JP4565294B2 - 配向膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性の重合体の膜に、光を照射することによって、液晶性材料の配向を促進する配向膜(液晶配向膜)を提供し、液晶表示装置や液晶表示装置の光学補償を目的とした複屈折フィルムの製造方法の改良に役立つものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶パネルに封入した液晶を配向させるには、図3に示すような、基板(31)に塗布したポリイミドなどの高分子化合物(32)表面をナイロンやポリエステル繊維を植毛した布(34)を巻きつけたドラム(33)で擦るラビング処理などの方法により作製された液晶配向膜が利用されてきた。また、このようなラビング処理は、液晶パネルの製造工程において、微細な埃や静電気によるTFT素子(薄膜トランジスタ)の破壊の原因となることから、最近では、ビニルシンナメート系ポリマー、アゾ系ポリマー、カルコン系ポリマーなどの感光性ポリマーの塗膜に、直線偏光を照射することによって液晶配向機能を付与する光配向技術も提案されてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
植毛した布で高分子化合物表面を物理的に擦るラビング処理は、上記のような微細な埃や静電気による放電の原因となり、液晶パネルの製造工程において問題となる他、基板内全面において液晶の配向方向は一定一方向のみに限られており、基板内に液晶の配向方向が異なる領域を形成することができないことも問題である。これに対し、ビニルシンナメート系ポリマー、アゾ系ポリマー、カルコン系ポリマーなどの感光性ポリマー塗膜に、直線偏光を照射することによって液晶配向機能を付与する光配向技術は、非接触で液晶配向機能を付与できるため、微細な埃や静電気による放電がなく、マスク露光を用いることにより、基板内に液晶の配向方向が異なる領域を形成することも可能である。
このような液晶配向膜では、液晶表示するときの電圧印加時に生じるリバースチルト配向不良(立ち上がり方向の異なる液晶分子の領域間に生じる配向不良)を防止するために、液晶配向膜と液晶分子との界面に生ずるプレチルト角が重要となっている。更に、このプレチルト角は、液晶パネルにおいてバラツキが生じると表示斑の原因となるため、液晶表示パネル全面において均一に制御されていなければならない。
光配向技術において、液晶配向機能を付与するときの光照射エネルギ量で、このプレチルト角を制御する手法が、特開平10−142608号公報、特開平10−123531号公報、特開平10−73821号公報、特開平11−95223号公報で提案されている。これらで提案されている材料は、いずれも照射する光エネルギ量でプレチルト角が変化する材料を用いたものである。光配向技術を用いた実際の液晶パネル製造工程においては、大面積のマザーガラスを光照射する必要があるが、このような光照射エネルギ量でプレチルト角が変化する材料を用いた場合、マザーガラス全面において照射エネルギ量を厳密に制御する必要があり、光照射装置には高い精度が求めら複雑で大掛かりなものとなってしまう。また、このような感光性ポリマーの光反応に用いられる光照射装置のランプには、超高圧水銀灯などが用いられるが、このようなランプでは点灯時間とともに電極の劣化による照射エネルギの低下が生じる。これを補正するため、照射時間や出力を変化させても良いが、装置や工程が煩雑となるとともに、管理項目が多くなることから品質を安定させるのが困難になるなどの問題点がある。
【0004】
【課題を解決する手段】
前記の問題に鑑み、本発明では、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基およびそれらの弗化した基などを含有する側鎖と、感光性の側鎖とからなる重合体を用いた液晶性材料を配向させる機能を有する膜およびその製造方法を提供する。
本発明の該重合体の溶液を基板上に塗布(スピンコートないしはキャスト)し該重合体塗布膜を形成する。この塗布膜に基板法線方向に対し斜め方向から非偏性の光(以下、「自然光」と称する)、もしくは、完全偏光成分からなる紫外光または完全偏光成分と非偏光成分が混在する紫外光を照射することにより2量化によって架橋し、照射エネルギ量が変化しても一定のプレチルト角を発現する液晶配向膜を形成し得る。この解決手段により、ラビング処理における微細な埃や静電気による放電の発生、一定方向のみの配向が解決されるのみならず、これまで提案されている光の照射エネルギによってプレチルト角が変化する材料を用いた光配向技術における、マザーガラス全面において照射エネルギ量を厳密に均一化するために光照射装置が複雑で大掛かりとなったり、ランプの寿命とともに低下する照射エネルギ量を補正するため装置や工程が煩雑となるとともに、管理項目が多くなり品質の保持が困難になるなどの従来技術の問題点が解決される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に例を挙げて、本発明の詳細を説明する。化学式10で示される重合体は、シンナモイル基、カルコン基、シンナミリデン基、β−(2−フリル)アクリロイル(または、その誘導体)基などの感光性基を結合した構造の側鎖とアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基およびそれらの弗化した基などのうち少なくとも一つとを含有する側鎖とを有する、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、N−フェニルマレイミド、シロキサンなどの構造を主鎖とする重合体である。
本発明の重合体の溶液を基板上に塗布(スピンコートないしキャスト)して製膜した重合体塗布膜は、製膜時には等方性である。しかし、該膜に基板法線方向に対し斜め方向から自然光、もしくは、完全偏光成分からなる紫外光または完全偏光成分と非偏光成分が混在する紫外光を照射すると、照射した光の進行方向とその垂直方向、もしくは、照射した完全偏光成分からなる紫外光または完全偏光成分と非偏光成分が混在する紫外光の電界振動が大きい方向とその垂直方向で、シンナモイル基、カルコン基、シンナミリデン基、β−(2−フリル)アクリロイル(または、その誘導体基)基などの感光性基の2量化度に差が生じ、結果として膜が異方性となる。この異方性の膜に、液晶分子が接触すると、膜との相互作用により液晶分子が配向するようになる。この2量化反応を進めるには、化学式1または化学式2または化学式3または化学式4または化学式5または化学式6または化学式7で表される感光性基の部分が反応し得る波長の光の照射を要する。この波長は、化学式1または化学式2または化学式3または化学式4または化学式5または化学式6または化学式7で示された−R1〜−R11の種類によっても異なるが、一般に200〜500nmであり、中でも250〜400nmの有効性が高い場合が多い。
【0006】
本発明は、プレチルト角を発現しその大きさが照射エネルギ量により変化しない液晶性材料を配向させる機能を有する膜およびその製造方法を提供することにあり、感光性基を結合した構造の側鎖とアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基およびそれらの弗化した基などのうち少なくとも一つとを含有する側鎖とを有する重合体に、自然光、もしくは、完全偏光成分からなる紫外光または完全偏光成分と非偏光成分が混在する紫外光を基板法線方向に対し斜めから照射することにより達成された。
アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基およびそれらの弗化した基は、重合体膜の表面エネルギを制御するために含有され、重合体膜の表面エネルギの大きさはその含有量によって調節される。プレチルト角の発現とその大きさを決定する因子として、膜の表面エネルギもその1つであることが実験により判明した。本発明の重合体はこの表面エネルギを制御することに着目したものである。本発明の重合体において、配向させる液晶材料の種類によって異なるが、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基およびそれらの弗化した基などの種類と含有量を選定することにより、プレチルト角の大きさが制御可能であることが判明した。実際に、液晶材料ZLI−4792、ZLI−4540、ZLI−4338、ZLI−2293、ZLI−1132、ZLI−1565(いずれもメルク社製)でプレチルト角の制御可能であることが確認されている。
本発明の重合体による膜の表面エネルギは、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基およびそれらの弗化した基などの種類と含有量によって異なるが、JIS−6768による表面エネルギの測定法によると(30dyn/cm以下)〜38dyn/cm程度と見積もられ、この範囲で任意に制御可能である。この表面エネルギの大きさは紫外線照射によって大きく変わらないことが確認されており、このことが照射エネルギによってプレチルト角が変化しない理由であると考えている。
他方、照射エネルギによってプレチルト角が変化する特開平10−142608号公報、特開平10−123531号公報、特開平10−73821号公報、特開平11−95223号公報などで提案されている従来の光配向技術では照射エネルギによって表面エネルギが変化していると予想される。比較のため本発明の重合体においてアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基およびそれらの弗化した基などを含有しない重合体では、照射エネルギによってプレチルト角(メルク社製液晶材料E7)が変化し、この時表面エネルギも変化していることが確認されている。本発明の重合体と比較例重合体に紫外線を照射したときの表面エネルギの変化を図4に示す。本発明の重合体では、紫外線の照射エネルギ量により表面エネルギの変化がわずかであるのに対して、比較例重合体では照射エネルギ量の増加とともに表面エネルギが顕著に低下することがわかる。
光配向技術において、本発明のような表面エネルギを調整することによりプレチルト角を制御することはこれまで報告例がなく、全く新規な事例である。
【0007】
このように、本発明の重合体を用いた液晶性材料を配向させる機能を有する膜およびその製造方法では、基板法線方向に対し斜め方向より自然光、もしくは、完全偏光成分からなる紫外光または完全偏光成分と非偏光成分が混在する紫外光を照射することにより、プレチルト角を有する液晶性材料を配向させる機能の付与が可能であることから、物理的に基板表面を擦るなどの工程を必要としないため、静電気、埃などを発生することがない。更に、照射エネルギ量が変化しても一定のプレチルト角を示す液晶性材料を配向させる機能を有する膜の実現が可能であることから、照射エネルギ量を基板全面において高精度に均一化するために装置を大掛かりにしたり、照射ランプの照射エネルギ量を補正するため装置や工程が煩雑となることなく、液晶表示装置に有効な液晶配向膜を提供できる。また、このような膜を、液晶表示装置の光学補償などを目的とした、液晶性材料を面内、ベンド、垂直配向させた複屈折フィルムにおいても、配向を促進させるために用いられる配向膜としても利用可能であることはいうまでもない。
【0008】
本発明の重合体の合成方法を以下に示す。
(重合体1)
4,4’−ビフェニルジオールと2−クロロエタノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。この生成物に、アルカリ条件下で1,6−ジブロモヘキサンを反応させ、4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、4−ヒドロキシエトキシ−4’−(6’−ビフェニルオキシヘキシル)メタクリレートを合成した。
この生成物とメタクリル酸ステアリルエステルとを種々のモル比でテトラヒドロフラン中に溶解し、反応開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を添加して重合することにより前駆重合体を得た。
これとは別に、β−(2−フリル)アクリル酸と塩化チオニルを反応させ合成したβ−(2−フリル)アクリル酸クロリドを、前記前駆重合体とテトラヒドロフラン中で反応させることにより、化学式11に示される重合体1を得た。
重合体1
【化11】
【0009】
(重合体2)
4,4’−ビフェニルジオールと2−クロロエタノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。この生成物に、アルカリ条件下で1,6−ジブロモヘキサンを反応させ、4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、4−ヒドロキシエトキシ−4’−(6’−ビフェニルオキシヘキシル)メタクリレートを合成した。
この生成物0.07molとメタクリル酸エイコシルエステル0.03molとをテトラヒドロフラン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して重合することにより前駆重合体を得た。
これとは別に、β−(2−フリル)アクリル酸と塩化チオニルを反応させ合成したβ−(2−フリル)アクリル酸クロリドを、前記前駆重合体とテトラヒドロフラン中で反応させることにより、化学式11に示される重合体2を得た。
重合体2
【化12】
【0010】
(重合体3)
4,4’−ビフェニルジオールと2−クロロエタノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。この生成物に、アルカリ条件下で1,6−ジブロモヘキサンを反応させ、4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、4−ヒドロキシエトキシ−4’−(6’−ビフェニルオキシヘキシル)メタクリレートを合成した。
この生成物0.06molとメタクリル酸ヘキサフルオロイソプロピルエステル0.04molとをテトラヒドロフラン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して重合することにより前駆重合体を得た。
これとは別に、β−(2−フリル)アクリル酸と塩化チオニルを反応させ合成したβ−(2−フリル)アクリル酸クロリドを、前記前駆重合体とテトラヒドロフラン中で反応させることにより、化学式13に示される重合体3を得た。
重合体3
【化13】
【0011】
(重合体4)
4,4’−ビフェニルジオールと2−クロロエタノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。この生成物に、アルカリ条件下で1,6−ジブロモヘキサンを反応させ、4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−4’−ヒドロキシエトキシビフェニルを合成した。次いで、リチウムメタクリレートを反応させ、4−ヒドロキシエトキシ−4’−(6’−ビフェニルオキシヘキシル)メタクリレートを合成した。
この生成物0.07molとメタクリル酸ノナフルオロブチルエチルエステル0.03molとをテトラヒドロフラン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して重合することにより前駆重合体を得た。
前記前駆重合体と塩化シンナモイルをテトラヒドロフラン中で反応させることにより、化学式14に示される重合体4を得た。
重合体4
【化14】
【0012】
【実施例】
図1、図2には、本発明の重合体を用いた液晶性材料を配向させる機能を有する膜の製造方法(装置)を示す。図1は、偏紫外光を照射した場合、図2は非偏紫外光を照射した場合の製造方法(装置)である。電源(12)、(22)によって励起された紫外線ランプ(11)、(21)で発生した非偏光(16)、(26)を、光学素子(13)(例えばグランテーラープリズム)を介して、偏光紫外線(17)に変換し、基板(15)上に塗布された樹脂膜(14)に照射するか(基板法線方向から照射すると限定するものではない)、光学素子を介することなく、基板(25)上に塗布された樹脂膜(24)に照射する。
【0013】
(実施例1)様々な共重合比の重合体1をクロロホルムに溶解し、ITO(インジウム錫酸化物)で覆った基板上に約100nmの厚さでスピンコートした。この基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて完全偏光成分のみとした紫外線2mW/cm 2 を、水平面に対し垂直方向から室温で3秒間から120秒間照射した。このような基板を2枚作製して液晶ZLI−4792〔メルクジャパン(株)製〕を充填することにより、厚さ12μmのTN型液晶セルを組み立てた。様々な共重合比の重合体を用いた液晶セルを直交ニコル、で観察したところ、液晶分子の配向が確認され、プレチルト角の大きさをクリスタルローテーション法により測定した。
6mJ/cm 2 から240mJ/cm 2 の照射エネルギを照射した種々の重合比の重合体におけるプレチルト角の大きさを図5に示す。横軸は、メタクリル酸ステアリルエステルの共重合比(モル比)であり、照射エネルギ量を変化させてもモル比とプレチルト角の関係は同一曲線上にプロットされることから、プレチルト角の大きさは照射エネルギ量によって変化せず、重合比により決定されることが分かる。
【0014】
(実施例2)重合体2をクロロホルムに溶解し、ITOで覆った基板上に約100nmの厚さでスピンコートした。この基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて完全偏光成分のみとした紫外線2mW/cm 2 を、水平面に対し垂直方向から室温で30〜120秒間照射した。このような基板を2枚作製して液晶ZLI−4792を充填することにより、厚さ12μmのTN型液晶セルを組み立てた。この液晶セルを直交ニコル、で観察したところ、液晶分子の配向が確認され、この液晶セルのプレチルト角も、85〜87°であり照射エネルギによりプレチルト角が殆ど変化しなかった。
【0015】
(実施例3)重合体3をクロロホルムに溶解し、ITOで覆った基板上に約100nmの厚さでスピンコートした。この基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて完全偏光成分のみとした紫外線2mW/cm 2 を、水平面に対し垂直方向から室温で30〜120秒間照射した。このような基板を2枚作製して液晶ZLI−4792を充填することにより、厚さ12μmのTN型液晶セルを組み立てた。この液晶セルを直交ニコル、で観察したところ、液晶分子の配向が確認され、クリスタルローテーション法により測定されたプレチルト角は、14〜17°であり、照射エネルギによりプレチルト角が殆ど変化しなかった。
【0016】
(実施例4)重合体4をクロロホルムに溶解し、ITOで覆った基板上に約100nmの厚さでスピンコートした。この基板を水平面に対して45度傾くように配置し、グランテーラープリズムを用いて完全偏光成分のみとした紫外線2mW/cm 2 を、水平面に対し垂直方向から室温で30〜120秒間照射した。このような基板を2枚作製して液晶ZLI−4792を充填することにより、厚さ12μmのTN型液晶セルを組み立てた。この液晶セルを直交ニコル、で観察したところ、液晶分子の配向が確認され、クリスタルローテーション法により測定されたプレチルト角は、87〜89°であり、照射エネルギによりプレチルト角が殆ど変化しなかった。
【0017】
【発明の効果】
以上に記述したように、本発明の重合体を用いた液晶性材料を配向させる機能を有する膜およびその製造方法によれば、基板法線方向に対して斜め方向から自然光、もしくは、完全偏光成分からなる紫外光または完全偏光成分と非偏光成分が混在する紫外光を照射することにより、プレチルト角を有する液晶性材料を配向させる機能の付与が可能であることから、物理的に基板表面を擦るなどの工程が不要で、静電気、埃などを発生することがないため、液晶表示装置の組立工程で生じる欠陥が著しく低減される。また、照射エネルギ量が変化しても一定のプレチルト角を発現する液晶性材料を配向させる機能を有する膜を形成し得ることから、マザーガラス全面において照射エネルギ量を厳密に均一化するための複雑で大掛かりな光照射装置が必要なく、また、ランプの寿命とともに低下する照射エネルギ量を補正するなどの管理項目が省け品質の保持も容易となり、液晶表示装置や複屈折フィルムに有効な液晶性材料を配向させる機能を有する膜を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重合体を用いた液晶性材料を配向させる機能を有する膜の製造方法を示す概念図(偏光照射時)
【図2】本発明の重合体を用いた液晶性材料を配向させる機能を有する膜の製造方法を示す概念図(自然光照射時)
【図3】従来の液晶性材料を配向させる機能を有する膜の製造方法を示す例図
【図4】本発明の重合体1と比較重合体の紫外線照射エネルギ量による表面エネルギの変化
【図5】重合体1における紫外線照射エネルギおよび重合比とプレチルト角の関係
【符号の説明】
11・・・紫外線ランプ
12・・・電源
13・・・光学素子(グランテーラープリズム)
14・・・樹脂膜(重合体)
15・・・基板
16・・・非偏光
17・・・偏光紫外線
Claims (4)
- 感光性の側鎖とアルキル基、アルコキシル基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、およびそれらの弗化した基のうち少なくとも一つを含有する側鎖とを重合体を基板上に塗布する工程、および塗布された前記重合体に紫外光ないし可視光を照射する操作を含む工程で作製することを特徴とする、液晶性材料を配向させる機能を有する配向膜の製造方法。
- 前記重合体が化学式10で表され、主鎖が炭化水素、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、N−フェニルマレイミド、シロキサンのうちの少なくとも一つであることを特徴とする、請求項3に記載の配向膜の製造方法。
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