JP4564149B2 - 浮遊物回収装置の水噴射式浮遊物掻き寄せ装置 - Google Patents

浮遊物回収装置の水噴射式浮遊物掻き寄せ装置 Download PDF

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  • Removal Of Floating Material (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海や河川や湖などに流出した油などを回収する浮遊物回収機、より詳しくは、浮遊物回収機に設けられている吸引ホッパーの周りに流出油などを積極的に掻き集めるようにした浮遊物回収装置の水噴射式浮遊物掻き寄せ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の吸引式油回収機は、海などに流出した油がエマルジョン化して高粘度油になった場合、油が途切れてしまうために、装置の能力を充分に発揮することができなかった。すなわち、従来の吸引式油回収機は、受動的であり、近寄ってくる油のみを回収していたため、高粘度で流動性の乏しい油を回収することができなかった。
【0003】
一方、機械式、すなわち、回転レーキ式などの機械式の油掻き寄せ装置は、流出油にロープなどの紐状のゴミが混じっていると、紐状のゴミが羽根車に絡みついたり、あるいは羽根車間に詰まったりすることがあるため、作業を中断して羽根車に絡みついた紐状のゴミなどを除去しなければならなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、原油などの流出事故が少なくないが、流出した油がエマルジョン化した場合、従来の油回収機では対応できないため、油回収装置の性能向上が課題となっている。
【0005】
本発明は、係る要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ノズルから噴射した噴射水を利用して吸引ホッパーの周りに流出油などの浮遊物を積極的に掻き集める一方、紐などのゴミが絡みつくことがない水噴射式浮遊物掻き寄せ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、吸引ホッパーを所定の水深に位置するように設け、かつ、前記吸引ホッパーの周りに多数のノズルを配し、該ノズルから噴射させた水の噴射力を利用して吸引ホッパー周辺の浮遊物を前記吸引ホッパーに向かって積極的に移動させ、更に、前記ノズルはノズルの入射角度θおよび吸引ホッパーの堰部から噴射水の着水部までの距離L1が重要であり、前記ノズルの入射角度θを10〜30度とする浮遊物回収装置の水噴射式浮遊物掻き寄せ装置において、前記吸引ホッパーの堰部から噴射水の着水部までの距離L1を150〜450mmの範囲内とすることを特徴としている。
【0007】
上記のように、吸引ホッパーの周りに多数のノズルを配し、該ノズルから噴射させた水の噴射力を利用して吸引ホッパー周辺の浮遊物を前記吸引ホッパーに向かって積極的に移動させることにより、高粘度のために移動しがたい油でも周辺から掻き集めることができるため、浮遊物回収装置が持っている本来の能力を充分に発揮させることができる。
【0008】
低粘度油を回収する場合には、水の噴射条件は、さほど厳しくないが、10万センチポワーズ以上の高粘度油になると、水の噴射条件によっては油膜に穴を開けるだけであったり、油膜の表面を局部的にちぎり取るだけで油塊として移動させる動力にはならない。
【0009】
従って、高粘度の油層を大きな塊として移動させる効果が最も良く得られる水噴射の最適条件を設定する必要がある。
【0010】
この水噴射の最適条件としては、ノズルの入射角度θを10〜30度、より好ましくは10〜20度とすることが望ましい。ノズルの入射角度θが10度未満の場合は、ノズルから噴射した水が油膜の表面で反射したり、あるいは、油膜の表面を局部的にちぎり取るだけで油塊を移動させる動力を発揮できない。一方、ノズルの入射角度θが30度を超える場合は、油膜に穴を開けるだけで油塊を移動させる動力を発揮できない。なお、ノズルの入射角度θが20〜30度の場合は、効率は落ちるが、穴が開かない。
【0011】
また、吸引ホッパーの堰部から噴射水の着水部までの距離L1を150〜450mm、より好ましくは200〜400mmとすることが望ましい。この距離L1が150mm未満の場合は、吸引ホッパーに極めて近いところにある油塊しか掻き集めることができない。一方、上記の距離L1が450mmを超える場合は、吸引ホッパーから離れ過ぎるため、油塊を吸引ホッパーまで移動させることが難しい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0014】
図1は水噴射式の浮遊物掻き寄せ装置を装備した浮遊物回収機の平面図、図2は同装置を装備した浮遊物回収機の側面図である。
【0015】
図1および図2に示すように、浮遊物回収機10は、浮体11と、吸引ホッパー4および浮遊物移送ポンプ3から構成されている。
【0016】
上記浮体11は、中空円柱形の3個のフロート1を三角形(平面視)の上下一対のフレーム2の先端部で狭持した構造になっている。この浮体11に吸引ホッパー4および浮遊物移送ポンプ3が取り付けられている。
【0017】
図2に示すように、横形の浮遊物移送ポンプ3の吸引口12に接続されている有底円筒形の吸引ホッパー4は、海面Wから所定の水深に位置するように保持されている。低粘度油の場合、油は表層部から吸引ホッパー4に自然流入するが、高粘度油になると、油の横方向の移動速度が非常に小さくなるため、油切れが生じ、水のみが流入することになる。
【0018】
上記浮遊物移送ポンプ3は、その最先端部に設けたジェットノズル8から高圧水を噴射して吸引ホッパー4に流入する油を図示しない油水分離装置に移送するようになっている。
【0019】
本発明は、図1に示すように、吸引ホッパー4を包囲するように配置した水噴射ノズル群を持ち、各ノズル6は、吸引ホッパー4の中心に向けられている。各ノズル6は、フレーム2に取り付けた環状のヘッダー管5に装着されている。このヘッダー管5には、給水管7が取り付けられている。図2に示すように、ヘッダー管5および各ノズル6は、海面Wより上方に位置するようにフレーム2に取り付けられている。
【0020】
ノズルに供給する給水圧力は、3〜4 kgf/cm2 以上あればよいが、重要な条件は、ノズル6から噴射される噴射水aの形状、油面bとなす角度θ、および吸引ホッパー4の堰部9から着水部cまでの距離L1である。
【0021】
ノズル6から噴射される噴射水の形状は、いろいろなパターンがあるが、フラットタイプとし、その上、図3に示すように、噴射水aが扇形になるものが望ましい。また、図5に示すように、隣接する噴射水aの先端が互いに20%程度重なるようにするようにノズル間隔を設定する。
【0022】
また、ノズル6の入射角度θ、換言すれば、噴射水aが油面bとなす角度θは、約15度とする。しかし、ノズルの入射角度θは、10〜30の範囲内であれば、操業上の問題がない。
【0023】
また、吸引ホッパー4の堰部9と着水部cとの距離L1は、約300mmとする。しかし、この距離L1は、150〜450mmの範囲内であれば、操業上、問題がない。
【0024】
更に広い範囲から油を集めるときは、同心円状にノズル群60を多段に配置することができる。この場合の段間の距離L2は、500〜600mmの範囲が望ましい。
【0025】
図7に示すように、吸引ホッパー4の周りに設けた多数のノズル6から高圧水を所定の角度θで噴射すると、その噴射力によって吸引ホッパー周辺の高粘度油Oやゴミなどの浮遊物が吸引ホッパー4に向かって移動し、吸引ホッパー4に切れ目なく吸引される。
【0026】
従って、浮遊物回収装置が持っている本来の能力を充分に発揮することができる。しかも、本装置は、海面Wより上方に設置されているため、流出油と一緒に浮遊している紐などが絡む恐れがない。従って、故障も少なく、長時間にわたって連続運転が可能である。
【0027】
【発明の効果】
上記のように、本発明は、上記のように、吸引ホッパーの周りに多数のノズルを配し、該ノズルから噴射させた水の噴射力を利用して吸引ホッパー周辺の流出油などの浮遊物を前記吸引ホッパーに向かって積極的に移動させるので、高粘度の油なども周辺部から掻き集めることができるため、浮遊物回収装置が持っている本来の能力を充分に発揮させることができる。
【0028】
また、本装置は、水面より上方に設置されているため、紐などが絡む恐れがない。従って、故障も少なく、長時間にわたって連続運転が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水噴射式浮遊物掻き寄せ装置を備えた浮遊物回収機の平面図である。
【図2】同装置を装備した浮遊物回収機の側面図である。
【図3】噴射水の形状説明図である。
【図4】入射角度およびホッパー堰部と着水部間の距離の説明図である。
【図5】噴射水の重複度説明図である。
【図6】ノズルの多段配置説明図である。
【図7】本発明に係る水噴射式浮遊物掻き寄せ装置の作動説明図である。
【符号の説明】
4 吸引ホッパー
6 ノズル
11 浮体
10 浮遊物回収装置
a ノズルから噴射させた水
O 高粘度油

Claims (1)

  1. 吸引ホッパーを所定の水深に位置するように設け、かつ、前記吸引ホッパーの周りに多数のノズルを配し、該ノズルから噴射させた水の噴射力を利用して吸引ホッパー周辺の浮遊物を前記吸引ホッパーに向かって積極的に移動させ、更に、前記ノズルはノズルの入射角度θおよび吸引ホッパーの堰部から噴射水の着水部までの距離L1が重要であり、前記ノズルの入射角度θを10〜30度とする浮遊物回収装置の水噴射式浮遊物掻き寄せ装置において、前記吸引ホッパーの堰部から噴射水の着水部までの距離L1を150〜450mmの範囲内とすることを特徴とする浮遊物回収装置の水噴射式浮遊物掻き寄せ装置。
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