JP4573104B2 - マーク位置特定方法及び装置、並びにバランス修正方法及び装置 - Google Patents
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Description
バランス修正装置の修正対象となる回転体には、外周の任意の位置を修正可能なものもあるが、修正可能な位置が限定されるものもある。例えば、外周に金属部分と樹脂部分とが交互に配置されており、修正できるのは金属部分のみに限定されている回転体もある。樹脂部分と金属部分とが交互に配置されている場合、樹脂部分が一つでも判ればそれを基準にして外周上の任意の位置についてその位置が樹脂部分であるか金属部分であるかを特定できるので、従来のバランス修正装置は、特定したアンバランス修正位置の近傍の樹脂部分(マーク)をセンサで検出し、アンバランス修正位置が金属部分であるか否かを、検出した樹脂部分を基準として判定していた。
本発明は、かかる事情に鑑みて創作されたものであって、回転体の外周面の傷や汚れにセンサが反応してもマークの位置を正しく特定するマーク位置特定方法及び装置を提供することを目的とする。
請求項5及び6に記載の発明では、請求項1〜4に記載の発明によりマークの位置を特定し、アンバランス修正位置にマークが配置されているか否かを特定したマークの位置に基づいて判定する。このため、例えばマーク部分は修正禁止である場合、誤ってマーク部分を修正してしまうことを防止できる。よってこの発明によると、回転体の外周面の傷や汚れにセンサが反応しても正しい修正位置を修正できる。
図2は、本発明の一実施形態に係る回転体の模式図である。本実施例の回転体10はフューエルポンプのアーマチャである。なお、回転体はフューエルポンプのアーマチャに限定されるものではない。回転体10は円柱状に形成されており、その中心軸線に沿って延びるシャフト11を備えている。シャフト11は回転体10本体に相対回転不能に固定されている。樹脂製の回転体10本体の外周には、金属製のコア部12が6個はめ込まれている。6個のコア部12は全て同形状であり、樹脂部を間に挟んで等間隔に配列されている。回転体10本体のうちコア部12とコア部12とに挟まれている部分13は、特許請求の範囲に記載のマークに相当する。以下、樹脂部13という場合は回転体10本体の部分13のことを指すものとする。なお、マークは何等かのセンサで検出可能であればどのように形成してもよく、例えば外周に形成した凹凸でもよいし、外周面に塗布した塗料でもよいし、外周面に貼り付けたシールでもよい。コア部12は等間隔に配列されているため、結果として樹脂部13は回転体10の外周に等間隔に配置されている。
図10は、回転体10の分解斜視図である。図10に示すように、回転体10は、電機子50、整流子70、およびカバー80を有している。電機子50の一方の軸方向側に整流子70が組み付けられ、電機子50の整流子70と反対側の他方の軸方向側をカバー80が覆っている。電機子50は、回転中央部にセンターコア52を有している。シャフト11はセンターコア52に圧入されている。6個の磁極コイル部54はセンターコア52の外周に回転方向に設置され、センターコア52と結合している。各磁極コイル部54は、コア部12、樹脂製のボビン60、およびボビン60毎に巻線を集中巻きして形成されているコイル62を有している。6個の磁極コイル部54は同一構成である。図10において同一構成部分の符号を一部省略している。前述した樹脂部13は、ボビン60のうち回転体10の外周面に露出している部分に相当する。
整流子70は一体に形成されたカセット式である。整流子70は回転方向に設置された6個のセグメント72を有している。セグメント72は例えばカーボンで形成されており、回転方向に隣接しているセグメント72同士は電気的に絶縁されている。セグメント72は端子74と電気的に接続している。整流子70が電機子50とともに回転することにより、セグメント72は順次図示しないブラシと接触する。
アンバランス測定部20は、一定の回転速度で回転するモータ21、モータ21の回転動力を回転体10に伝達するベルト22、プーリ23〜25、振動センサ26、及び図示しない計測制御部を備えている。プーリ24及び25は図示しないコイルばねなどの弾性体に支持されており、回転体10はベルト22、プーリ23〜25によってフローティング状態で支持されている。振動センサ26は回転体10のシャフト11の外周に接触する接触子27の振動を計測することで回転体10の振動を計測する。計測制御部はCPUやメモリなどを備え、モータ21を制御して回転体10を回転させ、回転中に振動センサ26で計測された振動に基づいて回転体10のアンバランス修正位置及びアンバランス修正量を特定する。
図1は、バランス修正装置1の作動の流れを示すフローチャートである。本処理は、ベルト22上に回転体10を設置した後、図示しないスタートスイッチをONにすると開始される。
S105では、アンバランス測定部20により回転体10を回転させ、位置特定部30により回転体10の外周上に基準位置を設定する。基準位置は回転体10の外周上の位置を特定する際の基準となる位置であり、以降の処理において回転体10の外周上の位置は基準位置を0°としたときの周方向の角度によって表される。本実施例では回転を開始して最初にギャップセンサ31が反応した反応位置を基準位置とする。すなわち最初に見つかった樹脂部13の回転方向先端を基準位置とする。ただしギャップセンサ31が傷や汚れに反応する場合もあるので、その場合は傷や汚れの回転方向先端が基準位置となる。なお、例えば検出開始前の任意の位置を基準位置としてもよい。
S115では、位置特定部30により、各反応位置を基準(0°)としたときの他の反応位置の角度を算出する。
S125では、位置特定部30により、各反応位置の樹脂部候補について、理論上の位置との角度の差の絶対値(角度差)を算出する。例えば反応位置2の場合、理論上の位置の一つである120°を例にすると、それに最も近い樹脂部候補は120.5°である。従って、その角度差は0.5°である。同様に180°は、最も近い樹脂部候補である178.2°との角度差は1.8°である。他の理論上の位置についても同様に直近の樹脂部候補との角度差を求める。これを全ての反応位置について行う。
S130では、位置特定部30により、反応位置毎に角度差を合計する。
図8は、図7に示す結果について角度差を合計した結果を示す図である。
S135では、位置特定部30により、角度差の合計が最も小さい反応位置を樹脂部13の位置として特定する。より具体的にいうと樹脂部13の回転方向先端の位置として特定する。反応位置が樹脂部13であれば、その反応位置での合計値は0°に近いはずである。このため、合計値が最も小さい反応位置は、樹脂部13である可能性が最も高いといえる。よって、合計値が最も小さい反応位置を樹脂部13の位置として特定する。図8に示す例の場合であれば、反応位置7と反応位置12が最も信頼性が高い。合計値が最も小さい反応位置が複数ある場合はそのいずれを樹脂部13としてもよい。
S145では、アンバランス修正部40により、アンバランスを修正する。具体的には、アンバランス測定部20で特定されたアンバランス修正位置にアンバランス測定部20で特定されたアンバランス修正量に応じた穴を形成する。
また、本実施形態ではコア部12の任意の位置でアンバランスを修正可能な場合を例に説明したが、コア部12の特定の場所のみが修正可能な場合にも適用できる。例えばコア部12の中央部のみが修正可能であり、中央部以外を修正するとコア部12の強度が確保できなくなるような場合がこれに該当する。前述の例で反応位置7を樹脂部13として特定したとすると、反応位置7を基準(0°)として抽出した樹脂部候補である−120.4°、−58.9°、57.8°、121.0°、−180.1°が他の樹脂部13の位置であると特定される。例えば樹脂部13の幅が20°、コア部12の幅が40°であるとした場合、コア部12の中央部は、−80.4°、−18.9°、40.0°、97.8°、161.0°、−140.1°に配置されていることになる。従って、アンバランス修正位置をS105で設定した基準位置からの角度ではなく反応位置7からの角度で表したとき、上述したいずれかの位置近傍でのみ修正可能であると判定する。この場合、上記修正可能なコア部12の中央部の2箇所もしくは3箇所を修正し、その修正量をベクトル計算したときに、その合成量が修正すべきアンバンラスの量と角度になるようにする。
Claims (6)
- 回転体の外周面に等間隔で配置されているマークの位置を特定するマーク位置特定方法であって、
少なくとも前記マークに反応するセンサで前記回転体の外周面をセンシングし、前記回転体の一回転中に前記センサが反応した反応位置を記憶する段階と、
各反応位置において、その反応位置がマークの位置であると仮定した場合に理論的に特定される他のマークの位置について、それぞれ直近の反応位置との角度差を求め、求めた角度差を合計する段階と、
反応位置を合計値で昇順に並べた場合の順位を表す数値が前記マークの個数を表す数値以下である反応位置のいずれかをマークの位置として特定する段階と、
を含むことを特徴とするマーク位置特定方法。 - 各反応位置において、その反応位置を基準として外周面を等間隔に区切る各位置を他のマークの理論的な位置として特定することを特徴とする請求項1に記載のマーク位置特定方法。
- 各反応位置のうち、合計値が最も小さい反応位置をマークの位置として特定することを特徴とする請求項1又は2に記載のマーク位置特定方法。
- 回転体の外周面に等間隔で配置されているマークの位置を特定するマーク位置特定装置であって、
少なくとも前記マークに反応するセンサと、
前記センサで前記回転体の外周面をセンシングして前記回転体の一回転中に前記センサが反応した反応位置を記憶する手段と、
各反応位置において、その反応位置がマークの位置であると仮定した場合に理論的に特定される他のマークの位置について、それぞれ直近の反応位置との角度差を求め、求めた角度差を合計する手段と、
反応位置を合計値で昇順に並べた場合の順位を表す数値が前記マークの個数を表す数値以下である反応位置のいずれかをマークの位置として特定する手段と、
を備えることを特徴とするマーク位置特定装置。 - 外周に等間隔でマークが配置されている回転体のアンバランスを修正するバランス修正方法であって、
前記回転体のアンバランスを測定してアンバランス修正位置とアンバランス修正量とを特定するアンバランス測定段階と、
請求項1、2又は3に記載のマーク位置特定方法によりマークの位置を特定し、特定したマークの位置を基準に前記アンバランス修正位置にマークが配置されているか否かを判定する第一の判定段階と、
前記第一の判定段階の判定結果に基づいてアンバランスの修正可否を判定する第二の判定段階と、
前記第二の判定段階で修正可と判定されると、前記アンバランス修正位置を前記アンバランス修正量に基づいて修正する修正段階と、
を含むことを特徴とするバランス修正方法。 - 外周に等間隔でマークが配置されている回転体のアンバランスを修正するバランス修正装置であって、
請求項4に記載のマーク位置特定装置と、
前記回転体のアンバランスを測定してアンバランス修正位置とアンバランス修正量とを特定するアンバランス測定手段と、
前記マーク位置特定装置により特定されたマークの位置を基準に前記アンバランス修正位置にマークが配置されているか否かを判定する第一の判定手段と、
前記第一の判定手段の判定結果に基づいてアンバランスの修正可否を判定する第二の判定手段と、
前記第二の判定手段で修正可と判定されると、前記アンバランス修正位置を前記アンバランス修正量に基づいて修正する修正手段と、
を備えることを特徴とするバランス修正装置。
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