JP4567155B2 - 容器反転装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、容器、特に、胴部と、この胴部に連続され、かつ、前記胴部よりも外径が小さい口頸部とを有するボトル形状の容器を、口頸部が下方に向いた状態から、口頸部が上方に向いた状態となるように反転させる容器反転装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、アルミニウムなどの金属材料により構成されたボトル型の容器が、軽量であるという利点と、PETボトルと同様に、ネジキャップで再密封できる機能を備えているという利点とがあることから、急速に需要が高まってきている。
【0003】
このようなボトル型の容器は、例えば金属板の両面に合成樹脂を被覆した樹脂被覆金属薄板を打ち抜いてカップ形状成形品を製造する。つぎに、成形装置、例えば、縦型タイプのダブルアクションプレス成形装置を用いて、カップ形状成形品に絞りしごき加工や深絞り加工等の適宜の加工方法を施すことにより、胴部と、胴部に連続する肩部と、肩部における胴部とは反対側の端部に連続する口頸部とを有するボトル型の容器が製造される。ここで、肩部は、胴部側から口頸部側に近づくにともない縮径する形状を備えている。また、口頸部の外径は胴部の外径よりも小さく設定されている。
【0004】
このボトル型の容器のプレス加工工程においては、金属板をダイの上面で保持するとともに、パンチを下降させて打ち抜き加工をおこない、カップ形状成形品を成形するとともに、カップ形状成形品を、その上下方向を反転させることなく、次のプレス工程に搬送する。ついでカップ形状成形品の下部をダイで保持し、さらに、パンチを下降させて、絞りしごき加工や深絞り加工等の成形加工を施すことにより、胴部および肩部ならびに口頸部を成形する。つまり、容器は、その口頸部が下方に向いた状態のまま、順次フィードバー等の間欠移送部材により各加工ステーションを経て移送されて、各種の成形加工がおこなわれる。
【0005】
上記のようにして、プレス加工が施された容器は、次工程、例えば、胴部開口端部の縁切り工程、容器外面の印刷・塗装工程、あるいは口頸部の先端を切除して開口部を成形する工程、口頸部にネジ部を成形する工程、開口端部をネックイン・フランジ加工し、かつ、底蓋を巻き締める工程などへ搬送される。ここで、容器が、プレス加工工程から倒立した姿勢のまま次工程に搬送されると、容器の姿勢が不安定となり、容器が転倒する可能性があった。そこで、容器をプレス加工工程から次工程に排出する際には、容器を反転して口頸部を上向きにした正立姿勢とし、この容器を次工程に搬送する動作がおこなわれている。
【0006】
このように、容器を反転させるための方式としては、プレス機の排出位置まで容器を移送した後、容器を自由落下させて、その自重により容器を反転させる方式、いわゆるシュート方式が知られている。しかしながら、このシュート方式においては、容器が落下してから反転が完了するまでの所要時間が長くなるという問題があった。また、容器が軽量品である場合は、容器が落下途中でガイド部材などに引っかかり、容器の詰まりが生じる問題があった。さらに、容器が排出される速度が速過ぎると、容器がその反転時に勢いあまって必要以上に回転してしまい、結果的に容器の転倒が生じたりして、容器の姿勢が不安定となるなどの問題があった。
【0007】
したがって、上記のシュート方式は、高速搬送には不向きである。特に、容器の搬送経路が複数ある(複数レーン化)場合は、各レーンにおける容器の搬送速度や、容器と、反転される容器の着地部位との相対位置の調整が困難であり、容器の搬送速度や反転状態の調整などに多くの時間がかかった。さらに、加工誤差などにより、各レーンの容器の寸法が異なっている場合は、容器を反転させるタイミング等のバラツキをなくす調整が一層困難であり、生産スピードを向上させることのできる容器反転装置が望まれていた。
【0008】
ところで、上記の容器とは異なる対象物、具体的には、自動車用外板パネルを反転させる装置の一例が、特開昭55−30371号公報に記載されている。この公報に記載された反転装置は、第1次プレス機械と第2次プレス機械との間に設けられている。この反転装置は、駆動装置により回転駆動される主軸を備えており、主軸の周囲にアームが複数取り付けられている。また、このアームにはバキュームカップが設けられている。さらに、主軸の内部にはバキュームカップに連通する通気路が設けられているとともに、主軸の回転にともない、カム機構により通気路を開閉する切換弁が設けられている。
【0009】
上記構成の反転装置においては、第1次プレス機械により加工された板形状の被搬送物が、ほぼ水平な状態で搬送台上に保持されるとともに、主軸の間欠回転によりバキュームカップが被搬送物の下面に接触するとともに、カム機構により切換弁が動作して、バキュームカップにより被搬送物が真空吸着される。そして、主軸の回転により被搬送物が180度反転されてキャリヤ上に移送される。ついで、切換弁の動作によりバキュームカップの吸引力が解除される。その後、キャリヤ上の被搬送物は第2プレス機械側に搬送され、所定の加工が施される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載されている反転装置のように、真空吸着システムを用いて、容器の反転をおこなうことも考えられる。しかしながら、上記公報に記載されている搬送装置は、自動車用外板パネルなどの板状成形品を反転させる装置であるために、この反転装置を、前述の容器、つまり、胴部と、この胴部に連続して形成され、かつ、前記胴部よりも外径が小さい口頸部とを有する容器を反転させるための反転装置にそのまま適用することはできなかった。
【0011】
すなわち、プレス加工工程から搬送される容器は、その口頸部が下方に向いた姿勢、つまり倒立した姿勢のまま搬送されるために、公報に記載されている反転装置のように、容器を下方から保持することは困難であり、また、一旦容器を引き出さなければならず、装置の構成が大型化してしまう問題がある。さらに、容器は高さがあるために、加工誤差により高さにバラツキが生じることがあるが、このような容器の高さ方向の一端を真空吸着して一律に180度反転し、この容器を後工程への搬送コンベヤ上に載せるとすれば、容器の反転時に、容器に対して高さ方向の圧縮荷重がかかり易く、薄肉厚の容器が変形するおそれもある。このように、胴部と口頸部とを有するボトル型の容器は、その形状の特殊性故に、公報に記載されている反転装置を用いるとすれば、容器を確実に保持することができないばかりか、反転時に容器を変形させてしまうおそれがあり、この公報の技術を容器の反転に適用することは困難であった。
【0012】
この発明は、上記のような事情を背景としてなされたものであり、胴部と口頸部とを有する容器を確実に保持することができ、かつ、反転時に容器が変形したりすることを防止することのできる容器反転装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段およびその作用】
請求項1の発明は、胴部と、この胴部に連続され、かつ、前記胴部よりも外径が小さい口頸部とを有するようにプレス加工が施され、プレス機の回転と同期して往復移動するフィードバーの保持力により、前記口頸部を下方に向けた倒立姿勢のまま下流側に向けて間欠的に移送されるボトル型の容器を、前記プレス機の排出位置で、前記口頸部が下方に向いた下向き状態から、前記口頸部が実質的に上方に向いた上向き状態となるように反転させて、回転駆動する排出コンベヤの上面上に着地させるための容器反転装置において、前記プレス機の排出位置に設けられ、前記フィードバーと対向してほぼ水平な軸線を中心としてサーボモータの駆動により間欠回転する回転部材と、この回転部材の外周に設けられ、かつ、前記フィードバーに保持されて前記プレス機の排出位置まで搬送されてきた前記下向き状態にある前記容器の胴部の外面に接近することにより、前記フィードバーの保持力が解除される前に吸着力を発生させて前記容器を吸着する吸着装置と、この吸着装置により前記容器を保持するとともに、前記回転部材が回転して前記容器が前記上向き状態となる手前の5度ないし15度の範囲において、前記容器に対する前記吸着装置の吸着力を解除させる吸着力解除装置とを備えていることを特徴とするものである。ここで、「胴部に連続され」には、胴部と口頸部とが直接連続されている場合と、胴部と口頸部とが他の部位(例えば肩部)を介して間接的に連続している場合とが含まれる。
また、請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記吸着力解除装置は、前記容器が前記排出コンベアの上面上に着地する直前であって該容器と該上面との間に所定の隙間を残した状態で、前記吸着力を解除させることを特徴とするものである。
【0014】
請求項1または2の発明によれば、吸着装置が容器の胴部の外面に接近して容器を吸着するため、下向き状態の容器を確実に保持することができる。また、下向き状態の容器を上向き状態となるように反転した場合に、容器に対してその高さ方向に圧縮荷重が作用することが回避される。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記回転部材の外周に設けられた前記吸着装置が、前記容器を真空吸着するように構成されており、これら回転部材と吸着装置との間に、回転が規制された中間部材が介在されており、前記回転部材に第1の通気路が設けられ、前記吸着装置に第2の通気路が設けられているとともに、前記中間部材に、前記回転部材および前記吸着装置と前記中間部材とが相対回転した場合に、所定角度の相対回転範囲内で前記第1の通気路と前記第2の通気路とを接続する接続通気路が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の作用が生じる他に、回転部材および吸着装置と中間部材とが、所定角度の範囲内で相対回転している間、容器に対する真空吸着力が発生する。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3の構成に加えて、前記吸着装置が環状部材を有し、前記回転部材の外周面と前記環状部材との間に環状空間が形成され、前記中間部材が環状に構成されており、この中間部材が前記環状空間に配置されているとともに、前記第1の通気路および前記第2の通気路が前記環状空間に臨んで開口され、前記接続通気路の両端が、前記中間部材の内周面および外周面に開口されており、前記回転部材および前記吸着装置と前記中間部材との対向面に、半径方向の隙間が設定されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様の作用が生じる他に、第1の通気路および第2の通気路ならびに接続通気路を負圧として、吸着装置により容器を真空吸着する際に、中間部材と回転部材および吸着装置とが密着することが回避される。したがって、回転部材および吸着装置と中間部材とが相対回転する際に、その回転抵抗の増加が抑制される。
【0019】
請求項5の発明は、請求項3または4の構成に加えて、前記中間部材を、前記軸線を中心として円周方向に移動可能に保持し、かつ、前記中間部材を円周方向に位置決め固定する調節装置を備えていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項5の発明によれば、請求項3または4の発明と同様の作用が生じる他に、中間部材を円周方向に移動して固定すれば、回転部材および吸着装置が回転する場合に、その回転方向の位相において、容器に対する真空吸着力の発生・解除のタイミングが調整される。
【0021】
請求項6の発明は、請求項3ないし5のいずれか1項の構成に加えて、複数の容器搬送経路に対応して、前記回転部材にほぼ水平方向に複数の吸着装置が設けられているとともに、各吸着装置の第2の通気路と、前記回転部材の第1の通気路とが接続されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項6の発明は、請求項3ないし5のいずれか1項の発明と同様の作用が生じる他に、複数の吸着装置に接続される第1の通気路が共通化される。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図2は、容器反転装置A1を配置した工程の部分的な平面図、図1は、図2のI−I線における正面断面図、図3は、図1のIII −III 線における平面断面図、図4は、図3のIV−IV線における正面断面図、図5は、図2の工程の正面図、図6は、図2の工程の正面断面図である。容器反転装置A1よりも上流側には、上流側搬送部材としての搬送台1が設けられている。具体的には、プレス加工工程(図示せず)と容器反転装置A1との間に搬送台1が設けられている。この搬送台1は、ツールホルダー1A上にほぼ水平に配置されている。
【0024】
搬送台1の上方には、向かい合った2部材を1組とする板形状のフィードバー2が、相互に平行に、かつほぼ水平に配置されている。フィードバー2の対向面には、保持爪3がそれぞれ設けられている。各フィードバー2は、1組毎に水平方向にその長手方向に沿って、かつ、プレス機の回転位相に同期して往復復移動自在に構成されているとともに、各フィードバー2の向かい合った2部材は、幅方向(近接・離間する方向)に水平移動自在に構成されている。各フィードバー2を長手方向および幅方向に往復移動させるための駆動装置(図示せず)が設けられている。上記のように構成された搬送台1および複数組のフィードバー2により、複数の容器搬送経路(言い換えれば容器搬送ライン)B1が形成されている。
【0025】
これらの容器搬送経路B1に沿って搬送される容器4について説明する。容器4は、アルミニウム合金などの金属材料から作られたボトル型の容器である。この容器4の製造工程を簡単に説明する。まず、薄肉金属板の両面に合成樹脂の被覆を施した後、この薄肉金属板を打ち抜き成形してカップ形状成形品を製造する。ついで、カップ形状成形品に深絞り加工あるいは絞りしごき加工などを施すことにより、小径の底付き口頸部(以下、口頸部と略記する)5と、傾斜面を有する肩部6と、大径の胴部7とを有する容器4が製造される。ここで、肩部6は、胴部7側から口頸部5側に近づくにともない縮径するように設定されているとともに、口頸部5の外径は胴部7の外径よりも小さく設定されている。この実施形態においては、容器4の平面断面形状はほぼ円形に構成されている。
【0026】
各容器搬送経路B1においては、容器4がフィードバー2により、矢印C1方向に搬送される。また、容器搬送経路B1よりも容器4の搬送方向の下流側には、下流側搬送部材である排出コンベヤ8が設けられている。この排出コンベヤ8は、ローラ9および他のローラ(図示せず)に巻き掛けられており、排出コンベヤ8による水平部10が形成されている。この水平部10の上面11は、搬送台1の上面12よりも低い位置に設定されている。なお、排出コンベヤ8は、図示しない駆動装置により矢印D1方向に回転駆動される。さらに、排出コンベヤ8にはその厚さ方向に貫通する通気孔8Bが、その全周に亘って設けられているとともに、排出コンベヤ8の内側にはバキューム装置8Aが設けられている。
【0027】
上記容器反転装置A1は、搬送台1上の容器4を反転させて排出コンベヤ8上に移送するためのものである。以下、容器反転装置A1の構成を具体的に説明する。排出コンベヤ8のローラ9の上方には中空の回転軸13が設けられている。
この回転軸13の両端はラジアル軸受14,15により支持されており、回転軸13がほぼ水平な軸線E1を中心として回転可能に構成されている。なお、ラジアル軸受14,15は、それぞれブラケット16,17に取り付けられている。
このブラケット16,17は、固定台(例えばプレス機本体)23および後述するブラケット44に取り付けられている。
【0028】
回転軸13には全長に亘って、つまり、軸線E1方向に沿って中空な通気路18が設けられており、通気路18の一端側はプラグ19により閉塞されている。
これに対して、通気路18におけるプラグ19とは反対側の端部には、ロータリジョイント20が接続されている。このロータリジョイント20は、その内部に通気路(図示せず)を有する公知のものである、そして、ロータリジョイント20にはホース21を介して真空ポンプ(図示せず)が接続されている。また、回転軸13におけるロータリジョイント20とラジアル軸受15との間には、プーリ22が設けられている。
【0029】
一方、ブラケット17にはプレート24を介して公知のサーボモータ25が取り付けられており、サーボモータ25の主軸26にはプーリ27が固定されている。そして、プーリ22とプーリ27とにタイミングベルト28が巻き掛けられている。また、固定台23の水平面29とブラケット16,17との間には高さ調整板30が設けられている。なお、図5においては、便宜上、ブラケット17と固定台23との間の高さ調整板30のみが図示されている。
【0030】
前記回転軸13には、図4に示すように半径方向に貫通する通気路31が設けられている。通気路31は、回転軸13に対して円周方向にほぼ等間隔で複数配置されている。つまり、各通気路31は放射状に配置されている。また、通気路31は、回転軸13の長手方向において、各容器搬送経路B1に対応する位置にそれぞれ配置されている。また回転軸13の外周には複数の環状部材32が取り付けられている。各環状部材32は連結部材(摩擦式締結要素)33を介して回転軸13に取り付けられている。
【0031】
このようにして、回転軸13と環状部材32とが一体回転するように構成されている。連結部材33は、例えば、シュパンリング(登録商標)のように、対向する2個のくさび、および内輪・外輪、ならびにロッキングボルトを有するものであり、ロッキングボルトを締め付けることにより、くさび面同士が完全に密着する構成のものである。各環状部材32は、回転軸13の長手方向において、各容器搬送ラインB1に対応する位置にそれぞれ配置されている。
【0032】
図3に示すように、各環状部材32における連結部材33とは軸線E1方向で反対側の内周に環状凹部34が形成されている。また、各環状部材32の外周面には複数の凹部35が設けられている。図示実施形態においては、凹部35は環状部材32の外周に、180度の間隔で2個設けられている。そして、各環状部材32には、環状凹部34と各凹部35とを接続する通気路36が2本設けられている。この通気路36同士は、軸線E1を通過する半径方向の線分(図示せず)上、つまり、軸線E1を中心とする180度の位置に設けられている。
【0033】
さらに、各凹部35には吸着パッド37がそれぞれ固定されている。この吸着パッド37は、ゴム弾性材料以外の材料、例えば樹脂または金属などにより構成されている。この実施形態においては、吸着パッド37がナイロン樹脂により構成されている。また、吸着パッド37における凹部35からの露出部分には、容器吸着面38が形成されている。2つの通気路36を含む平面内における吸着面38の断面形状は円弧形状に構成されており、吸着面38の円弧形状部分の曲率半径は、容器4の胴部7の外面の曲率半径よりも0.1ないし0.5mm程度大きく設定されている。さらに、吸着パッド37には、吸着面38から通気路36に連通する通気路39が設けられている。
【0034】
前記回転軸13の外周における各環状凹部34には、環状のバルブ部材40がそれぞれ設けられている。このバルブ部材40と回転軸13との間には、軸線方向にラジアル軸受41が2個配置されており、バルブ部材40と回転軸13とが相対回転可能に構成されている。またバルブ部材40には、バルブ部材40と回転軸13とを相対回転させるための調整プレート42が固定されている。この調整プレート42には、図6に示すように水平なピン43が設けられている。一方、固定台23にはブラケット44が設けられており、ブラケット44と固定台23との間には高さ調整板30が介在されている。
【0035】
そして、ブラケット44には水平なピン45が設けられており、ピン43とピン45とが連結棒46により連結されている。連結棒46はピン43,45に対して回転可能に連結されており、この連結棒46はその長さを調節できるように、例えばターンバックルなどにより構成され、図示しないナットで固定されている。このように、調整プレート42が、連結棒46およびブラケット44を介して固定台23に連結され、バルブ部材40の回転が規制されている。このため、回転軸13および環状部材32が回転すると、回転軸13に取り付けられた環状部材32とバルブ部材40とが相対回転する。
【0036】
一方、図4に示すように、バルブ部材40の内周には、全周に亘って内周溝47が形成されており、前記通気路31と内周溝47とが連通している。またバルブ部材40の外周における円周方向のほぼ半分の領域、つまり、軸線E1を中心とするほぼ180度の領域には、外周溝48が形成されている。より具体的には、位置決め固定されたバルブ部材40の外周において、上側半分の領域に外周溝48が配置されている。外周溝48には、搬送台1側に近い端部55と、この端部55とは反対側に位置する端部56とを備えている。
【0037】
さらにバルブ部材40には半径方向の通気路49が複数設けられており、外周溝48と内周溝47とが通気路49により接続されている。さらにバルブ部材40の外周、つまり、環状凹部34の内周面50に対応する位置には、外周溝48の端部56から所定距離を隔てた位置に大気開放溝51が設けられている。この実施形態においては、バルブ部材40の円周方向における外周溝48の端部56と大気開放溝51との間の距離が、通気路36の内径よりも短く設定されている。
【0038】
さらにまた、図3に示すように、回転軸13の外周面とバルブ部材40の内周面との間には半径方向の微小隙間K1が設定され、および環状部材32の内周面50とバルブ部材40の外周面との間には半径方向の微小隙間J1が設定されている。各微小隙間J1,K1は、例えば、0.1mm程度に設定されている。ここで、回転軸13とバルブ部材40とがラジアル軸受41により半径方向に位置決めされて、微小隙間K1が確保されている。なお、回転軸13の外周面とバルブ部材40との間、具体的には回転軸13の長手方向における内周溝47の両側に、Oリングなどの密封装置(図示せず)を設けることなく、微小隙間K1の気密性が十分維持されている。
【0039】
一方、環状部材32は回転軸13の外周に固定されているため、微小隙間J1も間接的にラジアル軸受41により確保されている。なお、環状部材32の内周面50とバルブ部材40の外周面との間、具体的には回転軸13の長手方向における外周溝48の両側にも、Oリングなどの密封装置を設けることなく微小隙間J1の気密性が十分維持されている。上記のように構成された環状部材32およびバルブ部材40ならびに吸着パッド37の組み合わせにより、1組の吸着ユニットH1が構成されている。そして、各吸着ユニットH1が回転軸13の長手方向に配置されている。
【0040】
さらに、回転軸13の外周、例えば吸着ユニットH1同士の間には、環状の取付具52が取り付けられている。この取付具52は、回転軸13に対して1個設けられていればよい。この取付具52は、その円周方向の1箇所に、軸線方向のスリット設けた割り金具である。そして、調整ボルト(図示せず)の締め付け力を緩めて、回転軸13と取付具52とを円周方向に位置決めした後、調整ボルトを締め付けることにより、回転軸13に対して取付具52を円周方向に位置決め固定することができる。取付具52には板状のセンサードグ53が設けられており、センサードグ53は円周方向の所定角度の範囲に亘る扇形状部53Aを備えている。一方、センサードグ53と対面する調整プレート42には、センサードグ53を検知するセンサ54が設けられている。
【0041】
ここで、実施形態の構成とこの発明の構成との対応関係を説明する。回転軸13がこの発明の回転部材に相当し、吸着パッド37および環状部材32がこの発明の吸着装置に相当し、環状部材32、バルブ部材40、回転軸13、通気路18,31,36,39,49、大気開放溝51、内周溝47、外周溝48がこの発明の吸着力解除装置に相当し、バルブ部材40がこの発明の中間部材に相当し、通気路18,31がこの発明の第1の通気路に相当し、通気路39がこの発明の第2の通気路に相当し、通気路49、内周溝47、外周溝48がこの発明の接続通気路に相当し、環状凹部34がこの発明の環状空間に相当し、調整プレート42、ピン43,45、連結棒46がこの発明の調節装置に相当する。
【0042】
次に、上記工程における容器4の反転動作を説明する。まず、図1に示すように、吸着パッド37が最も上流側に向けられた待機状態で回転軸13が停止している。この待機状態では、吸着パッド37の吸着面38がほぼ垂直になっている。また、回転軸13および環状部材32とバルブ部材40との円周方向の相対位置関係により、通気路36と外周溝48とが連通されている。つまり、通気路36が、外周溝48、通気路49、内周溝47、通気路31を介して通気路18に連通している。さらに、真空ポンプが駆動され、通気路39側の空気が吸引されている。
【0043】
一方、容器搬送経路B1にある容器4は、その口頸部5が下方に向けられた下向き状態(言い換えれば倒立状態)にあり、その口頸部5の先端が搬送台1の上面12に接触している。さらに、容器4の倒立状態においては、容器4の中心軸線G1がほぼ垂直な状態にある。そして、フィードバー2の保持爪3により容器4の胴部7が挟み付けられて、容器4に対する保持力が生じている。
【0044】
そして、フィードバー2がほぼ水平に、かつ、長手方向(図2において左方向)に移動するとともに、フィードバー2の保持爪3の間に保持されている容器4のうち、容器反転装置A1側に最も近い位置、つまり、前進したフィードバー2に保持されている容器4の胴部7が、待機中の吸着パッド37に接近して、容器4に対する吸着パッド37の真空吸着力が発生するとともに、フィードバー2の長手方向の移動が停止する。
【0045】
このようにして、容器4が吸着パッド37により保持されると、フィードバー2の間隔が広げられ、容器4に対するフィードバー2の保持力が解除され、容器4がフィードバー2から吸着パッド37に受け渡される。ついで、フィードバー2が、図2の右方向に所定量水平移動して戻り、停止する。その後、フィードバー2が近づく方向に水平に移動し、搬送方向の上流側にある加工ステーションに位置する容器4を掴む。以後、フィードバー2が上記動作を繰り返し、容器4を順次下流側に向けて間欠的に搬送する。
【0046】
ところで、容器4がフィードバー2から吸着パッド37に受け渡された後に、回転軸13が図1の反時計方向に回転すると、容器4の口頸部5が搬送台1の上面12から離れるとともに、容器4の反転動作が開始される。このように、容器4が回転軸13の上方空間を円弧状の軌跡に沿って移動している間は、通気路36と外周溝48とが連通しており、容器4に対する吸着力が継続される。したがって、回転軸13の回転中においても、容器4を確実に真空吸着しておくことができる。
【0047】
そして、回転軸13の回転にともない、容器4が反転されながら排出コンベヤ8の上方に移送される。ついで、容器4が、胴部7が下方に向き、かつ、口頸部5が上方に向いた上向き状態(言い換えれば正立状態)になる。容器4の正立状態においては、中心軸線G1がコンベヤ8の上面11に対してほぼ垂直な状態にある。また、容器4の正立状態においては、胴部7の端部57と排出コンベヤ8の上面11との間に所定の隙間F1が残されている。このように、回転軸13の回転により容器4が倒立状態から正立状態に変位する直前で、通気路36が大気開放溝51に連通する。
【0048】
その結果、通気路39が、通気路36および大気開放溝51を介して大気側に連通されて、通気路39内が大気圧になり、容器4に対する吸着パッド37の真空吸着力が機械的に解除される。容器4に対する真空吸着力が解除されると、排出コンベヤ8の上面11の真上に位置する容器4は、自重およびバキューム装置8Aの吸引力により、排出コンベヤ8上に着地する。排出コンベヤ8上に着地した容器4は、バキューム装置8Aにより吸着保持されて、その姿勢が安定的に保持され、後工程に搬送される。
【0049】
上記のようにして、容器4に対する真空吸着力を解除した吸着パッド37は、回転軸13の回転により回転軸13の下側を通過して搬送台1側に移動し、吸着パッド37が、図1の右側の位置に到達した時点で回転軸13が停止して、待機状態となる。このように、サーボモータ25の駆動により、回転軸13が間欠的に停止・回転を繰り返すことにより、搬送台1側の容器4が反転され、かつ、順次排出コンベヤ8上方に移送されて、後工程に搬送される。
【0050】
以上のように、この実施形態によれば、搬送台1上においては容器4が倒立状態にあるが、吸着パッド37が容器4の胴部7の側面に接近して、容器4を真空吸着するため、搬送ラインB1の延長線上に容器4を倒立状態に位置決めでき、かつ、その容器4を確実に保持することができる。また、容器4の搬送経路にシュートなどの案内部材を設けることなく、容器4の胴部7の側面を真空吸着したまま容器4を反転させながら、排出コンベヤ8の上方に容器4を移動して正立状態とし、容器4が排出コンベヤ8の上面11に位置する直前で吸着力が解除されるため、容器4が排出コンベヤ8の上面11に着地する際に、容器4はその高さ方向の圧縮荷重などの影響を受けない。したがって、容器4を排出コンベヤ8上に移送する場合に、容器4が変形したり、合成樹脂の被覆に傷が付いたりするという不具合が生じにくく、容器4の耐食性や外観上の品質を確保することができる。
【0051】
また、回転軸13および環状部材32とバルブ部材40とが、外周溝48の円周長および大気開放溝51の配置位置に基づく所定角度の相対回転範囲内において、容器4に対する真空吸着力が発生する。したがって、容器4の反転動作中における容器4の保持力を、高精度に、かつ、簡単に制御することができる。
【0052】
さらに、回転軸13の外周面とバルブ部材40の内周面との間には半径方向の微小隙間K1が設定され、バルブ部材40の外周面と環状部材32の内周面50との間には半径方向の微小隙間J1が設定されている。そして、特別な密封装置を設けることなく、各微小隙間J1,K1の気密性が実質的に維持されている。
このため、容器4を真空吸着するために各通気路39,36,49,31内の空気を吸引して、各通気路39,36,49,31内を負圧にした場合でも、吸引力を低下させることなく、回転軸13の外周面とバルブ部材40の内周面との非接触状態が維持され、かつ、バルブ部材40の外周面と環状部材32の内周面50との非接触状態が維持される。したがって、回転軸13および環状部材32とバルブ部材40とが相対回転する際に、滑り接触することがなく回転抵抗の増加を抑制でき、容器4の反転動作を円滑におこなうことができ、振動などにより容器4が吸着パッド37から脱落することを防止することができる。また、回転軸13および環状部材32ならびにバルブ部材40の耐久性を向上させることができる。
【0053】
さらにまた、連結棒46の長さを調節して、回転軸13の円周方向におけるバルブ部材40の位相を調節することにより、外周溝48の端部55,56および大気開放溝51の円周方向の位相を変更することができる。したがって、回転軸13の回転中において、容器4に対する吸着パッド37の吸着力の発生・解除タイミングを容易に制御することができる。
【0054】
ここで、プレス機が、毎分100回転する工程を例として、容器4に作用する保持力を、図7のダイヤグラムに基づいて詳細に説明する。プレス機の加工工具(例えばプレス機のスライドに取り付けられたパンチなど)は昇降動作するものであり、図7の上死点および下死点は、プレス機が1回転する場合の加工工具の回転位相を意味している。また、フィードバー2の動作とプレス機の加工工具とが同期して駆動される。さらに、スライドおよび加工工具が上死点から下死点に亘って下降す行程と、スライドおよび加工工具が下死点から上死点に亘って上昇するまでの行程とを、1回転(360度)として表している。
【0055】
この実施形態においては、230度の回転位相から130度の回転位相の範囲に亘り、フィードバー2が閉じられている一方、130度の回転位相から230度の回転位相の範囲に亘り、フィードバー2が開かれている。また、300度の回転位相から66度の回転位相の範囲に亘ってフィードバー2が前進し、66度の回転位相から130度の回転位相の範囲に亘ってフィードバー2が停止し、130度の回転位相から230度の回転位相の範囲に亘ってフィードバー2が後退し、230度の回転位相から300度の回転位相の範囲に亘ってフィードバー2が停止する。ここで、プレス機の加工工具が上死点にある際には、フィードバー2が閉じられており、容器4に対する保持力が生じている。また、回転位相が上死点にある際から吸着パッド37による吸引が開始され、300度を越える第1の位相から上死点に到達する前の第2の位相の範囲で、大気開放溝51と通気路39とが連通する。また、第2の位相から上死点の範囲では、吸着パッド37が非吸引状態にある。
【0056】
そして、プレス加工ステーションにおいては、下降プレス機の加工工具が上死点から下死点に向けて下降する途中、言い換えれば、カップ形状成形品に絞りしごき加工などの加工が施される際、容器4に対するフィードバー2同士の保持力が解除される時点Pで、プレス機の加工工具の回転位相が130度に到達する。
一方、プレス機の加工工具が上死点に到達する以前に、加工済みの容器4を排出する排出ステーションでは、回転軸13が既に停止した状態、つまり待機状態にあるとともに、吸着パッド37による空気の吸引が開始されている。言い換えれば、容器4がプレス加工ステーションからプレス排出ステーションに移送されて排出待ちの状態となっており、この排出待ちの容器4に対するフィードバー2の保持力が解除される点P以前に、吸着ユニットH1側に最も近い位置に搬送されている加工済みの容器4に対して吸着パッド37が接近して、真空吸着力が発生している。ここで、点Pは、プレス機の加工工具の回転位相の130度に設定されている。
【0057】
そして、容器4に対する吸着パッド37の真空吸着力が発生してから、フィードバー2が後退し始める後退開始点Pまでの間(言い換えれば、回転位相が66度から130度に到達するまでの間)、排出待ちの容器4に対して、フィードバー2の保持力と、吸着パッド37の真空吸着力とが両方作用することになる。したがって、容器4に対する吸着パッド37の真空吸着力の発生タイミング(開始タイミング)を、厳密に調整する必要はなく、フィードバー2が前進を完了する点Q(この実施形態では66度)に至る前までに発生するように制御すればよい。なお、この実施形態では、吸着ユニットH1に吸着パッド37が2個設けられており、一方の吸着パッド37が反転を終了する点Nにおいては、他方の吸着パッド37は待機位置にある。すなわち、次に搬送されてくる容器4を吸引できる状態にあり、この他方の吸着パッド37には、既に真空吸着力が発生している。
このように、容器4を反転するために2個の吸着パッド37が交互に用いられる。
【0058】
また、この実施形態において、容器4の反転開始点Mは、プレス機のフィードバー2の後退開始点Pから所定角度遅れているが、このように位相差を設ける理由は以下のとおりである。すなわち、反転開始点Mと後退開始点Pとを同時に設定したり、後退開始点Pの直後に反転開始点Mを設定した場合は、吸着パッド37に吸着され、かつ、円弧状の軌跡に沿って反転される容器4と、間隔が広がりながら後退動作をおこなうフィードバー2とが干渉して、容器4の反転動作に支障を来す可能性がある。このような不具合を未然に防止するため、フィードバー2が所定量後退した時点から、吸着パッド37に保持された容器4の反転動作が開始されるように、後退開始点Pと反転開始点Mとに位相差を設定している。この実施形態においては、後退開始点Pと反転開始点Mとの間に25度の位相差が設定されている。
【0059】
なお、容器4の反転動作は、プレス機の回転数に関係なく常時一定の回転位相、すなわち、反転開始点Mから開始されるように設定されている。また、プレス機の最高回転数に合わせた速度で容器4が反転されるように、回転軸13の回転速度を設定すれば、プレス機の回転数が変動した場合でも、その都度容器4の反転速度(具体的にはサーボモータ25の回転数)を変更したり、反転開始点Mの位相を調整したりする電気的な制御をおこなう必要がなく、経済的である。
【0060】
また、この実施形態においては、回転軸13の回転位相が点Nに到達すると、容器4が正立状態になるが、回転軸13の回転位相が点Nに到達する手前約5度ないし15度の範囲R1(言い換えれば、吸着パッド37の吸引が終了する点Q2から大気開放中の点Q3の範囲)において、容器4に対する真空吸着力が解除されるように、連結棒46を回してバルブ部材40の円周方向の位相をタイミング調整される。このようにして、通気路39と外周溝48との遮断、通気路39と大気開放溝51との連通のタイミングが、容器4の搬送速度に応じて調整されるため、排出コンベヤ8の上面11上に容器4をスムーズに、かつ、安定した姿勢で着地させることができる。
【0061】
さらにまた、回転軸13の長手方向に、吸着ユニットH1が所定間隔おきに、かつ、容器搬送経路B1に対応して設けられている。そして、回転軸13の内部には、全ての吸着ユニットH1に対応する通気路18が設けられている、したがって、複数の吸着ユニットH1に接続される通気路18を共通化させることができ、吸着ユニットH1の構成を簡素化することができる。
【0062】
さらに、高さ調整板30の厚さを変更することにより、回転軸13の軸線E1の高さ、言い換えれば、反転前の容器4と回転軸13との高さ方向の相対位置を調節することができる。したがって、各種の高さの容器4に対応することができる。また、反転後の容器4の胴部7の端部57と、排出コンベヤ8の上面11との間に隙間F1が設定された状態で、容器4に対する吸着力が解除される。このため、プレス加工工程での加工熱により、容器4の高さが経時的に設計寸法よりも高くなってきた場合でも、容器4の端部57がコンベヤ8の上面11に衝突することが回避される。したがって、容器4の端部57の変形や、容器4の反転不足に起因する搬送上のトラブルなどを防止することができる。
【0063】
さらに、この実施形態においては、吸着パッド37の吸着面38の曲率半径が、胴部7の外面の曲率半径よりも大きく設定されているため、容器4に対する真空吸着力を解除、すなわち吸引通路が遮断された際に、大気が吸着面38と容器4との隙間に進入し易く、容器4の離れ性が良好に維持される。さらに、吸着パッド37の材料として、樹脂や金属を選択することにより、ゴム材などを使用した弾性材製の吸着パッドのような吸着面38と容器4との過剰な密着が回避され、容器4の離れ性が向上し、高速搬送に有利となる。さらにまた、長さの異なる吸着パッド37を複数用意しておき、これらを交換して使用することにより、容器4に対する吸着面積や吸着力を制御することもできる。したがって、高さや直径の異なる容器4であっても、確実に吸着保持することができる。
【0064】
また、容器4に対する吸着力の発生タイミングおよび解除タイミングを調整する場合、あるいは何らかのトラブルが発生し、本装置を基準位置に戻す場合には、回転軸13と一体回転するセンサードグ53をセンサ54で検知し、その信号により、サーボモータ25を原点で停止させて復帰させる。またこのサーボモータ25の回転速度は、前述のようにプレス機の駆動力源の最高回転数に対応できる速度に設定されているが、サーボモータ25の回転速度の制御を、プレス機の回転数とは無関係におこなうことができるため、サーボモータ25の回転速度を任意に設定できる。例えば、プレス機の回転速度に応じて、サーボモータ25の回転速度を段階的に変化させるような電気的な制御をおこなうこともできる。
【0065】
なお、上記実施形態において、容器4の平面断面形状は、図2、図3に示すような円筒形状の他に、多角形、楕円形などであってもよい。この場合、吸着パッドの吸着面の形状を、吸着する容器の胴部の側面形状に近似する形状に設計することは勿論である。また、上記実施形態においては容器を180度反転させるように構成されているが、上流側搬送部の上面と下流側搬送部材の上面とにより所定の角度が設定されている反転工程に対しても、この実施形態を適用することができる。この場合は、容器の反転角度は、上流側搬送部の上面と下流側搬送部材の上面とのなす角度に対応するように、サーボモータ25の回転角度が設定される。またこの場合は、容器に対して作用する真空吸着力の発生・解除タイミングも、上流側搬送部の上面と下流側搬送部材の上面とのなす角度に対応して、バルブ部材40の外周溝48の円周長、および大気開放溝51の円周方向の位相が適宜設定される。
【0066】
さらに、上記実施形態においては、反転前の容器の搬送方向と反転後の容器の搬送方向とが同一になっているが、反転前の容器の搬送方向と反転後の容器の搬送方向とが異なっていてもよい。例えば、容器4と回転部材とが接触しない範囲で、反転前の容器の搬送方向と反転後の容器の搬送方向とが、実質的に直交する方向に配置されていてもよい。さらにまた、上流側搬送部の上面と下流側搬送部材の上面とを同じ高さに設定することもできる。さらに、回転部材の外周に、円周方向に設ける吸着パッドは2個に限定されず、1個でもよいし3個以上設けてもよい。吸着パッドの個数は奇数でも偶数でもよい。回転部材の円周方向における吸着パッドの配置個数は、吸着パッドにより吸着された容器同士が接触しない個数に設定することが望ましい。
【0067】
なお、上記実施形態において、容器が合成樹脂材料(PETなど)により一体成型されている場合でも、この容器を真空吸着式の吸着装置により、吸着し、かつ反転させることができる。また、この実施形態において、容器が金属材料製、特に磁性材料製のものであれば、容器を磁力により吸着するように、吸着装置を電磁石で構成することもできる。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、請求項1または2の発明によれば、吸着装置が容器の胴部の外面に接近して容器を吸着するため、下向き状態の容器を確実に保持することができ、下向き状態の容器を上向き状態となるように、迅速、かつ、案内部材を特別に設けることなく容器を反転することができる。また、容器に対してその高さ方向に無理な荷重が作用することが回避される。したがって、容器の反転時に容器が変形したり破損したり、あるいは転倒したりすることを防止することができる。
【0069】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、回転部材および吸着装置と中間部材とが、所定角度の範囲内で相対回転している間、容器に対する真空吸着力が発生する。したがって、容器に対して作用する真空吸着力の発生・解除タイミングを、複雑な制御装置を設けることなく、かつ、回転部材の回転を利用して高精度に制御することができ、容器の搬送性能が一層向上する。
【0070】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様の効果を得られる他に、第1の通気路および第2の通気路ならびに接続通気路を負圧として、吸着装置により容器を真空吸着する際に、回転部材および吸着装置と中間部材との相対回転により回転抵抗の増加が抑制される。したがって、容器の反転動作を円滑におこなうことができるとともに、回転部材の振動などが抑制され、容器が吸着装置から脱落することを防止することができる。
【0071】
請求項5の発明によれば、請求項3または4の発明と同様の効果を得られる他に、中間部材を円周方向に移動して固定すれば、回転部材および吸着装置が回転する場合に、その回転方向の位相において、容器に対する真空吸着力の発生・解除の微妙なタイミング調整を容易におこなえる。したがって、容器に対する真空吸着力を一層高精度に制御することができ、容器の反転機能が向上する。
【0072】
請求項6の発明は、請求項3ないし5のいずれか1項の発明と同様の効果を得られる他に、複数の吸着装置に接続される第1の通気路を共通化させることができる。したがって、複数の吸着装置に対応して、第1の通気路をそれぞれに設ける必要がなく、容器反転装置の構造の簡略化および小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例を示す正面断面図である。
【図2】 図1に示す容器反転装置を配置した工程の部分的な平面図である。
【図3】 図2のIII −III 線における平面断面図である。
【図4】 図3のIV−IV線における正面断面図である。
【図5】 図2の工程の正面図である。
【図6】 図2の工程の正面断面図である。
【図7】 図1に示す容器反転装置とプレス工程とのタイミングを説明するダイヤグラムである。
【符号の説明】
4…容器、 5…口頸部、 7…胴部、 13…回転軸、 18,31,36,39,49…通気路、 32…環状部材、 37…吸着パッド、 40…バルブ部材、 42…調整プレート、 43,45…ピン、 46…連結棒、 47…内周溝、 48…外周溝、 A1…容器反転装置、 B1…容器搬送経路、 E1…軸線、 J1,K1…微小隙間。
Claims (6)
- 胴部と、この胴部に連続され、かつ、前記胴部よりも外径が小さい口頸部とを有するようにプレス加工が施され、プレス機の回転と同期して往復移動するフィードバーの保持力により、前記口頸部を下方に向けた倒立姿勢のまま下流側に向けて間欠的に移送されるボトル型の容器を、前記プレス機の排出位置で、前記口頸部が下方に向いた下向き状態から、前記口頸部が実質的に上方に向いた上向き状態となるように反転させて、回転駆動する排出コンベアの上面上に着地させるための容器反転装置において、
前記プレス機の排出位置に設けられ、前記フィードバーと対向してほぼ水平な軸線を中心としてサーボモータの駆動により間欠回転する回転部材と、
この回転部材の外周に設けられ、かつ、前記フィードバーに保持されて前記プレス機の排出位置まで搬送されてきた前記下向き状態にある前記容器の胴部の外面に接近することにより、前記フィードバーの保持力が解除される前に吸着力を発生させて前記容器を吸着する吸着装置と、
この吸着装置により前記容器を保持するとともに、前記回転部材が回転して前記容器が前記上向き状態となる手前の5度ないし15度の範囲において、前記容器に対する前記吸着装置の吸着力を解除させる吸着力解除装置と
を備えていることを特徴とする容器反転装置。 - 前記吸着力解除装置は、前記容器が前記排出コンベアの上面上に着地する直前であって該容器と該上面との間に所定の隙間を残した状態で、前記吸着力を解除させることを特徴とする請求項1に記載の容器反転装置。
- 前記回転部材の外周に設けられた前記吸着装置が、前記容器を真空吸着するように構成されており、これら回転部材と吸着装置との間に、回転が規制された中間部材が介在されており、前記回転部材に第1の通気路が設けられ、前記吸着装置に第2の通気路が設けられているとともに、前記中間部材に、前記回転部材および前記吸着装置と前記中間部材とが相対回転した場合に、所定角度の相対回転範囲内で前記第1の通気路と前記第2の通気路とを接続する接続通気路が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の容器反転装置。
- 前記吸着装置が環状部材を有し、前記回転部材の外周面と前記環状部材との間に環状空間が形成され、前記中間部材が環状に構成されており、この中間部材が前記環状空間に配置されているとともに、前記第1の通気路および前記第2の通気路が前記環状空間に臨んで開口され、前記接続通気路の両端が、前記中間部材の内周面および外周面に開口されており、前記回転部材および前記吸着装置と前記中間部材との対向面に、半径方向の隙間が設定されていることを特徴とする請求項3に記載の容器反転装置。
- 前記中間部材を、前記軸線を中心として円周方向に移動可能に保持し、かつ、前記中間部材を円周方向に位置決め固定する調節装置を備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の容器反転装置。
- 複数の容器搬送経路に対応して、前記回転部材にほぼ水平方向に複数の吸着装置が設けられているとともに、各吸着装置の第2の通気路と、前記回転部材の第1の通気路とが接続されるように構成されていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の容器反転装置。
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