JP4570707B2 - 留置カテーテル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、留置カテーテルに関し、特に体内への輸液・薬液の注入や輸血、血液の採取及び血行動態のモニター等の目的で血管内に留置して使用する留置カテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
輸液や輸血等に用いられる留置針は、血管に留置可能なプラスチック等で形成されたカテーテルであり、これを血管内に留置した状態で輸液バッグ等の輸液や薬液が収納された容器から延出したチューブを接続して使用するものである。この留置針には、金属等で形成された尖端を有する内針が挿通されて一体に構成されたものもある。このタイプの留置針は、内針とともにカテーテルを血管内に穿刺した後、内針を留置針から抜去してから上述のものと同様にして使用する。
【0003】
ところで、留置針の主たる目的である輸液・薬液の注入を果たすためには、留置されたカテーテルの流路の確保が重要であることから、優れた耐キンク性がカテーテルに求められている。さらに穿刺時の操作性と、穿刺時及び留置後の血管壁の相互作用は、カテーテルの機械的物性に影響を受けるため、穿刺時は十分にコシがあり、留置後柔軟化することが望ましい。
【0004】
従来、留置カテーテルの材質としてポリテトラフルオロエチレン,エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素樹脂が主に用いられている。フッ素樹脂製カテーテルは、穿刺時は硬くてコシが強いため操作性に優れており、血管確保を行いやすい。しかしながら、これらのフッ素樹脂製カテーテルは血管留置後十分に柔軟とはならず、血管壁を損傷する可能性がある。また耐キンク性が十分でなく、輸液流路の確保に支障をきたす恐れがある。
【0005】
このような事情に鑑み、最近ではハードセグメントとソフトセグメントからなり、ソフトセグメントがポリエーテルからなるポリウレタン樹脂が留置針のカテーテル素材として使用されるようになった。特公平8−11129号には、親水性のポリエーテルポリウレタン樹脂を使用した、血管内で柔軟化するカテーテルチューブが開示されており、カテーテル挿入時の剛性と血管留置後の柔軟性のバランスをコントロールする方法も記載されている。しかしながら、このカテーテルには耐キンク性が劣るという問題がある。ポリエーテルポリウレタン樹脂からなる留置カテーテルは、留置後に柔軟となっても、十分な耐キンク性が発現されないという欠点があり、穿刺時の操作性を求めてカテーテルを硬くすると、更に耐キンク性が損なわれてしまう。
【0006】
またソフトセグメントの分子量を調整することで弾性率変化量や耐キンク性を向上させることも可能である。しかし、ソフトセグメントに分子量が500〜1500にあるポリグリコールを用いたポリウレタン樹脂だけを使用する場合、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態への変化で弾性率が大きく変化するが、耐キンク性は良好でないか、良好であっても一度キンクすると元の形状に復元しないという欠点がある。一方、分子量が1500〜3000のポリグリコールを用いたポリウレタン樹脂は耐キンク性が良好であるが、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態への変化で弾性率が大きく変化しない。このように実質的に単一分子量のソフトセグメントを含有するポリウレタン樹脂を用いた場合、目的とする弾性率変化量及び耐キンク性の両者を満足するものはできない。
【0007】
また特許第2723190号には形状記憶樹脂製の留置針が記載されている。
この留置針のカテーテルは血管挿入時には硬く、血管留置後は柔軟となるが、その変化のスピードが速すぎるため、留置操作を行っている最中に柔軟化してしまい、穿刺操作に支障が生じてしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、血管への挿入時にはフッ素樹脂製カテーテルとほぼ同等の剛性を有するが、血管内留置後柔軟化して血管への損傷を軽減できるとともに、留置操作に適した弾性率の低下挙動を示し、かつ耐キンク性に優れた留置カテーテルを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、留置カテーテルが穿刺時に良好な剛性(操作性)を有するとともに、留置後は柔軟化して血管の損傷を抑えることができるためには、室温乾燥状態から37℃の湿潤状態に置かれたときの弾性率低下の速度を調整することが重要であり、弾性率の低下速度が緩慢すぎると柔軟化するのに時間がかかりすぎるため留置後の血管損傷を引き起こす恐れがあり、逆に弾性率が急速に低下しすぎると留置の操作中に柔軟となり穿刺が困難となる恐れがあることに着目した。
【0010】
この知見に基づき、ポリウレタン樹脂の軟化性能について検討した結果、一般にポリウレタン樹脂の軟化の度合いは、その中に含まれるポリグリコールの結晶化度に大きく依存することが分かった。分子量の低いポリグリコールがポリマー鎖中に存在する場合にはポリウレタン樹脂の結晶化度が大きくなりにくく、温度上昇によって結晶融解が促進される。そのため温度上昇に伴うポリウレタン樹脂の軟化速度は大きくなる。
【0011】
ところで、一般に分子構造の類似したポリマー同士は相溶性を有するので、それらをブレンドした時は物性的に加成性を示す。従って、ポリウレタン樹脂についてもソフトセグメントの分子量が異なった複数のポリウレタン樹脂をブレンドすると、それらの平均的な物性を示すものが得られると予測される。しかしながら、本発明者らは、ポリウレタン樹脂のブレンドでは、上記物性の加成性が必ずしも成り立たないことを発見した。そこで鋭意研究の結果、単独では特性の劣るポリウレタン樹脂を複数組合せることにより、血管への挿入時にはフッ素樹脂製カテーテルとほぼ同等の剛性を有するが、血管内留置後柔軟化して血管への損傷を軽減できるとともに、耐キンク性に優れた留置カテーテルが得られることを発見した。
【0012】
本発明者はまた、留置カテーテルの体内への留置後に所望の柔軟化を達成するためには、室温の乾燥状態から体温の湿潤状態としたときの動的貯蔵弾性率の低下率を所定のレベルに調整する必要があることを発見した。本発明はかかる発見に基づくものである。
【0013】
すなわち、本発明の第一の態様による留置カテーテルは、分子量の異なるポリグリコールを主成分とする複数のポリウレタン樹脂のブレンドからなることを特徴とする。
【0014】
また本発明の第二の態様による留置カテーテルは、複数のポリウレタン樹脂のブレンドからなり、25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率が1GPa以上であり、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態にして時間tが経過したときの動的貯蔵弾性率の低下率Ep を、下記式:
Ep =〔(E0−Et)/(E0−E30)〕×100%
(ただし、E0は25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率であり、
E30は37℃の湿潤状態での30分後の動的貯蔵弾性率であり、
Etは37℃の湿潤状態で時間tが経過したときの動的貯蔵弾性率で
ある。)
により表したとき、20秒経過時の動的貯蔵弾性率の低下率Ep が60%未満であり、1分経過時の低下率Ep が60%以上であることを特徴とする。
【0015】
いずれの態様においても、各ポリウレタン樹脂としては、ジイソシアネート、ジオール系鎖延長剤及びポリグリコールを主成分とし、ポリグリコールの分子量がそれぞれ異なるものを使用するのが好ましい。特に各ポリウレタン樹脂は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ブタンジオール及びポリカプロラクトングリコールの反応生成物であり、60D以上のショア硬度を有するのが好ましい。また複数のポリウレタン樹脂としては、分子量500〜1500のポリグリコールを20〜70重量%含有する第一のポリウレタン樹脂と、分子量1500〜3000のポリグリコールを20〜70重量%含有する第二のポリウレタン樹脂とを含有し、第一のポリウレタン樹脂中のポリグリコールの分子量と第二のポリウレタン樹脂中のポリグリコールの分子量との差が500以上であるものが好ましい。
【0016】
いずれの態様においても、本発明の留置カテーテルは、25℃の乾燥状態及び37℃の湿潤状態でともに10mm以上の耐キンク性を示す。またその初期弾性率は25℃の乾燥状態で50kgf/mm2 以上であり、37℃の湿潤状態とすると5分以内に25kgf/mm2 以下となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態への変化で最大限に柔軟化するためには、複数のポリウレタン樹脂をブレンドするにあたり、少なくとも一つのポリウレタン樹脂のポリグリコールの分子量は1500以下、好ましくは500〜1000とする。ポリグリコールの分子量が500未満では、セグメント化ポリウレタン樹脂としての機能の発現が困難となる。ところが、ソフトセグメントに分子量が500〜1500にあるポリグリコールを用いたポリウレタン樹脂だけを使用する場合、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態への変化で弾性率が大きく変化するが、耐キンク性は良好でないか、良好であっても一度キンクすると元の形状に復元しないという欠点がある。一方、分子量が1500〜3000のポリグリコールを用いたポリウレタン樹脂は25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態への変化で弾性率が大きく変化しないが、耐キンク性が良好である。そのため、ポリグリコールの分子量が1500以下、好ましくは500〜1000の第一のポリウレタン樹脂にブレンドすべき第二のポリウレタン樹脂は、分子量が1500〜3000のポリグリコールを有するのが好ましい。また第一のポリウレタン樹脂中のポリグリコールの分子量と第二のポリウレタン樹脂中のポリグリコールの分子量との差は、500以上であるのが好ましく、1000以上がより好ましい。なお用語「分子量」は数平均分子量を意味する。また本発明に使用するポリマーの分子量分布は狭い。
【0018】
ポリグリコール含量によりポリウレタン樹脂の物性は左右される。ポリグリコールの分子量が500〜1500のポリウレタン樹脂の場合、ポリグリコールの含量が20重量%未満では非常に硬く、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態への変化での弾性率の低下率は小さく、耐キンク性も悪い。一方、70重量%超では25℃の乾燥状態と37℃の湿潤状態とで弾性率に大きな差はあるものの、25℃の乾燥状態での弾性率が小さく、カテーテルにコシを与えない。従って、ポリグリコールの分子量が500〜1500のポリウレタン樹脂では、ポリグリコール含量は20〜70重量%であるのが好ましく、35〜50重量%がより好ましい。
【0019】
またポリグリコールの分子量が1500〜3000のポリウレタン樹脂の場合、ポリグリコールの含量が20%未満では同様に非常に硬く、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態への変化での弾性率の低下率は小さい。また70重量%超では柔らかすぎ、留置カテーテルとしてのコシを与えない。従って、ポリグリコールの分子量が1500〜3000のポリウレタン樹脂では、ポリグリコール含量は20〜70重量%であるのが好ましく、30〜55重量%がより好ましい。
【0020】
複数のポリウレタン樹脂に含まれるポリグリコールの分子量の差は500以上であるのが好ましい。分子量の差が500未満であると、異なる分子量のポリグリコールからなる複数のポリウレタン樹脂をブレンドする効果が得られない。より好ましい分子量の差は1000以上である。
【0021】
第一のポリウレタン樹脂と第二のポリウレタン樹脂との重量比は8:2〜2:8であるのが好ましい。重量比が上記範囲外であると、異なる分子量のポリグリコールからなる複数のポリウレタン樹脂をブレンドする効果が不十分である。
【0022】
ポリグリコールとしては、ポリカプロラクトングリコール、ポリアジペートグリコール、ポリエーテルグリコール、ポリカーボネートグリコール等が好ましい。各ポリウレタン樹脂に使用するポリグリコールは一つでも複数組合せても良い。また複数のポリウレタン樹脂のブレンドに含まれるポリグリコールは同種である必要はないが、相溶性の点から同種であるのが好ましい。特に好ましいポリグリコールはポリカプロラクトングリコールである。
【0023】
ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート等)、脂肪族ジイソシアネート(例えばヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環式ジイソシアネート(例えばイソホロンジイソシアネート等)を使用するのが好ましい。特に好ましいジイソシアネートは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0024】
鎖延長剤は低分子量ジオールであり、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。特に好ましい鎖延長剤は1,4−ブタンジオールである。またエチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等を鎖延長剤として使用し、部分的に尿素結合を導入しても良い。
【0025】
本発明の留置カテーテルは、優れた動的貯蔵弾性率、湿潤によるその低下率、初期弾性率、耐キンク性及び/又はショア硬度を有する。
【0026】
動的貯蔵弾性率については、本発明の好ましい実施例による留置カテーテルは25℃の乾燥状態で1GPa以上の動的貯蔵弾性率を有し、また25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態に変化させたときの動的貯蔵弾性率の低下率は、20秒経過時に60%未満であり、1分経過時に60%以上である。
【0027】
動的貯蔵弾性率の測定には、水中測定が可能な動的貯蔵弾性率測定装置(DVA−225、アイティー計測制御(株)製)を用いる。25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率は、治具にサンプルを固定し、装置に水を入れずに測定周波数10Hzの条件で5分間測定する。次に動的貯蔵弾性率の低下率を求めるには、37℃に保った水の循環を行い、経時的に動的貯蔵弾性率を測定する。動的貯蔵弾性率は37℃の温水の循環開始と同時に低下し、30分後にはほぼ一定値に飽和する。そこで25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態へ変化させて30分経過した時における動的貯蔵弾性率の変化の大きさを基準(100%)とし、37℃の湿潤状態で時間tが経過したときの動的貯蔵弾性率の低下率Ep を、下記式:
Ep =〔(E0−Et)/(E0−E30)〕×100%
(ただし、E0は25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率であり、E30は37℃の湿潤状態での30分後の動的貯蔵弾性率であり、Etは37℃の湿潤状態で時間tが経過したときの動的貯蔵弾性率である。)により求める。
【0028】
25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率が1GPa未満であると、留置カテーテルはコシが不足し、穿刺時の操作性に劣る。また37℃の湿潤状態にして20秒経過時の動的貯蔵弾性率の低下率が60%以上であると、湿潤状態での留置カテーテルの柔軟化は急速すぎ、やはり操作性に劣る。一方1分経過時の動的貯蔵弾性率の低下率が60%未満であると、湿潤状態での柔軟化が遅すぎ、血管壁を損傷する可能性がある。より好ましい動的貯蔵弾性率は、20秒経過時で55%以下であり、1分経過時で65%以上である。
【0029】
初期弾性率は、穿刺時の操作性を満足するために、フッ素樹脂製の留置針と同程度に高く25℃の乾燥状態で50kgf/mm2 以上であるのが好ましい。また留置後は血管の損傷を抑えるため、37℃の湿潤状態で5分以内に25kgf/mm2 以下となるのが好ましい。より好ましくは、25℃の乾燥状態で55kgf/mm2 以上、37℃の湿潤状態で5分以内に20kgf/mm2 以下である。上述したように穿刺時から留置後への軟化度が重要であり、最適な軟化度を実現するためには、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態への変化において初期弾性率が25kgf/mm2 以上低下するのが好ましく、35kgf/mm2 以上低下するのがより好ましい。
【0030】
なお初期弾性率は、カテーテルを引張試験機ストログラフT型(東洋精機製作所(株)製)を用いて、25℃の乾燥状態及び37℃の温水に所定時間浸漬した後の湿潤状態においてそれぞれ標線間距離10mm及び試験速度5mm/ 分で引張試験を行い、得られた応力−歪み曲線の初期直線部分から算出したものである。
【0031】
耐キンク性は、血管内留置時に十分な流量を安定して確保するために、37℃の湿潤状態で10mm以上であるのが好ましく、より好ましくは12mm以上、更に好ましくは14mm以上である。また25℃の乾燥状態における耐キンク性も10mm以上であるのが好ましく、より好ましくは12mm以上、更に好ましくは14mm以上である。
【0032】
耐キンク性は図2に示す圧縮試験機オートグラフAGS−100A(島津製作所(株)製、以下圧縮試験機Aとする。)を用いて測定する。圧縮試験機Aは、上部に設けられた上下方向に一定速度で移動可能な把持具7と、下部に設けられた固定された把持具7’とを備え、把持具7、7’間に所定長に切断されたカテーテル6を配置し、軸方向の圧縮試験を行い、カテーテルに掛かる荷重の変化をチャート上に記録できるように構成されている。この圧縮試験機Aにより、サンプル長8を25mmとしたカテーテル6を50mm/ 分の試験速度で、それぞれ25℃の乾燥状態及び37℃の温水に所定時間浸漬後の湿潤状態において、以下のようにして測定する。
【0033】
カテーテル6を図2に示すように軸方向に圧縮していくと、カテーテルに掛かる荷重が変化する。図3はその荷重変化をチャートに示すものである。カテーテルを軸方向に圧縮すると、カテーテルに掛かる荷重が瞬時に増加するが、たわみ始めると荷重は低下する。更に圧縮を続けるとカテーテルの内腔が潰れて閉塞(即ちキンク)が始まり、荷重低下の変化が大きくなり、チャートに変曲点を生じる[ キンク開始点] 。カテーテル内腔がほぼ閉塞すると同時に荷重はほぼ一定となるが、この時にもチャートに変曲点を生じる[ キンク点] 。チャート上で、圧縮試験を開始した時点[ 始点] からカテーテル内腔が閉塞する[ キンク点] までを判定し、この間移動した把持具7の移動距離9(mm)で耐キンク性を表す。
【0034】
穿刺時の良好な操作性を得るためには、各ポリウレタン樹脂のショア硬度は60D以上であるのが好ましい。ショア硬度が60D未満では、カテーテルのコシが充分でなく、穿刺時の操作性に支障をきたすおそれがある。なおショア硬度が85Dを超えるものは、押出成形性が低く、所望のカテーテルに成形するのが難しい。実用上より好ましいショア硬度の範囲は65〜80Dである。
【0035】
本発明の留置カテーテルは、留置後にカテーテルの切断事故が発生した場合等にX線により位置確認を可能とするため、ポリウレタン樹脂にX線不透過物質を混合してなるストライプを有しても良い。ストライプを成形するには、ポリウレタン樹脂にX線不透過物質、例えば硫酸バリウム、タングステン、酸化ビスマス、炭酸ビスマス、金等を混合した樹脂を、X線不透過物質を混合していないポリウレタン樹脂と同時に押出成形することによって、容易に製造することができる。勿論X線不透過物質として使用できるものは、上記に限定されるものではない。ストライプは、一般的な共押出成形によって容易に成形することができ、押出成形ダイの設計によって、ストライプを所望の形状及び数に成形することも可能である。
【0036】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお実施例で使用したポリウレタン樹脂は、各種のソフトセグメント成分に、ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びジオールとして1,4−ブタンジオールからなる他の成分を、[NCO]/[OH]のモル比=1の割合で配合し、ワンショット法又はプレポリマー法により合成したものである。なお以下の実施例においてポリウレタン樹脂の成分としてポリグリコールのみ記載しているが、他の成分は上記と同じである。
【0037】
実施例1
分子量550のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを37重量%含有し、ショア硬度が78Dのポリウレタン樹脂と、分子量2000のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを42重量%含有するショア硬度が68Dのポリウレタン樹脂とを6:4の重量比で溶融ブレンドし、内径0.65mm及び外径0.88mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテル6を有効長25mmとなるように、かしめピン(図示せず)にてハブ3に接合し、内針ハブ4に接合された内針2をカテーテル内腔に挿入し、さらに内針ハブ4後端にフィルターキャップ5を接続して、図1に示す留置針1を作製した。
【0038】
この留置針1に用いたカテーテル6に対して、前述の方法に従って、引張試験機ストログラフT型(東洋精機製作所(株)製)を用いて引張試験を行い、25℃の乾燥状態及び37℃の温水に所定時間浸漬後の湿潤状態における初期弾性率を測定した。
【0039】
このカテーテル6の耐キンク性は、図2に示す圧縮試験機Aを用いて前述した方法に従い、25℃の乾燥状態及び37℃の温水にそれぞれ所定時間浸漬後の湿潤状態において測定した。
【0040】
このカテーテルの初期弾性率及び耐キンク性は、それぞれ図4及び図5に示す通りであった。25℃の乾燥状態(図4中、0分)での初期弾性率は59kgf/mm2 であり、血管留置操作に対して十分なコシの強さを示した。また37℃の湿潤状態では速やかに柔軟となり、5分後には14kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。耐キンク性は、25℃の乾燥状態(図5中、0分)において12.9mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後において14.2mmと良好であった。
【0041】
次に上述の試験法に従い、それぞれ25℃の乾燥状態時、37℃の湿潤状態にして20秒経過時及び1分経過時において、このカテーテル6の動的貯蔵弾性率を測定し、37℃の湿潤状態にして20秒後及び1分後の動的貯蔵弾性率の低下率を求めた。結果を表1に示す。37℃の湿潤状態にして20秒後の動的貯蔵弾性率の低下率は54%、1分後の低下率は74%と、良好な弾性率の低下挙動を示した。
【0042】
実施例2
分子量550のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを46重量%含有するショア硬度が70Dのポリウレタン樹脂と、分子量2000のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを32重量%含有するショア硬度が74Dのポリウレタン樹脂とを1:1の重量比で溶融ブレンドし、内径0.66mm及び外径0.89mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテル6を用いて、実施例1と同様に留置針1を作製し、カテーテル6の初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。
【0043】
このカテーテルの初期弾性率及び耐キンク性は、図4及び図5に示す通りであった。25℃の乾燥状態での初期弾性率は58kgf/mm2 と高く、穿刺時にコシが強くて血管留置操作が容易であることが分かる。また37℃の湿潤状態では速やかに柔軟となり、5分後には14kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。耐キンク性は25℃乾燥状態において14.3mmであり、37℃の温水に10分間浸漬した後では14.8mmと良好であった。
【0044】
実施例3
分子量1000のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを32重量%含有するショア硬度が76Dのポリウレタン樹脂と、分子量2000のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを37重量%含有するショア硬度70Dのポリウレタン樹脂とを1:1の重量比で溶融ブレンドし、内径0.65mm及び外径0.88mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテル6を用いて実施例1と同様に留置針1を作製し、カテーテル6の初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。
【0045】
このカテーテルの25℃の乾燥状態での初期弾性率は58kgf/mm2 と高く、穿刺時にコシが強く血管留置操作が容易であることが分かった。また37℃の湿潤状態で速やかに柔軟となり、5分後には20kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。耐キンク性は、25℃の乾燥状態において13.5mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後において15.1mmと良好であった。
【0046】
実施例4
分子量550のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを37重量%含有するショア硬度が78Dのポリウレタン樹脂と、分子量3000のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを37重量%含有するショア硬度が66Dのポリウレタン樹脂とを6:4の重量比で溶融ブレンドし、内径0.66mm及び外径0.88mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテル6を用いて、実施例1と同様に留置針1を作製し、カテーテル6の初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。
【0047】
このカテーテルの25℃の乾燥状態での初期弾性率は58kgf/mm2 と高く、穿刺時にコシが強く血管留置操作が容易であることが分かった。また37℃湿潤状態で速やかに柔軟となり、5分後には18kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。耐キンク性は、25℃の乾燥状態において11.8mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後において16.2mmと良好であった。
【0048】
実施例5
分子量1000のポリヘキサメチレンカーボネートグリコールからなるソフトセグメントを37重量%含有するショア硬度が78Dのポリウレタン樹脂と、分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートグリコールからなるソフトセグメントを42重量%含有するショア硬度が64Dのポリウレタン樹脂を1:1の重量比で溶融ブレンドし、内径0.65mm及び外径0.89mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテル6を用いて、実施例1と同様に留置針1を作製し、カテーテル6の初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。
【0049】
このカテーテルの25℃の乾燥状態での初期弾性率は58kgf/mm2 と高く、穿刺時にコシが強く血管留置操作が容易であることが分かった。また37℃の湿潤状態で速やかに柔軟となり、5分後には21kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。耐キンク性は、25℃の乾燥状態において15.1mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後において17.5mmと良好であった。
【0050】
次に上述の試験法に従い、それぞれ25℃の乾燥状態時、37℃の湿潤状態にして20秒経過時及び1分経過時において、このカテーテル6の動的貯蔵弾性率を測定し、37℃の湿潤状態にして20秒後及び1分後の動的貯蔵弾性率の低下率を求めた。結果を表1に示す。37℃の湿潤状態にして20秒後の動的貯蔵弾性率の低下率は52%であり、また1分後の低下率は69%であり、良好な弾性率の低下挙動を示した。
【0051】
実施例6
分子量650のポリテトラメチレングリコールからなるソフトセグメントを32重量%含有するショア硬度が79Dのポリウレタン樹脂と、分子量2000のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを42重量%含有するショア硬度が65Dのポリウレタン樹脂を7:3の重量比で溶融ブレンドし、内径0.65mm及び外径0.88mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテル6を用いて、実施例1と同様に留置針1を作製し、カテーテル6の初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。
【0052】
このカテーテルの25℃の乾燥状態での初期弾性率は60kgf/mm2 と高く、穿刺時にコシが強く血管留置操作が容易であることが分かった。また37℃の湿潤状態で速やかに柔軟となり、5分後には16kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。耐キンク性は、25℃の乾燥状態において10.2mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後において14.8mmと良好であった。
【0053】
実施例7
分子量1000のポリヘキサメチレンカーボネートグリコールからなるソフトセグメントを37重量%含有するショア硬度が78Dのポリウレタン樹脂と、分子量2000のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを42重量%含有するショア硬度が65Dのポリウレタン樹脂を6:4の重量比で溶融ブレンドし、内径0.67mm及び外径0.87mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテル6を用いて、実施例1と同様に留置針1を作製し、カテーテル6の初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。
【0054】
このカテーテルの25℃の乾燥状態での初期弾性率は61kgf/mm2 と高く、穿刺時にコシが強く血管留置操作が容易であることが分かった。また37℃の湿潤状態で速やかに柔軟となり、5分後には21kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。このカテーテルの耐キンク性は25℃の乾燥状態で10.0mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後において12.5mmであった。
【0055】
実施例8
分子量650のポリテトラメチレングリコールからなるソフトセグメントを32重量%含有するショア硬度が79Dのポリウレタン樹脂と、分子量2000のポリテトラメチレングリコールからなるソフトセグメントを42重量%含有するショア硬度が67Dのポリウレタン樹脂を6:4の重量比で溶融ブレンドし、内径0.68mm及び外径0.86mmのカテーテル6を押出し成形した。このカテーテル6を用いて、実施例1と同様に留置針1を作製し、カテーテル6の初期弾性率を実施例1と同様に測定した。
【0056】
このカテーテルの25℃の乾燥状態での初期弾性率は67kgf/mm2 と高く、穿刺時にコシが強く血管留置操作が容易であることが分かった。また37℃の湿潤状態で速やかに柔軟となり、5分後には20kgf/mm2 と良好な柔軟性を示した。
【0057】
実施例9
分子量650のポリテトラメチレングリコールからなるソフトセグメントを32重量%含有するショア硬度が79Dのポリウレタン樹脂と、分子量2000のポリテトラメチレングリコールからなるソフトセグメントを42重量%含有するショア硬度が65Dのポリウレタン樹脂を7:3の重量比で溶融ブレンドし、内径0.65mm及び外径0.88mmのカテーテル6を押出し成形した。得られたカテーテル6について、上述の試験法に従い、それぞれ25℃の乾燥状態時、37℃の湿潤状態にして20秒経過時及び1分経過時において、動的貯蔵弾性率を測定し、37℃の湿潤状態にして20秒後及び1分後の動的貯蔵弾性率の低下率を求めた。結果を表1に示す。37℃の湿潤状態にして20秒後の動的貯蔵弾性率の低下率は45%、1分後の低下率は69%と、良好な弾性率の低下挙動を示した。
【0058】
比較例1
エチレン−テトラフルオロエチレン樹脂を用いて押出し成形した内径0.64mm及び外径0.83mmのカテーテルから留置針を作製し、カテーテルの初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。このカテーテルの初期弾性率及び耐キンク性は図4及び図5に示す通りであった。25℃の乾燥状態での初期弾性率は63kgf/mm2 で、血管留置操作に対して十分なコシの強さを示したが、37℃の湿潤状態でも初期弾性率は59kgf/mm2 とほとんど柔軟化しなかった。耐キンク性は25℃の乾燥状態で7.0mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後において6.8mmと低かった。
【0059】
比較例2
分子量550のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを37重量%含有するポリウレタン樹脂を用いて押出し成形した内径0.68mm及び外径0.89mmのカテーテルから留置針を作製し、カテーテルの初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。このカテーテルは、25℃の乾燥状態での初期弾性率が100kgf/mm2 と非常に高く、コシはあったが、37℃の温水に10分間浸漬した後の初期弾性率は30kgf/mm2 と十分に柔軟化しなかった。耐キンク性は25℃の乾燥状態で11.8mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後では13.5mmと良好であったが、一度キンクした部位は復元せず、閉塞したままだった。
【0060】
比較例3
分子量550のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを46重量%含有するポリウレタン樹脂を用いて押出し成形した内径0.68mm及び外径0.89mmのカテーテルから留置針を作製し、カテーテルの初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。このカテーテルは、25℃の乾燥状態での初期弾性率が15kgf/mm2 と柔軟であり、37℃の温水に10分間浸漬した後の初期弾性率は1kgf/mm2 と非常に柔軟であった。耐キンク性は25℃の乾燥状態で11.1mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後では13.5mmと良好であったが、乾燥状態で一度キンクした部位は復元せず閉塞したままだった。またこのカテーテルは37℃の湿潤状態では柔軟すぎ、押しつぶれやすかった。
【0061】
比較例4
分子量2000のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを32重量%含有するポリウレタン樹脂を用いて押出し成形した内径0.67mm、外径0.90mmのカテーテルから留置針を作製し、カテーテルの初期弾性率及び耐キンク性を実施例1と同様に測定した。このカテーテルの初期弾性率及び耐キンク性は図4及び図5に示す通りであった。耐キンク性は、25℃の乾燥状態で11.5mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後において13.2mmと良好であった。しかしながら、このカテーテルの25℃の乾燥状態での初期弾性率は63kgf/mm2 と高かったが、37℃の温水に10分間浸漬した後は27kgf/mm2 と充分柔軟とはならなかった。
【0062】
比較例5
分子量2000のポリカプロラクトングリコールからなるソフトセグメントを42重量%含有するポリウレタン樹脂を用いて押出し成形した内径0.66mm及び外径0.88mmのカテーテルから留置針を作製し、カテーテルの初期弾性率、耐キンク性を実施例1と同様に測定した。このカテーテルの初期弾性率及び耐キンク性は、図4及び図5に示す通りであった。このカテーテルは37℃の温水に10分間浸漬した後の初期弾性率が8kgf/mm2 と充分に柔軟であったが、25℃の乾燥状態でも20kgf/mm2 と柔軟であり、弾性率の変化は大きくなかった。また押し込み性に乏しく、穿刺手技が困難であった。耐キンク性は25℃の乾燥状態で9.2mmであり、また37℃の温水に10分間浸漬した後では10.4mmと良好ではなかった。
【0063】
比較例6
市販の留置針(フレフロキャス22G、ニプロ社製)のカテーテルについて、上述の試験法に従い、それぞれ25℃の乾燥状態時、及び37℃の湿潤状態にして20秒経過時及び1分経過時において動的貯蔵弾性率を測定し、かつ37℃湿潤状態にして20秒後及び1分後の動的貯蔵弾性率の低下率を求めた。結果を表1に示す。37℃の湿潤状態にして20秒後に既に動的貯蔵弾性率は75%まで低下しており、留置操作に支障をきたすことが分かる。
【0064】
比較例7
分子量2000のポリテトラメチレングリコールからなるソフトセグメントを42重量%含有するショア硬度が65Dのポリウレタン樹脂から、内径0.69mm及び外径0.88mmのカテーテルを押出し成形した。このカテーテルについて上述の試験法に従い、それぞれ25℃の乾燥状態時、及び37℃の湿潤状態にして20秒経過時及び1分経過時において動的貯蔵弾性率を測定し、かつ37℃の湿潤状態にして20秒後及び1分後の動的貯蔵弾性率の低下率を求めた。結果を表1に示す。37℃の湿潤状態にして1分経過した時点での動的貯蔵弾性率の低下率は59%と小さかった。
【0065】
【0066】
【発明の効果】
以上述べた通り、本発明の留置カテーテルは、25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率が1GPa以上と大きいとともに、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態にして時間tが経過したときの動的貯蔵弾性率の低下率が、20秒経過時に60%未満であり、かつ1分経過時に60%以上であるので、穿刺時のコシが十分にあるとともに、留置後は適度な速度で柔軟化する。本発明の留置カテーテルはまた、25℃乾燥状態及び37℃の湿潤状態でともに10mm以上の耐キンク性を有し、留置後のカテーテルの流路を安全に確保することができる。また従来のカテーテルとは異なり、耐キンク性を損なうことなく、穿刺時には十分なコシがあり、留置後は適切な速度で柔軟となるので、血管壁への損傷を著しく軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の留置針の概略図である。
【図2】耐キンク性の測定に使用する圧縮試験機A及び圧縮試験方法を示す概略図である。
【図3】カテーテルにかかる荷重と把持具の移動距離との関係を示すグラフであり、カテーテルの耐キンク性を表す。
【図4】37℃の温水への浸漬時間と初期弾性率との関係を示すグラフである。
【図5】37℃の温水への浸漬時間と耐キンク性との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・留置針
2・・・内針
3・・・ハブ
4・・・内針ハブ
5・・・フィルターキャップ
6・・・カテーテル
7・・・把持具(移動)
7’・・把持具(固定)
8・・・サンプル長
9・・・把持具の移動距離
Claims (8)
- 分子量が異なるポリグリコールを含有する複数のポリウレタン樹脂のブレンドからなる留置カテーテルであって、前記複数のポリウレタン樹脂が、分子量500〜1500のポリグリコールを20〜70重量%含有する第一のポリウレタン樹脂、及び分子量1500〜3000のポリグリコールを20〜70重量%含有する第二のポリウレタン樹脂を含有し、前記第一のポリウレタン樹脂中のポリグリコールの分子量と前記第二のポリウレタン樹脂中のポリグリコールの分子量との差が500以上であることを特徴とする留置カテーテル。
- 請求項1に記載の留置カテーテルにおいて、各ポリウレタン樹脂がジイソシアネート、ジオール系鎖延長剤及びポリグリコールを主成分とし、前記ポリグリコールがそれぞれ異なる分子量を有することを特徴とする留置カテーテル。
- 複数のポリウレタン樹脂のブレンドからなる留置カテーテルであって、前記複数のポリウレタン樹脂が、分子量500〜1500のポリグリコールを20〜70重量%含有する第一のポリウレタン樹脂、及び分子量1500〜3000のポリグリコールを20〜70重量%含有する第二のポリウレタン樹脂を含有し、前記第一のポリウレタン樹脂中のポリグリコールの分子量と前記第二のポリウレタン樹脂中のポリグリコールの分子量との差が500以上であり、25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率が1GPa以上であり、25℃の乾燥状態から37℃の湿潤状態にして時間tが経過したときの動的貯蔵弾性率の低下率Ep を、下記式:
Ep =〔(E0−Et)/(E0−E30)〕×100%
(ただし、E0は25℃の乾燥状態での動的貯蔵弾性率であり、E30は37℃の湿潤状態での30分後の動的貯蔵弾性率であり、Etは37℃の湿潤状態で時間tが経過したときの動的貯蔵弾性率である。)により表したとき、20秒経過時の動的貯蔵弾性率の低下率Ep が60%未満であり、1分経過時の低下率Ep が60%以上であることを特徴とする留置カテーテル。 - 請求項3に記載の留置カテーテルにおいて、前記ポリウレタン樹脂がジイソシアネート、ジオール系鎖延長剤及びポリグリコールを主成分とし、前記ポリグリコールの分子量がそれぞれ異なることを特徴とする留置カテーテル。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の留置カテーテルにおいて、前記第一のポリウレタン樹脂と前記第二のポリウレタン樹脂との重量比が8:2〜2:8であることを特徴とする留置カテーテル。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の留置カテーテルにおいて、前記ポリウレタン樹脂が4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ブタンジオール及びポリカプロラクトングリコールの反応生成物であり、60D以上のショア硬度を有することを特徴とする留置カテーテル。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の留置カテーテルにおいて、耐キンク性が25℃の乾燥状態及び37℃の湿潤状態でともに10mm以上であることを特徴とする留置カテーテル。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の留置カテーテルにおいて、初期弾性率が25℃の乾燥状態で50kgf/mm2 以上であり、37℃の湿潤状態とすると5分以内に25kgf/mm2以下となることを特徴とする留置カテーテル。
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