JP4563719B2 - 力増幅器を有するマシンスピンドル - Google Patents

Description

本発明は、クランプ部材を有するマシンスピンドルに含まれており、かつクランプ部材に接続された引張棒を備え、かつ複数の組の協働する楔部材を備えている、力増幅器に関する。

クランプ部材とカップ状のばね又はガススプリングとを有するマシンスピンドルに内蔵されている、いわゆるブースタなどの力増幅器が、以前より公知であり、この力増幅器は、一つ以上の引張棒を介してクランプ部材に軸線方向の力をかける。力増幅器は、クランプ部材の作動と関連して引張棒が行う軸線方向の移動の最後の段階中において軸線方向の力を増加させる。公知の力増幅器は、複数の組の協働する楔部材を備え、軸線方向の力の伝動装置を提供する。公知の伝動機構の問題は、協働する楔部材の協働面のみが互いに線接触又は点接触するということである。これは、丸みを帯びたリングのセグメントから通常作られる楔部材に依存している。数組の楔部材は四つであることが一般的であり、これ多元的決定となり、これにより、全ての組の楔部材は、等しい大きさで力増幅機能に寄与しない。さらなる問題は、協働する楔部材の配置は、比較的に大きな空間を占めており、それにより、マシンスピンドルの直径が比較的に大きくなる。

本発明の主な目的は、一組の楔部材に含まれている楔部材が摩擦及び磨耗を減じるように相互に協働する、導入部分に記載された種類の力増幅器を提供することである。

本発明の別の目的は、力増幅器の全ての組の楔部材が、等しい大きさで力増幅機能に寄与するということである。

本発明の目的は、力増幅器についての半径方向の空間的要求を減じ、マシンスピンドルの直径を小さくし、マシンスピンドルの回転速度を速くしうることである。

本発明の少なくとも主な目的は、独立した請求項１に記載した特徴を有するクランプ機構によって実現される。本発明の好適な実施例は、独立請求項に記載されている。

以下において、従来技術の例と本発明の実施例を、添付図面を参照して記載する。

図１に示すマシンスピンドルは、その長手中心軸線Ｃ−Ｃに関して回転対称であるケーシングＢを備えている。ケーシングＢは、内部貫通通路Ｄを有している。通路Ｄは、円筒断面を有し、中心軸線Ｃ−Ｃに関して対称である、すなわち、中心軸線Ｃ−Ｃは、さらに、通路Ｄの中心軸線も構成しており、通路Ｄは、マシンスピンドルに含まれている異なる構成要素を組み立てることができるように、その長手軸線さに沿って様々な断面を有している。マシンスピンドルに含まれているクランプ機構は、ガススプリングＥと力増幅器Ｆとクランプ部材Ｇとで構成されており、かつ通路Ｄ内に配置されている。力増幅器ＦはガススプリングＥとクランプ部材Ｇの間に配置されている。図１に見られるように、ガススプリングＥの第一引張棒Ｈと力増幅器Ｆの第二引張棒Ｉは、ねじジョイントＪによって相互接続されており、それゆえ、ねじジョイントＪは、ガススプリングＥと力増幅器Ｆとの間に位置決めされている。

図２に示すマシンスピンドルは、その長手中心軸線Ｃ−Ｃに関して回転対称であるケーシング１を備えている。ケーシング１は、内部貫通通路３を有している。通路３は、ほぼ円筒の断面を有し、中心軸線Ｃ−Ｃに関して対称である、すなわち、中心軸線Ｃ−Ｃは、さらに、通路３の中心軸線も構成しており、この通路３は、マシンスピンドルに含まれている異なる構成要素を組み立てることができるように、その長手軸線に沿って様々な断面を有している。マシンスピンドルに含まれているクランプ機構は、ガススプリング５と力増幅器７とクランプ部材９とで構成されており、かつ通路３内に配置されている。力増幅器７はガススプリング５とクランプ部材９の間に配置されている。

ガススプリング５は、図２におけるガススプリング５の左端部において、一端部８を有するハウジング６を備えている。

図２において見られるように、一体に作られている第一引張棒１０は、ガススプリング５の右端部から力増幅器の領域まで延びている。なお、図２における第一引張棒１０の左端部は、第二引張棒１１の軸線方向に延びている凹所４内で受容されている。第一引張棒１０は、第二引張棒１１に関して、制限された距離だけ長手方向に移動しうる。第一引張棒１０の左端部と第二引張棒１１の凹所との間において配置されているばね１２は、前記移動を減衰させる。第一引張棒１０が図２における左側へ移動させられる時、第一引張棒１０のフランジ部１７が第二引張棒１１と接触するようになる前に、ばね１２は、左側へ第二引張棒１１を押す。図２における左端部において、第二引張棒１１は雄ねじ部１３を有し、この雄ねじ部１３は、クランプ部材９の作動手段１５の雌ねじ部１４と協働する。したがって、雄ねじ部１３及び雌ねじ部１４は第一ねじジョイントを形成する。第二引張棒１１は、力増幅器７に含まれており、第二引張棒１１及び作動手段１５は、ケーシング１の通路３内で軸線方向に移動することができる。

クランプ部材９は、複数のセグメント１６をさらに備え、これらセグメント１６は、工具の組付け又は取り外しの最初の段階において、長手方向において、ケーシング１に関して静止している。作動手段１５が通路３内で軸線方向に移動させられる時、これらセグメント１６は作動手段１５によって作動させられ、これらセグメント１６の自由端部が半径方向及び軸線方向に移動し、例えばコロマントカプト（登録商標）などの工具カップリングのクランプを行っている。それゆえ、これは、従来技術であるので、詳細に記載しない。

図２において見られうるように、第一引張棒１０には、ガススプリング５と力増幅器７との間にある第一引張棒１０の領域において、フランジ部１７が設けられている。図２に示すマシンスピンドルの位置において、フランジ部１７は、ガススプリング５の左端部に当接するようになっている。図２におけるガススプリング５の左端部を通る通路において、第一引張棒１０は従来の方法でシールされている。

図２におけるガススプリング５の右端部の領域において、第一引張棒１０には雄ねじ部１８が設けられており、この雄ねじ部１８は、ガススプリング５に含まれているピストン２０の雌ねじ部１９と協働し、このピストン２０は、ガススプリング５のハウジング６に関して移動しうる。なお、ピストン２０は、従来の方法でハウジング６に対してシールされている。ハウジング６及びピストン２０は、その内部において通常窒素ガスなどの気体状媒体が収納されている、ガススプリング５の内部空間２１を形成している。気体状媒体は、大気圧よりも高い圧力を有している。

図１及び２のマシンスピンドルを比較検討すると、図２のマシンスピンドルは、図１の公知のマシンスピンドルよりも長さが短いということがわかる。これは、第一引張棒Ｈの部分及び引張棒１０の部分の間の、ねじジョイントＪ、１８／１９それぞれは、マシンスピンドル内において異なる位置を有するということによって実現される。それにより、第一引張棒１０の長さは、第一引張棒Ｈの長さと比べて短縮させられる。ピストン２０に配置されているねじジョイント１８／１９は、第一引張棒１０のこの部分を延長させる必要なく、配置されていたが、ねじジョイント１８／１９の配置に関して直径の微小に増加してしまう。しかしながら、直径の増加は実際には重要でない。

本発明のマシンスピンドルは、力増幅器７をさらに備えている。この力増幅器７は、図３〜７を参照して以下においてより詳細に説明されるであろう。

力増幅器７は、ガススプリング５のハウジング６の外部において位置決めされている第一引張棒１０の一部分と、第二引張棒１１とを備えている。それゆえ、それらは、ケーシング１の通路３内で軸線方向に移動することができる。力増幅器７は、多数の組の協働する楔部材をさらに備えている。この力増幅器７は、内部通路３の周縁に沿って均等に分布している三つの上記の組を備えている。

力増幅器７の各組の協働する楔部材は、第一楔部材２２と第二楔部材２３とを備えている。これら楔部材２２、２３は、第一引張棒１０の付随の皿穴２４内に配置されている。それにより、各組の楔部材２２、２３のための半径方向の空間に関する要求が減じられる。

図４において、楔部材２２、２３は別個に示されている。第一楔部材２２は第一摺動面３１と第二摺動面３２と第三摺動面３３と第四摺動面３４とを有する。第四摺動面３４は、図４において紙面内に位置する。全ての摺動面は好ましくは平坦である。隣接する摺動面の間の相互の角度は、好ましくは鈍い。第二楔部材２３は、第五摺動面３５及び第六摺動面３６を有する。二つの摺動面３５、３６は好ましくは平坦である。摺動面３５、３６の間の相互の角度は、好ましくは鈍い。第二楔部材２３は、第一支持面４１と第二支持面４２とをさらに有し、本実施例において示されている第一支持面４１と第二支持面４２は、互いに直角な範囲を有している。第二楔部材２３は、切欠部４４を有する側面４３をさらに有し、側面４３は、一般に、第五及び第六の摺動面３５、３６を横断している範囲を有している。好ましくは、楔部材２２、２３の摺動面及び側面は、減摩被覆を有している。

力増幅器７に含まれている第二引張棒１１には、半径方向の溝部５０が複数設けられている。図７を参照すると、溝部５０の数は、楔部材の組の数に対応しており、すなわち、一組の楔部材２２、２３は、各溝部５０内に受容されている。図７において見られるように、溝部５０は、第二引張棒１１の長手方向においてほぼ延長した形状を有し、溝部５０は、第二引張棒１１の軸線方向において一端部に向けて広がっており、溝部５０のこの端部と協働する第一楔部材２２は、対応形状を有している。皿穴２４には、さらに、一側壁において、隆起部５１が設けられており、隆起部５１は、第二楔部材２３の切欠き部４４と協働することが意図されている。さらに、溝部５０は、広げられた端部の領域において、マシンスピンドルの中心軸線Ｃ−Ｃを横断する範囲を一般に有している第八摺動面５８を有する。

力増幅器７において、アンビル５５がスリーブの形態で含まれており、このアンビル５５は、内部通路３内に配置されており、アンビル５５は、内部通路３内で肩部５６に対して当接している。肩部５６から離れた端部において、アンビル５５は、第一楔部材２２の第一摺動面３１と協働することが意図された、傾斜した第七摺動面５７を有している。第一の平坦な摺動面３１及び第七の平坦な摺動面５７は、マシンスピンドルの中心軸線Ｃ−Ｃに関して約４５°の傾斜を有する。アンビル５５は、内部通路３内に静止して取り付けられており、すなわち、アンビル５５は、肩部５６に対して永久に当接している。

前述の力増幅器７は、以下のように作用する。図３において、力増幅器７は、開始位置において示されており、第二引張棒１１は、その自由端部が第一引張棒１０のフランジ部１７に対して当接している。それゆえ、この位置において、第一引張棒１０は、図３における左側に向けて最大限に移動させられる。この第一引張棒１０は、図２を参照して第一引張棒１０の右端部に対して押圧されている外部の流体ピストン（図示せず）などによって作用させられる。第二引張棒１１の左に向けた移動が、ガススプリング５内に収納された圧力媒体の作用に抗して行われる。なお、セグメント１６は、半径方向において最も内側の位置にあり、所望の工具をクランプ部材９に取り付けることができる。外部の流体ピストンが、取り外され、又は、第一引張棒１０を図３において右に向けて移動させることができ、図５において示す移行段階が開始される。なお、第二引張棒１１と第一引張棒１０のフランジ部１７の直接的な当接がなくなる。第一引張棒１０の図５における右に向けた移動により、第一楔部材２２の第二の平坦な摺動面３２が第二楔部材２３の第五の平坦な摺動面３５に関する相互移動が引き起こされる。第一楔部材２２の第二の平坦な摺動面３２と第二楔部材２３の第五の平坦な摺動面３５は、マシンスピンドルの中心軸線に関して約６５°の傾斜を有する。なお、第一楔部材２２は、半径外方向に移動し、これにより、第一楔部材２２の第四の平坦な摺動面３４が、第二引張棒１１内の溝部５０の第八の平坦な摺動面５８に関して移動させられると同時に、第一楔部材２２の第五の平坦な摺動面３１がアンビル５５の第七の平坦な摺動面５７に沿って移動させられる。アンビル５５が静止しているので、第一楔部材２２の半径外方向の移動により、一定の軸線方向の移動が、第二引張棒１１の図５における右側に向けて起こる。

第一楔部材２２と第二楔部材２３の間の継続した相対移動により、第二の平坦な摺動面３２と第五の平坦な摺動面３５面の間の協働がなくなり、図６を参照して、第一楔部材２２の第三の平坦な摺動面３３が、第二楔部材２３の第六の平坦な摺動面３６と協働するようになる。それにより、力増幅段階が開始される。第三摺動面３３及び第六摺動面３６は、第二摺動面３２及び第五摺動面３５よりも、マシンスピンドルの中心軸線Ｃ−Ｃに関してかなり小さな傾斜を有するので、第三摺動面３３と第六摺動面３６の間の相対移動は、第二摺動面３２と第五摺動面３５の間の前述の相対移動と比べて、第一引張棒１０の対応の軸線方向の移動時において、第楔部材２２の半径外方向への移動が小さい。これは、第二摺動面３２と第五摺動面３５の間の協働から第三摺動面３３と第六摺動面３６の間の協働へ移行する時、第二引張棒１１にかけられた軸線方向の力に関して、力増幅を生じる伝動を行う。第三摺動面３３と第六摺動面３６の間で協働する時、対応して、力を第二引張棒１１へ移行し、すなわち、第一楔部材２２の第一摺動面３１は、アンビル５５の第七摺動面５７と協働し、第一楔部材２２の第四摺動面３４は、軸線方向の力を第二引張棒１１の第八摺動面５８へ移行させる。

一般に、協働する楔部材２２、２３の、相互に協働する摺動面３２及び３５、３３及び３６それぞれは、互いに平行であり、それにより、満足な面接触が保証される。また、第一楔部材２２の第一摺動面３１は、アンビル５５の第七摺動面５７と平行である。

図７を検討すると、溝部５０の広げられた部分と第一楔部材２２の円錐の協働形状により、楔部材２２は、第二引張棒１１に関して軸線方向でなくて半径方向のみに移動させられうるということがわかる。第二楔部材２３に関しては、前述のように、第二楔部材２３には、第二楔部材２３の取り付けられた位置において皿穴２４の隆起部５１と協働する、切欠き部４４が設けられている。それにより、第一引張棒１０が図６の位置から図３の位置へ移動する時、第二楔部材２３が第一引張棒１０に追従するということが保証されている。

本発明の実施可能な修正
前述の実施例において、第一引張棒１０とピストン２０は、ねじジョイントによって接続されている。しかしながら、本発明の範囲内において、第一引張棒１０とピストン２０を取り外し可能に接続する別の方法も考えられる。例示目的であって制限しない目的で、差込みカップリングが挙げられる。この差込みカップリングは、例えばいくつかのタイプの締め付けねじによって接続位置に固定されている。

ねじジョイントはピストン２０に関して位置決めされる必要なく、ねじジョイントは、空間が許す限り、例えば、第一引張棒１０の中間領域に位置決めされうる。

従来技術のマシンスピンドルと、マシンスピンドルに含まれている従来技術の力増幅器とを示している。 本発明の力増幅器を有しかつ新規に展開されたガススプリングを備えている、マシンスピンドルを示している。 開始位置における力増幅器の本質的な構成要素を詳細に示している。 力増幅器に含まれている２つの楔部材を別個に示している。 中間位置における力増幅器の本質的な構成要素を詳細に示している。 力を上昇させる位置において、力増幅器の本質的な構成要素を詳細に示している。 力増幅器に含まれている引張棒の詳細を示している。

符号の説明

Ｂ…ケーシング
Ｄ…通路
Ｅ…ガススプリング
Ｆ…力増幅器
Ｇ…クランプ部材
Ｈ…第一引張棒
Ｉ…第二引張棒
Ｊ…ねじジョイント
Ｋ…ハウジング
Ｌ…係止部材
１…ケーシング
３…貫通通路
５…ガススプリング
７…力増幅器
８…端部
９…クランプ部材
１０…第一引張棒
１１…第二引張棒
１２…ばね
１３…雄ねじ部
１４…雌ねじ部
１５…作動手段
１６…セグメント
１７…フランジ部
１８…雄ねじ部
１９…雌ねじ部
２０…ピストン
２１…内部空間
２２…第一楔部材
２３…第二楔部材
２４…皿穴
３１…第一摺動面
３２…第二摺動面
３３…第三摺動面
３４…第四摺動面
３５…第五摺動面
３６…第六摺動面
４１…第一支持面
４２…第二支持面
４３…側面
４４…切欠き部
５０…半径方向溝部
５１…隆起部
５５…アンビル
５６…肩部
５７…第七摺動面
５８…第八摺動面

Claims (5)

1. 力増幅器を有するマシンスピンドルであって、
   前記マシンスピンドルは、クランプ部材（９）を有し、前記力増幅器は、２つの引張棒（１０、１１）の一部分を備え、前記引張棒の一方（１１）は、前記クランプ部材（９）に接続されており、かつ複数の組の協働する楔部材（２２、２３）を備え、前記協働する楔部材（２２、２３）の相互に協働する摺動面（３２及び３５、３３及び３６）は、平坦でありかつ互いに平行であり、前記楔部材の一方（２２）のさらなる摺動面（３１、３４）は平坦であり、前記さらなる摺動面の一方（３１）は、前記力増幅器に含まれているアンビル（５５）の摺動面（５７）と協働し、前記さらなる摺動面の中の第二の摺動面（３４）は、前記第二引張棒（１１）の半径方向溝部（５０）の摺動面（５８）と協働し、一組に含まれる前記楔部材（２２、２３）は、前記第一引張棒（１０）に付随した皿穴（２４）内に配置されている、力増幅器を有するマシンスピンドルにおいて、
   前記皿穴（２４）には、前記第二楔部材（２３）の切欠き部（４４）と協働することが意図されている隆起部（５１）が設けられていることを特徴とする力増幅器を有するマシンスピンドル。
2. 前記摺動面には、減摩被覆が設けられていることを特徴とする請求項１に記載のマシンスピンドル。
3. 前記協働する楔部材の組の数は三つであることを特徴とする請求項１又は２に記載のマシンスピンドル。
4. 前記楔部材（２２、２３）の隣接する摺動面（３１及び３２、３２及び３３、３５及び３６）の間の相互の角度は、鈍いことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載のマシンスピンドル。
5. 前記第二引張棒には、各組の楔部材（２２、２３）のための、半径方向に延びている溝部（５０）が設けられており、前記溝部（５０）は、その一端部の領域において、前記第二引張棒（１１）の軸線方向において広がっており、前記楔部材の一方（２２）は、前記溝部の広がりの相補的な形状を有し、それにより、前記楔部材（２２）は、前記溝部（５０）内で半径方向のみに移動しうることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載のマシンスピンドル。

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