JP4571300B2 - 液体試料中の分析対象物の検定のための改良された試験片 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体試料を特定の成分、たとえば分析対象物の存在又は濃度に関して検定するための試験片に関する。より具体的には、本発明は、(a)支持ハンドルと、(b)支持ハンドル上に配置された1個以上の試験パッドであって、それぞれが、(i)キャリヤマトリックスと、(ii)対象の分析対象物と相互作用して検出可能又は計測可能な反応を発することができる、キャリヤマトリックスに組み込まれた試薬組成物とを含む試薬パッドと、(c)支持片に適用されている、及び/又は試験パッドに組み込まれている赤外線染料とを含む、改良された試験片に関する。改良された試験片は、試験パッドの反応を検出し、計測する装置の中に試験片が適切に位置合わせされることを赤外線染料が保証するため、より確実で正確な成分検定を提供する。
【0002】
【従来の技術】
流体の分析におけるある重要なツールが診断試験片である。診断試験片は、試料中の所定の成分と接触すると色を変化させることができる試薬を組み込んだ試験パッドを有している。変色の強さ及び程度が、試料中の所定の成分の濃度に相関する。変色が起こらなければ、所定の成分が試料中に存在しないか、少なくとも、検出可能レベル未満しか存在しないことになる。
【0003】
診断試験片は、血液、尿及び他の体液を所定の成分に関して検定するのに利用することができる。診断試験片はまた、水やワインのような多様な流体中の成分の存在及び/又は濃度を測定するためにも使用される。試験片は、異なる試薬を使用して異なる所定の成分に選択的に反応する。したがって、試験片は、尿中に見いだされるような種々の成分を検定するのに利用することができる。尿検定は、医療関係者が種々の疾病状態を診断し、適切な治療を始めることを可能にする。
【0004】
試料中の未知物質又は分析対象物の濃度を正確に計測することは重要である。理由は、不正確な計測が、試験結果の誤った解釈を招くおそれがあるからである。したがって、研究者たちは、偽陽性及び偽陰性の検定結果をなくす、又は少なくとも最小限にする試験片を求めて、また、試験片の変色を試料中の未知物質又は分析対象物の濃度に適切に相関させることができるよう、試験片の色を正確に測定する検出装置を求めて、絶えず努力を続けている。
【0005】
試験片を使用する典型的な分析では、試験片を試料(たとえば尿)に浸漬し、過剰な試料を試験片から滲出させ、変色がないか試験パッドを審査する。試験片の変色は、変色を標準化チャートと比較すると、変色を未知物質又は分析対象物の濃度に相関させることができる、肉眼による簡単な観察によって判定することができる。
【0006】
このような目視観察は、一部の検定には適しているが、他の検定は、より高度な検出・計測法を要する。したがって、試験片を使用する種々の検定では、分光光度計のような検出装置を使用して、試験片と試料との接触から生じる変色を検出し、計測することが有用である。
【0007】
尿分析において、従来の分光光度計は、尿試料を試験パッド上に配置することから生じる変色を測定する。そして、試験片を、分光光度計の指定場所に配置し、スタートボタンを押すと、それが分光光度計をして試薬試験片を自動的に処理し、検査させる。分光光度計は、パッドに光を照射し、そのパッドから、それぞれが異なる波長の可視光線に対応する大きさの多数の反射率を読みとる。そして、赤、緑及び青の反射率信号の相対的大きさから試験パッドの色を測定する。
【0008】
従来の分光光度計は、多数の異なる試薬パッドが配置されている試験片を使用することにより、多数の異なる尿分析試験を同時に実施するために使用することができる。そのような試験片、たとえばBayer社(Elkhart, IN)から市販されているMULTISTIX(登録商標)は、10種の異なる分析対象物を検定するために10個の異なる試薬パッドを有することができる。各試薬パッドは、尿中の異なる成分、たとえば白血球又は赤血球の存在に反応して変色を生じさせる異なる試薬を組み込んでいる。
【0009】
たとえば、尿試料中の赤血球の存在を検出するために分光光度計が使用されてきた。尿中に存在する赤血球は、試験パッドに組み込まれた試薬と反応して、試験パッドを、尿試料中の赤血球の濃度に対応する程度にまで変色させる。比較的高濃度の赤血球の存在では、試験パッドは黄色から暗緑色に変色する。
【0010】
上述したように、従来の反射分光光度計は、試験パッドに光を照射し、試験パッドから受ける、すなわち反射する光の量を従来の反射率検出器によって検出することにより、尿中の赤血球濃度を検出する。反射光は試薬パッドの色に対応する。反射率検出器によって発される反射率信号の大きさに基づき、分光器は、尿試料を多数の範疇、たとえば、血液なし(陰性)に該当する第一の範疇、極微量(溶解又は無傷)に該当する第二の範疇、低濃度に該当する第三の範疇、中庸濃度に該当する第四の範疇及び高濃度に該当する第五の範疇のいずれかに割り当てる。この検定から診断を実施し、治療を始める。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
分光光度計を使用して試験パッドの変色を計測する、すなわち読みとる際に遭遇する一つの問題は、分光光度計中の試験片の不適切な位置合わせに帰される不正確な検定、すなわち偽陰性の検定結果である。通常、検出装置は、検出装置によって読みとられる試験片の配置に対して何らかのタイプの光学的位置決め又は較正を要する。試験片の光学的位置決めは、現在、(1)試験片をロールに取り付けるか、試験片を経路に閉じこめるか、試験片をレールに沿って移動させるかすることによって試験片の物理的位置を制御する、及び/又は(2)可視色の計測によって所定の試薬をチェックすることによって達成される。
【0012】
上記手法に伴う大きな欠点は、試験片を検出装置の光学部品に対して正確に配置するのに、医療研究室の関係者又は計器操作者に頼るということである。これらの方法はフェールセイフであり、位置合わせ不良が比較的頻繁に起こる。そのような位置合わせ不良は、誤った分析対象物検定を生じさせるが、検定エラーとして認識されることも記録されることもない。
【0013】
検出装置の中で試験片を正確に位置合わせするために、フェールセイフ機構なしで研究室関係者又は計器操作者のみに頼ると、試験片100個あたり1個を超える率で試験片が不正確に読まれてしまう。可視色がないかパッドをチェックすることは信頼性を増すが、試料中に存在する分析対象物の量に依存する色を有する試薬に帰すことができるパッド色の計測には限界がある。たとえば、幅0.200インチ(約0.508cm)の試験パッドの場合、配置が0.110インチ(約0.279cm)超ずれてはじめてフェールセーフ機構が起動し、検出装置が、試験片が適切に配置されるまで、その試験片を拒絶する、すなわち、試験片の色を計測しなくなる。さらに、以下の表1に示すように、偽りの結果は、わずか0.055インチ(約0.140cm)の誤配置で起こる。
【0014】
検定の精度は、検出装置による試験片の読みの前に試験片を試験片キャリヤ上の定位置に取り付けることにより、さらに改善することができる。しかし、この方法は、多様な異なるタイプの試験片を扱う装置の能力を減損させ、同一タイプの試験片を多量に読む装置でしか経済的に使用されない。
【0015】
【表1】
Figure 0004571300
【0016】
表1にまとめた結果は、試験片が0.110インチ(約0.279cm)まで誤配置されてもなお、検出装置で使用される位置チェックによって拒絶されないおそれがあることを実証する。0.055インチ(約0.140cm)を超える誤配置で、低レベルの陽性の検定結果が偽陰性の結果として報告されている。0.110インチ(約0.279cm)の誤配置により、ほぼすべての検定結果が、ほどほどの陽性レベルでさえ、偽陰性として報告されている。現在の配置法は、試験パッド固有の色をチェックとして使用するが、異なる陽性分析対象物レベルとの試薬の反応性における違いのせいで大きな許容差が求められるため、感度は非常に低い。本発明は、検出装置中の試験片の位置合わせ不良の問題を解決し、より正確な試験片検定を提供する課題に関する。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、試料を所定の分析対象物に関して分析するための改良された乾相試験片に関する。より具体的には、本発明は、検出装置、たとえば分光光度計中の試験片の適切な位置合わせを保証する乾相試験片に関する。
【0018】
改良された試験片は、試験片上の所定の位置又は場所に赤外線(IR)染料を含む。試験片が適切に位置合わせされるためには、検出装置がIR染料を検出しなければならない。したがって、検出装置は、所定の位置にある試験片を反射率に関して読む。IR染料は赤外線領域のエネルギーを吸収する。したがって、反射率が高すぎる(すなわち、エネルギーを吸収するIR染料が存在しない)ならば、試験片は誤って位置合わせされており、試験片は拒絶される。適切な位置合わせののち、試験片は検出装置によって読まれ、正確な分析対象物検定結果が出る。
【0019】
本発明の一つの態様では、赤外線染料は、試験片の支持ハンドルの表面に適用(塗布)される。本発明の別の態様では、IR染料は、検定試薬といっしょに、又は検定試薬とは別に、試験片の試験パッドに組み込まれる。
【0020】
試験片上のIR染料の存在は、約0.050インチ(約0.127cm)以上の試験片の誤配置の結果として検出装置が試験片を拒絶するような、検出装置中の試験片の適切な位置合わせを保証する。そして、試験片の正確な検定を可能にするため、試験片が配置し直される。したがって、本発明のもう一つの態様は、検出装置中の試験片の位置合わせ不良をなくすか、その頻度を、試験片が、試験片上の試験パッドの変色を検出するためのフェールセイフなシステムを提供するような程度にまで減らす方法を提供することである。
【0021】
本発明の上記及び他の態様、利点及び新規な特徴は、本発明試験片によって提供される、検出装置中の試験片の適切な位置合わせのおかげで高められる検定信頼性及び精度を示す好ましい実施態様の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明によると、液体試料、たとえば尿中の1種以上の所定の成分の定量検定が、(a)支持ハンドルと、(b)支持ハンドル上に配置された、適当なキャリヤマトリックスに組み込まれた指示薬組成物を含む1個以上の試験パッドとを含む乾相試験片を使用することによって達成される。試験片はまた、試験片上の特定の場所にIR染料を含む。IR染料を含む試験片を使用することにより、試験片を、分析対象物に反応して起こる試験パッドの変色を検出し、計測するために使用される検出装置中の適切な配置に関してモニタすることができる。
【0023】
検出装置中の試験片の適切な位置合わせは、結果として、より正確で信頼に値する分析対象物検定をもたらす。本発明の重要な特徴によると、試験片が検出装置中に適切に位置合わせされないならば、装置はその試験片を拒絶し、試験片が装置中に適切に位置合わせされるまで計測を実施しない。したがって、偽陰性の検定結果の発生が実質的に減る、又はなくなり、それが転じて、より信頼に値する検定を提供する。また、試験パッドが検出装置の光路中に適切に配置され、その結果として改善された反射率計測が得られるため、検定の精度が改善される。
【0024】
本試験片によって提供される信頼しうる分析対象物検定は、医師が実施して疾病又は病状を診断しやすくすることもできるし、医師又は個人が家庭で実施して疾病又は病状の治療の過程をモニタしやすくすることもできる。所定の分析対象物に関する正確な検定は、患者のコンプライアンス、看護の質及び特定の治療法の効力をモニタすることができる。したがって、本発明によると、生理学的流体、たとえば尿又は血液中の分析対象物の濃度を、家又は診療所のいずれかで、疾病又は病状を正確かつ確実に検出したり、疾病の管理における改善又は悪化を検出したりするのに十分な間隔で計測することができる。同様に、品質管理関係者が、本発明試験片を使用して、水やワインのような液体中の成分の正確な検定を実施することができる。
【0025】
本発明に有用なIR染料は、赤外線領域で強い吸光度を有する。IR染料の実体は、他の点では限定されない。好ましいIR染料は、可視色をもたないものである。理由は、そのような染料は、試験片の変色の計測を妨げる傾向が、たとえあるとしても低く、したがって、試験片の性能に悪影響を及ぼさないからである。IR染料が試験パッドに組み込まれている実施態様では、IR染料は、試験パッドに組み込まれた試薬に悪影響を及ぼしたり、分析対象物と、試験パッド中に存在する試薬との相互作用に悪影響を及ぼしたりすることはない。
【0026】
赤外(IR)線とは、電磁スペクトルのうち、可視領域とマイクロ波領域との間の部分である。その広い領域のうち、約700nm〜約2500nmの部分が近赤外線(すなわち、近IR又はNIR)である。人間に見える電磁スペクトルの部分は400nm〜700nmである。多くの異なるクラスの染料が、IR、特にNIR領域で吸光度を有することが知られている。IR染料の中には、フタロシアニン及びナフタロシアニン化合物、金属錯体染料(たとえばジチオレン金属錯体染料)ならびにシアニン染料を含む大きなクラスのポリメチン染料がある。他のクラスのNIR染料は、ジ及びトリフェニルメタン染料、キノン染料、特定のアゾ染料ならびに電荷移動及び電荷共鳴染料を含む。さらなるIR染料は、引用例として本明細書に含めるJ. Fabian, Chem. Rev., 92, pp. 1197-1226(1992)に記載され、開示されている。
【0027】
一般に、いかなるIR、特にNIR染料をも本発明に使用することができる。具体的な染料の選択は、その検出に使用される光学系、試験片にそれを適用するのに使用される方法との適合性、安定性及び費用に依存する。825〜855nmの範囲で強い吸光度を有するIR染料が好ましい。また、染料は、可視色をもたないことが望ましい。一般に、好ましい染料は、可視領域(すなわち、400〜700nm)で、NIR領域における染料の吸収極大値の20%未満の吸収度を有する。より好ましくは、この可視吸光度は10%未満である。
【0028】
以下の表2は、有用なIR染料の非限定的な例を示す。他の有用なIR染料は当業者に公知である。表2はまた、掲載した染料のIR及び可視吸光度データを含む。IR染料は、試験片1個あたり約0.05〜約0.3μg、好ましくは約0.07〜約0.2μgの量で試験片上に存在する。本発明の十分な利点を達成するためには、IR染料は、ハンドルに塗布された状態又は試験パッドに組み込まれる状態で、試験片1個あたり約0.1〜約0.2μgの量で試験片上に存在する。
【0029】
【表2】
Figure 0004571300
【0030】
染料1〜5及びそのような染料の前駆体、すなわちCAS登録番号174829−19−7を以下に示す。
【0031】
【化1】
Figure 0004571300
【0032】
【化2】
Figure 0004571300
【0033】
【化3】
Figure 0004571300
【0034】
【化4】
Figure 0004571300
【0035】
【化5】
Figure 0004571300
【0036】
【化6】
Figure 0004571300
【0037】
表2に掲載する各染料1〜5は、有用で強力なIR吸光度を提供する。以下で詳細に論じるように、染料1〜5を、試験片のハンドルに適用したり、試験パッドに組み込んだりして、本発明の試験片を得た。以下の表は、各染料1〜5が、試験片の変色を計測するために一般に使用される市販の分光光度計で試験すると、試験片の反射率を有意に低下させたことを示す。反射率の低下は、分光光度計の光学部品によって検出することができる。反射率の低下が検出されないならば、試験片が検出装置の中で誤って位置合わせされている。その場合、その試験片は拒絶される。すなわち、検定は実施されない。
【0038】
【表3】
Figure 0004571300
【0039】
本発明の試験片は、単一パッド試験片(1種の未知物又は分析対象物に関してのみ検定する場合)として設計することもできるし、マルチパッド試験片(何種かの未知物又は分析対象物に関して同時に検定する場合)として設計することもできる。いずれのタイプの試験片でも、試験片は、通常は疎水性プラスチックで構成されている支持片又はハンドルと、吸収性又は非吸収性のキャリヤマトリックスを含む試薬試験パッドとを含む。ハンドルは、疎水性材料、たとえば酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート又はポリスチレンから形成されている。一般に、キャリヤマトリックスは、毛管力に反応して試料をマトリックスの中で移動させて、試薬と接触させ、検出可能かつ計測可能な色遷移を生じさせることができる吸収性材料である。
【0040】
キャリヤマトリックスは、試薬に対して実質的に不活性であり、液体試料に対して多孔性及び/又は吸収性である限り、対象の検定を実施するために必要な試薬を組み込むことができるいかなる物質であってもよい。「キャリヤマトリックス」とは、水及び他の生理的流体に不溶性であり、水及び他の生理的流体に暴露されたときでもその構造完全性を維持する吸収性又は非吸収性のマトリクスをいう。適当な吸収性マトリックスは、ろ紙、スポンジ材料、セルロース、木、織布及び不織布などを含む。非吸収性マトリックスは、ガラス繊維、ポリマーフィルム及び予備成形膜もしくは微孔質膜を含む。他の適当なキャリヤマトリックスは、親水性無機粉末、たとえばシリカゲル、アルミナ、ケイ藻土など;粘土質;布;親水性天然ポリマー材料、特にセルロース系材料、たとえばセルロース系ビーズなど、特に、繊維含有紙、たとえばろ紙又はクロマトグラフィー紙;合成又は改質された天然産ポリマー、たとえば酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、架橋デキストラン、アガロースならびに他のそのような架橋及び非架橋水不溶性親水性ポリマーを含む。疎水性及び非吸収性の物質は、本発明のキャリヤマトリックスとしての使用には適さない。キャリヤマトリックスは、種々の化学組成物であることもできるし、化学組成物の混合物であることもできる。マトリックスはまた、硬さ及び柔らかさと組み合わせた平滑さ及び粗さに関して異なることができる。しかし、いずれの場合でも、キャリヤマトリックスは、親水性又は吸収性の材料を含まなければならない。キャリヤマトリックスは、もっとも有利には、吸収性ろ紙又は非吸収性のポリマー膜で構成されている。
【0041】
本発明の一つの実施態様によると、IR染料は、ハンドル上の所定の場所に適用(塗布)される。たとえば、IR染料のストライプを、ハンドルに対し、単一パッド試験片の試験パッドに隣接して塗布することができる。マルチパッド試験片の場合、IR染料は、ハンドルに対し、隣接する2個の試験パッドの間のスペースにストライプとして塗布することができる。
【0042】
本発明のこの実施態様を図1に示す。特に、図1は、11個の試験パッド1〜11をハンドル16上に含むマルチ試薬試験片20を示す。試験パッドと試験パッドとの間には、ハンドル16を露出させるスペース12がある。ハンドル16上の、試験パッド1と試験パッド2の間及び試験パッド10と試験パッド11との間には、それらのパッドと重ならせて、赤外線染料14が設けられている。
【0043】
あるいはまた、IR染料は、試験パッドに組み込むこともできる。IR染料は、試薬組成物の成分として塗布することもできるし、試薬とは別にして試験パッドに塗布することもできる。加えて、IR染料は、試験片上の2カ所以上の所定位置、たとえばハンドルの上と試験パッドの中又は2個の試験パッドに加えて、検出装置中の試験パッドの適切な位置合わせのためのさらなるチェックを提供することもできる。
【0044】
得られる乾相試験片は、当該技術で周知の方法にしたがって使用される。上述したように、所定の分析対象物の検定は、試料を試験片と接触させることによって実施される。試験片を試料に浸漬することもできるし、試料を試験片に滴下して塗布することもできる。得られる試験パッドの変色が分析対象物の存在を示し、得られる色遷移を分光測光的に計測すると、試料中の分析対象物の濃度の定量的検定結果を得ることができる。
【0045】
分光光度計における変色の検出及び計測の間、IR染料が試験片上に存在する所定の場所で読みを実施する。試験片が適切に位置合わせされているならば、検出装置は、所定の場所における赤外線染料の存在(すなわち、IR染料が入射エネルギーを吸収する結果、十分に低い反射率読みが出る)を認識し、試験片を走査又は他の仕方で読む。試験片が適切に位置合わせされていないならば、検出装置は赤外線染料の存在を検出することはできず(すなわち、IR染料が入射エネルギーの光路中に存在しない結果、高い反射率が出る)、試験片は拒絶され、すなわち、読み又は計測は実施されない。
【0046】
実際には、これらの反射率読み値にアルゴリズムを適用して、分光光度計中の試験片の位置決めを判定する。反射率読み値はまた、ピクセルを較正するためにも使用することができる。試験片が分光光度計中に適切に位置合わせされていないならば、検定は実施されず、試験片は拒絶される。その後、試験片を適切に位置合わせすると、分光光度計は試験片を分析することができる。したがって、試験片に塗布されたIR染料は、偽陰性及び誤って低い検定結果を減らす、又はなくし、分析対象物検定の信頼性及び精度を改善する。
【0047】
【実施例】
以下の例が本発明の二つの実施態様を示す。例1は、試験片のハンドル上へのIR染料の塗布を示す。例2は、試験片の試験パッドへのIR染料の組み込みを示す。
【0048】
例1
以下の材料から、ポリスチレンハンドル上にIR染料を含む試験片を調製した。
a.銅(II)5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニンIR染料(Aldrich Chemical Co., Milwaukee, WIから市販)(銅染料)
b.DTO−108IR染料
c.テトラヒドロフラン(THF)
d.メタノール
e.蒸留水
f.白色疎水性ポリスチレン
g.亜硝酸塩(nitrite)に反応して色を変化させる試薬を組み込んだ試験パッドのリール(幅1/5インチ(約0.5cm))(亜硝酸塩リール)
h.白血球に反応して色を変化させる試薬を組み込んだ試験パッドのリール(幅1/5インチ(約0.5cm))(WBCリール)
i.印刷インク(American Inks and Coatings、C11462−M19エキステンダ)
j.トリエチルアミン(TEA)
k.厚さ10ミルの白色ポリスチレン(10インチ(約25.4cm)平方のカード)
【0049】
プラスチックハンドルに塗布されたIR染料を有する試験片を次のように調製した。メタノール/水中DTO−108IR染料の溶液(mg/dL)を調製した。同様に、インク中銅染料の溶液(染料0.5mg/インクg)を、染料をインクに溶解することによって調製した。加えて、まずDTO−108染料をメタノールに溶解し、次にトリエチルアミンを加え、続いて空気乾燥させることにより、印刷インク中DTO−108染料の溶液(染料0.2mg/インクg)を調製した。そして、得られた染料粉末をインクに溶解した。
【0050】
一つの実施態様では、ポリスチレンカードをDTO−108溶液に浸漬したのち、空気乾燥させた。WBC及び亜硝酸塩試薬リールを、被覆されたポリスチレンカード上に積層した。ポリスチレンカードをRuffスリッタ上で幅1/5インチ(約0.5cm)の細片に切り裂き、ボトルに貯蔵した。他の実施態様では、Meyerロッド装置を使用して、IR染料インク溶液をポリスチレンカード上に種々の厚さで塗布した。WBC及び亜硝酸塩試薬をカードの一部に積層した。カードをRuffスリッタ上で切り裂き、ボトルに入れた。
【0051】
例2
以下の材料を使用して、IR染料を組み込んだ亜硝酸塩試験パッドを製造した。
a.亜硝酸塩に反応して色を変化させる試薬を組み込んだ試験パッド(亜硝酸塩試験パッド)
b.銅(II)5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニンIR染料(Aldrich Chemical Co., Milwaukee, WIから市販)(銅染料)
c.DTO−108IR染料
d.テトラヒドロフラン(THF)
e.メタノール
f.蒸留水
【0052】
DTO−108IR染料を含む試験パッドを次のように調製した。メタノール中10%蒸留水中DTO−108の0.7mg/dL溶液を調製した。次に、亜硝酸塩試験パッドを染料溶液で飽和させ、得られたパッドを50℃で6分間乾燥させた。次に、乾燥させた試験パッドをプラスチック裏当てに積層し、それを細片に切り裂き、ボトルに入れた。CLINITEK(登録商標)50走査型計器で検定結果を読みとった。
【0053】
銅IR染料を含む試験パッドを次のように調製した。THF中銅染料の1.12mg/dL溶液を調製した。次に、亜硝酸塩試験パッドを染料溶液で飽和させ、得られたパッドを50℃で6分間乾燥させた。次に、乾燥させた試験パッドをプラスチック裏当てに積層し、それを細片に切り裂き、ボトルに入れた。試験片を使用した検定結果をCLINITEK(登録商標)50計器で読みとった。
【0054】
例1のようにIR染料を試験片のハンドルに塗布する際には、種々の試薬の、それらのアルゴリズムに対する半透明性を考慮した。同じく考慮したものは、試験片製造法の可変性である。したがって、マルチパッド試験片上の隣接する試験パッドと試験パッドとのスペース(すなわち、0.100インチ(約0.254cm))を完全に被覆するIR染料の皮膜を得るために、0.125〜0.200インチ(約0.318〜約0.508cm)、好ましくは0.150〜0.180インチ(約0.381〜約0.457cm)の被覆幅のIR染料を使用した。この結果、試験パッドの下に、IRストライプに隣接して、0.100インチ(約0.254cm)までの皮膜が得られた。マルチパッド試験片では、亜硝酸塩試験パッドと白血球(WBC)試験パッドとのスペースを、ハンドル上のIR染料の好ましい位置として選択した。理由は、上述したように、IR反射率は、亜硝酸塩検定のためのアルゴリズムには使用されず、WBC試験パッドは、IR反射率の影響が最小限になるよう、速度論的アルゴリズムを使用するからである。
【0055】
例2では、IR染料を亜硝酸塩試験パッドに組み込んだ。亜硝酸塩試験パッドは、IR染料を組み込むのにもっとも好ましいパッドである。理由は、IR反射率読みは、試料の亜硝酸塩濃度から生じる変色を計測するためのアルゴリズムでは使用されないからである。IR染料を組み込むのに好ましいもう一つの試験パッドは潜血試験パッドである。しかし、潜血(OB)検定の計測はIR反射率計測に頼らないが、この検定におけるIR吸光度は分析対象物濃度とともに増大する。理由は、OB検定で使用される指示薬が、分析対象物によって酸化されたのち、IR吸収性になるからである。亜硝酸塩試験で使用される試薬のIR吸光度は試薬反応によって変化せず、したがって、亜硝酸塩パッドへのIR染料の組み込みがもっとも好ましい。
【0056】
亜硝酸塩及び潜血試験パッドを除く他すべての試験パッドは、分析対象物計測のためのアルゴリズムでIR反射率計測値を使用し、したがって、これらの試験パッドにおけるIR染料の存在が検定結果に影響するかもしれない。しかし、試薬組成物の成分から生じるIR反射率を考慮するように適切な調節を当業者が加えることができるため、IR染料は、いかなる試験パッドにも含めることができる。当業者は、IR染料に帰することができるIR反射率を識別し、このIR反射率を、試薬成分によって寄与されるIR反射率から切り離すことができる。
【0057】
基本IR反射率計測値を使用して、上記例1及び2で調製した試験片を読みとった。いくつかの異なるCLINITEK(登録商標)50計器をテストモード1で使用した。計器が試験片上の試薬としての被覆スペースを読むことができるよう、試験片を配置した。
【0058】
これらの試験片に関して、誤って位置合わせされた試験片が検出され、したがって必要ならば拒絶されるようなアルゴリズムを決定した。アルゴリズムは次のように決定した。CLINITEK(登録商標)50を、0.010インチ(約0.025cm)ごとにIR反射率を読み、出力するソフトウェアでプログラムした。CLINITEK(登録商標)50を使用して、亜硝酸塩試験パッドに組み込まれたDTO−108染料を有する試験片及びポリスチレン上に塗布されたDTO−108染料溶液を有する試験片を読みとった。データを手作業で評価して、試験パッドの誤配置を検出する以下のアルゴリズムに到達した。
【0059】
a.亜硝酸塩パッド中の染料
(1)パッドの理論的中心から6ステップの位置における亜硝酸塩IR反射率≦50%=エラー
(2)亜硝酸塩パッド間のブランクスペースの反射率読み値<25%=エラー
b.ポリスチレンに塗布された染料
(1)基準ブランクスペース−IRスペースにおける基準<20%=エラー
(2)以下の二式が両方とも満たされないならば、エラーである。
a.IR(亜硝酸塩の対照)>IR(亜硝酸塩のエッジ)>IR(IRスペースの中心)
b.IR(パッドの中心)−IR(IRスペースの中心)≧15%
【0060】
アルゴリズムは、試験片上の指定位置でIR反射率を読みとり、反射率値を互い又は先に測定した固定値のいずれか又は両方と比較することを含む。亜硝酸塩パッドの実施態様の場合、一つの読みを、すなわち、亜硝酸塩パッドの中心から白血球パッドの方向に6ステップの理論的位置であるIR1で実施する。アルゴリズムはIR1≧50%である。
【0061】
ハンドル被覆実施態様の場合、三つの反射率読みを、(1)WBCパッドと亜硝酸塩試験パッドとのスペースの理論的中心、すなわちIR1、(2)亜硝酸塩試験パッドの理論的エッジ、すなわちIR2、(3)亜硝酸塩パッドの理論的中心、すなわちIR3で実施した。アルゴリズムは、IR1<IR2<IR3かつIR3−IR1≧15%反射率である。試験片がその適切な「フルイン」位置よりも遠くに誤配置されると、これらの関係の両方が最終的に満たされず、誤配置が報告される。例1及び2は、いかなるIR染料を使用しても検出装置中の試験片の適切な配置を達成できることをさらに示す。
【0062】
要するに、試験結果は、IR染料を組み込んだ亜硝酸塩試験パッドの場合、0.030インチ〜0.050インチ(約0.076cm〜約0.127cm)の誤配置が10個の試験片で検出されたことを示す。0.050インチ(約0.127cm)を超えて誤配置されていた試験片がなかったとき、誤配置は検出されなかった。プラスチックハンドルに亜硝酸塩パッドとWBC試験パッドとの間で配置されたIR染料の場合、0.030インチ〜0.050インチ(約0.076cm〜約0.127cm)の誤配置が10個の試験片で検出された。0.050インチ(約0.127cm)を超えて誤配置されていた試験片がなかったとき、誤配置は検出されなかった。
【0063】
以下の例3は、カラーの可視染料を試験片上に配置し、その可視染料を使用して検出装置中の試験片の適切な配置を保証しようとした効果を示す。
【0064】
例3
材料
a.カラーの接着テープ−赤、青、緑及び黒
b.白色疎水性ポリスチレン
c.MULTISTIX(登録商標)10 SG試薬パッドリール
白血球 潜血
亜硝酸塩 比重
ウロビリノーゲン グルコース
タンパク ケトン類
pH ビリルビン
d.黒いボトル、キャップ、モレキュラーシーブ、乾燥剤
e.CLINITEK(登録商標)50分光光度計
f.MAS 1
g.白血球試薬(白血球10個/μl)
h.亜硝酸塩溶液(1g/dl)
【0065】
方法
a.以下のようにして、MULTISTIX(登録商標)10 SG試験片5セットを組み立て、切り裂き、ボトルに入れた。
(1)対照−カラーテープなし(対照に厚みを加えるため、カラーテープと同じ高さのブランクプラスチックハンドルを対照試験片の下に用意した)
(2)赤−試験パッドとポリスチレンとの間に配置された赤テープ
(3)緑−試験パッドとポリスチレンとの間に配置された緑テープ
(4)黒−試験パッドとポリスチレンとの間に配置された黒テープ
(5)青−試験パッドとポリスチレンとの間に配置された青テープ
b.すべての試験片をCLINITEK(登録商標)50装置でテストモードで読みとった。
c.溶液
(1)白血球試薬(白血球10個/μl)をMAS1で1:1に希釈して白血球5個/μlにし、亜硝酸塩溶液1滴を加えて、溶液を亜硝酸塩濃度に対してかろうじて陽性にした。
(2)MAS1をWBC及び亜硝酸塩のための陰性試験として使用した。
【0066】
可視染料の効果を示すため、上記4種のカラーテープ、すなわち赤、緑、青及び黒を異なるプラスチックハンドルに積層し、MULTISTIX(登録商標)10 SG試験片上に存在する10個の試薬パッドすべてをハンドルに積層した。これらのカラーテープ試験片に関して陰性及び陽性の試験溶液の場合の結果を、テープ試験片の厚さと等しくなるように特別に厚くしたハンドルに取り付けた対照試験片と比較した。MULTISTIX(登録商標)試験片上に使用されたすべての試薬に関して、カラーテープのいくつか又はすべてが偽陽性又は偽陰性の検定結果を生じさせた。これらの結果(表3)は、分光光度計中の試験片の適切な位置合わせを保証するためには、視覚的に無色の染料、すなわちIR染料をマーカとして使用しなければならないことを示す。
【0067】
【表4】
Figure 0004571300
【0068】
表3のデータは、可視色をもたないIR染料が、検出装置中の試験片の適切な位置合わせを保証するためのマーカとして働くことができる唯一のタイプの染料であることを示す。特に、可視染料は、分光光度計によって使用される赤、緑及び/又は青の波長帯域の光を吸収する。このような吸収は、試験パッド試薬の性能に影響する。理由は、試験パッドはすべて、濡れるとある程度は半透明になり(すなわち、検出装置によって読むことができるようになる)、すべて、それぞれのアルゴリズムで一つ以上の可視波長を使用するからである。
【0069】
上記例で使用されるCLINITEK(登録商標)50装置は、走査型の計器である。以下の例4は、本発明試験片がカメラ型計器の位置合わせ及び光学較正にも有用であることを示す。カメラ型計器は、CCDカメラを使用して一度にマルチピクセルイメージを形成する(以下の表5を参照)。この場合、マルチピクセルイメージを位置合わせする、すなわち、試験片上のどの位置がどのピクセルに対応するのかを決定する方法が必要である。
【0070】
したがって、カメラ型計器(たとえばBobcat SWM #6)を使用する場合、既知の距離だけ離れた、ハンドル上の2個のIR染料ストライプ又はハンドル上の1個のIR染料ストライプと1個のパッドに組み込まれたIR染料とを使用して、試験片が読まれるたびにピクセルイメージを位置合わせすることができる。Bobcat計器は、多数のLEDによる試験片の均一な照射及び線形アレイ検出を使用して診断試験片の反射率を計測するために使用される分析装置である。
【0071】
走査型計器と同様に、カラー染料ストライプをカメラ型装置に使用することはできない。製造公差及び濡れた試験パッドの半透明性のせいで色が少なくともわずかにすべての試薬の性能に影響するため、カラーストライプを使用することはできない。ピクセル較正の他の方法、たとえばピクセル位置合わせの工場較正は、使用者が試験片を正確に軌道中に配置することに頼る。この従来方法は、使用者が試験片をホルダの中に誤配置する問題に対応しない。
【0072】
IR染料は、所定の距離をおいて試験片に配置され、ストライプ又は試験パッドを含むIR染料を較正に使用することが、装置ホルダ中の試験片の誤配置を修正する。表5に示すデータは、本発明のこの実施態様を説明する。
【0073】
例4
A.材料
1.DTO−108染料及びトリエチルアミンをメタノールに加えた。メタノール及び過剰のトリエチルアミンを蒸発させ、IR染料の非晶質粉末を残した。
2.明澄な厚さ3ミルのマイラー
3.半透明な厚さ3.5ミルのマイラー
4.試薬組成物(1/5インチ(約0.51cm)リール)
a.白血球
b.亜硝酸塩
c.グルコース
5.両面接着剤
6.黒のボトルとキャップ
7.モレキュラーシーブ乾燥剤
8.インクベース
9.厚さ10ミルの白色ポリスチレン(10インチ(約25.4cm)平方のカード)
10.Bobcat SWM #6(CCD型検出装置)
【0074】
B.方法
非晶質の染料粉末をインクベースに溶解した(染料0.2mg/インクg)。次に、得られた溶液をマイラーの上に厚さ1.62ミルまで塗布し、被覆されたマイラーに接着剤を塗布した。得られた被覆マイラーを幅2/5インチ(約1.0cm)のリボンに切り裂き、被覆マイラー/接着剤のリール(2/5インチ)(約1.0cm)を(a)位置11及び(b)先端の近くでポリスチレンカードに被着させた。次に、以下のように、試薬をマイラーの上からカードに塗布した。
a.白血球−位置1(先端)
b.亜硝酸塩−位置2
c.グルコース−位置10
【0075】
次に、カードを1/5インチ(約0.51cm)細片に切り裂き、48mmの黒いボトルに入れ、キャップをし、ラベルを付けた(Clear1、Clear2、Mylar1及びMylar2)。各ボトルからの細片5枚をMAS1溶液に浸漬し、ボトルに入れた。次に、845nmのLEDを装着したBobcat SWM #6で試験片を読み、データを収集し、解析した。
【0076】
C.使用したアルゴリズム(Bobcat中の256ピクセルCCD)
1.ピクセル1a=白血球と亜硝酸塩との中間点
2.ピクセル1b=白血球と亜硝酸塩との最小
3.ピクセル2a=グルコースよりも低い10%Rを超える第一の読み(R>80%)
4.ピクセル2b=<75%Rである、グルコースを超える第一の読み
5.ピクセル2c=<50%Rである、グルコースを超える第一の読み
【0077】
計算は以下のとおりであった。
1.2a−1a
2.2a−1b
3.2b−1a
4.2b−1b
5.2c−1a
6.2c−1b
【0078】
【表5】
Figure 0004571300
【0079】
【表6】
Figure 0004571300
【0080】
表5のデータは、すべての計測値が本質的に同じであるため、アルゴリズムの組み合わせのいずれを使用してもよいことを示す。故意に誤配置した試験片(試験片5)に関してギャップは同じままであり、すべて、1aから1ピクセル〜18ピクセルの範囲内で試験片の先端を予測した。
【0081】
例5
A.材料
1.IR染料DTO−141で被覆された疎水性プラスチック
a.被覆溶液(重量基準)
0.05%DTO−141染料
0.3%UVITEX(登録商標)(Ciba Specialty Chemicals Holding, Inc., Basel, Switzerland)
SUNBONDブレンドワニス61−V−38印刷インク(Sun Chemical Corp., Charlotte, NC)に溶解したもの。
b.工業用フレキソ印刷機で、試験片位置1.5及び10.5で、ストライプごとに幅0.200インチ(約0.508cm)に被覆したもの。
2.試薬組成物(1/5インチ(約0.51cm)リール)
a.白血球(WBC)
b.亜硝酸塩
3.両面接着剤
4.黒いボトル及びキャップ
5.モレキュラーシーブ乾燥剤
6.CLINITEK 50 # 218
7.マルチ分析対象物溶液#1
【0082】
B.方法
非晶質染料粉末及びUVITEX(登録商標)粉末をそれぞれ0.5重量%及び0.3重量%の濃度でインクベースに溶解した。UVITEX(登録商標)を加えて、被覆を、プレス上の「スキップ」を検出するために使用されるUV光の下で見えるようにした。溶液を、10ミルのポリスチレンに対し、ウェブの7個の4.25インチ(約10.80cm)幅の部分それぞれの位置1.5及び10.5で塗布した。このウェブを、試験片の細片アセンブリに使用される4.25インチ(約10.80cm)のリールに切り裂いた。各10インチ(約25.4cm)のカードをプラスチックの4.25インチ(約10.80cm)リールの一つから切り出した。
【0083】
白血球試薬を各カードの位置1に塗布し、亜硝酸塩試薬を各カードの位置2に塗布した。次に、これらのカードを1/5インチ(約0.51cm)の細片に切り裂き、48mmの黒いボトルに入れ、乾燥剤を加え、ボトルにキャップをした。次に、10個の試験片をマルチ分析対象物試験溶液に浸漬し、試験片から0.010インチ(約0.025cm)ごとに赤外線読み値を検出し、出力する特別なソフトウェアを備えたCLINITEK 50で読みとった。
【0084】
C.使用したアルゴリズム
三つの反射率読み値を使用した。(1)WBCパッドと亜硝酸塩試験パッドとの間のスペースの理論的中心のIR1、(2)亜硝酸塩試験パッドの理論的エッジにあるIR2及び(3)亜硝酸塩試験パッドの理論的中心にあるIR3。アルゴリズムは、IR1<IR2<IR3かつIR3−IR1≧15%であった。
【0085】
D.結果
10個の試験片すべてが、0.050インチ(約0.127cm)以下の位置ずれで上記アルゴリズムの一つ以上を満たさなかった。したがって、0.050インチ(約0.127cm)以上の位置ずれが検出された。
【0086】
IR染料を試験片上の一つ以上の所定の既知の場所に設けると、検出装置中の試験片の誤配置に帰すことができる分析対象物検定エラーを実質的に減らす、又はなくすことができることが実証された。上述したように、IR染料は、試験片のハンドルに塗布することもできるし、試験片の試験パッドに組み込むこともできるし、その両方であることもできる。本試験片は、走査型検出装置及びカメラ型検出装置のいずれにも有用である。したがって、本発明の重要な特徴によると、本発明の試験片を利用することにより、試料、たとえば尿中の未知物質又は分析対象物の含有量に関してより信頼しうる検定を実施することができる。
【0087】
本発明の本質及び範囲を逸することなく、本明細書に記載した本発明に多くの修正及び変形を加えうることは自明であり、したがって、請求の範囲によって示されるような限定のみが加えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の試験片の一つの実施態様の平面図である。
【符号の説明】
1〜11 試験パッド
12 スペース
14 赤外線染料
16 ハンドル
20 試験片

Claims (15)

  1. 検出装置の光路中に挿入されて、液体試料中の1種以上の所定の分析対象物の存在又は濃度を測定するための試験片であって、
    (a)支持ハンドルと、
    (b)該支持ハンドル上に配置された1個以上の試験パッドであって、それぞれが、(i)キャリヤマトリックスと、(ii)所定の分析対象物と相互作用して検出可能な反応を発することができる、該キャリヤマトリックスに組み込まれた試薬組成物とを含む試薬パッドと、
    (c)試験片上の所定の場所に設けられた赤外線染料と
    を含み、
    該検出装置中に該試験片が適切に配置されたときの該赤外線染料の位置に赤外線を照射し、そこからの反射率を計測することにより、該検出装置中の該試験片の位置合わせをモニタする、試験片。
  2. 該赤外線染料が0.05〜0.3μg、該試験片上に設けられている、請求項1記載の試験片。
  3. 該赤外線染料が該試験片の該支持ハンドル上に設けられている、請求項1記載の試験片。
  4. 該赤外線染料が1個以上の試験パッドに組み込まれている、請求項1記載の試験片。
  5. 該赤外線染料が、1個以上の試験パッドに組み込まれ、また、該試験片の該支持ハンドル上に設けられている、請求項1記載の試験片。
  6. 該赤外線染料が、少なくとも一つの赤外線波長で赤外線を吸収する、請求項1記載の試験片。
  7. 該赤外線染料が可視色をもたない、請求項6記載の試験片。
  8. 該赤外線染料が、5,5′−ジクロロ−11−ジフェニルアミノ−3,3′−ジエチル−10,12−エチレンチアトリカルボシアニンペルクロレート、3−(5−カルボキシペンチル)−2−〔2−〔3〔〔3−(5−カルボキシペンチル)−1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−2H−ベンズ〔e〕インドル−2−イリデン〕−エチリデン〕−2−(2−スルホエチルチオ)−1−シクロヘキセン−1−イル〕エテニル〕1,1−ジメチル−1H−ベンズ〔e〕インドリニウム、3−(5−カルボキシペンチル)−2−〔2−〔3−〔〔3−(5−カルボキシペンチル)−1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−2H−ベンズ〔e〕インドル−2−イリデン〕−エチリデン〕−2−(n−ヘキシルチオ)−1−シクロヘキセン−1−イル〕エテニル〕−1,1−ジメチル−1H−ベンズ〔e〕インドリウム、銅(II)5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載の試験片。
  9. 該赤外線染料が、亜硝酸塩又は潜血に関して検定することができる試験パッドに組み込まれている、請求項1記載の試験片。
  10. 該赤外線染料が、該支持ハンドルに適用され、亜硝酸塩に関して検定することができる試験パッドに隣接して配置されている、請求項1記載の試験片。
  11. 検出装置の光路中の試験片の位置合わせをモニタする方法であって、
    (a)(i)支持ハンドルと、
    (ii)該支持ハンドル上に配置された1個以上の試験パッドであって、それぞれが、(i)キャリヤマトリックスと、(ii)所定の分析対象物と相互作用して検出可能な反応を発することができる、該キャリヤマトリックスに組み込まれた試薬組成物とを含む試験パッドと、
    (iii)試験片上の所定の場所に設けられた赤外線染料と
    を含む試験片を用意する工程と、
    (b)該試験片を検出装置に挿入する工程と、
    (c)該試験片上の該赤外線染料の該所定の場所に赤外線を照射する工程と、
    (d)該試験片上の該所定の場所からの赤外線の反射率を計測する工程と、
    (e)該反射率計測値を該検出装置中の該試験片の位置合わせと相関させる工程と
    を含む方法。
  12. 該検出装置が走査型装置である、請求項11記載の方法。
  13. 該検出装置がカメラ型検出装置である、請求項11記載の方法。
  14. 該試験片が0.05インチ以上ずれているとき、該試験片を該検出装置によって拒絶する、請求項11記載の方法。
  15. 該検出装置中の該試験片の0.030インチ以上の位置ずれを検出する、請求項11記載の方法。
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