次に、図面を参照して、本発明の第1〜第9の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する事項に関してはその説明を省略している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す第1〜第9の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る表示装置は、図1に示すように、垂直方向(列方向)に走行する複数の第1信号配線B1j,B1j+1,・・・・・及び複数の第2信号配線B2j,B2j+1,・・・・・と、この複数の第1信号配線B1j,B1j+1,・・・・・及び複数の第2信号配線B2j,B2j+1,・・・・・に対し直交する水平方向(行方向)に伸延する複数の第1走査配線W1i,W1i+1,・・・・・及び複数の第2走査配線W2i,W2i+1,・・・・・により構成されたマトリクスの内部に、それぞれ画素(ピクセル)Xi,jが2次元配置されている(i=1〜n;j=1〜m:n,mは正の整数)。更に、第1信号配線B1j,B1j+1,・・・・・及び第2信号配線B2j,B2j+1,・・・・・と平行して、第1電源配線P1j,P1j+1,・・・・・及び第2電源配線P2j,P2j+1,・・・・・が走行している。
図1に示すように、第1信号配線B1jには第1書き込みトランジスタ(TFT)Q1i,jの第1端子が接続され、第1走査配線W1iには第1書き込みトランジスタQ1i,jの制御端子が接続されている。第1書き込みトランジスタQ1i,jの第2端子には、第1駆動トランジスタ(TFT)Q2i,jの制御端子と第1補助容量C1i,jの一方の端子が接続されている。第1駆動トランジスタQ2i,jの第1端子は第1電源配線P1jに接続され、第1駆動トランジスタQ2i,jの第2端子は表示セルLi,jに接続されている。第1補助容量C1i,jの他方の端子は接地されている。「第1端子」とは、バイポーラトランジスタ(BJT)においてエミッタ端子又はコレクタ端子のいずれか一方となる端子を意味する。電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)においてはソース端子又はドレイン端子のいずれか一方となる端子を意味する。「第2端子」とは、BJT等においては上記第1端子とはならないエミッタ端子又はコレクタ端子のいずれか一方となる端子、FET,SITにおいては上記第1端子とはならないソース端子又はドレイン端子のいずれか一方となる端子を意味する。即ち、第1端子が、エミッタ端子であれば、第2端子はコレクタ端子であり、第1端子がソース端子であれば、第2端子はドレイン端子であル。又、「制御端子」とは第1端子及び第2端子の間を流れる電流を制御する端子、ショットキー接合端子、絶縁ゲート構造の端子又は構造を意味する。例えば、FET,SITでは、ゲート端子、若しくはゲート構造を意味し、BJTではベース端子を意味する。一般にTFT等では、第1端子及び第2端子とは対称構造であるので、どちらをソース端子又はドレイン端子と呼ぶか、或いはどちらをエミッタ端子又はコレクタ端子と呼ぶかは単なる選択の問題である。第2信号配線B2jには第2書き込みトランジスタ(TFT)Q3i,jの第2端子が接続され、第2走査配線W2iには第2書き込みトランジスタQ3i,jの制御端子が接続されている。第2書き込みトランジスタQ3i,jの第2端子には、第2駆動トランジスタ(TFT)Q4i,jの制御端子と第2補助容量C2i,jの一方の端子が接続されている。第2駆動トランジスタQ4i,jの第2端子は第2電源配線P2jに接続され、第2駆動トランジスタQ4i,jの第2端子は表示セルLi,jに接続されている。第2補助容量C2i,jの他方の端子は接地されている。
更に、第1信号配線B1jには第1書き込みトランジスタ(TFT)Q1i+1,jの第1端子が接続され、第1走査配線W1i+1には第1書き込みトランジスタQ1i+1,jの制御端子が接続されている。第1書き込みトランジスタQ1i+1,jの第2端子には、第1駆動トランジスタ(TFT)Q2i+1,jの制御端子と第1補助容量C1i+1,jの一方の端子が接続されている。第1駆動トランジスタQ2i+1,jの第1端子は第1電源配線P1jに接続され、第1駆動トランジスタQ2i+1,jの第2端子は表示セルLi+1,jに接続されている。第1補助容量C1i+1,jの他方の端子は接地されている。第2信号配線B2jには第2書き込みトランジスタ(TFT)Q3i+1,jの第2端子が接続され、第2走査配線W2i+1には第2書き込みトランジスタQ3i+1,jの制御端子が接続されている。第2書き込みトランジスタQ3i+1,jの第2端子には、第2駆動トランジスタ(TFT)Q4i+1,jの制御端子と第2補助容量C2i+1,jの一方の端子が接続されている。第2駆動トランジスタQ4i+1,jの第2端子は第2電源配線P2jに接続され、第2駆動トランジスタQ4i+1,jの第2端子は表示セルLi+1,jに接続されている。第2補助容量C2i+1,jの他方の端子は接地されている。
又、第1信号配線B1j+1には第1書き込みトランジスタ(TFT)Q1i,j+1の第1端子が接続され、第1走査配線W1iには第1書き込みトランジスタQ1i,j+1の制御端子が接続されている。第1書き込みトランジスタQ1i,j+1の第2端子には、第1駆動トランジスタ(TFT)Q2i,j+1の制御端子と第1補助容量C1i,j+1の一方の端子が接続されている。第1駆動トランジスタQ2i,j+1の第1端子は第1電源配線P1j+1に接続され、第1駆動トランジスタQ2i,j+1の第2端子は表示セルLi,j+1に接続されている。第1補助容量C1i,j+1の他方の端子は接地されている。第2信号配線B2j+1には第2書き込みトランジスタ(TFT)Q3i,j+1の第2端子が接続され、第2走査配線W2iには第2書き込みトランジスタQ3i,j+1の制御端子が接続されている。第2書き込みトランジスタQ3i,j+1の第2端子には、第2駆動トランジスタ(TFT)Q4i,j+1の制御端子と第2補助容量C2i,j+1の一方の端子が接続されている。第2駆動トランジスタQ4i,j+1の第2端子は第2電源配線P2j+1に接続され、第2駆動トランジスタQ4i,j+1の第2端子は表示セルLi,j+1に接続されている。第2補助容量C2i,j+1の他方の端子は接地されている。
更に、第1信号配線B1j+1には第1書き込みトランジスタ(TFT)Q1i+1,j+1の第1端子が接続され、第1走査配線W1i+1には第1書き込みトランジスタQ1i+1,j+1の制御端子が接続されている。第1書き込みトランジスタQ1i+1,j+1の第2端子には、第1駆動トランジスタ(TFT)Q2i+1,j+1の制御端子と第1補助容量C1i+1,j+1の一方の端子が接続されている。第1駆動トランジスタQ2i+1,j+1の第1端子は第1電源配線P1j+1に接続され、第1駆動トランジスタQ2i+1,j+1の第2端子は表示セルLi+1,j+1に接続されている。第1補助容量C1i+1,j+1の他方の端子は接地されている。第2信号配線B2j+1には第2書き込みトランジスタ(TFT)Q3i+1,j+1の第2端子が接続され、第2走査配線W2i+1には第2書き込みトランジスタQ3i+1,j+1の制御端子が接続されている。第2書き込みトランジスタQ3i+1,j+1の第2端子には、第2駆動トランジスタ(TFT)Q4i+1,j+1の制御端子と第2補助容量C2i+1,j+1の一方の端子が接続されている。第2駆動トランジスタQ4i+1,j+1の第2端子は第2電源配線P2j+1に接続され、第2駆動トランジスタQ4i+1,j+1の第2端子は表示セルLi+1,j+1に接続されている。第2補助容量C2i+1,j+1の他方の端子は接地されている。
第1書き込みトランジスタQ1i,j,Q1i+1,j,Q1i,j+1,Q1i+1,j+1、第1駆動トランジスタQ2i,j,Q2i+1,j,Q2i,j+1,Q2i+1,j+1、第2書き込みトランジスタQ3i,j,Q3i+1,j,Q3i,j+1,Q3i+1,j+1、及び第2駆動トランジスタQ4i,j,Q4i+1,j,Q4i,j+1,Q4i+1,j+1は、LCDや有機ELに使用されているアクティブマトリクス基板に用いられているTFTを用いれば良い。
第1走査配線W1i,W1i+1,・・・・・と第1信号配線B1j,B1j+1,・・・・・を同期させて電圧を印加し、第1書き込みトランジスタQ1i,j,Q1i+1,j,Q1i,j+1,Q1i+1,j+1、・・・・・から表示信号を第1補助容量C1i,j,C1i+1,j,C1i,j+1,C1i+1,j+1、・・・・・に蓄積させる。この第1補助容量C1i,j,C1i+1,j,C1i,j+1,C1i+1,j+1、・・・・・の表示信号の電荷量により、第1駆動トランジスタQ2i,j,Q2i+1,j,Q2i,j+1,Q2i+1,j+1、・・・・・1は、表示セルLi,j,Li+1,j,Li,j+1,Li+1,j+1に流す電流量を制御できる。同様に、第2走査配線W2i,W2i+1,・・・・・と第2信号配線B2j,B2j+1,・・・・・を同期させて電圧を印加し、第2書き込みトランジスタQ3i,j,Q3i+1,j,Q3i,j+1,Q3i+1,j+1、・・・・・から表示信号を第2補助容量C2i,j,C2i+1,j,C2i,j+1,C2i+1,j+1、・・・・・に蓄積させる。この第2補助容量C2i,j,C2i+1,j,C2i,j+1,C2i+1,j+1、・・・・・の表示信号の電荷量により、第2駆動トランジスタQ4i,j,Q4i+1,j,Q4i,j+1,Q4i+1,j+1・・・・・は、表示セルLi,j,Li+1,j,Li,j+1,Li+1,j+1に流す電流量を制御できる。
この結果、第1電源配線P1j,P1j+1,・・・・・及び第2電源配線P2j,P2j+1,・・・・・から供給される電圧により表示セルLi,j,Li+1,j,Li,j+1,Li+1,j+1に流れる電流を切換え、反射表示と発光表示の両機能を切換ながら表示することができる。
図2〜図5は、図1に示した表示装置の画素(ピクセル)Xi,jの表示セルLi,jの構造の一例を示している(i=1〜n;j=1〜m:n,mは正の整数)。図2〜図5に示すように、それぞれの画素(ピクセル)Xi,jは、電気化学発光材料(ECL材料)を含む第1層6と、この第1層6の少なくとも一部と対向配置され、エレクトロクロミック材料を含む第2層7と、第1層6に電界を印加し、電気化学発光材料の電気化学的発光をさせる第1の電界印加手段(3,4,VECL)と、 エレクトロクロミック材料(EC材料)に電界を印加し、エレクトロクロミック材料を変色させる第2の電界印加手段(3,4,5,E1,E2)と、第1の電界印加手段(3,4,VECL)と第2の電界印加手段(3,4,5,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S1,S2)とを備える。即ち、画素(ピクセル)Xi,jの表示セルLi,jは、第1基板1を備え、この第1基板1上には、互いに電気的に分離された第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4が設けられている。第1基板1に離間対向して第2基板2が設けられ、第2基板上2には、EC側電極5が設けられている。第1ECL側電極3は、図1に示した第1駆動トランジスタQ2i,jの第2端子に接続され、第2ECL側電極4は、図1に示した第2駆動トランジスタQ4i,jの第2端子に接続されている。
第1基板1と第2基板2との間の第2基板2側には、電圧印加により可逆的に発色(着色),消色を示すEC材料を含む第2層7が設けられる。第1基板1と第2基板2との間の第1基板1側には、EC材料のEC反応に係わるイオンを含む電解質材料中に電気化学的な酸化若しくは還元により発光するECL材料を含む第1層6が設けられている。一組の第1ECL側電極3と第2ECL側電極4によって1つの画素Xi,jの第1の電界印加手段(3,4,VECL)の一部の構造が形成され、一組の第1ECL側電極3、第2ECL側電極4及びEC側電極5によって画素Xi,jの第2の電界印加手段(3,4,5,E1,E2)の一部の構造が形成される。又、EC側電極5及びその上の第2層7とは、画素Xi,j毎にパターニングされている。複数の画素Xi,jは、図1に示すように、マトリクス状に配置され、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置が構成される。このため、第1基板1及び第2基板2の間は、それぞれ複数の画素Xi,jに共通な基板として形成することが可能である。
第1層6には、電圧の印加によりECL材料、若しくは他の材料が電気化学的な酸化若しくは還元され、発生した酸化体(カチオンラジカル)と還元体(アニオンラジカル)が衝突することによって励起された発光材料が失活する際に発光する発光材料、つまり電気化学発光(ECL)を示す材料が含まれる。ECLは、ECL材料、若しくは他の材料が電圧の印加により、電極、又は電極とEC膜近傍で酸化されてカチオンラジカル、還元されてアニオンラジカルとなり、この両者が会合消失する際に、ECL材料の励起状態が生成しその失活過程において発光する。これにより発光表示を行う。
又、第2層7には、電圧の印加により電気化学的な酸化若しくは還元反応が生じ、変色する発色材料、つまり、エレクトロクロミック(EC)現象を示す材料が含まれる。EC現象は、EC材料が還元されることにより発色若しくは消色し、酸化されることにより消色若しくは発色する。この際、第1層6に含まれる、電解質、若しくはEC材料のEC反応に係わるイオンを含む電解質がこのEC反応に必須である。例えば、EC材料としての酸化タングステン(W1O3)にあっては、酸化反応により消色されて透明となり、還元反応により発色されて青色となる。尚、使用するEC材料によって、ECL材料を含む第1層(ECL・電解質層)6中のイオンもこの反射表示のEC(酸化・還元)反応に係わる。ECL材料として例えば、W1O3からなる第2層(EC層)7を適用した場合、ECL材料を含む第1層(電解質層)6中にLi+を含むもの(支持塩としてはリチウム塩複合体(LiCF3SO3等)を使用する。この場合、(1)式のようなEC反応が起こる。
W1O3+xe-+xLi+ ⇔ LixW1O3 ・・・・・(1)
(1)式の左辺で示される酸化反応では消色(透明)、(1)式の右辺で示される還元反応では発色(青色)する。このようなEC現象の特性が利用されて、反射表示される。
図2及び図3は、発光表示の場合の表示セルLi,jの等価回路表示である。図2〜図5において、第1ECL側電極3と第1層(電解質層)6との界面には、この界面でのイオン移動過程の界面インピーダンスを示す界面抵抗R1 c1と界面容量C1 c1との並列回路が示されている。同様に、第2ECL側電極4と第1層(電解質層)6との界面には、この界面でのイオン移動過程の界面インピーダンスを示す界面抵抗R1 c2と界面容量C1 c2との並列回路が示されている。図2〜図5に示す第1ECL側電極3及び第2ECL側電極側の界面インピーダンスは、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4中のホスト格子の酸化還元反応、即ち、ホスト格子と第1層(電解質層)6との間の電子授受と酸化還元反応の伝搬のための電子のホスト格子中の移動を伴うと考えられる。したがって、表示セルLi,jの反応の進行には(1)式で示したような、界面を横切るLi+の移動、ホスト格子の再配列とその伝搬、電子のホスト格子内での移動、Li+の界面での移動の各反応ステップを表していると考えられる。
界面抵抗R1 c1と界面容量C1 c1との並列回路に接続される抵抗RECL1は、第1層(電解質層)6中での抵抗成分を示し、界面抵抗R1 c2と界面容量C1 c2との並列回路に接続される抵抗RECL2も第1層(電解質層)6中での抵抗成分を示す。
抵抗RECL1に接続される界面抵抗R2 c1と界面容量C2 c1との並列回路は、第1層(電解質層)6と第2層(EC層)7との界面でのイオン移動過程の界面インピーダンスを示す。同様に、抵抗RECL2に接続される界面抵抗R2 c2と界面容量C2 c2との並列回路も第1層(電解質層)6と第2層(EC層)7との界面でのイオン移動過程の界面インピーダンスを示す。
界面抵抗R2 c1と界面容量C2 c1との並列回路に接続される抵抗REC1は、第2層(EC層)7中での抵抗成分を示し、界面抵抗R2 c2と界面容量C2 c2との並列回路に接続される抵抗REC2も第2層(EC層)7中での抵抗成分を示す。抵抗REC1と抵抗REC2とを接続する抵抗RGは、EC側電極5の抵抗である。
図3では、図2に示した抵抗RECL1に接続される界面抵抗R2 c1と界面容量C2 c1との並列回路は、及び抵抗RECL2に接続される界面抵抗R2 c2と界面容量C2 c2との並列回路が省略され、第2層(EC層)7中での抵抗成分RECで単純化して示している。発光表示は、図2の等価回路からなるECL反応と図3の等価回路からなるECL反応が協奏的に生じると考えられる。図2と図3の反応のどちらが支配的かは、構成する部材によって決定される。
第2層7に用いるEC材料としては、無機材料である、酸化マンガン(MnO2)、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、酸化銅(CuO)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化ロジウム(Rh2O3)、酸化イリジウム(IrOx)、プルシアンブルー、酸化タングステン(W1O3)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化チタン(TiO2)、酸化バナジウム(V2O5)、酸化ニオブ(Nb2O5)、沃化銀(AgI)等が使用可能である。
又、低分子有機材料である、ビオロゲン系有機材料がEC材料として使用可能である。
更に他の低分子有機材料としては、オルソクロラニル、4−ベンゾイルピリジウム誘導体、ルテニウムートリス、ルテニウムービス、オスミウムートリス、オスミウムーピス型の遷移金属錯体(式[I]参照。)、多核錯体、又はルテニウムーシスージアクアービピリシル錯体、又はフタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素、ペリレン色素、アントラキノン色素、アゾ色素、キノフタロン色素、ナフトキノン色素、シアニン色素、メロシアニン色素、ジフタロシアニン錯体、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレニリデンマロノニトリル、テトラシアノキノジメタン等がEC材料として使用可能である。
更に、式[II]〜式[IX]に示すような導電性高分子である、ポリピロール誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリアズレン誘導体、ポリイソチアナフテン、ポリ(N−メチルイソインドール)、ポリ(ジチエノ[3,4−b:3’,4’−d]チオフェン)、ポリジアリルアミン誘導体、ポリピロロピロール誘導体、Ru錯体系導電性高分子等がEC材料としてあげられるが、これらに限定されるものではない。
第2層7は、無機材料を用いる場合は、蒸着、スパッタ、気相成長、ゾルゲル法や微粒子焼結、又は前駆体である過酸化ポリ酸溶液の塗布・乾燥で成膜する。又、低分子有機材料を用いる場合は、蒸着、塗布・乾燥(溶液化して)する。又、導電性高分子では、塗布・乾燥(溶液化して)や電解重合)する。これらにより固体層ができる。
第1層6は、ECL材料及び電解質を含む。ECL材料としては、式[X]に示すようなキレート金属錯体(ルテニウムビピリジル錯体)であるトリス(2,2'-ビピラジル)ルテニウム(II)[Ru(bpy)
3]
2+等や、
多環芳香族化合物である、ナフタセン誘導体(式[XI]に示すようなルブレン、式[XIII]に示すような5,12−ジフェニルナフタセン)、式[XII]に示すようなアントラセン誘導体(9,10−ジフェニルアントラセン)、ペンタセン誘導体(6,10−ジフェニルペンタセン)、式[XIV]に示すようなペリフランテン誘導体(ジベンゾテトラ(メチルフェニル)ペリフランテン)等や、
π電子共役高分子である、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等や、ヘテロ芳香族化合物であるクマリン等や、有機金属化合物であるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム等や、キレートランタノイド錯体などがあげられる。
ここで、式[I],[III],[IV],[VII],[VIII],[XVI]〜[XXIII]中のR1及びR2としては、それぞれ水素、炭素数が24個までのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数が6〜18個のアリール基、アリールオキシ基又はアラルキル基等がある。
電解質は、溶媒(液体電解質として第1層6を液体層とする場合)、若しくはこの溶媒で膨潤したゲル状の高分子(固体電解質として第1層6を固体層とする場合)と、これに溶解した支持塩とを有し、支持塩は、過塩素酸テトラブチルアンモニウム(Tetrabutylammonium perchlorate)、ヘキサフルオロりん酸カリウム、リチウムトリフルオロメタンスルホン酸(Lithium trifluoromethanesulfonate)、過塩素酸リチウム、テトラフルオロほう酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリプロピルアミン(tripropyl amine)、ホウフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(tetra-n-butylammonium fluoroborate)等があげられる。
又、溶媒としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、o−ジクロロベンゼン、1,2ジメトキシエタン、グリセリン、水、エチルアルコール、プロピルアルコール、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−メチルテトラヒドロフラン、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、アセトン、ニトロベンゼン、1,3−ジオキソラン、フラン、ベンゾトリフルオリド等からなる単一溶媒又は混合溶媒があげられる。
又、ゲル状の高分子としては、ポリアクリルニトリル(PAN)、フッ化ビニリデン(VDF)と6フッ化プロピレン(HFP)の共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)等があげられる。
この第1層6を液体層とする場合は、上述の溶媒に支持塩及びECL材料を溶解させて用いれば良く、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4を形成した第1基板1と、EC側電極5と第2層7とを積層した第2基板2との間に注入すれば良い。又、第1層6を固体層とする場合は、支持塩と溶媒を含むゲル状高分子の溶液(溶媒多め)を塗布・乾燥で形成すれば良い。
第1の実施の形態に係る表示装置では、図2〜図4に示すように第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4がスイッチング素子S1を介して交流電源VECLに接続され、
第1の電界印加手段(3,4,VECL)を構成している。又、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4とEC側電極5とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(3,4,5,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S1とスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,4,VECL)と第2の電界印加手段(3,4,5,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S1,S2)を構成している。
発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、第1ECL側電極3,第2ECL側電極4及びEC側電極5が直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S1が閉じて、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4が交流電源VECLに接続される。したがって、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4間に交流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この交流電源VECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
一方、図5では、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4がスイッチング素子S1を介して直流電源EECLに接続され、第1の電界印加手段(3,4,EECL)を構成している。又、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4とEC側電極5とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(3,4,5,E1,E2)を構成している。図5の場合の発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、第1ECL側電極3,第2ECL側電極4及びEC側電極5が直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S1が閉じて、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4が直流電源EECLに接続される。したがって、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4間に直流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。図2〜図4と同様に、この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この直流電源EECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
反射表示においては、第1ECL側電極3と第2ECL側電極4が互いに短絡されるようにスイッチング素子S1が切り替えられてスイッチング素子S2が閉じて、同電位の第1ECL側電極3,第2ECL側電極4と、EC側電極5との間が互いに極性の異なる直流電源E1,E2のいずれかに接続される。
反射表示の場合の表示セルLi,jの等価回路はその図示を省略しているが、図2に示した発光表示の場合の表示セルLi,jの等価回路表示において、抵抗REC1と抵抗REC2とを接続するEC側電極5の抵抗RGを無視した等価回路で表現可能である。したがって、図2に示した等価回路で、界面抵抗R1 c1と界面容量C1 c1との並列回路と、界面抵抗R1 c2と界面容量C1 c2との並列回路とを互いに短絡するノードに図2のスイッチング素子S2が接続され、第2層(EC層)7中での抵抗成分を示す抵抗REC1と、抵抗REC2とを互いに短絡するノードに直流電源E1,E2が接続された等価回路で反射表示の場合の表示セルLi,jの等価回路が表現できる。
即ち、同電位の第1ECL側電極3,第2ECL側電極4と、EC側電極5との間に直流電界が生じてEC現象を示す材料を含む第2層7が着色或いは透明化される。その結果、第1基板1の外からは、着色された第2層7或いは透明化された第2層7を介して第2基板2が背景色として観察される。直流電源E1,E2からの印加電界の極性を変えると、第2層7が着色から透明に、或いは、透明から着色に変化され、その結果、背景色或いは着色が第1基板1の側から観察される。
図2,3,5は、第1基板1の側から画素Xi,jの内部状態が観察される場合の構造であり、第1基板1を透明材料で構成し、且つ第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4は、好ましくは、略透明材料で構成される。
これに対して、図4は、第2基板2の側から画素Xi,jの内部状態が観察される場合であり、第2基板2及びEC側電極5が透明材料で構成され、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4、或いは第1基板1が反射層として機能するか、若しくは別途反射層を設ける。背景色に定められる。第1基板1は通常、表示装置の観察面となる部分であるから、第1基板1は光透過性材料で形成するのが普通である。そのような光透過性材料として、好ましくは可視光領域で吸収が少ない材料、例えばガラス等の無機材料、及び光透過性樹脂等の有機性材料が良く、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)等をあげることができる。第2基板2は、光透過性の必要がないが、通常、第1基板1と同様な材料で形成するのが普通である。
第1ECL側電極3,第2ECL側電極4及びEC側電極5としては、第1層(電解質溶液層)6及び第2層(EC層)7による表示を観察できるように、通常、光透過性材料によって構成される。そのような光透過性材料としては、金属酸化物半導体では、遷移金属の酸化物、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、インジウム(In)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)の(複合)酸化物、SrTiO3、CaTiO3、B1aTiO3、MgTiO3、SrNb2O6のようなペロブスカイト、或いはこれらの複合酸化物又は酸化物混合物、窒化ガリウム(GaN)、等を用いることができる。良く使用されるものとして、錫(Sn)をドープした酸化インジウム(In2O3)膜(ITO)、インジウム(In)をドープした酸化亜鉛(ZnO)膜(IZO)、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛膜(GZO)、酸化錫(SnO2)、耐酸性を付与するためにフッ素をドープした酸化亜鉛膜(FTO)等の透明電極が使用可能である。又、透明であることを要しない電極としては、各種の導電性材料を用いることができる。そのうち光反射率が高いもの、例えばAl、Ag等、を用いると、発光表示及び反射表示をより明るく、鮮明に行うことが可能になる。
このように図2〜図5に示すような表示セルを用いることにより、第1の実施の形態に係る表示装置において、利用者は、発光表示或いは反射表示を選択することができる。即ち、利用者は、使用環境に応じていずれかの表示を選択指示することができる。このスイッチの指示情報に応じて、交流電源VECL(直流電源EECL)及び互いに極性の異なる直流電源E1,E2が切り替えられて、所定の電圧が第1ECL側電極3,第2ECL側電極4及びEC側電極5に印加され、発光表示或いは反射表示で画素Xi,jの内部状態が表示される。
[表示装置の製造方法]
本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の製造方法を説明する。尚、以下に述べる表示装置の製造方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
(イ)まず、第1基板1、第2基板2として、厚さ0.7mmのガラスからなる基板を用い、膜厚100nmのITOをスパッタにより形成し、パターニングして第1ECL側電極3、第2ECL側電極4、EC側電極5とする。
(ロ)EC側電極5を形成した第2基板2の表面をUV処理した後、予め合成した、4モル/lのタングステンとなるような過酸化ポリタングステン酸水溶液をスピンコートし、EC層(W1O3膜)7を約100nmの厚さとなるよう形成する。
(ハ)第1基板1と第2基板2とを、2μm粒径のガラスビーズスペーサーを介して、2μmギャップとなるよう対向配置し、注入口を残して周囲をエポキシ樹脂で固め、セルとする。
(ニ)支持塩とし10mMのリチウム塩複合体(LiCF3SO3)、又イオン伝導補助剤として1,2−ジフェノキシエタンを、o−ジクロロベンゼン/アセトニトリル混合溶媒(2/1)に溶解させた電解質に、10mMのルブレンをECL材料として溶解させ、このセルに注入して第1層(ECL・電解質層)6とし、予め作成しておいたAlの反射板とセルを貼り合わせて表示装置を完成する。
[表示装置の動作]
上記の表示装置の製造方法を用い、2.5インチ四方の表示装置を作製した。各画素Xi,jはの表示セルLi,jは単色の電気化学反応素子からなる図2に示す構成とし、1画素Xi,jのサイズを100μm四方となるように作製した。第1ECL側電極3と第2ECL側電極4とを同電位とし、これら電極3,4とEC側電極5間に−1.5〜+3Vとなるよう電圧を印加する。すると、EC側電極5が正となるように、印加電界の極性を選択し、+1.8Vを印加することにより、消色状態が実現された。
又、EC側電極5が負となるように、印加電界の極性を選択し、−2.7Vを印加することにより、青色の着色状態を実現し、反射表示が可能であることがわかった。
又、EC側電極5には電圧を印加せず、第1ECL側電極3と第2ECL側電極4との間に±8Vとなるよう、20Hzの交流を印加すると、黄色の発光が観測された。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る表示装置も、図1に示したと同様に、複数の第1信号配線B1j,B1j+1,・・・・・及び複数の第2信号配線B2j,B2j+1,・・・・・と、この複数の第1信号配線B1j,B1j+1,・・・・・及び複数の第2信号配線B2j,B2j+1,・・・・・に対し直交する水平方向(行方向)に伸延する複数の第1走査配線W1i,W1i+1,・・・・・及び複数の第2走査配線W2i,W2i+1,・・・・・により構成されたマトリクスの内部に、それぞれ画素(ピクセル)Xi,jが2次元配置されている(i=1〜n;j=1〜m:n,mは正の整数)。更に、第1信号配線B1j,B1j+1,・・・・・及び第2信号配線B2j,B2j+1,・・・・・と平行して、第1電源配線P1j,P1j+1,・・・・・及び第2電源配線P2j,P2j+1,・・・・・が走行しているが、画素(ピクセル)Xi,jの表示セルLi,jの構造が異なる。
図6は、第2の実施の形態に係る表示装置の表示セルLi,jの構造を概略的に示す断面図である。第2の実施の形態に係る表示装置については、第1の実施の形態と異なる点のみ説明し、同様な点については図面に同一の符号を付してその説明を省略する。
図2〜図5を用いて説明したように、第1の実施の形態の表示セルLi,jで実現する反射/発光の表示は、ECL反応とEC反応の反応に必要な実効電圧(電位)や反応速度の違いによって切り替え可能になっていると考えられる。そこで、第2の実施の形態に係る表示装置においては、図6に示すように第1基板1上に第1ECL側電極3のみが設けられた構造である。
第2の実施の形態に係る表示装置では、図6に示すようにECL側電極3とEC側電極5がスイッチング素子S3を介して交流電源V3に接続され、第1の電界印加手段(3,5,V3)を構成している。更に、ECL側電極3とEC側電極5とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(3,5,E1,E2)を構成している。交流電源V3は、EC反応が追随できない周波数で交流電界を供給する。スイッチング素子S3とスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,5,V3)と第2の電界印加手段(3,5,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S3,S2)を構成している。
図6に示すECL側電極3のみが設けられた構造において、発光表示に関しては、スイッチング素子S2を開放し、スイッチング素子S3を閉じて、ECL側電極3とEC側電極5間に、EC反応が追随できない周波数で交流電界を印加すれば、第1層6で発光が観測される。
又、反射表示に関しては、スイッチング素子S2を閉じ、スイッチング素子S3を開放して、ECL側電極3とEC側電極5間に互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、この間に、EC反応が生じる電圧(電位)が印加され、第2層7で発色・消色が観測される。直流電源E1,E2からの印加電界の極性を変えると、第2層7が着色から透明に、或いは、透明から着色に変化され、その結果、背景色或いは着色が第1基板1の側から観察される。この反射表示駆動時に、第2層7/第1層6においてECL・電解質層/EC層界面で電気2重層が形成され、第2層7が第1層6からのイオンの出入りだけではなく、ECL材料が酸化還元される場合(発光表示の誤動作の可能性)があるが、第2層7の実効電圧(電位)降下等によりEC反応に適正な電圧(電位)や電流を制御することによって良好な反射表示が可能となる。
本発明の第2の実施の形態に係る表示装置によれば、第2の実施の形態と比較して、簡易な構造で反射・発光表示を実現できる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る表示装置も、図1に示したと同様に、複数の第1信号配線B1j,B1j+1,・・・・・及び複数の第2信号配線B2j,B2j+1,・・・・・と、この複数の第1信号配線B1j,B1j+1,・・・・・及び複数の第2信号配線 B2j,B2j+1,・・・・・に対し直交する水平方向(行方向)に伸延する複数の第1走査配線W1i,W1i+1,・・・・・及び複数の第2走査配線W2i,W2i+1,・・・・・により構成されたマトリクスの内部に、それぞれ画素(ピクセル)Xi,jが2次元配置されている(i=1〜n;j=1〜m:n,mは正の整数)。更に、第1信号配線B1j,B1j+1,・・・・・及び第2信号配線B2j,B2j+1,・・・・・と平行して、第1電源配線P1j,P1j+1,・・・・・及び第2電源配線P2j,P2j+1,・・・・・が走行しているが、画素(ピクセル)Xi,jの表示セルLi,jの構造が異なる。
図7,8は、第3の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jを概略的に示す断面図である。第3の実施の形態に係る表示装置については、第1及び第2の実施の形態と異なる点のみ説明し、同様な点については図面に同一の符号を付してその説明を省略する。
図7,8のように、第3の実施の形態に係る表示装置の表示セルLi,jは、第2層7と第1層6間に、透明な中間電極11と電解質層12を設けている。中間電極11は表示を観察できるように、通常、光透過性材料によって構成される。そのような光透過性材料としては、金属酸化物半導体では、遷移金属の酸化物、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、インジウム(In)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)の(複合)酸化物、SrTiO3、CaTiO3、B1aTiO3、MgTiO3、SrNb2O6のようなペロブスカイト、或いはこれらの複合酸化物又は酸化物混合物、窒化ガリウム(GaN)、等を用いることができる。良く使用されるものとして、錫(Sn)をドープした酸化インジウム(In2O3)膜(ITO)、インジウム(In)をドープした酸化亜鉛(ZnO)膜(IZO)、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛膜(GZO)、酸化錫(SnO2)、耐酸性を付与するためにフッ素をドープした酸化亜鉛膜(FTO)等の透明電極が使用可能である。
電解質層12の材料としては、溶媒(液体電解質として第1層6を液体層とする場合)、若しくはこの溶媒で膨潤したゲル状の高分子(固体電解質として第1層6を固体層とする場合)と、これに溶解した支持塩とを有し、支持塩は、過塩素酸テトラブチルアンモニウム(Tetrabutylammonium perchlorate)、ヘキサフルオロりん酸カリウム、リチウムトリフルオロメタンスルホン酸(Lithium trifluoromethanesulfonate)、過塩素酸リチウム、テトラフルオロほう酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリプロピルアミン(tripropyl amine)、ホウフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(tetra-n-butylammonium fluoroborate)等があげられる。
又、溶媒としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、o−ジクロロベンゼン、1,2ジメトキシエタン、グリセリン、水、エチルアルコール、プロピルアルコール、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−メチルテトラヒドロフラン、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、アセトン、ニトロベンゼン、1,3−ジオキソラン、フラン、ベンゾトリフルオリド、等からなる単一溶媒又は混合溶媒があげられる。
又、ゲル状の高分子としては、ポリアクリルニトリル(PAN)、フッ化ビニリデン(VDF)と6フッ化プロピレン(HFP)の共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)等が使用可能である。
発光表示は第1ECL側電極3と第2ECL側電極4間に交流又は直流電界を印加することによって行う。
第3の実施の形態に係る表示装置では、図7に示すように第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4がスイッチング素子S4を介して交流電源VECLに接続され、第1の電界印加手段(3,4,VECL)を構成している。又、中間電極11とEC側電極5とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(11,5,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S4とスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,4,VECL)と第2の電界印加手段(11,5,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S4,S2)を構成している。
発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、中間電極11及びEC側電極5が直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S4が閉じて、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4が交流電源VECLに接続される。したがって、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4間(中間電極11を介した)に交流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この交流電源VECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
一方、図8では、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4がスイッチング素子S4を介して直流電源EECLに接続され、第1の電界印加手段(3,4,EECL)を構成している。又、中間電極11とEC側電極5とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(11,5,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S4とスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,4,EECL)と第2の電界印加手段(11,5,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S4,S2)を構成している。
図8の場合の発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、中間電極11及びEC側電極5が直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S4が閉じて、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4が直流電源EECLに接続される。したがって、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4間(中間電極11を介した)に直流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。図7と同様に、この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この直流電源EECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
反射表示においては、スイッチング素子S2が閉じて、中間電極11及びEC側電極5とが互いに極性の異なる直流電源E1,E2のいずれかに接続される。したがって、中間電極11とEC側電極5との間に直流電界が生じてEC現象を示す材料を含む第2層7が着色或いは透明化される。その結果、第1基板1の外からは、着色された第2層7或いは透明化された第2層7を介して第2基板2が背景色として観察される。直流電源E1,E2からの印加電界の極性を変えると、第2層7が着色から透明に、或いは、透明から着色に変化され、その結果、背景色或いは着色が第1基板1の側から観察される。
第3の実施の形態に係る表示装置によれば、反射表示部と発光表示部が独立した系になり、誤動作を起こしにくくなる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る表示装置も、図1に示したと同様なマトリクスの内部に、それぞれ画素(ピクセル)Xi,jが2次元配置されている(i=1〜n;j=1〜m:n,mは正の整数)。それぞれの画素(ピクセル)Xi,jは、図9,10に示すように、第2層7と第1層6との間に、中間電極11と電解質層12を設けている点では、第3の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jの表示セルLi,jと同様である。しかし、第2の実施の形態に係る表示装置と同様に、第1基板1上には、ECL側電極3のみが設けられた構造である点が、第3の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jの表示セルLi,jとは異なる。中間電極11は表示を観察できるように、通常、光透過性材料によって構成される。そのような光透過性材料としては、金属酸化物半導体では、遷移金属の酸化物、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、インジウム(In)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)の(複合)酸化物、SrTiO3、CaTiO3、B1aTiO3、MgTiO3、SrNb2O6のようなペロブスカイト、或いはこれらの複合酸化物又は酸化物混合物、窒化ガリウム(GaN)、等を用いることができる。良く使用されるものとして、錫(Sn)をドープした酸化インジウム(In2O3)膜(ITO)、インジウム(In)をドープした酸化亜鉛(ZnO)膜(IZO)、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛膜(GZO)、酸化錫(SnO2)、耐酸性を付与するためにフッ素をドープした酸化亜鉛膜(FTO)等の透明電極が使用可能である。電解質層12の材料としては、溶媒(液体電解質として第1層6を液体層とする場合)、若しくはこの溶媒で膨潤したゲル状の高分子(固体電解質として第1層6を固体層とする場合)と、これに溶解した支持塩とを有し、支持塩は、過塩素酸テトラブチルアンモニウム(Tetrabutylammonium perchlorate)、ヘキサフルオロりん酸カリウム、リチウムトリフルオロメタンスルホン酸(Lithium trifluoromethanesulfonate)、過塩素酸リチウム、テトラフルオロほう酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリプロピルアミン(tripropyl amine)、ホウフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(tetra-n-butylammonium fluoroborate)等があげられる。
又、溶媒としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、o−ジクロロベンゼン、1,2ジメトキシエタン、グリセリン、水、エチルアルコール、プロピルアルコール、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−メチルテトラヒドロフラン、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、アセトン、ニトロベンゼン、1,3−ジオキソラン、フラン、ベンゾトリフルオリド、等からなる単一溶媒又は混合溶媒があげられる。
又、ゲル状の高分子としては、ポリアクリルニトリル(PAN)、フッ化ビニリデン(VDF)と6フッ化プロピレン(HFP)の共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)等が使用可能である。
第4の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jでは、図9に示すように、ECL側電極3及び中間電極11が、スイッチング素子S5dを介して、互いに極性の異なる直流電源EECL1及び直流電源EECL2に接続され、第1の電界印加手段(3,11,EECL1,EECL2)を構成している。更に、中間電極11とEC側電極5とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(11,5,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S5dとスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,11,EECL1,EECL2)と第2の電界印加手段(11,5,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S5d,S2)を構成している。
第4の実施の形態に係る表示装置の表示セルLi,jの発光表示はECL側電極3と中間電極11間に交流又は直流電界を印加することによって行う。即ち、図9に示す表示セルLi,jの発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、中間電極11及びEC側電極5が直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S5dがいずれかの極性に閉じて、ECL側電極3及び中間電極11が、極性の異なる直流電源EECL1及び直流電源EECL2のいずれかに接続される。したがって、ECL側電極3及び中間電極11間に直流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この直流電源EECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
一方、図10では、ECL側電極3及び中間電極11がスイッチング素子S5aを介して交流電源VECLに接続され、第1の電界印加手段(3,11,VECL)を構成している。又、中間電極11とEC側電極5とがスイッチング素子S2を介して直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(11,5,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S5aとスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,11,VECL)と第2の電界印加手段(11,5,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S5a,S2)を構成している。
発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、中間電極11及びEC側電極5が互いに極性の異なる直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S5aが閉じて、ECL側電極3及び中間電極11が交流電源VECLに接続される。したがって、ECL側電極3及び中間電極11間に交流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この交流電源VECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
反射表示においては、スイッチング素子S2が閉じて、中間電極11及びEC側電極5とが、互いに極性の異なる直流電源E1,E2のいずれかに接続される。したがって、中間電極11とEC側電極5との間に直流電界が生じてEC現象を示す材料を含む第2層7が着色或いは透明化される。その結果、第1基板1の外からは、着色された第2層7或いは透明化された第2層7を介して第2基板2が背景色として観察される。直流電源E1,E2からの印加電界の極性を変えると、第2層7が着色から透明に、或いは、透明から着色に変化され、その結果、背景色或いは着色が第1基板1の側から観察される。
第4の実施の形態に係る表示装置によれば、反射表示部と発光表示部が独立した系になり、第3の実施の形態と比較して、簡易な構造で反射・発光表示を実現できる。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態に係る表示装置も、図1に示したと同様なマトリクスの内部に、それぞれ画素(ピクセル)Xi,jが2次元配置されている(i=1〜n;j=1〜m:n,mは正の整数)。それぞれの画素(ピクセル)Xi,jは、図11,12に示すように、第1基板1上に第1ECL側電極3と第2ECL側電極4が設けられている点では、第1の実施の形態と同様であるが、更に、第2層7と第1層6と間に、電解質層12と、多孔質性電極、又は多孔質材料を含む多孔質電極(第1多孔質電極)16とを設けている点で第1の実施の形態とは異なる。ここで多孔質電極(第1多孔質電極)16は、多孔質電極(EC層側)と多孔質な絶縁膜(電解質側)からなる複合膜でも良い。多孔質電極(第1多孔質電極)16の孔径は、1nmから1000nmの範囲、好ましくは1nmから100nmの範囲とすれば良く、種々の導電体(ITO、FTO、SnO2等)が使用可能で、孔径がこれらの範囲にあれば、一様な孔形状や孔径である必要はない。多孔質電極(第1多孔質電極)16は表示を観察できるように、通常、光透過性材料によって構成される。そのような光透過性材料としては、金属酸化物半導体では、遷移金属の酸化物、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、インジウム(In)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)の(複合)酸化物、SrTiO3、CaTiO3、B1aTiO3、MgTiO3、SrNb2O6のようなペロブスカイト、或いはこれらの複合酸化物又は酸化物混合物、窒化ガリウム(GaN)、等を用いることができる。良く使用されるものとして、錫(Sn)をドープした酸化インジウム(In2O3)膜(ITO)、インジウム(In)をドープした酸化亜鉛(ZnO)膜(IZO)、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛膜(GZO)、酸化錫(SnO2)、耐酸性を付与するためにフッ素をドープした酸化亜鉛膜(FTO)等の透明電極が使用可能である。
電解質層12の材料としては、溶媒(液体電解質として第1層6を液体層とする場合)、若しくはこの溶媒で膨潤したゲル状の高分子(固体電解質として第1層6を固体層とする場合)と、これに溶解した支持塩とを有し、支持塩は、過塩素酸テトラブチルアンモニウム(Tetrabutylammonium perchlorate)、ヘキサフルオロりん酸カリウム、リチウムトリフルオロメタンスルホン酸(Lithium trifluoromethanesulfonate)、過塩素酸リチウム、テトラフルオロほう酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリプロピルアミン(tripropyl amine)、ホウフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(tetra-n-butylammonium fluoroborate)等があげられる。
又、溶媒としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、o−ジクロロベンゼン、1,2ジメトキシエタン、グリセリン、水、エチルアルコール、プロピルアルコール、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−メチルテトラヒドロフラン、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、アセトン、ニトロベンゼン、1,3−ジオキソラン、フラン、ベンゾトリフルオリド、等からなる単一溶媒又は混合溶媒があげられる。
又、ゲル状の高分子としては、ポリアクリルニトリル(PAN)、フッ化ビニリデン(VDF)と6フッ化プロピレン(HFP)の共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)等が使用可能である。 図11に示す第5の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jの表示セルLi,jでは、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4がスイッチング素子S1を介して交流電源VECLに接続され、第1の電界印加手段(3,4,VECL)を構成している。又、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4とEC側電極5とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(3,4,5,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S1とスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,4,VECL)と第2の電界印加手段(3,4,5,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S1,S2)を構成している。
図11に示す表示セルLi,jの発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、第1ECL側電極3,第2ECL側電極4及びEC側電極5が直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S1が閉じて、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4が交流電源VECLに接続される。したがって、第1ECL側電極3と第2ECL側電極4間(多孔質電極16を介した)に交流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この交流電源VECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
一方、図12では、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4がスイッチング素子S1を介して直流電源EECLに接続され、第1の電界印加手段(3,4,EECL)を構成している。又、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4とEC側電極5とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(3,4,5,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S1とスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,4,EECL)と第2の電界印加手段(3,4,5,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S1,S2)を構成している。
図12の場合の発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、第1ECL側電極3,第2ECL側電極4及びEC側電極5が直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S1が閉じて、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4が直流電源EECLに接続される。したがって、第1ECL側電極3と第2ECL側電極4間(多孔質電極16を介した)間に直流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。図11と同様に、この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この直流電源EECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
反射表示においては、第1ECL側電極3と第2ECL側電極4とが互いに短絡されるようにスイッチング素子S1が切り替えられ、スイッチング素子S2が閉じて、同電位の第1ECL側電極3,第2ECL側電極4と、EC側電極5との間が互いに極性の異なる直流電源E1,E2のいずれかに接続される。したがって、同電位の第1ECL側電極3,第2ECL側電極4と、EC側電極5との間に直流電界が生じてEC現象を示す材料を含む第2層7が着色或いは透明化される。その結果、第1基板1の外からは、着色された第2層7或いは透明化された第2層7を介して第2基板2が背景色として観察される。直流電源E1,E2からの印加電界の極性を変えると、第2層7が着色から透明に、或いは、透明から着色に変化され、その結果、背景色或いは着色が第1基板1の側から観察される。
第5の実施の形態に係る表示装置によれば、第4の実施の形態と比較して、簡易な構造で反射・発光表示を実現できる。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態に係る表示装置も、図1に示したと同様なマトリクスの内部に、それぞれ画素(ピクセル)Xi,jが2次元配置されている(i=1〜n;j=1〜m:n,mは正の整数)。それぞれの画素(ピクセル)Xi,jは、図13,14に示すように、第5の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jの表示セルLi,jと同様に、第2層7と第1層6間に電解質層12と多孔質性電極、又は多孔質材料を含む多孔質電極(第1多孔質電極)16とを設けている点で第1の実施の形態とは異なる。ここで多孔質電極(第1多孔質電極)16は、多孔質電極(EC層側)と多孔質な絶縁膜(電解質側)からなる複合膜でも良い。多孔質電極(第1多孔質電極)16の孔径は、1nmから1000nmの範囲、好ましくは1nmから100nmの範囲とすれば良く、種々の導電体(ITO、FTO、SnO2等)が使用可能で、孔径がこれらの範囲にあれば、一様な孔形状や孔径である必要はない。多孔質電極(第1多孔質電極)16は表示を観察できるように、通常、光透過性材料によって構成される。そのような光透過性材料としては、金属酸化物半導体では、遷移金属の酸化物、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、インジウム(In)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)の(複合)酸化物、SrTiO3、CaTiO3、B1aTiO3、MgTiO3、SrNb2O6のようなペロブスカイト、或いはこれらの複合酸化物又は酸化物混合物、窒化ガリウム(GaN)、等を用いることができる。良く使用されるものとして、錫(Sn)をドープした酸化インジウム(In2O3)膜(ITO)、インジウム(In)をドープした酸化亜鉛(ZnO)膜(IZO)、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛膜(GZO)、酸化錫(SnO2)、耐酸性を付与するためにフッ素をドープした酸化亜鉛膜(FTO)等の透明電極が使用可能である。
電解質層12の材料としては、溶媒(液体電解質として第1層6を液体層とする場合)、若しくはこの溶媒で膨潤したゲル状の高分子(固体電解質として第1層6を固体層とする場合)と、これに溶解した支持塩とを有し、支持塩は、過塩素酸テトラブチルアンモニウム(Tetrabutylammonium perchlorate)、ヘキサフルオロりん酸カリウム、リチウムトリフルオロメタンスルホン酸(Lithium trifluoromethanesulfonate)、過塩素酸リチウム、テトラフルオロほう酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリプロピルアミン(tripropyl amine)、ホウフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(tetra-n-butylammonium fluoroborate)等があげられる。
又、溶媒としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、o−ジクロロベンゼン、1,2ジメトキシエタン、グリセリン、水、エチルアルコール、プロピルアルコール、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−メチルテトラヒドロフラン、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、アセトン、ニトロベンゼン、1,3−ジオキソラン、フラン、ベンゾトリフルオリド、等からなる単一溶媒又は混合溶媒があげられる。
又、ゲル状の高分子としては、ポリアクリルニトリル(PAN)、フッ化ビニリデン(VDF)と6フッ化プロピレン(HFP)の共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)等が使用可能である。 図13,14に示すように、第6の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jの発光表示は第1ECL側電極3と第2ECL側電極4間に交流又は直流電界を印加することによって行う。又、反射表示は、第1ECL側電極3・第2ECL側電極4(同電位)と多孔質電極(第1多孔質電極)16間に直流電界を印加することによって行う。
即ち、第6の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jでは、図13に示すように第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4がスイッチング素子S1を介して交流電源VECLに接続され、第1の電界印加手段(3,4,VECL)を構成している。又、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4と多孔質電極(第1多孔質電極)16とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(3,4,16,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S1
とスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,4,VECL)と第2の電界印加手段(3,4,16,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S1,S2)を構成している。
図13に示す表示セルLi,jでの発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、第1ECL側電極3,第2ECL側電極4及び多孔質電極(第1多孔質電極)16が直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S1が閉じて、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4が交流電源VECLに接続される。したがって、第1ECL側電極3と第2ECL側電極4間(多孔質電極16を介した)に交流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この交流電源VECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
一方、図14に示す表示セルLi,jでは、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4がスイッチング素子S1を介して直流電源EECLに接続され、第1の電界印加手段(3,4,EECL)を構成している。又、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4と多孔質電極16とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(3,4,16,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S1とスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,4,EECL)と第2の電界印加手段(3,4,16,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S1,S2)を構成している。
図14の場合の発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、第1ECL側電極3,第2ECL側電極4及び多孔質電極16が直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S1が閉じて、第1ECL側電極3及び第2ECL側電極4が直流電源EECLに接続される。したがって、第1ECL側電極3と第2ECL側電極4間(多孔質電極16を介した)に直流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。図13と同様に、この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この直流電源EECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
反射表示においては、第1ECL側電極3と第2ECL側電極4とが互いに短絡されるようにスイッチング素子S1が切り替えられ、スイッチング素子S2が閉じて、同電位の第1ECL側電極3,第2ECL側電極4と、多孔質電極16との間が互いに極性の異なる直流電源E1,E2のいずれかに接続される。したがって、同電位の第1ECL側電極3,第2ECL側電極4と、多孔質電極16との間に直流電界が生じてEC現象を示す材料を含む電解質層12が着色或いは透明化される。その結果、第1基板1の外からは、着色された電解質層12或いは透明化された電解質層12を介して第2基板2が背景色として観察される。直流電源E1,E2からの印加電界の極性を変えると、電解質層12が着色から透明に、或いは、透明から着色に変化され、その結果、背景色或いは着色が第1基板1の側から観察される。
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態に係る表示装置も、図1に示したと同様なマトリクスの内部に、それぞれ画素(ピクセル)Xi,jが2次元配置されている(i=1〜n;j=1〜m:n,mは正の整数)。それぞれの画素(ピクセル)Xi,jは、図15,16に示すように、第1基板1上にECL側電極3のみを設け、更に、第2層7と第1層6との間に、透明な中間電極11/電解質層12/多孔質からなる多孔質電極(第1多孔質電極)16を設けている。
第7の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jでは、図15に示すように、ECL側電極3及び中間電極11が、スイッチング素子S5dを介して、互いに極性の異なる直流電源EECL1及び直流電源EECL2に接続され、第1の電界印加手段(3,11,EECL1,EECL2)を構成している。更に、中間電極11と多孔質電極(第2多孔電極)16とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(11,16,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S5dとスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,11,EECL1,EECL2)と第2の電界印加手段(11,16,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S5d,S2)を構成している。
第7の実施の形態に係る表示装置の表示セルLi,jの発光表示はECL側電極3と中間電極11間に交流又は直流電界を印加することによって行う。即ち、図15に示す表示セルLi,jの場合の発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、中間電極11及び多孔質電極(第1多孔質電極)16が直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S5dがいずれかの極性に閉じて、ECL側電極3及び中間電極11が、極性の異なる直流電源EECL1及び直流電源EECL2のいずれかに接続される。したがって、ECL側電極3及び中間電極11間に直流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この直流電源EECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
一方、図16では、ECL側電極3及び中間電極11がスイッチング素子S5aを介して交流電源VECLに接続され、第1の電界印加手段(3,11,VECL)を構成している。又、中間電極11及び多孔質電極(第1多孔質電極)16とがスイッチング素子S2を介して直流電源E1,E2に接続されて、第2の電界印加手段(11,16,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S5aとスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(3,11,VECL)と第2の電界印加手段(11,16,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S5a,S2)を構成している。
図16に示す表示セルLi,jの発光表示においては、スイッチング素子S2が開放され、中間電極11及び多孔質電極(第1多孔質電極)16が互いに極性の異なる直流電源E1,E2から切断される。更に、スイッチング素子S5aが閉じて、ECL側電極3及び中間電極11が交流電源VECLに接続される。したがって、ECL側電極3及び中間電極11間に交流電界が生じ、この電界によって発光材料を含む第1層6が発光して発光色が観察される。この画素Xi,jの第1基板1上にカラーフィルターが設けられていれば、そのフィルター色が第1基板1の側から観察される。この交流電源VECLからの電圧印加が止められれば、第1層6が発光せず、画素Xi,jの背景色、例えば、黒色が表示される。
又、反射表示は、中間電極11及び多孔質電極(第1多孔質電極)16間に直流電界を印加することによって行う。反射表示においては、スイッチング素子S2が閉じて、中間電極11及び多孔質電極(第1多孔質電極)16とが、互いに極性の異なる直流電源E1,E2のいずれかに接続される。したがって、中間電極11と多孔質電極(第1多孔質電極)16との間に直流電界が生じてEC現象を示す材料を含む電解質層12が着色或いは透明化される。その結果、第1基板1の外からは、着色された電解質層12或いは透明化された電解質層12を介して第2基板2が背景色として観察される。直流電源E1,E2からの印加電界の極性を変えると、電解質層12が着色から透明に、或いは、透明から着色に変化され、その結果、背景色或いは着色が第1基板1の側から観察される。
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態に係る表示装置も、図1に示したと同様なマトリクスの内部に、それぞれ画素(ピクセル)Xi,jが2次元配置されている(i=1〜n;j=1〜m:n,mは正の整数)。それぞれの画素(ピクセル)Xi,jは、図17に示すように、第2層7と第1層6との間に多孔質性電極、又は多孔質材料を含む多孔質電極(第2多孔質電極)15を設けている。ここで多孔質電極(第2多孔質電極)15は、多孔質電極(EC層側)と多孔質な絶縁膜(電解質側)からなる複合膜でも良い。多孔質電極(第2多孔質電極)15の孔径は、1nmから1000nmの範囲、好ましくは1nmから100nmの範囲とすれば良く、種々の導電体(ITO、FTO、SnO2等)が使用可能で、孔径がこれらの範囲にあれば、一様な孔形状や孔径である必要はない。多孔質電極(第2多孔質電極)15は表示を観察できるように、通常、光透過性材料によって構成される。そのような光透過性材料としては、金属酸化物半導体では、遷移金属の酸化物、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、インジウム(In)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)の(複合)酸化物、SrTiO3、CaTiO3、B1aTiO3、MgTiO3、SrNb2O6のようなペロブスカイト、或いはこれらの複合酸化物又は酸化物混合物、窒化ガリウム(GaN)、等を用いることができる。良く使用されるものとして、錫(Sn)をドープした酸化インジウム(In2O3)膜(ITO)、インジウム(In)をドープした酸化亜鉛(ZnO)膜(IZO)、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛膜(GZO)、酸化錫(SnO2)、耐酸性を付与するためにフッ素をドープした酸化亜鉛膜(FTO)等の透明電極が使用可能である。
図17に示すようにECL側電極3と多孔質電極(第2多孔質電極)15がスイッチング素子S6を介して交流電源VECLに接続され、第1の電界印加手段(3,15,VECL)を構成している。更に、ECL側電極3とEC側電極5とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(3,5,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S6とスイッチング素子S2とは、
第1の電界印加手段(3,15,VECL)と第2の電界印加手段(3,5,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S6,S2)を構成している。
第8の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jでは、発光表示はECL側電極3と多孔質電極(第2多孔質電極)15間に交流又は直流電界を印加することによって行う。即ち、図17に示すECL側電極3のみが設けられた表示セルLi,jの構造において、発光表示に関しては、スイッチング素子S2を開放し、スイッチング素子S6を閉じて、ECL側電極3と多孔質電極(第2多孔質電極)15間に、交流電界を印加すれば、第1層6で発光が観測される。
又、反射表示は、ECL側電極3とEC側電極5との間に直流電界を印加することによって行う。即ち、反射表示に関しては、スイッチング素子S2を閉じ、スイッチング素子S6を開放して、ECL側電極3とEC側電極5間に互いに極性の異なる直流電源E1,E2のいずれかが接続され、この間に、EC反応が生じる電圧(電位)が印加され、第2層7で発色・消色が観測される。直流電源E1,E2からの印加電界の極性を変えると、第2層7が着色から透明に、或いは、透明から着色に変化され、その結果、背景色或いは着色が第1基板1の側から観察される。
(第9の実施の形態)
本発明の第9の実施の形態に係る表示装置も、図1に示したと同様なマトリクスの内部に、それぞれ画素(ピクセル)Xi,jが2次元配置されている(i=1〜n;j=1〜m:n,mは正の整数)。それぞれの画素(ピクセル)Xi,jは、図18,19に示すように、第1基板1上に第1ECL駆動用電極17と第1EC駆動用電極19、第2基板2上に第2ECL駆動用電極18と第2EC駆動用電極20を配置している。そして、第1基板1ト第2基板2との間に第1層6を挿入している。更に、第1層6と第2EC駆動用電極20間に局所的に第2層7を設けている。
図18に示す第9の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jでは、第1ECL駆動用電極17と第2ECL駆動用電極18とがスイッチング素子S7を介して直流電源EECLに接続され、第1の電界印加手段(17,18,EECL)を構成している。更に、第1EC駆動用電極19と第2EC駆動用電極20とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(19,20,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S7とスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(17,18,EECL)と第2の電界印加手段(19,20,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S7,S2)を構成している。
図18に示す第9の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jの表示セルLi,jにおける発光表示は第1ECL駆動用電極17と第2ECL駆動用電極18間に直流電界を印加することによって行う。即ち、図18に示す表示セルLi,jの構造において、発光表示に関しては、スイッチング素子S2を開放し、スイッチング素子S7を閉じて、第1ECL駆動用電極17と第2ECL駆動用電極18間に、直流電界を印加すれば、第1層6で発光が観測される。
図19に示す第9の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jでは、第1ECL駆動用電極17と第2ECL駆動用電極18がスイッチング素子S7を介して交流電源VECLに接続され、第1の電界印加手段(17,18,VECL)を構成している。更に、第1EC駆動用電極19と第2EC駆動用電極20とがスイッチング素子S2を介して互いに極性の異なる直流電源E1,E2に接続され、第2の電界印加手段(19,20,E1,E2)を構成している。スイッチング素子S7とスイッチング素子S2とは、第1の電界印加手段(17,18,VECL)と第2の電界印加手段(19,20,E1,E2)とを選択的に動作させる切換手段(S7,S2)を構成している。
図19に示す第9の実施の形態に係る表示装置の画素(ピクセル)Xi,jの表示セルLi,jにおける発光表示は、第1ECL駆動用電極17と第2ECL駆動用電極18間に交流電界を印加することによって行う。即ち、図19に示す表示セルLi,jの構造において、発光表示に関しては、スイッチング素子S2を開放し、スイッチング素子S7を閉じて、第1ECL駆動用電極17と第2ECL駆動用電極18間に、EC反応が追随できない周波数で交流電界を印加すれば、第1層6で発光が観測される。
又、反射表示は、第1EC駆動用電極19と第2EC駆動用電極20間に直流電界を印加することによって行う。即ち、反射表示に関しては、図18及び図19に示したスイッチング素子S2を閉じ、スイッチング素子S7を開放して、第1EC駆動用電極19と第2EC駆動用電極20間に互いに極性の異なる直流電源E1,E2のいずれかに接続することにより、この間に、EC反応が生じる電圧(電位)が印加され、第2層7で発色・消色が観測される。直流電源E1,E2からの印加電界の極性を変えると、第2層7が着色から透明に、或いは、透明から着色に変化され、その結果、背景色或いは着色が第1基板1の側から観察される。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第9の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、図6に示した第2の実施の形態に係る表示装置の表示セルLi,jの構造では、反射表示の場合、ECL側電極3や第2層7から発生する少量のECL材料のイオンラジカル種が反応して、発光という誤動作を生じる可能性がある。そこで、図20に示すように、ECL側電極3上に導電体、若しくは半導体、若しくは絶縁体からなる多孔質膜13を設けることにより、ECL側電極3側から生じるイオンラジカル種の第2層7側への移動(拡散)を防止し、イオンラジカル種の移動(拡散)に伴う発光(誤動作)を防ぐことができる。多孔質膜13の孔径は、1nmから1000nmの範囲、好ましくは3nmから100nmの範囲、更に好ましくは3nmから30nmの範囲とすれば良く、種々の導電体(ITO、FTO、SnO2等)、半導体(TiO2等)、若しくは絶縁体(SiO2等)が使用可能で、孔径がこれらの範囲にあれば、一様な孔形状や孔径である必要はない。
更に、図20に示すように、ECL側電極3に多孔質膜13を設けることによって、ECL側電極3側の発光輝度の向上が期待できる。これはECL側電極3側から発生した、極性の異なるイオンラジカル種が、多孔質膜13中にとどまり電解質中へ拡散しないため、多孔質膜13中で効率良く衝突⇒発光を起こすためである。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。