JP4571723B2 - 木炭担持成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、木炭担持成形体の製造方法に関し、吸放湿性や脱臭性、ガス吸着性などの機能を有する木炭を、各種製品に利用し易い形態にした木炭担持成形体を製造する方法を対象にしている。
【0002】
【従来の技術】
木炭にはガスや蒸気の吸着性があり、吸放湿性、脱臭性、帯電防止性などの機能を有していることが知られている。
【0003】
このような木炭が有する優れた機能を各種製品として利用するために、木炭を粉砕してなる木炭粉を、合成樹脂に混合して成形する技術が提案されている。
【0004】
本願発明者らが先に発明し特許出願している特開平11−43611号公報(先行文献1)には、木材チップ炭化物粉と界面活性剤とが配合された合成樹脂を、チューブ状やシート状に成形して、農園芸用シートやマット材などに利用する技術が示されている。合成樹脂に発泡剤を配合しておいて、発泡成形体を製造する技術も示されている。
【0005】
これとは別に、特開平10−286413号公報(先行文献2)には、ポリプロピレン樹脂に穀物の粉末などの有機物と硫酸バリウムとを配合しておき、加熱押出機のノズルから中空管状に押し出すと同時に冷却し延伸して、多孔質状の水中用濾材を製造する技術が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記した先行文献1の技術では、木炭粉が有する吸放湿性などの特性が十分に発揮され難いという問題がある。
【0007】
木炭粉が有する吸放湿性や帯電防止性などの機能は、木炭粉の表面に存在する微細なミクロ構造および表面の化学的性質などにより発揮される。ところが、合成樹脂に配合された木炭粉は、表面のミクロ構造が合成樹脂で塞がれてしまったり、樹脂によって木炭粉の表面特性に何らかの悪影響を受けたりするものと推定できる。
【0008】
先行文献2の濾材は、多孔質構造による物理的な吸着性や微生物の保持機能はあるが、先行文献1の技術に比べても格別に吸放湿性や帯電防止性などが優れたものにはならない。しかも、穀物などの有機物を用いていることにより、使用中に腐敗や分解が進行するという問題があり、耐久性にも劣るものであった。
【0009】
本発明の課題は、木炭が有する前記した優れた機能を有効に発揮させることができる木炭担持成形体の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる木炭担持成形体の製造方法は、平均粒径1〜600μmの木炭粉を5〜60重量%含有する熱可塑性樹脂の成形体であって、連続気孔を有する発泡体であり、嵩比重0.1〜0.3であり、表面に高低差0.3mm以上の凹凸があり、木炭粉の一部が表面に露出している、木炭担持成形体を製造する方法であって、含水率0.5〜8.0重量%の木炭粉を熱可塑性樹脂に攪拌混合する工程(a)と、工程(a)で得られた木炭粉を含有する熱可塑性樹脂を、加熱押出成形と同時に冷却し延伸する工程(b)と、を含み、前記工程(a)で用いる前記木炭粉が、木材チップを450〜550℃で熱処理して炭化させる低温炭化工程(k)と、前記低温炭化工程(k)に引き続いて、前記木材チップの炭化物を800〜900℃、480〜960秒で熱処理して、さらに炭化させる高温炭化工程(l)と、前記高温炭化工程(l)の終了時点で、前記炭化物に水を接触させる活性化工程(m)と、前記活性化工程(m)によって得られた活性化木炭を粉砕する工程(n)と、を経て製造されたものである、ことを特徴とする。
【0011】
以下では、これを、具体的に説明する。
〔木炭〕ガス吸着性や吸放湿性、脱臭性、帯電防止性、イオン交換機能など、木炭が有する各種の機能を発揮できるものであれば、良い。
【0012】
本発明の木炭担持成形体の製造方法では、木炭粉として、以下の製造方法で得られる活性化木炭を使用する。
【0013】
活性化木炭とは、木炭の原料、炭化処理条件などを適切に設定することによって、物理的および化学的に活性化した木炭であり、この木炭では前記したガス吸着性などの機能が格段に向上している。
【0014】
活性化木炭の製造方法は、木材チップを450〜550℃で熱処理して炭化させる低温炭化工程と、低温炭化工程に引き続いて、木材チップの炭化物を800〜900℃、480〜960秒で熱処理して、さらに炭化させる高温炭化工程と、高温炭化工程の終了時点で、炭化物に水を接触させる活性化工程とを含む。
【0015】
<木材チップ>
木材の細片すなわちチップである。木材チップの原木としては、主に、杉材、ヒマラヤ杉材、赤松材等の針葉樹材が用いられ、特に赤松材が好ましい。木材製品として利用し難く安価な細い木材や廃材を利用することができる。パルプ製造やボード建材の原料として大量に工業生産されている木材チップ製品を用いることもできる。
【0016】
木材チップの形状および寸法は特に限定されないが、木材チップの差し渡し径を測ったときに、その最大径が10〜60mmのものが好ましい。大き過ぎる木材チップは十分な炭化を行い難く、小さ過ぎる木材チップは取扱い難く、製造歩留りも悪い。
【0017】
<低温炭化工程>
基本的には、通常の木炭製造装置および製造処理条件を採用すればよい。熱処理の温度を450〜550℃に設定する。熱処理時間は、木材チップの全体が十分に炭化される程度で良く、木材チップあるいは製造装置の条件によっても異なるが、通常は100〜120時間をかけて処理される。
【0018】
熱処理雰囲気は、空気の流入を遮断した状態で行う。モミ殻やオガクズで木材チップを覆った状態で処理することができる。
【0019】
<高温炭化工程>
基本的には、通常の木炭製造装置および製造処理条件を採用し、熱処理の温度を800〜900℃、熱処理時間を480〜960秒に設定する。
【0020】
高温炭化工程では、前工程で低温炭化された木材チップ炭化物の表面に近い一部分のみを高温炭化し、木材チップ炭化物の中心部分には低温炭化部分を残しておく。
【0021】
処理時間によって、得られる活性化木炭に含まれる高温炭化部分と低温炭化部分との比率が調整される。処理時間が短すぎたり長すぎたりすると、高温炭化部分と低温炭化部分とのそれぞれの特性が十分に発揮できない。
【0022】
前記低温炭化工程と同じ装置で、熱処理温度を上昇させることで、低温炭化された木材チップ炭化物をそのまま高温炭化させることが好ましい。
【0023】
熱処理雰囲気は、酸素を供給した状態にする。
【0024】
<活性化工程>
高温炭化工程で熱処理を行った炭化物に水を接触させると、炭化物は急速に冷却されて消火する。その際に、水の化学的および物理的な作用によって、炭化物に複雑な形状の微細孔が形成されたり、炭化物の表面が改質されて吸着能などが向上したりする活性化が行われる。
【0025】
なお、水は液体状態であってもよいが、通常は水蒸気状態で炭化物に接触することになる。
【0026】
活性化工程の具体的処理装置や処理条件は、既知の活性炭製造技術において行われている水との接触処理と同様でよい。
【0027】
<活性化木炭>
活性化木炭は、内部に多数の微細孔を有する多孔質構造であり、この微細孔による物理的な吸着作用を有するとともに、微細孔の表面が化学的あるいは物理的に活性化されていて高い吸着能を発揮する。前記製造方法から判るように、活性化木炭は、原料となる木材チップ以外の添加剤や活性化処理剤を使用する必要がない。
【0028】
活性化木炭は、吸着能に優れ、吸放湿性、脱臭性、防黴性、遠赤外線放射性、導電性、電磁波吸収性、イオン調整機能などに優れている。活性化木炭の吸着能は、吸着物質と接触したときの立ち上がり速度が大きい。また、吸着物質を分解する作用があるため、活性化木炭の微細孔に吸着物質が詰まって吸着能が低下することが防げ、長期間にわたって安定した吸着能を発揮できる。
【0029】
活性化木炭には、低温炭化工程で炭化された低温炭化部分と、高温炭化工程でさらに炭化された高温炭化部分とが混在している。通常は、中心側に低温炭化部分、外周側に高温炭化部分が存在する。
【0030】
低温炭化部分は、酢酸やアンモニアなどの比較的高分子量の化合物に対する吸着性が優れている。高温炭化部分は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、エチレンなどの比較的低分子量の化合物に対する吸着性に優れている。活性化木炭は、低温炭化部分と高温炭化部分の機能や役目を相乗的に発揮させることができる。
【0031】
〔木炭粉〕
木炭を粉砕して微細な木炭粉にすることで、表面積が増大し、吸着機能などがより高まるとともに、合成樹脂への配合処理が行い易くなる。
【0032】
前記した活性化木炭を使用する場合、活性化木炭を粉砕した活性化木炭粉にも、低温炭化部分と高温炭化部分とが混在する。個々の活性化木炭粉に低温炭化部分と高温炭化部分が存在することが好ましいが、低温炭化部分からなる活性化木炭粉と高温炭化部分からなる活性化木炭粉とが均一に分散していてもよい。
【0033】
粉砕装置および粉砕条件は、基本的には通常の木炭粉の製造技術が適用できる。
【0034】
木炭粉は、平均粒径1〜600μm、好ましくは平均粒径50〜300μmのものが好ましい。粒径が大き過ぎると、単位重量当たりの表面積が小さくなり、表面性状に基づく諸機能に劣るものとなる。粒径が小さ過ぎると、合成樹脂への均一な混合が出来ないなど取扱いが行い難い。
【0035】
粉砕装置として、各種の粉砕装置が使用できる。例えば、ジェットミルなどの乾式粉砕装置、トロンミルなどの湿式粉砕装置、旋回渦流式粉砕装置などが使用できる。
【0036】
〔熱可塑性樹脂〕
木炭担持成形体の使用目的や要求性能に合わせて、通常の成形用樹脂が使用できる。ポリプロピレンやポリエチレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン樹脂が使用できる。押出成形や延伸処理に適した樹脂が好ましい。ポリエチレン樹脂が好ましい。複数の樹脂を混合したものや共重合樹脂を用いることもできる。
【0037】
熱可塑性樹脂に木炭粉を配合するには、粉末状あるいはペレット状の樹脂と木炭粉とを各種の混合装置で攪拌混合しておき、この混合物を加熱溶融して成形することができる。
【0038】
熱可塑性樹脂に木炭粉を5〜60重量%含有させておく。木炭粉が少なすぎると木炭粉の機能が十分に発揮できず、木炭粉が多すぎると成形体の強度特性などが低下する。
【0039】
樹脂に配合する木炭粉は、ある程度の量の水を含んでいる必要がある。具体的には、含水率を0.5〜8.0重量%に設定しておく。好ましくは2.0〜5.0重量%に設定する。水分が少ないと、成形体の発泡が良好に行われず、多孔質構造が形成し難い。水分が多すぎると、樹脂への混合が困難になる。製造段階の木炭粉が上記含水率範囲にあれば、そのまま樹脂に配合することができる。木炭粉に水分を補給したり余分の水分を除去するために乾燥させることができる。通常は、製造された段階の木炭粉は含水率が0.5〜2.0%程度であるので、ここに2.0〜5.0%程度の水分を追加して所定の含水率に調整することが好ましい。
【0040】
樹脂には、木炭粉以外の各種添加剤を配合しておくことができる。例えば、着色剤や木炭粉以外の無機材料粉などが挙げられる。
【0041】
無機材料粉として、ゼオライトや活性炭など、吸着性その他の機能を有する材料を用いれば、木炭粉が有する機能に、これらの機能をも付加することも可能になる。
【0042】
〔成 形〕
通常の加熱押出成形装置が使用できる。押出口の近くに成形物を急速に冷却する手段および成形物を延伸する手段を備えておくことが好ましい。具体的には、特開平10−286413号公報に開示された装置が使用できる。
【0043】
製造する成形物の形状に合わせて押出口の形状を変えることができる。
【0044】
木炭粉に含有された水分が、押出成形される樹脂を発泡させて、連続気孔を有する多孔質構造の成形物になる。発泡した樹脂を押出成形の直後に急速に冷却することで、膨張し多孔質構造になった成形物がそのままの状態で固化する。成形物の表面および多孔質構造の内部表面には木炭粉の一部が露出した状態になる。
木炭粉から水分あるいは水蒸気が放出されるときに、木炭粉の表面を覆う樹脂を突き破ったり取り除いたりすることで、木炭粉の表面の露出が良好になる。
【0045】
なお、冷却に時間をかけると、一旦は膨張した樹脂あるいは樹脂中の気孔が収縮したり閉じたりしてしまう。木炭粉の表面が樹脂で塞がれてしまう。
【0046】
押出成形された成形物を延伸させることで、成形物が引き伸ばされて、複雑な連続気孔の多孔質構造になる。木炭粉の表面を塞ぐ樹脂が引き剥がされて、木炭粉の露出が良好になる。延伸によって、成形物の機械的強度が向上する。
【0047】
押出成形された成形物は、所定の長さ毎に切断されたり、必要な後加工を行って、木炭担持成形体となる。
【0048】
〔木炭担持成形体〕
木炭担持成形体は、使用目的や要求性能に合わせて任意の寸法形状を有することができる。例えば、断面円形あるいは多角形の中空管状、円形あるいは角形の棒状、球状、板状、シート状などが挙げられる。
【0049】
中空円管状の木炭担持成形体は、取扱いが容易であり、多数を堆積させた状態で使用したときに、内部に十分な空隙を確保でき、機械的な強度や耐久性にも優れたものとなる。具体的寸法は、使用目的や要求性能によって変更できるが、例えば、外径5〜20mm、厚み0.5〜5mm、長さ5〜500mmの範囲に設定できる。
【0050】
木炭担持成形体は、連続気孔を有する発泡体であり、嵩比重0.1〜0.3であり、表面に高低差0.3mm以上の凹凸があり、木炭粉の一部が表面に露出している。
【0051】
木炭担持成形体の表面は、通常の樹脂成形体のような平滑な表面ではなく、凹凸を有している。また、通常の発泡成形体の場合は、表面に開口する気孔の部分を除いては平坦な表面を有しているが、本発明の木炭担持成形体は、気孔以外の樹脂自体の表面にも凹凸を有している。凹凸の大きさは、表面からの突出高さを比べたときの高低差が0.3mm以上ある。高低差の最大値は、成形体の厚みである。表面の凹凸程度すなわち表面粗さは、各種の表面粗さ測定値で評価したり規定したりすることもできる。例えば、表面粗さ200メッシュ以上に規定することができる。
【0052】
木炭担持成形体の外面および気孔の内面には、木炭粉の一部が露出している。
一つの木炭粉において、少なくとも一部が露出し残りの部分は樹脂に埋め込まれている。全ての木炭粉が露出部分を有することが望ましいが、樹脂中に完全に埋め込まれた状態の木炭粉が存在していてもよい。樹脂に完全に埋め込まれた木炭粉も、隣接する木炭粉と接触していれば吸湿などの機能は発揮できる。木炭粉を覆う樹脂が極めて薄ければ、樹脂を通して木炭粉の機能が発揮される場合もある。
【0053】
木炭担持成形体を堆積させて使用する場合、自重あるいは外力によって崩壊し難いように、圧縮強度の高いものが好ましい。具体的には、1個の木炭担持成形体に圧縮方向に荷重を負荷したときに破壊するまでの荷重で表す圧縮破壊強度が4.9N以上であるものが好ましく、より好ましくは9.8N以上のものを用いる。
【0054】
〔使用用途〕
前記した木炭が有する各種機能が利用できる用途であれば、特に限定されない。従来、木炭あるいは木炭粉、木炭配合樹脂成形体などが利用されていた用途が考えられる。
【0055】
例えば、木炭の優れた吸着性を利用して、脱臭材、ガス吸着材、調湿材、水質改善材、土壌改良材、帯電防止材などとして使用できる。木炭は電磁波の遮蔽性を有していることから、電磁波遮蔽材としても利用できる。木炭の表面は触媒機能を有しているので、接触触媒として利用できる。
【0056】
【発明の実施の形態】
〔活性化木炭の製造〕
▲1▼ 赤松材をチップ化(最大差し渡し径10〜50mm、厚さ3〜5mm)して炭材を得た。
【0057】
▲2▼ 100m3平窯に炭材を入れ、500℃で約140時間かけて炭材を炭化させた。この段階が低温炭化工程である。
【0058】
▲3▼ 前工程の終了後、窯全体の炭材を撹拌することで急激に酸素を与え、次いで温度を850℃に上昇させて40分間かけて十分に精錬を行った。この段階が、高温炭化工程である。
【0059】
▲4▼ 前工程の終了後、水をかけて消火させた。この処理によって活性化を行われ、活性化木炭が得られる。
【0060】
このようにして得られた活性化木炭は、組織の結着密度が高く、固いものである。炭素率は85%以上であった。
【0061】
なお、比較のために、前記▲2▼工程の後で、▲3▼工程を行わずに、酸素を遮断して消火させて木炭を得た。この木炭は、一般に用いられている木炭と同じものである。前記▲3▼▲4▼工程を経て得られる活性化木炭に比べて、非常に柔らかくもろいものであった。炭素率は70%以下であった。
〔活性化木炭粉の製造〕
前工程で得られた活性化木炭と通常木炭とを、通常の粉砕装置を用いて、平均粒径10μm、最大粒径100μmに粉砕した。
〔活性化木炭粉の特性〕
得られた活性化木炭および通常木炭粉の特性を比較する。各試験項目は、常法により実施した。
【0062】
吸放湿性:
試料の重量W0 を測定する。つぎに、温度25℃、湿度90%の環境に2時間維持し、試験後の重量W1 を測定して、試験前後の重量変化(W1 −W0 )/W0 を吸湿率%とした。つぎに、試料を、温度25℃、湿度50%の環境に2時間維持し、試験後の重量W2 を測定して、試験前後の重量変化(W1 −W2 )/W0 を放湿率%とした。
【0063】
吸着能:
ガラス製容器(11.4リットル)に試料3gを入れ、試験ガスを注入して容器内の環境を初濃度に設定した。容器内の環境を撹拌しながら所定時間(120分)おいたあと、容器内のガス濃度を測定した。
【0064】
吸脱着性:
試験ガスを所定濃度注入した20℃±5℃の試験環境に、試料1.0gを10時間放置したあと、試料を試験環境から取り出して14時間放置した。この操作を2回繰り返した。試験前後の重量変化から試料に残留する試験ガスの割合を求めた。
【0065】
【表1】
【0066】
上記測定の結果、活性化木炭粉は通常木炭粉に比べて、比表面積が大きく吸放湿性に優れていることが明らかである。
【0067】
脱着性試験の結果によると、活性化木炭粉は、一旦ガス成分を吸着しても、その後に環境中のガスが無くなると、ガス成分が吸着されたままにはなり難いことが判る。これは、一旦吸着されたガス成分を環境に放出する作用があるだけでなく、吸着されたガス成分を分解してしまう作用もあるものと推定できる。その結果、吸脱着を繰り返しても機能が低下し難いという利点が発揮できる。
〔木炭担持成形体の製造〕
前記工程で得られた活性化木炭粉を用いて、木炭担持成形体を製造した。
【0068】
<配合(重量%)>
ポリエチレン樹脂 75
活性化木炭粉(含水率3重量%) 25
<成 形>
特開平10−286413号公報に開示された成形装置を用いた。すなわち、汎用の合成樹脂成形用の加熱押出機と、中空円管状の押出ダイと、加熱押出機の押出口を囲んで直ぐ下流に配置された冷却水の噴射装置と、冷却水噴射装置の下流側に配置された冷却水槽と、冷却水槽の下流側に配置された引き取りローラ装置と、引き取りローラ装置の下流側に配置された切断装置とを備えている。
【0069】
加熱押出機のホッパーに、前記木炭粉が配合された樹脂材料を供給した。加熱押出機内で溶融混練された樹脂が中空円管状に押し出され、引き取りローラ装置で引き取られる。押出直後の成形物が冷却水噴射装置で急速に冷却され、さらに冷却水槽で冷却されて固化する。成形物には引き取りロール装置によって軸方向の延伸が加えられる。引き取りロール装置を出た成形物は切断装置で所定寸法毎に切断され、中空円管状の木炭担持成形体が得られる。
【0070】
〔木炭担持成形体〕
図1は、成形された木炭担持成形体10の概略形状を示している。中空円筒状をなすとともに、表面は滑らかではなく、比較的に粗い凹凸を有している。
【0071】
成形体10の具体的寸法および性状として以下のものが挙げられる。
【0072】
寸法 mm :外径12×内径9×長さ12
嵩比重 :0.18
表面凹凸の高低差 mm:0.5〜1.5
圧縮破壊強度 N:9.81
成形体10を顕微鏡で観察したところ、図2に模式的に示す内部構造を有していることが確認できた。すなわち、合成樹脂14からなるマトリックスが、連続気孔からなる多孔質構造あるいは三次元の網目構造を有しているとともに、その中に木炭粉12が分散して配置されている。木炭粉12は、多孔質構造の内部表面あるいは成形体10の表面に突出した形で露出している。したがって、成形体10の外部と木炭粉12の表面とは連通している。
【0073】
〔木炭担持成形体の性能〕
得られた木炭担持成形体の特性を測定したところ、木炭粉の単体について測定したのと同様に、吸放湿性、脱臭性、ガス吸着性などに優れた性能を有することが確認できた。
【0074】
【発明の効果】
本発明の木炭担持成形体は、木炭粉が連続気孔を有する発泡体に担持されていて、木炭粉の表面が、連続気孔の内部空間あるいは成形体の表面に十分に露出しているので、木炭粉の表面が有する吸着性などの優れた機能が有効に発揮できる。
【0075】
比較的に大きな表面粗さを有することで、木炭粉が表面に露出し易く、外界のガスや液体などと木炭粉との接触が行われ易く、木炭粉の表面が有する機能が発揮され易い。
【0076】
嵩密度が小さく軽量であるため、使用時の取扱いが行い易い。木炭担持成形体を大量に堆積あるいは集積させた形態で使用しても、全体の重量はあまり増大しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を表し、木炭担持成形体の斜視図
【図2】 内部構造を示す模式的拡大断面図
【符号の説明】
10 成形体
12 木炭粉
14 合成樹脂
Claims (4)
- 平均粒径1〜600μmの木炭粉を5〜60重量%含有する熱可塑性樹脂の成形体であって、連続気孔を有する発泡体であり、嵩比重0.1〜0.3であり、表面に高低差0.3mm以上の凹凸があり、木炭粉の一部が表面に露出している、木炭担持成形体を製造する方法であって、
含水率0.5〜8.0重量%の木炭粉を熱可塑性樹脂に攪拌混合する工程(a)と、
工程(a)で得られた木炭粉を含有する熱可塑性樹脂を、加熱押出成形と同時に冷却し延伸する工程(b)と、
を含み、
前記工程(a)で用いる前記木炭粉が、木材チップを450〜550℃で熱処理して炭化させる低温炭化工程(k)と、前記低温炭化工程(k)に引き続いて、前記木材チップの炭化物を800〜900℃、480〜960秒で熱処理して、さらに炭化させる高温炭化工程(l)と、前記高温炭化工程(l)の終了時点で、前記炭化物に水を接触させる活性化工程(m)と、前記活性化工程(m)によって得られた活性化木炭を粉砕する工程(n)と、を経て製造されたものである、
ことを特徴とする、木炭担持成形体の製造方法。 - 前記木炭担持成形体が、外径5〜20mm、厚み0.5〜5mm、長さ5〜500mmの中空円管状をなすものである、請求項1に記載の木炭担持成形体の製造方法。
- 前記木炭担持成形体の圧縮破壊強度が4.9N以上である、請求項1または2に記載の木炭担持成形体の製造方法。
- 前記工程(k)で用いる木材チップが、最大差し渡し径10〜60mmの赤松材からなる木材チップである、請求項1から3までのいずれかに記載の木炭担持成形体の製造方法。
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