JP4565152B2 - 不均一反応を用いた無機被覆基材の製造方法 - Google Patents

不均一反応を用いた無機被覆基材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材がごく薄い膜厚の無機化合物で被覆された無機被覆基材の製造方法に関する。
近年、量子ドット(半導体ナノ粒子)、フラーレンやカーボンナノチューブ等のナノマテリアルは、新技術の開発や既存技術の高度化や高性能化を拓くものとして期待され、その製造方法および特性について活発な研究開発が行われている。例えば、蛍光性の量子ドットは、これまで多用されてきた有機色素に比べて光退色に対して堅牢であるため、タンパク質やDNAなどの生体分子の細胞内での動態観察用蛍光プローブとしての使用が期待されている(非特許文献1)。このような観察用蛍光プローブとしては、セレン化カドミウム(CdSe)からなるコア結晶上に硫化亜鉛(ZnS)シェルを被覆したナノ結晶が有望視されている。
このCdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶は、被覆されていないCdSeコア結晶と比較して、発光効率が高く(非特許文献2)、光酸化による分解が抑制されCdイオンの放出による生体への毒性が低い(非特許文献3)ことが知られている。現在、市販されている蛍光性量子ドットでも、半導体ナノ結晶部分は、CdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶が用いられている(非特許文献4)。
このように、コアとなるナノ結晶上にごく薄い膜厚の無機被膜を形成することによって、ナノマテリアルの高性能化が実現できることが分かっている。そのため、ナノマテリアルを初めとする各種の用途に有用な基材を、無機化合物で被覆する技術が重要になっている。
CdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶の標準的な製造方法では、CdやZnの供給源(前駆体)としてジメチルカドミウムやジエチル亜鉛等の有機金属を用いて、高温条件下での反応が採用されている(非特許文献2参照)。例えば、ZnSシェルの合成は、予め140〜220℃の高温で撹拌されているCdSeコア結晶を含む反応液中に、ジエチル亜鉛を注入することにより行われている。このジエチル亜鉛は、引火点が−18℃であり、120℃以上では爆発性の危険性があるため、上記のZnSシェルの合成法は、その安全性や操作性に問題があり、大量生産には適していない。また、有機金属試薬の価格も高いため、得られるナノ結晶のコストも高くなることが予想される。
そのため、近年、金属の供給源として有機金属を用いることなく、より安全性の高い金属酸化物や金属塩を用いて、ナノマテリアル等の基材を被覆する手法が注目されている。
例えば、CdSeナノ結晶をZnSeで被覆する方法として、亜鉛供給源としてステアリン酸亜鉛を用いて、反応温度190〜200℃で、ZnおよびSe供給源を均一反応系で反応させる方法が知られている(非特許文献5参照)。しかしながら、この方法で採用されている反応温度は、用いる配位性溶媒の引火点(ヘキサドデシルアミン(140℃)、トリオクチルホスフィンの引火点(147℃))以上であり、製造上の安全を十分に確保できていない。また、ステアリン酸亜鉛の使用は、反応系中(溶媒)への溶解度が高い反面、比較的高価であり、製造コストが高くなるという欠点がある。
また、CdSeナノ結晶をCdSで被覆する方法として、カドミウム源として酢酸カドミウムを用い、硫黄の供給源である硫化水素(H2S)ガスと反応させる方法が知られている(非特許文献6参照)。しかしながら、当該方法で使用される硫化水素(H2S)ガスは毒性が高いため、工業的生産における使用には不適であった。
このように、基材に無機化合物からなる被膜を形成する従来の方法では、安全性や簡便性、経済性に依然として問題があり、大量生産に適した実用的な手法ではなかった。
Warren C.W.and Shuming Nie, "Quantum Dot Bioconjugates for Ultrasensitive Nonisotopic Detection", Sicence, 281, pp2016−2018 (1998). B.O.Dabbousi et al., "(CdSe)ZnS Core−Shell Quantum Dots: Synthesis and Characterization of a Size Series of Highly Luminescent Nanocrystallites" Journal of Physical Chemistry B, 101, pp9463−9475 (1997). A.M.Derfus et al., "Probing the Cytotoxicity of Semiconductor Quantum Dots", Nano Letters, 4, pp11−18 (2004). QUATUM DOT CORPORATION,QdotTM Streptavidin Conjugates User Manual,Cat.#1000−1, Cat.#1001−1 P.Reiss et al., "Highly Luminescent CdSe/ZnSe Core/Shell Nanocrystals of Low Size Dispersion" Nano Letters, 2, pp781−784 (2002). I.M.Mekis et al., "One−Pot Synthesis of Highly Luminescent CdSe/CdS Core−Shell Nanocrystals via Organometallic and "Greener" Chemical Approaches" Journal of Physical Chemistry B, 107, pp7454−7462 (2003).
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することである。具体的には、本発明は、安全性が高く簡便で、経済的な手法で、ナノマテリアルを初めとする各種基材上に、無機化合物からなる無機被膜を形成する技術を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、(i)基材、(ii)金属化合物、及び(iii)液状の5B族元素化合物若しくは6B族元素化合物を混合し、不均一反応系で反応させることによって、金属元素、及び5B族若しくは6B族元素からなる無機被膜により被覆された基材を、安全且つ間便に製造できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に改良を重ねることによって完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる無機被覆基材の製造方法を提供する:
項1. 金属元素、及び5B族若しくは6B族元素からなる無機被膜により被覆された基材を製造する方法であって、(i)基材、(ii)金属化合物、及び(iii)液状の5B族元素化合物若しくは6B族元素化合物を混合し、不均一反応系で反応させることを特徴とする、無機被覆基材の製造方法。
項2. 無機被膜の膜厚が0.2〜100nmである、項1に記載の製造方法。
項3. 前記金属元素が、Cd、Zn、Hg、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni,Cu、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Sm及びEuからなる群より選ばれた少なくとも1種であり、6B族元素がS、Se及びTeからなる群から選ばれた少なくとも1種類である、項1又は2に記載の製造方法。
項4. 前記金属元素が、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Fe、Co、Ni、Cu、La、Ce、Pr、Nd及びSmからなる群より選ばれた少なくとも1種であり、5B族元素がP、As及びSbからなる群から選ばれた少なくとも1種類である、項1又は2に記載の製造方法。
項5.金属化合物が、金属塩もしくは金属酸化物である、項1乃至4のいずれかに記載の製造方法。
項6. 反応温度が150℃以下である、項1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
項7. (i)基材、(ii)金属化合物、及び(iii)液状のB族元素化合物若しくは6B族元素化合物を、配位性溶媒中で反応させることを特徴とする、項1乃至6のいずれかに記載の製造方法。
項8. 基材が、平均粒子径が0.5〜100nmのナノ粒子である、項1乃至7のいずれかに記載の製造方法。
項9. 基材及び無機被膜が結晶構造を有し、無機被膜の結晶構造が基材の結晶構造に対してエピタキシャルである、項1乃至8のいずれかに記載の製造方法。
項10. 基材として発光性ナノ粒子を用いて、発光を示す無機被覆ナノ粒子を製造する方法である、項1乃至9のいずれかに記載の製造方法。
本発明において、「無機被膜」とは、金属元素、及び5B族若しくは6B族元素から構成される無機化合物からなる膜のことであり、「無機被覆基材」とは、無機被膜で被覆された基材のことである。
基材
本発明の無機被覆基材の製造方法において、無機被膜により被覆される基材としては、無機化合物による被覆が必要であるもの、或いは無機化合物による被覆が望ましいものであれば、特に制限されない。該基材の形状として、例えば、球状若しくは球状に近い形状、柱状、板状、薄片状、針状、およびワイヤー状等が挙げられる。また、該基材の大きさとして、例えば、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤー等のナノマテリアルのように小さな径(例えば、0.2〜100nm程度の径)を有するもののほか、その径が、100nm〜100μm程度の比較的小さいもの、更に100μm以上の比較的大きなものが挙げられる。これらの中で好ましくは、ナノマテリアル、及び100nm〜100μm程度の比較的小さな径を有するものであり、特に好ましくは、球状もしくは球状に近い形状、柱状、板状の形状をしたナノ粒子である。本発明において、基材として、ナノ粒子を使用する場合、該ナノ粒子の粒子径の一例として、平均粒子径が0.2〜100nm、好ましくは0.5〜20nm、更に好ましくは1〜10nmであるナノ粒子が挙げられる。また、結晶性の無機被膜をナノ粒子上に被覆する場合には、該ナノ粒子はナノ結晶であることが望ましい。
また、本発明において使用される基材は、上記基材の中でも、特定の機能を有している機能性基材が望ましい。このような機能性基材として、蛍光体(例えば、発光性ナノ粒子)、紫外線吸収体、及び屈折率調整用材料等の光学材料;導電材料;触媒;抗菌剤;塗料;化粧品;及び摩擦・磨耗材料等の機能性基材が例示される。これらの中で好ましい機能性基材として発光性ナノ粒子が挙げられる。
発光性ナノ粒子の一態様として、具体的には、Cd、Zn、Hg、Cu、Ag、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Mo、Ta、W、Ir、Eu、Sm及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属原子、及びS、SeおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも1種の5B族原子からなるナノ粒子;好ましくはCdX(X=S、Se、Te)又はZnX(X=S、Se、Te)からなるナノ粒子が例示される。
また、発光性ナノ粒子の他の態様として、Al、Ga及びInからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属原子、及びP、As及びSbからなる群より選ばれた少なくとも1種の6B族原子からなるナノ粒子が例示される。
金属化合物
本発明に使用される金属化合物の金属として、3A〜7A、8及び1B〜3B族原子が挙げられる。具体的には、該金属原子として、Cd、Zn、Hg、Cu、Ag、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Mo、Ta、W、Ir、Eu、Sm、Mg、Al、Ga及びIn等が例示される。
本発明に使用される金属化合物としては、例えば、上記金属の酸化物及び上記金属の塩が挙げられる。
該金属の酸化物としては、各金属の種々の酸化状態の酸化物が広く使用できる。具体的には、酸化亜鉛、酸化カドミウム等が例示される。
また、上記金属の塩として、例えば有機酸塩として、酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸等のモノカルボン酸塩;グリコール酸塩や乳酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩、コハク酸塩等のジカルボン酸塩;クエン酸塩等のポリカルボン酸塩;ギ酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の脂肪族又は芳香族のスルホン酸塩等が挙げられる。その他、アセチルアセトナート塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物塩、臭化物酸塩、ヨウ化物塩、フッ化物塩、過塩素酸塩等が挙げられる。具体的には、酢酸亜鉛二水和物、アセチルアセトナート亜鉛水和物、硫酸亜鉛水和物、酢酸カドミウム二水和物、アセチルアセトナートカドミウム和物、硫酸カドミウム水和物等が例示される。
本発明で使用する金属化合物は、目的とする無機被膜の種類、基材の種類、使用する5B族元素化合物若しくは6B族元素化合物の種類等に応じて、適宜選択すればよい。
5B族元素化合物若しくは6B族元素化合物
本発明で使用される液状の5B族元素化合物若しくは6B族元素化合物は、5B族元素(P、As、Sb等)若しくは6B族元素(S、Se、Te等)を含み、被膜を合成する際の反応条件下で液状の化合物であれば特に制限されない。
液状の5B族元素化合物としては、例えば、[(R)3Si]3X(Xは5B族原子を示し、Rは同一または異なってC1〜C20のアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるシリル基を含む化合物を使用することができる。このような化合物の具体例としては、トリス(トリメチルシリル)ホスファイド(P(TMS)3)、トリス(トリメチルシリル)アルセナイド(As(TMS)3)、トリス(トリメチルシリル)アンチモナイド(Sb(TMS)3)等が挙げられる。
液状の6B族元素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシリルチアン、(R’)3PX’(X’は、6B族原子を示し、R’は同一または異なってC1〜C20のアルキル基又はフェニル基を示す)で表されるホスフィン化合物を使用することができる。ホスフィン化合物の具体例として、セレン化トリブチルホスフィン、セレン化トリオクチルホスフィン、硫黄化トリブチルホスフィン、硫黄化トリオクチルホスフィン、テルル化トリブチルホスフィン、テルル化トリオクチルホスフィン等が挙げられる。
本発明で使用する液状の5B族元素化合物若しくは6B族元素化合物は、目的とする無機被膜の種類、基材の種類、使用する金属化合物の種類等に応じて、適宜選択することができる。具体的には、使用される金属化合物と、液状の5B族元素化合物若しくは6B族元素化合物の組み合わせとして、以下の(1)又は(2)の態様が例示される:
(1)金属化合物の金属として、Cd、Zn、Hg、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni,Cu、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Sm及びEuからなる群より選ばれた少なくとも1種を使用する場合、液状6B族元素化合物として、S、Se及びTeからなる群から選ばれた少なくとも1種から構成される化合物が好ましく使用できる。
(2)金属化合物の金属として、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Fe、Co、Ni、Cu、La、Ce、Pr、Nd及びSmからなる群より選ばれた少なくとも1種を使用する場合、液状5B族元素化合物として、P、As及びSbからなる群から選ばれた少なくとも1種から構成される化合物が好ましく使用できる。
以下、液状の5B族元素化合物若しくは6B族元素化合物を「液状化合物」ということもある。
反応
本発明の製造方法では、(i)上記基材、(ii)上記金属化合物、及び(iii)上記液状化合物を混合し、不均一反応系で反応させることにより、該基材上に、金属元素、及び5B族若しくは6B族元素からなる無機被膜を形成させる。
本発明において、不均一反応とは、無機被膜を合成する際の反応開始時において、(iii)液状化合物が溶解しており、(ii)金属化合物の溶解度が十分に低い状態で反応させることを意味する。(ii)金属化合物の溶解度が小さいため、金属化合物の金属イオンの供給量は十分小さい。このため、供給された金属イオンは、基材上で、液体(又は溶液)状態で存在する液体化合物の5B族若しくは6B族元素と速やかに反応して、金属元素及び5B族若しくは6B族元素からなる無機被膜を形成する。当該無機被膜を形成する反応に対して、金属化合物の金属イオン供給は十分に遅いので、膜厚が薄く、均一である無機被膜が基材上に形成される。
当該反応において、(i)上記基材、(ii)上記金属化合物、及び(iii)上記液状化合物の混合比率については、使用する基材や化合物の種類、目的とする無機被膜の膜厚、反応条件等に応じて適宜設定することができる。
例えば、(ii)上記金属化合物と(iii)上記液状化合物の混合比率としては、該金属化合物の金属元素1モルに対して、該液状化合物の5B族元素若しくは6B族元素が、通常0.5〜20モル、好ましくは0.7〜10モル、更に好ましくは1.0〜2モルとなる割合が例示できる。
また、(ii)上記金属化合物及び(iii)上記液状化合物の総添加量に対する、(i)上記基材の混合割合は、無機被覆膜の生成収率を考慮したうえで、所望の無機被膜の膜厚に応じて設定することができる。例えば、基材としてナノ粒子を用いて膜厚0.2〜10nmの範囲の無機被膜を形成する場合について説明する。あらかじめ透過電子顕微鏡観察結果などから、基材となるナノ粒子の形と大きさを求めておき、基材の体積を算出する。次に、所望する膜厚を有する無機被膜の体積を計算して、基材および無機被膜の体積比を算出する。さらに、それぞれの密度を勘案することによって求めた基材および無機被膜の重量比を、 (ii)金属化合物及び(iii)液状化合物の総添加重量(モル)量に対する、(i)上記基材の添加すべき重量(モル)比として仮に決める。仮に決めた重量比の条件で無機被膜を製造し、無機被覆膜の生成収率を求める。なお、無機被膜の生成収率は通常75〜95%である。この生成収率の値を考慮して、(ii)金属化合物及び(iii)液状化合物の添加重量(モル)量に対する、(i)上記基材の添加すべき重量(モル)比を決定し、無機被膜の形成を行うと所望の膜厚を有する無機被膜を製造できる。
本発明の製造方法において、当該不均一反応は、適当な溶媒中で行うことが望ましい。該不均一反応に使用される溶媒として、好ましくは配位性溶媒を挙げることができる。配位性溶媒とは基材(ナノ粒子等)に配位して個々のナノ粒子の分散性を向上させる性質を備える溶媒を意味する。配位性溶媒を使用することによって、無機被膜の形成前に基材が凝集することなく、反応系中に個々が孤立した状態で分散させておくことが可能になる。これによって、基材が凝集したままの状態で被膜が形成され不均一な無機被膜が形成されるのを抑制でき、また、該無機化合物からなる粒子の副生成を抑制することもできる。このような配位性溶媒を使用することにより得られる有利な効果は、特に基材としてナノ粒子を用いる場合に顕著である。
該配位性溶媒としては、酸化トリオクチルホスフィン、酸化トリブチルホスフィン等の(R)3PO(Rは同一又は異なってC2〜C20のアルキル基またはフェニル基を示す)で表されるホスフィンオキサイド化合物を好ましく例示できる。
溶媒中で不均一反応を行う場合、例えば、該溶媒100モルに対して、上記(i)基材、(ii)金属化合物及び(iii)液状化合物の総モル量が0.1〜80モル、好ましくは5〜60モル部となる割合で、該溶媒は使用される。
当該反応は、上記(i)〜(iii)を適宜混合することにより行うことができる。該反応は、例えば、まず溶媒中で(i)基材と(ii)金属化合物を混合し、これに(iii)液体化合物を添加することにより行うことができる。なお、(iii)液体化合物を一気に加えた場合や、混合物の撹拌速度が遅すぎる場合には、該無機化合物からなる粒子が副生成することもある。そのため、適当な(iii)液体化合物の添加速度と混合物の撹拌速度を制御することが望ましい。
当該反応の温度条件は、(iii)液体化合物及び溶媒に対して、(i)基材は溶解や分解することなく、(ii)金属化合物は反応初期にはほとんど溶解していないが、無機被膜の生成に伴い徐々に溶解するように設定される。具体的には、該反応は、通常150℃以下の温度条件で実施される。該反応温度として、好ましくは室温〜120℃であり、更に好ましくは50〜100℃である。本発明では、上記のように低温で反応が実施されるため、十分な安全性を備えている。なお、上記温度については、基材及び金属供給源の混合物中に液体化合物を滴下する場合には、該混合物の温度をも含むものである。
当該反応に要する時間は、求められる膜厚等に応じて適宜設定することができる。反応時間の一例としては、滴下終了後、5分間〜24時間、好ましくは30分間〜10時間、更に好ましくは1〜5時間が例示される。
使用する(i)基材、(ii)金属化合物、(iii)液体化合物、及び溶媒のいずれかが、大気中で不安定である場合には、当該不均一反応は、アルゴンや窒素など不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。なお、引火性のある溶媒を用いる場合には、引火点以下の温度で反応させる場合にも、不活性ガス雰囲気中で反応させるほうが望ましい。
また、本発明の無機被覆基材の製造方法において、基材を構成する物質および被覆膜の無機化合物が類似した結晶構造を有する場合には、該基材の結晶構造に対して、形成される無機被膜の結晶構造がエピタキシャルの関係になる。例えば、基材としてウルツ鉱型CdSe結晶上にZnSを被覆させた場合には、同じくウルツ鉱型のZnS結晶性被膜がエピタキシャルに形成する。これによって、基材と無機被膜との密着性が向上し、機械的強度に優れた無機被覆基材を製造することができる。更に、同種の基材を用いても、被膜を形成する無機化合物の種類とその膜厚に応じて、得られた無機被覆基材の機能特性を多様に制御できるという利点が得られる。例えば、半導体ナノ結晶を基材として、他種の半導体被膜をエピタキシャル成長させた場合、被膜を形成する半導体の種類とその膜厚に応じて、被覆された半導体ナノ結晶のバンドギャップなどの電子構造が変化することが知られている。これを利用して、所望の波長に蛍光もしくは光吸収を示す光学材料を製造することができる。
本発明の無機被覆基材の方法によれば、前記するように、反応時の(ii)金属化合物及び(iii)液体化合物の添加量と溶媒に対する濃度、配位性溶媒のような適当な溶媒の選択、 (iii)液体化合物の添加速度などを適宜調節することにより、基材上に形成させる無機被膜を、0.2〜100nmの範囲で所望の膜厚に制御することができる。
例えば、基材としてナノマテリアルを使用してナノマテリアルの無機被覆基材を製造する場合であれば、その膜厚の一例として、0.2〜50nm、好ましくは0.2〜10nm、最も好ましくは0.2〜5nmが例示される。
本発明の無機被覆基材の製造方法では、無機被膜の金属元素源として、酢酸亜鉛二水和物や酸化亜鉛のように溶媒への溶解度の低いが安価で汎用な金属化合物を使用でき、更に反応が溶媒の引火点以下の温度で行われるので、安価でしかも安全な方法で、無機被覆基材を製造することができる。
故に、本発明によれば、例えば、蛍光性量子ドットの製造において、コアとなるナノ粒子上を無機化合物で被覆する際に、安全かつ簡便、大量生産にも適応できる経済的な手法を提供することができる。さらに、基材としては、ナノマテリアル以外でも適応できるため、粒子径の大きな材料、例えば、触媒、コーティング材料、磁性材料などへの被覆手法としても有用である。
本発明の方法で得られた無機被覆基材は、無機被膜により基材の性能や耐久性が向上されているので、実用的価値が高く、産業上の有用性が高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
参考例1 CdSeナノ結晶(CdSe量子ドット)の製造
まず、酢酸カドミウム二水和物、及びセレンのトリオクチルフォスフィン溶液をそれぞれカドミウムおよびセレンの供給源として合成した。なお、セレン供給源は、アルゴンガス雰囲気中、セレン(0.79g、10mmol)とトリオクチルフォスフィン(10.9ml)を150℃で約1時間撹拌して、セレンを完全に溶かして調製した。別のフラスコに、酢酸カドミウム二水和物(1.97g、7.5mmol)およびトリオクチルフォスフィン酸化物(9.65g)を入れ、フラスコ内をアルゴンガス雰囲気で置換した。これに、先に調製したセレン供給源を9.9ml(9mmolのセレンを含有)を滴下し、100℃で5時間撹拌した。冷却後、ブタノールおよびメタノールを用いて、得られた反応物から、未反応のカドミウム供給源およびセレン供給源、トリオクチルフォスフィンおよび過剰なトリオクチルフォスフィン酸化物を除いて精製した。0.630gのCdSeナノ粒子(ナノ結晶)が得られ、収率は44%であった。
参考例2 CdSeナノ結晶(CdSe量子ドット)の製造
まず、酢酸カドミウム二水和物、及びセレンのトリオクチルフォスフィン溶液をそれぞれカドミウムおよびセレンの供給源として合成した。なお、セレン供給源は、アルゴンガス雰囲気中、セレン(2.76g、35mmol)とトリオクチルフォスフィン(38.2ml)を150℃で約1時間撹拌して、セレンを完全に溶かして調製した。別のフラスコに、酢酸カドミウム二水和物(5.33g、20mmol)及びトリオクチルフォスフィン酸化物(25.77g)を入れ、フラスコ内をアルゴンガス雰囲気で置換した。これに、トリオクチルフォスフィン(18.2ml)、および先に調製したセレン供給源を26.4ml(24mmolのセレンを含有)を滴下し、75℃で5時間撹拌した。冷却後、ブタノールおよびメタノールを用いて、得られた反応物から、未反応のカドミウム供給源およびセレン供給源、トリオクチルフォスフィンおよび過剰なトリオクチルフォスフィン酸化物を除いて、CdSeナノ結晶を精製した。得られたCdSeナノ結晶についてTEM観察した結果、その粒子径は3.5〜5nmの範囲で、平均粒子径は4.4nmであった。
実施例1
基材として上記参考例1で得られたCdSeナノ結晶を用い、金属化合物及び6B族元素化合物として、それぞれ酢酸亜鉛二水和物及びヘキサメチルジシリルチアンを用いて、ZnS膜で被覆された、CdSe/ZnS コア/シェルナノ結晶を製造した。具体的な製造方法を以下に示す。
上記参考例1で得られたCdSeナノ結晶(基材;コア)、酢酸亜鉛二水和物(金属化合物)、ヘキサメチルジシリルチアン(液状6B元素化合物)、トリオクチルフォスフィン(溶媒)及びトリオクチルフォスフィン酸化物(溶媒)を用いて、ZnS被膜が被覆されてなるCdSeナノ粒子を製造した。
トリオクチルフォスフィン酸化物(3.5g)で保護されたCdSeナノ粒子(0.225g)と、酢酸亜鉛二水和物(0.623g、2.8mmol)をフラスコに入れアルゴンガス置換を行った後、100℃で10分間以上撹拌して、CdSeナノ粒子の凝集した塊がないことを目視にて確認した。但し、酢酸亜鉛二水和物は溶けずに粉末体のままであった。CdSeナノ粒子が十分に分散した反応液中に、ヘキサメチルジシリルチアン(0.6ml、4.0mmol)をトリオクチルフォスフィン(3.0ml)に溶かした溶液を10分間かけて滴下した。滴下後、75℃で5時間撹拌を続けて反応を終了して、反応物Aを得た。
得られた反応物A中に含まれるナノ粒子について、基材として用いたCdSeナノ粒子と対比しながら、X線回折(XRD)法、透過電子顕微鏡(TEM)観察法によりそれらの構造を調べ、さらに、紫外可視吸収(UV−vis)特性、蛍光発光(PL)特性についても評価した。
XRD測定には、精製単離したCdSeナノ結晶、および反応物Aから1−ブタノールおよびメタノールを加えて精製単離したナノ粒子について、リガク製RINT2100型のX線回折装置を用いて分析した。得られたXRDパターン図を、図1の上図に示す。2θが10〜20度の範囲に鋭い回折線が認められるが、これらは精製時にわずかに残ったトリオクチルフォスフィン酸化物由来の回折線である。2つのXRDパターンとも、その回折線の線幅がかなり広いのは、両者ともナノ結晶からなることを示唆している。CdSeコアのXRDパターンは、典型的なウルツ鉱型のCdSe結晶(JCPDSデータファイルNo.08−0459)の主な回折線に対応するため、用いたCdSeコアが、典型的なウルツ鉱型のCdSe結晶構造を有することが確認された。一方、反応物A中のナノ粒子のXRDパターンは、CdSeコアのパターンと比べて、全体的に広角側にわずかにシフトしているが、そのパターンの形はよく似ていた。これは、反応物A中のナノ粒子も、ウルツ鉱型の結晶からなり、その結晶格子定数は典型的なウルツ鉱型CdSe結晶よりもわずかに小さいことを意味する。
図2に、精製単離したCdSeナノ結晶、および反応物Aから精製単離したナノ粒子について、JEOL製JEM−3010型の透過電子顕微鏡を用いて観察した結果を示す。CdSeコアは、粒子径が4〜5nmの範囲で平均粒子径は4.5nm程度の丸い形をした単結晶であった。反応物A中のナノ粒子も、CdSeコア結晶と同様に丸い形をした単結晶からなり、粒子径は5〜7nmの範囲で平均粒子径は6nm程度であり、CdSeコア結晶と同様に粒子径のばらつきは比較的小さかった。このことは、いずれのCdSeコア結晶に対しても、均質な厚さでZnSシェルが被覆していることを示唆する。CdSeコアおよび反応物A中のナノ結晶の粒子径の比較から、ZnSシェルの厚さは、およそ0.75nm程度であった。この厚さは、ZnSの前駆体の添加量、つまり亜鉛前駆体の添加量を基に計算したZnSシェルの厚さ0.9nmにほぼ匹敵した。
なお、反応物A中のナノ粒子は単結晶からなり、CdSeコア結晶とZnSシェル結晶との間の界面は観察されなかった。これは、反応物A中のナノ結晶は、ウルツ鉱型CdSeナノ結晶の基材(コア)上にエピタキシャルに、ウルツ鉱型の結晶性ZnSで被覆された構造であるためと思われる。
前述したXRD結果において、反応物A中のナノ結晶の格子定数は、典型的なウルツ鉱型のCdSe結晶よりもわずかに小さい格子定数を有するのは、CdSeコアおよびZnSシェルの結晶がエピタキシャルに接合しているというTEM観察による知見を支持する。図1の下図に示されように、典型的なウルツ鉱型CdSe結晶(JCPDSデータファイルNo.08−0459)およびウルツ鉱型ZnS結晶(JCPDSデータファイルNo.36−1450)のXRDパターンからわかるように、CdSe結晶と比べて、ZnS結晶の格子定数のほうが小さい。そのような格子定数のミスフィットを緩和するため、ZnSシェルの結晶構造はCdSeコアの結晶構造の影響を受けて広がり、CdSeコア結晶自体もZnSシェル結晶構造の影響を受けて収縮した結果、反応物A中のナノ結晶の格子定数は、典型的なウルツ鉱型のCdSe結晶よりもわずかに小さい格子定数を有すると考えられる。
これらの結果は、本発明の方法によると、金属塩である酢酸亜鉛二水和物及び液状のヘキサメチルジシリルチアンを用い、CdSeナノ結晶上にエピタキシャルに、厚さ0.75nm程度の結晶性ZnSで被覆することができることを示す。反応温度は100℃および75℃で、トリオクチルフォスフィンおよびトリオクチルフォスフィン酸化物の引火点はそれぞれ147℃と110℃以上であるため、溶媒の引火点よりも低い反応温度を実現できた。
トリオクチルフォスフィン酸化物で保護したCdSeナノ粒子、および反応物Aの1−ブタノール溶液について、Hitachi製F−4500型の分光蛍光光度計を用いて、励起波長420nmで測定した蛍光発光スペクトルを、図3に示す。コアであるCdSeナノ粒子、および反応物AつまりCdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶の蛍光バンドの中心波長は、それぞれ560nm、585nmで、既往研究で知られているように、CdSeコア結晶上にZnSシェルで被覆することにより、蛍光発光バンドは長波長側にシフトした。また、CdSeナノ粒子、および反応物Aの蛍光バンドの半値幅は、それぞれ35nmと41nmと、比較的バンド幅は狭かった。このことは、ナノ結晶の粒子径の分布が比較的小さいことを示唆し、TEMの観察結果とも整合した。
蛍光発光強度は、反応物A中のCdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶のほうがCdSeコアよりも12.5倍強かった。CdSeコア結晶にZnS被覆することにより蛍光強度が向上することは知られているが、本発明の方法によって被覆したZnSシェルにも、同様の効果があることを確認した。
比較試験例1 光分解反応の確認試験
CdSeナノ結晶は、紫外線照射によって容易に分解することが知られている(非特許文献2参照)。紫外線照射のCdSeナノ結晶への影響について、検討を行った。以下に、その実験方法および結果を記載する。
反応温度を75℃とした以外は、参考例1に記載したCdSeコア結晶の製造方法と同じ手順で、CdSeナノ結晶を合成した。精製単離したCdSeナノ結晶に、トリオクチルフォスフィン酸化物を加えて、アルゴン雰囲気中60℃で撹拌して、CdSeコア結晶表面にトリオクチルフォスフィン酸化物を配位させ、有機溶媒への溶解性を付与した。冷却後、得られたCdSeナノ結晶を1−ブタノールに溶かした。その1−ブタノール溶液に対して、紫外線照射(中心波長:300nm付近、強度:約6mW/cm2)を1時間行った。紫外線照射によるCdSeナノ結晶の経時変化を調べるため、Hitachi製U−4100型分光光度計を用いて紫外可視吸収スペクトルを測定した。
図4(a)に、CdSeナノ結晶の紫外可視吸収スペクトルの経時変化を示す。CdSeナノ結晶のバンド間での光吸収特性において、照射開始5分後から、吸光度の著しい減少と、吸収端の短波長側へのシフトが認められた。波長400nmでの吸光度は、照射前の吸光度と比べて、5分後には約2分の1、30分後には約4分の1にまで低下した。このような著しい吸光度の減少は、CdSeナノ結晶が光分解して、CdSeの濃度が低下したことを示唆する。また、吸収端の短波長側へのシフトは、ナノ結晶の粒子径の減少を意味する。これらの結果から、紫外線照射後5分後には、CdSeナノ結晶の顕著な分解が進行していることが確認された。
試験例1 光分解反応の抑制効果確認試験
CdSeナノ結晶をZnS膜で被覆することにより、CdSeナノ結晶で認められるような紫外線照射による著しい分解反応が抑制されることが知られている(非特許文献B参照)。そこで、本手法で製造されたZnS被覆による光分解反応の抑制効果を確認するため、CdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶の1−ブタノール溶液について、紫外線を照射し、その経時変化を紫外可視吸収スペクトルから評価した。CdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶としては、上記実施例1で製造した反応物A中から単離精製したナノ結晶を用いた。なお、1−ブタノールへの溶解性を付与するために、上記試験例1と同様にして、結晶表面にトリオクチルフォスフィン酸化物を配位させたのち、1−ブタノールに溶かした。また、紫外線照射条件および経時変化を調べるための紫外可視吸収スペクトルの測定法についても、上記比較例1と同様にして実験を行った。
図4(b)に、CdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶の紫外可視吸収スペクトルの経時変化の結果を示す。CdSeナノ結晶のバンド間での光吸収特性において、照射1時間の間に、吸光度の減少と吸収端の短波長側へのシフトが認められたが、その変化の程度は、図4(a)のCdSeナノ結晶のスペクトルで認められたような劇的な変化ではなかった。照射1時間経過後にも、CdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶のバンド間吸収に対応する光吸収スペクトルが認められ、波長430nmでの吸光度は、照射前の吸光度と比べて2割程度しか減少しなかった。また、吸収端の短波長側へのシフト幅も、図4(a)のCdSeナノ結晶のスペクトルのシフト幅よりも小さい。これらの結果は、本発明の方法で製造されたZnS被覆にもナノ結晶の光分解反応の抑制効果があることを示す。また、ZnSは、CdSeナノ結晶の表面全体を被覆し保護していると推察される。
実施例2
酢酸亜鉛二水和物(金属化合物)及びヘキサメチルジシリルチアン(液状6B元素化合物)の添加量を変えて、実施例1と同様の方法で、上記参考例2で得られたCdSeナノ結晶上にZnS被膜の形成を行った。具体的な製造方法を以下に示す。
上記参考例2で得られたCdSeナノ結晶(基材;コア)、酢酸亜鉛二水和物(金属化合物)、ヘキサメチルジシリルチアン(液状6B元素化合物)、トリオクチルフォスフィン(溶媒)及びトリオクチルフォスフィン酸化物(溶媒)を用いて、ZnS被膜が被覆されてなるCdSeナノ粒子を製造した。但し、CdSeナノ結晶に対する金属化合物及び液状6B元素化合物の添加量を変えて、ZnS被膜の膜厚0.75nm及び1.2nm相当量になるように条件設定した。なお、この膜厚の値は、液状6B元素化合物は金属化合物に対して過剰量を加えているため、金属化合物の添加量を基に計算した。
まず、膜厚0.75nmのZnS被膜を形成するように条件設定された合成方法について記載する。CdSeナノ結晶(0.100g)、酢酸亜鉛二水和物(0.220g、1.0mmol)、およびトリオクチルフォスフィン酸化物(1.77g)をフラスコに入れアルゴンガス置換を行った後、100℃で10分間以上撹拌して、CdSeナノ結晶の凝集した塊がないことを目視にて確認した。但し、酢酸亜鉛二水和物は溶けずに粉末体のままであった。CdSeナノ結晶が十分に分散した反応液中に、ヘキサメチルジシリルチアン(0.2ml、1.05mmol)をトリオクチルフォスフィン(6.8ml)に溶かした溶液を10分間かけて滴下した。滴下後、100℃で5時間撹拌を続けた後、反応物Bを得た。
膜厚1.2nmのZnS被膜を形成するように条件設定した場合には、CdSeナノ結晶(0.118g)に対して、酢酸亜鉛二水和物を0.518g(2.36mmol)、ヘキサメチルジシリルチアンを0.5ml(2.48mmol)を用いた。溶媒として、トリオクチルフォスフィン酸化物を3.46g、トリオクチルフォスフィンを13.3ml加えた。応条件や操作方法は、膜厚が0.75nmに条件設定した場合と同様にして行い、反応物Cを得た。
反応物Bおよび反応物C中のナノ結晶の粒子径を、TEM観察して求めた結果、それぞれ平均粒子径が5.6nm、6.5nmであった。これは、得られたZnS被膜の膜厚が、それぞれ0.6nm、1.05nmであることを示唆し、金属化合物及び液状6B元素化合物の添加量から見積もられた膜厚の値(それぞれ0.75nm、1.2nm)にほぼ対応する。
この結果は、反応開始前には添加した金属化合物のうち大部分は、反応系中には溶解しないで固体のまま分散した状態で存在していたが、反応過程の進行に伴い、金属化合物から金属イオンが反応系中に溶解して無機被膜を形成し、最終的には、ほぼ全量の金属化合物が無機被膜として形成したことを示唆する。このため、金属化合物、及び液状5B族元素化合物又は6B族元素化合物の添加量を変えることによって、所望の膜厚の無機被膜を得ることが可能である。
実施例3
上記参考例1で得られたCdSeナノ結晶を基材として使用して、以下の方法に従って、CdSe/ZnS コア/シェルナノ結晶を製造した。
トリオクチルフォスフィン酸化物(3.5g)で保護されたCdSeナノ結晶(0.225g)と、酸化亜鉛(0.228g、2.8mmol)をフラスコに入れアルゴンガス置換を行った後、150℃で少なくとも10分間撹拌して、CdSeナノ粒子が凝集した塊がないことを目視にて確認した。但し、酸化亜鉛は溶けずに粉末体のままであった。CdSeナノ粒子が十分に分散した反応液中に、ヘキサメチルジシリルチアン(0.6ml、4.0mmol)をトリオクチルフォスフィン(3.0ml)に溶かした溶液を10分間かけて滴下した。滴下後、150℃で5時間撹拌を続けて反応を終了して、反応物Xを得た。
得られた反応物X中に含まれるナノ粒子の構造について、実施例1と同じようにして、XRDおよびTEM観察により調べた。XRD測定を行った結果、反応物X中のナノ粒子は、図1に示された反応物A中のナノ粒子と同様なXRDパターンを示し、反応物X中のナノ粒子も、ウルツ鉱型の結晶からなり、その結晶格子定数は典型的なウルツ鉱型CdSe結晶よりもわずかに小さいことがわかった。TEM観察結果から、反応物X中のナノ粒子は、CdSeナノ結晶と同様に丸い形をした単結晶からなり、粒子径は5〜7nmの範囲で、平均粒子径は5.8nmであった。これらの結果は、亜鉛および液体の硫黄前駆体としてそれぞれ酸化亜鉛およびヘキサメチルジシリルチアンを用いて、不均一反応系で反応させて、ZnS被膜を製造できることを示す。
実施例1で得られた反応物A中のCdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶のXRDパターンを示す図である。 (a)は、参考例1で得られたCdCeナノ結晶の電子顕微鏡写真図を示し、(b)は、実施例1で得られた反応物A中のCdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶の電子顕微鏡写真図を示す。なお、写真中のバーの長さは5nmを示す。 参考例1で得られたCdCeナノ結晶、及び実施例1で得られた反応物A中のCdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶について、励起波長420nmで測定した蛍光発光スペクトル示す図である。 (a)は参考例1で得られたCdSeナノ結晶の紫外可視吸収スペクトルの経時変化の結果(比較試験例1)を示し、(b)は実施例1で得られたCdSe/ZnS コア−シェルナノ結晶の紫外可視吸収スペクトルの経時変化の結果(試験例1)を示す図である。

Claims (10)

  1. 金属元素、及び6B族元素からなる無機被膜により被覆された基材を製造する方法であって、(i)基材、(ii)前記金属元素源である金属化合物、及び(iii)液状の6B族元素化合物を配位性溶媒に混合し、不均一反応系で反応させることを特徴とし、
    前記基材が2B族元素と6B族元素からなる化合物であって、
    前記金属元素が2B族元素であり、
    前記配位性溶媒が基材に配位して個々の基材の分散性を向上させる性質を有するものである、
    無機被覆基材の製造方法。
  2. 無機被膜の膜厚が0.2〜100nmである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記金属元素が、Cd、Zn、及びHgからなる群より選ばれた少なくとも1種であり、6B族元素がS、Se及びTeからなる群から選ばれた少なくとも1種類である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記金属元素がZnであり、前記6B族元素がSである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 金属化合物が、金属塩もしくは金属酸化物である、請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 反応温度が150℃以下である、請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記配位性溶媒が、(R) 3 PO(Rは同一又は異なってC 2 〜C 20 のアルキル基またはフェニル基を示す)で表されるホスフィンオキサイド化合物である、請求項1乃至6に記載の製造方法。
  8. 基材が、平均粒子径が0.2〜100nmのナノ粒子である、請求項1乃至7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 基材及び無機被膜が結晶構造を有し、無機被膜の結晶構造が基材の結晶構造に対してエピタキシャルである、請求項1乃至8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 基材として発光性ナノ粒子を用いて、発光を示す無機被覆ナノ粒子を製造する方法である、請求項1乃至9のいずれかに記載の製造方法。
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