両方として同時ではなく機能し得る電極のことをいう。
用語「反応性表面」および「反応性面」は:(1)分析物を含むか、または分析物もしくはその誘導体がその供給源から流れる、イオン伝導性材料の表面に接触し;(2)触媒性材料(例えば、白金族金属、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムもしくはニッケルならびに/またはそれらの酸化物、二酸化物およびそれらの組み合わせもしくは合金)または電気化学的反応に部位を提供する材料から構成され;(3)化学シグナル(例えば、過酸化水素)を電気シグナル(例えば、電流)に変換し;(4)反応性材料から構成される場合、適切な電気バイアスが供給される場合に検出可能で、再現可能に測定可能な電気シグナル(そのシグナルは、電解質中に存在する分析物の量に相関可能である)を発生するのに十分な速度で電気化学的反応を駆動するのに十分である電極表面領域を規定する、検知電極の表面を意味するために本明細書中で交換可能に使用される。
「イオン伝導性材料」とは、イオン伝導性を提供し、かつそこを通って電気化学的に活性な種が拡散し得る、任意の材料のことをいう。このイオン伝導性材料は、例えば、電解質を含む固体、液体、半固体(例えば、ゲルの形態をとる)材料であり得る。これらは、主に水およびイオン(例えば、塩化ナトリウム)から構成され得、一般的に50重量%以上の水を含む。この材料は、ヒドロゲル、スポンジまたはパッド(例えば、電解溶液で浸漬された)、または電解質を含み得かつ電気化学的に活性な種(特に目的の分析物)の通過を可能にする他の任意の材料の形態をとり得る。いくつかの例示的なヒドロゲルの処方物は、PCT国際公開番号WO97/02811およびWO00/64533に記載される。イオン伝導性材料は、殺生剤を含み得る。例えば、オートセンサアセンブリの製造の間、1つ以上の殺生剤がイオン伝導性材料に組み込まれ得る。目的の殺生剤としては、塩素化炭化水素;有機金属;金属塩;有機硫黄化合物;フェノール化合物(商品名Nipastat(登録商標)、Nipaguard(登録商標)、Phenosept(登録商標)、Phenonip(登録商標)、Phenoxetol(登録商標)およびNipacide(登録商標)として登録される種々のNipa Hardwicke Inc.の液体保存剤が挙げられるが、これらに限定されない);第四級アンモニウム化合物;界面活性剤および他の膜破壊薬剤(ウンデシレン酸およびその塩が挙げられるが、これらに限定されない)、それらの組み合わせなどのような化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
「親水性化合物」とは、水を引きつけるか、水に溶解するか、または水を吸収するモノマーのことをいう。本発明に従う使用のための親水性化合物は、以下のうちの1つ以上である:カルボキシビニルモノマー、ビニルエステルモノマー、カルボキシビニルモノマーのエステル、ビニルアミドモノマー、ヒドロキシビニルモノマー、アミン基または第四級アンモニウム基を含む陽イオン性ビニルモノマー。これらのモノマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸およびポリビニルピロリドン(PVP)を含むが、これらに限定されない、ポリマーまたはコポリマーを作るために使用され得る。
用語「緩衝剤」とは、組成物のpHを調整または維持するために、その組成物に加えられる1種以上の成分をいう。
用語「電解質」とは、イオン伝導性媒体内をイオン性電流が流れることを可能にする、その媒体の成分をいう。イオン伝導性媒体のこの成分は、1種以上の塩または緩衝剤成分であり得るが、これらの物質に限らない。
用語「収集レザバ」は、生物学的系から抽出されたサンプルを収容するための、任意の適切な格納方法またはデバイスを記載するために使用される。例えば、この収集レザバは、イオン伝導性の材料(例えば、中にイオンを含む水)を含む容器であるか、あるいは、水を適所に維持するために使用される、スポンジ様材料または親水性ポリマーのような材料であり得る。このような収集レザバは、スポンジ、多孔性材料、またはヒドロゲルの形態(例えば、円盤またはパッドの形状)であり得る。ヒドロゲルは、典型的には「収集インサート」と呼ばれる。他の適切な収集レザバとしては、チューブ、バイアル、ストリップ、キャピラリ収集デバイス、カニューレ、および小型化されたエッチングされた流路、切除された流路または成型された流路が挙げられるが、これらに限定されない。
「収集インサート層」は、例えば、マスク層と保持層との間に配置された1つ以上の収集レザバ(または収集インサート)を含むアセンブリまたは積層体のうちの一層である。
「積層体」とは、少なくとも2つの結合された層から構成される構造体をいう。これらの層は、溶接または接着剤の使用により結合され得る。溶接の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:超音波溶接、ヒート結合、および誘導結合局在化加熱、続く局在化フロー。一般的な接着剤の例としては、シアノアクリレート接着剤、およびエポキシドのような化学化合物、ならびに以下のような、しかしこれらに限定されない物理的特性を有する接着剤が挙げられるが、これらに限定されない:感圧接着剤、熱硬化接着剤、コンタクト接着剤、および感熱接着剤。
「収集アセンブリ」とは、いくつかの層から構成される構造体をいい、ここでこのアセンブリは、少なくとも1つの収集インサート層(例えば、ヒドロゲル)を含む。本発明において言及される収集アセンブリの例は、マスク層、収集インサート層、および保持層であり、ここでこれらの層は、互いに適切な機能的関係で保持されるが、必ずしも積層体である必要は無い(すなわち、層は、一緒に結合されなくてもよい。これらの層は、例えば、相互連結配置または摩擦により一緒に保持され得る)。
用語「マスク層」とは、実質的に平坦で、典型的に、生体系および収集インサート層の両方に接触する、収集アセンブリの構成要素をいう。例えば、米国特許第5,827,183号、同第5,735,273号、同第6,141,573号、同第6,201,979号および同第6,370,410号を参照のこと。
用語「ゲル保持層」または「ゲルリテイナー」とは、実質的に平坦で、典型的に収集インサート層および電極アセンブリの両方に接触する、収集アセンブリの構成要素をいう。例えば、米国特許第6,393,318号、同第6,341,232号および同第6,438,414号を参照のこと。
用語「支持トレイ」とは、典型的に、剛性で、実質的に平坦なプラットフォームをいい、電極アセンブリと収集アセンブリとを支持および/または整列するために使用される。この支持トレイは、電極アセンブリおよび収集アセンブリをサンプリングシステム中に配置する1つの方法を提供する。
「AutoSensorアセンブリ」とは、一般的に、マスク層、収集インサート層、ゲル保持層、電極アセンブリ、および支持トレイを含む構造体をいう。このAutoSensorアセンブリはまた、ライナーを備え得、ここで層は、互いに対して近接した機能的関係で保持される。例示的な収集アセンブリおよびAutoSensor構造体は、例えば、米国特許第5,827,183号、同第5,735,273号、同第6,141,573号、同第6,201,979号、同第6,370,410号、同第6,393,318号、同第6,341,232号、および同第6,438,414号に記載される。これらの例示的な収集アセンブリおよびAutoSensorは、本発明のイオン伝導性材料(例えば、ヒドロゲル)の使用により改変され得る。マスク層および保持層は、好ましくは、検出されるべき分析物(化学シグナル)に対して実質的に不浸透性である材料から構成される;しかし、この材料は、他の物質に対して浸透性であり得る。「実質的に不浸透性」は、この材料が、化学シグナル輸送を(例えば、拡散により)減少させるかまたは排除することを意味する。この材料は、低レベルの化学シグナル輸送を可能にし得るが、ただし、この材料を通過する化学シグナルは、検知電極において有意なエッジ効果(edge effect)を引き起こさない。
用語「約」または「およそ」は、数値に付随する場合、その数値のプラスマイナス10の測定単位(例えば、パーセント、グラム、度またはボルト)、好ましくは、プラスマイナス5の測定単位、より好ましくはプラスマイナス2の測定単位、最も好ましくは、プラスマイナス1の測定単位をいう。
用語「プリントされた」は、基板(すなわち、ベース支持体)の一方の表面上への電導性ポリマー複合フィルム(たとえば、電極インク配合物)の実質的に均一な沈着を意味する。種々の技術を使用して、基板上への材料の実質的に均一な沈着を行い得ることは、当業者により理解される(例えば、Gravure型プリンティング、押し出しコーティング、スクリーンコーティング、吹き付け、塗装、電気めっき、積層など)。
用語「生理学的効果」は、意図した治療目的を達成する、被験体において生じる効果を包含する。好ましい実施形態において、生理学的効果は、処置される被験体の症状が、予防されるかまたは軽減されることを意味する。例えば、生理学的効果は、患者において生存の延長を生じる効果である。
「パラメータ」とは、任意の定数または変数であって数学的表現で表されるものをいい、このパラメータを変化させることにより、種々の場合の現象を表す(McGraw−Hill Dictionary of Scientific and Technical Terms,S.P.Parker編,第5版,McGraw−Hill Inc.,1994)。GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスの状況において、パラメータは、アルゴリズムにより計算される血中グルコースレベルの値に影響を及ぼす変数である。
「減衰」とは、ある量の大きさにおける緩やかな減少をいい、例えば、電流が特定の分析物の濃度と相関し、この検出された電流が徐々に減少するが、分析物の濃度は減少しない場合の、センサー電極を使用して検出された電流である。
「スキップ」または「スキップされた」シグナルとは、所定の基準(例えば、米国特許第6,223,471号に記載されるような、誤差に関連する基準)に適合しないデータをいう。スキップされた読み出し、シグナル、または測定値は、例えば、シグナルが1つ以上のデータスクリーニング(これは、質の悪いシグナルまたは不正確なシグナルを示す1つ以上の検出されたパラメータに基づいて不正確なシグナルを無効にする)にかけられる場合、典型的に、データ保全性チェックと適合しないために信頼性が無いかまたは妥当でないとして拒絶されている(すなわち、「スキップエラー」が生じた)。
(1.1.0 GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイス)
用語「GlucoWatchバイオグラファー」および「GlucoWatch G2バイオグラファー」とは、Cygnus,Inc.,Redwood City,CAにより開発され、製造された、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスの系列の2つの典型的なデバイスをいう。
GlucoWatchバイオグラファーは、自動的な、頻繁な、非侵襲性のグルコース測定を提供する、分析物モニタリングデバイスである。第一世代のデバイスである、GlucoWatch(登録商標)(Cygnus,Inc.,Redwood City,CA)バイオグラファーは、3時間の予熱時間および較正のための1回の血中グルコース(BG)測定の後、12時間もの長時間にわたって、1時間当たり3回までの読み取りを提供する。第二世代のデバイスである、GlucoWatch(登録商標)G2TM(Cygnus Inc.,Redwood City,CA)バイオグラファーは、較正のための1回のBG測定の後、13時間もの長時間にわたって、1時間当たり6回までの読み取りを提供する。これらのデバイスは、逆イオン泳動を利用して、皮膚を通してグルコースを抽出する。次いで、このグルコースは、電流滴定バイオセンサーによって検出される。GlucoWatchバイオグラファーは、サンプリングおよび検出回路、ならびにデジタルディスプレイを備える、小型の腕時計様のデバイスである。1型糖尿病および2型糖尿病を罹患する被験体に対する臨床治験は、GlucoWatchバイオグラファーの読み取りと、連続的な指粘着BG測定との間で、良好な相関を示した(例えば、Garg,S.K.ら,Diabetes Care 22,1708(1999);Tamada,J.A.ら,JAMA 282,1839(1999)を参照のこと)。しかし、第一世代のGlucoWatchバイオグラファーの測定期間は、使用の間のバイオセンサーシグナルの減衰に起因して、12時間に限定されている。第二世代のデバイスは、13時間まで測定時間を延長する。類似のシグナル崩壊がまた、移植可能なグルコースモニタに対して観察され(Gross,T.M.ら,Diabetes Technology and Therapeutics 2,49(2000);Meyerhoff,C.ら,Diabetologia,35,1087(1992);Bolinder,J.ら,Diabetes Care 20,64(1997))、これらに対して、このデバイスの精度を維持するために、24時間のモニタリングあたり4回の較正が、推奨される(Medtronic−MiniMed Web Page:Continuous Glucose Monitoring System,Frequently Asked Questions,www.minimed.com/doctors/md_products_cgms_cgmsfaq.shtml)。
GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスは、いくつかの利点を有する。明らかに、これらの非侵襲性および非閉塞性の性質は、糖尿病に罹患する人々の間で、より多くのグルコース試験を促進する。臨床的により関連することは、提供される情報の頻度の性質である。GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスは、自動的な、非侵襲性の、使用者に優しい様式で、医師によって望まれる、より頻繁なモニタリングを提供する。このシステムの自動的な性質はまた、患者が眠っている間または他に試験が不可能な場合でさえも、モニタリングを続けることを可能にする。GlucoWatchバイオグラファーおよびGlucoWatch G2バイオグラファーは、米政府食品医薬品局によって認可され、市販されている、唯一の、非侵襲性の、頻繁な、自動グルコースモニタリングデバイスである。
(1.1.1 GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスのデバイスの説明)
GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスは、イオン泳動電流を供給し、電流の出力および作動時間を制御する、電子部品を備える。これらはまた、バイオセンサー電子部品を制御し、データを受信し、処理し、表示し、格納する。データはまた、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスからパーソナルコンピューター、コンピューターネットワーク、パーソナルデジタル支援デバイスなどへとアップロードされ得る。これらは、バンドを有し、前腕の部位にこれらを固定することを補助する。
AutoSensorは、(第二世代のデバイスにおいて)13時間までの連続したグルコース測定を提供する、このデバイスの消耗部品である。AutoSensorは、各磨耗期間の後に、処分される。これは、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスの背面にフィットし、イオン泳動電流の送達のための電極、グルコースシグナルを検知するためのセンサー電極、ならびにグルコースの収集および過酸化水素への転換のための、グルコースオキシダーゼ含有ヒドロゲルパッドを備える。各AutoSensorには、2つのゲル/電極セットが存在し、AおよびBと記載される。
イオン泳動は、皮膚の表面に適用される2つの電極間の、低レベルの一定電流の通過を利用する。この技術は、例えば、イオン性(荷電)薬物を経皮的に送達するために使用されている(Sinh J.ら,Electrical properties of skin,「Electronically controlled drug delivery」、Berner BおよびDinh SM編,Boca Raton,Florida:CRC Press(1998)、47−62頁)。他方で、体内の電解質イオンもまた、電荷キャリアとして働き得、身体から皮膚を通して外向きへの、物質の抽出を導き得る。このプロセスは、「逆イオン泳動」またはイオン泳動抽出として公知である(Rao,G.ら,Pharm.Res.10,1751(2000))。これは、図9に概略的に示される。皮膚は、生理学的pHにおいて、正味負の電荷を有するので、正に荷電したナトリウムイオンが、皮膚を横切る主要な電流キャリアである。イオン泳動カソードに向かうナトリウムイオンの移動は、電気浸透流を生じ、これは、対流によって、中性分子を運ぶ。しかし、小さい分子量を有する化合物のみが、皮膚を通過し、その結果、例えば、タンパク質は抽出されない。さらに、主要な妨害種(例えば、アスコルビン酸塩および尿酸塩)が、アノードに収集される。逆イオン泳動の、これらの独特の電荷およびサイズ排除特性の結果として、グルコースは、カソードにおいて優先的に抽出され、得られるサンプルは、非常にクリーンである。このことは、移植可能なグルコースモニタリングデバイスとは対照的である(Gross,T.M.,Diabetes Technology and Therapeutics 2,49(2000);Meyerhoff,C.ら,Diabetologia,35,1087(1992);Bolinder,J.ら,Diabetes Care 20,64(1997))。この移植可能なデバイスに対して、アスコルビン酸塩および尿酸塩(ならびにいくらかのタンパク質)が、妨害シグナルを発生することが公知である。
イオン泳動グルコース抽出の実行可能性は、死体の皮膚(Glikfeld,P.らPharm.Res.6,988(1989))とヒト被験体(Tamada,J.A.ら,Nat.Med.1,1198(1995))との両方において実証された。ヒト被験体を用いる実行可能性の研究において、グルコースの移送は、線形の様式で、BGとよく相関した。しかし、感度(すなわち、抽出されたグルコースの量)は、個体および皮膚の部位の間で変動する(Tamada,J.A.ら,Nat.Med.1,1198(1995))。1点較正は、この変動を補償することが見出された。逆イオン泳動は、受容器溶液中のグルコースのマイクロモル濃度の濃度を与え、これは、血液中に見出される桁より約3桁低い。
この少量のグルコースを正確に測定するために、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスは、電流滴定バイオセンサーを利用する(Tierney,M.J.ら,Clin.Chem.45,1681(1999))。ヒドロゲルディスク(ここに、グルコースが、逆イオン泳動によって収集される)中のグルコースオキシダーゼ(GOx)酵素は、酸素とのグルコースの反応を触媒して、グルコン酸および過酸化水素を生成する。
GOx
グルコース + O2 → グルコン酸 + H22
グルコースは、以下の2つの形態で存在する:α−グルコースおよびβ−グルコース(これらは、ヒドロキシル基の位置のみが異なる)。平衡(また血液中および間質液中)において、これら2つの形態は、約37%のαおよび約63%のβの割合である。グルコースがヒドロゲルに入るにつれて、これは全体に拡散し、β形態のグルコースのみが、グルコースオキシダーゼ酵素と反応する。β形態が枯渇するにつれて、α形態がβ転換に転換(変旋光)する。このグルコースオキシダーゼ反応の生成物(過酸化水素およびグルコン酸)もまた、ゲル全体に拡散する。最後に、過酸化水素(H22)が、センサーにおける白金含有作用電極において、電気触媒酸化反応
22 → O2 + 2H+ + 2e-
(測定可能な電流を発生させ、O2を再生する)を介して検出される。従って、理想的には、抽出される全てのグルコース分子に対して、2つの電子が、測定回路に移動される。得られる電流の時間にわたる積分によって、その電極で遊離した全電荷が導かれ、この全電荷は、皮膚を通して収集されたグルコースの量に相関する。
例示的なGlucoWatch Biographerモニタリングデバイスは、図10に概略的に示される。第2世代のデバイスの構造は、非常に類似する(AutoSensorに差異はない)。抽出および検出は、皮膚に対して配置された2つのヒドロゲルパッド(AおよびB)を使用して達成される。各パッドの、皮膚から離れる側面は、2セットのイオン泳動および検知要素を備える電極アセンブリと接触する。これら2つの電極セットは、イオン泳動回路を完成させる。作動中に、一方のイオン泳動式電極はカソードであり、他方はアノードであり、皮膚を通しての電流の通過を可能にする。その結果、グルコースおよび他の物質が、イオン泳動抽出期間の間、ヒドロゲルパッド内に収集される。イオン泳動時間の間隔は、皮膚の刺激および電力要求を最小にするが、引き続く検出のために十分なグルコースを抽出するように調節される。グルコースの抽出のための有用な時間は、約3分であることが見出された。
各ヒドロゲルパッドの、皮膚から離れる、環状イオン泳動電極に隣接する側面に、検知電極(図10の「センサー」)が存在する。2つの検知電極(センサーAおよびBとして示される)が存在する。これらの円形の検知電極は、白金複合材から構成され、(Ag/AgCl参照電極に対して)0.3〜0.8Vの電位の印加によって、作動される。これらの印加電位において、電流は、次いで、白金センサー電極内に拡散したH22(抽出されたグルコースから発生する)の反応から発生する。
(1.1.2 Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスのデバイス操作)
各20分間のグルコース測定サイクルは、3分間の抽出、および7分間のバイオセンサーの起動、その後3分間の反対のイオン泳動電流極性での抽出、およびさらなる7分間のバイオセンサーの起動からなる。これは、第1世代のGluco Watchバイオグラファーについて図11に概略的に図示される。
第1のハーフサイクルにおいて、グルコースは、イオン泳動カソード(センサB)でヒドロゲル中に回収される。グルコースが回収される場合、このグルコースはヒドロゲル中でグルコースオキシダーゼと反応して過酸化水素(H22)を発生する。3分間の回収時間が終わると、イオン泳動電流が止められ、7分間バイオセンサーを起動して、蓄積されたH22を測定する。この時間は、抽出されたグルコースの大部分がH22に転換され、このペルオキシドの大部分が、白金電極に拡散し、同時に酸化して電流を発生するように選択される。基本となる物理的プロセスおよび化学的プロセス(検知電極における拡散、グルコース変旋光、および電気触媒酸化反応が挙げられるがこれらに限定されない)はかなり遅いので、抽出されたグルコースおよびH22の全てが、7分間の測定サイクルの間に消費されるわけではない。しかし、この7分の間隔の間に積分された電流(または電荷)シグナルは十分大きく、またイオン泳動の間隔の間にヒドロゲルパッドに進入したグルコースの総量に比例したままである。検出プロセスにおいて、H22の大部分が消費される。これは、ヒドロゲルをクリーンアウトして次の回収時間の準備をする。さらに、センサーBが再びグルコースを回収し、測定する前に、センサーBは、まずイオン泳動アノードとして作用すべきである。この抽出−検知サイクルが設計され、その結果この時間の後、ヒドロゲル中にはペルオキシドは残らない。最初の3分間の時間の間、アノード(センサA)においても抽出物(主に、ウレアートおよびアスコルベートのようなアニオン種)が存在する。これらの電気化学的に活性な種はまた、7分間のバイオセンサー時間の間にアノードレザバからパージされる。
測定サイクルの第2のハーフサイクルにおいて、イオン泳動極性は逆転され、その結果カソードにおけるグルコース回収が第2のレザバ(センサA)中で生じ、アニオン種が第1のレザバ(センサB)中で回収される。このバイオセンサーは、再び起動されてカソード(ここではセンサA)におけるグルコースを測定し、電気化学的に活性な種をアノード(センサB)にパージする。合わせて20分間のプロセスを繰り返して、引き続くグルコースの各読み取り値(reading)を得る。
各ハーフサイクルについての生のデータは、7分間にわたって時間の関数として測定される13の別々の電流値としてセンサーAとセンサーBの両方について回収される(これは、測定されたシグナル応答曲線を提供する、例えば、図12を参照のこと)。アノード(「菱形」の曲線)およびその後のカソード(「丸」の曲線)のサイクルで得られるセンサーの1つについての典型的な電流シグナルが、図12に示される。センサー回路がカソードサイクル中で起動される場合、(グルコースから転換した)H22は、白金電極と反応し、電流を生じ、この電流は、7分間の検出サイクルの時間と共に単調に減少する。類似の形状の電流シグナルがまた、アノードサイクル(「菱形」の曲線)において生成される。このシグナルは、多くの部分でアスコルビン酸および尿酸に起因する。両方の場合において、この電流過渡は、0ではなく約180nAのバックグラウンドに下がる。このバックグラウンド電流は、ベースラインバックグラウンドと呼ばれ、時間にわたってほとんど変化せず、これが、多くの低濃度種の合計の結果であるであろうことを示している。グルコース関連シグナルのみを抽出するために、このバックグラウンドは、総電流シグナルから減算される。一旦減算されると、このバックグラウンドはグルコース測定に有意なバイアスを導入しないが、このバックグラウンドは、低血糖範囲にある測定値のシグナル−ノイズを有意に減少する。この増加したノイズは、低血糖範囲にあるグルコース測定における潜在的な誤差を増加する。従って、バックグラウンド電流を可能な限り正確に測定することが重要である。いくつかの場合において、H22を完全に消費するのに7分間のカソードサイクルでは十分な時間はなく、このサイクルの終わりの電流は、なお減少している。従って、この測定は、バックグラウンドの良好な評価として使用され得ない。他方において、この電流は、アノードサイクルにおいてより早く一貫して安定することが見出された。従って、このベースラインバックグラウンドは、典型的には、前述のアノードサイクルの最後の2つの電流の読み取り値の平均として決定され得る。このアプローチ(「前バックグラウンド」アプローチと呼ばれる)は、図12に示される。
バックグラウンドの減算の後、カソード電流シグナルを積分してカソードで遊離された電荷を(μCのオーダーで)算出する。このカソード電流シグナルは、皮膚を通して抽出されるグルコースの総量に比例する。図面において、これは、図13の右側にある曲線と直線との間の面積の算出値に対応する。積分は、これらの変数は、速度のみに影響を及ぼし、反応の程度には影響を及ぼさないように、ゲルの厚さおよび温度のバリエーションについて補償する付加値を有する。各ハーフサイクルについてカソードセンサにおいて積分されたシグナルは、(CA+CB)/2のように平均され、この手順は、このシステムのシグナル−ノイズ比を改善する。
最後に、この平均された電荷シグナルは、(モニタリング時間の初めに与えられる)患者のフィンガースティック(finger−stick)較正値に基づいてグルコース測定値に変換される。この較正から、センサーによって検出される電荷シグナルと血中グルコースとの関係が決定される。次いで、この関係を使用してバイオセンサーシグナル測定値に基づいてグルコース値を決定する。バイオセンサーシグナル測定値は、Mixture of Experts(MOE)(Kurnik,R.T.,Sensors and Actuators B60,1(1999);米国特許第6,180,416号および同第6,326,160号)と呼ばれるシグナルプロセシングアルゴリズムを利用することによって達成される。このMOEアルゴリズムは、以下を取りこむ:積分された電荷シグナル、較正グルコース値、較正における電荷シグナル、および較正してからの時間(すなわち、経過時間)。これは、各グルコース読み取り値を、3つの独立した線形モデル(Expertsと呼ばれる)から得られる予測値の重みつき平均として計算され、これは、4つの入力および30の最適化されたパラメータのセットに依存する。このデータ変換を実施するための式が展開され、最適化され、GlucoWatchバイオセンサーおよび糖尿病の被験体の臨床試験からの参照BG読み取り値からなる、大きなデータセットにおいて確認される。このデータ変換アルゴリズムは、GlucoWatchバイオグラファー中の専用マイクロプロセッサへとプログラムされる。
GlucoWatch G2バイオグラファーは、ウォーミングアップ時間を減少し(3時間から2時間)、1時間当たりの読み取りの数を増加し(6回まで 対 3回まで)、AutoSensor期間(12〜13時間)を延長し、予測低警告アラームを提供する。GlucoWatch G2バイオグラファーによって提供される読み取りの数の増加は、センサーAおよびBからのグルコース関連シグナルに基づく一連の移動平均値を提供する改変データ処理アルゴリズムの結果である。GlucoWatch G2バイオグラファーは、第1世代のGlucoWatchバイオグラファーと同じAutoSensorを使用する。
GlucoWatchバイオグラファーおよびGlucoWatch G2バイオグラファーの、約12〜13時間の測定期間への制限についての1つの実質的な理由は、実質的なシグナルの減衰である。延長された期間の間、被験体によって装着される場合、第1世代および第2世代のGlucoWatcバイオグラファーの両方は、応答の減少を示す。これは、図13(a)に示され、ここで、電荷シグナルに対して既知の血液グルコースを一致させることによって3時間で較正された第1世代のGlucoWatchバイオグラファーによって測定される、例示の血液グルコースプロフィールが、実際のフィンガースティックBGデータと一緒に示される。GlucoWatchバイオグラファーシグナルが時間とともに減少することが分かる。図13(b)に示されるように、上記のMOEアルゴリズムは、このシグナル減衰についてある程度まで補償し得る。しかし、図14に示されるように、MOE補償は、(第一世代のデバイスについて)12時間のモニタリング期間の終わりに向かって不十分になり始める。図14aは、電荷シグナルに対して既知の血液グルコースを一致させることによって3時間で較正されたGlucoWatchバイオグラファーによって測定される、血液グルコースプロフィールの例を示す。シグナルは、時間とともに減少すること見られ得る。図14bは、MOEアルゴリズムによるシグナル減衰の補償の例を示す。図14bに示され得るように、MOE補償は、(第一世代デバイスについて)12時間のモニタリング期間の終わりに向かって不十分になる。第二世代のデバイスについて、MOE補償は、13時間のモニタリング期間の終わりに向かって不十分になる。
何が観察されるシグナル減衰を引き起こすかは、全く明らかではない。1つの理由は、白金−炭素検知電極の感度の減退であり得る。しかし、ヒト被験体で観察されるシグナル減衰とは対照的に、死体皮膚を使用し、既知量のグルコースを適用する拡散細胞実験では、これは存在しない。別の可能性は、いくつかの過酸化物欠乏種が皮膚から来て、ヒドロゲル中に蓄積し、グルコース検出をますます妨害することである。なお別の可能な理由は、ヒドロゲルディスクのpH(最初にpH7.5にリン酸緩衝化される)が、皮膚との長い接触後に変化し得、皮膚透過性の減少を引き起こし、結果として観察されるシグナル減衰を導くことである。GlucoWatchバイオグラファーを使用した後に、適用部位における皮膚浸透性の一時的な減少がまた、pH変化と無関係に、観測された。
GlucoWatchバイオグラファーによって与えられるグルコース読み取り値は、実際の血中グルコースから約15〜20分遅れる。この遅れは、GlucoWatchバイオグラファーによって実施されるグルコースシグナルの時間平均値から得られる固有の測定遅れに由来するだけでなく、間質液中のグルコース濃度(これは、GlucoWatchバイオグラファーによって測定される)と血液中の即時グルコース濃度(典型的には指の刺し傷を介して測定される)との間の生理学的差異にも由来する。この測定遅れは、13.5分である。GlucoWatchバイオグラファーのグルコース読み取り値は、前の2つの3分間の抽出時間(初めの7分間の検知時間によってわけられている)の間の間質液中の平均グルコース濃度に対応し、これは、第2の7分間の検知時間後に使用者に提供されて13.5分の測定遅れを生じる(3+7+3/2+7=13.5、図11)。さらなる生理学的遅れは、約5分と見積もられる。
このGlucoWatchバイオグラファーは、各グルコース値を計算する前に一連のデータ整合性チェックを実施する。このチェックは、スクリーンと呼ばれ、特定のグルコース値が、特定の環境条件、生理学的条件、または技術的な条件に基づいて使用者に報告されることを選択的に防ぐ。このスクリーンは、装着の過程の間に得られる4つの測定値に基づく:電流(電気化学的シグナル)、イオン泳動電圧、温度および皮膚表面伝導度。除かれた点は、スキップと呼ばれる。例えば、皮膚表面の伝導度が増加することによって汗が検出される場合、グルコース読み取り値はスキップされる。なぜなら、この汗はグルコースを含み得、イオン泳動時間の間に皮膚から抽出されるグルコースと干渉し得るからである。他のスキップは、シグナル中で検出させるノイズに基づく。
(2.0.0 予測速度論(PK))
数人の研究者が、系の過渡的応答が完了(定常状態すなわち平衡状態)までモニターされる場合に測定されるシグナルを予測するために系の過渡的応答に基づいて定量的な適用として予測速度論(Predictive Kinetics;PK)を研究してきた(例えば、公開された米国特許出願US/2002/0026110号およびPCT国際特許出願番号WO01/88534を参照のこと)。完結したときの値を予測するために、過渡的データを、電極応答の初期部分(典型的に、その曲線の動的領域)の間で収集し、適切な数学的関数および時間の関数としての曲線当てはめアルゴリズムを使用してモデルを生成した。次いで、この数学的関数を、時間を無限大として(誤差最小化アルゴリズムを使用するパラメータの評価を介して)計算して、その完了を予測した。これらの適用において、時間定数はグルコース濃度に依存せず、したがって、そのグルコース濃度はその係数のみに比例するとの前提を伴って、指数関数の一群が、使用された。
PKは、速度論解析を使用して一次反応をモデル化する方法として以前に研究されており、この速度論解析は、pHおよび温度のような変数に対して無反応であった(Mieling,G.E.およびPardue H.L.,Anal.Chem.,Page 1611,Vol.50,1978)。この方法によって、速度定数(k)、初期吸光度(S0)および最終吸光度(S)の値を計算し、これらの値によって、1次モデルに対して実験値が当てはめられる。次いで、その同じグループが、この方法を、グルコース決定法に適用した(Mieling,G.E.ら,Clin.Chem.,Page 1581 Vol.25,1979)。この研究において、吸光度 対 時間のデータは、特定の時間期間(tf)について記録および使用され、反応が完了するまでモニターされた場合に生じる最終吸光度(S)が計算された。また、この変化は、最後の測定データ(Sf)から計算された。グルコース濃度と計算された吸光度との間に線形関係が、報告された。
第3の研究は、同じ原理を使用し、酵素反応に基づくリアクタ/センサーシステムを設計して実施された(Uhegbu,E.C.ら、Am.Chem.Soc.,Page 2443,Vol.65,1993)。固定した溶液中の全基質の反応に対する応答を測定し、線形測定範囲を拡張し、実験変数に対する依存性を低減するためにこの研究が設計された。
PKの適用(PK(S))は、感度(電荷 対 参照BG勾配)を増大し、参照BGとの相関性を改善し、時間に伴うシグナル減衰を低減することによって、分析物モニタリングデバイス(例えば、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイス)の性能を改善するために提案されている(例えば、公開された米国特許出願番号US20020026110およびPCT国際特許出願番号WO01/88534を参照のこと)。
このPK(S)法は、例えば、PKを使用する両側指数型経験モデルとして電荷 対 時間をモデル化し、無限大の時間での電荷評価値(S)を取得して、この値を、7分積分を使用する代わりに、Mixture of Experts(MOE)アルゴリズム(Kurnik,R.T.,Sensors and Actuators B 60,1(1999);米国特許第6,180,416号および同第6,326,160号)におけるインプットとして使用した。PK(S)法を用いた電荷を評価することによって、このPK(S)法を、7分積分法と比較した場合、感度が改善された。以下の本明細書において、この方法は、より詳細に議論されている。
PK(S)法は、誤差補償データ処理法であり、この時間依存的応答曲線(過渡的領域)の初期部分からのシグナルを使用して、平衡(または全ての関連する反応の完了時)でのこの系について測定されるシグナルを予測する(例えば、PCT国際特許出願番号WO01/88534を参照のこと)。これは、適切なモデルおよび曲線当てはめ方法を用いて達成される。このPK(S)法は、図15を参照して、本明細書中で例示される。図15において、曲線の動的部分は、およそ0〜180秒の領域であり、曲線の平衡部分は、およそ180秒〜400秒である。ここで、GlucoWatchバイオグラファー電荷シグナルの最初の3分間のデータに当てはめるために、適切な数学モデルが使用される。この電荷シグナル(図15において点として示される)は、上記バックグラウンド補正した電流シグナルの直接の積分から得られた。(この方法(7分定点積分と称される)は、例えば、GlucoWatchバイオグラファーにおいて使用される。)図15における曲線は、非線形当てはめ手順の結果を表す。これは、電流シグナルの直接の定点積分から得られたものよりかなり大きい、7分における最終電荷シグナルを予測する。明らかに、定点積分結果に関して何らかの誤差が存在する。なぜなら、累積された電荷シグナルに対する負の寄与が得られない(すなわち、真の電荷シグナルが下降を示さない)からである。この特定の場合における誤差の理由は、以前のバックグラウンド方法を使用することによって、アノードサイクルから誘導されるバックグラウンド電流の過剰評価である。図12は、以前のバックグラウンド方法のグラフ表現を提供する。以前のバックグラウンド方法において、アノードサイクルの最後の2つのデータ点が平均されて、ベースライン値を確立し、次いで、これは、カソード検出サイクル(これは、以下にさらに記載される)によって提供されるデータから減算される。以前のバックグラウンドが、真のバックグラウンド電流より大きい場合、過剰に補正された電流シグナルは、十分に長い時間にわたって負になり、電荷シグナルの低下の観察を導く。しかし、図15に示されるように、PK方法は、この誤差を効果的に補償する。さらに、PK型の方法によって予測される電荷から計算されるグルコース濃度はまた、他の実験変数(例えば、pH、緩衝液濃度、ヒドロゲルの厚さ、温度、およびPt/C電極の電極動力学(感度)のゆらぎ)に対する減少した依存性を示すことを示し得る。
1つの実施形態において、実験データを当てはめるために使用される実験的PKモデルは、時間の2つの指数関数の合計に、電流バックグラウンドに対応する定数項を加えた形態を有する。換言すれば、電流シグナルは、以下の式:
Figure 0004574647
によって近似され、ここで、tは、時間を表し、I(t)は、時刻「t」における電流シグナルであり、ベースラインバックグラウンドは、c0によって表され、対(c1,k1)および(c2,k2)は、原理的に、2つの別個の一次型プロセスを記載すると解釈され、これらのうちの1つは、他方(例えば、2と索引を付けられるもの)より速い(例えば、1と索引を付けられるもの)。従って、k1およびk2は、これらの仮定プロセスの見かけの崩壊速度である。項c0、c1およびc2は、指数の前の項であり、これらは、それぞれバックグラウンド、第一反応、および第二反応についての、t=0における電流の寄与に対応する。実際に、この単純な解釈は、ある程度の範囲までのみ正当化される:グルコース検出の場合において、変旋光は、式(1)における
Figure 0004574647
のような指数関数の形態の、別の電流−シグナル寄与を導く、1つの可能な物理的プロセスである。(いずれの特定のモデルによっても拘束されることを望まないが、以下の議論は、本発明の一般的な理解の促進を補助するために提示される。変旋光は、通常、最も遅いプロセスであるので、この場合における議論の目的で、本明細書中で索引2を割り当てられる。しかし、変旋光は、この形態に一致するが、この形態に必ずしも応答性でなくてもよい。)他の全ての関連する物理的プロセスおよび化学的プロセス(例えば、拡散、電極の動力学、過酸化物の欠乏など)を記載するパラメータは、c1およびk1(ならびに電流シグナルについての正確な式に現れ、式(1)において省略される、さらなる指数関数項のパラメータ)にたたみ込まれる。
その結果、指数関数
Figure 0004574647
は、厳密にいえば、各々が単一の物理的プロセスを記載するとは解釈され得ない。それにもかかわらず、式(1)(以下のモデル(1)もまた参照のこと)は、一次平行モデルと称される。さらに、第一反応(または速い反応)および第二反応(または遅い反応)という用語は、本明細書中において使用される場合、典型的に、このような規定された物理的プロセス(例えば、第一反応
Figure 0004574647
および第二反応
Figure 0004574647
)を参照する便利さのために、使用され、単一工程の化学反応を単に暗に参照することを意図されない。
式(1)の積分は、以下のような電荷シグナルについての式を導く:
Figure 0004574647
式(2)において、これらの項は、上で定義されたものと同じであり、Q(t)は、時刻「t」における電荷である。バックグラウンド電流c0が正確に決定され、減算されると仮定し、さらなる融通性のために過剰の項S0を導入すると、電荷シグナルについての以下のPKモデルが得られる:
Figure 0004574647
i/kiをSiで置き換えると、以下の式が得られる:
Figure 0004574647
PKのこの適用(本明細書中でSPKまたはPK(S)と称される)において、両側指数関数(bi−exponential)モデル(平行一次、式3B)を積分データに当てはめ、パラメータ{S0,S1,S2,k1およびk2}を、測定された電荷値と推定電荷値との間の誤差を最小にするように、最適化した。次いで、係数{S0,S1およびS2}を合計して、t=∞における最終電荷を推定した。式(3B)において、{S0,S1およびS2}ならびにQ(t)は、電荷の単位(nC)を有し、{k1およびk2}は、時間-1の単位(1/秒)を有する。
このSPK適用は、時間定数{k1およびk2}がグルコース濃度に無関係であると仮定し、時刻無限大における電荷S=S0+S1+S2(最終吸光度)を推定するために{S0,S1およびS2}のみを使用する。
原則的に、式(1)が電流シグナルに当てはめられ得るか、または式(3Aまたは3B)が、電荷シグナルに当てはめられ得るかのいずれかであり、得られるパラメータは、一致するべきである(例えば、得られるk1およびk2は、同じであるべきである)。しかし、電荷シグナルは、一般に、雑音が少ないので、電荷曲線は、好ましくは、サイクルの特徴付けのために使用される。図15に示される曲線は、式(3A)を使用して得られた。
非線形当てはめ(モデルパラメータの最適化)は、適切な最小化アルゴリズム(例えば、Levenberg−Marquardtアルゴリズム(非線形曲線当てはめアルゴリズム、Press W.H.ら、「Numerical recipes in FORTRAN.The art of scientific computing」第2版、Cambridge University Press,New York(1994)))の1つを使用して実施され得る。他の適切なアルゴリズムは、本明細書を考慮して、当業者に明らかである。Levenberg−Marquardtアルゴリズムは、標準的な非線形最小二乗ルーチンであり、これは、現実によく働く。これは、ノイズの多いシグナルを取り扱うために十分に頑丈であり、十分に迅速であり、その結果、これは、小さい、さほど強力ではないマイクロプロセッサにおいて実行され得る。
一旦、PKモデルが、電荷シグナルの最初の部分(典型的に、最初の3分)に当てはめられ、パラメータSiおよびkiが決定されると、化学反応の完了時に測定される総電荷シグナルSが、t→∞を取ることによって、式(3B)から推定され得る。この結果は、以下の式である:
=S0+S1+S2 (Eq.4)
は、見かけの崩壊速度k1およびk2の値に依存しないことに注目のこと。これは、平衡電荷シグナルの推定を与えるはずである。いくつかの状況において、Sは、従来の7分定点積分方法から得られた電荷シグナルより良好な、実際のBG値に相関する。
(3.0.0 本発明の一般的な概説)
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、特定の型のマイクロプロセッサ、モニタリングシステム、計算方法またはプロセスパラメータに限定されないことが、理解されるべきである。なぜなら、このような特定のものの使用は、本明細書の教示に鑑みて選択され得るからである。本明細書中で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態を記載する目的のみであり、限定を意図されないこともまた、理解されるべきである。
本発明を支持して実施される実験は、予測されない事象(本明細書中で、1/k2効果と称される)を含まなかった。両側指数関数モデルを、ヒト被験体からのデータに当てはめることにより、見かけの速度定数の小さい方(k2)の逆数が、モニタリングされている被験体中の分析物(例えば、血中グルコース)の濃度または量を、ずばぬけて良好に追跡することが観察された。さらに、1/k2シグナルは、小さいシグナル減衰を示し、優れたシグナル処理アルゴリズムにおいて使用され得る。本発明は、分析物モニタリングデバイス(例えば、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイス)の性能およびこのようなデバイスの信頼性の、1/k2効果を利用する改善のための方法を記載する。本発明は、さらなる例えば、センサーの感度の経時的な低下を補償することを補助するために有用な、PK型シグナル処理方法を包含する。本発明の利点としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(i)シグナル減衰の減少(これは、GlucoWatchバイオフラファーモニタリングデバイスの文脈で、引き続いて、GlucoWatchバイオフラファーの典型的な12時間を超えるモニタリング時間を延長する)、(ii)分析物の測定時間の減少(例えば、グルコースの抽出とGlucoWatchバイオフラファーモニタリングデバイスの読取りとの間の遅れ時間の減少)、(iii)例えば、データの完全性のチェックの結果として表示されない分析物の読取り(例えば、GlucoWatchバイオフラファーモニタリングデバイスシグナルの種々の型の雑音に起因する)の数の減少、および(iv)分析物モニタリングデバイスの全体の正確さの改善(この方法は、本明細書中で、例えば、第2.0.0節 予測速度論(PK)においてさらに詳細に議論される)。
以前に記載された方法とは異なり、本発明は、分析物濃度(例えば、グルコース濃度)の情報を、指数関数の時間定数から抽出することを提唱する。本発明は、最初、類似の原理および処理技術を使用して、曲線およびモデルを過渡的データに当てはめるが、本発明は、異なる予測変数を使用して、関連する情報を抽出する。
本発明の1つの特徴において、遅い反応定数(k2)は、分析物の量または濃度を計算するために使用される。例示的な実施形態において、上記式(3A)は、シグナル応答曲線の過渡的領域をモデリングするために使用される(例えば、図15に示されるシグナル応答曲線の0秒〜180秒を参照のこと)。他の例示的な数学的式(モデル)が、以下に提示される。数学的モデル(例えば、式(3A))は、反復的に、シグナル応答曲線の過渡的領域を当てはめるために適用される。さらに、誤差最小化アルゴリズム(例えば、Levenberg−Marquart最小化アルゴリズム)が、数学的関数を曲線に当てはめる際に使用される。典型的に、反復計算は、誤差の最小値が位置付けられるまで継続される(すなわち、パラメータがそれらの最小化された値の外側に調整される場合、誤差が増加する)。あるいは、反復計算は、さらなる有意な変化が、関連する誤差において見られなくなる場合に、完了される。曲線の当てはめが完了した後に、c1、c2、k1およびk2の推定値が得られた。以下に記載されるように、Kmin、Kratio、および/またはKmax/minが、較正係数と組み合わせられて使用され、分析物の量または濃度を提供し得る。
Figure 0004574647
ここで、ACは、分析物の濃度または量であり、Kminは、最も遅い時間定数(例えば、式3Aに基づいて、Kminは、1/k2である)であり、ACcalibは、較正の時点での分析物の濃度または量であり、Kmin/calibは、較正の時点での最も遅い時間定数である(すなわち、上記のように曲線の当てはめおよび反復計算から得られ、ここで、この曲線は、較正の時点に行われた分析物較正測定に対応する、シグナル応答曲線である)。
本発明の別の特徴において、補正されていない電荷値(これは、シグナルの崩壊に供される)に、対応する(1/c2)値が乗算され、シグナル減衰に対する補正が提供される。例えば、シグナル応答曲線に対応する所定の電荷測定について、遅い「c」値は、上記のように計算される。次いで、この値の逆数に、補正されていない電荷値を乗算して、任意のシグナル減衰を補償する。c2は、シグナル減衰に比例するので、この値の逆数は、各サイクルについての利得率(G)として使用されて、推定された電荷におけるシグナル減衰を補償し得る(例えば、GlucoWatchバイオグラファーについては、7分積分またはPKにより推定された電荷)。このような利得率は、以下のように推定され得る:
Figure 0004574647
図14および15に示されるように(定義の節、1.2.2 GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスのデバイス作動を参照のこと)限られた時間枠内で、ソフィスティケーテッドアルゴリズム(例えば、Mixtures of Experts(MOE))を使用して、シグナル減衰を補償し得る。しかし、ここで、本発明の1つの特徴は、シグナル減衰の問題を取り扱うための新たな方法を記載する。上記適用に加えて、指数関数および指数の前の係数(例えば、c1、c2、k1およびk2)を、MOEアルゴリズムへの入力パラメータとして使用し得る。
本発明のなお別の特徴において、データ点の条件付スクリーニングが、分析物モニタリングデバイスにおいてスキップされる測定を減少させるために、使用される。1つの実施形態において、測定値に関連するデータスクリーンが、測定値がスキップされるべきであることを示す場合、その測定値に関連する、さらなる選択されたデータスクリーンが試験される。これらのさらなる選択されたデータスクリーンが、認容可能な範囲に入る場合、この測定値は、スキップされずに認容される。本発明の1つの実施形態において、測定値(例えば、イオン泳動サンプリングデバイス、およびグルコースの量または濃度に関連するシグナルの電気化学的検出を使用して得られたグルコースの量または濃度)が、汗の値に基づいてスクリーニングされる。汗の値(例えば、皮膚伝導性の読み取り)が、関連する測定値がスキップされるべきであることを示す場合、さらなるデータ保全性スクリーンが試験される(例えば、ピークセンサー電流および/またはバックグラウンド電流)。さらなるデータ保全性スクリーンが、認容可能な範囲に入る場合、典型的に、経験的に決定され、次いで、測定値が認容される。1つ以上のさらなるデータ保全性スクリーンが、認容可能な範囲外にある場合、この測定値はスキップされる。複数のデータ保全性のスクリーンが使用されるので、この方法は、複合データ保全性スクリーニングと称される。本発明のこの特徴の別の実施形態において、非単調性を示すデータ点が、関連する測定値がスキップされることを示唆する場合、測定値に関連するシグナル全体に対する非単調性事象の寄与の程度が評価される。非単調性事象の寄与の程度(例えば、シグナルの百分率)が、予め決定された閾値未満、または予め決定された範囲内である場合、測定値は認容される。この閾値または予め決定された範囲は、典型的に、経験的に決定される。非単調性の事象の寄与(例えば、シグナルの百分率)の程度が、予め決定された閾値より大きいか、または予め決定された範囲外である場合、測定値はスキップされる。本発明は、このような複合データ保全性スクリーン(典型的に、決定樹(すなわち、一連の論理的なイフ/ゼン文)の形態)、方法の実行を制御するためのプログラミングを含む、1つ以上のマイクロプロセッサ、およびこのような1つ以上のマイクロプロセッサを備える分析物モニタリングシステムに関する方法を包含する。
なお別の特徴において、本発明は、内挿および/または外挿された分析物測定値をスクリーニングするための方法に関する。典型的に、スクリーンは、内挿または外挿された値の計算の前に実施され、このような内挿値および/または外挿値が、認容可能な誤差より高いか否かが決定される。すなわち、これらのスクリーンは、因子または基準を制限するために使用され得る。あるいは、内挿/外挿された値が計算され得、次いで、さらなるスクリーンに提示される。さらに、さらなるデータスクリーン(例えば、本明細書中以下に記載される、複合データの完全性のチェック)が同様に適用されて、失われた分析物関連測定値を提供するための内挿および/または外挿がなお必要であるか否かが決定され得る。
例えば、内挿値および/または外挿値は、最良の内挿された候補および/または外挿された候補を同定するために、データスクリーンに提示される。さらなるスクリーンが、内挿値および/または外挿値に適用されて、認容可能な誤差より高い誤差を有するものが、分析物読み取りに寄与することを防ぐ。例示的なさらなるスクリーニング基準としては、センサーの一貫性のチェック(以下に記載される)の使用、較正からのバックグラウンド浮動(すなわち、バックグラウンド測定における変化)による、内挿/外挿測定値に関連するスクリーニング測定サイクルならびに/あるいはデルタ温度(すなわち、経時的な温度測定における変化)の値が挙げられるが、これらに限定されない。このようなバックグラウンドの浮動またはデルタ温度値が、予め決定された認容可能な範囲の外側であるか、または予め決定された閾値を超える場合、対応する測定サイクルは、測定値の内挿および/または外挿のために使用されない。すなわち、これらのスクリーンは、内挿または外挿された測定値を制限するために、使用される。
さらなるスクリーンが同様に適用されて、内挿および/または外挿が、失われたシグナルに対して実施されるべきか否かを決定し得る。例えば、2センサーシステム(例えば、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイス)において、内挿または外挿のための別のスクリーンは、内挿/外挿計算において使用される2つのセンサーの間の比が、計算されたスキップされたサイクル積分から特定の量の時間内で計算されなければならないものである。これは、単一センサーシステムに対して同様に適用され得、ここで、時間制限は、最後のクリーンな測定(これは、内挿/外挿計算において使用される)から経過した時間の長さに関して設定される。同様に、このアプローチは、2個より多いセンサーを有する複数センサーのシステムに適用され得る。
さらなるスクリーンが同様に適用されて、内挿および/または外挿が実際に必要であるか否かが決定され得る。例えば、シグナル(および対応する測定値)が、単一のスクリーンに基づいてスキップされた場合、複合データ保全性チェック(本明細書中に記載されるような)は、シグナルがスキップされるよりむしろ認容されるべきであることを示し得る。
本発明は、内挿および/または外挿(あるいは測定値の内挿および/または外挿が実施されるべきか否かの決定)によって得られた測定値をスクリーニングする方法、このような方法の実行を制御するためのプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサ、ならびにこのような1つ以上のマイクロプロセッサを備える分析物モニタリングシステムを包含する。
本発明のなお別の特徴において、種々の積分方法が、単独でかまたは組み合わせで使用されて、最大積分値(例えば、分析物の量または濃度に関連する電荷測定値)を得ることができる。アノードベースライン減算が、積分の前のベースライン補正のために使用され得る。この方法は、Maximum Cumulative Integration方法および/またはMaximum This or Previous Integration方法(両方、本明細書中以下で記載される)と組み合わせられ得る。さらに、決定樹が、適切な積分ストラテジーの選択のために使用され得る。例えば、過剰の減算が存在しない場合、積分の前の減算のために、以前のアノードベースラインを使用する。過剰の減算が存在する場合、Maximum Cumulative Integrationを使用する。または別の実施形態において、過剰の減算が存在しない場合、積分の前の減算のために、以前のアノードベースラインを使用する。過剰の減算が存在する場合、現在のサイクルについて最後の2つのカソード測定値を使用して、積分の前の減算のためのベースラインを確立する。
本発明は、択一的積分の方法、積分様式を選択する方法、このような方法の実行を制御するためのプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサ、およびこのような1つ以上のマイクロプロセッサを備える分析物モニタリングシステムを包含する。
なお別の特徴において、本発明は、MOE様アルゴリズム(すなわち、調整可能なパラメータの最適化を必要とする任意のモデル)において使用するための、パラメータの改善された最適化に関する。本発明のこの特徴の1つの実施形態において、1つの改善された最適化方法は、MOEトレーニングプロセスを早く(すなわち、モデル係数が完全に収束される前に)停止することである。トレーニングをいつ停止するかを選択するための1つの方法は、交差確認である。本発明のこの特徴の別の実施形態において、択一的ペナルティー関数の使用は、より強靭なモデルを導き得る。例示的なペナルティー関数としては、MARE(平均絶対相対誤差;単独でかまたは他の関数と組み合わせて使用される)、Lorenzian Error、Kovatchev's Low/High BG Risk Index(例えば、Kovatchev,B.P.ら、J.Theoretical Medicine 3:1−10(2001)を参照のこと)、費用関数(例えば、Bellazzi,R.ら、IEEE Engineering in Medicine and Biology,January/February 2001,54−64頁を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、最小の偏りを示すMOEモデルを開発する目的で、ペナルティー関数は、MOEモデルから決定された実際のDeming勾配と、所望のDeming勾配との間の絶対的な差を含むように、拡張され得る。例えば、MOEトレーニングプロセスにおけるペナルティー関数は、MARE+W|m−mT|であり得、ここで、mは、MOEモデルによって予測されたDeming勾配であり、mTは、目標Deming勾配(典型的に、mT=1)であり、Wは、MAREの推定値に依存する重み付け係数である。本発明のこの特徴のなお別の実施形態において、対になった点の特定の分布の最適化が、MOE型モデル(および調整可能なパラメータを用いる他のモデル)を最適化するために使用される。対になった点は、例えば、独立して測定された、標的分析物の量または濃度(例えば、グルコース濃度値)をx座標として、対応するモデル予測値を対になったy座標として提示することによって、構築される。次いで、x−y平面が、種々のレベルの分析物モニタリングデバイスの正確さおよび有害な臨床的結果の可能性に対応する、いくつかの領域に分割される。本発明の1つの実施形態において、数学的危険関数F(これは、数値を、特定のカテゴリー(領域)内の各対になった点(pp)に割り当てる)が構築される。次いで、ここの危険関数が使用されて、全危険関数が提供され、この全危険関数が、最小にされ得る。
本発明のこの特徴は、MOE様アルゴリズムにおいて使用するためのパラメータの、改善された最適化の方法、このようなアルゴリズムに対するこのようなパラメータを提供する方法、このような方法の実行を制御するためのプログラミングを含むアルゴリズム、およびこのような最適化されたパラメータを使用する分析物モニタリングシステムを包含する。
本明細書中に記載される方法に加えて、本発明は、本明細書中に記載される方法のいずれかの、単独でかまたは組み合わせでの実施を制御するためのプログラミングを含む、1つ以上のマイクロプロセッサを包含する。1つ以上のマイクロプロセッサは、1つ以上の関連するデバイス(これらは、作動可能に組み合わせられている)の作動(例えば、感知、サンプリング、送達など)、1つ以上の測定サイクルの実施、値(例えば、測定値、電流値、電荷値など)の提供、および/または工程の反復を制御するための、さらなるプログラミングを含み得る。本発明の1つ以上のマイクロプロセッサはまた、さらなるプログラミング(例えば、1/k2方法、1/c2方法、決定樹、条件付スクリーニング方法、内挿/外挿方法、データスクリーニング基準、択一的積分方法を実施するため、および/または最適化されたパラメータを使用するため)を含み得る。さらに、本発明は、例えば、検知デバイスと作動可能に組み合わせられた、本発明の1つ以上のマイクロプロセッサを備える、分析物モニタリングシステムを包含し、ここで、この1つ以上のマイクロプロセッサは、典型的に、検知デバイスの作動を制御するためのプログラミングをさらに含む。さらに、分析物モニタリングシステムは、サンプリングデバイスをさらに備え得、ここで、この1つ以上のマイクロプロセッサは、典型的に、サンプリングデバイスの作動を制御するためのプログラミングをさらに含む。
本発明およびその分析物モニタリングデバイス(例えば、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイス)に対する応用が、本明細書中で説明される。以下の説明は、分析物としてグルコースに関して例示されるが、本明細書の教示を考慮して当業者に明らかであるように、本発明は、他の分析物に関連する分析物に対して広範に適用可能である。
(3.1.0 本発明の1/k2関連方法における予測速度論(PK)に基づく曲線当てはめおよびパラメータ概算の使用)
上記の一般的な方法およびデバイスは、もちろん、広範な種々の検出システム、標的分析物および/または感知技術で使用され得る。特に適切な組み合わせの決定は、本開示によって指示される場合に、当業者の範囲内である。これらの方法は、システム中の任意の化学的分析物および/または物質を測定するために広く適用され得るが、本発明は、グルコースまたはグルコース代謝を定量または定性するために電気化学的バイオセンサーを使用するイオン泳動サンプリングデバイスにおける使用について、明らかに例示される。
(3.1.1 時間定数からグルコース濃度情報を抽出するための処理プロセス)
例示的な分析物モニタリングシステムとしてのGluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスの一般的機能は、定義の節1.0.0〜1.1.2で上記されている。
(A.平均化ベースラインを計算する)
分析物測定方法についての平均ベースラインが決定される。平均化ベースラインは、種々の方法で計算され得る。例えば、アノードサイクルの少なくとも2つの電流読み取りが、ベースラインを概算するために使用され得る(例えば、ベースラインを示すために使用される平均読み取りを得るために、最後の2つの電流読み取りを使用することによって)。図1は、生のGluco Watchバイオグラファーデータの典型的な全測定サイクルのプロットを示す。この例において、カソードサイクルは、血中グルコース(BG)情報を有し、アノードサイクルは、センサベースライン情報を提供する。ベースラインを概算するための他の方法が使用され得る(例えば、公開された米国特許出願番号US20020026110号およびPCT国際特許出願番号WO01/88534号を参照のこと)。
(B.カソードサイクル測定から平均化アノードベースラインを差し引く)
データ収集後、アノードサイクルからの上記の平均化ベースラインを、カソードデータから差し引く(図2)。
(C.時間に関するベースラインを差し引いたカソードサイクルの積分をとる)
次に、このデータは、異なる測定時間で総電荷を得るために、経時的に積分される。電荷および測定された電流は、図3に示される。
(D.最初の3分間の積分されたデータ(一時的データ)を使用し、15秒目から開始する等式(3A)においてモデル(これは、最初の計算された電荷値および計算値に対応する)を当てはめ、各カソードサイクルについての計算値{c0、c1、c2、k1およびk2}を計算する)
例えば、平行な一次モデルを使用して、図3中の曲線のいずれかを数学的にモデル化し、適切な最小化アルゴリズムによってモデルパラメータを最適化することが可能である。他の数学的モデルが以下に示される。この研究において、Levenberg−Marquart最小化アルゴリズムが使用されるが、任意の他の十分研究された誤差最小化技術(例えば、単純な最適化方法)(例えば、「Numerical Recipes in C」、第二版、Cambridge Univ.Press,1992に記載される誤差最小化方法)もまた使用され得る。
等式1は、上記の平均化ベースラインが差し引かれたカソードサイクル電流値(例えば、図3の四角)を示す、平行一次モデルである。等式1において、「i(t)」は、経過時間「t」での電流であり、「c0」は、実際のベースラインおよび測定されたベースラインにおける差異に起因する最終電流値を示し、「c1」および「c2」は、それぞれ、第一および第二の反応についてのt=0での電流寄与に応答する前指数関数(pre−exponential)項であり、「k1」および「k2」は、それぞれ、第一および第二の反応についての速度定数であり、「t」は、経過時間を示す。
Figure 0004574647
速い反応は、「c1、k1」対によって近似される。遅い反応は、「c2、k2」対によって近似される。この等式において、{c0、c1およびc2}は、電流の単位(nA)を有し、{k1およびk2}は、時間-1の単位(1/秒)を有する。
電流モデルが時間に関して積分されると、電荷モデルが得られる。等式2は、電荷曲線(図3の菱形)についての平行一次モデルである。
Figure 0004574647
等式2において、「Q(t)」は、経過時間「t」での電荷を示し、「t」、「c0」、「c1」、「c2」、「k1」および「k2」は、上記定義の通りである。電流データまたは電荷データのいずれかから概算された{c0、c1、c2、k1およびk2}パラメータは、測定値中にノイズが存在しない場合と同じであるはずである。ベースラインでの電流シグナルc0は、0になるように決定および差し引かれ、従って、項c0tを約0にする。さらに、実験的な観察は、さらなる項S0(当てはめられたパラメータ)を、柔軟性のためにこの等式に付加することが有用であることを示した。これらの変化を等式2に適用することにより、等式3Aが得られる。
Figure 0004574647
電荷値は、電流値の経時的な積分の結果であり、測定値ノイズにあまり感受性でないので、電荷曲線(等式3A)は、サイクル特徴を概算するために好ましい。しかし、同じ分析が、等式1によってモデル化された電流値を使用して実施され得る。
(E.時間定数{k1およびk2}から、各サイクルについてのグルコース濃度情報を得る)
以下に示されるのは、分析物の量または濃度(例えば、Gluco Watchバイオグラファーのヒドロゲル中のグルコース濃度)との相関を提供する3つの例示的方法である。第二および第三の方法は、第二の方法についてのデータのみが示されるのと類似の情報を示す。
(a)Kmin:より遅い時間定数の逆数を計算する
Figure 0004574647
図4において、データは、Kmin(1/k2)が、参照BGパターンに従い、3つ全てのBGピークを捕捉し得ることを実証した。Kminは、シグナル減衰の対象ではなかった。
(b)Kratio:時間定数の比の合計を計算する。
Figure 0004574647
図5に示されるデータは、図4と類似の特徴を示す。Kratioはまた、3つ全てのピークを計算し得、Kminに対する代替法である。
c)Kmax/min:より速い機構の時間定数の、より遅い機構の時間定数に対する比を計算する。
Figure 0004574647
max/minは、Kratioについて上記で示したように、分析物の量または濃度(例えば、グルコース濃度)と相関され得る。
あるいは、一連の1/k2値は、重み付け因数を使用して、差示的に重み付けされ得、ここで、重み付け因数の合計は、例えば、以下:
Figure 0004574647
のように、1(すなわち、100%)に等しい(この式において、w1+w2+w3+wn=1.0である)。
(3.1.2 係数から、シグナル減衰情報を得る)
実験的に、生物学的流体と接触した分析物モニタリングシステムから得られたシグナルは、経時的に減衰し得ることが観察されている。これは、移植されたセンサー(例えば、グルコースセンサ)ならびに他の分析物モニタリングシステム(例えば、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイス)で観察される。シグナル減衰は、経過時間の後期において、相対的に小さいシグナルを生じ得る。c2係数は、このシグナル減衰に関連する。本発明を支持して実施した実験は、c2係数がまた、シグナル減衰の対象であることを示し、シグナル減衰パターンとの関係を実証する。任意の特定の理論または仮説に束縛されることを望まないが、以下の説明は、本発明のさらなる理解を促進するために示される。1/k2が分析物(例えば、グルコース)の量または濃度に相関し、かつシグナル減衰の対象ではなく(本明細書中に示されるデータによって例示されるように)、Q(t)がシグナル減衰の対象である場合、c2は、シグナル減衰(等式2をいう)に比例し、これにより、「2」項優位(「2」term dominate)を仮定する。従って、1/c2は、シグナル減衰について補償するために使用され得る。
2は、シグナル減衰に比例するので、その値の逆数は、各サイクルについての利得率(ゲイン因子)(G)として使用されて、概算された電荷(例えば、7分間の積分またはPK概算電荷)におけるシグナル減衰について補償し得る。特定のシグナル応答曲線についてのc2値が使用され得る。あるいは、多数の応答曲線についての平均化(正規化)および/または平滑化されたc2値が使用され得る。一連の値に基づいて正規化値および/または平滑化値を得る方法は、当該分野で公知であり、本明細書の教示を鑑みて本発明に適用され得る。例えば、一連の1/c2値の単純な平均化(例えば、t、t−1、t−2〜t−n(ここで、nは、大きい数までであり得る)の一連の1/c2値の平均化)が使用され得る。あるいは、一連の1/c2値は、重み付け因数を使用して、差示的に重み付けされ得、ここで、重み付け因数の合計は、例えば、以下:
Figure 0004574647
のように、1(すなわち、100%)に等しい(この式において、w1+w2+w3+wn=1.0である)。
例示的な利得率は、以下:
Figure 0004574647
である。
図6に示されるデータは、(1/c2) 対 経過時間についてである。この図において、菱形は、平滑化(1/c2)の第一の点を使用して、正規化された平滑化(1/c2)である。平滑化(1/c2)は、5点移動平均を使用して計算される。平均化(1/c2)の最初の4つの点は、データの平滑化の間に失われるので、これらの点を、正規化バージョンにおいて「1」で置き換えた。データ収集の最初の2時間でシグナル減衰が観察されなかったので、この置換は、結果に影響しない。
図6において、正規化(1/c2)は、異なる較正比(CalRatio)で比較される。CalRatioは、その時点について計算された7分間の積分電荷によって除算された、各参照血中グルコース(BG)測定値である。CalRatioは、Gluco Watchバイオグラファーの感度の逆数(inverse)である。従って、増加するCalRatioは、シグナル減衰を含む。正規化されたc2がシグナル減衰との相関を有する場合、正規化された1/c2は、時間における較正比に従うはずである。正規化された(1/c2)は、時間遅延を有する、時間における較正比に従うことが見出されている。この遅延は、生の(1/c2)値に適用された平滑化の結果であり得る(5点移動平均は、100分の遅延を導き得る)。
図7において、正規化された平滑化(1/c2)値を使用して、Gluco Watchバイオグラファーデータの例示的なセットにおける、元々のPK電荷概算におけるシグナル減衰について補償した。未補正の電荷値(四角)(これは、シグナル減衰の対象である)を、対応する(1/c2)値を乗じて、補正されたPK電荷の概算(三角)(これは、シグナル減衰がより小さい)を計算した。血中グルコースは、黒の菱形で示される。この補正は、最初の8時間のPK電荷概算の性能を変化させなかった;しかし、この補正は、モニタリング期間の第二の8時間および第三の8時間において、より効率的な性能を提供し、遅いピークの捕捉を補助した。
これらのデータは、c2がシグナル減衰に比例し、この値の逆数が、各サイクルについての利得率(G)として使用されて、シグナル減衰を補償し得ることを実証する(例えば、時間tにおける電流シグナルまたは電荷シグナルは、この利得率によって乗算されて、シグナル減衰が補償された、より正確な電流シグナルまたは電荷シグナルを得ることができる。
(3.1.3 性能)
本発明の1/k2関連方法の性能を、Gluco Watchバイオグラファーから得られたデータを使用して、グルコース分析物について評価した。Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスの機能は、本明細書中に記載される(例えば、定義の節1.0.0〜1.1.2を参照のこと)。
Gluco Watchバイオグラファーから得られたデータを、経時的にシグナル減衰について評価した。これらのデータを、2つの方法(SPK適用法および7分積分法)で処理した。これら両方の方法は、電荷シグナル概算が、類似のシグナル減衰を示したことを示した(実施例1)。これらの結果は、SPK法の適用が、シグナル減衰について完全には補償しないかもしれないことを示唆する。
1/k2効果(すなわち、本発明の1特徴)は、以前のバックグラウンド差し引き(previous−backgrund−subtracted)電流シグナルから計算された最初の3分間の電荷データ(nC)シグナルが、例えば、等式3Aによって与えられたPK二指数関数的モデルに当てはめられる場合に、現れる。従って、典型的には、k2の逆数(1/k2)(ここで、k2は、当てはめから得られた見かけの減衰速度の小さい方である)は、参照BGを非常によく追跡する。言い換えれば、1/k2は、ヒドロゲル中のグルコース濃度に比例する。任意の特定の理論または仮説に束縛されることを望まないが、本発明の理解の促進を補助し得る1つの仮説は、より高いグルコース濃度が、ヒドロゲル中に存在する最も遅い化学プロセスの減速を導き、これが、非線形当てはめによって計算された対応する時間定数に反映されるというものである。さらに、経過時間の関数としての1/k2シグナルは、非常に僅かなシグナル減衰を示した。1/k2効果を示す例示的なデータは、実施例2に示される。
本発明の方法(すなわち、分析物の量または濃度の概算のための1/k2方法、およびシグナル減衰について補正するための利得率の使用)の利点を実証するために、以下の実験を実施した。Kmin(等式3Aに関して、これは、1/k2に対応する)およびKratio(等式3Aに関して、これは、{k1/k2+k2/k2}に対応する)の両方の分析を、119 Gluco Watchバイオグラファーから得られたデータセットに対して実施した。各カソードサイクルについての{c0、c1、c2、k1およびk2}値の計算を、上記および実施例3に記載した。Kmin分析およびKratio分析を計算し、参照BG値と対にした。
minまたはKratio 対血中グルコースの線形回帰線の傾きは、経時的なシグナルの安定性を示す。減衰するシグナルは、経時的な傾きの減少を示す。この実験におけるGluco Watchバイオグラファーの測定時間は、約26時間であった。この時間を、各々約8時間の3つの間隔に分割した。
表5(実施例3)において、異なる時間間隔での各方法(KminおよびKratio)についての平均化相関値を示す。新規適用についての相関値は僅かに低いが、より小さいセグメントにおけるKminの低い相関は、k2概算におけるバリエーションに起因し得、予測パラメータを最適化することによって補正され得る。しかし、k2概算におけるこれらの僅かなバリエーションでさえも、この適用の全体的な性能に影響を及ぼさなかった。表5に示されるデータは、KminおよびKratioが25時間の実施(表3中のALL)において、良好な平均化相関を示したことを示す。
表6(実施例3)において、異なる時間間隔での各方法についての平均化した傾きが示される。KminおよびKratioは、シグナル減衰を示さずに、全ての間隔について一定の傾きを示した。さらに、全体的なKminは、より高い平均化した傾きを有し、これは、より高い感度を意味する。
minおよびKratioが、シグナル減衰の対象であるかどうかを調査するために、間隔間の傾き比を計算して、1つの間隔から別の間隔への、シグナル減衰を定量した。
表7(実施例3)において、異なる時間間隔での各方法についての平均化した傾き比が示される。KminおよびKratioの両方が、全実施にわたってほぼ一定のシグナルレベルを維持し、このことは、これらのパラメータが、シグナル減衰の影響とはほぼ無関係な分析物の量または濃度の概算を提供したことを示す。
min(1/k2)は、分析物の量または濃度(例えば、Gluco Watchバイオグラファーのヒドロゲル中のグルコース濃度)に比例する。より少ないシグナル減衰を有する、参照BGに対するKmin(1/k2)の高い相関は、そのKminを、より短い準備時間を有するさらなる世代のGluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスの使用可能な持続期間を増大させ得る代替のアルゴリズムへの入力としての価値のある候補にする。従って、KminおよびKratio値自体は、分析物の量または濃度の概算として使用され得るか、あるいはこれらの値は、より複雑なアルゴリズム(例えば、MOE)における入力パラメータとして使用されて、分析物の量または濃度を提供し得る。
さらに、実施例4で考察されるデータは、1/k2方法が、SPK法および標準的な7分積分法と比較して改善を提供することを示した。この1/k2方法は、より高い感度、より小さいシグナル減衰およびより高い全体的相関を与えた。
本発明を支持して実施された実験から得られたデータ(例えば、1/k2効果)を分析しながら、PKパラメータであるS2およびk2(等式(3a)および等式(3b))についての関連する観察を行った。係数S2およびk2(これら両方の量に、PK等式(3A)を、電荷シグナルの最初の3分間のデータに当てはめることから得られた)を乗算することにより、等式(2)における係数c2の概算(c2=S22)が導かれた。係数S1(すなわち、c1/k1に等しい)は、ほぼ、S2よりも小さい桁であり、その結果、後者は、総電荷シグナルSの良好な近似(等式(4))を提供した。(上述の節に示されるように)1/k2効果に起因して、1/k2は、BGについての全ての関連する情報を含み、SPKシグナルSが、有意なシグナル減衰を示すので、等式
Figure 0004574647
は、シグナル減衰についての全ての関連する情報が、c2の時間依存性に含まれることを示す。さらに、c2は、BGと無関係であるはずである。この場合、定量
Figure 0004574647
は、利得率とみなされ得る。これは、SPK方法の枠組みだけでなく、7分積分方法において得られた電荷シグナルの概算におけるシグナル減衰の補償について、有用である。実施例5は、利得率を使用したシグナル減衰についての補償に関するデータを示す。実施例5において電荷シグナルを、7分間の定点方法を使用して計算した(図16のパネル(a)においてプロットされる)。この電荷シグナルを、この電荷シグナルに、正規化して平滑化した利得率Gを乗算することによって、シグナル減衰について補償した。得られたシグナルを、参照BGデータと一緒に、図17のパネル(b)にプロットした。これらのデータは、シグナル減衰補償の記載された手順(利得率を使用して、7分間の電荷シグナルを補正する)が、非常によく働くことを実証する。
分析物の量または濃度(例えば、モニタリングされる被験体中のグルコースレベル)を追跡するための方法としての1/k2効果の直接的な適用は、良好な結果を提供する。さらに、1/k2効果は、センサシグナル減衰を補償するための種々の新規方法を開発するための基礎として使用され得る。本明細書中に記載される1/k2ベースの方法は、より高い感度、より小さいシグナル減衰、および分析物の濃度または量(例えば、参照BG)とのより高い全体的な相関を与えた。
前述の節に記載したデータから見られ得るように、Gluco Watchバイオグラファーによる緊密な血中グルコース追跡が観察される。しかし、Gluco Watchバイオグラファーの性能は、血中グルコースレベルの一般的なモニタリングには全く適切であるが、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスを、なおより使用しやすく、より効率的に、より正確に、低血糖事象の検出および予測により優れたものにする改善が、所望され得る。
(3.1.4 Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスと比較した、本発明の1/k2関連方法の改善)
本発明を支持して実施された実験は、発見された1/k2効果が、新規のシグナル処理方法および新規の優れたアルゴリズム、ならびにこのような方法および/またはアルゴリズムを使用するデバイスを開発するために使用され得ることを実証し、本発明は、このような方法および/またはアルゴリズムを実行するようにプログラムされた1つ以上のマイクロプロセッサをさらに備える。さらに、このような1つ以上のマイクロプロセッサはまた、測定サイクル、サンプリングデバイス、検知デバイスを制御するようにプログラムされ得る。本発明の方法は、分析物モニタリングデバイス(例えば、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイス)の性能および信頼性において、有意な改善を提供する。
本発明の利点としては、以下の利点が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で実証されるように、1/k2効果に基づくアルゴリズムは、分析物モニタリングデバイスにおけるシグナル減衰を補償するために使用され得る。このことは、次いで、分析物モニタリングデバイスの使用可能なモニタリング時間の延長を可能にし得る。1/k2ベースのシグナル処理は、7分間の生体感知(biosensing)時間の最初の3分間についてのみの電流シグナルデータを必要とするので、この方法の適用は、グルコース測定時間の減少(すなわち、グルコース抽出とGluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイス読み取りとの間の遅延時間の減少)を導く。また、データ保全性チェックの一部として現れる多数のスキップは、電流シグナルまたは電荷シグナルにおける種々の型のノイズに対するGluco Watchバイオグラファーの感度、およびグルコースシグナルが低い(すなわち、低血糖範囲)場合の、ノイズに対する低いシグナル比に起因する。1/k2効果および誤差補償SPK方法に基づく、より強力なアルゴリズムの開発は、スキップの数の減少およびノイズに対するシグナル比の改善を導く。これは、特に低血糖範囲における、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイス全体の正確さの改善をもたらす。
1/k2型シグナルは、7分積分またはSPKの電荷シグナルと比較して、いくらかのノイズを含み得るので、本発明の1つの特徴は、血中グルコースについての全ての関連する情報を同時に保存する、シグナル平滑化方法を包含する。
別の特徴において、本発明は、1/k2ベースのシグナル処理方法を当てはめる、自己一貫性データ保全性チェックシステム(すなわち、スクリーン)を包含する。例えば、誤差最小化アルゴリズムの非線形当てはめの集束をチェックするためのスクリーンが、(例えば、Levenberg−Marquartアルゴリズムを使用して)付加され得る。実験データは、スクリーンパラメータを最適化するために使用され得る。
本発明の別の特徴において、MOEシグナル処理アルゴリズム(生シグナルをグルコース測定値に変換するために、Gluco Watchバイオグラファーにおいて使用される)は、1/k2方法を当てはめるために再設計され、新たなデータを使用して再訓練教育される。米国特許第6,180,416号および同第6,326,160号に記載されうるように、MOEは、分析物の量または濃度を概算するための入力パラメータ(例えば、グルコースの量または濃度を概算するための、較正時の経過時間、nCシグナル、CalRatioおよび血中グルコース)を使用する。代替として(または上記パラメータに加えて)、1/k2および/またはc2(もしくは1/c2)は、MOEにおいてパラメータとして付加されて、グルコースの量もしくは濃度のよりよい概算を得得る。MOEアルゴリズムの改変は、入力パラメータを変化させること、さらなるエキスパートを加えること、多数の新規モデルを試験することをおそらく含む。
従って、1/k2効果に基づくアルゴリズムは、被験体における分析物の量または濃度のモニタリングのための、新規のシグナル処理の方法およびアルゴリズムを開発するために使用され得る。上記で示されるように、1/k2効果に基づくアルゴリズムは、シグナル減衰について補償するために使用され得る。これは、次に、分析物モニタリングデバイス(例えば、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイス)の有効モニタリング時間の延長を導く。Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスの場合、モニタリング時間は、24時間以上まで延長され得る。さらに、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスの場合、1/k2ベースのシグナル処理は、7分間の生体感知機関の最初の3分間についての電流シグナルデータを使用し得るので、1/k2方法の適用は、分析物測定時間の減少(すなわち、グルコース抽出とGluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスによって示される測定値との間の遅延時間の減少)を導く。最後に、データ保全性チェックの結果として現れる多数のスキップは、電流シグナルまたは電荷シグナルにおける種々の型のノイズに対する、Gluco Watchバイオグラファーの感度に起因する(例えば、グルコースシグナルが低い場合の、ノイズに対する低いシグナル比に起因する)。1/k2効果および従来の誤差補償PK方法に基づく、より強力なアルゴリズムの開発は、スキップの数の減少およびノイズに対するシグナル比の改善を導く。結果として、例えば、低血糖範囲における、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスの性能の全体的な正確さが、改善され得る。
(3.1.5 他の適用およびモデル)
データセグメントおよびモデルの異なる組合せを用いて、同じ分析を実施し得る。6個の可能なモデルを、以下に列挙する:
Figure 0004574647
モデル1は、式(1)に対応する。モデル3は、式(3A)におよび式(3B)に対応する。表1において、誤差最小化計算に使用されるベースライン減算およびデータ間隔が、これらの6個のモデルの各々について記載される。
(表1.適用選択肢)
Figure 0004574647
開始時間(Ts1,Ts2)および終了時間(Tf1およびTf2)を、図18に示される例示的なデータ曲線を参照して示す。図18において、実際の電荷(nC)は、菱形で示される曲線として表され、測定電流(nA)は、四角で示される曲線として表される。測定時間(秒)を、下側の軸に沿って提供する。例えば、モデル1(電流について)またはモデル3(電荷について)を用いて、Ts1およびTf1を開始時間および終了時間として使用して、モデルが一致する曲線を規定する。ベースライン減算を使用する。指数項および指数の前にある項は、このモデルを曲線に当てはめ、誤差最小化アルゴリズムを用いることによって、両方のプロセス(すなわち、k1、k2、c1およびc2)について得られる。
(3.1.6 本発明の1/k2関連方法の利点)
本発明の1/k2法は、より高い分析物感度およびより小さいシグナル減衰をもたらす。さらに、本発明の利得率は、シグナル減衰について分析物シグナルを余生するための方法を提供する。この1/k2法は、時定数(k1および/またはk2)から分析物濃度の情報を抽出することを提案し、ここで、先のSPK適用は、時定数{k1およびk2}が分析物濃度から独立していると仮定し、時間無限大(S)における電荷を推定するために、{S0、S1およびS2}のみを用いる。さらに、本発明を支持して実施される実験は、予測された式2における係数(c1、特に、c2)が、シグナル減衰に関連した様式で、時間と共に減少することを実証する。
1つの特徴において、本発明は、被験体における分析物(例えば、グルコース)の量および濃度を提供する方法に関する。この方法において、長時間にわたって測定電荷シグナルが得られ、この電荷シグナルは、被験体から抽出された分析物の量および濃度に特に関連する測定電荷シグナル応答曲線を含む。この測定電荷シグナル応答曲線は、速度論的領域を含む。この方法は、(i)数学的モデル、例えば、式(3A)で表されるモデルを使用する:
Figure 0004574647
ここで、「Q」は、電荷を表し、「t」は、経過時間を表し、「S0」は、当てはめられたパラメータであり、「c1」および「c2」は、指数の前にある項であり、この項は、それぞれ、第1の反応および第2の反応の、t=0における電流寄与に対応し、「k1」および「k2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応の速度定数である。他のモデルが、本明細書中に記載される。この方法はまた、モデルをおよび誤差最小化法を使用してパラメータc1、c2、k1およびk2の値を繰返し推定し、予測応答曲線を測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域に当てはめるために、誤差最小化法を使用する。この誤差最小化法は、予測電荷シグナル応答曲線の速度論的領域と測定シグナル応答曲線の速度論的領域との間の差異に基づいて計算された誤差を提供する。また、予測電荷シグナル応答曲線と測定電荷シグナル応答曲線との間の計算された誤差が最小になるまで、または、計算された誤差においてさらなる統計学的に有意な変化が見られなくなるまで(この時点で、これらのパラメータの繰返し推定が停止される)、この推定は繰返し行われる。この繰返し推定および誤差最小化は、これらのパラメータの推定値をもたらす。次いで、この方法は、1/k2をグルコースの量または濃度と相関付け、被験体中の分析物の量または濃度の測定値を提供する。Kmin、Kratio、またはKmax/minも同様に用いられる。
一実施形態において、1/k2は、グルコースの量または濃度と相関付けられ、例えば、以下の式を使用して、較正値を適用する工程を包含する方法によって、グルコースの量または濃度の測定値を提供する:
Figure 0004574647
ここで、Glutは、時間tにおけるグルコール濃度であり、Glucalは、較正時におけるグルコース濃度であり、これは、較正時における推定される1/k2に対応し、(1/k2tは、時間tにおける推定される1/k2である。
一実施形態において、測定電荷シグナル応答曲線を、測定電流シグナル応答曲線の積分によって得た。この積分を実施する前に、バックグランド値を使用して、測定電流シグナル応答曲線のバックグラウンド減算補正を実施し得る。
この方法の取得工程は、一連の測定値を得るために、2回以上実施され得る。一連の測定値が使用される場合、一連の測定値における測定電荷シグナル応答曲線の各々についての予測応答曲線の各々の推定の後、グルコースの量または濃度が、推定パラメータ1/k2の各々に基づいて決定され得る。
本発明の一実施形態において、この取得工程は、分析物を含むサンプルを被験体から収集レザバに抽出して、このレザバ中の分析物の濃度を得る工程を包含する。1つより多い収集レザバが、典型的に、用いられる。この収集レザバは、被験体の皮膚または粘膜表面と接触され得る。この分析物は、例えば、皮膚または粘膜表面に適用されるイオン泳動電流を使用して、皮膚または粘膜表面を横切って抽出され得る。別の例示的な抽出方法は、音波泳動(sonophoresis)またはレーザーデバイスを使用する。収集レザバは、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)を含み得、この酵素は、抽出された分析物を反応して、電気化学的に検出可能なシグナルを生成する。例えば、グルコースオキシダーゼが使用される場合、電気化学的に検出可能なシグナルは、ペルオキシドであり、このシグナルは、バイオセンサー電極の反応性表面で検出される。この実施形態において、測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域は、0〜約180秒の測定期間に対応し得る。本発明はまた、上記の1/k2法を実行するプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサを含む。さらに、本発明は、このような1つ以上のマイクロプロセッサを含む分析物モニタリングシステムを含み、ここでこれらの1つ以上のマイクロプロセッサは、検知デバイスとの作動的組み合わせである。この分析物モニタリングシステムはまた、サンプリングデバイスを備え得、これもまた作動的組合せである。いくつかの例示的な分析物モニタリングシステムが、本明細書中で記載され、これには、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスが挙げられるが、これに限定されない。
別の特徴において、本発明は、被験体中の分析物の量または濃度を検出するために使用される電気化学的センサーのシグナル減衰を補正する方法を包含する。この方法は、電気化学的センサーを使用して、長時間にわたって測定電荷シグナルを得る工程を包含する。この測定電荷シグナルは、測定電荷シグナル応答曲線を含み、この曲線は、特に、被験体から抽出された分析物の量または濃度に関連する。この測定電荷シグナル応答曲線は、速度論的領域を含む。この方法は、以下を使用する:(i)例えば、式(3A)で表されるような、数学的モデル:
Figure 0004574647
ここで、「Q」は、電荷を表し、「t」は、経過時間を表し、「S0」は、当てはめられたパラメータであり、「c1」および「c2」は、指数の前にある項であり、この項は、それぞれ、第1の反応および第2の反応の、t=0における電流寄与に対応し、「k1」および「k2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応の速度定数である(他の数学的モデルが本明細書中で記載される);(ii)誤差最小化法であって、これはモデルをおよび誤差最小化法を使用してパラメータc1、c2、k1およびk2の値を繰返し推定し、予測応答曲線を測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域に当てはめるためである。この誤差最小化法は、予測電荷シグナル応答曲線の速度論的領域と測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域との間の差異に基づいて計算誤差を提供する。予測電荷シグナル応答曲線と測定電荷シグナル応答曲線との間の計算された誤差が最小になるまで、または、計算された誤差においてさらなる統計学的に有意な変化が見られなくなるまで(この時点で、これらのパラメータの繰返し推定が停止される)、この推定は繰返し行われる。この繰返し推定および誤差最小化は、これらのパラメータの推定値をもたらす。電気化学的センサーのシグナル減衰の補正は、測定された電荷シグナルに1/c2に基づいて推定される利得率を掛けることによって達成される。この方法はまた、1/cn項を用い得、ここで、1/cnは、Kmin反応に関連する指数の前の項である。
本発明のこの特徴において、測定電荷シグナル応答曲線は、測定電流シグナル応答曲線の積分によって得られ得る。積分が実施される前に、バックグランドの値が、測定電流シグナル応答曲線のバックグラウンド減算補正を実施するために使用され得る。この方法の取得工程は、一連の測定値を得るために2回以上実施され得る。一連の測定値が使用される場合、一連の測定値における各測定電荷シグナル応答曲線に対する各予測応答曲線の推定の後、利得率が、各推定パラメータ1/c2、および各利得率×測定電荷シグナル(この利得率が推定された予測応答曲線に応答する)に基づいて決定され得る。このような一連の測定値は、例えば、時間t、t−1、t−2などにおける測定電荷シグナル応答曲線を含み得る。一連の測定値からの2つ以上の利得率が、正規化および/または平坦化され得、正規化および/または平坦化された利得率を得、この利得率は、時間tにおける測定電荷シグナルに正規化および/または平坦化された利得率を掛けることによって電気化学的センサーのシグナル減衰を補正するために使用される。例えば、このシリーズは、少なくとも5個の測定電荷シグナル応答曲線を含み得、正規化および/または平坦化された利得率は、(1/c2t、(1/c2t-1、(1/c2t-2、(1/c2t-3、および(1/c2t-4に基づいて計算され得る。
一実施形態において、取得工程は、分析物(例えば、グルコース)を含むサンプルを、被験体から1つ以上の収集レザバに抽出して、1つ以上のレザバ中の分析物の濃度を得る工程を包含する。この収集レザバは、被験体の皮膚または粘膜表面と接触され得、この分析物は、例えば、皮膚または粘膜表面に適用されるイオン泳動電流、音波泳動またはレーザーデバイスを使用して、皮膚または粘膜表面を横切って抽出され得る。1つ以上の収集レザバは、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)を含み得、この酵素は、抽出された分析物を反応して、電気化学的に検出可能なシグナルを生成する。例えば、グルコースオキシダーゼが使用される場合、電気化学的に検出可能なシグナルはペルオキシドであり、このシグナルは、電気化学的センサーの反応性表面で検出され得る。この実施形態において、測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域は、0〜約180秒の測定期間に対応し得る。本発明はまた、上記の方法を実施するためのプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサを含む。
さらに、本発明は、このような1つ以上のマイクロプロセッサを備える分析物モニタリングシステムを包含し、ここで、これらの1つ以上のマイクロプロセッサは、検知デバイスとの作動的組合せである。この分析物モニタリングシステムはまた、サンプリングデバイスを備え得、これもまた作動的組合せである。いくつかの例示的な分析物モニタリングシステムが本明細書中に記載され、これには、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスが挙げられるが、これに限定されない。
従って、本発明の方法は、分析物の量および濃度を決定するための新規の方法、および本明細書中に記載されるPKベースの方法を用いる分析物モニタリングデバイスを使用する場合、シグナル減衰を補償するための方法を規定する。
(3.2.0 条件付きスクリーニング)
本発明は、沈殿期間の間、分析物モニタリングデバイス(例えば、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイス)中のスキップの数を減少させるための方法を提供する。このようなスキップ数の減少を達成するための1つの方法は、問題の任意のデータ点についての2つ以上のデータ保全性チェックを組み合わせることであり、複数データ保全性チェックを作製する。
一実施形態において、複合データ保全性チェックは、分類トリーまたはデシジョントリー(すなわち、if/then命令文の理論系列)の形態をとる。例えば、所定の時点における測定値(例えば、バイオセンサーからの電気化学的シグナル)に関連する1つ以上のデータ点が、異常な挙動を示す(例えば、シグナルの非単調性を示す)場合、この時点に関連する第2のデータ保全性スクリーンが評価される。この第2のデータ保全性スクリーンが許容範囲内にある場合(ここで、この許容範囲は、典型的に、経験的に決定される)、この時点における測定値は、これがいくらかの以上を示す場合でさえ、許容され得る。典型的に、所定の時点で利用可能なほとんどのデータスクリーンが評価され、データスクリーンの許容数の各々が許容範囲内にあることを確実にする。
例えば、同じ時点における皮膚伝導度値(すなわち、汗の測定値)が予め決定された範囲の外側にある場合、所定の時点における測定値はスキップされ得る(すなわち、スクリーニングされて除かれる)。本発明の一実施形態において、単一のデータスクリーン(すなわち、皮膚伝導度値)ではなく、複合データ保全性チェックを含む一連のデータスクリーンが、測定値がスキップされるべきか否かを決定するために使用され得る。例えば、皮膚伝導度値が範囲外であるために、測定値がスキップされる場合、同じ時点におけるさらなるデータ保全性チェックが試験され得る。この時点の他のさらなるデータ保全性チェックの全てが許容である場合、この測定値は、皮膚伝導性値が範囲外である場合でさえも許容され得る。一方、さらなるデータ保全性チェックの1つ以上が許容ではない(例えば、これらの値が許容範囲外である)場合、測定値はスキップされる。さらなるデータ保全性チェックの全てが等しく重み付けされ得、その結果、例えば、さらなるデータ保全性チェックの1つが異常である場合、測定された点はスキップされる。あるいは、他のデータ保全性よりも重要であることが経験的に知られているデータスクリーンは、より大きく重み付けされ得、その結果、1つより多くのデータ保全性チェックが異常であり得るが、測定値がスキップされるのではなく許容されるために、正常な値(例えば、許容範囲内に入る)を有するいくつかのデータ保全性チェックについて設定される。
このタイプの判別分析により、測定値の保全性は、決定が行われて測定値が拒絶される前に、1つより多くのデータ保全性チェックによって修正され得る。1つのデータ保全性チェックが異常な事象が存在することを示す場合、さらなるデータ保全性チェックが試験される。これらのさらなるデータ保全性チェックがアーティファクトの存在を示さない場合、測定値は排除(すなわち、スクリーニングされて除去)されず、むしろこれは許容される。
本発明のこの特徴は、一回の読み取りが制限された問題を提示する場合、一回の異常な読み取りが測定値を無効にすることを防止する方法を提供する。測定値を無効にするデータチェックは、さらなるデータチェックによって修正され得、ここでさらなるデータチェックが、他の重要な事象が悪影響を受けないことを示す(すなわち、それらの値が許容範囲内にある)場合、測定値がスキップされない。上記の発汗に関連するスキップに関して、所定の時点における測定値は、この時点における皮膚伝導性値によってスクリーニングされる。皮膚伝導性値が許容範囲外である場合、さらなるデータ保全性スクリーンが試験される。このさらなるデータ保全性スクリーンが許容範囲内にある場合、測定値は、皮膚伝導性(すなわち、汗)の値に基づいて、単に拒絶されるのではなく許容される。
生物学的系からの分析物のイオン泳動抽出、次いで分析物の電気化学的検出を用いる分析物モニタリングデバイス(例えば、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイス)の場合、このようなさらなるデータ保全性チェックとしては、以下:センサー電流、ピークセンサー電流、バックグラウンド電流、イオン泳動電圧、被験体の体温、および/または分析物モニタリングデバイスの操作温度、のうち1つ以上が挙げられ得るが、これらに限定されない。さらなる例示的なスクリーニングは、例えば、米国特許第6,233,471号に記載される。
他の分析物モニタリングシステムについて、複合データ保全性チェックは、異なるスクリーンを含み得る。例えば、連続的な分析物の測定を提供する皮下センサーについて、さらなるスクリーンとしては、被験体の体温、ピークセンサシグナル、およびデータのトレンド分析が挙げられ得るが、これらに限定されない。
特に汗関連のスキップに関連するスキップの数を減少させることに関して、発汗スクリーンの許容可能な閾値(この閾値より上で、関連の測定値がスクリーニングされて除かれる)は、多数の用法(以下が挙げられるが、これらに限定されない)で改変され得る。以下の実施例は、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスを例示的な分析物モニタリングデバイスとして参照して記載される。用いられた1つの発汗スクリーンは、測定半周期(すなわち、イオン泳動抽出、その後の第1のカソードと作動的に接触した検知デバイスを用いる分析物の検出−全測定周期は第2のイオン泳動抽出、その後の第2のカソードにおける分析物の検出を含む)の最大汗値を見出す。本発明の一実施形態において、任意の所定の半周期での最大読み取りを使用する代わりに、2つ以上の半周期の総計汗測定値が使用される。このような総計値は、例えば、平均、合計、中央値、または他の統計学的パラメータであり得る。
別の実施形態において、汗値として皮膚伝導度の絶対値を使用する代わりに、ある測定周期から次の測定周期(または、ある半周期から次の半周期)への変化が使用される。いずれの特定の理論によっても限定されることを望まないが、以下は、可能な機構のさらなる理解を助けるために含まれる。この変化値(Δ汗)は、例えば、汗中のグルコースの濃度が汗速度の微分(すなわち、時間に対する皮膚伝導度)に比例する場合、有利であり得る。グルコースが、ある時間にわたって受動的に汗管に集まり、次いで発汗の第1のエピソードにおいて分泌される場合、その後に、汗中のグルコースの濃度は低く、アーティファクトを生じない。
分析物のイオン泳動抽出に関連する別の実施形態において、イオン泳動の制汗効果を利用する時間依存性汗スクリーンは最適化される(例えば、Tapper,R.,J.Clin.Eng.8(3):253−259(1983);米国特許第4,325,367号を参照のこと)。この実施形態において、汗閾値は、密な閾値(例えば、1マイクロジーメンス)で始まり、次いで、この汗閾値は、抽出部位における汗の分泌が減少するにつれて、時間とともに緩くなる(例えば、約2マイクロジーメンスまで)。
さらに別の実施形態において、この汗閾値は、分析物モニタリングデバイスの電流使用期間について、予備較正期間(例えば、血中グルコースの較正が実施される前に、被験体がGluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスを装着した期間)の間に測定された汗に基づく。
汗のモニタリング(上記)に加えて、複合データ保全性チェックが用いられ得る別の例示的な状況は以下のとおりである。センサーからのシグナルが異常な傾向を示すデータを含む場合、複合データ保全性チェックが求められ得る。例えば、電気化学的センサーからの一連のデータ点の場合(ここで、これらのデータ点は、分析物の量または濃度の測定値に関連する)、測定値に関連するデータ点は、非単調性を示し得る。単純なシナリオにおいて、電気化学的シグナルが比単調性を示す場合、関連の測定値はスキップされる。しかし、本発明は、さらなるデータチェックを使用して、このようなデータチェックをさらに修正する。例えば、電気化学的シグナルが非単調性を示す場合、全シグナルに対する非単調性事象の効果が予め決定された閾値の下であるか、または予め決定された範囲内である場合には、関連の測定値が許容される;しかし、全シグナルに対する非単調性事象の効果が予め決定された閾値を越えるか、または予め決定された範囲外である場合、関連の測定値はスキップされる。
図2は、単調性を示す電気化学的シグナルの例を示す。非単調性を示す電気化学的シグナルの例は、図2の経過時間(ET)0:01におけるデータ点が他のデータ点の傾向の外にある場合、例えば、このデータ点が約50nAの代わりに100nAの値を有する場合(図19に示される)である。この状況において、特定のデータ点が全シグナルに寄与する割合が評価され得る。この特定のデータ点の寄与%(例えば、図19において影付きで示されるような曲線の下の面積を使用することによる)が、全シグナルの予め決定された割合(すなわち、これらのデータ点により規定される曲線全体の下の面積)よりも大きい場合、関連の測定値はスキップされる。一方、この特定のデータ点の寄与%(例えば、図19において影付きで示されるような曲線の下の面積を使用することによる)は、全シグナルの予め決定された割合(すなわち、これらのデータ点によって規定される曲線全体の下の面積)より小さい場合、関連の測定値が使用される。この方法によって、異常な事象を示すスクリーンが、単純な許容/拒絶スクリーンを単に提供するのではなく、修正され得る。
この方法は、スクリーンに関連する異常な事象の、(i)関連のシグナル(例えば、バックグラウンド測定)および/または(ii)このスクリーンに関連する測定値、に対する効果全体を評価するために、任意のデータスクリーンに適用され得る。
本発明は、複合データ保全性チェック、このような方法の実行を制御するためのプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサ、およびこのような1つ以上のマイクロプロセッサを含む分析物モニタリングシステムを用いることによって、分析物モニタリングデバイスによって提供されるスキップされる測定値の数を減少させるための方法を包含する。一実施形態において、本発明のこの特徴は、被験体中のグルコースの量または濃度に関連する測定値、グルコースの測定値と時間的に関連する皮膚伝導度の読み取り、およびグルコースの測定値と関連する1つ以上のさらなるデータ保全性スクリーンの提供を制御するためのプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサを含む。測定値は、(i)皮膚伝導度の読み取りおよび1つ以上のさらなるデータ保全性スクリーンが、予め決定された許容可能な範囲内にあるか、もしくは予め決定された閾値内にある場合、または(ii)皮膚伝導度の読み取りが、予め決定された許容範囲の外であるか、もしくは予め決定された閾値を越え、かつ1つ以上のさらなるデータ保全性スクリーンが、予め決定された許容範囲内にあるか、もしくは予め決定された閾値内にある場合のいずれかで、許容される。皮膚伝導度の読み取りが予め決定された許容範囲の外にあるか、または予め決定された閾値を越え、かつ1つ以上のさらなるデータ保全性スクリーンが予め決定された許容範囲の外にあるか、または予め決定された閾値を越える場合、測定値がスキップされる(すなわち、スクリーニングされて除かれる)。さらなるデータ保全性スクリーンとしては、ピークセンサー電流および/またはバックグラウンド電流が挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態において、本発明のこの特徴は、被験体のグルコースの量または濃度に関連する測定シグナル(データ点を含む)の提供を制御するためのプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサを含み、ここで、これらのデータ点は、典型的に、単調性の傾向を有する。これらのデータ点は、1つ以上の非単調性事象について評価され、ここで、(i)これらのデータ点が許容可能な単調性の傾向を有する場合、測定シグナルのさらなる処理が許容されるか、または(ii)これらのデータ点が、1つ以上の非単調性の事象を含む場合、全測定シグナルに関連する1つ以上の非単調性の事象の寄与%がさらに評価される。(ii)の状況において、1つ以上の非単調性の事象の寄与%が、予め決定された閾値より小さいか、または全測定シグナルに関連する予め決定された範囲内にある場合、測定シグナルのさらなる処理が許容される。しかし、1つ以上の非単調性の事象の寄与%が、予め決定された閾値より大きいか、または全測定シグナルに関連する予め決定された範囲の外にある場合、測定シグナルのさらなる処理は許容されず、この測定シグナルはスキップされる。例示的な分析物関連測定シグナルとしては、電流測定値または電荷測定値が挙げられるがこれらに限定されない。
(3.3.0 誤差制限内挿/外挿法)
内挿および/または外挿に基づく欠測定値を得るための方法は、以前に記載されている(例えば、PCT国際特許出願WO 03/000127を参照のこと)。内挿値および/または外挿値の用途の例としては、以下が挙げられるが、これに限定されない:較正中にスキップされた積分(すなわち、分析物の量または濃度に相関付けられる電荷測定値)がある場合、このスキップされた積分は、内挿および/または外挿によって提供されて、較正の失敗を防止する。この同じ技術は、較正後のスキップに適用されて、較正後のスクリーンによって除去された測定値を修復する(例示的なスクリーンは、例えば、米国特許第6,233,471号に記載される)。
本発明は、以前に記載された内挿および/または外挿法に対する改良を提供する。本発明において、内挿値/外挿値は、最良の候補内挿/外挿値を同定するために、データスクリーンに提供され得る。さらなるスクリーンが内挿および/または外挿値に適用されて、許容誤差より大きい値が分析物の読み取り(例えば、大きな誤差に関連するGluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスのグルコースの読み取り)に寄与するのを防止する。例示的なさらなるスクリーニング基準としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。第1に、シグナル比較スクリーンは、シグナルの適切なトラッキング(例えば、以下に記載されるようなセンサコンシステンシーチェック)を保証するために用いられ得る。第2に、内挿/外挿によって提供され得るスキップされる測定値のタイプに対する限定が用いられ得る。例えば、内挿および/または外挿は、バックグラウンドドリフトを含む周期について、予め決定された許容範囲の外であるか、または予め決定された閾値を越えている、較正またはΔ温度(すなわち、時間に対する温度測定値の変化)の値にならないようにされ得る。バックグラウンド測定値(例えば、1つ以上の電気化学的センサーのバックグラウンド電流)のこのような変化は、バックグラウンド電流が非常に可変性である測定周期を示し得る。このタイプの異常な挙動は、しばしば、内挿/外挿計算を妨害して、これらのタイプのスキップの間、内挿および/または外挿値の大きな誤差を生じる。
用いられ得る1つの例示的なさらなるスクリーンは、センサコンシステンシーチェックであり、これは2つのセンサー電気化学的検出システムを有する分析物モニタリングデバイス(例えば、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイス)に関して本明細書中に記載される。この例において、測定周期は、両方のセンサーからの分析物関連読み取りを得る工程を包含する。このさらなるスクリーンは、センサコンシステンシーチェックと呼ばれる。所定の測定周期について、比(It−Ical)/Ical*100が、2つのセンサーの各々について計算され、ここで、Itは、時間tにおけるセンサーの積分された電流(すなわち、電荷)であり、Icalは、較正時における同じセンサーの積分された電流である。この数字は、較正点に対するシグナルの変化%を表す。2つのセンサー間の変化%の再が予め決定された閾値以上であるか、または予め決定された範囲の外である場合、スキップ−誤差は2つのセンサーからのシグナルに関する測定値についてトリガーされる。例えば、Gluco Watch G2バイオグラファーの場合、通常許容可能であるセンサー間の変化%は、約60%であり(本発明の支持のもと行われた実験により、このレベルは、例えば、約200%まで上昇し得ることが示された)、閾値は、所定の測定周期の欠測定値を内挿するのが適切であるか外挿するのが適切であるかについてのスクリーンとして低く設定される(例えば、この場合、センサー間の変化%は、内挿および外挿周期について、約30%に設定され得る)。典型的に、センサシグナルの間のこの変化%は、例えば、以下の較正との差異を含む:
Figure 0004574647
ここで、Aは、センサーAからのシグナルであり、Acalは、較正時におけるセンサーAからのシグナルであり、Bは、センサーBからのシグナルであり、Bcalは、較正時におけるセンサーBからのシグナルであり、絶対値×100は、較正からの変化%を提供する。一実施形態において、変化%は、実際のセンサーの値(典型的には、内挿/外挿値の前のセンサ値)と、内挿/外挿によって提供されるセンサー値との間で調べられる。
このセンサー一致チェックは、複数のセンサー(例えば、2つのセンサー)の間の一致したシグナル応答を確かめる。大きな違いは、シグナル中のノイズを示す。典型的には、このデータ整合性チェックは、他のエラーが明らかにならない場合、またはこのチェックが内挿された測定値または外挿された測定値の有効性についてのチェックとして使用される場合に、実施される。
内挿された測定値および/または外装された測定値を修正するために使用され得る第2の例示的なデータスクリーンは、バックグラウンドドリフトチェックである。このデータスクリーンは、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスを参照して記載される。Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスにおいて、分析物は、間質性の流体サンプル中でイオン泳動によって抽出される。分析物の検出の間に、2つの感知電極の各々は、アノードおよびカソードとして交互に機能する。例示的な分析物としてのグルコースは、カソードにて優先的に集まる(例えば、図9を参照のこと)。従って、特定のセンサーについてのバックグラウンド電流は、センサー電極がアノードとして作用する場合、この電極由来のシグナルの少なくとも2つのデータ点から決定され得る(例えば、図1を参照のこと)。このベースラインを使用して、カソードにて生成されるシグナルのバックグラウンド補正を行ない得る(例えば、図1の点線を参照のこと)。アノードのバックグラウンドは、所定の速度で減衰することが既知である。このアノードバックグラウンドシグナルが、所定の速度で減衰しない場合、スキップエラーが関連する測定値について誘発される(すなわち、測定値は、評価されるアノードのバックグラウンドシグナルについての時点に対応して決定される)。
1つの実施形態において、アノードのバックグラウンドにおける変化が、以下のように決定される。バックグラウンドシグナルは、較正にて温度に対して補正される。この操作は、以下のように実施され得る:
Figure 0004574647
上の等式において、kは経験的に得られた定数(6228Kの場合、これは、ベースライン温度補正のために使用されるのと同じ定数)。Tcalは、各々のセンサーについての較正でのベースライン温度(ケルビン)である。項ibkgdjおよびTjは、各々、各々のセンサー(例えば、アノードバックグラウンド)についてのj番目の較正後サイクルのベースラインのバックグラウンドの電流値および温度である。項ibkgd,j,corrは、j番目の較正後の測定サイクルでの温度補正されたバックグラウンド電流を表す。次いで、アノードのバックグラウンドにおける変化が、測定される。アノードのバックグラウンドにおけるこの変化は、アノードのバックグラウンドにおいて予期される変化と比較され、変化の速度が、誤差の範囲内または範囲外であることが決定される。誤差の範囲は、典型的にアノードのセンサーバックグラウンドの以前に観察された性能に基づいて経験的に決定される。1つの実施形態において、以下の条件が満たされる場合、スキップエラーが誘発される:
Figure 0004574647
上の等式において、kbkgd_decayは、例えば、−0.026746hr-1の値を有する定数である。ETjは、j番目のサイクルについての各々のセンサーについてのベースライン測定の実際に経過した時間である。(例えば、2センサーシステムのGlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスにおいて、較正後のサイクルが4:15ET(経過時間)で終わる場合、センサーAのETjおよびセンサーBのETjは、各々4:05および3:55である。)ETcalは、較正サイクルについての各々のセンサーについてのベースライン測定の実際に経過した時間である。(例えば、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスの2つのセンサー時間において、較正サイクルが2:15ETで終わる場合、センサーAのETcalおよびセンサーBのETcalは、各々2:05、1:55である。)この場合、誤差範囲パラメータは、Perror_bandであり、0.4(無次元)に等しい。
上のデータスクリーンの一般的な意見として、ベーラインバックグラウンドシグナルが所定の速度で減衰しない場合、このことは、センサーの感度が一般的な点の集合と一致する様式で減衰していないことを示している。この状況は、高いまたは低いのいずれかに偏った点を導く。従って、バックグラウンドシグナルが所定の速度で減衰しない場合、この期間についての内挿された値/外挿された値は計算できない。一方、バックグラウンドシグナルが所定の速度の誤差の範囲内で減衰する場合、この期間の内挿された値/外挿された値は、計算して得ることが出来る。
内挿された測定値/外挿された測定値を修正するために使用し得る別の例示的なデータスクリーンは、温度における変化のチェックである。このデータスクリーニングにおいて、dTemp/dtime(温度における変化/時間における変化)の読み取りは、分析物(例えば、グルコース)読み取りの正確さに影響し得る温度変化を検出する。dTemp/dtime読み取りは、所定の閾値より大きいか、または所定の範囲外である場合、対応する測定期間についてのスキップエラーが誘発され、欠失測定値の場合、内挿された測定値/外挿された測定値は計算できない。例示的な分析物モニタリングシステムとしてのGlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスにおいて、dTemp/dtimeの読み取りが、0.35℃/分以上である場合、dTemp/dtimeスキップエラーが、この測定サイクルについて誘発される。一方、dTemp/dtimeの読み取りが、所定の閾値より小さいか、または所定の範囲内である場合、対応する測定サイクルについての内挿された測定値/外挿された測定値は、計算される。
このデータスクリーンの一般的な意見として、大きなおよび/または迅速な温度変化がバックグラウンドシグナルを変え、対応する測定値を無効にさせる。従って、データスクリーンは、例えば、内挿/外挿をスキップする表示として、有用である。
上記のような、バックグラウンドドリフトおよびdTemp/dtimeスクリーニングは、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスのような分析物モニタリングデバイスに特に有用なスクリーンである。なぜなら、これらのスクリーンの値が所定の閾値を超えるか、または所定の範囲外である場合、対応する内挿された測定値/外挿された測定値は、不十分な性能を示すためである。本発明に従って実施される実験は、このような測定値の利用の有用性および適切さを保証する目的で、内挿された測定値/外挿された測定値がスクリーニングされるべき(例えば、単一のスクリーンによって、またはスクリーンの組み合わせによって)であることを示唆する。これらの2つの特異的な条件(すなわち、バックグラウンドドリフトおよびdTemp/dtime)と関連する測定値は、これらの条件が一般に単一の測定半サイクルに分離されるために、内挿および外挿についての不十分な候補であり得、その結果、これらは内挿計算および外挿計算のために使用される隣接するサイクルに影響し得る。
従って、測定サイクルについての測定値が、内挿/外挿によって提供されるとき、dTemp/dtimeまたはバックグラウンドドリフトエラーが観察される場合、内挿/外挿は、実施されない。一方、測定サイクルについての測定値が内挿/外挿によって提供されるとき、dTemp/dtimeまたはバックグラウンドドリフトエラーが観察されない場合、測定値を提供する内挿/外挿が、実施される。さらなるスクリーンが、同様に、このような内挿された測定値および/または外装された測定値に適用され得る。例えば、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングシステムのような2センサーシステムにおいて、内挿または外挿のための別の要件は、内挿計算/外挿計算において使用される2つのセンサーの間の比が、計算されているスキップされたサイクル全体からのある時間の間に計算されなければならないことである。2つのセンサーからのシグナルの間の関係が、時間が経つと変化し得るために、大分前に最後に計算された比の使用が、計算に対するエラーに貢献し得る。この時間フレームは、経験的に決定される。例えば、GlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスにおいて、1対のきれいな分析物測定の典型的に後に、内挿/外挿が、1対のきれいな測定後、4回の測定半サイクルまでのおよびこれらを含めて実施される。
上記のスクリーニングは、例えば、除外基準として有用である。例えば、一連の測定値において、欠失している測定値が存在する。この測定値が内挿または外挿によって提供され得る。第1に、欠失している値が対応している測定サイクルが、検証される。(i)バックグラウンドドリフトおよびdTemp/dtimeの読み取りが、所定の閾値より小さいかまたは所定の範囲内にあり、かつ(ii)1対のきれいな測定値と比較して所定の時間より短い時間が経過し、対応する測定サイクルについての内挿測定値/外挿測定値が、計算され得る。
本発明は、内挿および/または外挿によって得られる測定値をスクリーニングする方法(あるいは測定値の内挿および/または外挿実行されるか否かの決定する工程)、このような方法の実行を制御するようにプログラミングする工程を包含する1つ以上のマイクロプロセッサ、およびこのような1つ以上のマイクロプロセッサを含む分析物モニタリングシステムを包含する。1つの実施形態において、本発明の特徴は、1つ以上のマイクロプロセッサを含み、このマイクロプロセッサは、所定の測定サイクルからの使用不可能な分析物に関連した電気化学的電流シグナルが、1つ以上の以下の基準を適用することによる内挿または外挿によって置き換えられるべきであるか否かを適当と判断するよう制御するプログラミングを含む:(i)測定サイクルについてのセンサー一致チェック値が、所定の受容可能な範囲内または所定の閾値内にある場合、対応する分析物関連シグナルが、置き換えられ得る;(ii)測定サイクルについてのバックグラウンド電流における変化が、所定の受容可能な範囲内または所定の閾値内にある場合、対応する分析物関連シグナルは、置き換えられ得る;(iii)温度における変化が、所定の受容可能な範囲内にあるか、または所定の閾値内にある場合、対応する分析物関連シグナルは、置き換えられ得る;(iv)内挿計算/外挿計算において使用される複数のセンサーの間の任意の比が、このような比が基づくシグナルに対する所定の期間内で計算されなければならない。次いで、使用不能なシグナルが、一連の分析物関連シグナルにおいて置き換えられる場合(例えば、PCT国際特許出願番号WO03/000127において記載されるように)、使用不能な分析物関連シグナルが、以下のいずれかによって概算される:(A)使用不能な分析物関連シグナルの前の1つ以上の分析物関連シグナルおよび使用不能な分析物関連シグナルに続く1つ以上の分析物関連シグナルが、入手可能である場合、内挿を用いて使用不能な中間の分析物関連シグナルを概算する;または(B)使用不能な分析物関連シグナルの前の2つ以上の分析物関連シグナルが入手可能な場合、外挿を用いて使用不能な後続の分析物関連シグナルを概算する。一連の分析物関連シグナルが、時間が経過すると分析物モニタリングデバイスから典型的に得られ、各々の分析物関連シグナルが、分析物モニタリングデバイスでモニタリングされる被験体中で分析物(例えば、グルコース)の量または濃度に関する。1つ以上のマイクロプロセッサが、さらにプログラムされて分析物関連シグナルを提供する検知デバイスの操作を制御し得る。さらに、1つ以上のマイクロプロセッサがさらにプログラムされて、分析物を含むサンプルを検知デバイスに提供するサンプリングデバイスの操作を制御し得る。
(3.4.0 代替的な積分スキーム)
ベースラインバックグラウンド減算方法(温度補正されたベースライン減算を含むが、これに限定されない)が、以前に記載された(米国特許第6,233,471を参照のこと)。
ある状況において、例えば所定のセンサーについての以前のアノードのベースラインが、カソードとして使用されるときに同じセンサーから得られる分析物関連シグナルのベースライン減算のために使用される場合、以前のベースライン減算に続いて、分析物関連シグナルが以前のアノードのベースラインの下にある場合、積分が負の電荷測定を導き得る。この状況は、例えば、GlucoWatchバイオグラファーおよびGlucoWatch G2バイオグラファーにおいて起こり得る。これらの状況において、累積的な積分された電荷が、回収期間の間の最大値の下に落ちこむ、過剰な減算が存在する。図20Aおよび図20Bは、この人工物を示し、ここでアノードのバックグラウンド補正(この場合、温度補正されたアノードのバックグラウンドのベースライン)の後、分析物(例えば、グルコース)の濃度が、時間が経つと減衰する。これは、物理的な観点からは意味をなさない。なぜなら、経時的に測定されるゲル中のグルコース濃度が、0以下に下がり得ないためである。
この以前のベースライン減算方法から得られた人工産物を除くために、以前のベースラインがバイオセンサーシグナルよりも大きいサイクルについて過剰に減算されない代替的な積分スキームが、使用され得る。これらの新しい積分スキームは、分析物の量または分析物濃度(例えば、グルコース量またはグルコース濃度)の計算に使用のためのより大きい、かつ潜在的により相対的なシグナルを提供する。この増加したシグナルサイズは、低いシグナル範囲において特に如実に示され、シグナル対ノイズ比の増加を導き得る。このことは、小さな分析物関連シグナルを有するサイクルについての改善された性能を提供する。この代替的な積分スキームはまた、小さな分析物関連シグナルに起因して、無駄に終わる較正の頻度を減少させ得る。
2つの例示的な代替的積分スキームが、Gluco Watch G2バイオグラファーの参照のもとで、本明細書中で記載される。このシグナルは、カソードの電流測定と温度補正されたバックグラウンドとの間の領域の台形積分を行なうことによって計算される。この累積的な積分は、時間に対してプロットされるカソードの電流測定(図20A)と同様に、時間に対してプロットされ得る(図20B)。過剰な減算が存在する場合、最大の累積的な積分値は、台形積分によって報告される最後の積分ではない。第1の例示的な代替的積分スキームは、最大累積的積分スキームである(図20Cおよび図20D)。このスキームにおいて、最大の積分値に達した場合、積分は中止される(従ってこの方法は最大累積的積分(Maximum Cumulative Integration)と呼ばれる(図2D)。
第2の例示的な代替的積分スキームは、Maximum This or Previous Integration法である。Maximum This or Previous Integration法の名前は、ベースライン減算方法に由来している。この方法のために、過剰な減算がない場合、標準的な以前のアノードベースライン減算(すなわち、このセンサーについての以前のアノード測定サイクル由来の最後の2回の測定が使用されて、ベースラインを確立する)が、積分の前のベースラインについて使用される。過剰な減算がある場合、電流サイクル(すなわち、「現存の(This)」サイクル)についての最後の2つのカソードの測定が、積分の前に減算についてのベースラインを確立するために使用される(図20Eおよび図20F)。過剰な減算がない場合、「以前の(Previous)」ベースラインが減算された積分は、より大きい。過剰な減算がある場合、「現存の(This)」ベースラインが減算された積分は、より大きい。従って、この方法は、Maximum This or Previous Integration法と呼ばれる。
種々の積分方法を、単一で、または組み合わせて使用し得る。さらに、決定樹が、適切な積分戦略の選択のために使用され得る。例えば、過剰な減算がない場合、積分前の減算についての以前のアノードのベースラインを使用する。過剰な減算がある場合、最大累積的積分値を使用する。または別の実施形態において、過剰な減算がない場合、積分前の減算のための以前のアノードのベースラインを使用する。過剰な減算がある場合、現在のサイクルのための最後の2つのカソードの測定を使用して、積分前の減算のためのベースラインを確立する。
本発明は、代替的な積分の方法、積分モードを選択する方法、このような方法の実行を制御するプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサ、およびこのような1つ以上のマイクロプロセッサを含む分析物モニタリングシステムを包含する。1つの実施形態において、本発明のこの特徴は、分析物に関連した電流シグナルについての電流積分方法の選択を制御するプログラミングを含む1つ以上のマイクロプロセッサを含み、ここで分析物に関連した電流シグナルはデータ点を含む。1つの実施形態において、2センサーシステムが、分析物関連電流シグナルを検出するために使用され、2つのセンサーの各々が、電気化学的センサーである。各々のセンサーが、カソードおよびアノードとして交互に働く。データ点を含む、電流シグナルが、アノードおよびカソードからの半測定サイクルにおいて検出され、この分析物関連電流シグナルが、カソードから得られる。バックグラウンドベースラインが、カソードとして働く場合、例えば、センサーがアノードとして働く場合以前の半サイクルにおいてと同じセンサーに対して検出される電流シグナルの少なくとも2つのデータ点から、所定のセンサーについて決定される。このバックグラウンドベースラインは、分析物関連電流シグナルから減算され、分析物関連電流シグナルの過剰な減算が起こる場合、以下の積分方法の1つを、分析物関連電流シグナルに基づく分析物関連電荷シグナルを決定するために使用する:(i)最大積分値に達するときに積分を中止し、分析物関連電荷シグナルとして最大積分値を使用する工程または(ii)カソードにおける分析物関連電流シグナルからの少なくとも2つのデータ点に基づいてバックグラウンドベースラインを再び計算する工程、分析物関連電流シグナルから再び計算されたバックグラウンドベースラインを減算する工程およバックグラウンドを減算された分析物関連電流シグナルを積分して、分析物関連電荷シグナルを得る工程。
(3.5.0 Mixture of Experts(MOE)パラメータについての改善された最適化方法)
被験体における分析物の量または濃度の決定における使用についてのMOEアルゴリズムが、以前に記載された(例えば、米国特許第6,180,416号および6,326,160号を参照のこと)。手短に言うと、MOE方法は、生物学的システムから生のシグナルを得ることを必要とし、ここで、生のシグナルは生物学的システム中の分析物量または濃度に特異的に関する。生のシグナルが得られる場合、較正の工程を実施して、生物学的システムにおいて存在する分析物の量または濃度を示す測定値で、生のシグナルを補正する。検出および較正のこれらの工程を使用して、選択された時間間隔で一連の測定値を得る。一旦一連の測定値が得られると、MOE法は、MOEアルゴリズムを使用する測定値の決定を提供する。
生のデータが、任意の適切な感知方法論を使用して得られ得る。この感知装置は、生のシグナルを提供するために、任意の適切な感知要素を利用し得る(物理的要素、化学的要素、電気化学的要素、光化学的要素、分光学的要素、偏光要素、比色要素、または放射分析要素などを含むが、これらに限定されない)。本発明の好ましい実施形態において、電気化学的感知要素を含むバイオセンサーが、使用される。
この分析物は、化学的分析物理的分析、酵素的分析または光学的分析において検出および/または測定が切望されている、任意の特異的な物質または成分であり得る。1つの実施形態において、MOEアルゴリズムが使用されて、測定値を決定する。MOEアルゴリズムは、測定値を決定するためのパラメータのセットに依存している。MOEアルゴリズムは、データ分析のための一般化された予測技術である。この方法は、アルゴリズムを変えることに従う複数の直線的回帰の重ね合わせを使用して、結果を予測する。任意の数のインプット/アウトプット変数が、可能である。この方法における未知の係数が、最大事後確率技術によって決定される。
この方法は、典型的に以下のように遂行される。全ての変数の予期される範囲にわたる一対のインプット/アウトプットデータの実験的データが、集められる。次いで、これらのデータが、MOEアルゴリズムを調整するために使用される(すなわち、未知の係数を決定するために使用される)。これらの係数が、例えば、Expectation Maximization法(Dempster,A.P.,N.M.Laird,およびD.B.Rubin,J.Royal Statistical Society(Series B−Methodological)39:(1),1977)を使用して決定される。一旦これらの係数が既知になると、MOEアルゴリズムは、容易に新しいデータセットに適用される。
MOEアルゴリズムについて、これらのパラメータとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:モニターが被験体に適用されてから経過した時間;活性シグナル;較正されたシグナル;較正点における血糖値;皮膚温度;皮膚伝導性;およびイオン泳動電圧。任意のこれらのパラメータにおける変化は、計算された血糖値を変化させると予期され得る。
米国特許第6,180,416号および第6,326,160号に記載されるように、MOEアルゴリズムは、分析物の測定値を提供するために使用される。一般的なMOEアルゴリズムは、以下の一連の等式によって表される:ここで個々のエキスパートは、線形形式を有する:
Figure 0004574647
ここで(An)は、目的の分析物であり、nは、エキスパートの数であり、Aniは、Expert iによって予測される分析物であり;wはパラメータであり、個々のエキスパートAniは等式(MOE.2)のように示される式によってさらに規定される。
Figure 0004574647
ここで、Aniは、Expert iによって分析される分析物であり;Pjは、mのパラメータの1つであり、mは典型的に100より小さく;aijは係数であり;ziは定数である;ここでさらに重み付け値、wiは、等式(MOE.3)として示される式によって規定される。
Figure 0004574647
ここでeは指数関数を表し、dk(等式MOE.3の分子中のdiはdkの1つであること)は、重量wiを決定するために使用される等式MOE.2に類似のパラメータセットである。dkは、等式MOE.4によって与えられる。
Figure 0004574647
ここでαjkは係数であり、Pjはmのパラメータの1つであり、ωkは定数である。
MOEアルゴリズムが、例えば、血糖値を提供するために使用され得る。1つの特徴において、この方法は、頻繁な血統測定を提供するイオン泳動サンプリングデバイスと一緒に使用される。1つの実施形態において、このMOEアルゴリズムは本質的に以下のようである:ここで個々のエキスパートは線形形式を有する
Figure 0004574647
ここで(BG)は、血糖であり、3つのエキスパート(n=3)があり、BGiは、Expert iによって予測される分析物であり;wiはパラメータであり、個々のBGiは、等式MOE.6、MOE.7、およびMOE.8のように示される式によってさらに規定される
Figure 0004574647
ここで、BGiはExpert iによって予測される分析物であり;パラメータは、time(サンプリングシステムが前記生物学的システムと作用するように接触して置かれてから経過した時間)、active(活性なシグナル)、signal(較正されたシグナル)、および
Figure 0004574647
(較正点における血糖値);pi、qi、riおよびsiは係数であり;tiは定数であり;さらにここで重み付け値wiは等式MOE.9、MOE.10、およびMOE.11として示される等式によって規定される
Figure 0004574647
Figure 0004574647
ここでeは指数関数を表し、diはパラメータセット(等式MOE.6、MOE.7、およびMOE.8に類似)である。これらのパラメータは、等式MOE.9、MOE.10、およびMOE.11によって与えられる重量wiを決定するために使用され、
Figure 0004574647
ここでτi、βi、γiおよびδiは係数であり、ここでεiは定数である。
血液グルコール値の予測についての別の実施形態において、MOEアルゴリズムは、基本的に以下のようである:ここで、個々のエキスパートは線形形式を有する:
Figure 0004574647
ここで、(BG)は血液グルコースであり、3つのエキスパート(n=3)があり、BGiは、エキスパートiによって予測された分析物であり;wiは、パラメータであり、個々のエキスパートBGiは、式MOE.16、MOE.17およびMOE.18として示される表現式によってさらに規定される。
Figure 0004574647
ここで、BGiは、エキスパートiによって予測された分析物である;パラメータは、timec(前記サンプリング系の較正からの経過時間)、active(活性化シグナル)、signal(較正されたシグナル)およびBG|cp(較正点での血液グルコース値)を含む;pi、qi、riおよびsiは、係数である;tiは、定数である;さらに重み値(weighting value:wi)は、式MOE.19、MOE.20およびMOE.21として示される式によって規定される:
Figure 0004574647
ここで、eは指数関数に関し、diは、式MOE.19、MOE.20およびMOE.21および以下:
Figure 0004574647
によって与えられる重み(wi)を決定するのに使用されるパラメータセット(式MOE.6、MOE.7およびMOE.8と類似)であり、
ここで、τi、βi、γiおよびδiは係数であり、εiは定数である。
パラメータは置換され得、および/または他のパラメータは、これらの計算に含まれ得、例えば、timeパラメータは、変化し得るか(例えば、上記のように、サンプリング系が、生物学的系と接触して配置されてからの経過時間またはサンプリング系が較正されてからの経過時間)、または複数の時間パラメータは、これらのパラメータが適切に重みを付けられる同じ式において使用され得る。さらに、パラメータとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:温度、イオン泳動電圧および皮膚の伝導率。さらに、較正チェックは、有効な較正を保証するために使用され得る。
MOEモデルは、条件的で確率的な処理をモデル化するエキスパートのセット(すなわち、数学的モデル)およびゲートからなり、これらは、エキスパートの確立を併用する。測定値(例えば、分析物の量または濃度(例えば、グルコース濃度))を測定するために、MOEアルゴリズムは、種々の最適化方法を使用して決定されるパラメータセットに依存する。線形回帰モデルについて、典型的に、未知の係数は、モデルの予測と標的(例えば、独立して測定された血液グルコース値、すなわち、モデルによって予測されない)との間の誤差の平方の合計を最小化することによって一致させる。一般的に、これは、データを与えられたモデルの尤度を最大化することに相当する。最大の尤度(ML)のこの原理を使用して、MOEモデルのパラメータを適合させ、この適合するプロセスをMOEの訓練と呼ぶ。誤差の推定基準としての最大尤度に伴う1つの問題は、試験データ(例えば、訓練に使用されないが、適合を試験するのに使用されるデータ)または目に見えないデータ(例えば、モデルの確認に使用されるが、試験に使用されないデータ)よりも訓練データでの標的と予測との間の差異を最小にすることを目的とすることである。十分に可撓性のモデルが、最大尤度原理を使用して訓練される場合、訓練データと過剰に一致し得、(見られるように、例えば、見られないデータでのモデルの一般化電力によって)乏しい普遍性を有する。
本明細書中の以下は、MOEへの入力として使用されるパラメータを改善することによってMOEアルゴリズムの実行を改善するのに有用ないくつかの方法である。
(3.5.1 初期の停止およびクロス確認)
本発明のこの特徴の1つの実施形態において、1つの改善された最適化方法は、MOE訓練プロセスの初期(すなわち、モデルの係数が、完全に収束する前)に停止することである。訓練を停止する場合の選択の1つの方法は、クロス確認である。クロス確認において、全体の可能な訓練セット(グローバル訓練セットと呼ばれる)は、2つのサブグループ(局所的な訓練セットおよび確認セット)に分けられる。MOEモデルは、局所的な訓練セットで訓練される。各MOEモデルについて、局所的な訓練セットで訓練される場合、実行は、局所的に目に見えないままである確認セット(すなわち、訓練に使用されない)に対して測定され得る。確認セットに対して測定されたMOEモデルの実行は、クロス確認を提供する。MOEモデルの訓練は、確認セットで最小の誤差が生じる場合、停止される。
Gluco WatchバイオグラファーモニタリングデバイスについてのMOEの訓練の間、種々の誤差(estimator)(ならびに、他の重要な実行パラメータ)の推定量の発展の典型的な例は、図21(パネルA〜F)に示される。図(パネルA〜F)において、三角形は、局所的な訓練データセットに対応し、ひし形は、確認データに対応する。訓練の反復数は、横軸に表される。パネルAは、平均平方誤差(Mean square error:MSE)(これは、1000によって規格化されている)を示す。パネルBは、MARE(平均絶対相対誤差:mean absolute relative error)を示し、パーセントで表される。パネルCは、MRE(平均相対誤差:mean relative error)を示し、パーセントで表される。パネルDは、R(相関係数)を示す。パネルEは、デミングスロープ(Deming Slope)データを示す。パネルFは、デミングインターセプト(Deming Intercept)データを示す。この特定の例において、訓練は、約25の反復の後に、停止されるべきである。なぜなら、図21から見られ得るように、MOEの反復性は、この点で欠損するからである(確認データと訓練データのMOEの実行の間の相違が、観察される)。
初期の停止の適用およびMOE訓練のクロス確認方法は、見られないデータの高い一般的電力を有する一般的なモデルへと導く。1つの実施形態において、本発明のこの特徴は、調節可能なパラメータの最適化を必要とするモデルにおける使用のためのパラメータを最適化するための1つ以上のアルゴリズムを実行する1つ以上のコンピュータプログラムを含み、1つ以上のアルゴリズムは、訓練セットおよび確認データへとデータセットを分配する工程を包含する。次いで、モデルは、訓練セットを使用して、調節可能なパラメータを決定するために訓練される。モデルパラメータが完全に収束し、パラメータが確認セットを使用して確認される前に、訓練を停止する。ここで、確認されたパラメータは、モデルにおける使用のためにパラメータを最適化される。確認工程は、モデルの予測が、確認セットの独立したデータに対して正確であることを保証する。調節可能なパラメータの最適化を必要とする1つの例示的なモデルは、MOEモデルである。本発明はまた、このような1つ以上のアルゴリズムを含むソフトウェアまたはファームウェアを含む。本発明はまた、本発明のアルゴリズムを含むこのようなソフトウェアの使用のためのハードウェア(例えば、コンピュータシステム)を含む。1つの実施形態において、本発明は、調節可能なパラメータの最適化を必要とするモデルにおける使用のためのパラメータを最適化するための方法に関する。
(3.5.2 代替のペナルティー機能)
MOE型モデルについて、一般的に、モデルパラメータは、モデルの推定量と標的との間の平方誤差の合計を最小にすることによって決定される。この場合において、平方誤差の合計は、ペナルティー機能と呼ばれる。しかし、臨床的データの統計学的特性に依存して、代替のペナルティー機能の使用は、より強いモデルを導き得る。例示的なペナルティー機能としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:MARE(平均絶対相対誤差;単独または他の機能と組み合せて使用される)、Lorenzian Error, Kovatchev's Low/High BG Risk Index(例えば、Kovatchev,B.P.,ら、J.Theoretical Medicine,3:1−10(2001);Kovatchev,B.P.,ら、Methods Enzymol 321:396−410(2000)を参照のこと)、費用機能(例えば、Bellazzi,R.,ら、IEEE Engineering in Medicine and Biology,January/February 2001,54−64頁を参照のこと)。さらに、最小の偏り(すなわち、分析物モニタリングデバイスの予測の最小の統計学的誤差、例えば、Gluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスによる予測)を示すMOEモデルを開発するために、ペナルティー機能は、モデルから決定された実際のデミングスロープと所望のデミングスロープとの間の絶対差異を含むように広げられる。従って、MOE訓練プロセスにおけるペナルティー機能(最小化されるべき含量)は、MARE+W|m−mT|であり、ここでmは、MOEモデルによって予測されるデミングスロープであり、mTは標的デミングスロープであり(典型的に、mT=1)、Wは、見積ったMAREの値に依存する重み因子である。代替のペナルティー機能の最適化方法は、MOE型モデルにのみに適用可能であるわけでなく、調節可能なパラメータの最適化を必要とするいずれのモデルにも適用可能である。本発明の支持において実行される試験は、ペナルティー機能のこの型を使用して開発されたMOEモデルが低い偏りを示し、良い一般的電力を有することを証明した。
1つの実施形態において、本発明のこの特徴は、1つ以上のアルゴリズムを実行する1以上のコンピュータプログラムを含み、ここで1つ以上のアリゴリズムは、分析物モニタリングデバイスによって使用された予測モデルの正確さの種々のレベルに対応する2つ以上の範囲を定量する複数の分析読み取りに基づいたパラメータを最適化することを含む。1つ以上の範囲は、1つ以上の他の範囲(例えば、分析物標的範囲)を対する関連のより高い危険性を有する。パラメータの最適化は、予測モデルに関連する誤差が、より高い危険性に関連する範囲において最小化され、1つ以上の他の範囲において認容性になるまで行われる。例示的な正常な血液グルコース範囲は、例えば、約70〜約115mg/dLとして規定され得る。この範囲に関連して、低血糖症は、約70mg/dL以下の血液グルコースとして規定され得、高血糖症は、約200mg/dL以上の血液グルコースが規定され得る。血液グルコースおよび範囲を決定するのに使用される測定の型に依存したこれらの値は、臨床的な特定の結果(例えば、重篤な障害または死亡のような臨床的結果に対して)により適するように変更され得る。この例において、より高い危険性範囲は、低血糖症範囲および/または高血糖症の範囲である。
本発明はまた、1つ以上のこのようなアルゴリズムを含むソフトウェアまたはファームウェアを含む。本発明はまた、本発明のアルゴリズムを含むこのようなソフトウェアまたはファームウェアの使用のためのハードウェア(例えば、コンピュータシステム)を含む。
(3.5.3 ペアポイント(paired point)分配の最適化)
MOE型モデル(および調節可能なパラメータを有する他のモデル)のなお別の最適化方法は、ペアポイントの特定の分配の最適化に基づく。ペアポイントは、例えば、独立して測定された標的分析物の量または濃度(例えば、グルコース濃度値)をx座標として、対応するモデル予測値を対応するy座標として、表すことによって構築される。次いで、x−y平面は、分析物モニタリングデバイスの正確さおよび有害な臨床的結果の可能性の種々のレバルに対応するいくつかの範囲に分けられる。デバイス実行は、これらの範囲のペアポイントの数に基づいてしばしば評価される。例えば、Clarke誤差グリッドを使用して、グルコースモニタリングデバイスの実行を評価する(Cox,D.J.,ら、Diabetes Care 8:529−536,1985;Clarke,W.L.,ら、Diabetes Care 10:622−628,1987)。分析において、分析物(例えば、グルコース)の量または濃度をモニタリングするための参照方法からのペアデータポイントおよび評価中の分析物モニタリングデバイスは、5つのカテゴリー(A〜E)に配置され、ここで、AおよびBは、臨床的な正確にまたは認容性について考慮され、C〜Eは有害な臨床的結果の増加した可能性を有する増加した誤差を示す。本発明の1つの実施形態において、特定のカテゴリー(範囲)において各ペアポイント(pp)に対する数学的な値を割当てる、数学的因子Fを、構築する。例えば、以下である。
Figure 0004574647
これらの機能は、各ペアポイントについての危険性機能と呼ばれ得る。(これらの場合における、ほとんどの正確性および認容性の範囲は、負の値で与えられ、増加した誤差を示す範囲は、正の増加する値に割当てられる)。
次いで、アルゴリズム訓練工程において、以下の方程式は、最小化される:
Figure 0004574647
ここで、Kは、全危険関数であり、Nは、対合位置の総数である訓練セットにおける全対合位置にわたる和が実行される。この手順は、生じるアルゴリズムが、臨床的に受容可能な領域AおよびBにおいて対合位置の数を最大化し、領域C、DおよびE(これらの領域は、以前、規定された。例えば、Cox,D.J.ら、Diabetes Care 8:529−536、1985;Clarke,W.L.ら、Diabetes Care 10:622−628、1987を参照のこと)において位置の数を最小化するような方法において、モデルパラメータの最適化を導く。類似の手順は、所望のy−xラインからの特定の絶対的距離または相対的距離内の対合位置のパーセンテージを最大化するために使用され得る。
上記されるような最適化の方法の適用は、改善された精度(低分析物(例えば、グルコース)値について特に)、より少ない偏りおよび非常に良い普遍性を示す新規なMOEアルゴリズムに導いた。
本発明のこの特徴の1つの実施形態において、最適化は、例えば、(i)独立して測定された標的分析物の量または濃度をx座標として、および(ii)標的分析物の量または濃度の相当するモデル予測を対y座標として示す対合位置のx−y面を構築することによって、対合位置の分布を最適化する工程を包含する。このモデルは、典型的には分析物関連値の概算または予測のため、分析物モニタリングデバイスによって使用される。x−y面は、分析物モニタリングデバイスのモデル予測についての様々なレベルの精度に相当する2つ以上の領域に分割される。個々の数学的危険関数(F)は、特定の領域について各対合位置(pp)に数値を割り当てるように構築される。個々の危険関数は、全危険関数を提供するために合計され、その全危険関数は、そのモデルについての最適化されたパラメータをもたらすために最小化される。1つのこのような典型的なモデルは、MOEモデルである。典型的な分析物は、グルコースである。典型的な分析物がグルコースである場合、予測モデルについての様々なレベルの精度に相当する2つ以上の領域は、低血糖領域、グルコース標的範囲、および高血糖領域を含み得、1つ以上の他の領域に対して関連するより高い危険性を有する領域の1つ以上は、低血糖領域および高血糖領域を含む。本発明はまた、このような1つ以上のアルゴリズムを含むソフトウェアまたはファームウェアを含む。本発明はまた、本発明のアルゴリズムを含むこのようなソフトウェアまたはファームウェアの使用のためのハードウェア(例えば、コンピュータシステム)を含む。
(4.0 典型的なモニタリングシステム)
多数の分析物モニタリングシステムが、本発明の方法およびマイクロプロセッサを使用し得る。典型的には、標的システムにおける選択された分析物のレベルをモニターするために使用されるモニタリングシステムは、分析物を含むサンプルを提供するサンプリングデバイス、およびサンプル中の分析物の量または濃度あるいは分析物の量または濃度に関連するシグナルを検出する検知デバイスを備える。
1つの典型的なモニタリングシステムであるGluco Watchバイオグラファーモニタリングデバイスは、生物学的系(特に動物被験体)からグルコースのイオン泳動抽出、経皮抽出、次いで抽出されたグルコースの量または濃度に相当するシグナルの検出を介して、その生物学的系におけるグルコースレベルをモニタリングするため、本明細書中に記載される。分析物モニタリングシステム(Gluco Watch バイオグラファーモニタリングデバイスを含む)およびその構成要素は、以前記載された(例えば、米国特許番号第6,398,562号、同第6,393,318号、同第6,370,410号、同第6,341,232号、同第6,391,643号、同第6,309,351号、同第6,299,578号、同第6,298,254号、同第6,272,364号、同第6,233,471号、同第6,180,416号、同第6,144,869号、同第6,023,629号、同第5,989,409号、同第5,771,890号、同第6,356,776号、同第6,326,160号、同第6,284,126号、同第6,139,718号、同第5,954,685号、同第6,201,979号、同第6,141,573号、同第5,827,183号、および同第5,735,273号;ならびにPCT国際公開番号
Figure 0004574647
を参照のこと)。Gluco Watch バイオグラファーモニタリングデバイスとしては、Gluco Watch(登録商標)(Cygnus Inc.、Redwood City、CA)バイオグラファーおよびGluco Watch(登録商標)G2TM(Cygnus Inc.、Redwood City、CA)バイオグラファーが挙げられるが、これらに限定されない。Gluco Watch G2バイオグラファーは、ウォームアップ時間を(3時間から2時間に)減少し、1時間当たりの読み取り数を増加し(6まで対3まで)、AutoSensor継続時間を(12時間から13時間)延長し、予測低警告アラームを提供する。Gluco Watch G2バイオグラファーは、第一世代Gluco Watchバイオグラファーと同じAutoSensorを使用する。Gluco Watchバイオグラファーは、本明細書中において詳細に記載される。
Gluco Watch バイオグラファーモニタリングデバイスを使用して、経皮抽出は、収集部位で組織表面に電流を適用することによって実施される。経皮抽出は、収集部位で組織表面に電流または超音波放射を適用することによって実施される。電流は、被験体から収集レザバに少量のグルコースを抽出するために使用される。収集レザバは、被験体中のグルコース濃度の測定を提供する検知デバイス(バイオセンサー)に接触している。グルコースが、経皮的に収集レザバに抽出されるにつれて、分析物は、レザバ中のグルコースオキシダーゼと反応し、過酸化水素を生成する。過酸化水素の存在は、レザバ中の過酸化水素の量に正比例する電流をバイオセンサー電極で生じる。この電流は、関連するシステムコントローラーによって検出され、解釈され得る(例えば、本明細書中に記載されるPKベースの方法を使用する)シグナルを提供し、ディスプレイにグルコースの濃度値または量を提供する。
サンプリングシステムの使用において、収集レザバは、例えば、被験体の皮膚の角質層上の組織表面に接触される。次いで、電流が、組織表面に適用され、組織から収集レザバにグルコースを抽出する。抽出は、例えば、選択された期間、頻繁に実施される。収集レザバは、少なくとも周期的かつ典型的には頻繁に分析され、そこでグルコース濃度が測定される。測定された値は、被験体の血液グルコースレベルに相関する。
分析物をサンプル化するため、1つ以上の収集レザバが、被験体上の組織に接触して配置される。収集レザバ中のイオン伝導物質はまた、組織から収集レザバにグルコースを抽出するのに十分な電流を生じる電極(逆イオン泳動的抽出)に接触する。図8を参照すると、イオン泳動サンプリングシステムにおける使用のためのAutoSensorの1つの実施形態を含む典型的な構成要素の分解組み立て図が、提示される。AutoSensorの構成要素は、2つのバイオセンサー/イオン泳動電極アセンブリ(104および106)を含み、各々は、108および110でそれぞれ示される、環状イオン泳動電極を有し、それらは、バイオセンサー電極112および114を取り囲む。電極アセンブリ104および106は、センサートレイ118中に維持されるポリマー基板116上にプリントされる。収集レザバアセンブリ120は、電極アセンブリ上に配置され、ここで、収集レザバアセンブリは、ゲル保持層126およびマスク層128によって保持される2つのヒドロゲル挿入物122および124を備える。さらに、放出ライナーが、アセンブリ中に備えられ得る。例えば、患者ライナー130およびプラウフォールドライナー132。代替的な実施形態において、電極アセンブリは、二モードの電極を含み得る。米国特許第5,827,183号、同第5,735,273号、同第6,141,573号、同第6,201,979号、および同第6,370,410号に記載されるようなポリウレタンマスク層128が、存在し得る。AutoSensorの他の実施形態は、米国特許第6,393,318号、同第6,341,232号、および同第6,438,414号に記載される。
マスク層および保持層は、好ましくは、検出される分析物(例えば、グルコース)に対して実質的に不浸透性である物質から構成される(例えば、米国特許第5,735,273号および同第6,341,232号を参照のこと)。「実質的に不浸透性」は、物質が、分析物輸送(例えば、拡散による)を減少または排除することを意味する。物質は、低いレベルの分析物輸送を可能にし得る。但し、物質を通過する分析物が、マスク層および保持層と共に使用される検知電極で有意なエッジ効果を引き起こさない。層を形成するために使用され得る物質の例としては、ポリエステル、ポリエステル誘導体、他のポリエステル様物質、ポリウレタン、ポリウレタン誘導体および他のポリウレタン様物質が挙げられるがこれらに限定されない。
図8中の分解組立図において示される成分は、PCT国際特許出願番号WO96/00110に記載されるような、典型的に前腕につけるように構成される自動サンプリングシステムにおける用途のために意図される。ハウジングは、自動サンプリングシステムを操作するために適切なエレクトロニクス(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ、メモリ、ディスプレイおよび他の回路素子)および電源をさらに備え得る。1つ以上のマイクロプロセッサは、種々の機能を制御し得、この機能としては、サンプリングデバイスの制御、検知デバイス、測定サイクルの特徴(例えば、サンプリングおよび検知のタイミング、ならびに電極間の交流特性)、連結性、計算法、データ操作の異なる特徴(例えば、取得、記録、再現、比較、および報告)などが挙げられるがこれらに限定されない。
検知電極は、例えば、Pt−含有電極は、約0.1〜3cm2、好ましくは約0.5〜2cm2、およびより好ましくは約1cm2の幾何学的表面積を提供するように構成される。この特定の構成は、本発明のサンプリングシステムにおいて使用される収集レザバの回収領域に比例してスケールされ、このシステム全体にわたって、抽出された分析物および/またはその反応生成物が、存在する。電気化学的汚染物質および/または他の残りの汚染物質が、最終組成物中に避けられ、得られた電極に固有であるバックグラウンドノイズを有意に減少することを保証する分析物等級または電極等級の試薬および溶媒を使用して、電極組成物は、製造され得る。特に、電極の製造において使用される試薬および溶媒は、電気化学的に活性な汚染物質(例えば、酸化防止剤)を実質的に含まないように選択され、特に、溶媒は、洗浄時間および硬化時間を減少するように高い揮発性について選択される。いくつかの電極の実施形態は、EP 0942278およびGB2335278に記載される。
検知電極の反応表面は、例えば、白金族金属(白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、およびイリジウムが挙げられる)、ニッケル、銅、銀、および炭素ならびにこれらの酸化物、二酸化物、組み合わせまたは合金のような任意の導電性物質から構成され得るが、これらに限定されない。電流滴定バイオセンサーの構成に適したいくつかの触媒物質技術、膜技術、および製造技術は、Newman,J.D.らに記載される(Analytical Chemistry 67(24),4594−4599,1995)。
任意の適切なイオン泳動電極システムが、使用され得、例示的なシステムは、銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極システムを使用する。イオン泳動電極は、典型的に、以下の2つの性能基準を使用して製造される:(1)電極は、長期間、好ましくは24時間以上までの間、操作し得る;および(2)電極は、極端に低いバックグラウンドレベルを必要とする本発明のシステム内で操作するために高い電気化学的純度を有するように製造される。電極は、電極の寿命を超える多量の電荷を通し得なければならない。長期間の間の操作に関して、Ag/AgCl電極は、望まれない電気化学的副反応(pHの変化、ならびに水加水分解に起因する水素および酸素の放出を生じ得る)なしに操作される可逆的対を繰り返し形成し得る。従って、Ag/AgCl電極は、電極面積の1cm2当たり、約0.01〜1.0mAの範囲での電流通過の繰り返しサイクルに耐えるように製造される。高い電気化学的純度に関して、Ag/AgCl成分は、適切なポリマー結合剤中に分散され、電極組成物を提供し、この電極組成物は、収集レザバ中の成分(例えば、ヒドロゲル組成物)による破壊的化学作用(例えば、可塑化)には感受性ではない。電極組成物はまた、典型的には、分析物等級または電極等級の試薬および溶媒を使用して、製造され得、ポリマー結合剤組成物は、バイオセンサーに拡散され、バックグラウンド電流を生じ得る、電気化学的に活性な汚染物質を含まないように選択される。
自動サンプリングシステムは、逆イオン泳動法を使用して、選択された時間の経過時間にわたってサンプルを経皮的に抽出し得る。収集レザバは、イオン的に伝導性の媒体、好ましくは、本明細書中で上記されるヒドロゲル媒体を含む。第1のイオン泳動電極は、収集レザバ(これは、典型的に、標的被験体組織表面と接触される)と接触され、第2のイオン泳動電極は、組織表面と接触する第2の収集レザバまたは組織と接触するいくつかの他のイオン的に伝導性の媒体のいずれかと接触される。電源は、当該分野で公知の様式で、逆イオン泳動法を実施し、2つの電極間の電位を提供する。上記されるように、バイオセンサーは、レザバ内で標的分析物(例えば、グルコース)の存在(好ましくはレベル)を検出するように選択されるバイオセンサーはまた、レザバと接触される。典型的に、2つの収集レザバが存在し、各々は、グルコースオキシダーゼを含み、各々は、イオン泳動電極および検知電極と適切に接触される。イオン泳動電極は、検知電極に対する対電極をまた同時に提供しない二モード電極であり得る(例えば、米国特許第5,954,685号を参照のこと)。
実際に、電位(直流またはより複雑な波形のいずれか)は、2つのイオン泳動電極の間に適用され、その結果、電流は、第1の電極から第1の伝導性媒体を通って皮膚に流れ、皮膚から第2の伝導性媒体を通って第2の電極に出る。この電流は、逆イオン泳動または電気浸透のプロセスによって、物質を、皮膚を通って1つ以上の収集レザバに抽出する。電位は、PCT国際特許出願番号WO96/00110に記載されるように、適用され得る。典型的に、電位は、2つのレザバの間で交替し、交流様式で各レザバに分析物の抽出を提供する(例えば、米国特許第6,298,254号、同第6,023,629号、および同第5,771,890号)。分析物はまた、典型的に、各レザバにおいて検出される。
例として、グルコースを抽出するために、皮膚または組織に印加される電流密度は、約0.01〜約2mA/cm2の範囲であり得る。グルコースの抽出を容易にするために、電気的エネルギーが、電極に印加され得、例えば、電極の極性は、変更され得、その結果、各電極は、交互にカソードまたはアノードである。極性切替えは、手動または自動であり得る。交流極性を使用する物質のサンプリングのためのデバイスおよび方法は、米国特許第6,298,254号、同第6,023,629号、および同第5,771,890号に記載される。
二モード電極が使用される場合(例えば、米国特許第5,954,685号)、逆イオン泳動期の間、電源は、第1の二モード電極に対して電流を提供し、化学的シグナルのレザバへの抽出を容易にする。検知期の間、別の電源が、使用され、第1の検知電極に電圧を提供し、検知電極の触媒面での、レザバ中に保持される化学的シグナルの電気的シグナルへの転換を駆動する。別の電源がまた、電極で一定の電位を維持し、この電極において、例えば、過酸化水素が、分子酸素、水素イオン、および電子に転換され、これは、検知期の間、参照電極の電位と比較される。1つの検知電極は、検知モードにおいて操作され、その一方で、これは、近接した二モード電極に電気的に連結され、この二モード電極は、検知電極で発生した電子が、消費される対電極として作用する。
電極サブアセンブリは、各電極が、適切な検知電極および参照電極と共にイオン泳動電極および対電極の両方として機能し得るように、2モード電極を電気的に接続することで、操作され得る。
ポテンシオスタットは、3つの電極の電気化学的電池中で、電気化学的測定において使用される電気回路である。電位は、参照電極と検知電極との間に適用される。検知電極で生成した電流は、回路を通じて対電極に流れる(すなわち、参照電極を流れて、その平衡電位を変化させる電流はない)。2つの独立したポテンシオスタット回路が、2つのバイオセンサーを操作するために使用され得る。本発明の目的のために、検知電極サブアセンブリで測定される電流は、分析物に対応する化学シグナルの量に関連付けられる電流である。
検出された電流は、被験者の血中グルコース濃度に関連付けられ得(例えば、統計学的技術または統計力学的アルゴリズムまたは技術の組合せを使用して)、そのためシステムコントローラーは、サンプリングシステムで測定した被験者の実際の血中グルコース濃度を表示し得る。そのような統計学的技術は、アルゴリズムとして公式化され得、サンプリングシステムに関連する1つ以上のマイクロプロセッサ中に組み込まれ得る。例示的なシグナル処理アプリケーションとしては、米国特許第6,309,351号、同第6,299,578号、同第6,272,364号、同第6,233,471号、同第6,144,869号、同第6,356,776号、同第6,180,416号、および同第6,326,160号において、教示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のさらなる特徴において、サンプリング/検知機構およびユーザーインターフェースが、別々の成分中に見出され得る(例えば、PCT国際特許出願 WO0047109を参照のこと)。従って、モニタリングシステムは、少なくとも2つの成分を備え得る。このシステム中では、第1の成分が、分析物(例えば、グルコース)を抽出および検出するために使用されるサンプリング機構および検知機構を備え、第1の成分から分析物データを受容する第2の成分が、分析物データについてデータ処理を行って、分析物濃度を決定し、次いで分析物濃度データを表示する。典型的には、マイクロプロセッサの機能(例えば、サンプリングデバイス、検知デバイス、測定サイクルの状況、コンピューターによる方法、データの操作または記録の様々な状況などの制御)は、両成分において見られる。あるいは、マイクロプロセッサ成分は、少なくとも2つの成分の一方または他方に位置し得る。モニタリングシステムの第2の成分は、多くの形態をとり得る。とり得る形態としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:例えば、前腕上に付けられ得る小さいデバイス、クレジットカード形状のデバイス(例えば、米国特許第5,892,661号で例として記述されている、組込型マイクロプロセッサを有する「スマートカード(smart card)」または「ユニバーサルカード(universal card)」)、紙様のデバイス、携帯電話様のデバイス、あるいは視覚的、聴覚的、または筋覚的に、ユーザーと情報を連絡する他のそのようなデバイス。
さらに、さらなる成分が、システムに追加され得る。例えば、分析物の値の表示または分析物濃度に関連する警告を備える第3の成分が、使用され得る。特定の実施形態において、送達ユニットがシステムに含まれる。例示的な送達ユニットは、インスリン送達ユニットである。インスリン送達ユニット(埋め込み型および外部型の両方)は、当該分野において公知であり、例えば、米国特許第5,995,860号;同第5,112,614号および同第5,062,841号に記載されている。好ましくは、本発明の成分として含まれている場合、送達ユニットは、検知機構が、インスリンポンプを制御し得、被験者への適切な量のインスリンの送達を制御し得るように、抽出機構および/または検知機構と連絡(例えば、ワイヤ様のものによる連絡またはワイヤレスの連絡)している。
第2の成分(例えば、いくらかのマイクロプロセッサ機能および表示機能が挙げられる)から第1の成分(例えば、バイオセンサー機能および電気泳動機能)を分離することの利点としては、より大きな可撓性、より大きな自由度、より大きな秘密性およびより大きなユーザーの簡便性が挙げられる。小さくて軽い測定ユニットを有することによって、より広範囲な体の部位での、このシステムの2つの成分の配置が可能となる。例えば、第1の成分は、腹部または上腕に配置され得る。このより広範囲での配置の選択により、最適な抽出部位の選択(例えば、四肢よりもむしろ胴)およびより大きな温度安定性(例えば、服の絶縁効果を介する)により、正確性を改良し得る。従って、収集アセンブリおよび検知アセンブリは、体のより広範囲に配置され得る。同様に、より小さく目立たないマイクロプロセッサおよび表示ユニット(第2の成分)によって、分析物をモニターするための簡便な別個のシステムが提供される。バイオセンサーによるシグナルの読取りおよび制御は、収集および検知アセンブリと(例えば、前腕、ページャー、またはクレジットカードの大きさのデバイスに装着される)小さなデバイスの形態をとり得る表示ユニットとの間において、ワイヤ様の技術またはワイヤレスの技術を介して伝えられる。このシステムはまた、夜間の使用時に警告メッセージまたは警告シグナルを(例えば、モニタリングしている被験者から離れた場所へ)伝える能力を提供する。
1つの実施形態において、このデバイスの2つの成分は、ワイヤまたはケーブル様のものによる接続により、作動可能に連絡し得る。成分間の作動可能な連絡は、ワイヤレスな連結(すなわち、「仮想ケーブル」(例えば、遠隔測定的連結)によって提供される)であり得る。このワイヤレスの連結は、2つの成分間で、一方向的または双方向的であり得る。2つよりも多い成分の場合において、連結は、ワイヤ様のものおよびワイヤレスのものの組合せであり得る。
(5.0 例示的な分析物)
分析物は、化学的分析、物理的分析、酵素的分析、または光学的分析において、検出および/または測定を所望する、任意の特定の物質、成分、またはそれらの組合せであり得る。分析物の検出/測定が時間依存的である限り(例えば、検出測定法によって、速度論的領域を有する応答曲線が与えられる場合)、本発明のPKベースの方法が、使用され得る。
本発明の方法を使用して測定され得る分析物としては、アミノ酸、疾患状態または状態を示す酵素基質または酵素生産物、他の疾患または状態のマーカー、乱用される薬物(例えば、エタノール、コカイン)、治療的薬剤および/または薬学的薬剤(例えば、テオフィリン、抗−HIV薬物、リチウム、抗てんかん薬物、シクロスポリン、化学療法剤)、電解質、目的の生理学的分析物(例えば、尿酸塩/尿酸、カーボネート、カルシウム、カリウム、ナトリウム、塩化物、ビカーボネート(CO2)、グルコース、尿素(血中尿素窒素)、乳酸塩および/または乳酸、ヒドロキシ酪酸塩、コレステロール、トリグリセリド、クレアチン、クレアチニン、インスリン、ヘマトクリット、およびヘモグロビン)、血中ガス(二酸化炭素、酸素、pH)、脂質、重金属(例えば、鉛、銅)などが挙げられるが、これらに限定されない。非生物学的な系における分析物はまた、本発明の方法を使用して、評価され得る。
好ましい実施形態において、分析物は、目的の生理学的な分析物(例えば、グルコース)または生理学的な作用を有する化学物質(例えば、薬物または薬理学的薬剤)である。
分析物の検出を促進するために、酵素(または酵素群)が、1つ以上の収集レザバ中に配置され得る。選択される酵素は、反応生産物が検知され得る(例えば、反応生産物は、反応する分析物量に比例する検出可能な電流の生成から、電気化学的に検出され得る)程度にまで、抽出した分析物との反応を触媒し得る。本発明の1つの実施形態において、適切な酵素は、グルコースオキシダーゼであり、この酵素は、グルコースを、グルコン酸および過酸化水素へと酸化する。その後の適切なバイオセンサー電極での過酸化水素の検出により、1つの過酸化水素分子から電流を作製する2つの電子が、生成される。この電流は、検出され得、デバイスに入ったグルコース量に関連付けられる。グルコースオキシダーゼは、市販されており、周知の触媒的特徴を有する。しかし、他の酵素もまた、それらが、特異的に目的の分析物または物質の反応を触媒し、反応した分析物の量に比例して検出可能な生産物を生成する限り、単独で(個々の分析物の検出のため)または組み合わせて(多数の分析物の検出のため)使用され得る。
同様の様式で、多くの他の分析物特異的な酵素システムが、本発明において使用され得、この酵素システムは、多くの同様の一般的な技術において作動する。例えば、過酸化水素を検出するバイオセンサー電極は、アルコールオキシダーゼシステムを使用してエタノールを検出するために使用され得る。また、同様に尿酸オキシダーゼシステムによる尿酸の検出、コレステロールオキシダーゼシステムによるコレステロールの検出、およびキサンチンオキシダーゼシステムによるテオフィリンの検出においても、使用され得る。
さらに、オキシダーゼ(ヒドロゲンペルオキシダーゼベースの検出に使用される)は、さらなる分析物を検出する別の経路を提案する、別の酸化還元システム(例えば、脱水素酵素 NAD−NADH)によって、置き換えられ得るか、または、補充され得る。脱水素酵素ベースのセンサーは、(媒介する化学反応を介して)金製または炭素製の作動電極を使用し得る。この種類のモニタリングに適した分析物の例としては、コレステロール、エタノール、ヒドロキシ酪酸塩、フェニルアラニン、トリグリセリド、および尿素が挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、酵素は、取り除かれ得、検出が、分析物の直接的な電気化学的検出または電位差測定による検出に依存し得る。そのような分析物としては、重金属(例えば、コバルト、鉄、鉛、ニッケル、亜鉛)、酸素、炭酸塩/二酸化炭素、塩化物、フッ化物、リチウム、pH、カリウム、ナトリウム、および尿素が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書中に記載するサンプリングシステムも、治療的薬物のモニタリング(例えば、抗てんかん薬物(例えば、フェニトイン)、化学療法薬物(例えば、アドリアマイシン)、多動薬物(例えば、リタリン(ritalin))、および抗臓器拒絶反応薬物(例えば、シクロスポリン))のために使用され得る。
好ましくは、センサー電極は、正常な濃度レベルで存在する場合に、1つ以上の収集レザバ中に抽出された分析物を検出し得る。記載されるような適切な例示的バイオセンサー電極および関連するサンプリングシステムが、PCT国際特許出願第WO97/10499号および同第WO98/42252号に記載される。
さらに、本発明のPKベースの方法により、多数の分析物が、1つの一般的な反応生産物によって検出される場合でさえも、単一のサンプル(例えば、経皮的抽出を使用して、単一のレザバ中に収集されたサンプル)中で得られた多数の分析物の分析が容易になる。例えば、いくつかのオキシダーゼ(例えば、乳酸オキシダーゼ、ウリカーゼ、およびグルコースオキシダーゼ)を使用する検知デバイスが、使用され得る。これらの酵素は各々、それぞれの基質に接触された場合に、過酸化水素を生成する能力を有している。例えば、過酸化水素に感受的な単一センサー(例えば、白金電極)は、グルコース、尿酸、または乳酸に起源を持つ過酸化物の間の区別をし得ない。しかし、本発明のPKベースの方法を使用することにより、各反応の見掛けの速度定数および各分析物の濃度が解明され得る、つまり、PKベースの方法は、全体的で最終的な過酸化物媒介性のシグナルに対する個々の寄与を解明し得る。従って、適切な計算能力を有していれば、各分析物の濃度が、得られ得る。変数(例えば、pHおよび酵素濃度)によって、各酵素の見掛けの速度定数を操作して、解明を補助し、成分間の干渉を最小限にすることが、可能となる。さらに、因子を加重化するシステムが、同様に使用され得る。例えば、既知の全シグナルへの寄与に基づいて、異なる成分による寄与が、異なるように荷重される。
典型的には、異なる酵素によって促進される、検出可能な生産物を形成する基質との反応は、互いに干渉しない。本明細書中に記載するPKベースの方法は、異なる分析物の一般的な反応生産物への変換の反応速度定数において、少なくとも3倍の差、好ましくは5倍〜10倍の差またはそれよりも大きな差がある場合に、その一般的な反応生産物(例えば、過酸化水素)を使用する、多数の分析物の検出にとって、特に有用である。例えば、単一のサンプル中のグルコースおよび尿素の検出は、酵素 グルコースオキシダーゼおよびウリカーゼ(尿酸塩オキシダーゼ)(両方とも一般的な検出可能な生産物として、過酸化水素を生じる)の使用によって、促進され得る。グルコースオキシダーゼのkmは、およそ3.3×10-2モル濃度であり、ウリカーゼのkmは、およそ10-5モル濃度である。例えば、グルコースおよび尿素に対応するシグナルは、本明細書中に記載する並列的な1次の予測的速度論的モデルを使用して、この2つの反応の見掛けの速度定数(すなわち、km)に基づく単一のシグナル応答曲線において、解明され得る。
上記の例においては、一般的な反応生産物が、形成される(すなわち過酸化水素)。しかし、これは、必要なことではない。単一のセンサーは、多数の分析物および/または分析物の反応生産物を検出し得る。例えば、白金センサーは、単一のサンプル中のチロシンおよびグルコースを検出するために使用され得る。チロシンは、例えば、適切な電極電位(例えば、Ag/AgClに対して、およそ0.6V)における直接的な電気化学的酸化によって、検出される。グルコースは、例えば、グルコースオキシダーゼの使用および反応生成物の過酸化水素の検出によって、検出される。例えば、チロシンおよびグルコースに対応するシグナルは、本明細書中に記載される並列な1次の予測的速度論的モデルを使用して、2つの反応の見掛けの速度定数(すなわち、km)に基づく単一のシグナル応答曲線において、解明され得る。
一般的に、単一のセンサーを使用して多数の分析物を検出する場合、単一の応答曲線において、各分析物に対応する主要なシグナルは、時間によって分離される(例えば、1つの分析物のセンサーとの反応は速く(k1)、第二の分析物のセンサーとの反応は遅い(k2)、すなわち、k1>>k2)。
異なる検知デバイスおよび/または検知システムは、同様にシグナルを区別するために使用され得る。例えば、第1の白金センサーと結合したグルコースオキシダーゼを含む第1のゲルは、グルコースの検出のために使用され得る。一方、第2の白金センサーと結合したウリカーゼを含む第2のゲルは、尿素の検出のために使用され得る。次いで、本発明のPKベースの方法が、各センサーで生成した単一の応答曲線を個々にモデル化するために使用され得る。
以下の実施例は、当業者に、本発明のデバイス、方法、および処方法の製造方法および使用方法についての完全な開示および説明を提供するために、示され、本発明者が発明として考えているものの範囲を制限することを企図しない。使用する数値(例えば、量、温度など)に関しては、正確性を保証するために努力をしたが、いくらかの実験的な誤りおよび逸脱があるはずである。他に示さない限り、部は重量の部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏の温度であり、圧力は大気圧かその付近である。
(実施例1)
(PK積分方法および7分積分方法の考察)
データは、ヒト分析物についてのGluco Watch biographerを使用して、収集した。グルコースに対する電極反応を、モニタリングした。次いで、電流応答を、データ処理用のコンピューターに移した。およそ26時間、分析物を観測した。簡単に言うと、グルコースを含むサンプルを、各被験体の皮膚表面に作動可能に接触したGluco Watch biographerを使用して、被験者から経皮的に抽出した。経時的に、測定した電流シグナルを得た。この測定した電流シグナルは、測定した電流シグナルの(抽出したグルコースについての)応答電流曲線を構成し、ここで、観測した電流シグナルは、詳細にはGluco Watch biographerのヒドロゲル中のグルコース量に関連する。積分後、経時的に測定した電荷シグナルを得た。この測定した電荷シグナルは、測定した電荷シグナルの応答曲線を構成し、これは、詳細にはヒドロゲル中のグルコース量(または、濃度)に関連する。
25個のGluco Watch biographerの生データを、7分定点積分方法(例えば、定義の節1.0.0〜1.1.2のGluco Watch biographerを参照のこと)およびSPKアプローチ(節2.0.0、予測速度論を参照のこと)の両方を使用して、分析した。この2つの方法の結果を比較した。「nC勾配」は、電荷シグナルと基準BGとの間の相関線の最小二乗勾配である。それは、(nC/(mg/dL))で与えられ、システムの感度の尺度として考え得る。
表2は、2つの方法のデータの比較を示し、7分積分方法およびPK積分方法で得られた異なる時間間隔についての平均nC勾配を示す。表2において、25個のGluco Watch biographerのデータに基づく平均nC勾配が、比較される。26時間のデータは、経時的に有意なシグナルの減少を示したので、nC勾配は、3つのより短い時間間隔T1(3時間〜10時間)、T2(10時間〜17時間)およびT3(17時間〜26時間)に分割して、列記した。
Figure 0004574647
「nC勾配」の比較に基づくと、PK方法が、S7分積分よりも高い感度を示した。しかし、表3で提供されるデータによって示されるように、PKで推定された電荷は、7分積分での電荷よりも、いくらか低い基準BGとの相関を示した。表3のデータは、7分積分方法およびPK積分方法から得られた、異なる時間間隔での相関を示す。相関の決定係数(R2)は、積分値と基準血中グルコース値によって与えられるグルコース濃度との間の適合程度のインジケーターである。
Figure 0004574647
上に提供したデータに見られ得るように、7分方法およびSPK方法の両方において、経時的なシグナルの劇的な減少があった。両方法は、類似のシグナルの減少を示す電荷シグナルの推定値を導いた。これは、表4でさらに示され、そこでは、異なる時間間隔でのnC勾配比が、パーセント表記で与えられる。
Figure 0004574647
これらの結果は、SPKアプローチの直接的な適用が、シグナル減衰を完全には補い得ないことを示唆する。
(実施例2)
(1/k2効果)
1/k2効果の典型的な例が、図16(b)に示されている。この例において、電荷シグナルは、7分固定点方法を使用して計算され(図16、パネルa)、1/k2は、以下のように、PK式(3A)に適合する3分のデータから計算される(図16、パネルb):
Figure 0004574647
固定点法による値および1/k2の値が、基準BGと共に、経過時間(ET)の関数として、プロットされる。7分の電荷シグナルおよび1/k2シグナルの両方を、1時間のETでの単純な単一点較正を使用して、グルコース値に変換した。電荷シグナルに基づくグルコース濃度の例示的な計算は、以下の通りである:
Figure 0004574647
ここで、Glutは時間tでのグルコース濃度、GlucalはnCcal(較正した時間でのnC電荷(電流の積分値))に対応する較正した時間でのグルコース濃度、(nC 7分シグナル)tは時間tでの7分にわたるnCシグナルである。
1/k2に基づく例示的な計算は、以下の通りである:
Figure 0004574647
ここで、Glutは時間tでのグルコース濃度、Glucalは較正した時間での推定した1/k2に対応する較正した時間でのグルコース濃度、(1/k2tは時間tでの推定した1/k2である。
(1/k2効果は、変旋光速度が、酵素反応の典型的な方法におけるグルコース濃度に依存するという事実により生じる場合、較正式は、上記のものよりも、いくらかより一般的な形態を有するべきである。より詳細には、α→βの変旋光速度kaが、
Figure 0004574647
ここで、[α]は、α−グルコース濃度、fαおよびmは、酵素による変旋光反応のパラメータであり、k2は、必然的にkaと同じである。次いで、較正式が次の形態を有する:
Figure 0004574647
ここで、Bはfαおよびmに関連する調節可能なパラメータである。)
血中グルコースのプロフィールは、3つの明確なピークを示す:約1.5時間ETでの第1のピーク、300mg/dLよりも高い値に達する、約15時間ETでの第2の高いピーク、および約21時間ETでのより小さい第3のBGピーク。7分積分の電荷シグナルが、3つのピーク全てに続いたが、強いシグナル減衰を示した。そのため、第3のBGピーク反映は7分積分の較正されたシグナル中にわずかに見えるのみであった。対照的に、1/k2シグナルは、BGの変化を、密接に追跡するだけではなく、シグナル減衰の兆候も示さなかった。
(実施例3)
(KminおよびKratioと分析物の量または濃度との間の相関の分析)
図16において例示される明白な視覚的観察を、より定量的な方法で確認するために、119 Gluco Watch biographersのデータを分析した。
minの分析およびKratioの分析の両方を、ヒト被験者に適用した119 Gluco Watch biographersのデータセットに対して行った。各カソードサイクルについて{c1、c2、k1、およびk2}の値を計算した後に、同じ実施工程が続いた。次いで、Kminの分析およびKratioの分析が、計算され、基準BG値に対応付けられた。
各推定(すなわち、当てはめられたパラメータ)が異なる単位を有したので、1点の較正を、経過時間(ET)1:14(または第1の利用可能な参照BG)においてなし、推定グルコース値を、同じ単位(mg/dl)に変換した。パラメータc1、c2、k1、およびk2を、各時点におけるシグナル電荷データの最初の3分に当てはめた以下の式を使用して、推定した:
Figure 0004574647
上記のように、データを、ヒト被験体において、GlucoWatchバイオグラファーを使用して室温で収集した。PKモデル、式3Aを、GlucoWatchバイオグラファー電荷シグナルの最初の部分(典型的に、最初の3分)に当てはめ、パラメータについての値を決定した。非線形当てはめ(モデルパラメータの最適化)を、最小化アルゴリズムLevenberg−Marquardtを使用して実行した。数学的モデル(式3Aによって表される)および誤差最小化方法(Levenberg−Marquardt)を使用して、測定シグナル応答曲線に対して予測応答曲線に当てはめるために、このモデルおよび誤差最小化方法を使用し、パラメータの値を反復的に推定した。誤差最小化方法は、予測シグナル応答曲線と測定シグナル応答曲線との間の差に基づく計算誤差を提供した。推定は、予測シグナル応答曲線と測定シグナル応答曲線との間の計算誤差が最小である(すなわち、当てはめられたパラメータの代替的な値を使用するとより高い誤差を生じる)まで、またはさらなる統計的に有意な変化が計算誤差において見られなくなるまで反復的に実行され、このとき、パラメータの反復的な推定を停止した。反復的推定および誤差最小化は、測定シグナル応答曲線に対応する予測応答曲線を生じた。さらに、反復的推定は、c1、c2、k1、およびk2を含む数学的モデルにおける全てのパラメータについて推定値を提供する。
グルコース濃度を、以下の式を使用して、1/k2について実施例2に記載されるように、計算した:
Figure 0004574647
最小二乗法の傾き、最小二乗法の切片および相関分析を、異なる間隔で、KminおよびKratio方法について実施した。119GlucoWatchバイオグラファーについての平均値を、表5、6および7に示す。これらの表において、最初の間隔は、経過時間(ET)1:34〜7:54に対応し、第2の間隔は、ET8:14〜16:54に対応し、第3の間隔は、ET17:14〜25:54に対応する。KminおよびKratioの両方の性能を調査した。
表5において、異なる時間間隔でのそれぞれの方法についての平均化相関値を示す。表5のデータは、決定相関の平均化係数を示す。表5において、0未満の相関を、平均に含めず、2対のみ点の相関(1.0を生じる)を、分析に含めなかった。
Figure 0004574647
minおよびKratio方法についての相関値がわずかに低かったが、より小さなセグメントのKminの低い相関は、k2推定における変動に起因し得、予測パラメータを最適化することによって固定化され得る。しかし、k2推定におけるこれらのわずかな変動でさえ、分析濃度または量のインジケーターとして、k2パラメータの全体的な性能をもたらさない。さらに、このデータは、25時間の実行における良好な平均化相関を示した。
表6において、異なる時間間隔でそれぞれの方法についての平均化された傾きを示す。表6において、0未満の傾きは、平均に含まれず、第1の間隔において2.0より大きい傾きは、平均に含まれなかった。新規な方法、特にKminは、全ての間隔について、一定の傾きを有した。全体(表6、全て)に、Kminは、より高い平均化された傾きを有し、これは、より高い分析物感度を意味する。
Figure 0004574647
表6のデータは、KminおよびKratioが、実験の26時間の過程にわたって減衰しない、分析物濃度または量の感度のインジケーターを提供することを支持する。
minおよびKratioが、シグナル減衰に供されるか否かを調べるために、減衰指数を使用した。間隔の間の傾きの比を、1つの間隔から別の間隔へのシグナル減衰を定量化するために計算した。傾きの比は、以下の通りであった:
傾きの比AB(%)=間隔Aにおける傾き/間隔Bにおける傾き
表7において、異なる時間間隔におけるそれぞれの方法についての平均化された傾きの比を示す。表7において、0%未満および300%を超える比を、分析に含めなかった。
Figure 0004574647
上に提示されたデータは、KminおよびKratioの両方が、実行全体について、シグナルレベルを安定に維持するという結論を支持する。従って、これらのデータは、分析物濃度または量の推定のためのパラメータとして、KminおよびKratioを使用する場合、シグナル減衰が、分析物の濃度または量の決定に対して影響を減少したことを示唆する。
PK法および1/k2法で得られた結果の比較を実施例4に示す。
結論として、Kmin(1/k2)が、ゲル中のグルコース濃度と比例することが分かる。ゲル中のより高いグルコース濃度は、おそらく、より遅いプロセスを遅くし、予測された時間定数で見える。
より低いシグナル減衰と参照BGに対するKmin(1/k2)の高い相関によって、未来の世代のGlucoWatchバイオグラファーモニタリングデバイスの使用可能期間を増加させ得る代替のアルゴリズムに対する入力として、そのKmin(1/k2)を、潜在的に価値のある候補とする。
(実施例4)
(SPK法の結果と1/k2法の結果の比較)
1/k2シグナルから得られた結果を、電荷シグナルからの結果と比較した。これを、SPK法(実施例3、上記、セクション2.00「予測速度論」もまた参照のこと)を使用して推定した。PKデータが7分積分法から得られた電荷シグナルと非常に類似したので、PKの結果のみが、参照として使用されたが;類似の対照が、7分積分法について予測され得る。
1/k2シグナルおよび電荷シグナルが異なる単位を有するので、これらを、直接比較することはできない。従って、既知の血液グルコースとシグナルを一致させることによる一点較正を、1:14時間ET(または第1の利用可能な参照BG)で仮定した。次いで、分析を、較正されたシグナル(mg/dlで与えられる)について行った。いくつかの明らかな視覚的アウトライナー(8925のうち176の読み取り)を、この分析の目的で除去した。最小二乗傾きおよび参照BGに関する相関係数を、異なるET間隔で、シグナルの両方の種類について計算した。第1(初期)時間間隔は、1:34時間および7:54時間の間のETに対応し、第2(中間)間隔は、8:14時間〜16:54時間に対応し、第3(後期)間隔は、17:14時間と25:54時間との間のETであった。GlucoWatchバイオグラファー当たりの平均化された結果を表8に示す。表8において、平均化された傾きおよび相関を、較正されたPK電荷シグナルおよび較正された1/k2シグナルから得られた異なる時間間隔についての参照BGに対してプロットする。
Figure 0004574647
PK法が最初に(「初期」時間間隔において)より高い傾きを導いたが、引き続く時間間隔においてすぐに減少する。他方、1/k2較正シグナルは、全ての時間間隔についてほとんど同じ傾きを示す。モニタリング期間全体において、1/k2は、SPKアプローチよりも高い平均化された傾きを与える。これは、1/k2アプローチが、PK法よりもより高い感度を提供し、結果として、標準的な7分法よりもより高い感度を提供することを意味する。
異なる時間間隔および異なる方法についての平均の傾きの比を、表9に示す。これらの比は、シグナル減衰の程度を定量化するために使用され得る。S∞PK法を使用して得られる電荷シグナルが、シグナル減衰に供されるという結論を、表9におけるデータによって確認する。平均して、第2(中間)間隔におけるPKシグナルが、第1(初期)間隔におけるシグナルの半分(51%)のみであり、第3(後期)間隔において、初期間隔においてシグナルの3分の1(33%)のみになる。他方、1/k2シグナルは、全実行を通しておよそ同じレベルを維持する。表9は、異なる時間間隔についての平均化された傾きの比を表す(較正されたPK電荷シグナル 対 較正された1/k2シグナル)。
Figure 0004574647
表8および9に示される結果は、本発明の方法が、SPK法と比較して、初期(経過時間1:34〜7:54)時間間隔、中期(経過時間8:14時間〜16:54)時間間隔および後期(経過時間17:14時間〜25:54時間)時間間隔の間で、より一定の傾き値を有することを示唆する。傾きは、システムの感度の良好な表示である。感度がより一定であることは、システムがより安定なことを意味する。さらに、本発明の方法は、S∞PK法と比較して、シグナル減衰に対してあまり感受性ではない。傾きの比は、良好なシグナル減衰表示である。本発明の方法の傾きの比は、中間間隔および後期間隔についての初期間隔の約10%の範囲に留まった。しかし、S∞PK法のシグナル(S)は、初期〜中期で50%減衰し、初期から後期で66%減衰した。シグナル減衰は、安定かつ信頼性のあるシステムのために改善されるべき最も重要な特徴の1つである。また、本発明の方法は、短い時間にわたって、SPK法と類似の、参照BGとの相関を有した;しかし、より長い時間にわたって、参照BG相関とのより高い相関を有した。なぜなら、長い時間にわたるシグナル減衰の問題を解決したからである。
血液グルコース(または他の分析物レベル(例えば、量または濃度))を追跡するための方法としての1/k2効果の直接的な適用は、良好な結果を提供した。さらに、1/k2効果は、シグナル減衰を補償するための種々の新規な方法を開発するための基礎として使用され得る。このような方法の例は、上記されている。生(スクリーニングされていない)データの基本的分析は、1/k2効果に基づく新規なシグナル処理方法が、SPK法よりも良く実施され、標準的な7分積分法よりも良く実施されたという結論を導く(これらの方法の両方が、規定された時間間隔にわたる血液グルコース濃度の良好な信頼性のある推定を提供する)。本明細書中に記載される1/k2に基づく方法は、より高い感度、より低いシグナル減衰、およびより高い参照BGとの全体的な相関を与えた。
上に提示されるデータから分かり得るように、一般的に、1/k2法は、SPK法に対する改善を提供する。SPK法および標準的な7分積分法が類似の結果(実施例1を参照のこと)を提供するので、これらの結果は、1/k2法が、同様に、標準的な7分積分法に対する改善を提供することを示唆する。1/k2法は、より高い感度、より低いシグナル減衰、およびより高い全体的な相関を与える。
(実施例5)
(シグナル減衰に対する補償)
図17において、パネル(a)、利得率G(図16における1/k2効果を説明するために使用した同じデータセットからの、センサーAおよびBについての平均として計算した)を、経過時間の関数としてプロットする(図17、パネル(a);菱形)。この図において、実線の曲線は、5点の移動平均を使用することによって滑らかにされる利得率を表す。GがBGに依存することが予期されないので、平滑化操作は、ここで、正当化される。なぜなら、これは、実際のBGについての情報のいかなる損失も引き起こさないべきであるからである。三角形は、同じ平滑化G因子に対応するが、最初の利用可能なG値によって正規化される。データを平滑化する間、Gの第1の4つの点は失われた。これらの点は、正規化バージョンにおいて「1」で置き換えられた。この手順は、結果に影響しないべきである。なぜなら、GlucoWatchバイオグラファー操作の第1の2時間においてほんのわずかなシグナル減衰が観察されたからである。正規化された利得率は、どれだけ多くのシグナル減衰が、GlucoWatchバイオグラファー適用においてみいだされるかについてのおおまかな推定を提供する。図17において示される特定の場合において、約24時間のETにおけるシグナルは、モニタリング期間の始まりにおけるよりもほぼ4分の1の小ささであった。Gが、各々特定のGlucoWatchバイオグラファー適用について個々にシグナル減衰を測定し、「オンザラン」でまたはリアルタイムでシグナル減衰を補償するために使用され得る。これは、シグナル減衰が、異なる被験体について有意に変動し得、同じ被験体についての異なるGlucoWatchバイオグラファー適用について有意に変化し得るので、関連している。
7分固定化点方法(図16(a)においてプロットされる)を使用して計算される電荷シグナルを、正規化されかつ平滑化された利得率Gをその電荷シグナルと乗算することによって、シグナル減衰について訂正した。正規化され平滑化された利得率Gを、5点移動平均1/c2値をとることによって得られた。例えば、時間tにおける電荷(すなわち、センサーAおよびBからのグルコース関連電荷値が平均化される完全な測定サイクルに基づく電荷)に、平均1/c2値を乗算し、ここで、平均が、時間t、(t−1)、(t−2)、(t−3)および(t−4)についての1/c2値に基づく。得られたシグナル(シグナルをBG値に一致させることによって1時間のETで較正した)を、図17(b)に、参照BGデータと一緒にプロットする。シグナル減衰補償の記載された手順が、本明細書中に提示されるデータに示されるように、非常に良く働くことが分かった。
116GlucoWatchバイオグラファーの統計的分析は、シグナル減衰補償についての記載された上記方法が、高くかつ一定の傾きを示すシグナル減衰補償された7分電荷シグナル、および25時間のモニタリング期間全体において参照BGとの高い相関を導くことを確認した。これは、表10に示され、ここで、異なる時間間隔および標準的な7分積分方法についての平均の傾きの比が、シグナル減衰について訂正されたものと比較される。表10は、異なる時間間隔および7分積分電荷シグナルについての平均化された傾きの比についてのデータ 対 シグナル減衰について補償された同じシグナルについての平均化された傾きの比についてのデータを示す。
Figure 0004574647
表11は、7分積分法(7分)、SPK法(PK)、1/k2シグナル方法(1/k2)、および利得率G=1/c2を使用する7分電荷シグナルを訂正する方法(G−7分)の性能の比較を示す。上に示される研究において、データ調和スキームとGlucoWatchバイオグラファーの数との間の差に起因して、異なる方法についての性能比較マトリクスを作成することは困難であった。従って、性能比較マトリクスを、107GlucoWatchバイオグラファーを含む研究サイズからの同じデータセットおよび同じGlucoWatchバイオグラファーについて作成された(表11)。GlucoWatchバイオグラファーを、ET1:14において、または単純な1点較正を用いる第1の利用可能な参照血液グルコース値を用いて較正した(MOEアルゴリズムを適用しなかった)。
性能マトリクスは、以下の通りであった。種々の時間間隔について、平均相対的差異(MRD)、平均絶対的相対的差異(MARD)、傾きおよび決定係数(R2)は、参照BGに対する、1:14ETで較正されたシグナルについて与えられる。各方法および異なる時間間隔について、表11は、平均相対的差異(MRD)、平均絶対的相対的差異(MARD)、決定係数(R2)、および参照BGに対するシグナルの傾き(1:14ETにおいて較正される)を列挙する。(MRDは、較正されたシグナルと参照BGによって正規化された参照BGとの間の差異の平均として規定され、MARDは、較正されたシグナルと再び参照BGによって正規化された参照BGとの間の差異の絶対値の平均として規定される)。
Figure 0004574647
この結果は、本発明の方法(1/k2および1/c2を使用するシグナル減衰についての訂正の両方)が、標準的な7分積分方法またはSPK法よりも、より高い感度、より低いシグナル減衰、より低いネガティブMRD、より小さいMARD、およびより高い全体的な訂正を生じることを示す。本発明の方法は、24時間までおよび24時間を超える単一のAutoSensorを備えるGlucoWatchバイオグラファーモデリングデバイスの有効なモニタリング時間を増加する際に有用であり得る(GlucoWatchバイオグラファーまたはGlucoWatch G2バイオグラファーにおいて使用される標準7分積分方法を用いて現在見られた典型的な12〜13時間の使用期間と対照的である)。さらに、これらのパラメータ(1/k2および1/c2)は、分析物の量または濃度の推定を精密にするために、他のアルゴリズム(例えば、MOE)に入力パラメータとして使用され得る。
当業者に明らかなように、上記実施形態の種々の改変および変更は、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得る。このような改変および変更は、本発明の範囲内である。
本発明の実施態様は以下の通りである。
1. 1つ以上のマイクロプロセッサであって、以下を制御するためのプログラミングを含む:
経時的に、測定電荷シグナルを得る工程であって、被験体から抽出されるグルコースの量または濃度に特異的に関連する、測定電荷シグナル応答曲線を含み、ここで、該測定電荷シグナル応答曲線が、速度論的領域を含む、工程;
(i)式(3A)
Figure 0004574647

に示される数学的モデルであって、
ここで、「Q」は、電荷を示し、「t」は、経過時間を表し、「So」は、当てはめられたパラメータであり、「c1」および「c2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応についてのt=0での電流の寄与に対応する前指数項であり、「k1」および「k2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応についての速度定数である、数学的モデル、および(ii)誤差最小化方法であって、該モデルおよび誤差最小化方法を使用するパラメータSo、c1、c2、k1、およびk2の値を反復的に推定して、予測応答曲線を該測定電荷シグナル応答曲線の該速度論的領域に当てはめるための誤差最小化方法、を使用する工程であって、ここで(a)該誤差最小化方法は、該予測され、測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域の間の差異に基づく計算された誤差を提供し、そして(b)該予測電荷シグナル応答曲線と該測定電荷シグナル応答曲線との間の計算された誤差が最小化されるまで、またはさらなる統計的に有意な変化が、計算された誤差において見られなくなるまで、該推定が、反復的に実施され、このとき、パラメータの反復的推定が停止され、該反復的推定および誤差最小化が、該パラメータの推定値を生じる、工程;ならびに
1/k2をグルコースの量または濃度と相関させて、該被験体中のグルコースの量または濃度の測定を提供する、工程。
2. 実施態様1に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、経時的に測定電荷シグナルを得るために検出デバイスを操作する工程を制御するようにさらにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
3. 実施態様1に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記被験体からサンプルを抽出するためのサンプリングデバイスを操作する工程であって、該サンプルが、グルコースを含む、工程、および(b)経時的に測定電荷シグナルを得るために検知デバイスを操作する工程を包含する、測定サイクルを制御するようにさらにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
4. 実施態様3に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、一連の測定電荷シグナル応答曲線を生じる一連の測定サイクルを実施するようにさらにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
5. 実施態様4に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、一連の測定における各測定される電荷シグナル応答曲線についての各予測応答曲線の推定の後に、グルコースの量または濃度を、各推定されたパラメータ1/k2に基づいて決定する、マイクロプロセッサ。
6. 実施態様1〜5のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、グルコースの量または濃度の測定を提供するために、1/k2とグルコースの量または濃度とを相関させることが、較正値を適用する工程を包含する方法によって実施される、マイクロプロセッサ。
7. 実施態様6に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記相関が、以下:
Figure 0004574647

のように実施され、
ここで、Glutは、時間tにおけるグルコース濃度であり、Glucalは、較正のときにおいて推定された1/k2に対応する較正のときにおけるグルコース濃度であり、そして(1/k2tは、時間tにおける推定された1/k2である、マイクロプロセッサ。
8. 実施態様1〜7のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記測定電荷シグナル応答曲線が、測定電流シグナル応答曲線の積分によって得られ、そして該1つ以上のマイクロプロセッサが、さらに、該積分を制御するようにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
9. 実施態様8に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記積分が実施される前に、前記1つ以上のマイクロプロセッサが、前記測定電流シグナル応答曲線のバックグラウンド減算補正を制御するためにさらにプログラムされる、マイクロプロセッサ。
10. 実施態様9に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記得る工程が、サンプリングデバイスを使用して、前記被験体由来のグルコースを含むサンプルを収集レザバ中に抽出して、該レザバ中にある濃度のグルコースを得る工程を包含し、そして該1つ以上のマイクロプロセッサが、該サンプリングデバイスの操作を制御するようにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
11. 実施態様10に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記収集レザバが、前記被験体の皮膚または粘膜表面と接触し、そしてグルコースが、該皮膚または粘膜表面を横切って抽出される、1つ以上のマイクロプロセッサ。
12. 実施態様11に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、グルコースが、前記皮膚または粘膜表面に適用されるイオン泳動電流を使用して抽出される、1つ以上のマイクロプロセッサ。
13. 実施態様12に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記収集レザバが、電気化学的に検出可能なシグナルを生じるように、抽出されたグルコースと反応する酵素を含む、マイクロプロセッサ。
14. 実施態様13に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記酵素が、グルコースオキシダーゼを含む、マイクロプロセッサ。
15. 実施態様13に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記電気化学的に検出可能なシグナルが、ペルオキシドであり、該シグナルが、バイオセンサー電極の反応性表面で検出され、そして該検出が、前記検知デバイスを使用して達成され、該1つ以上のマイクロプロセッサが、該検知デバイスの操作を制御するようにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
16. 実施態様15に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域が、約0秒〜約180秒の測定時間間隔に対応する、マイクロプロセッサ。
17. 分析物モニタリングシステムであって、以下:
実施態様1、2、6、7、8または9のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサ;および
前記測定電荷シグナル応答曲線を得るために使用される、検出デバイス、
を備える、分析物モニタリングシステム。
18. 分析物モニタリングシステムであって、以下:
実施態様3、4、5、8、9または10〜16のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサ;
サンプリングデバイス;および
前記測定電荷シグナル応答曲線を得るために使用される、検出デバイス、
を含む、分析物モニタリングシステム。
19. 実施態様18に記載のモニタリングシステムであって、前記サンプリングデバイスが、レーザーデバイスを備える、モニタリングシステム。
20. 実施態様18に記載のモニタリングシステムであって、前記サンプリングデバイスが、音響泳動デバイスを備える、モニタリングシステム。
21. 実施態様18に記載のモニタリングシステムであって、前記サンプリングデバイスが、イオン泳動デバイスを備える、モニタリングシステム。
22. 被験体におけるグルコースの量または濃度を提供する方法であって、以下:
経時的に、測定電荷シグナルを得る工程であって、被験体から抽出されるグルコースの量または濃度に特異的に関連する、測定電荷シグナル応答曲線を含み、ここで、該測定電荷シグナル応答曲線が、速度論的領域を含む、工程;
(i)式(3A)
Figure 0004574647

に示される数学的モデルであって、
ここで、「Q」は、電荷を示し、「t」は、経過時間を表し、「So」は、当てはめられたパラメータであり、「c1」および「c2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応についてのt=0での電流の寄与に対応する前指数項であり、「k1」および「k2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応についての速度定数である、数学的モデル、および(ii)誤差最小化方法であって、該モデルおよび誤差最小化方法を使用するパラメータSo、c1、c2、k1、およびk2の値を反復的に推定して、予測応答曲線を該測定電荷シグナル応答曲線の該速度論的領域に当てはめるための誤差最小化方法、を使用する工程であって、ここで(a)該誤差最小化方法は、該予測され、測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域の間の差異に基づく計算された誤差を提供し、そして(b)該予測電荷シグナル応答曲線と該測定電荷シグナル応答曲線との間の計算された誤差が最小化されるまで、またはさらなる統計的に有意な変化が、計算された誤差において見られなくなるまで、該推定が、反復的に実施され、このとき、パラメータの反復的推定が停止され、該反復的推定および誤差最小化が、該パラメータの推定値を生じる、工程;ならびに
1/k2をグルコースの量または濃度と相関させて、該被験体中のグルコースの量または濃度の測定を提供する、工程、
を包含する、方法。
23. 1つ以上のマイクロプロセッサであって、以下を制御するためのプログラミングを含む:
電気化学的センサーを使用して、経時的に測定される電荷シグナルを得る工程であって、該測定電荷シグナルが、被験体から抽出されたグルコースの量または濃度に特異的に関連する測定電荷シグナル応答曲線を含み、ここで、該測定電荷シグナル応答曲線が、速度論的領域を含む工程;
(i)式(3A)
Figure 0004574647

に示される数学的モデルであって、
ここで、「Q」は、電荷を示し、「t」は、経過時間を表し、「So」は、当てはめられたパラメータであり、「c1」および「c2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応についてのt=0での電流の寄与に対応する前指数項であり、「k1」および「k2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応についての速度定数である、数学的モデル、および(ii)誤差最小化方法であって、該モデルおよび誤差最小化方法を使用するパラメータSo、c1、c2、k1、およびk2の値を反復的に推定して、予測応答曲線を該測定電荷シグナル応答曲線の該速度論的領域に当てはめるための誤差最小化方法、を使用する工程であって、ここで(a)該誤差最小化方法は、該予測され、測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域の間の差異に基づく計算された誤差を提供し、そして(b)該予測電荷シグナル応答曲線と該測定電荷シグナル応答曲線との間の計算された誤差が最小化されるまで、またはさらなる統計的に有意な変化が、計算された誤差において見られなくなるまで、該推定が、反復的に実施され、このとき、パラメータの反復的推定が停止され、該反復的推定および誤差最小化が、該パラメータの推定値を生じる、工程;ならびに
該測定電荷シグナルに、1/c2から推定された利得率を乗算することによって、電気化学的センサーのシグナル減衰を補正する工程。
24. 実施態様23に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、経時的に測定電荷シグナルを得るために検出デバイスを操作する工程を制御するようにさらにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
25. 実施態様23に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記被験体からサンプルを抽出するためのサンプリングデバイスを操作する工程であって、該サンプルが、グルコースを含む、工程、および(b)経時的に測定電荷シグナルを得るために検知デバイスを操作する工程を包含する、測定サイクルを制御するようにさらにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
26. 実施態様25に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、一連の測定電荷シグナル応答曲線を生じる一連の測定サイクルを実施するようにさらにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
27. 実施態様26に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、一連の測定における各測定される電荷シグナル応答曲線についての各予測応答曲線の推定の後に、該1つ以上のマイクロプロセッサが、各推定されたパラメータ1/c2についての利得率を決定し、そして各利得率に、該利得率が推定された前記予測応答曲線に対応する測定電荷シグナルを乗算するようにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
28. 実施態様27に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記一連の測定が、時間t、t−1、t−2などにおける測定電荷シグナル応答曲線を含む、マイクロプロセッサ。
29. 実施態様28に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記一連の測定kらの2つ以上の利得率を正規化および/または平滑化して、正規化および/または平滑化した利得率を得、そして時間tにおける測定電荷シグナルに正規化および/または平滑化した利得率を乗算することによって、前記電気化学センサーのシグナル減衰を補正するようにさらにプログラミングされた、マイクロプロセッサ。
30. 実施態様29に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記一連が、少なくとも5個の測定電荷シグナル応答曲線を含み、そして該正規化および/または平滑化した利得率を、(1/c2t、(1/c2t-1、(1/c2t-2、(1/c2t-3、および(1/c2t-4に基づいて計算される、マイクロプロセッサ。
31. 実施態様23〜30のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、測定電荷シグナル応答曲線が、測定電流シグナル応答曲線の積分によって、そして該1つ以上のマイクロプロセッサが、さらに、該積分を制御するようにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
32. 実施態様31に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記積分が実施される前に、前記測定電流シグナル応答曲線のバックグラウンド減算補正の実施を制御するためのプログラムをさらに含む、マイクロプロセッサ。
33. 実施態様32に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記得る工程が、サンプリングデバイスを使用して、前記被験体由来のグルコースを含むサンプルを収集レザバ中に抽出して、該レザバ中にある濃度のグルコースを得る工程を包含し、そして該1つ以上のマイクロプロセッサが、該サンプリングデバイスの操作を制御するようにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
34. 実施態様33に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記収集レザバが、前記被験体の皮膚または粘膜表面と接触し、そしてグルコースが、該皮膚または粘膜表面を横切って抽出される、1つ以上のマイクロプロセッサ。
35. 実施態様34に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、グルコースが、前記皮膚または粘膜表面に適用されるイオン泳動電流を使用して抽出される、1つ以上のマイクロプロセッサ。
36. 実施態様35に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記収集レザバが、電気化学的に検出可能なシグナルを生じるように、抽出されたグルコースと反応する酵素を含む、マイクロプロセッサ。
37. 実施態様36に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記酵素が、グルコースオキシダーゼを含む、マイクロプロセッサ。
38. 実施態様37に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記電気化学的に検出可能なシグナルが、ペルオキシドであり、該シグナルが、電気化学センサーの反応性表面で検出され、該検出が、前記検知デバイスを使用して達成され、そして該1つ以上のマイクロプロセッサが、該検出デバイスの操作を制御するためにさらにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
39. 実施態様38に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域が、約0秒〜約180秒の測定時間間隔に対応する、マイクロプロセッサ。
40. 分析物モニタリングシステムであって、以下:
実施態様23、24または31のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサ;および
前記測定電荷シグナル応答曲線を得るために使用される、検出デバイス、
を備える、分析物モニタリングシステム。
41. 分析物モニタリングシステムであって、以下:
実施態様25〜39のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサ;
サンプリングデバイス;および
前記測定電荷シグナル応答曲線を得るために使用される、検出デバイス、
を備える、分析物モニタリングシステム。
42. 実施態様41に記載のモニタリングシステムであって、前記サンプリングデバイスが、レーザーデバイスを備える、モニタリングシステム。
43. 実施態様41に記載のモニタリングシステムであって、前記サンプリングデバイスが、音響泳動デバイスを備える、モニタリングシステム。
44. 実施態様41に記載のモニタリングシステムであって、前記サンプリングデバイスが、イオン泳動デバイスを備える、モニタリングシステム。
45. 被験体におけるグルコースの量または濃度の検出のために使用される電気化学センサーのシグナル減衰を補正する方法であって、該方法が、以下:
電気化学的センサーを使用して、経時的に測定される電荷シグナルを得る工程であって、該測定電荷シグナルが、被験体から抽出されたグルコースの量または濃度に特異的に関連する測定電荷シグナル応答曲線を含み、ここで、該測定電荷シグナル応答曲線が、速度論的領域を含む工程;
(i)式(3A)
Figure 0004574647

に示される数学的モデルであって、
ここで、「Q」は、電荷を示し、「t」は、経過時間を表し、「So」は、当てはめられたパラメータであり、「c1」および「c2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応についてのt=0での電流の寄与に対応する前指数項であり、「k1」および「k2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応についての速度定数である、数学的モデル、および(ii)誤差最小化方法であって、該モデルおよび誤差最小化方法を使用するパラメータSo、c1、c2、k1、およびk2の値を反復的に推定して、予測応答曲線を該測定電荷シグナル応答曲線の該速度論的領域に当てはめるための誤差最小化方法、を使用する工程であって、ここで(a)該誤差最小化方法は、該予測され、測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域の間の差異に基づく計算された誤差を提供し、そして(b)該予測電荷シグナル応答曲線と該測定電荷シグナル応答曲線との間の計算された誤差が最小化されるまで、またはさらなる統計的に有意な変化が、計算された誤差において見られなくなるまで、該推定が、反復的に実施され、このとき、パラメータの反復的推定が停止され、該反復的推定および誤差最小化が、該パラメータの推定値を生じる、工程;ならびに
該測定電荷シグナルに、1/c2から推定された利得率を乗算することによって、電気化学的センサーのシグナル減衰を補正する工程。
46. 1つ以上のマイクロプロセッサであって、以下を制御するためのプログラミングを含む:
被験体におけるグルコースの量または濃度に関連する測定値、該グルコース測定値と時間において関連する皮膚伝導性読み値、および該グルコース測定値と関連する1つ以上のさらなるデータ保全性スクリーンを提供する工程;および
(i)該皮膚伝導性読み値および該1つ以上のさらなるデータ保全性スクリーンが、所定の受容可能な範囲内にあるかまたは所定の閾値内あるか、あるいは、(ii)該皮膚伝導性読み値が、所定の受容可能な範囲の外または所定の閾値を超え、そして該1つ以上のさらなるデータ保全性スクリーンが、所定の受容可能な範囲内であるかまたは所定の閾値内である場合、該測定値を受容する工程、あるいは
該皮膚伝導性読み値が所定の受容可能な範囲の外または所定の閾値を超え、そして該1つ以上のさらなるデータ保全性スクリーンの1つ以上が、所定の受容可能な範囲の外または所定の閾値を超える場合、該測定値をスキップする工程。
47. 実施態様46に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記1つ以上のさらなるデータ保全性スクリーンが、ピークセンサー電流およびバックグラウンド電流からなる群より選択される、マイクロプロセッサ。
48. 分析物モニタリングシステムであって、以下:
実施態様46〜47のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサ;
グルコースの量または濃度に関連する前記測定値を提供するために使用される、検知デバイス;および
前記皮膚伝導性読み値を提供するために使用される、皮膚伝導性測定デバイスであって、ここで、前記1つ以上のマイクロプロセッサが、該検知デバイスおよび該皮膚伝導性測定デバイスの操作を制御するためにさらにプログラミングされる、皮膚伝導性デバイス、
を備える、分析物モニタリングシステム。
49. 1つ以上のマイクロプロセッサであって、以下を制御するためのプログラミングを含む:
被験体におけるグルコースの量または濃度に関連する、データ点を含む、測定値を提供する工程であって、ここで、該データ点が、代表的に、単調な傾向を有する、工程;および
1つ以上の非単調事象について該データ点を評価する工程であって、ここで
(i)該データ点が、受容可能な単調な傾向を有する場合、該測定シグナルが、さらなる処理に受容されるか、あるいは
(ii)該データ点が、1つ以上の非単調な事象を含む場合、測定シグナル全体に対する、該1つ以上の非単調事象の寄与の割合をさらに評価し、ここで、寄与の割合が、測定シグナル全体に対して所定の閾値未満であるかまたは所定の範囲内にある場合、測定シグナルが、さらなる処理に受容され;しかし、寄与の割合が、測定シグナル全体に対して所定の閾値より大きいかまたは所定の範囲外にある場合、測定シグナルが、さらなる処理に受容されず、測定がスキップされる、
マイクロプロセッサ。
50. 実施態様49に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、代表的に単調な傾向を有するデータ点を含む前記測定シグナルが、電流測定または変化測定のいずれかである、マイクロプロセッサ。
51. 分析物モニタリングシステムであって、以下:
実施態様49〜50のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサ;および
グルコースの量または濃度に関連に関連する前記測定値を提供するために使用される、検出デバイス、
を備える、分析物モニタリングシステム。
52. 1つ以上のマイクロプロセッサであって、以下を制御するためのプログラミングを含む:
所定の測定サイクルからの使用不可能な分析物関連の電気化学電流シグナルが、以下の基準:
(i)該測定サイクルについてのセンサー完全性チェック値が所定の受容可能な範囲内または所定の閾値内に入る場合、該対応する分析物関連シグナルが置換され得る;
(ii)該測定サイクルについてのバックグラウンド電流における変化が、所定の受容可能な範囲内または所定の閾値内に入る場合、該対応する分析物関連シグナルが置換され得る;
(iii)温度の変化が、所定の受容可能な範囲内または所定の閾値内に入る場合、該対応する分析物関連シグナルが置換され得る、の1つ以上を適用することによって、内挿または外挿により置換されるべきか否かを判断する工程;および
一連の分析物関連シグナルにおいて、使用不可能な分析物関連シグナルを、推定シグナルで、以下のいずれか:
(A)該使用不可能な分析物関連シグナルより前の1つ以上の分析物関連シグナルおよび該使用不可能な分析物関連シグナルより後の1つ以上の分析物関連シグナルが、利用可能である場合、該使用不可能な間にある分析物関連シグナルを推定するために内挿を使用する、または
(B)該使用不可能な分析物関連シグナルより前の2つ以上の分析物関連シグナルが利用可能である場合、該使用不可能な間にある分析物関連シグナルを推定するために外挿を使用する、
によって置換する工程、
ここで、該一連の分析物関連シグナルが、経時的に分生物モニタリングシステムから得られ、そして各分析物関連シグナルが、該分析モニタリングシステムを用いてモニタリングされる被験体における分析物の量または濃度に関連する、
マイクロプロセッサ。
53. 実施態様52に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記分析物モニタリングデバイスが、検知デバイスを含み、そして前記1つ以上のマイクロプロセッサが、さらに、前記検出デバイスの操作を制御するようにさらにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
54. 実施態様53に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記分析物モニタリングデバイスが、サンプリングデバイスを含み、そして前記1つ以上のマイクロプロセッサが、さらに、前記サンプリングデバイスの操作を制御するようにさらにプログラミングされる、マイクロプロセッサ。
55. 分析物モニタリングシステムであって、以下:
実施態様53に記載の1つ以上のマイクロプロセッサ;および
前記分析関連シグナルを提供するために使用される、検出デバイス、
を備える、分析物モニタリングシステム。
56. 分析物モニタリングシステムであって、以下:
実施態様54に記載の1つ以上のマイクロプロセッサ;
サンプリングデバイス;および
前記分析関連シグナルを提供するために使用される、検出デバイス、
を備える、分析物モニタリングシステム。
57. 1つ以上のマイクロプロセッサであって、以下を制御するためのプログラミングを含む:
分析物関連電流シグナルについて電流積分法を選択する工程であって、ここで、該分析物関連電流シグナルが、データ点を含む、2センサーシステムが、該分析物関連電流シグナルを検出するために使用され、各該2センサーが、電気化学センサーであり、各センサーが、交互にカソードおよびアノードとして機能する、データ点を含む電流シグナルが、アノードおよびカソードから半測定サイクルにおいて検出される、および該分析物関連電流シグナルが、該カソードから得られる、工程;
該センサーがアノードと関連する場合の先の半サイクルにおける同じセンサーについて検出された電流シグナルの最後の2つからカソードとして作用することが決定する場合、所定のセンサーについてのバックグラウンドベースラインを決定する工程;および
該分析物関連電流から該バックグラウンドベースラインを減算し、そして該分析物関連電流の過剰減算が生じる場合、該分析物関連電流シグナルに基づく分析物関連電荷シグナルを決定するための以下の積分方法:(i)最大積分が到達する場合積分を停止し、そして該分析物関連電荷シグナルとして最大積分を使用する、または(ii)該カソードにおける該分析物関連電流シグナルからの最後の2つのデータ点に基づいてバックグラウンドベースラインを再計算し、該分析物関連電流シグナルから該再計算されたバックグラウンドベースラインを減算し、そして該分析物関連電荷シグナルを得るために、該バックグラウンド減算された分析物関連電流シグナルを積分することのうちの1つを使用する工程。
58. 分析物モニタリングシステムであって、以下:
実施態様57に記載の1つ以上のマイクロプロセッサ;および
前記2つのセンサーシステムを含む、検出デバイス、
を備える、分析物モニタリングシステム。
59. 実施態様52または57のいずれかに記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記分析物関連シグナルが、グルコースの量または濃度に関連する、マイクロプロセッサ。
60. 調節可能なパラメータの最適化を必要とするモデルにおいて使用するためのパラメータを最適化するための1つ以上のアルゴリズムであって、該1つ以上のアルゴリズムが、以下:
データセットをトレーニングセットおよび検証セットに分割する工程;
該モデルをトレーニングして、該トレーニングセットを使用して、調節可能なセットを決定する工程;
該モデルパラメータが完全に収束する前に、該トレーニングを停止する工程;および
該検証セットを使用して該パラメータを検証する工程であって、ここで、該検証されたパラメータが、該モデルにおいて使用するための最適化パラメータである、工程、
を包含する、アルゴリズム。
61. 実施態様60に記載の1つ以上のアルゴリズムであって、前記モデルが、エキスパートの混合(MOE)モデルである、アルゴリズム。
62. 実施態様60または61のいずれか一項に記載の1つ以上のアルゴリズムであって、前記データセットが、グルコースの量または濃度に関連する測定値を含む、アルゴリズム。
63. 分析物モニタリングシステムによって使用される予測モデルにおいて使用するためのパラメータを最適化するための1つ以上のアルゴリズムであって、該予測モデルが、調節可能なパラメータの最適化を必要とし、該1つ以上のアルゴリズムが、以下:
該分析物モニタリングシステムによって使用される予測モデルのための正確性の種々のレベルに対応する2つ以上の領域を判断する複数の分析物読み値に基づいて、該パラメータを最適化する工程であって、ここで、該領域の1つ以上が、1つ以上の他の領域と比較してより高い危険を有し、その結果、該パラメータの最適化が、該予測モデルと関連する誤差がより高い危険と関連する領域において最小化されるまで、実施される、工程、を包含する、アルゴリズム。
64. 実施態様63に記載の1つ以上のアルゴリズムであって、前記最適化が、以下によって対の点の分布を最適化する工程を包含する、アルゴリズム:
(a)(i)x座標として独立して測定される標的分析物の量または濃度、および(ii)対のy座標として標的分析物の量または濃度の対応するモデル予測を表す対の点のx−y平面を構築する工程であって、ここで、該モデルが、分析物モニタリングデバイスによって使用される、工程;
(b)分割されたx−y平面を分析物モニタリングデバイスのモデル予測についての正確性の種々のレベルに対応する2つ以上の領域に分割する工程;
(c)特定の領域についての各対の点(pp)に数値を割り当てる、個々の数学的危険関数(F)を構築する工程;
(d)個々の危険関数を合計して、全体的な危険関数を提供する工程;および(b)該モデルについての最適化モデルを生じる合計危険関数を最小化する工程。
65. 実施態様63または64のいずれかに記載の1つ以上のアルゴリズムであって、前記モデルが、エキスパートの混合(MOE)モデルである、アルゴリズム。
66. 実施態様65に記載の1つ以上のアルゴリズムであって、前記分析物が、グルコースである、アルゴリズム。
67. 実施態様64に記載の1つ以上のアルゴリズムであって、予測モデルについての正確性についての種々のレベルに対応する前記2つ以上の領域が、低血糖症領域、グルコース標的範囲、および高血糖症領域を含み、そして(ii)1つ以上の他の領域と比較して関連するより高い危険を有する領域の前記1つ以上が、該低血糖症領域および該高血糖症領域を含む、アルゴリズム。
図1は、生のGlucoWatchバイオグラファーデータの典型的な完全測定サイクル(アノードおよびカソード;すなわち、サンプルアノードサイクルおよびサンプルカソードサイクル)の経過時間(ET;分)に対する電流(nA)のプロットを示す。 図2は、以前のベースラインを差し引きしたカソードサイクルデータの、経過時間(ET;分)に対する電流(nA)のプロットを示す。 図3は、以前のベースライン差し引きしたカソードサイクルデータの経過測定時間(ET;秒)に対する、電荷(nC)(左の縦軸)(菱形として表される実際の電荷(nC))および電流(nA)(右の縦軸)(正方形として表される測定した電流(nA))のプロットを示す。 図4は、1つのGlucoWatchバイオグラファーから得られる例示的なデータの経過時間(時間)に対する参照血中グルコース(BG)(mg/dL)(左の縦軸)(菱形として表されるBG値)およびKmin(右の縦軸)(これは、1/k2値である;1/秒;正方形として表される)のプロットを示す。 図5は、1つのGlucoWatchバイオグラファーから得た例示的なデータの経過時間(時間)に対する、mg/dLでの参照血中グルコース(BG)(左の縦軸)(菱形として表されるBG値)およびKratio(右の縦軸)(Kratio=k1/k2+k2/k1;単位減少;正方形として表されるKratio)のプロットを示す。 図6は、経過時間(時間)に対する、正規化1/c2(左の縦軸)(菱形として表される、正規化(平滑化(平均(1/c2))))値および較正比(右の縦軸)(同時点での参照血中グルコース値/7分間電荷;正方形として表される)のプロットを示す。 図7は、経過時間(時間(hr))に対する、参照血中グルコース(BG)値mg/dL(菱形として表されるBG値)および電荷nC(補正された(シグナル崩壊が補償された)PK評価電荷値(nC;三角として表される)および補正されていないPK評価電荷値(nC;正方形として表される))のプロットを示す。 図8は、モニタリングシステムにおいて使用するための自動センサーの1実施形態を備える、例示的な構成要素の分解図の模式図を表す。 図9は、レシーバ(例えば、コレクションレシーバ)に関連するアノードおよびカソード、ならびにアノードにおいて収集される、真皮および表皮を越えて抽出される分子(例えば、Cl-、アニオン(例えば、アスコルベートおよびウレエート))およびカソードにおいて収集される、真皮および表皮を越えて抽出される分子(例えば、Na+、カチオン、中性種(例えば、グルコース))を示す、逆イオン泳動の模式図を表す。 図10は、ヒドロゲルパッド(AおよびB)、センサー、イオン泳動電極(ionto)、電極アセンブリ、および電子的構成要素を備える、例示的なGlucoWatchバイオグラファー構成要素の模式図を表す。 図11は、GlucoWatchバイオグラファーの経時的(分)な、両方のセンサ(AおよびB)における、抽出(ionto)サイクルおよび検出(生体検知)サイクル(1回目の半サイクル、2回目の半サイクル、3回目の半サイクル、4回目の半サイクル)のイオン泳動電流プロファイルの模式図を表す。この図の下部には、GlucoWatchバイオグラファー測定1(1回目の半サイクルおよび2回目の半サイクルに対応する)およびGlucoWatchバイオグラファー測定2(3回目の半サイクルおよび4回目の半サイクルに対応する)を図示する。 図12は、アノードサイクル(菱形、左側の曲線)およびカソードサイクル(丸、右側の曲線)に関する、生のセンサーA電流シグナルの図を表す。カソードサイクルにおける線は、センサーAにおけるアノードサイクルの最後の2つの読取値に基づくアノードベースラインバックグラウンドを表す。この図では、縦軸は、バイオセンサー(nA)電流であり、これに対して横軸は、ET(経過時間)(時:分(hh:mm))である。 図13は、GlucoWatchバイオグラファーによって測定し、既知の血中グルコースを電荷シグナルに一致させることにより3つの時点で較正した場合の血中グルコースプロファイルの例を表す(パネル(a))−−これらのデータを、実際の指突き刺し血中グルコース(BG)データと一緒に示す。シグナルは、時間の経過と共に低下することがわかり得る。パネル(b)は、エキスパートの混合(Mixtures of Experts;MOE)アルゴリズムによるシグナル崩壊の補償の例を表す。この図では、GlucoWatchバイオグラファー読取値は、線(ここで、個々の測定は、菱形として表される)によって示され、BG読取値は、丸によって示され、較正点は、アスタリスクによって示される。この図では、縦軸は、血中グルコース(BG)(mg/dL)であり、横軸は、経過時間(時:分(h:mm))である。 図14は、GlucoWatchバイオグラファーによって測定し、既知の血中グルコースを電荷シグナル(パネル(a))に一致させることにより、3つの時点で較正した場合の血中グルコースプロファイルの例を表す。−−これらのデータを、実際の指突き刺し血中グルコース(BG)データと一緒に示す。シグナルは、時間の経過につれて減少することがわかり得る。パネル(b)は、MOEアルゴリズムによるシグナル崩壊の補償の例を表す。MOE補償は、このモニタリング期間の最後に向かって不十分となる。この図では、GlucoWatchバイオグラファー読取値は、線(ここで、個々の測定は、菱形として表される)によって示され、BG読取値は、丸によって示され、較正点は、アスタリスクによって示される。この図では、この縦軸は、血中グルコース(BG)(mg/dL)であり、横軸は、経過時間(時:分(h:mm))である。 図15は、バックグラウンド補正電流シグナル(点)の直接的積分、および第1の3分間のデータへのPKモデルのあてはめによって得た、例示的なGlucoWatchバイオグラファー電荷シグナルデータを表す。この図では、縦軸は、電荷(nC)であり、横軸は、時間(秒)である。この線は、最大積分を表す。正方形は、データ点を表す。 図16は、1/k2効果の例を表す。この曲線は、単純な較正を行った7分間の積分された電荷シグナル(パネルa)、および単純な較正を行った1/k2シグナル(パネルb)を表す(両方とも、シグナルを血中グルコース(BG)値に一致させることにより、1時間の経過時間において較正した)。アスタリスクは、較正点を表す。丸点(線なし)は、参照BGプロファイルに対応する。7分間のシグナルは、かなり崩壊し、一方、1/k2シグナルは、明らかなシグナル崩壊をより後の時点であっても示さないことに留意されたい。この図では、GlucoWatchバイオグラファー読取値は、線によって示され(ここで、個々の測定は、菱形として表される)、BG読取値は、丸によって示され、較正点は、アスタリスクによって示される。この図では、縦軸は、血中グルコース(BG)(mg/dL)であり、横軸は、経過時間(時間(hr))である。 図17のパネル(a)は、利得率(菱形)に関連したデータ、5点移動平均によって平滑化された同じ利得率(菱形の点を通る曲線)、および正規化された平滑化された利得率(G正規化平滑化;三角)を表す。パネル(a)では、正規化利得率は、左の縦軸(正規化G)であり、この利得率は、右の縦軸(G;1/nA)であり、両方とも、横軸である経過時間(時間(hr))に対してプロットされる。図17のパネル(b)は、正規化利得率によってシグナル崩壊に関して補償された、7分間積分し較正した電荷シグナル(図16のパネル(a)に対応する)のデータを表す。このパネルでは、GlucoWatchバイオグラファー読取値を、線(ここで、個々の測定は、菱形として表される)によって示し、BG読取値を、丸によって示し、較正点を、アスタリスクによって示す。このパネルでは、縦軸は、血中グルコース(BG)(mg/dL)であり、横軸は、経過時間(時間(hr))である。 図18は、例示的なデータ曲線を提供する。開始時間を、Ts1およびTs2として表す。終了時間を、Tf1およびTf2として表す。開始時間および終了時間を、両側に矢尻のある垂直線として表す。実際の電荷(nC)を、菱形を用いて指定された曲線として示し、測定した電流(nA)を、正方形を用いて指定された曲線として示す。左の縦軸は、電荷(nC)であり、右の縦軸は、電流(nA)であり、両方とも、測定時間(秒)(横軸)に対してプロットした。 図19は、センサーから得られた一連のデータ点を図示し、ここで、このデータ点は、分析物測定値に関連し、これらのデータ点の1つ(経過時間0:01分にて)は、他のデータ点の傾向を有する、非単調性を示す。この点より下の影付の領域は、シグナル全体に対するこの点の寄与を示す。縦軸は電流(nA)であり、横軸は経過時間(ET)(分)である。 図20A〜20Fは、種々の積分方法の図を表す。図20A(通常の積分)は、バイオセンサー読取値を図示し、ここで、以前のアノードベースライン(アノードとして作用する場合、このセンサー由来の最後の2つの電流読取値に基づく、センサB、菱形で表される)を用いて、このセンサーがカソードとして作用する場合の電流シグナル(センサB、白丸として表される)を差し引く。このアノードベースラインが、ベースラインの差し引きのために用いられるならば、過剰差し引きが行われ、ベースラインを差し引きしたデータの積分後、図20Bに表される積分が得られる(白丸および関連の曲線によって表される)(積分=2005nC)。図20Aでは、縦軸は、バイオセンサーからの電流読取値であり、横軸は、経過時間(ET)(時:分(hh:mm))である。 図20A〜20Fは、種々の積分方法の図を表す。図20Bでは、縦軸は、積分(nC)であり、横軸は、経過時間(ET)(時:分(hh:mm))である。 図20A〜20Fは、種々の積分方法の図を表す。図20Cは、積分に対する代替的アプローチ(最大累積積分)を表し、バイオセンサー読取値を図示し、ここで、以前のアノードベースライン(アノードとして作用した場合のこのセンサー由来の最後の2つの電流読取値に基づく、センサB、菱形で表される)を用いて、このセンサーがカソードとして作用する場合の電流シグナル(センサB、白丸として表される)を差し引く。しかし、過剰差し引きは許容されない。この場合、最大累積積分を用いて、図20Dに示す通りの積分を提供する(白丸および関連の曲線によって表される)(積分=6325nC)。図20Cでは、縦軸は、バイオセンサー由来の電流読取値であり、横軸は、経過時間(ET)(時:分(hh:mm))である。 6図20A〜20Fは、種々の積分方法の図を表す。図20Dでは、縦軸は、積分(nC)であり、横軸は、経過時間(ET)(時:分(hh:mm))である。 図20A〜20Fは、種々の積分方法の図を表す。図20Eは、積分に対する別の代替アプローチ(以前の積分またはこの積分の最大)を表し、バイオセンサー読取値を図示し、ここで、以前のアノードベースライン(アノードとして作用した場合のこのセンサー由来の最後の2つの電流読取値に基づく、センサB、菱形で表される)は、このセンサーがカソードとして作用する場合の電流シグナル(センサB、白丸として表される)の過剰差し引きをもたらす。その代わり、カソードサイクル由来の最後の2つの読取値を用いて、ベースライン差し引きに関するベースラインを提供する。これは、図20Fに示す通りの最大積分をもたらす(白丸および関連の曲線によって表される)(積分=12273nC)。図20Eでは、縦軸は、このバイオセンサー由来の電流読取値であり、横軸は、経過時間(ET)(時:分(hh:mm))である。 図20A〜20Fは、種々の積分方法の図を表す。図20Fでは、縦軸は、積分(nC)であり、横軸は、経過時間(ET)(時:分(hh:mm))である。 図21のパネル(a)〜(f)は、MOEアルゴリズムのトレーニングの間の種々の誤差推定量の進化の例を表す。この図では、パネル(a)〜(f)の三角は、局所トレーニングデータセットに対応し、菱形は、確認データセットに対応する。トレーニング繰返しの数は、水平軸上に表される。パネル(a)は、平均平方誤差(MSE)を表し、これは、1000により正規化される。パネル(b)は、MARE(平均絶対相対誤差)を表し、パーセントで示される。パネル(c)は、MRE(平均相対誤差)を表し、パーセントで示される。パネル(d)は、R(相関係数)を表す。パネル(e)は、Deming Slopeデータを表す。パネル(f)は、Deming Interceptデータを表す。

Claims (21)

  1. 1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    電気化学的センサーを使用して経時的に測定電荷シグナルを得る工程;
    (i)式(3A)
    Figure 0004574647
    に示される数学的モデルと、
    (ii)誤差最小化方法と、
    を使用する工程;および
    電気化学的センサーのシグナル減衰を補正する工程
    を制御するためのプログラミングを備え、
    前記測定電荷シグナルは、被験体から抽出されるグルコースの量または濃度に特に関連する測定電荷シグナル応答曲線を含み、該測定電荷シグナル応答曲線は速度論的領域を含み、
    前記数学モデルの「Q」は電荷を示し、「t」は経過時間を表し、「So」は当てはめられたパラメータであり、「c1」および「c2」は、それぞれ第1の反応および第2の反応についてのt=0での電流の寄与に対応する前指数項であり、「k1」および「k2」は、それぞれ、第1の反応および第2の反応についての速度定数であり、前記第1の反応は前記第2の反応より速く、「k 」は「k 」より大きく、
    前記誤差最小化方法は、パラメータSo、c1、c2、k1、およびk2の値を反復的に推定して、該モデルおよび誤差最小化方法を使用して、予測応答曲線を該測定電荷シグナル応答曲線の該速度論的領域に当てはめ、
    (a)該誤差最小化方法は、該予測電荷シグナル応答曲線と測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域の間の差異に基づいて計算された誤差を提供し、
    (b)該予測電荷シグナル応答曲線と該測定電荷シグナル応答曲線との間の計算された誤差が最小化されるまで、またはさらなる統計的に有意な変化が、計算された誤差において見られなくなるまで、該推定が、反復的に実施され、このとき、該パラメータの反復的推定が停止され、該反復的推定および誤差最小化が、該パラメータの推定値をもたらし、
    前記電気化学的センサーのシグナル減衰を補正する工程では、該測定電荷シグナルに、1/c2から推定された利得率を乗算することによって、電気化学的センサーのシグナル減衰を補正する、マイクロプロセッサ。
  2. 請求項1に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    (a)前記被験体からグルコースを含むサンプルを抽出するためのサンプリングデバイスを操作する工程、および
    (b)経時的に測定電荷シグナルを得るために検知デバイスを操作する工程
    を有する測定サイクルを制御するようにさらにプログラミングされている、マイクロプロセッサ。
  3. 請求項2に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    一連の測定電荷シグナル応答曲線をもたらす一連の測定サイクルを実施するようにさらにプログラミングされている、マイクロプロセッサ。
  4. 請求項3に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    前記一連の測定における各測定される電荷シグナル応答曲線についての各予測応答曲線の推定の後に、該1つ以上のマイクロプロセッサが、各推定されたパラメータ1/c2についての利得率を決定し、各利得率に、該利得率が推定された前記予測応答曲線に対応する測定電荷シグナルを乗算するようにさらにプログラミングされている、マイクロプロセッサ。
  5. 請求項4に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    前記一連の測定が、時間t、t−1、t−2などにおける測定電荷シグナル応答曲線を含む、マイクロプロセッサ。
  6. 請求項5に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    (1)前記一連の測定からの2つ以上の利得率を正規化および/または平滑化して、正規化および/または平滑化した利得率を得て、
    (2)時間tにおける測定電荷シグナルに該正規化および/または平滑化した利得率を乗算することによって、前記電気化学センサーのシグナル減衰を補正するようにさらにプログラミングされた、マイクロプロセッサ。
  7. 請求項6に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    前記一連の測定が、少なくとも5個の測定電荷シグナル応答曲線を含み、
    前記正規化および/または平滑化した利得率が、(1/c2t、(1/c2t-1、(1/c2t-2、(1/c2t-3、および(1/c2t-4に基づいて計算される、マイクロプロセッサ。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    経時的に測定電荷シグナルを得るために、検知デバイスを操作することを制御するためのプログラミングをさらに備える、マイクロプロセッサ。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記測定電荷シグナル応答曲線が、測定電流シグナル応答曲線の積分によって得られ、該1つ以上のマイクロプロセッサが、さらに、該積分を制御するようにプログラミングされている、マイクロプロセッサ。
  10. 請求項9に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記積分が実施される前に、前記測定電流シグナル応答曲線のバックグラウンド減算補正の実施を制御するためのプログラミングをさらに備える、マイクロプロセッサ。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    前記測定電荷シグナルを得る工程が、サンプリングデバイスを使用して、前記被験体由来のグルコースを含むサンプルを収集レザバ中に抽出して、該レザバ中にある濃度のグルコースを得る工程を備え、
    該1つ以上のマイクロプロセッサが、該サンプリングデバイスの操作を制御するようにプログラミングされている、マイクロプロセッサ。
  12. 請求項11に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    前記収集レザバが、前記被験体の皮膚または粘膜表面と接触し、グルコースが、該皮膚または粘膜表面を横切って抽出される、マイクロプロセッサ。
  13. 請求項12に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    グルコースが、前記皮膚または粘膜表面に適用されるイオン泳動電流を使用して抽出される、マイクロプロセッサ。
  14. 請求項13に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    前記収集レザバが、電気化学的に検出可能なシグナルを生じるように、抽出されたグルコースと反応する酵素を含む、マイクロプロセッサ。
  15. 請求項14に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    前記酵素が、グルコースオキシダーゼを含む、マイクロプロセッサ。
  16. 請求項14に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    前記電気化学的に検出可能なシグナルが、ペルオキシドであり、
    該シグナルが、バイオセンサー電極の反応性表面で検知デバイスによって検出される、マイクロプロセッサ。
  17. 請求項16に記載の1つ以上のマイクロプロセッサであって、
    前記測定電荷シグナル応答曲線の速度論的領域が、約0秒〜約180秒の測定時間に対応する、マイクロプロセッサ。
  18. 分析物モニタリングシステムであって、
    請求項1〜17のいずれか一項に記載の1つ以上のマイクロプロセッサ;および
    前記測定電荷シグナル応答曲線を得るために使用される検知デバイス、
    を備える、分析物モニタリングシステム。
  19. 請求項18に記載の分析物モニタリングシステムであって、
    前記1つ以上のマイクロプロセッサが、前記検知デバイスの操作を制御するためのさらなるプログラミングを備える、分析物モニタリングシステム。
  20. 請求項18または請求項19のいずれかに記載の分析物モニタリングシステムであって、
    該分析物モニタリングシステムが、サンプリングデバイスをさらに備える、分析物モニタリングシステム。
  21. 請求項20に記載の分析物モニタリングシステムであって、
    前記サンプリングデバイスが、レーザーデバイス、音波泳動デバイス、およびイオン泳動デバイスからなる群から選択されるデバイスを備える、分析物モニタリングシステム。
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