JP4568879B2 - 土壌診断用バイオセンサおよびこれを用いた土壌診断法 - Google Patents

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本発明は土壌診断用バイオセンサおよび土壌診断法に関する。さらに詳しくは、微生物を用いた土壌診断に好適に用いられるバイオセンサおよびこれを用いた土壌診断法に関する。
圃場における生産性および作業性の向上には、連作が最も好ましい手段である一方で、植物の土壌病害が発生しやすくなるという問題があった。こうした病害は、土壌伝染性植物病原微生物が起因していることが多い。そこで、目的とする農作物の成長に適した微生物(拮抗作用を有する微生物を含む一般土壌微生物)を土壌に加え、土壌の改質を図るなどの方法が採られていた。しかし、この方法では、添加する微生物の種類や量の的確な判断がつきにくいために、望んだとおりの収穫を得るには、経験や感に頼るしかなかった。
かかる問題を解決するためには、土壌に生息するすべての伝染性植物病原微生物および一般土壌微生物について菌数および種類をすべて調査することが理想的であるが、現実的には困難である。そこで、菌体の検出法として、抗体を用いる方法およびDNAプローブを用いる方法などが用いられ、また菌体の計数法としては、選択培地または顕微鏡を用いた方法が用いられている。しかし、これらの方法では操作に熟練を要したり、検体の前処理をはじめ、増幅反応や培養などに時間を要するなどの問題点があった。
特開平05−026880号公報 特表2001−519168号公報
さらに、従来から行われている土壌診断法として、検体土壌を使用して植物の生育状態を調べるポット試験などの方法がある。この方法では簡便且つ安価に土壌診断法が行える反面、結果を得るまでに半月から1ヶ月程度かかるため、所望の農作物を栽培するための農期を逃す恐れがある。その他、上記土壌診断法では植物の生育が土壌の状態に限らず、周囲の環境の影響を大いに受けるという問題点もあった。
本発明の目的は、土壌中に存在する微生物の種類や量を簡易に調べることができ、携帯が可能な使い捨て型の土壌診断用センサおよび土壌診断法を提供することにある。
本発明の目的は、底部絶縁性基板上に、底部絶縁性基板とともに反応槽を形成するスペースを有する下部スペーサーを介して、少なくとも作用極および対極の2電極を設けた上部絶縁性基板を、電極表面が底部絶縁性基板側に対向して下部スペーサーに設けられたスペースの一部を覆うように配し、さらに上部絶縁性基板の電極が形成されていない面上に、下部スペーサーと同一形状の上部スペーサーを設けた、作用極上および/またはその周辺部にメディエータ層または微生物−メディエータ混合物層を形成せしめた土壌診断用バイオセンサによって達成される。この土壌診断用バイオセンサを用い、1種類の微生物から得られるセンサ応答または性質の異なる少なくとも2種類の微生物から得られる個別のセンサ応答を比較することにより、土壌の評価・診断が行われる。
本発明の土壌診断用センサは、電極表面が下を向いているために土壌懸濁液の測定の際、粒子状物質の電極表面への堆積の影響を受けないですみ、試料液中の懸濁粒子の影響を受けにくいといったすぐれた特徴を有する。また、土壌試料測定の際に溶存酸素を土壌診断の指標としないため、センサ部分のチップ化が容易となり、使い捨て型の土壌診断用センサを製作することにより、携帯性および経済性に優れた土壌診断システムが実現できる。これにより、場所を選ぶことなく、現場での即時診断が可能となる。さらに、バイオセンサ法の特徴である簡便性、迅速性に加え、メディエータの使用により溶存酸素濃度に影響されることなく、土壌懸濁液に対する応答を測定することができる。
本発明で用いられる原理は、以下の通りである。すなわち、微生物を土壌懸濁液に存在させると、微生物は土壌懸濁液中の有機化合物をエネルギー獲得のために代謝する。その過程において、呼吸鎖の電子伝達系に電子の移動が起こる。この際、代謝される有機物濃度と移動する電子の量には相関がある。したがって、この移動する電子の量を測定することによって、微生物のまわりに存在する有機物濃度がわかり、土壌懸濁液に対する応答を得ることができる。この電子の移動量を直接計測することは困難であるので、本発明においては、上記構成を有する土壌診断用センサに土壌懸濁液を注入し、センサの作用電極と対極および/または参照電極との間に、電子が移動しやすいように一定または走査型の電位差を負荷し、両電極間に流れる電流を計測する。
ここで、微生物が試料液中の有機物を資化して呼吸活性が高まると、結果として微生物膜近傍の溶存酸素濃度は低下することを利用して、溶存酸素の減少量により土壌懸濁液に対する応答を調べる方法も考えられるが、もともと水溶液に僅かにしか溶けない酸素の濃度範囲で正確な値を測定することは困難であること、また酸素電極の構造は、電極内に電解液等を内蔵するため、ある程度の大きさが必要であることから、溶存酸素濃度を高感度に計測できるバイオセンサシステムは卓上型としては実現可能性があるとしても、携帯可能なものの作成は困難である。
以下に、本発明の土壌診断用センサの構成を説明する。
本発明に係る使い捨て可能な土壌診断用バイオセンサは、絶縁性基板上にスペーサーを介し、反応槽のカバーを担い、かつ反応槽側に固定された2〜3個の電極を有する上部絶縁性基板、好ましくは上部絶縁性基板上に設けられた上部反応槽を形成する上部スペーサーから構成される。さらには、上部スペーサー上に接着・剥離が可能な保護フィルムを設けることもできる。電極上および/またはその周辺部にはメディエータのみを予め固定しておき、微生物と土壌懸濁液を測定時に反応槽内に導入してもよいし、あるいは微生物とメディエータの混合物を予め電極上および/またはその周辺部に固定しておき、測定時には測定試料土壌懸濁液等を導入することもできる。
センサ底部を構成する絶縁性基板としては、平板状であって、試料液および試薬の固定化に用いる各種化合物に対して安定であり、スペーサーとの接着性がよく、バイオセンサが使用に耐えうる強度を有するためのバイオセンサ全体を支持できる素材であれば特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、フェノール樹脂などのプラスチックやガラスエポキシ樹脂、ガラス、ポリ乳酸などの生分解性材料、試料溶液が浸透しないように表面処理された紙などが用いられる。
スペーサーとしては、センサ底部構成する絶縁性基板と同様の材質のものが例示される。このスペーサーとセンサ底部絶縁性基板は、一体成形されていてもよい。
センサ上部を構成する絶縁性基板としては、平板状であって、試料液および試薬の固定化に用いる各種化合物に対して安定であり、スペーサーとの接着性がよく、バイオセンサが使用に耐えうる強度を有するためのバイオセンサ全体を支持できる素材であれば特に制限されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、フェノール樹脂、硬質ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂などのプラスチック、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂、ガラス、ポリ乳酸などの生分解性材料、試料溶液が浸透しないように表面処理された紙などが用いられる。
上部絶縁性基板上には、同一平面上に互いに接触しないように2または3個の導体が形成される。これらの導体は、2個用いられる場合には、本発明のバイオセンサを用いて試料液を測定する際に、一方が作用極として、他方が対極とされるものであり、3個用いられる場合には、追加された1個は参照極とされるものか、あるいは2個が作用極として、残り1個が対極とされるものである。なお、作用極はバイオセンサを用いて試料中の測定対象物質を定性的、定量的に測定する際に電圧が印加されて測定試料中の生体触媒反応による変化を電気的に検知する電極、対極は作用極との間に電流を起こさせるために設けられる電極、参照電極は作用極の電位設定の基準となる電極である。ここで、対極と参照極は兼用することが可能であり、本発明においても、必要に応じて1個の導体に対極と参照極の両方の役割を持たせることができる。
導体としては、安定であり、かつ、導電性が大きく、生体触媒に対して実質的に無害なもの、例えば、白金、金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、チタン、イリジウム、鉛、酸化錫、白金黒等の金属、またはグラファイト、カーボン、カーボンナノ構造体等の炭素素材が挙げられる。導体は、用いられる導体、絶縁基板の素材や形状にもよるが、通常絶縁性基板上に、蒸着、スパッタリング、スクリーン印刷、箔貼り付け、メッキ等の方法で、互いに接触しないように形成される。
上部絶縁性基板上の作用極上および/またはその周辺部には、さらにメディエータ固定化層が設けられる。
メディエータとしては、微生物から電極に電子が移行するのを促進するものであればよく、具体的には1-メトキシ-5-メチルフェナジニウムメチルスルフォネート(1-M-PMS)、2,6-ジクロロインドフェノール(DCIP)、9-ジメチルアミノベンゾ-α-フェナゾキソニウムクロライド、メチレンブルー、インジゴトリスルホン酸、フェノサフラニン、チオニン、ニューメチレンブルー、2,6-ジクロロフェノール、インドフェノール、アズレB、N,N,N´,N´-テトラメチル-p-フェニレンジアミンジヒドロクロリド、レゾルフィン、サフラニン、ソディウムアントラキノンβ−スルフォネート、インジゴカーミン等の色素、リボフラビン、L-アスコルビン酸、フラビンアデニンジヌクレオチド、フラビンモノヌクレオチド、ニコチンアデニンジヌクレオチド、ルミクロム、ユビキノン、ハイドロキノン、2,6-ジクロロベンゾキノン、2-メチルベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシベンゾキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、グルタチオン、パーオキシダーゼ、チトクロムC、フェレドキシン等の生体酸化還元物質又はその誘導体、その他Fe-EDTA、Mn-EDTA、Zn-EDTA、メソスルフェート、2,3,5,6-テトラメチル-p-フェニレンジアミン、フェリシアン化カリウム、メチルビオローゲン、ビタミンK3(2-メチル-1,4-ナフトキノン)、デュロヒドロキノン、フェロセンカルボン酸、フェナジンメトスルフェート等、好ましくはフェリシアン化カリウム、DCIP、1-M-PMSおよび9-ジメチルアミノベンゾ-α-フェナゾキソニウムクロライドが用いられる。メディエータは、微生物により有機物が代謝されて生じる電子が、電極に移行するのを促進するものであり、その濃度は、40nM以上、好ましくは10mM〜500mM、さらに好ましくは20mM〜100mM程度で用いられる。
メディエータを固定化する方法としては、メディエータ固定化層内に試薬が均一に分散された状態に固定化できる方法であれば特に制限されず、メディエータを固定化するための固定化材料としては、アルギン酸ゲル、カラギーナンゲル、アガロースゲル、カードランゲル、キトサンゲル、グルタルアルデヒドなどのマトリックスを形成する材料を用いる方法、グリセロール、トレハロースまたはデキストラン、プルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの親水性ポリマーなどのマトリックスを形成しない材料を用いる方法またこれらを組み合わせる方法を用いることができる。ただし、固定化材料としては、これを用いて得られるメディエータ固定化層が、本発明の効果を損なうような溶出成分を溶出しないような固定化材料が用いられる。なお、固定化材料として、マトリックスを形成しかつ試料液に溶解しない材料を用いて、メディエータ固定化層を作製した場合でも、通常、メディエータの分子はマトリックスサイズに比べて遙かに小さいので、メディエータ固定化層に試料液が接触すれば、メディエータは試料液中に十分に溶解することができる。
微生物は、メディエータ上にあるいはメディエータと共に固定されるか、測定時に試料液と共に即時土壌診断が可能な懸濁状態で添加される。前者の場合には、土壌診断を現場にて即時に行うことが可能であり、また後者にあっては長期保存可能な凍結乾燥微生物を使用することができ、目的とする測定項目に応じて、適宜微生物を選択することが可能となる。懸濁液として用いる場合には、菌体濃度が定まっていることが望ましい。また、いずれの場合においても、微生物は生存していることが望ましい。
メディエータ上に微生物を固定または微生物をメディエータと共に混合物として固定化する場合の固定化方法としては、生体触媒固定化に用いる固定化方法と同様の方法を特に制限なく挙げることができ、具体的には、微生物またはこれとメディエータとの混合物を、アルギン酸ゲル、カラギーナンゲル、アガロースゲル、カードランゲル、キトサンゲル等の担体であるゲルマトリックス中に封入して固定化する方法、光架橋性ポリビニルアルコールなどの光硬化性樹脂、ポリアクリルアミド等の三次元架橋構造体中に組み込んで固定化する方法などが挙げられ、好ましくは、微生物の保存時における乾燥を避ける観点から、固定化後に微生物が乾燥しない状態で保存可能な固定化方法、例えば、アルギン酸ゲル、カラギーナンゲル、アガロースゲル、カードランゲル、光架橋性ポリビニルアルコール等による包括固定化方法が用いられる。また、バイオセンサを構成する基板表面に電極としての導体と電気的に接続される状態で、グルタルアルデヒド等を用いて微生物に固定化したものでもよい。さらにこれらの方法は、組み合わせて用いることも可能である。
上記各種高分子構造中に微生物またはこれとメディエータの混合物を含有させて微生物を固定化するには、高分子原料液に、微生物またはこれとメディエータの混合物を、好ましくは懸濁液として配合したものを、反応槽内の所望の範囲に適当な方法で適当な厚さに塗布した後、各高分子に適する方法でこれを固化・硬化させることにより行われる。
例えばグルタルアルデヒドによる固定については、混合液の懸濁液を所望の範囲に適当な方法で塗布した後、これを適当な濃度のグルタルアルデヒド水溶液の蒸気に曝すことで微生物を固定化することができる。
本発明のバイオセンサにおける上記混合物固定化層の厚さは、特に制限されるものではないが、好ましくは10〜200μm程度の厚さが挙げられる。
また、ろ紙など微生物固定化担体を反応槽内に固定する方法としては、例えば、耐水性エポキシ等の接着剤や両面接着テープ等による接着、熱融着等の方法が挙げられる。
反応槽内に固定化されるメディエータと微生物以外の混合物に含まれる試薬として、具体的には、緩衝剤、保存安定剤、微生物の資化物質などが挙げられる。これら試薬としては、微生物が固定されたバイオセンサによる各種試料液の測定時に試料液に通常添加される試薬と同様のものが特に制限なく挙げられる。
より具体的には、緩衝剤として、トリス塩酸緩衝液用組成物、酢酸緩衝液用組成物、リン酸緩衝液用組成物、マレイン酸緩衝液用組成物、クエン酸緩衝液用組成物、Goods緩衝液等が挙げられ、保存安定剤として、抗生物質、忌避物質、ホルモン、トレハロース、デキストランやプルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの親水性ポリマー、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、グリセリン等が挙げられる。特に、抗生物質は、微生物を資化する恐れのあるカビや空気中の雑菌の発生を防ぐために有効である。また、微生物の資化物質として、例えばグルコース、グルタミン酸等のアミノ酸、酵母エキス、麦芽エキス、ミートエキス、トリプトン、ペプトン、ビタミン、ミネラルなどの他、培地成分として、LB培地、ポテトデキストロース(PD)培地、L培地、YM培地、MY培地、M9培地、Bennet培地などのうち少なくとも一種が用いられる。
以上の試薬固定化用の固定化材料は、グリセロール、トレハロースまたはデキストラン、プルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの親水性ポリマーなどの試料液測定時に試料液中に試薬と共に溶解する材料であっても、アルギン酸ゲル、カラギーナンゲル、アガロースゲル、カードランゲル、キトサンゲル、グルタルアルデヒドなど試薬と共に溶解しない材料であってもよい。
各固定化方法で得られる試薬固定化層は、通常は湿潤状態にある。そのため、低温における保存安定化剤としてグリセリンを含ませることで、低温もしくは極低温での長期保存に耐えうる形態とすることができる。また、試薬固定化層を湿潤状態のままにしておく代わりに、バイオセンサ作製後、保存期間を経てからこれを使用する場合には特に、試薬を安定して保存できるといった観点から、湿潤状態の試薬固定化層を適当な乾燥処理によって乾燥状態にすることが好ましい。乾燥の手法としては、一般的な手法、例えば、加温による乾燥、真空乾燥等が挙げられる。
試薬固定化層の厚さは、特に制限されるものではないが、乾燥状態において、好ましくは、5〜100μm程度の厚さが挙げられる。
このようにして固定化された試薬は、試料液測定時に、反応槽部に注入、保持される試料液中に溶け出す。
固定化される試薬の量は、試薬の種類や上記反応槽部に保持される試料液の量により適宜選択され、例えば1〜200mg程度用いられる。
微生物は、培養ができない場合には、土壌または植物の根、その他から直接採取したもの、培養が可能な微生物であれば、その微生物にあった条件下で培養したもののいずれも用いることができる。ここで実用的な手段としては、これらの微生物を長期の保存に耐えうる形態にしておくことが好ましく、保存方法としては、緩衝液、塩分および資化剤などの少なくとも一種を含む水溶液に懸濁させたものを使用まで冷蔵保存する方法、グリセロールなどを代表とする不凍液を使用して氷点下で保存する方法、凍結乾燥保存したりする方法などが挙げられる。直接採取または培養直後の微生物に関しては、飢餓状態にして、個々の微生物菌体の状態を合わせる(同調)目的でエアレーションなどのコンディショニングを行なってもよい。また、保存した微生物に関しても、測定に使用できる状態にする目的で前記コンディショニングを行なってもよい。
微生物としては、有機物を代謝することにより電子伝達系に電子の移動が起こるものであればよく、特に制限されない。原核微生物及び真核微生物のいずれも使用できるが、真核生物細胞内では呼吸鎖の電子伝達がミトコンドリア内で行われるため、作用電極に移動する電子の量が比較的少ないので、測定感度の点では原核微生物が好ましい。
微生物の種類については特別な制限はなく、従来技術により分離・培養可能な微生物であればよい。また、根こぶ病菌のような培養できない微生物についても植物体を利用した増殖方法を利用して増殖し単離すれば、使用することができる。さらに、使用する微生物は実用性を考慮し、前記のごとく、何らかの方法により保存が可能な形態をとることができることが望ましい。
微生物の種類としては、土壌伝染性植物病原微生物および一般(土壌)微生物が挙げられる。
土壌伝染性植物病原微生物としては、細菌類、放線菌類、糸状菌類に分けられる。
土壌伝染性植物病原性細菌類としては、青枯病菌(Ralstonia solanacearum)、軟腐病菌(Erwinia属、Pseuadmonas属)、根頭がんしゅ病菌(Agrobacterium属)などが挙げられる。
土壌伝染性植物病原性放線菌類としては、そうか病菌(Streptomyces属)が挙げられる。
土壌伝染性植物病原性糸状菌類としては、苗立枯病菌(Pythium属、Rhizoctonia属など)、根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae)、疫病菌(Phytophutora属)、Verticillium属、Fusarium属、Rhizoctonia属、紋羽病菌(Helicobasidium属、Roselhnia属)、白絹病菌Corticium属)、褐色根腐病菌(Pyrenochaeta属)、条斑病菌(Cephalosporium属)、乾腐病菌(Cylindrocarpon属)などが挙げられる。
本発明の一般(土壌)微生物としては、拮抗性細菌類、拮抗性糸状菌類、(以上、拮抗微生物類)、一般(土壌)細菌類、一般(土壌)糸状菌類、一般(土壌)放線菌類などに分けられる(土と微生物、(1981) 土壌微生物研究会編 博友杜)。
拮抗性細菌類としては、例えばバチルス(Bacillus)属、非病原性アグロバクテリウム(Agurobacterium)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、非病原性エルピニア(Erwinia)属、パスツリア(Pasteuria)属などが挙げられる。
拮抗性糸状菌類としては、例えばアスペルギルス(Aspergillus)属、非病原性フザリウム(Fusarium)属、グリオクラディウム(Gliocladium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、ピシウム(Pythium)属、トリコデルマ(Trichoaerma)属、フォーマ(Phoma)属、タラロマイセス(Talaromyces)属などが挙げられる。
一般(土壌)細菌類としては、クロストリジウム(Clostridium)属、グルコノバクター(Gluconobactor)属、パラコッカス(Paracoccus)属、エスセリシア(Escherichia)属、クレブシラ(Klebsiella)属、アセトバクター(Acetobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、バチルス(Bacillus)属、バークフォルデリア(Burkholderia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、マイコバクテリウム(Micobacterium)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、プロテウス(Proteus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、リゾビウム(Rhizobium)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ザイモモナス(Zymomonas)属などが挙げられる。
一般(土壌)放線菌類としては、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、アクチノマデュラ(Actinomaaura)属、グリコマイセス(Glycomyces)属、ノカルディア(Nocardia)属、サッカロモノスポラ(Saccharomonospora)属、ストレプトバーティシリウム(Streptoverticilium)属などが挙げられる。
一般(土壌)糸状菌類としては、トリコスポロン(Trichosporon)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、リポマイセス(Lipomyces)属、トルロプシス(Torulopsis)属、アファノマイセス(Aphanomyces)属、アスペルキルス(Aspergillus)属、キャンディダ(Candida)属、クラドスポリウム(Cladosporium)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フィトフィトラ(Phytophthora)属、リゾプス(Rhizopus)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、トルラ(Torula)属などが挙げられる。
土壌診断用バイオセンサは、底部絶縁性基板上にスペーサーを固定し、さらにメディエータ層または微生物−メディエータ混合物層を形成させた作用極および対極などを設けた上部絶縁性基板を固定することにより製造される。これらの固定は、通常、これらの材質の部品同士を接着するのに用いられるのと同様の接着剤による接着や熱融着などで行われる。
これら絶縁性基板、スペーサーで囲まれた試料液保持部が反応槽部を形成させ、反応槽は、溶液中で電子が移動可能な程度に微生物およびメディエータと電極(作用電極)が近接した状態でセンサが構成させる。
また、上部絶縁性基板上には、さらに上部スペーサーを固定することもできる。これにより、上部反応槽が形成される。
一方、上部絶縁性基板上または上部スペーサー上には、反応槽を外部と遮断することを目的として、保護フィルムを設けることもできる。このフィルムの設置により、微生物をある湿度を保った状態で保存することや、反対にメディエータ等の試薬を乾燥させて保存する場合には、外部湿度に影響されることなく反応槽内の乾燥状態を保った状態で保存することができる。
保護フィルムは、紫外線を遮断できる材質、より具体的には、紫外線非透過物質または紫外線吸収剤を含む材質からなることが好ましい。
紫外線非透過物質としては特に限定されないが、たとえば、アルミニウムなどの金属または塩化銀などのハロゲン化金属などの蒸着膜及び、ベンゾトリアゾール系等の有機化合物系フィルムなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては特に限定されないが、たとえば、アルミニウムなどの金属、塩化銀などのハロゲン化金属、蛍光剤、ベンゾトリアゾール系等の有機化合物などが挙げられる。
このように保護フィルムが紫外線非透過物質または紫外線吸収剤を含む材質であると、紫外線の透過を抑制または遮断でき、紫外線による微生物または試薬への影響を防ぐことができる。これにより、通常は紫外線に弱い微生物を長期間安定した状態で保存ができるといった効果を奏することとなる。
反応槽内の乾燥状態を保った状態で保存する場合には、保護フィルムで内包された反応槽内の一部に乾燥剤を使用することが好ましい。これにより、反応槽が内包された状態で保持されているため、このような保存安定化剤をバイオセンサ内に有することで、内部の乾燥状態を長期にわたって安定に保持することができることとなる。
ここで、バイオセンサの組み立て加工時に湿気を含む雰囲気下でバイオセンサの反応検出部が内包されるように製造し、密閉したうえで、バイオセンサの反応槽内内部を乾燥状態にすることもできる。
乾燥剤としては、たとえば、シリカゲル、活性アルミナ、塩化カルシウム、モレキュラーシーブス、吸湿性ポリマー等の多孔質構造物等が挙げられる。
乾燥剤は、試薬層に含めてもよく、また、反応槽内の何れの場所にも設置することができるが、好ましくは、底部絶縁性基板上、保護フィルムの表面、さらに好ましくは保護フィルムの表面に設置される。
また、保護フィルムで内包された反応槽内の一部には、湿度表示剤を含むことができ、使用前に、土壌診断用バイオセンサ内部の乾燥状態が確認できるよう、乾燥剤と湿度表示剤とを併用することもできる。湿度表示剤としては本発明の包装体に使用が可能であれば特に限定はされない。
測定対象となる試料は土壌であれば特に限定されるものではないが、土壌の状態と深く関わりがある水田または水耕栽培に用いられる水質の診断に用いることもできる。さらに、該土壌診断には、植物の生育を予測することを主な目的とする場合と、植物の生育に限らず広い意味での土壌環境を評価することを目的とする場合がある。
植物の生育を予測することを主な目的とする場合としては、圃場をはじめ、水田、果実園、森林などの農業用土壌から、家庭における種々の植物の栽培やガーデニング(日本庭園を含む)などに用いる園芸用土壌、娯楽およびスポーツ施設(サッカー場、ゴルフ場等)の土壌などの診断が含まれる。また、火山灰や土石流、塩害などの被害を受けた土壌の診断も含めることができる。その他、土壌に加える土壌改良剤、肥料(堆肥や腐葉土等)および微生物などの資材の開発研究や、製造、品質管理、さらには、家庭などで普及が進んでいる生ゴミの堆肥化(コンポスト化)装置で作られた肥料の評価などにも使用できる。
汚染土壌の診断の延長線として、種々の開拓予定地の評価や、バイオレメディエーションなどを含む土壌改善技術への応用に利用できる。すなわち、土壌改善技術によって改質中の土壌の状態を、本発明の土壌診断用センサでリアルタイムにモニタリングすることができる。
また、天然の土壌環境一般を評価することもできる。例えば、環境保全の立場から、植物が生育している種々の天然土壌を採取して、植物および植物と共生する土壌微生物とのバランスの状態および土壌の栄養状態などを評価することができる。この場合、例えば、本発明の土壌診断用センサの応答を、健全土壌の場合は健全性の度合い(健全度)として、その反対に、病害土壌または汚染土壌の場合は病害度または汚染度などとして標準化してもよい。このように標準化することで、土壌の状態を数値化して表すことが可能となる。この応用として、デルタ地帯などの肥沃な土壌をはじめ、農地への転用が期待できる土地の開拓前における土壌診断も可能となる。
土壌診断用の試料液は、測定対象の土壌を測定が可能なように、純水または緩衝液などで懸濁させたものをそのまま使用しても、その土壌懸濁液を、必要に応じて前処理したものを使用してもよく、特に限定はされない。前処理としては、例えばろ過処理および遠心分離処理等が挙げられる。さらに、土壌診断を定量的に行う場合には、上記土壌試料液は土壌由来の固形分と懸濁に使用する溶媒の比を一定に保つことが好ましい。その場合、土壌試料を天日または人為的に乾燥して、その乾燥重量をもとに、上記の溶媒で一定の割合に混合したものを、測定試料液としてもよい。さらに、土壌の採取方法については特に限定はされないが、圃場等の場合、よく耕されていることが望ましい。土壌試料は現地で採取したものを、その場でもしくは近くの農場施設内などで速やかに土壌診断用センサにかけて測定をすることが望ましいが、現場での測定ができない場合は、土壌試料を採取後、測定までの間、何らかの方法で保存しても良い。その場合の保存方法は特に限定はされないが、例えば、温度に関しては常温保存、冷蔵保存、凍結保存のいずれか、また土壌中の水分については未処理の自然の状態のままでも、天日干しまたは陰干しなどにより自然乾燥したり、真空処理により乾燥した後に保存してもよい。さらに、凍結乾燥後に保存してもよい。
本発明の土壌診断用センサにおける土壌懸濁液の測定および評価方法について以下に説明する。
測定は、測定試料を土壌診断用バイオセンサに導入し、正確に0.5〜60分間、好ましくは10〜30分間反応させた後、例えばPCで制御されている電気化学アナライザー(BAS社製品ALS701)を使用し、電気化学測定法、例えばサイクリックボルタンメトリー法、ポテンシャルステップクロノアンペロメトリー法、クーロメトリー法などを用い、例えばサイクリックボルタンメトリー法の場合、掃引速度1〜500mV/sec、好ましくは10〜100mV/sec、初期電位0V、最大負電位-1〜0V、好ましくは、-0.5〜0V、最大正電位+0.1〜+1V、好ましくは、+0.15〜+0.7V、反応(待機)時間0〜20分間、好ましくは0〜10分間で測定物質に対する応答を確認することにより行われる。測定装置としては、土壌診断用バイオセンサと、センサ電極における電気的な値を計測する計測部と、この計測部における計測値を表示する表示部と、計測値を保存するメモリー部とを備えているものであれば特に制限なく使用することができる。
第1の評価方法としては、1種類の微生物から得られるセンサ応答を評価することで土壌診断法を行うことができる。これによって、土壌中に存在するフミン、リグニン、タンニン、フルボ酸、セルロースなどの難分解性有機物、多糖類、タンパク質、アミノ酸、脂質などの有機物からなる資化性物質、ビタミン、ホルモンなどの代謝を活性化させる刺激物質、ペニシリン、セファロスポリン、ポリミキシンB、コリスチン、グリセオフルビン、トリコマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、カナマイシン、マイトマイシンC、クロモマイシンA、ブレオマイシン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシンなどの抗生物質、重金属、アルキル水銀、シアン化合物、ヒ素、トリクロロエチレン、PCB、ダイオキシンなどの有機塩素化合物(内分泌攪乱物質)、農薬、殺虫剤、溶剤などの毒性物質またはアルコール類、キニーネ、酢酸、脱共役剤としてのカルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)、カルボニルシアニドp-フルオロメトキシフェニルヒドラゾン(FCCP)、2,4-ジニトロフェノール(DNP)、アテブリン、4,5,6,7-テトラクロロ-2-トリフルオロメチルベンゾイミダゾール(TTFB)ビス-ヘキサフルオロ酢酸など忌避物質などの存在を確認することが可能となる。この場合に使用する微生物は一般(土壌)微生物、土壌伝染性植物病原微生物、土壌伝染性植物病原微生物に対する拮抗微生物の何れであっても良く、またバイオセンサへの応用で高い有機物資化性が確認されている微生物、例えばTrichosporon cutaneumBacillus subtillisBacillus licheniformisClostridium butyricumHansenula anomalaLipomyces kononenkoaeTorulopsis candidaKlebsiella oxytocaPseudomonas fluorescencePseudomonas
putidaEscherichia coliGluconobactor suboxidantsParacoccus denitrificans、パン酵母、好熱性細菌などが用いられ、その内、好ましくはPseudomonas fluorescence
biovar V、Pseudomonas fluorescence TN5、Pseudomonas putida 10G、Trichosporon cutaneum、パン酵母などを用いることができる。
土壌懸濁液に対する応答をバイオセンサで調べる場合、微生物とメディエータ、土壌懸濁液を混合物としたときの応答を評価するか、微生物とメディエータの混合液に資化性物質を添加して、そのときの応答を確認した後、土壌懸濁液を添加し、そのときの応答の変化を見ることもできる。このような測定方法を採用することにより、得られた応答値が土壌の栄養状態によるものであるのか、病害の状態によるものであるのか判断することが可能となる。すなわち、微生物の代謝を活性化させたときの土壌試料に対する応答を測定することにより、土壌の状態をより明確に評価することができるようになる。
第2の評価方法としては、少なくとも2種類の微生物を個々のバイオセンサに使用して調べることもできる。その場合、好ましくは性質の異なる微生物として、1つは一般土壌微生物または拮抗微生物のいずれかから選択した微生物と、もう一つは土壌伝染性植物病原微生物との組み合わせを土壌診断に用いると良い。このような評価方法を採用することにより、一般土壌微生物と土壌伝染性植物病原微生物の増殖能力の差より、土壌生態系のバランスを評価することが可能となり、病害発生の危険性や一般土壌微生物の生物防除効果の判定を行うことができる。
図1は、土壌診断用使い捨て型バイオセンサの一具体例を示す。
図1(a)は底部絶縁性基板1の一例であり、図1(b)は下部反応スペース8を有する下部スペーサー2の上部絶縁性基板側を示すものであり、図1(c)に示す上部絶縁性基板をはめ込むための溝3が設けられている。図1(c)は2極の電極4を有する上部絶縁性基板5を示しており、電極表面の一部およびその周辺部に微生物およびメディエータの混合物6が設置されている。図1(d)は上部スペーサー7を示すものであり、上部反応スペース9を有しており、これが上部反応槽を構成する。
図1(e)は、バイオセンサ10の組み立て例を側面図で示す。すなわち、底部絶縁性基板1上に、下部スペーサー2が、さらにそこに設けられている溝に上部絶縁性基板5が、電極部が下部絶縁性基板に向かい合わせた状態で配置され、さらに上部スペーサー7が設置されている。図1(f)は、組み立てたバイオセンサを上部から見た図を示す。上部スペーサー7に設けられた上部反応スペース9は、上部絶縁性基板の幅よりも広いため、上部貫通スペース9から導入された試料は下部反応スペースへ導かれることとなる。図1(g)は、組み立てたバイオセンサを下部から見た図を示す。ここでは、下部絶縁性基板1とは重なり合わない上部絶縁性基板5の部分があり、その部分に設けた電極4が端子となって、測定装置中のセンサ電極における電気的な値を計測する計測部に接続される部分となる。
以上の組み立てられたバイオセンサの図2(f)のA−A' 断面図を図1(h)に、同B−B'断面拡大図を図1(i)に示す。
図2は、図1の使い捨て型土壌診断用バイオセンサが、試料導入口としての開口部にバイオセンサの外部と遮断しうる、接着面との接着および剥離が可能な保護フィルムを有する例を示す。図2(a)は、組み立てたバイオセンサを上部から見た図であり、図2(b)は、バイオセンサの組み立て例を示す側面図である。
本発明に係るバイオセンサは、例えば側面にある鎹により上部の蓋が下部の土台から開閉できる構造を有し、その内部はバイオセンサの支持部を確実に押さえつけられる構造、および下向きに形成されている電極の端子部分から電気信号が取れる構造を有するようなコネクターに接続されて測定に用いられる。
図3は図2に示したバイオセンサの使用例を示す。図3(a)は、保護フィルム非接着部12より、乾燥剤14を備えた保護フィルム脱着可能部11をバイオセンサ10の先端部まで剥離し、開口した試料導入口へ土壌懸濁液を試料液13として導入する状態を示している。図3(b)は、測定終了後のバイオセンサを示す。図示したように、保護フィルム脱着可能部11は元の状態になるように再度貼り直すことができる。また、この状態で滅菌等の後処理を行うことで、病害微生物の外部への汚染を防ぐこともできる。
図4は、2種類の微生物を用いた土壌診断用使い捨て型バイオセンサの一具体例を示す。図1とは、下部スペーサーに溝が設けられていない点、上部絶縁性基板上に3極の電極を配した点および上部絶縁性基板5を櫛形とした点が相違している。なお、上部絶縁性基板を櫛形とすることにより、異なる種類の微生物を簡便かつ個別に固定し易くなる。
図1〜4に示すバイオセンサでは、電極表面が下を向いているために土壌懸濁液の測定の際、粒子状物質の電極表面への堆積の影響を受けないですみ、試料液中の懸濁粒子の影響を受けにくいといった特徴を有する。この形態のバイオセンサの場合、少なくとも微生物およびメディエータを含む混合液と土壌懸濁試料が混合したときに、反応槽内の水位が前記反応槽の上部に設けた電極表面と容易に接触することで応答を得ることができる。そしてまた、電極基板が反応槽の深さ方向に対して中間の深度に配置されているため、種々の測定法を用いることができる。すなわち、微生物およびメディエータを少なくとも含む混合液がまず、反応槽内の電極表面を確実に覆う水位としておき、そのときの応答を観察した後で、必要に応じて資化剤の応答を確認し、その上で土壌懸濁液の応答を確認することなどができる。すなわち、このような構造を有したバイオセンサであれば、添加する液体による電極応答の違いを調べることができる。さらに、保護フィルムを設けた態様では、反応槽内を外気と完全に遮断できるため、例えば微生物をある湿度を保った状態で保存することができる。かかる態様のバイオセンサについては、病害微生物をバイオセンサ素子として使用した後や病害土壌を測定に使用した後に、保護フィルムを貼り直すことで試料液を反応槽内に納めたままでの廃棄が可能となり、またその様な形態のバイオセンサはそのままの状態でオートクレーブなどの滅菌処理を施すことができる。これにより、測定後の病害微生物および病害土壌による汚染を防ぐことも可能となる。以上のバイオセンサは、製作方法が極めて簡便なため、実用的なデザインであるといえる。
次に、実施例について本発明を説明する。本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に制限されるものではない。
実施例1
厚さ188μmの透明なポリエチレンチレフタレートを図5 I)に示されるように、35mm×18mmの本体および16mm×7.0mmの支持部15となるように打ち抜き、底部絶縁性基板1を作製した。この底部絶縁性基板上に、同図 II)に示されるように厚さ1mmで10mm×12mmの下部反応スペース8を有する、底部絶縁性基板と同一外形の下部スペーサー2をアクリル系接着剤(日東製品 No.5000N)を用いて接着した。下部スペーサー上には、厚さ25μmの接着剤層が設けられ、上部絶縁性基板5をさらに接着した。この上部絶縁性基板は、底部絶縁性基板と同じ厚さの同素材を用い、同図 III)に示されるように、40mm×18mmの本体、21mm×7mmの支持部および10mm×12mmの下部反応スペースを形成したものであり、この下側表面上には、7.5mm×2mmの電極4 2本が、8mm×3mmの基板上に3mmの間隔を空けてくし状に、また支持部においては、21mm×2.6mmの2本の電極を0.6mmの間隔を空けて、厚さ10μmのカーボンインクをスクリーン印刷法により形成した。上部絶縁性基板上には、同図 IV)に示されるような下部スペーサーと同一素材で同一形状の上部スペーサー7 3枚を接着剤を用いて貼り合わせた。このようにして作製されたバイオセンサの反応槽内容積は、約560mm3であった。
次に、凍結保存用に調製した菌液30μlを反応スペースに収め、最上部の上部スペーサー上に、反応スペースに蓋をするようにビニルテープを用いて保護フィルムを形成した。なお、保護フィルムの非粘着部は、ビニールテープの接着剤層が内側となるように折畳むことにより作製した。
得られたバイオセンサ30個について、30日間-20℃で凍結保存したところ、内部液の状態に変化はみられず、また保護フィルムの剥離もみられなかった。さらに、凍結保存後のセンサは、その使用後においても、保護フィルムの接着力に問題はみられず、再包装が可能であることが確認された。以上より、この態様のバイオセンサであれば、病害微生物に限らず、そのほかの注意を要する試料、例えば、感染の危険がある血液試料などの測定にも極めて有効である可能性が示唆された。
実施例2
実施例1で作製したバイオセンサの反応槽に4mMフェリシアン化カリウムおよび4mMフェロシアン化カリウムを含む緩衝液(pH7.0 PBS溶液; phosphate buffer saline) 500μl(メディエータ混合液)を導入し、900mVの印加電圧を加え、3秒後に得られる電流値を電気化学測定器(北斗電工製品SHV-100)を用いてクロノアンペロメトリー法により測定した。メディエータ混合溶液を反応槽に添加した直後に行なった測定を1回目、その後、30秒間静置した状態での測定を2回目、さらにその後、30秒間静置した状態での測定を3回目、3回測定後、メディエータ混合溶液をマイクロピペットで十分に撹拌した後の測定を4回目とした。これらの操作を1工程とし、合計30回の繰り返し測定を試みた。得られた結果は、図6に示される。測定前に撹拌をしなかった2回目及び3回目のセンサ応答値は撹拌した場合に比べ明らかに低い値を示したことから、測定液を添加後、測定開始直前に反応槽内の溶液を充分撹拌する必要性が示された。
実施例3
実施例2において、メディエータ混合溶液として、フェリシアン化カリウムとフェロシアン化カリウムのモル濃度が1:1である所定濃度の測定試料液を用いて、メディエータ混合溶液添加後30秒後における、メディエータに対するバイオセンサの応答についての検討を行った。なお、測定前には反応槽内の溶液の攪拌を充分に行った。得られた結果は図7に示される。
その結果、メディエータの検出下限が極めて低い濃度であり、少なくとも10μMから20mMの極めて広い範囲でセンサ応答値との間に高い相関関係(r = 0.998)が得られることが確認された。以上の結果は、本バイオセンサが菌体を使用した土壌診断への応用に限られることなく、例えば、食品やコンポストの製造における発酵モニタリングセンサをはじめ、微生物の代謝阻害を指標とした毒物(毒素)センサ、ピルビン酸オキシダーゼを使用したリン酸イオンセンサ及び、グルコースオキシダーゼを使用したグルコースセンサ、ウィルスセンサ、感染症センサなど、環境分析、食品分析、臨床検査などにおいて、扱う検体によっては極めて利便性の高い分析ツールと成り得ることを示している。
実施例4
実施例2において、バイオセンサの反応槽に、Pseudomonas putida G10(FERM P-16457)を培養した後洗浄して滅菌済みのpH7.0 PBS溶液でOD580 = 132となるように調製した菌液100μl、pH7.0 PBS溶液で調製した0.4 Mフェリシアン化カリウム溶液50μlおよびpH7.0 PBS溶液150μlを反応槽に導入し、メディエータ混合溶液添加後0.5、5.5、15.5、30.5分後における、メディエータに対するバイオセンサの応答についての検討を行った。なお、測定前には反応槽内の溶液の攪拌を充分に行った。
測定には2個のバイオセンサを使用し、得られた結果は、図8に示される。このように、培養直後で菌体内における代謝活性が高い条件で、菌体の作用によるフェリシアンイオンのフェロシアンイオンへの還元を確認することができた。これにより、P. putida G10がメディエータのセンサ素子としても使用可能であることが示された。
なお、先に難分解性の有機物を効率よく資化するグラム陰性細菌であるP. putida G10を溶存酸素測定型の生物化学的酸素要求量(BOD)センサに応用し、高感度なBOD測定を行うことが提案されているが、溶存酸素を指標とするために高感度な酸素電極を必要とし、結果として大掛かりで高価な測定装置となり、携帯は不可能であった。しかし、メディエータを使用したバイオセンサを用いることにより、携帯可能なBODセンサが提供される可能性が示唆された。
特開2002−005880号公報
実施例5
実施例4において、反応・測定温度とセンサ応答値との関係を調べた。得られた結果は、図9に示される。この結果より、測定温度が15℃以下ではP. putida G10の代謝活性が著しく低下する傾向にあることが示された。
実施例6
実施例4において、菌液量を30μl に、また0.4 M フェリシアン化カリウム溶液の添加量を17μl、50μlまたは150μl、pH7.0 PBS溶液量を総反応液量が300μlとなるように変更させたものについて、センサ応答値との関係を調べた。さらに、LB培地60μlを基質液として添加した場合についてのセンサ応答値との比較検討も併せて行った。得られた結果は、次の表1に示される。
Figure 0004568879
以上より、0.4 M フェリシアン化カリウム溶液の添加量は50μl(終濃度:67mM)が最適であり、またLB培地など資化性有機物を含んだ試料液を用いた場合には、高いセンサ応答値を示すことが確認された。
実施例7
実施例4において、バイオセンサの反応槽に、菌液30μl、0.4 M フェリシアン化カリウム溶液50μl、pH7.0 PBS溶液160μlおよび所定濃度のLB培地60μlを導入し、添加後0.5、5.5、15.5、30.5分後における、バイオセンサの応答についての検討を行った。得られた結果は図10に示される。この結果より、LB培地は原液から1/100倍希釈の間でセンサ応答を明確に得ることができた。以上より、資化性有機物を含んだ試料液に対するセンサ応答が得られたことから、BODセンサへの応用の可能性を示すことができた。
実施例8
実施例4において、バイオセンサの反応槽に、(a) 4℃で所定時間冷蔵保存した菌液30μl、0.4 M フェリシアン化カリウム溶液50μl、pH7.0 PBS溶液160μl、およびLB培地60μl、(b) 4℃で所定時間冷蔵保存した菌液100μl、0.4 M フェリシアン化カリウム溶液50μl、pH7.0 PBS溶液90μlおよびLB培地60μlを導入した後、バイオセンサの応答についての検討を行った。得られた結果は、次の表2に示される。
Figure 0004568879
以上よりいずれの菌液の添加量においても、6日目まではほぼ安定した応答を示しており、この条件下におけるP. putida G10の約一週間の保存安定性が確認された。
実施例9
実施例4において、バイオセンサの反応槽に、-20℃で所定時間冷凍保存した菌液100μl、0.4 M フェリシアン化カリウム溶液50μl、pH7.0 PBS溶液150μlを導入した後、バイオセンサの応答についての検討を行った。なお、菌体の保存に際しては、菌液中に不凍剤としての15%グリセリンが用いられた。その結果、少なくとも2週間は安定したセンサ応答値を示すことが確認された。
実施例10
実施例4において、バイオセンサの反応槽に、菌液として農業用土壌における拮抗微生物として知られるグラム陽性細菌であるBacillus cereus K12N株(FERM P-17147)をpH7.0 PBS溶液に懸濁してOD580 = 50に調製したものを使用し、菌液量を30μl に、また0.4 M フェリシアン化カリウム溶液の添加量を17μl、50μlまたは150μl、pH7.0 PBS溶液量を総反応液量が300μlとなるように変更させたものを導入した後、センサ応答値との関係を調べた。さらに、LB培地60μlを基質液として添加した場合についてのセンサ応答値との比較検討も併せて行った。得られた結果は、次の表3に示される。
Figure 0004568879
以上より、0.4 M フェリシアン化カリウム溶液の添加量は50μl(終濃度:67mM)が最適であり、またLB培地など資化性有機物を含んだ試料液を用いた場合には、高いセンサ応答値を示すことが確認された。
実施例11
実施例10において、バイオセンサの反応槽に、11,000 mg O2/L BODに相当するグルコース・グルタミン酸(GGA)溶液を60μl、菌液30μl、0.4 M フェリシアン化カリウム 50μlおよびpH7.0 PBS溶液160μlを導入した後、センサ応答値との関係を調べた。その結果、BOD法における標準液として用いられるGGA溶液を入れない場合と比較して、センサ応答値に優位な差が観察された。このことから、BODセンサへの応用の可能性が示唆された。
実施例12
(a)OD580 = 50のB. cereus菌液(15%グリセリンを含む)130μlを0.2 ml用のマイクロ(エッペンドルフ)チューブに入れて所定日数-20℃で保存し、この菌液30μl、0.4M フェリシアン化カリウム50μl、pH7.0 PBS溶液160μlおよび所定濃度のLB培地60μlをバイオセンサの反応槽に導入したものおよび(b)実施例1に示した保護フィルムを用いたバイオセンサの反応槽内(センサ底部)にOD580 = 50に調製したB. cereus菌液(15%グリセリンを含む)30μl入れて所定日数-20℃で保存した後、これに0.4Mフェリシアン化カリウム50μl、pH7.0 PBS溶液160μlおよび所定濃度のLB培地60μlをさらに添加し、30.5分間反応させたものについて、実施例4と同様にバイオセンサの応答についての検討を行った。得られた結果は、菌液をマイクロチューブに入れて保存したときおよびバイオセンサに直接入れて保存したときの結果は、図11に示される。その結果、 (a)マイクロチューブで保存した場合では、前半において菌体の活性が高いが、その後徐々に低下する傾向が確認された。一方、(b)バイオセンサで保存した場合においては、はじめに菌体の活性が急激に低下した後、極めて安定したセンサ応答を少なくとも3ヵ月間は維持できることが示されており、この条件下におけるB. cereus の-20℃での保存安定性が確認された。
実施例13
2種類の健全土壌試料および2種類の病害土壌試料をそれぞれ地域の異なる圃場から採取し、各土壌10gをpH7.0 PBS溶液25mlとともにプラスチック製遠沈管50ml内で30℃、125rpmで24時間振とうした後、4℃、8000rpm、5分間遠心して得られた上澄み液を土壌抽出液として調製した。これらの土壌抽出液60μl、OD580 = 50のB. cereus菌液(15%グリセリンを含む)30μl、0.4M フェリシアン化カリウム50μlおよびpH7.0 PBS溶液160μlをバイオセンサの反応槽に導入し、実施例4と同様にバイオセンサの応答についての検討を行った。なお、コントロール試験では、土壌抽出液の代わりにpH7.0 PBS溶液を添加した。
得られた結果は、図12に示される。病害土壌の抽出液に対するバイオセンサの応答はコントロールよりもやや低い値を示したものの、健全土壌の抽出液に対するバイオセンサの応答よりも高い応答値を示すことが確認された。以上より、土壌抽出液を使用した土壌診断への応用の可能性が示唆された。
本発明の土壌診断用センサは農業、特に圃場などの土壌病害を評価の他、土壌生態系の評価、肥料、堆肥、農薬、生物資材などの研究、開発、製造における評価および品質管理、最適な作付け作物の選定、農業予定地の土壌診断、汚染土壌の評価などに有効に用いられる。
本発明の使い捨て型土壌診断用センサの一実施態様を示す図である。 本発明の使い捨て型土壌診断用センサの包装例を示す図である。 本発明の包装形態を有する使い捨て型土壌診断用センサの使用例を示す図である。 本発明の使い捨て型土壌診断用センサの他の実施態様を示す図である。 本発明の使い捨て型土壌診断用センサの構成例を示す図である。 本発明の使い捨て型土壌診断用センサを使用する際の反応液の攪拌の必要性について検討したグラフである。 本発明の使い捨て型土壌診断用センサのメディエータに対する応答を検討したグラフである。 本発明の使い捨て型土壌診断用センサにおいて、P. putida G10を使用する際の反応性について検討したグラフである。 本発明の使い捨て型土壌診断用センサにおいて、P. putida G10を使用する際の温度反応性について検討したグラフである。 本発明の使い捨て型土壌診断用センサにおいて、資化性有機物存在下におけるP. putida G10の反応性について検討したグラフである。 本発明の使い捨て型土壌診断用センサにおいて、Bacillus cereusの保存安定性について検討したグラフである。 本発明の使い捨て型土壌診断用センサにおいて、Bacillus cereusの各種土壌試料に対する応答性について検討したグラフである。
符号の説明
1 底部絶縁性基板
2 下部スペーサー
3 溝
4 電極
5 上部絶縁性基板
6 微生物−メディエータ混合物層
7 上部スペーサー
8 下部反応スペース
9 上部反応スペース
10 バイオセンサ
11 保護フィルム脱着可能部
12 保護フィルム非粘着部
13 試料液
14 乾燥剤

Claims (16)

  1. 底部絶縁性基板上に、底部絶縁性基板とともに反応槽を形成するスペースを有する下部スペーサーを介して、少なくとも作用極および対極の2電極を設けた上部絶縁性基板を、電極表面が底部絶縁性基板側に対向して下部スペーサーに設けられたスペースの一部を覆うように配し、さらに上部絶縁性基板の電極が形成されていない面上に、下部スペーサーと同一形状の上部スペーサーを設けた、作用極上および/またはその周辺部にメディエータ層または微生物−メディエータ混合物層を形成せしめてなる土壌診断用バイオセンサ。
  2. 上部スペーサー上に接着および剥離が可能な保護フィルムが設けられた請求項1記載の土壌診断用バイオセンサ。
  3. 絶縁性基板およびスペーサーにより形成される反応槽内に乾燥剤を備えた請求項2記載の土壌診断用バイオセンサ。
  4. メディエータ層または微生物−メディエータ混合物層の形成がこれらを含有した担体を用いて行われる請求項1乃至3のいずれかに記載の土壌診断用バイオセンサ。
  5. 担体がアルギン酸ゲル、カラギーナンゲル、アガロースゲル、カードランゲル、光架橋性ポリビニルアルコールまたはろ紙である請求項4記載の土壌診断用バイオセンサ。
  6. 使い捨てタイプである請求項1乃至5のいずれかに記載の土壌診断用バイオセンサ。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載のバイオセンサと、
    前記バイオセンサの電極における電気的な値を計測する計測部と、
    前記計測部における計測値を表示する表示部と、
    前記計測値を保存するメモリー部を備えたバイオセンサ装置。
  8. 請求項1乃至5のいずれかに記載の土壌診断用バイオセンサを用い、1種類の微生物から得られるセンサ応答を評価することを特徴とする土壌診断法。
  9. 請求項1乃至5のいずれかに記載の土壌診断用バイオセンサを用い、性質の異なる少なくとも2種類の微生物から得られる個別のセンサ応答を比較することを特徴とする土壌診断法。
  10. 微生物が土壌病害を引き起こす微生物(土壌伝染性植物病原微生物)および該微生物に対して拮抗作用を有する微生物を含む一般(土壌)微生物である請求項9記載の土壌診断法。
  11. 土壌伝染性植物病原微生物が細菌類、放線菌類または糸状菌類である請求項10記載の土壌診断法。
  12. 一般(土壌)微生物が拮抗性細菌類、拮抗性糸状菌類、一般(土壌)細菌類、一般(土壌)糸状菌類または一般(土壌)放線菌類である請求項10記載の土壌診断法。
  13. 試料液として土壌懸濁液または抽出液を用いる請求項8乃至12のいずれかに記載の土壌診断法。
  14. バイオセンサの認識素子として使用する微生物の資化物質を土壌懸濁液に加える請求項13記載の土壌診断法。
  15. 資化物質を少なくともメディエータおよび微生物が存在するバイオセンサの反応槽内に添加した際のセンサ応答と、その後に土壌懸濁液を追加したときのセンサ応答を比較する請求項13記載の土壌診断法。
  16. 資化物質がグルコース、アミノ酸、酵母エキス、麦芽エキス、ミートエキス、トリプトン、ペプトン、ビタミン、ミネラルの少なくとも1種および/または培地成分を含む請求項14または15記載の土壌診断法。
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