JP2009222668A - 土壌の油汚染分布の推定方法及びその結果のバイオレメディエーションへの適用方法 - Google Patents

土壌の油汚染分布の推定方法及びその結果のバイオレメディエーションへの適用方法 Download PDF

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洋行 石森
Ryoichi Fukagawa
良一 深川
Kazuyoshi Tateyama
和由 建山
Miki Kubo
幹 久保
Kota Hatayama
耕太 畑山
Akio Kanamori
章雄 金森
Nobuyuki Kadokura
伸行 門倉
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Abstract

【課題】比較的低濃度の油汚染をも含む3次元的な油汚染分布を、容易かつ精度良く推定することができる土壌の油汚染分布の推定方法を提供すること。
【解決手段】土壌に対して高密度電気探査を実施して比抵抗値分布図を作成する第1ステップ(S1、S2)と、比抵抗値分布図から、高濃度の油が存在する高濃度汚染位置を決定する第2ステップ(S3)と、土壌の表層部の、高濃度汚染位置の上方の位置を、油漏洩位置として決定する第3ステップ(S4)と、油漏洩位置を油の初期位置として、油の浸透シミュレーションを行う第4ステップ(S5〜S8)とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、土壌の汚染状態を評価するための方法に関し、特に油によって汚染された土壌中の油の分布を推定し、視覚的に提示する方法、及びその結果をバイオレメディエーションに適用する方法に関する。
土壌の浄化方法が研究、開発されている。実際の現場において、汚染対策(以下、原位置汚染対策とも記す)や適切な浄化処理を実施するためには、先ず現場土壌の汚染状況を正確に把握することが必要となる。土壌中の汚染分布は、通常、ボーリングにより調査される。
ボーリング作業では、実際の土壌の状況を知ることができる点で有益ではあるが、広大な範囲に対して調査を行うには、可能な限り多くの場所でボーリングを行うことが必要となる。従って、多くの作業時間及び費用が掛かることになる。一方、限られた数量のボーリングを適用する場合、どこでボーリングを行うべきかが問題となる。地盤は不均質な構造体であるため、1m離れた地点でもボーリング結果に大きな差が出る場合がある。即ち、ボーリングを行う位置によっては、高濃度の油汚染帯などの重要な情報を見逃す可能性がある。また、ボーリングによる土壌調査では、コスト面の制約や建造物の制約から、原位置汚染対策を制御できるほどの情報を得ることができない。従って、土壌中に漏洩した油の分布範囲を同定するためには、点的なボーリング調査だけの評価では限界があり、面的・空間的な評価手法、またはそれとの連携が求められている。
ボーリングの代替手段または補完手段(例えば、ボーリングする位置を特定する手段)として、高密度電気探査が知られている(下記特許文献1参照)。
一方、油の浸透シミュレーションが知られている。コンピュータを用いた土中における油の浸透現象は、次の連立微分方程式により表わされる。
これらの式を、適切な初期条件および境界条件の下に数値的に解く(有限要素法)ことで、土中の空気、水、油の分布を時間的に評価することができる。計算パラメータには、土に対する各流体の浸透率や、流体密度および粘性係数などの情報が必要となる。具体的なコンピュータプログラムコードとしては、USEPA(U. S. Environmental Protection Agency)のMOFATやNapl:simulatorなどが知られている。
特開2004−198385号公報
しかし、高密度電気探査では、高濃度の油汚染帯を検出することは可能であるが、比較的低濃度の油汚染を検出することが困難である。従って、正確な土壌中の染分布を得ることができない。
汚染分布を数値シミュレーションによって時空間的に同定する場合、実現場での汚染状況を考慮した境界条件に基づいて計算することが重要である。漏洩した油の総量や漏洩位置は特に汚染分布の評価結果に著しい影響を及ぼすものと考えられる。しかし、これらの情報が明らかになることは現実にはほとんど無い。従来では油の総量や漏洩位置を予め仮定した上で数値シミュレーションが行われてきたが、推定された汚染分布が妥当な結果であるか否かを判断できない問題がある。
これらのために、3次元的な汚染の調査結果、特に油の汚染分布を正確に知ることが困難であり、そのため、原位置バイオレメディエーション中の微生物や栄養塩(以下、菌液とも記す)、エアレーションを適切に制御することができない。また、より正確な汚染分布を知るための効率的なボーリング位置を決定することもできない。
従って、本発明は、比較的低濃度の油汚染をも含む3次元的な油汚染分布を、容易かつ精度良く推定することができる土壌の油汚染分布の推定方法を提供することを目的とする。
本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
即ち、本発明に係る土壌の油汚染分布の推定方法は、土壌に対して高密度電気探査を実施して比抵抗値分布図を作成する第1ステップと、前記比抵抗値分布図から、高濃度の油が存在する高濃度汚染位置を決定する第2ステップと、前記土壌の表層部の、前記高濃度汚染位置の上方の位置を、油漏洩位置として決定する第3ステップと、前記油漏洩位置を油の初期位置として、油の浸透シミュレーションを行う第4ステップとを含むことを特徴としている。
前記第2ステップにおいて、比抵抗値の等高線の歪みから前記高濃度汚染位置を決定することができる。
また、前記第3ステップにおいて、前記土壌の表面上の、前記高濃度汚染位置の真上の位置を、油漏洩位置として決定することができる。
また、前記第4ステップよって得られた油汚染分布から、前記土壌をボーリングする位置を決定するステップをさらに含むことができる。
また、本発明に係る土壌のバイオレメディエーション条件の決定方法(1)は、上記の土壌の油汚染分布の推定方法によって得られた油汚染分布を初期条件とし、注入速度及び位置、注入井の本数及び種類、並びに、連続注入又は間欠注入を含む、想定する菌液の注入条件を境界条件として、浄化時間、菌体量、及び費用を移流分散解析により計算し、該計算結果が制約条件を満たす場合に、前記菌液の注入条件を目標とする菌液の注入条件として決定することを特徴としている。
また、本発明に係るバイオレメディエーション方法(1)は、上記の土壌のバイオレメディエーション条件の決定方法によって決定された菌液の注入条件で前記土壌に菌液を注入し、前記土壌への菌液の注入から所定時間経過後に、前記土壌に対して高密度電気探査を実施して、前記土壌中における菌液の流れを時空間的にモニタリングし、前記菌液の注入条件を決定するために実施した前記移流分散解析の妥当性を評価することを特徴としている。
また、本発明に係る土壌のバイオレメディエーション条件の決定方法(2)は、上記した土壌のバイオレメディエーション条件の決定方法(1)において、目標として決定された前記菌液の注入条件から、移流分散解析によって油の分解に伴う溶存酸素濃度の減少量を時空間的に求め、溶存酸素濃度が減少した領域の溶存酸素濃度を回復させる空気注入条件を、空気の注入位置および注入量をパラメトリックに変化させた移流分散解析によって決定することを特徴としている。
また、本発明に係るバイオレメディエーション方法(2)は、上記の土壌のバイオレメディエーション条件の決定方法(1)によって決定された空気注入条件で前記土壌に空気を注入し、前記土壌への空気の注入から所定時間経過後に、前記土壌に対して高密度電気探査を実施して、前記土壌中における空気の流れを時空間的にモニタリングし、前記空気注入条件を決定するために実施した前記移流分散解析の妥当性を評価することを特徴としている。
本発明によれば、必要最小限の現場作業(ボーリングや高密度電気探査)を基に、精度良く3次元的な油汚染分布を得ることができる。従って、油汚染帯に対して、原位置バイオレメディエーションに適した、菌液(微生物や栄養塩)や空気(エアレーション)の注入位置を決定することができる。また、土壌に菌液や空気を注入した後、時間経過に応じて土壌に本発明を繰り返し適用することにより、土壌中の菌液分布や空気分布の時間変化を把握することができるので、原位置バイオレメディエーションにおける微生物や栄養塩の制御や、エアレーションの制御を適切に行うことが可能となり、効率的な原位置汚染対策が可能となる。
また、より正確な汚染分布を知るための効率的なボーリング位置を決定することも可能となる。
以下、本発明に係る実施の形態を、添付した図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る土壌の油汚染分布の推定方法を示すフローチャートである。
以下において、特に断らない限り、コンピュータを用いた処理では、実際には演算処理手段(以下、CPUと記す)が処理を行う。CPUは、メモリをワーク領域として使用して演算などの処理を行う。CPUが、処理を行う前提条件は、外部から人によって操作手段(コンピュータ用キーボード、マウスなど)が操作されて、データとして入力される。入力されたデータは、メモリの所定領域に一時記憶され、演算処理に使用される。入力されたデータや演算処理の結果は、適宜記録部(ハードディスクなど)に記録される。
ステップS1において、現場において、高密度電気探査による測定を行い、ステップS2において、ステップS1で得られたデータから比抵抗分布図(例えば、比抵抗値の等高線図)を作成する。高密度電気探査および得られたデータから比抵抗分布図を作成する方法は、上記特許文献1などで公知であるので、ここでは説明を省略する。
ステップS3において、ステップS2で作成された比抵抗分布図から、高濃度の油汚染部分を特定する。均質な土壌中または地下水中では比抵抗値は略一様であるが、土壌中に高濃度の油が存在すると、その部分の比抵抗値は、周囲の土壌又は水の比抵抗値とは大きくことなることになる。即ち、高濃度の油が存在する部分では、比抵抗値の等高線の間隔が狭く(比抵抗値の変化が大きいことを表す)なっていたり、歪んでいたりする。従って、比抵抗値の等高線の間隔の狭さや歪みによって、高濃度の油が存在する場所を特定することができる。なお、この特定は、人が目視によって行っても、コンピュータによる画像処理によって行ってもよい。
ステップS4において、ステップS3で特定された高濃度の油が存在する土壌中の位置に対応する地表面上の位置を決定し、その位置を、以下で行うコンピュータによる数値計算の初期条件の一つである油の漏洩位置として、コンピュータに設定する。同時に、漏洩させる油の量(任意)を、コンピュータに設定する。なお、ここでは、数値計算の前提となる土壌の構造(複数種類の土壌がある場合や地下水がある場合、それらの境界の形状及び位置)、流体(油、水など)の浸透率、密度、粘性係数など、油の漏洩位置及び漏洩量以外の初期条件は予め決定され、使用するプログラムに応じてコンピュータに設定されているとする。
ステップS5において、ステップS4で設定された初期条件の下で、コンピュータによる浸透シミュレーション(有限要素法による数値計算)を行い、ステップS6において、ステップS5の計算結果から油汚染分布図を作成する。ここで作成される分布図は、漏洩位置から所定量の油が土壌に流入したとした場合のシミュレーション結果であるので、高濃度の油汚染だけでなく、低濃度の油汚染も含めた分布図である。図2は、浸透シミュレーションを概念的に示すための、土壌の断面図である。図2の(a)は、初期状態を示し、所定の漏洩位置に油1が配置された状態を示す。(b)は、(a)の状態から時間が経過し、油1が土2に浸透する状況を示す。(c)は長時間経過した状態を示し、油1が地下水3に達しており、地下水と土との境界4に高密度油汚染帯5が形成されている。なお、浸透シミュレーション及びその結果の可視化(グラフィックス表示)方法は公知であるので、ここでは説明を省略する。
ステップS6において、ステップS6で作成された油汚染分布図と、ステップS2で作成された比抵抗値分布図との一致度を判断する。それらが一致していなければ、ステップS8に移行し、油の漏洩位置を変更して、ステップS5〜S7の処理を繰り返す。それらが一致又は近似すれば、ステップS9に移行して、ステップS6で得られた油汚染分布図をコンピュータの記録手段(例えばハードディスク、光ディスクなど)に記録して、終了する。なお、ステップS7における判断は、人が目視によって行っても、コンピュータによる画像処理によって行ってもよい。
以上によって、高密度電気探査及び浸透シミュレーションによって、正確な油の汚染分布図を得ることができる。
従って、得られた油の汚染分布から、実際により正確な汚染状況を知るために望ましいボーリングの位置を容易に決定することができる。
なお、上記は本発明の最良の実施形態であるが、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することが可能である。
例えば、上記のステップS4では、高濃度の油が存在する位置に対応する地表面上の位置を、油の漏洩位置として決定したが、これに限定されない。即ち、地表面を含む所定の厚さ部分である表層部の内部の位置を、油の漏洩位置としてもよい。また、ステップS3で決定した高濃度の油が存在する位置の真上の位置から、所定距離だけ離れた位置を、油の漏洩位置としてもよい。ステップS7において計算結果が適切であるか否かを判断する繰り返し処理を行うので、このように、最適な位置から若干ずれた位置を油の漏洩位置として浸透シミュレーションを行っても、正確な油汚染分布を得ることができる。
また、ステップS3において、高濃度の油が存在する位置を、コンピュータを用いて決定する場合、ステップS2で作成された比抵抗値分布図の等高線をエッジ検出によって検出し、検出されたエッジラインの歪みの程度が所定値以上であれば、その位置(又は領域)を高濃度の油が存在する位置として自動的に決定することができる。エッジラインの歪みの程度は、例えばエッジラインの接線方向(1次微分係数)の変化の程度から判断できる。
以下に、実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。本実施例では、土と水とを、透過性の側壁(ガラス)を有する直方体の槽に配置した実験装置を対象として、図1に示したフローチャートに従って処理を行った。
図3の(a)は槽の側面の写真であり、槽の下部に地下水に対応する水が配置され、その上に土壌に対応する土が配置されている。(b)は、(a)の槽を用いて、土の表面で高密度電気探査を行って得られた比抵抗値分布図である(ステップS1、S2)。破線の楕円で示した部分に等高線の歪みがあるのが分かる。従って、この位置に高濃度の油が滞留していると推測できる。(c)は、土の表面の、(b)で推測された油の滞留位置の直上の位置を油の漏洩位置として、油の浸透シミュレーションを行った結果を示す(ステップS4〜6)。(c)から、高濃度汚染帯に限らず、その周辺の比較的濃度の低い油の分布をも推定することができることが分かる。得られた結果は、実際の槽中の油分布に良く一致していた。
図4に、図3と同様の実施例を示す。図4の実施例では、図3の実施例よりも、槽中の水面の位置が高くなっている。図4の(a)〜(c)はそれぞれ、図3の(a)〜(c)に対応する。
(b)において破線の楕円で示した部分では、等高線の歪みが見られる。このことから、油の浸透によって水飽和度(土の単位間隙体積中に存在する水分量)が低下した部分を高密度電気探査によって検知できていることが分かる。この位置から油の漏洩位置を推測して、油の浸透シミュレーションを行って、(c)に示すように不飽和帯の低濃度の汚染帯を含む分布が得られた。
図5に、本発明を、原位置バイオレメディエーションに適応した例を示す。図5の(a)は、図3、4と同様の水と土を配置した槽の側面写真である。この槽に対して、上記と同様に、高密度電気探査及び浸透シミュレーションを行い、汚染分布を求めた。そして、得られた汚染分布図を用いて、油汚染対策のために想定する菌液の注入条件(注入速度、注入位置、注入井の本数、その種類(鉛直又は水平)、及び、連続注入又は間欠注入)をパラメータとして、適切な浄化時間や菌液の量、費用などを与える菌液の注入条件を移流分散解析により決定し、実際に菌液を注入した。具体的には、菌液としてGoldoniaを改変SW培地と共に、約20リットル/日で6日間連続注入した。注入した位置は(a)に上向きの矢印で示す。(b)は、注入後の槽に対して高密度電気探査を行って得られた結果である。
移流分散解析は公知であり、コンピュータプログラムのオープンソースコードとして、例えば、USEPAのFATMICやUTCHEMなどが知られている。従って、以下では図6のフローチャートを用いてその概要を説明し、詳細説明を省略する。
ステップS11においてサイト条件および制約条件を設定し、ステップS12において、目標とする地盤中での微生物濃度、栄養塩濃度および散布範囲を設定し、ステップS13において初期パラメータを設定する。サイト条件は、対象とするサイトに関する対策前の情報であり、例えば、汚染条件(油分布)、地盤構造、環境条件、施策工法などの情報(具体的には、油種、粘土、砂、シルト、飽和帯汚染、不飽和帯汚染、不均質性、規模などの情報)を、有限要素法におけるモデリング情報(構造データ、物性データ)として設定する。制約条件は、後述する繰り返し処理を終了するか否かを判断する基準であり、例えば、対策に要する総時間、菌体総量、イニシャルコスト、浄化時間、トータルコストである。また、初期パラメータは、菌液の注入条件に関するパラメータの初期値であり、例えばパラメータは、注入速度、注入位置、注入井の本数、その種類(鉛直又は水平)、及び、連続注入又は間欠注入である。
ステップS14において、ステップS11〜S13で設定された値を用いて数値計算を実行し、ステップS15において、目標をクリアするために必要な時間および菌体量を決定し、ステップS16において、得られた結果が制約条件を満たすか否かを判断する。得られた結果が制約条件を満たさなければステップS17に移行し、現状のパラメータの一部又は全てを変更してステップS14に移行する。このようにして、ステップS15で得られた結果が、設定された制約条件を満たすまでステップS14〜S17の処理を繰り返す。
油汚染分布が正確に分かれば、以上のように移流分散解析によって、サイトに応じた菌液の注入条件を決定することができる。また、移流分散解析の妥当性を評価するために、高密度電気探査を援用した土中における菌液の流れを時空間的にモニタリングすることも可能である。
このように、本発明は、土壌の油汚染分布を得ることができるだけでなく、原位置バイオレメディエーションにおける菌液の注入位置を決定するのに有効である。さらには、土壌への菌液注入後の時間経過に応じて、菌液が注入された土壌に本発明を繰り返し適用することにより、土壌中の菌液分布の時間変化を把握することができる。
図7に、本発明を、原位置バイオレメディエーションに適応した別の例として、エアレーション(土壌への空気の注入)をシミュレーションした結果を示す。油汚染土壌に菌液を注入すると、油の分解に伴って溶存酸素濃度が減少するので、これを回復させるために空気注入を行う。飽和地盤に対して、図3、4と同様に、高密度電気探査及び浸透シミュレーションを行い、汚染分布を求めた。そして、得られた汚染分布図から、空気を注入する適切な位置を決定した。空気の注入条件の決定についても、上記と同様の手順で決定される。上記は菌液についての移流分散解析を実施するのに対して、ここでは溶存酸素についての移流分散解析を実施すればよい。
決定された空気を注入する適切な位置は、図7の(a)に下向きの矢印で示す。(b)及び(c)はそれぞれ、比較的低流量および比較的高流量で空気を注入した場合の、空気飽和度(土の単位間隙体積中に存在する空気量)のシミュレーション結果である。(b)では、空気の注入流量が1.5リットル/分、注入圧が8kPaとし、(c)では、空気の注入流量が8.0リットル/分、注入圧が12kPaとした。左端が注入前の状態を示し、右にいくにつれて時間経過した状態を示す。(b)、(c)から、空気の注入条件によって、空気の分布およびその時間変化が異なることが分かる。
このように、本発明は、土壌の油汚染分布を得ることができるだけでなく、エアレーションにおける空気の注入位置を決定するのに有効である。さらには、土壌への空気注入後の時間経過に応じて、空気が注入された土壌に本発明を繰り返し適用することにより、土壌中の空気分布の時間変化を把握することができる。
本発明の実施の形態に係る土壌の油汚染分布の推定方法を示すフローチャートである。 浸透シミュレーションを概念的に示すための、土壌の断面図である。 土と水とを槽に配置した実験装置を対象として、本発明の方法を適用した結果を示す図である。 土と水とを槽に配置した別の実験装置を対象として、本発明の方法を適用した結果を示す図である。 本発明を、原位置バイオレメディエーション(菌液注入)に適応した例を示す図である。 移流分散解析法の概要を示すフローチャートである。 本発明を、原位置バイオレメディエーション(エアレーション)に適応した例を示す図である。
符号の説明
1 油
2 土
3 地下水
4 地下水面(境界)
5 高密度油汚染帯

Claims (8)

  1. 土壌に対して高密度電気探査を実施して比抵抗値分布図を作成する第1ステップと、
    前記比抵抗値分布図から、高濃度の油が存在する高濃度汚染位置を決定する第2ステップと、
    前記土壌の表層部の、前記高濃度汚染位置の上方の位置を、油漏洩位置として決定する第3ステップと、
    前記油漏洩位置を油の初期位置として、油の浸透シミュレーションを行う第4ステップとを含むことを特徴とする土壌の油汚染分布の推定方法。
  2. 前記第2ステップにおいて、比抵抗値の等高線の歪みから前記高濃度汚染位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の土壌の油汚染分布の推定方法。
  3. 前記第3ステップにおいて、前記土壌の表面上の、前記高濃度汚染位置の真上の位置を、油漏洩位置として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌の油汚染分布の推定方法。
  4. 前記第4ステップよって得られた油汚染分布から、前記土壌をボーリングする位置を決定する第5ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の土壌の油汚染分布の推定方法。
  5. 請求項1〜3の何れかに記載の土壌の油汚染分布の推定方法によって得られた油汚染分布を初期条件とし、注入速度及び位置、注入井の本数及び種類、並びに、連続注入又は間欠注入を含む、想定する菌液の注入条件を境界条件として、浄化時間、菌体量、及び費用を移流分散解析により計算し、
    該計算結果が制約条件を満たす場合に、前記菌液の注入条件を目標とする菌液の注入条件として決定することを特徴とする土壌のバイオレメディエーション条件の決定方法。
  6. 請求項5に記載の土壌のバイオレメディエーション条件の決定方法によって決定された菌液の注入条件で前記土壌に菌液を注入し、
    前記土壌への菌液の注入から所定時間経過後に、前記土壌に対して高密度電気探査を実施して、前記土壌中における菌液の流れを時空間的にモニタリングし、前記菌液の注入条件を決定するために実施した前記移流分散解析の妥当性を評価することを特徴とするバイオレメディエーション方法。
  7. 目標として決定された前記菌液の注入条件から、移流分散解析によって油の分解に伴う溶存酸素濃度の減少量を時空間的に求め、
    溶存酸素濃度が減少した領域の溶存酸素濃度を回復させる空気注入条件を、空気の注入位置および注入量をパラメトリックに変化させた移流分散解析によって決定することを特徴とする請求項5に記載の土壌のバイオレメディエーション条件の決定方法。
  8. 請求項7に記載の土壌のバイオレメディエーション条件の決定方法によって決定された空気注入条件で前記土壌に空気を注入し、
    前記土壌への空気の注入から所定時間経過後に、前記土壌に対して高密度電気探査を実施して、前記土壌中における空気の流れを時空間的にモニタリングし、前記空気注入条件を決定するために実施した前記移流分散解析の妥当性を評価することを特徴とするバイオレメディエーション方法。
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