JP4571259B2 - 微生物検査用培地、微生物検査具および微生物数検査方法 - Google Patents

微生物検査用培地、微生物検査具および微生物数検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、培地中の二酸化炭素を排出する微生物を検出するための微生物検査用培地、微生物検査具および微生物数検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の微生物検査用培地、微生物検査具および微生物数検査方法として、特開平9−365342号に示すものがある。すなわち、容器内に微生物用の液体培地と二酸化炭素の呈色指示薬とを、液体培地を遮断する二酸化炭素透過膜で隔てて収容し、液体培地に検査対象試料を入れた後、容器を密閉して指示薬の呈色反応により微生物を検出するようになっている。
【0003】
また、従来の微生物数検査方法として、微生物の性質を利用して他の微生物のコロニーと異なる色でコロニーを着色して検査する方法がある。例えば、腸炎ビブリオ菌用TCBS(Thiosulfate Citrate Bile Sucrose)寒天培地によりターゲット菌を選択する場合、白糖を醗酵に利用する菌かどうかで選択性を持たせて鑑別する方法を採用して、指標になるようにチモールブルーとブロムチモールブルーの指示薬を組成の一部とする。腸炎ビブリオ菌は白糖を分解しないので培地の色が青色のままで、白糖を分解する他の海水ビブリオ菌はpHを変化させて黄色のコロニーを形成する。また、黄色ブドウ球菌用ボーゲルジョンソン寒天培地(Vogel and Jonson Agar )の場合には、病原性でない表皮ブドウ球菌と識別するため、マンニトールとフェノールレッド指示薬を組成の一部とし、マンニトールを醗酵させる黄色ブドウ球菌は黄色帯に囲まれるコロニーを形成し、マンニトールを醗酵させない表皮ブドウ球菌は赤色帯をめぐらす灰色のコロニーを形成する。このように、コロニーの色の違いからターゲット菌を判定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−365342号に示す従来技術では、液体培地にターゲット以外の菌が混入している場合には、その菌も増殖しているため、ターゲット菌の判定が困難になるという問題点があった。また、コロニーの色で判定する従来技術では、判定に専門知識と熟練とを要するという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、培地にターゲット以外の菌が混入している場合にもターゲット菌を容易に判定することができ、専門知識がなくてもターゲット菌を容易に判定することができる微生物検査用培地、微生物検査具および微生物数検査方法を提供することを目的としている。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る微生物検査用培地は、所定の微生物の増殖を促進する促進剤と他の所定の微生物の増殖を抑制する抑制剤とを、定の微生物数の範囲で少なくとも同数の微生物数からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が、前記所定の微生物の方が前記他の所定の微生物より短くなるよう所定の分量で含むことを、特徴とする。
【0007】
本発明に係る微生物検査用培地の一例では、前記所定の微生物は黄色ブドウ球菌であり、前記他の所定の微生物は表皮ブドウ球菌、エシェリキア・コリ、O−157菌、サルモネラ・チフィムリウム、サルモネラ・エンテリチヂス、レンサ球菌、腸球菌および腸炎ビブリオ菌であり、前記促進剤として黄色ブドウ球菌のための栄養分およびピルビン酸を含み、前記抑制剤として塩化ナトリウム、グリシン、マンニトール、コリスチンおよびナルジキン酸を含む。
【0008】
本発明に係る微生物検査用培地の他の例では、前記所定の微生物は腸炎ビブリオ菌であり、前記他の所定の微生物は表皮ブドウ球菌、エシェリキア・コリ、O−157菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌およびビブリオ・アルジノリチカスであり、前記促進剤として腸炎ビブリオ菌のための栄養分を含み、前記抑制剤として塩化ナトリウム、フェノールレッドおよびグラム陽性菌阻害剤を含む。
【0009】
本発明に係る微生物検査用培地のさらに他の例では、前記所定の微生物はO−157菌であり、前記他の所定の微生物は表皮ブドウ球菌、エシェリキア・コリ、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌およびビブリオ・アルジノリチカスであり、前記促進剤としてO−157菌のための栄養分を含み、前記抑制剤として胆汁酸塩、塩化ナトリウム、クリスタルバイオレット、ニュートラルレッドおよびCTサプリメントを含む。
【0010】
本発明に係る微生物検査用培地のさらに他の例では、前記所定の微生物はサルモネラ菌であり、前記他の所定の微生物は表皮ブドウ球菌、エシェリキア・コリ、O−157菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌およびビブリオ・アルジノリチカスであり、前記促進剤としてサルモネラ菌のための栄養分を含み、前記抑制剤として塩化ナトリウム、フェノールレッドおよびブリリアントグリーンを含む。
【0011】
本発明に係る微生物検査用培地のさらに他の例では、前記所定の微生物はエシェリキア・コリであり、前記他の所定の微生物はサルモネラ・チフィムリウム、サルモネラ・エンテリチヂス、黄色ブドウ球菌および腸炎ビブリオ菌であり、前記促進剤としてエシェリキア・コリのための栄養分を含み、前記抑制剤として胆汁酸塩混合物および塩化ナトリウムを含む。
【0012】
本発明に係る微生物検査具は、密閉可能な容器内に、微生物用の培地を遮断する透明な二酸化炭素透過膜で隔てて培地収容部と指示薬収容部とを有し、前記容器は外側から前記指示薬収容部の内部を見通せる透明部を有し、前記培地収容部に、所定の微生物数の範囲で少なくとも同数の微生物数からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が、所定の微生物の方が他の所定の微生物より短くなるよう前記所定の微生物の増殖を促進する促進剤と前記他の所定の微生物の増殖を抑制する抑制剤とを含む培地を収容し、前記指示薬収容部に二酸化炭素の呈色指示薬を収容して成ることを特徴とする。なお、透明部は、容器全体であっても容器の一部であってもよい。本発明に係る微生物検査具では、前述の本発明に係る微生物検査用培地を使用する。本発明に係る微生物検査具は、容器を密閉しておけば、呈色指示薬が使用前に空気中の二酸化炭素により呈色反応を生じて使用できなくなるのを防ぐことができる。
【0013】
本発明に係る微生物検査具では、前記二酸化炭素透過膜は密閉した袋を構成して前記容器の内部に入れられ、前記培地収容部は前記容器の内部で前記袋の外部であり、前記指示薬収容部は前記二酸化炭素透過膜の袋の内部であり、前記培地は前記指示薬収容部に収容される呈色指示薬の高さより低い位置で前記培地収容部に収容されることが好ましい。この場合、培地は呈色指示薬の高さより低い位置で培地収容部の内部に収容されるので、培地が着色している場合にも培地の色で邪魔されずに、容器の透明部から呈色指示薬の呈色反応をチェックすることができる。
【0014】
本発明に係る微生物数検査方法では、容器内に、定の微生物数の範囲で少なくとも同数の微生物数からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が、所定の微生物の方が他の所定の微生物より短くなるよう前記所定の微生物の増殖を促進する促進剤と前記他の所定の微生物の増殖を抑制する抑制剤とを含む培地と、二酸化炭素の呈色指示薬とを、前記培地を遮断する二酸化炭素透過膜で隔てて収容し、前記培地に検査対象試料を入れた後、前記容器を密閉して、密閉から前記指示薬の呈色反応による所定の濃度の変色を検出するまでの時間を測定し、その時間を前記容器を用いた前記所定の微生物の微生物数ごとの密閉から前記指示薬の呈色反応による所定の濃度の変色を検出するまでの時間と対照して前記所定の微生物の微生物数を求めることを特徴とする。なお、指示薬の変色は、着色または脱色であってもよい。本発明に係る微生物検査方法では、前述の本発明に係る微生物検査用培地を使用する。
【0015】
所定の微生物の増殖を促進する促進剤は、所定の微生物を増殖させる物質であればいかなる物質であってもよいが、例えば、カゼインのパンクレアチン消化物、動物組織のペプシン消化物、酵母エキス、牛肉エキス、デンプン、ペプトン、D−ソルビトール、乳糖、白糖などの微生物のための栄養分、ナイアシン、アスパラギン、フィルズ、アイソバイタルエックス、レプトスピラ、ヘモグロビン、オレイン酸、ピルビン酸ナトリウム、ビタミンK1 、ポリソルベート80、アスコルビン酸、ヘミンおよびレシチンならびにこれらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0016】
所定の微生物の増殖を抑制する抑制剤は、例えば、グラム陽性菌、グラム陰性菌、酵母および真菌ごとに分けて挙げられる。なお、グラム陽性菌とグラム陰性菌とは、グラム染色法で分類された菌である。グラム染色法では、クリスタルバイオレットでまずすべての細菌を染める。その後ヨードを加えた後アルコールで脱色する。グラム陽性と呼ぱれる菌群は脱色されず、クリスタルバイオレットの青紫色に染まったままであるが、グラム陰性菌は脱色されて無色になる。このままでは、陰性菌は顕微鏡で観察できないので、サフランを加えて赤く染める。クリスタルバイオレットに染まった陽性菌は、サフラニンを加えても青紫色の色調は変わらないため青紫色に染まる。未知の分離菌株が得られた場合、まずグラム染色を行い、グラム陽性か陰性かの判定を行い、次に形態の特徴を観察する。
【0017】
(1)グラム陽性菌の抑制剤としては、以下のものが挙げられる。
バンコマイシン、アクリフラビン、へプタデシル硫酸ナトリウム(タージトール7)、トリメトプリム、カナマイシン、リンコマイシン、ポリオキシエチレンエーテルw−1、エオジンY、フクシン、胆汁酸塩(デソキシコール酸、アポコール酸、タウロコール酸、コール酸)、ラウリル硫酸ナトリウム、窒水素酸ナトリウム、クエン酸塩、バシトラシン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレツト、メチレンブルー。
【0018】
(2)グラム陰性菌の抑制剤としては、以下のものが挙げられる。
コリスチン、ゲンタマイシン、カルべニシリン、ポリミキシンB、フェニルエチルアルコール、エーテル、塩化リチウム、亜テルル酸ナトリウム、抱水クロラール、グリシン、ナリジキシン酸、サイクロセリン、セフォキシチン、ネオマイシン、プロメトプリム、アジ化ナトリウム、セトリミド、塩化ナトリウム。
【0019】
(3)グラム陽性菌およびグラム陰性菌の抑制剤としては、以下のものが挙げられる。
マラカイトグリーン、亜硫酸ナトリウム、亜テルル酸カリウム、クロラムフェニコール、硫酸ポリミキシン、スルファダイアジン、スルファピリジン(サルモネラ以外)、亜セレン酸ナトリウム、クロールテトラサイクリン、セフスロジン、イルガサン、セファロシン、セファマンドール、酒石酸、ノボビオシン、ストレプトマイシン。
【0020】
(4)酵母および真菌の抑制剤としては、以下のものが挙げられる。
ナイスタチン、アニソマイシン、シクロへキシミド、アンフォテリシンB、酢酸タリウム、ペニシリン、シクロへキシミド。
【0021】
本発明において、所定の微生物数の範囲は、例えば103 個台/mlである。所定の量の二酸化炭素は、二酸化炭素の呈色指示薬が検出できるだけの量が好ましい。促進剤と抑制剤との所定の分量は、所定の微生物の方が他の所定の微生物より、所定の微生物数の範囲で少なくとも同数の微生物数からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が短くなるよう設定されるが、所定の微生物の微生物数が100 個台/mlで他の所定の微生物の微生物数が103 個台/mlからの増殖により、二酸化炭素の呈色指示薬が検出できるだけの量の二酸化炭素を検出するまでの時間が、所定の微生物の方が他の所定の微生物より1時間以上、特に3時間以上早くなるよう設定されることが好ましい。
【0022】
二酸化炭素の呈色指示薬は、二酸化炭素との反応剤とpH指示薬との混合液、例えば、水酸化ナトリウムおよびチモールフタレインの水溶液や、水酸化ナトリウムおよびフェノールフタレインの水溶液から成ることが好ましく、水酸化カルシウム水溶液またはヘモグロビン・赤血球・血液などのヘムを含む物質などから成ってもよい。その他、呈色指示薬は、メチルバイオレット、メチルオレンジ、コンゴレッド、メチルレッド、ブロムチモールブルー、フェノールレッド、クレゾールレッド、チモールブルー、万能指示薬などから成ってもよい。
【0023】
培地には、液体培地が好ましい。培地を遮断する二酸化炭素透過膜には、イオン交換を生じずに、培地と呈色指示薬とを確実に分離できるものが好ましい。二酸化炭素透過膜としては、例えば、未延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのフィルムを用いることができる。その他、二酸化炭素透過膜は、シリコンゴムまたはポリアルキルスルホンから成る均質膜から成っても、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリスルホンから成る多孔質膜から成っても、ポリプロピレンとシリコンとの複合膜またはポリプロピレンとポリアルキルスルホンとの複合膜から成ってもよい。
【0024】
二酸化炭素透過膜には、培地収容部の雰囲気内の二酸化炭素濃度を保つため、圧力が高まると二酸化炭素を透過する特性を有するものを用いてもよい。この場合、淋菌、髄膜炎菌、カンピロバクターのように、増殖に5〜10%の二酸化炭素濃度を必要とする菌を検出するとき、菌の増殖によって発生した二酸化炭素ガスによる加圧でスレッシュホルド圧力(しきい圧)を越えた分だけガスが二酸化炭素透過膜を通って呈色指示薬と反応し、菌に必要な二酸化炭素濃度を保つことができる。検査対象試料は、固形であっても液状であってもよい。また、嫌気性菌の検出には、培地にミネラルオイルを表面に浮かせた液体培地を用いることが好ましい。この場合、ミネラルオイルが液体培地の内部を空気から遮断して嫌気性菌の生育に適した条件を作ることができる。
【0025】
本発明に係る微生物検査用培地、微生物検査具および微生物数検査方法では、検査対象試料に微生物が存在するとき、検査対象試料を培地に入れると、微生物が増殖して培地中の栄養分を分解し、代謝の結果として二酸化炭素を生成する。微生物により二酸化炭素が生成したとき、二酸化炭素を呈色指示薬と反応させることによって、呈色反応の有無により微生物の有無を知ることができる。二酸化炭素の呈色指示薬は、二酸化炭素の増加に敏感に反応するため、微生物を短時間で検出することができる。培地に検査対象試料を入れた後、培地と二酸化炭素の呈色指示薬とを入れた容器を密閉して、密閉から指示薬の呈色反応による所定の濃度の変色を検出するまでの時間を測定する。
【0026】
一定の培養条件下で、検査対象試料に存在する微生物数は、二酸化炭素の呈色指示薬が呈色反応を生じるのに要する時間と相関関係がある。検査対象試料に存在する微生物数が多いほど呈色反応を生じるまでの時間が短くなり、少ないほど長くなる。本発明に係る微生物数検査方法では、検査対象試料に存在する微生物の種類を調べておき、所定の濃度の呈色反応を生じるまでの時間を、微生物数ごとに求めておいたその時間と対照して、培養前に検査対象試料中に存在していた微生物数を推定することができる。なお、使用される培地は、選択性の高いものが好ましい。
【0027】
培地にターゲット菌である所定の微生物のほか他の所定の微生物が混入している場合には、促進剤により所定の微生物の増殖が促進され、抑制剤により他の所定の微生物の増殖が抑制される。このため、所定の微生物の方が他の所定の微生物より所定の微生物数の範囲で少なくとも同数の微生物数からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が短くなる。これにより、所定の微生物の方が他の所定の微生物より先に指示薬の呈色反応をもたらし、他の所定の微生物の影響を受けることなく、所定の微生物の微生物数を精度良く求めることができる。
【0028】
なお、本発明に係る微生物検査具および微生物数検査方法で、培地と二酸化炭素の呈色指示薬とは、培地を遮断する二酸化炭素透過膜で隔てられているため、二酸化炭素の呈色指示薬は、培地での微生物の培養に影響を与えたり微生物の増殖を阻害したり培地の影響で劣化したり検査対象試料の色の影響を受けたりすることがなく、検出結果の信頼性が高い。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図7は、本発明の実施の形態を示している。
図1に示すように、微生物検査具1は、キャップ2で密閉可能な容器3内に、二酸化炭素透過膜の袋4で隔てて液体培地収容部5と指示薬収容部6とを有する。容器3は、透明な試験管から成り、外側から内部を見通すことができる。二酸化炭素透過膜の袋4は、密閉したポリプロピレン製の細長い透明な袋であり、容器3の内部に挿入されている。袋4は、二酸化炭素のガスは透過するが、微生物検査用の液体培地7および呈色指示薬8は遮断する。液体培地収容部5は容器3の内部で袋4の外部であり、指示薬収容部6は袋4の内部である。指示薬収容部6には、二酸化炭素の呈色指示薬8が充填されている。液体培地7は、指示薬収容部6に収容される呈色指示薬8の高さより低い位置で液体培地収容部5の内部に収容される。
【0030】
液体培地7は、所定の微生物の増殖を促進する促進剤と他の所定の微生物の増殖を抑制する抑制剤とを含んでいる。促進剤と抑制剤との分量は、ターゲットの所定の微生物の方が他の所定の微生物より所定の微生物数(菌数)の範囲で少なくとも同数の微生物数(菌数)からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が短くなるよう所定の分量で設定される。液体培地7の具体的成分については、後述する。
【0031】
呈色指示薬8は、水酸化ナトリウムおよびチモールフタレインの水溶液から成る。水酸化ナトリウムは、二酸化炭素と反応して炭酸ナトリウムを作る(2NaOH +CO2 →Na2CO3+H2O )。このとき、pHがアルカリ性から中性へとシフトする。チモールフタレインの変色域は、pH9.3〜10.5にあり、pHが10.5以上になると青色になり、9.3以下になると無色になる(図1(B)参照)。
【0032】
このため、脱イオン水(DI water)約50mlに対し、チモールフタレイン液を数滴垂らし、水溶液が深青色になるまで水酸化ナトリウムの水溶液を滴下して呈色指示薬8を作る。呈色指示薬8の水酸化ナトリウムとチモールフタレインとの混合比は、微生物の有無が検知しやすいよう調整してもよい。この呈色指示薬8は、水酸化ナトリウムが二酸化炭素と反応すると、深青色から無色透明に変色する。なお、チモールフタレインの代わりにフェノールフタレインを用いてもよい。フェノールフタレインを用いた場合、変色域がより中性に近いため、チモールフタレインを用いたときに比べて感度は落ちるが、呈色指示薬としての安定度は増す。フェノールフタレインは、水酸化ナトリウムが二酸化炭素と反応すると、ピンク色から無色透明に変色する。
【0033】
図2に示すように、微生物検査具1を用いた微生物検査装置10は、微生物検査具1のための設置部11と、光源12と、レンズ13,14と、スリット15と、色フィルタ16と、センサ17と、報知器(図示せず)とを有する。光源12からの光は、レンズ13、スリット15、色フィルタ16、微生物検査具1の呈色指示薬8およびレンズ14を通ってセンサ17で検出される。センサ17は、設置部11に設置された微生物検査具1の呈色指示薬8の呈色を検出して検出信号を送る。微生物検査装置10は、1分間に1度、検出を行うようになっている。報知器は、センサ17の検出信号に応じて報知する。
【0034】
微生物検査装置10を用いた微生物検査方法では、微生物検査具1を用いて、液体培地7に検査対象試料を入れた後、容器3をキャップ2で密閉して、密閉から指示薬の呈色反応による所定の濃度の着色を検出するまでの時間を測定する。その時間を容器3を用いた所定の微生物の微生物数(菌数)ごとの密閉から指示薬の呈色反応による所定の濃度の着色を検出するまでの時間と対照して微生物数(菌数)を求める。
【0035】
ターゲット菌が一番速く増殖する液体培地7を調製して菌の検出を行う場合、ターゲット菌の一番微弱な汚染が検出されてから時間的間隔をおいて他の菌が検出されれぱ、選択的にターゲット菌のみを検出できる。ターゲットでない菌の汚染は、通常1mlについて1000個以下であるので、ターゲット菌の選択的検出には他の菌による1000個/mlの汚染が検出される数時間前までに、ターゲット菌の検出プロトコールが終了していればよい。
【0036】
もし、ターゲット菌の汚染度が高い場合は、次に増殖してくる菌の汚染度はそれよりもはるかに高くなければ時間的にはターゲット菌より速く検出されないので、次に増殖してくる菌はターゲット菌の検出を妨げない。また、ターゲット菌の汚染がなく、次に増殖してくるような菌の汚染度が高い場合は、10倍に薄めた試料の希釈系列を作製し、これを時間検出することにより、傾きや検出できなくなる時間を割り出して、性能グラフと照らし合わせることにより、菌の種類を割り出すことができる。
【0037】
従来の寒天培地は、ターゲット菌の発育を促進するよりも他の菌の発育を抑制することに主力を置いて調製されている。それに対し、液体培地7は、ターゲット菌の発育が最も速く、他の菌とのセパレーションが十分にとれるように調製されている。液体培地7は、ターゲットとする所定の微生物の種類および他の所定の微生物の種類によって異なる配合で調製される。
【0038】
ターゲットとする所定の微生物が黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC13150)(ATCC25923)であり、他の所定の微生物が表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis) 、エシェリキア・コリ(Escherichia Coli) (ATCC25922)(大腸菌の一種)、O−157菌(ATCC35150)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium) (ATCC14028)、サルモネラ・エンテリチヂス(Salmonella enteritidis) (ATCC13076)、レンサ球菌(ATCC12386)および腸球菌(ATCC29212)の場合、液体培地7は、水1リットルあたり溶解した状態で、促進剤として、カゼインのパンクレアチン消化物、マンニトールなどの混合物から成る栄養分30gと、ピルビン酸1gとを含み、抑制剤として、塩化ナトリウム7.5gと、グリシン10gと、コリスチン9.1mgと、ナリジキン酸9.1mgとを含む。
【0039】
この場合、微生物検査装置10を用いた微生物検査方法で、37度で培養したとき、黄色ブドウ球菌(ATCC13150、ATCC25923)が最初に発育するように培地が調製される。また、次に成長してくる表皮ブドウ球菌、レンサ球菌(ATCC12386)および腸球菌(ATCC29212)とは時間的に間隔があいて識別できるように成分を整えている。なお、次の菌は測定開始から24時間内では増殖してこない。エシェリキア・コリ(ATCC25922)、O−157菌(ATCC35150)、サルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)、サルモネラ・エンテリチヂス(ATCC13076)、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)(ATCC17802)。
【0040】
図3に示すように、液体培地7に黄色ブドウ球菌(ATCC13150、ATCC25923)が100 個台/ml、表皮ブドウ球菌が103 個台/ml含まれる場合、黄色ブドウ球菌が検出されてから表皮ブドウ球菌が検出されるまでに6時間以上がかかることとなり、表皮ブドウ球菌の影響を受けずに黄色ブドウ球菌を検出することができる。なお、図3に示すように、菌数と検出時間とは、菌数の対数が検出時間と反比例する関係にあり、黄色ブドウ球菌の菌数を精度良く求めることができる。
【0041】
黄色ブドウ球菌(ATCC13150、ATCC25923)は、成長速度が遅く、また、寒天培地では表皮ブドウ球菌との区別が困難で、検出に一般に長時間を要する。牛の乳房炎などが原因で原料のミルクに黄色ブドウ球菌が混入した場合などには、汚染の影響が心配される。しかしながら、この微生物数検査方法によれば、搾乳場でミルクが出荷される前に検査をスタートさせて送り出すと、乳製品工場に原料として到着する前に判定を終えることができる。この微生物数検査方法は、工場内での細菌検査プリスクリーンにも最適である。
【0042】
ターゲットとする所定の微生物が腸炎ビブリオ菌(ATCC17802)であり、他の所定の微生物が表皮ブドウ球菌、エシェリキア・コリ(ATCC25922)、O−157菌(ATCC35150)、サルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)、サルモネラ・エンテリチヂス(ATCC13076)、黄色ブドウ球菌(ATCC13150、ATCC25923)およびビブリオ・アルジノリチカスの場合、液体培地7は、水1リットルあたり溶解した状態で、促進剤として、ペプトン、牛肉エキスなどの混合物から成る栄養分20gを含み、抑制剤として、塩化ナトリウム61.4gと、フェノールレッド20.3mgと、グラム陽性菌阻害剤0.9gとを含む。
【0043】
この場合、微生物検査装置10を用いた微生物検査方法で、37度で培養したとき、腸炎ビブリオ菌(ATCC17802)が最初に発育するように培地が調製される。また、次に成長してくるサルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)などの菌とは時間的に間隔があいて識別できるように成分を整えている。なお、次の菌は測定開始から24時間内では増殖してこない。サルモネラ・エンテリチヂス(ATCC13076)、黄色ブドウ球菌(ATCC13150)。
【0044】
図4に示すように、液体培地7に腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)(ATCC17802)が100 個台/ml、サルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)が103 個台/ml含まれる場合、腸炎ビブリオ菌が検出されてからサルモネラ・チフィムリウムが検出されるまでに7時間30分以上がかかることとなり、サルモネラ・チフィムリウムの影響を受けずに腸炎ブビリオ菌を検出することができる。なお、図4に示すように、菌数と検出時間とは、菌数の対数が検出時間と反比例する関係にあり、腸炎ブビリオ菌の菌数を精度良く求めることができる。
【0045】
ターゲットとする所定の微生物がO−157菌(ATCC35150)であり、他の所定の微生物がエシェリキア・コリ(ATCC25922)、サルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)、黄色ブドウ球菌(ATCC13150、ATCC25923)、表皮ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌(ATCC17802)およびビブリオ・アルジノリチカスの場合、液体培地7は、水1リットルあたり溶解した状態で、促進剤として、ペプトン、D−ソルビトールなどの栄養分20gを含み、抑制剤として、塩化ナトリウム3.6gと、クリスタルバイオレット0.7mgと、ニュートラルレッド21.6mgと、CTサプリメント10mlとを含む。
【0046】
この場合、微生物検査装置10を用いた微生物検査方法で、37度で培養したとき、O−157菌(ATCC35150)が最初に発育するように培地が調製される。また、次に成長してくるサルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)などの菌とは時間的に間隔があいて識別できるように成分を整えている。なお、次の菌は測定開始から24時間内では増殖してこない。黄色ブドウ球菌(ATCC25923)、黄色ブドウ球菌(ATCC13150)、表皮ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌(ATCC17802)、ビブリオ・アルジノリチカス。
【0047】
図5に示すように、液体培地7にO−157菌(ATCC35150)が100 個台/ml、サルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)が103 個台/ml含まれる場合、O−157菌が検出されてからサルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)が検出されるまでに3時間30分以上がかかることとなり、サルモネラ・チフィムリウムの影響を受けずにO−157菌を検出することができる。なお、サルモネラ・エンテリチヂス(ATCC13076)は、図5に図示していないが、サルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)とほぼ同様に増殖する。図5に示すように、菌数と検出時間とは、菌数の対数が検出時間と反比例する関係にあり、O−157菌の菌数を精度良く求めることができる。
【0048】
ターゲットとする所定の微生物がサルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)およびサルモネラ・エンテリチヂス(ATCC13076)であり、他の所定の微生物がエシェリキア・コリ(ATCC25922)、O−157菌(ATCC35150)、黄色ブドウ球菌(ATCC13150、ATCC25923)、腸炎ビブリオ菌(ATCC17802)およびビブリオ・アルジノリチカスの場合、液体培地7は、水1リットルあたり溶解した状態で、促進剤として、動物組織のペプシン消化物、乳糖、白糖などの混合物から成る栄養分30gを含み、抑制剤として、塩化ナトリウム4.6gと、フェノールレッド74mgと、ブリリアントグリーン14.6mgとを含む。
【0049】
この場合、微生物検査装置10を用いた微生物検査方法で、37度で培養したとき、サルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)が最初に発育するように培地が調製される。また、次に成長してくるエシェリキア・コリ(ATCC25922)(大腸菌の一種)などの菌とは時間的に間隔があいて識別できるように成分を整えている。なお、次の菌は測定開始から24時間内では増殖してこない。黄色ブドウ球菌(ATCC25923)、表皮ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌(ATCC17802)、ビブリオ・アルジノリチカス。
【0050】
図6に示すように、液体培地7にサルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)およびサルモネラ・エンテリチヂス(ATCC13076)が100 個台/ml、エシェリキア・コリ(ATCC25922)が103 個台/ml含まれる場合、サルモネラ・チフィムリウム、サルモネラ・エンテリチヂスが検出されてからエシェリキア・コリが検出されるまでに2時間以上がかかることとなり、エシェリキア・コリの影響を受けずにサルモネラ・チフィムリウムおよびサルモネラ・エンテリチヂスを検出することができる。なお、図6に示すように、菌数と検出時間とは、菌数の対数が検出時間と反比例する関係にあり、食中毒の原因菌である2種類のサルモネラ菌(ATCC14028)(ATCC13076)の菌数を効率良く求めることができる。
【0051】
ターゲットとする所定の微生物がエシェリキア・コリ(ATCC25922)(大腸菌の一種)であり、他の所定の微生物がO−157菌(ATCC35150)、サルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)、サルモネラ・エンテリチヂス(ATCC13076)、黄色ブドウ球菌(ATCC13150、ATCC25923)および腸炎ビブリオ菌(ATCC17802)の場合、液体培地7は、水1リットルあたり溶解した状態で、促進剤として、カゼインのパンクレアチン消化物、乳糖などの混合物から成る栄養分10gを含み、抑制剤として、胆汁酸塩混合物0.5gと、塩化ナトリウム2.0gと、リン酸一水素カリウム1.5gと、リン酸二水素カリウム0.5gとを含む。
【0052】
この場合、微生物検査装置10を用いた微生物検査方法で、37度で培養したとき、エシェリキア・コリ(ATCC25922)が最初に発育するように培地が調製される。また、次に成長してくるサルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)、サルモネラ・エンテリチヂス(ATCC13076)などの菌とは時間的に間隔があいて識別できるように成分を整えている。なお、次の菌は測定開始から24時間内では増殖してこない。黄色ブドウ球菌(ATCC25923)、黄色ブドウ球菌(ATCC13150)、腸炎ビブリオ菌(ATCC17802)。
【0053】
図7に示すように、液体培地7にエシェリキア・コリ(ATCC25922)が100 個台/ml、サルモネラ・チフィムリウム(ATCC14028)が103 個台/ml含まれる場合、エシェリキア・コリが検出されてからサルモネラ・チフィムリウムが検出されるまでに3時間30分以上がかかることとなり、サルモネラ・チフィムリウムの影響を受けずにエシェリキア・コリを検出することができる。なお、図7に示すように、菌数と検出時間とは、菌数の対数が検出時間と反比例する関係にあり、エシェリキア・コリの菌数を精度良く求めることができる。
【0054】
次に、作用について説明する。
検査対象試料に細菌が存在するとき、検査対象試料を液体培地7に入れると、細菌が増殖して液体培地7中の栄養分を分解し、代謝の結果として二酸化炭素を生成する。細菌により二酸化炭素が生成したとき、二酸化炭素を呈色指示薬8と反応させることによって、呈色反応の有無により細菌の有無を知ることができる。二酸化炭素の呈色指示薬8は、二酸化炭素の増加に敏感に反応するため、細菌を短時間で検出することができる。液体培地7に検査対象試料を入れた後、液体培地7と二酸化炭素の呈色指示薬8とを入れた容器3を密閉して、密閉から指示薬8の呈色反応による所定の濃度の変色を検出するまでの時間を測定する。
【0055】
液体培地7にターゲット菌である所定の細菌のほか他の所定の細菌が混入している場合には、促進剤により所定の細菌の増殖が促進され、抑制剤により他の所定の細菌の増殖が抑制される。このため、所定のターゲット菌の方が他の所定の細菌より所定の菌数の範囲で少なくとも同数の菌数からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が短くなる。これにより、所定のターゲット菌の方が他の所定の細菌より先に指示薬8の呈色反応をもたらし、他の所定の細菌の影響を受けることなく、所定のターゲット菌の菌数を精度良く求めることができる。
【0056】
液体培地7と二酸化炭素の呈色指示薬8とは、液体培地7を遮断する二酸化炭素透過膜の袋4で隔てられているため、二酸化炭素の呈色指示薬8は、液体培地7での細菌の培養に影響を与えたり細菌の増殖を阻害したりすることがない。従って、呈色指示薬8に毒性を有して細菌の発育に悪影響をもたらすものを用いた場合にも、信頼性の高い検出結果を得ることができる。反対に、液体培地7のpHも呈色指示薬8のpHに影響を与えず、呈色指示薬8は液体培地7の影響で劣化したり検査対象の色の影響を受けたりすることがなく、検出結果の信頼性が保たれる。使用前には、容器3を密閉しておけば、呈色指示薬8が空気中の二酸化炭素により呈色反応を生じて使用できなくなるのを防ぐことができる。
【0057】
微生物検査装置10を用いた微生物数検査方法によれば、検出した菌数と検出時間とは菌数の対数が検出時間と反比例する関係にあり、菌数を数値化できるほど検出感度および精度が良い。この微生物数検査方法には、検出時間が速い、嫌気性細菌も検出できる、二酸化炭素による発育環境の悪化がない、試料の色が検出に無関係である、液体培地7と呈色指示薬8との間に相互影響がないなどの特長があり、誰にでも確実な細菌検査が可能である。この微生物数検査方法によれば、液体培地7にターゲット以外の菌が混入している場合にもターゲット菌を容易に判定することができ、専門知識がなくてもターゲット菌を容易に判定することができる。
【0058】
微生物検査装置10を用いた微生物数検査方法によれば、新薬の開発、抗生物質の開発、培地の開発、微生物の研究などの効率を著しく向上させることができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係る微生物検査用培地、微生物検索具および微生物数検査方法によれば、培地にターゲット以外の菌が混入している場合にもターゲット菌を容易に判定することができ、専門知識がなくてもターゲット菌を容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の微生物検査具の(A)菌検出前、(B)菌検出後の概略図である。
【図2】図1に示す微生物検査具を用いた微生物検査装置の概略図である。
【図3】図2に示す微生物検査装置による黄色ブドウ球菌用液体培地での黄色ブドウ球菌の菌数と検出時間との関係を示すグラフである。
【図4】図2に示す微生物検査装置による腸炎ビブリオ菌用液体培地での腸炎ビブリオ菌の菌数と検出時間との関係を示すグラフである。
【図5】図2に示す微生物検査装置によるO−157用液体培地でのO−157の菌数と検出時間との関係を示すグラフである。
【図6】図2に示す微生物検査装置によるサルモネラ菌用液体培地でのサルモネラ菌の菌数と検出時間との関係を示すグラフである。
【図7】図2に示す微生物検査装置によるエシェリキア・コリ用液体培地でのエシェリキア・コリの菌数と検出時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 微生物検査具
2 キャップ
3 容器
4 二酸化炭素透過膜の袋
5 液体培地収容部
6 指示薬収容部
7 液体培地
8 呈色指示薬
10 微生物検査装置

Claims (9)

  1. 所定の微生物の増殖を促進する促進剤と他の所定の微生物の増殖を抑制する抑制剤とを、定の微生物数の範囲で少なくとも同数の微生物数からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が、前記所定の微生物の方が前記他の所定の微生物より短くなるよう所定の分量で含むことを、特徴とする微生物検査用培地。
  2. 前記所定の微生物は黄色ブドウ球菌であり、前記他の所定の微生物は表皮ブドウ球菌、エシェリキア・コリ、O−157菌、サルモネラ・チフィムリウム、サルモネラ・エンテリチヂス、レンサ球菌、腸球菌および腸炎ビブリオ菌であり、前記促進剤として黄色ブドウ球菌のための栄養分およびピルビン酸を含み、前記抑制剤として塩化ナトリウム、グリシン、マンニトール、コリスチンおよびナルジキン酸を含むことを、特徴とする請求項1記載の微生物検査用培地。
  3. 前記所定の微生物は腸炎ビブリオ菌であり、前記他の所定の微生物は表皮ブドウ球菌、エシェリキア・コリ、O−157菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌およびビブリオ・アルジノリチカスであり、前記促進剤として腸炎ビブリオ菌のための栄養分を含み、前記抑制剤として塩化ナトリウム、フェノールレッドおよびグラム陽性菌阻害剤を含むことを、特徴とする請求項1記載の微生物検査用培地。
  4. 前記所定の微生物はO−157菌であり、前記他の所定の微生物は表皮ブドウ球菌、エシェリキア・コリ、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌およびビブリオ・アルジノリチカスであり、前記促進剤としてO−157菌のための栄養分を含み、前記抑制剤として胆汁酸塩、塩化ナトリウム、クリスタルバイオレット、ニュートラルレッドおよびCTサプリメントを含むことを、特徴とする請求項1記載の微生物検査用培地。
  5. 前記所定の微生物はサルモネラ菌であり、前記他の所定の微生物は表皮ブドウ球菌、エシェリキア・コリ、O−157菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌およびビブリオ・アルジノリチカスであり、前記促進剤としてサルモネラ菌のための栄養分を含み、前記抑制剤として塩化ナトリウム、フェノールレッドおよびブリリアントグリーンを含むことを、特徴とする請求項1記載の微生物検査用培地。
  6. 前記所定の微生物はエシェリキア・コリであり、前記他の所定の微生物はサルモネラ・チフィムリウム、サルモネラ・エンテリチヂス、黄色ブドウ球菌および腸炎ビブリオ菌であり、前記促進剤としてエシェリキア・コリのための栄養分を含み、前記抑制剤として胆汁酸塩混合物および塩化ナトリウムを含むことを、特徴とする請求項1記載の微生物検査用培地。
  7. 密閉可能な容器内に、微生物用の培地を遮断する透明な二酸化炭素透過膜で隔てて培地収容部と指示薬収容部とを有し、前記容器は外側から前記指示薬収容部の内部を見通せる透明部を有し、前記培地収容部に、所定の微生物数の範囲で少なくとも同数の微生物数からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が、所定の微生物の方が他の所定の微生物より短くなるよう前記所定の微生物の増殖を促進する促進剤と前記他の所定の微生物の増殖を抑制する抑制剤とを含む培地を収容し、前記指示薬収容部に二酸化炭素の呈色指示薬を収容して成ることを特徴とする微生物検査具。
  8. 前記二酸化炭素透過膜は密閉した袋を構成して前記容器の内部に入れられ、前記培地収容部は前記容器の内部で前記袋の外部であり、前記指示薬収容部は前記二酸化炭素透過膜の袋の内部であり、前記培地は前記指示薬収容部に収容される呈色指示薬の高さより低い位置で前記培地収容部に収容されることを特徴とする請求項7記載の微生物検査具。
  9. 容器内に、定の微生物数の範囲で少なくとも同数の微生物数からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が、所定の微生物の方が他の所定の微生物より短くなるよう前記所定の微生物の増殖を促進する促進剤と前記他の所定の微生物の増殖を抑制する抑制剤とを含む培地と、二酸化炭素の呈色指示薬とを、前記培地を遮断する二酸化炭素透過膜で隔てて収容し、前記培地に検査対象試料を入れた後、前記容器を密閉して、密閉から前記指示薬の呈色反応による所定の濃度の変色を検出するまでの時間を測定し、その時間を前記容器を用いた前記所定の微生物の微生物数ごとの密閉から前記指示薬の呈色反応による所定の濃度の変色を検出するまでの時間と対照して前記所定の微生物の微生物数を求めることを特徴とする微生物数検査方法。
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