JP4572182B2 - 光加入者通信システム、光加入者通信システムにおける光加入者装置の異常発光抑止方法及びそのプログラム - Google Patents
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Description
上述の従来の課題について、説明する前に、ここでは、まず、GE−PONシステムの仕組みについて説明しておく。
図1に、GE−PONシステムの加入者系アクセスネットワークの構成を示す。
GE−PONシステムの加入者系アクセスネットワークは、局内装置(OLT)1と、複数の光加入者装置(ONU)2A〜2Cと、光カプラ3と、それらを接続する光ファイバによって構成される。OLT1は局舎に設置され、光カプラ3は局舎から離れた加入者宅・集合住宅・ビルなどに設置され、複数のONU2A〜2Cからの加入者回線を収容する。
光カプラ3は、光を分岐/集合する装置である。接続機器4A〜4Dは、ルータやスイッチングハブやパソコンなどの通信機器である。
GE−PONシステムにおいては、局内装置(OLT)1から光加入者装置(ONU)2A〜2Cの方向に送信するフレームを下り方向フレーム、ONU2A〜2CからOLT1の方向に送信するフレームを上り方向フレームと表現する。
OLT1から光カプラ3を介して各ONU2A〜2Cへ到る区間は、上り方向と下り方向では波長分割多重により独立した通信路となっている。従って、上り方向フレームと下り方向フレームが同時刻に光ファイバ上を通過できる。しかし、上り方向内あるいは下り方向内では、各ONU2A〜2Cが通信路を共有する構成となっている。従って、上り方向フレーム同士、あるいは、下り方向フレーム同士が同時刻に光ファイバ上を通過することはできない。共有の様子については以降にて説明する。
局内装置(OLT)1から光カプラ3に接続している複数の光加入者装置(ONU)2A〜2Cへ送信すべき下り方向フレームは、同一光ファイバ伝送路上を時分割多重されて光カプラ3に送信され、光カプラ3に接続された全てのONU2A〜2Cに同報分配されるため、各ONUは、自分宛のフレームだけを抽出し他ONU宛のフレームは廃棄するように構成されている。
GE−PONの仕組みについての説明は以上である。
図10は従来のGE−PONシステムの構成を示し、図10で、局内装置(OLT)12、光加入者装置(ONU)22A〜22C、光カプラ32、接続機器42A〜42Dは、図1〜3に示すOLT1、光加入者装置(ONU)2A〜2C、光カプラ3、接続機器4A〜4Dに対応する機能を有する従来の装置である。
図10では、ONU22Aについて、その内部構成を示している。ONU22B、22Cも同様の内部構成を有している。GE−PONシステムが正常に運用されるためには、ONU22Aの送信機会ではない時刻では、ONU22Aは、光/電気変換部221から光カプラ32に対して、光信号を出力(発光)してはいけない。
その方法は、光リンク終端部223から出力される光出力許可/禁止信号228を、「光出力禁止」の極性とし、光/電気変換部221に内蔵された光出力許可/禁止機能実行部229により、光/電気変換部221の光出力を禁止する、というものである。
光/電気変換部221は、光出力許可/禁止機能実行部229から光出力を禁止されているときは、シリアル/パラレル変換部222から受け取る電気信号に関わらず、光カプラ32に対して光信号を出力しない。
1つ目は、光出力許可/禁止信号228は正常であるが光出力許可/禁止機能実行部229の光出力禁止機能が効かなくなってしまう場合、もう1つは、光出力許可/禁止機能実行部229は正常であるが光出力許可/禁止信号228が「光出力許可」の極性から変化しなくなってしまう場合である。
ONU22Aの光リンク終端部223は、ONU2Aの送信機会ではないときは、シリアル/パラレル変換部222にアイドルパターンを出力し、シリアル/パラレル変換部222は、光リンク終端部223から入力されたアイドルパターンを光/電気変換部221に出力する。光/電気変換部221は、光出力禁止機能が機能しない場合には、シリアル/パラレル変換部222から入力されたアイドルパターンを光信号に変換して光カプラ32に出力する。
したがって、ONU22Aの光出力禁止機能が機能しない場合、ONU22Aは、ONU22Aの送信機会以外のとき、光カプラ32に対してアイドルパターンの光信号を送信しつづける。
OLT12は、定期的に上り方向フレームを受け取ることができないONUとのロジカルリンクを解消してしまう機能を有しているため、ONU22B、22Cは、OLT12と通信を行うためのロジカルリンクID(識別番号)を失ってしまう。
特許文献1では、ONUの出力する光信号をONU自身が監視し、光信号が一定時間継続して検出されたら、暴走と判定して消光するという技術である。
この方法は、光加入者装置(ONU)が光りっぱなし(光信号の「1」がつづく)になった状態を解決するためのもので、GE−PONシステムとは異なるPONシステムに適用することが想定されていると思われる。
この方法では、OTLがONUを1つずつ順に指定して、発光を停止する発光停止コマンドを含めた信号を順次下り送信し、今まで継続して受信されていた光信号が消滅するタイミングで、どのONUが故障かを判別している。
また、特許文献2では、GE−PONシステムにはそのまま適用できないが、ONUを1つずつ順に指定して発光を停止する発光停止コマンドを含めた信号を送信し、今まで継続して受信されていた光信号が消滅することから、どのONUが故障かを判別している。
特許文献1の発明の第1の問題点は、端末側の光送受信装置(ONU)で検出した異常(暴走)を局側の光送受信装置(OLT)で知ることができないということである。これは、ONUで異常を検出した後、OLTに知らせる手段が提供されていないためである。
特許文献1では、端末側光送受信装置のLEDに表示することによりユーザに視認させることを試みているが、この方法では、ユーザがLEDに目を向けることと、ユーザがLEDの意味を把握することと、意味を知ったユーザが適切に対処することが求められる。
その理由は、光/電気変換部に変更を加えているため、この部分の価格が高価になるためである。
光/電気変換部は、標準品でもとりわけ高価な部品である。これに変更を加えると、大量に流通して適正な価格となっている市販用(標準仕様)の部品を使用することができず、流通量の少なく高コストな特殊仕様の部品を使用することになり経済的ではない。
具体的な例を一つ挙げると、定期的にレスポンスを受け取っていない子局は、端末IDが削除されてしまうので、親局から端末IDを指定して順次子局に指示するという動作をGE−PONの規格の中では行うことはできない。
本発明では、上記の問題点を解決して、光出力禁止機能が機能していない光加入者装置(ONU)を検出することができ、光出力禁止機能が機能していないONUが原因で他のONUが通信できないという状態を解消することが可能な、光加入者通信(PON)システム、PONシステムでの光加入者装置の異常発光抑止方法及びそのプログラムの提供を目的とする。
このように、光加入者装置異常検出手段を設けたことにより、光出力禁止機能が機能していない光加入者装置(ONU)を検出することができ、検出した光出力禁止機能が機能していないONUにより他のONUが通信できないという状態を解消することが可能な光加入者通信システムを実現することができる。
これにより、複数の光加入者装置(ONU)のうちで、光出力禁止機能が機能していないONUを見出し、そのONUを特定することが可能な光加入者通信システムを実現することができる。
これにより、ONUの出力デジタル信号の数値を0を設定して消光を実現することができる。
さらに、前記消光手段は、上り信号を電気信号から光信号に変換する光/電気変換部内の送信手段への電力供給を切断する送信電源供給制御手段であることを特徴とする(請求項3)。
これらにより、ONUの光/電気変換部又は光/電気変換部内の送信手段への供給電力を断つことで、強制的に消光を実現することができる。
これにより、複数のONUのうちで、光出力禁止機能が機能していないONUを見出し、そのONUを特定して対処することができる光加入者装置の異常発光抑止方法を実現することができる。
を設け、これらを前記局内装置のコンピュータに実行させている。
これにより、局内装置のコンピュータに、複数のONUのうちで光出力禁止機能が機能していないONUを見出させ、そのONUを特定することが可能な光加入者通信システムにおける光加入者装置の異常発光抑止プログラムを提供することができる。
先に、図1において、GE−PONシステムの加入者系アクセスネットワークの基本構成を示した。
また、図2に下り方向フレームの転送の様子を、図3に上り方向フレームの転送の様子を示した。さらに、図4に、各光加入者装置(ONU)2A〜2Cから送信された上り方向フレーム列が光カプラ3で合流する様子示した。これらの基本構成は、本発明においても変わらないものとする。
この図5では、第1の実施形態で光カプラ3にONUを3台接続した場合について示している。しかし、第1の実施形態は、ONUを2台以上、何台接続した場合についても、全て適用することができるものである。
第1の実施形態の局内装置(OLT)1は、絶縁のためのトランス106、撚り対線での伝送に適した信号からデジタル信号への変換およびデジタル信号から撚り対線での伝送に適した信号への変換を行う撚り対線リンク終端部105、通信信号を一時的に保持するフレームバッファ部104、ONU2との情報のやりとりを行う光リンク終端部103、パラレル信号からシリアル信号への変換およびシリアル信号からパラレル信号への変換を行い、さらに上り方向のアイドルパターンを検出しアイドルパターン継続時間カウンタ108に通知する機能も具備したシリアル/パラレル変換部102、光信号から電気信号への変換および電気信号から光信号への変換を行う光/電気変換部101を含んで構成されている。さらに、異常を検出するためにアイドルパターンの継続時間を計上するアイドルパターン継続時間カウンタ108、異常が解消されたかを判定するために異常が見られていない時間を計上する回復時間カウンタ109、各部分から情報を収集したりネットワーク管理者に情報を伝える制御部107から構成されている。
さらに、光出力許可/禁止信号208、光出力許可/禁止機能実行部209、データ加工部210、制御部207を含んで構成される。
さらに、データ加工部210は、通常時は光リンク終端部203から出力された信号をシリアル/パラレル変換部202に入力し、ONU2からの発光を抑止すべきときにはゼロをシリアル/パラレル変換部202に入力する。制御部207は、各部分から情報を収集したり、発光ダイオードランプの制御を行う。
図5では、ONU2Aについてその内部の詳細構成を示しているが、他のONUも同様の内部構成である。
図6のS101からS108は、光出力禁止機能が機能していないONU2を検出し、ネットワーク管理者に異常を知らせるまでのフローであり、S109は、他のONU2が通信できないという状態を解消するためにOLT1から光出力禁止機能が機能していないONU2に対して、発光を抑止するよう指示をするフローである。
これらのフローにより如何にして課題が解決されるかを説明する前に、光出力禁止機能が機能していないONU2を検出する手段については、これらのフローに到る前に前段階を踏んでいるため、まず、その前段階について説明する。
先に述べたように、光出力禁止機能が機能していないONU2が存在するとき、次にあげるような現象1、2が引き起こされる。なお、以降、光出力禁止機能が機能していないONU2を異常ONUと略す。
現象2:異常ONU以外のONUに対するロジカルリンクが解消されている。
Tnormal
=Toff(max)+Ton(max)+Treceiver_settling(max)+Tcdr(max)+Tcode_group_align(max)
ここで、Toff(max)は、レーザオフ時間の最大値、
Ton(max)は、レーザオン時間の最大値、
Treceiver_settling(max)は、受信機安定時間の最大値、
Tcdr(max)は、CDR(clock and data recovery)ロック時間の最大値、
Tcode_group_align(max)は、コードグループ整列時間の最大値をあらわしている。
したがって、上述した観測点で計上したアイドルパターンの継続時間が、(式1)で示すTnormal(正常なGE−PONシステムにおけるアイドルパターン継続時間の最大値)よりも長ければ、異常が起こっていることを検出することができる。
現象1’:シリアル/パラレル変換部102において、正常時よりも長い継続時間のアイドルパターンが観測される。
現象2’:ロジカルリンクが1つだけ確立している。
なお、図6でIカウンタは、アイドルパターン継続時間カウンタの略であり、Rカウンタは、回復時間カウンタの略である。
S102からS105のステップは、OLT内のシリアル/パラレル変換部102で観測される上り方向のアイドルパターンの継続時間を計上するステップである。S102は、アイドルパターン継続時間カウンタを0にリセットすることを示しており、S103は、OLT内のシリアル/パラレル変換部102の上り方向で観測されるのがアイドルパターンなのか否かを判別している。
ステップS105では、アイドルパターン継続時間が正常な範囲を超えたかどうかを判別する。正常な範囲とは、正常なGE−PONシステムにおけるアイドルパターン継続時間の最大値以下であることを示している。正常な範囲を超えた場合は、ステップS106およびS110を実行する。正常な範囲を超えていない場合は、ステップS103に戻り、アイドルパターンの継続時間の計上を継続する。
ステップS107では、警報がすでに出力済みであるか否かを判別している。警報については以下において説明する。
警報、すなわち、異常を知らせる手段としては、発光ダイオードランプやSNMP(Simple Network Management Protocol)トラップなどが挙げられる。
発光ダイオードランプは、点灯/消灯/点滅によりネットワーク管理者に異常を視認させるために使われ、SNMPトラップは、ネットワークを介してネットワーク管理者に異常が発生したという情報を伝達するために使われる。
SNMPとは、ネットワーク管理のためのプロトコルであり、RFC1157で規定されている。SNMPトラップとは、SNMPのトラップ・プロトコルデータユニット(trap−プロトコルデータユニット)であり、監視対象の状態が変化したことをSNMPエージェントからSNMPマネージャに伝える機能を持っている。
発光抑止指示はOAMプロトコルデータユニット(OAMPDU:Operations,Administration,and Maintenance Protocl Data Unit)を用いて行われる。
OAMプロトコルデータユニットとは、局内装置(OLT)1から光加入者装置(ONU)2に指示をする方法であり、下り方向フレームを送信する場合と類似した仕組みで、OLT1からONU2に送信される。OAMプロトコルデータユニットは、すべてのONU2宛てに送信することや、1つのロジカルリンクID宛てに送信することや、1つのロジカルリンクIDを除くすべてのロジカルリンクID宛てに送信することができる。
例えば、ステップS108にて発光ダイオードランプを点灯させたのであれば、ステップS115では発光ダイオードランプを消灯するという内容となり、ステップS108にて異常が発生したというSNMPトラップを上げたのであれば、ステップS115では異常状態から復旧したというSNMPトラップを上げるという具合である。
OLT1から発光抑止を指示するOAMプロトコルデータユニットを受信したONU2が、発光の抑止を実行することで、他のONU2が通信できないという状態を解消するフローとなっている。ONU2は、ステップS203にて発光抑止を指示するOAMを受信するまでは通常動作を続け、S203にて発光抑止を指示するOAMプロトコルデータユニットを受信したら、ステップS204にて発光ダイオードランプを点灯させるなどの警報出力を行う。警報出力の意図は、ONU2に異常が発生していることを使用者に知らせることである。
なお、ONU2が発光を抑止した状態から復帰する方法は、ONU2の電源再投入となる。異常をきたしたONU2が修理されないまま電源再投入され、再び発光できる状態となっても、これまでの図6、7のフローにより、再び発光が抑制された状態とすることができることを付け加えておく。
また、正常な範囲を超える継続時間のアイドルパターンも観測されなくなるため、先述した図6のステップS110からS115のフローにより警報が停止され、GE−PONシステムが正常な状態に復帰したことをネットワーク管理者が知ることができる。
このように、図6に示すフローチャートのステップS109からS115、および図7に示すフローチャートを実行することで、他のONU2が通信できないという状態を解消するという課題を解決することができる。
まず、正常時におけるGE−PONシステムのフレーム転送動作について説明する。
GE−PONシステム全体としてのフレーム転送動作については、すでに、図1〜図4に沿って説明済みであるため、図5に基づき、OLT1内、およびONU2内での動作について説明する。
図5では、ONU2を3台図示しているが、どのONU2をとっても、その動作も同じである。
撚り対線リンク終端部105では、運ぶ情報自体は変更せず、入力された情報(フレーム)をそのまま出力するのだが、信号の形態を撚り対線での伝送に適した信号からデジタル信号に変換する。デジタル信号とすることで電子回路で扱いやすい信号となる。撚り対線リンク終端部105から出力されたフレームは、フレームバッファ部104に格納される。
MPCプロトコルデータユニットとは、OLT1内の光リンク終端部103とONU2内の光リンク終端部203間でやりとりされる制御用フレームで、OLTからONUへの送信時刻指示などに使われる。OAMプロトコルデータユニットはOLT1内の光リンク終端部103とONU2内の光リンク終端部203間でやりとりされる制御フレームであり、異常などを知らせるために使われる。
(式2)のOLT受信同期時間は、(式1)で示した正常時のアイドルパターン継続時間の最大値Tnormalよりも短いことを補足しておく。
OLT受信同期時間=
Ton+Treceiver_settling+Tcdr+Tcode_group_align
ここで、
Tonは、レーザオン時間、
Treceiver_settlingは、受信機安定時間、
Tcdrは、CDR(clock and data recovery)ロック時間、
Tcode_group_alignは、コードグループ整列時間
をあらわしている。
(式2)の期間のアイドルパターンを送信した後、光リンク終端部203は、MPCプロトコルデータユニットまたはOAMプロトコルデータユニットまたは、フレームバッファ部204に待機させていたフレームにロジカルリンクIDを付与し、データ加工部210に出力する。
なお、IFGの期間も、光出力許可/禁止信号208は「光出力許可」のままであるため、IFGの期間のアイドルパターンは、データ加工部210、シリアル/パラレル変換部202、光出力許可/禁止機能実行部209を経て、光カプラ3に出力される。
光出力許可/禁止信号208が「光出力禁止」の極性になると、光出力許可/禁止機能実行部209から光カプラ3には、何も出力されなくなる。
光加入者装置(ONU)2から光カプラ3に出力された上り方向の信号それぞれについて、OLT1内でどのように処理されるかについて説明する。ONU2から光カプラ3に出力された信号とは、(式2)で示されるOLT受信同期時間のアイドルパターン、フレームやMPCプロトコルデータユニットやOAMプロトコルデータユニット、フレーム間に送信されるIFGと呼ばれるアイドルパターン、ONU2A送信機会の最後に送信されるToffと呼ばれるアイドルパターンである。
光カプラ3から出力された(式2)で示されるOLT受信同期時間の期間のアイドルパターンは、光/電気変換部101にて光信号から電気信号に変換され、シリアル/パラレル変換部102に入力される。シリアル/パラレル変換部102は、アイドルパターンが検出された旨をアイドルパターン継続時間カウンタ108に知らせる。
光リンク終端部103では、フレームについてはロジカルリンクIDを取り除いてフレームバッファ部104に出力し、MPCプロトコルデータユニットまたはOAMプロトコルデータユニットであれば、その内容に応じた動作をし、必要であれば制御部107に転送する。
光カプラ3からIFGの期間のアイドルパターンが光/電気変換部101に入力された場合、およびレーザオフ時間Toffのアイドルパターンが入力された場合も、(式2)のOLT受信同期時間のアイドルパターンが入力されたときと同様の動作となり、アイドルパターン継続時間カウンタはS105の正常な範囲を超えない。
図1のようなGE−PONシステムにおいて、ONU2Aが光出力禁止機能が機能しないONUであり、ONU2B、2Cが正常なONUであるとして説明する。
すなわち、異常時においても、局内装置(OLT)1から発光抑止の指示が来るまではONU2Aの光リンク終端部203から出力される信号は、光信号となってそのまま光カプラ3に出力される。正常時と異なるのは、ONU2Aの送信機会以外ではアイドルパターンが出力されつづけることである。図8の異常時(下段)におけるToffの後のアイドルパターンがこれに相当する。
レーザオフ時間Toffのアイドルパターンが出力された後は、ONU2Aの送信機会が終わったために正常時であればONU2Aからは何も出力されなくなるが、ONU2Aの光出力禁止機能が機能しなくなっているときはアイドルパターンが出力される。
ONU2B、2Cは、ロジカルリンクが解消された後は、ディスカバリウィンドウ時間と呼ばれる期間以外は、光カプラ3に何も出力しなくなる。
したがって、ONU2Aがフレームバッファ部204内のフレームを送信し終わってからディスカバリウィンドウ時間が始まるまで、(式1)に示される正常時におけるアイドルパターン継続時間の最大値を上回る、長い継続時間のアイドルパターンが光カプラ3からOLT1に入力されることとなる。
シリアル/パラレル変換部102では、アイドルパターンを検出し、アイドルパターン継続時間カウンタ108に知らせる。また、アイドルパターンをシリアル信号からパラレル信号に変換し、光リンク終端部103に出力する。
アイドルパターン継続時間カウンタ108では、アイドルパターン検出によるアイドルパターン継続時間カウンタのカウントアップを続け、カウント値が正常な範囲、すなわち、(式1)に示される正常時におけるアイドルパターン継続時間の最大値を超える。
この動作は図6のフローチャートのS106に相当する。まだ複数のロジカルリンクが確立していたら、以後のフローの動作を行うのは時期尚早として、アイドルパターン継続時間カウンタを0にリセットし、再びアイドルパターンの継続時間をカウントさせる。
S106にて複数のロジカルリンクが確立している状況は、OLT1と他のいずれかのONUの間のロジカルリンクに対するmpcp_timerが満了しておらず、まだいずれかのONUがロジカルリンクを保っているときに引き起こされる。他のONUのmpcp_timerが満了するまで待てば、異常ONUの特定が容易になるため、ロジカルリンクが1つだけ確立する状況となるまではフローS107に進まない。
光リンク終端部103は、発光抑止OAMプロトコルデータユニットに発光抑止OAMプロトコルデータユニットに付与すべきロジカルリンクIDを付与して、下り方向、すなわち、シリアル/パラレル変換部102に出力する。シリアル/パラレル変換部102では発光抑止OAMプロトコルデータユニットをパラレル信号からシリアル信号に変換して光/電気変換部101に出力し、光/電気変換部101では発光抑止OAMプロトコルデータユニットを電気信号から光信号に変換して光カプラ3に出力する。
シリアル/パラレル変換部202は、データ加工部210から入力されたゼロの連続をパラレル信号からシリアル信号に変換し、光/電気変換部201に出力する。光/電気変換部201では、0が入力されているので発光しない。したがって、発光が抑止されてからはONU2Aから光カプラ3には何も光信号が出力されなくなる。
ONU2Aから光カプラ3へのアイドルパターンの出力が無くなると、ONU2BおよびONU2Cは、決められた時間に上り方向のMPCプロトコルデータユニットを送信することができるようになり、ONU2BとONU2Cのロジカルリンクは再び確立する。
アイドルパターン継続時間カウンタが正常な範囲を超えることが無くなると、回復時間カウンタがカウントアップを続け、既定値を超える。回復時間カウンタが既定値を超えると、回復時間カウンタ109は、制御部107に警報を停止するよう信号を出力し、制御部107は警報を停止する。警報の停止とは、異常を意味する発光ダイオードランプの消灯や、異常状態から復旧した旨のSNMPトラップを上げるなどである。
これまで説明してきたように、本第1の実施形態により、正常な他ONUが通信を再開することができ、また、SNMPトラップの履歴などで、異常状態の解消が行われたことをネットワーク管理者に知らせることができる。
本発明の第2の実施形態の光加入者装置(ONU)2のブロック図を、図9に示す。
この実施形態では、図7のONU2のフローチャートのS205に示す発光の抑止を実行するために、ONU内に光/電気変換部211への電源供給を制御する回路(電源供給制御部301)を設ける。このとき、図5で示したデータ加工部210は必要がなくなる。
光/電気変換部211への電源供給制御部301の機能は、発光を抑止しないときには光/電気変換部211に電源を供給し、発光を抑止するときには光/電気変換部211に電源を供給しないというものである。
電源が供給されないときの光/電気変換部211の動作としては、シリアル/パラレル変換部212から入力される信号に関わらず、光/電気変換部211から光カプラ31には何も出力されないという動作となる。また、光カプラ31から光信号を受けてもシリアル/パラレル変換部212には何も出力しないという動作となる。
なお、電源供給制御部301は、本第2の実施形態での消光手段としての役割を果たしている。
これは、発明の他の実施例その1の変形であり、図9の光/電気変換部211への電源供給制御部301を変更して、光/電気変換部211内の送信回路への電源供給制御部とする。
本発明の第2の実施形態と異なるのは、発光を抑止するときに、光/電気変換部201全体への電源供給を止めるのではなく、光/電気変換部211内の送信回路への電源供給を止めるというところである。すなわち、本実施例では、光/電気変換部211内の受信回路への電源供給は制御せず、常に電源を供給したままとする。光/電気変換部211内送信回路への電源供給制御部の機能は、発光を抑止しないときには光/電気変換部211内の送信回路に電源を供給し、発光を抑止するときには光/電気変換部211内の送信回路に電源を供給しないというものである。
光/電気変換部201内送信回路に電源が供給されないときの光/電気変換部211の動作は、シリアル/パラレル変換部212から入力される信号に関わらず、光/電気変換部211から光カプラ31には何も出力されないという動作となる。
なお、変更された電源供給制御部301は、本第3の実施形態での消光手段として機能している。
本発明の第4の実施形態は、アイドルパターン継続時間が正常ではないと判定するための閾値として、(式1)で示すTnormalに余裕を見込んで、Tnormalよりも多少長い時間を閾値としたものである。
この第9の実施形態は、(式1)に示したToff(max)、Ton(max)、Treceiver_settling(max)、Tcdr(max)、Tcode_group_align(max)のうちの1つ以上を実際のシステムにおける値に変更した場合に、それらの和がIFGを下回り、正常なGE−PONシステムにおけるアイドルパターン継続時間の最大値がIFGとなった場合を想定している。
これにより、1台の光加入者装置(ONU)の光出力禁止機能の不良から他の全てのONUが通信できなくなるという問題をコンピュータによって解決することができる。
その第1の効果は、GE−PONシステムの中に、異常のONUが一台あるだけで、他の数十台の他のONUがすべて通信できなくなるという重度の障害を、自動的に解消する手段を提供したことである。
これは、本発明が、光出力禁止機能が機能していないONUをOTLが検出して対策するところから、異常が解消し、他のONUが通信できる状態に復旧するまでの一連の動作を実現したことによる。
これは、本発明を実施するGE−PONシステムにおいて、正常時も、異常が解消された後も、本発明の実現のためのトラフィックは全く発生していないためである。また、本発明の第1の実施形態では、データ加工部210を追加しているが、これは遅延や帯域の浪費にはつながらないことも補足しておく。GE−PONシステムでは、OLTが各ONUの遅延測定を行い、その遅延を見込んで送信時刻を指示するという機能を従来から有しているため、遅延は補償される。
これは、装置の高価な部分である光/電気変換部内、および光リンク終端部に手を加えていないためである。光/電気変換部や光リンク終端部は、GE−PONシステムにおいて特に高コストな部分である。これらに手を加えてしまうと、特殊仕様となってしまい、流通量が伸びず、高コストとなる可能性がある。本発明では、これらに手を加えていないため、大量に流通し適正な価格となっている市販用(標準仕様)の部品を使用することができる。
理由は、OLTで異常を検出しているためである。OLTで異常が発生したことを把握できれば、LED表示による視認だけに頼ることなく、監視系ネットワークを介してネットワーク管理者に異常を知らせることが可能になる。これにより、専門的な知識を有するネットワーク管理者にも異常を知らせることができるため、故障ONUに関する適切な対処を期待することができる。
2A、2B、2C 光加入者装置
3 光カプラ
103 光リンク終端部(発光停止コマンド送信手段)
107 制御部(光加入者装置異常検出手段、発光停止コマンド送信手段、論理接続状態検出機能)
108 アイドルパターン継続時間カウンタ(アイドル継続時間計数機能)
210 データ加工部(消光手段、データ加工手段)
301 電源供給制御部(消光手段、光/電気変換電源供給制御手段)
Claims (5)
- 局内装置と、複数の光加入者装置と、この両者の間に設けられた光カプラと、これらを接続する光ファイバ回線からなり、前記光加入者装置から前記局内装置への上り信号と、前記局内装置から前記光加入者装置への下り信号とを通信する光加入者通信システムにおいて、
前記局内装置は、
前記光加入者装置からアイドル時に前記光カプラに送られるアイドルパターンの継続時間を計数するアイドル継続時間計数機能と、前記光加入者装置との論理接続の確立状態を検出する論理接続状態検出機能とを有すると共に、
前記アイドル継続時間計数機能の計数出力が光加入者通信システムの規格から定まる規定値より長く、前記論理状態検出手段が検出する論理接続が1つだけ確立している場合に、現在論理接続されている前記光加入者装置を異常として検出する光加入者装置異常検出手段と、
この光加入者装置異常検出手段が異常を検出した光加入者装置に発光を止める発光停止コマンドを含めた信号を前記下り信号として送信する発光停止コマンド送信手段とを具備し、
前記光加入者装置は、前記発光停止コマンド送信手段から送られた発光停止コマンドに基づいて自局の発光を停止する消光手段を備えると共に、
この消光手段を、前記上り信号の数値を全て0に置き換えるデータ加工手段としたことを特徴とする光加入者通信システム。 - 前記請求項1に記載の光加入者通信システムにおいて、
前記消光手段は、前記上り信号を電気信号から光信号に変換する光/電気変換部への電力供給を切断する光/電気変換電源供給制御手段であることを特徴とする光加入者通信システム。 - 前記請求項1に記載の光加入者通信システムにおいて、
前記消光手段は、前記上り信号を電気信号から光信号に変換する光/電気変換部内の送信手段への電力供給を切断する送信電源供給制御手段であることを特徴とする光加入者通信システム。 - 局内装置と、この局内装置に光カプラを含む光ファイバ回線を介して接続される複数の光加入者装置を含んでなる光加入者通信システムでの前記光加入者装置の異常発光抑止方法であって、
前記光加入者装置からアイドル時に送られるアイドルパターンの継続時間を計数するアイドル継続時間計数工程と、
前記アイドル継続時間計数工程での計数値と光加入者通信システムの規格から定まる規定値とを比較するアイドル継続時間比較工程と、
前記光加入者装置との論理接続の確立状態を検出する論理接続状態検出工程とを備えるとともに、
前記アイドル継続時間比較工程での計数値が前記規定値より長く、前記論理状態検出工程で検出する論理接続が1つだけ確立している場合に、現在論理接続されている光加入者装置を異常と検出する光加入者装置異常検出工程と、
この光加入者装置異常検出工程で異常を検出した光加入者装置に発光をとめる発光停止コマンドを含めた信号を前記局内装置から前記光加入者装置への下り通信で送信する発光停止コマンド送信工程と、
前記光加入者装置で実行される前記発光停止コマンド送信工程で送られた発光停止コマンドに基づいて自局の発光を停止し上り信号の数値を全て0に置き換える消光工程とを備えたことを特徴とする光加入者通信システムでの光加入者装置の異常発光抑止方法。 - 局内装置と、この局内装置に光カプラを含む光ファイバ回線を介して接続される複数の光加入者装置を含んでなる光加入者通信システムでの前記光加入者装置の異常発光抑止プログラムであって、
前記光加入者装置からアイドル時に送られるアイドルパターンの継続時間を計数するアイドル継続時間計数機能、
前記光加入者装置との論理接続の確立状態を検出する論理接続状態検出機能、
前記アイドル継続時間計数機能による係数出力が光加入者通信システムの規格から定まる規定値より長く、前記論理接続状態検出機能が検出する論理接続が1つだけ確立している場合に、現在論理接続されている光加入者装置を異常と判定する光加入者装置異常判定機能、
この光加入者装置異常判定機能で異常を検出した光加入者装置に発光をとめる発光停止コマンドを含めた信号を前記局内装置から前記光加入者装置への下り通信として送信する発光停止コマンド送信機能、
及び前記光加入者装置で実行される前記発光停止コマンド送信機能により送られた発光停止コマンドに基づいて自局の発光を停止し上り信号の数値を全て0に置き換える消光制御機能、
を備え、これらを前記局内装置のコンピュータに実行させるようにしたことを特徴とする光加入者装置の異常発光抑止プログラム。
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