<<第1実施形態>>
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の空気調和機の室内機1を示す斜視図である。空気調和機の室内機1は、キャビネット2により本体部が保持されており、キャビネット2には上面側と前面側に吸込口4が設けられたフロントパネル3が着脱自在に取り付けられている。キャビネット2は後方側面に爪部(不図示)が設けられ、室内の側壁W1(図2参照)に取り付けられた取付板(不図示)に該爪部を係合して支持される。
フロントパネル3の前面下部には空気を送出する吹出口5が設けられている。吹出口5は水平方向に延びた矩形に形成されている。吹出口5には上下に並設される横ルーバ113a、113bが設けられる。横ルーバ113aは吹出口5の上部を塞ぐ位置に配される。横ルーバ113bは吹出口5の下部を塞ぐ位置に配される。
図2は室内機1の側面断面図を示している。室内機1の内部には、吸込口4から吹出口5に連通する送風経路6が形成されている。送風経路6内には空気を送出する送風ファン7が配されている。送風ファン7として、例えば、クロスフローファン等を用いることができる。送風経路6は前方へ行くほど下方に向かって傾斜し、送風ファン7により送出される空気を前方下方に案内する前方案内部6aを有している。また、送風経路6の上壁は前方案内部6aの終端から前方へ行くほど上方に傾斜した傾斜面になっている。
前方案内部6aには複数の縦ルーバ12a(図3参照)、12bが設けられている。図3は縦ルーバ12a、12bの上面図を示している。左側に配される複数の縦ルーバ12a(第1左右風向変更部)はそれぞれ前方案内部6aの底面に略垂直な支軸12dにより中央部を軸支され、後部が連結部材12cにより連結されている。これにより、複数の縦ルーバ12aは連動して回動し、吹出口5の左側の左側吹出口5a(図1参照)から送出される気流の左右方向の風向を可変する。
同様に、右側に配される複数の縦ルーバ12b(第2左右風向変更部)はそれぞれ前方案内部6aに略垂直な支軸12fにより中央部を軸支され、後部が連結部材12eにより連結されている。これにより、複数の縦ルーバ12bは連動して回動し、吹出口5の右側の右側吹出口5b(図1参照)から送出される気流の左右方向の風向を可変する。
図2において、フロントパネル3に対向する位置には、吸込口4から吸い込まれた空気に含まれる塵埃を捕集・除去するエアフィルタ8が設けられている。送風経路6中の送風ファン7とエアフィルタ8との間には、室内熱交換器9が配置されている。室内熱交換器9は屋外に配される室外機に設けられた圧縮機(不図示)に接続されており、圧縮機の駆動により冷凍サイクルが運転される。
冷凍サイクルの運転によって冷房運転時には室内熱交換器9が周囲温度よりも低温に冷却される。また、暖房運転時には、室内熱交換器9が周囲温度よりも高温に加熱される。尚、室内熱交換器9とエアフィルタ8との間には吸込口4から吸い込まれた空気の温度を検知する温度センサ61が設けられ、室内機1の側部には空気調和機の駆動を制御する制御部(不図示)が設けられている。室内熱交換機9の前後の下部には冷房または除湿時に室内熱交換器9から落下した結露を補集するドレンパン10が設けられている。
図4、図5は横ルーバ113aの駆動機構を示す側面図及び上面図である。横ルーバ113aは左右両端に水平な回動軸114を有し、回動軸114にはギヤ77が設けられる。ギヤ77は駆動モータ75の軸に設けられたギヤ76に噛合する。駆動モータ75は横ルーバ113aの左右に設けられ、それぞれ独立に駆動される。これにより、横ルーバ113aは左右の駆動モータ75(第1、第2駆動モータ)の駆動によって回動する。尚、横ルーバ113bについても同様に左右の駆動モータにより駆動される。
図6は横ルーバ113aの平面図を示している。横ルーバ113aは硬質樹脂成形品から成る骨部21の表面を軟質樹脂材料から成る肉部22で覆って平面視矩形の板状に形成される。これにより、横ルーバ113aは可撓性を有する。図7は骨部21を示す平面図である。骨部21は中央部21aに複数の開口21cを設けて細い柱状部21dが形成され、左右の端部21bを柱状部21dで連結した形状になっている。このため、中央部21aは捩り剛性が小さく、両端部21bは捩り剛性が大きい。
図8、図9は図6のA−A線及びB−B線で切断した断面を示す斜視図である。肉部22は軟質材料で柱状部21d及び端部21bを覆うとともに軟質材料を開口21c内に充填して形成されている。従って、肉部22により開口21cが塞がれ、肉部22が軟質材料から成るため中央部21aの捩り剛性が小さく両端部21bの捩り剛性が大きい状態が保持される。これにより、横ルーバ113aは中央部21aで捩ることが可能な可捩部材になっている。
横ルーバ113aが平坦な状態から左右の駆動モータ75の軸を異なる回転角度で回転すると、両端部21bが異なる回転位置に配置される。その結果、図10に示すように横ルーバ113aが捩られ、横ルーバ113aの左部分は左側吹出口5aから送出される気流の上下方向の風向を可変する。横ルーバ113aの右部分は右側吹出口5bから送出される気流の上下方向の風向を可変する。尚、横ルーバ113bについても同様に構成されている。また、横ルーバ113a、113bを捩る際に、左右の駆動モータ75の軸を同じ方向に絶対値の異なる回転角で回転してもよく、異なる方向に回転してもよい。
横ルーバ113a、113bの両方の端部21bの捩り剛性が中央部21aよりも小さいので、両端の回動軸114の回動によって両端部21bのみが捩られることを防止することができる。従って、左側吹出口5a及び右側吹出口5bから所望の方向に確実に空気を送出することができる。本実施形態では中央部21aに開口21cを設けているが、端部21bに開口を設けてもよい。この時、中央部21aの開口面積を両端部21bよりも大きくすることにより両端部21bの捩り剛性を中央部21aよりも大きくすることができる。
また、硬質材料から成る骨部21を有するので、横ルーバ113a、113bが長手方向に容易に変形しない。このため、例えば、横ルーバ113a、113bが撓んで吹出口5を塞ぐことができなくなることを防止することができる。更に、横ルーバ113a、113bを単一の軟質樹脂等により板状に成形することによる成形性の低下を抑制し、ヒケや反りを防止することができる。
横ルーバ113a、113bの中央部21aと端部21bの捩り剛性は開口21cの開口面積により所望の大きさに可変することができる。また、横ルーバ113a、113bの長手方向の捩れる位置及び捩れる幅は、中央部21aと端部21bの長さの比率の調整により、所望の設定に可変することができる。例えば、図11に示すように、開口21cの長手方向を短縮して開口面積を小さくすると中央部21aの捩り剛性が大きくなり、捩れる部分は横ルーバ113a、113bの中央部付近に集中する。
このため、横ルーバ113a、113bは中央で大きく捩れ、両端はあまり捩られない。これにより、横ルーバ113a、113bを捩った際に、気流の上下の吹出し方向は左側吹出口5aと右側吹出口5bとで急激に変化する。その結果、左側吹出口5aから略同一方向に気流が送出されるとともに、右側吹出口5bから略同一方向に気流が送出される。
また、図12に示すように、開口21cの長手方向を伸長して開口面積を大きくすると中央部21aの捩り剛性が小さくなり、捩れる部分は横ルーバ113a、113bの中央から端部近傍にまで及ぶ。このため、横ルーバ113a、113bは長手方向に徐々に捩られる。これにより、横ルーバ113a、113bを捩った際に、気流の上下の吹出し方向は吹出口5の長手方向に連続的に徐々に変化する。
また、開口を有する部分と開口のない部分とを複数連続して骨部21に設けてもよい。例えば両端部及び中央部分に開口21cのない部分を設け、それぞれの間に開口21cのある部分を設けると、横ルーバ113a、113bは左端部と中央部の間及び中央部と右端部の間の2箇所で大きく捩れ、左端部、中央部、右端部はあまり捩られない。これにより、横ルーバ113a、113bを捩った際に、気流の上下の吹出し方向は吹出口5の左側と中央付近とで急激に変化し、中央付近と右側とで急激に変化する。その結果、吹出口5の左側、中央、右側から、それぞれ略同一方向に気流が送出される。
上記のように、横ルーバ113a、113bを捩った際の気流の上下の吹出し方向は骨部21の構成によって、所望の方向にすることができる。尚、骨部21の中央部21aには開口21cを設けず、両端部21bに開口21cを設けると、横ルーバ113a、113bは中央でほとんど捩れず、両端で大きく捩れるようになる。
また、開口21cの形状は、前述の図7に示すような両端部21bまで延びた平面視矩形に限られず、種々の形状にすることができる。例えば、図13に示すように左右に並設される平面視矩形の開口21cでもよい。図14に示すように上下左右に並設される平面視矩形の開口21cでもよい。図15に示すように左右に並設される平面視三角形の開口21cでもよい。図16に示すように、一端を開放した開口21cを上下左右に並設してもよい。
加えて、硬質樹脂成形品等から成る複数の部材をゴム等の弾性体を介して長手方向に連結して可捩部材から成る横ルーバ113a、113bを形成してもよい。これにより、横ルーバ113a、113bの左右端を異なる回転位置に配置すると、各弾性体が捩られて横ルーバ113a、113bの右側と左側とを異なる向きに配置することができる。
横ルーバ113a、113bには捩った際に弾性力により元に戻る力が働く。このため、図17に示すように、ギヤ76、77を係止するレバー78が設けられる。レバー78はギヤ76、77に係合するギヤ部78bを有し、横ルーバ113a、113bが捩られた際に回動軸78aを中心に回動する。
これにより、図18に示すように、ギヤ部78bがギヤ76、77と噛合してギヤ76、77の回転を係止し、弾性力により横ルーバ113a、113bが元に戻ることを防止する。従って、レバー78は横ルーバ113a、113bが捩られた状態を保持する保持手段を構成する。
上記保持手段は他の構成でもよい。例えば、図19はスライド移動するスライド部材79から成る保持手段が設けられる。スライド部材79はギヤ部79a、79bを有している。ギヤ部79aはギヤ80に噛合し、ギヤ80の回転により図中、上下にスライド部材79がスライド移動する。ギヤ部78bはスライド部材79のスライドによりギヤ76、77に係合する。
従って、図20に示すように、横ルーバ113a、113bが捩られた際にスライド部材79はスライド移動する。ギヤ部79bはギヤ76、77と噛合してギヤ76、77の回転を係止し、弾性力により横ルーバ113a、113bが元に戻ることを防止する。
また、図21、図22の側面図及び平面図に示すように、ウォームギヤ81から成る保持手段を設けてもよい。モータ75の軸には前述の図4、図5に示すギヤ76に替えて、ギヤ77に噛合するウォームギヤ81が設けられる。これにより、モータ75の軸と横ルーバ113aの回動軸とが直交し、横ルーバ113a、113bを捩った際にギヤ77がウォームギヤ81に係止される。従って、弾性力により横ルーバ113a、113bが元に戻ることを防止する。
図23は本実施形態の空気調和機の動作をコントロールするためのリモートコントローラ31を示す外観図である。リモートコントローラ31は操作部31a、表示部31b、発信部31cを有している。操作部31aは複数の操作キーを有し、空気調和機の運転状態を操作入力する。
操作部31aの操作キーによって、室内の冷房運転、除湿運転、暖房運転に切り替えることができる。下部のカバー31dを開くと別の操作キーが露出し、設定温度、風向、風速を設定することができる。また、室内を左右、前後、上下に二分割した第1、第2領域を別々に温度設定することができる。
表示部31bは液晶表示パネル等から成り、空気調和機の運転状況、時刻、設定温度等を表示する。また、室内機1を設置した部屋Rの概略形状、室内機1の概略設置位置が模式的に斜視図により表示される。そして、例えば、室内機1に向かって左右、前後または上下に分割した第1、第2領域の設定温度を表示部31bを視認して別々に設定することができる。また、発信部31cは操作部31aによる操作信号を室内機1に発信する。
また、風速を「微風」、「弱風」、「強風」、「自動」等にユーザ設定することができる。これにより、手動で微風(6畳タイプの空気調和機で約4m/s)、弱風(同、約6m/s)、強風(同、約8m/s)等に可変することができる。また、「自動」に設定すると、運転状況に応じて微風、弱風、強風等に切り替えられる。
上記構成の空気調和機において、圧縮機(不図示)を駆動すると、室外機(不図示)からの冷媒が室内熱交換器9へ流れて冷凍サイクルが運転される。送風ファン7の駆動によって室内の空気は吸込口4から室内機1内に吸い込まれ、エアフィルタ8によって空気中に含まれる塵埃が除去される。
冷房運転時には、室内機1内に取り込まれた空気は低温側となる室内熱交換器9と熱交換して冷却される。室内熱交換器9で冷却された調和空気は、縦ルーバ12a、12b、及び横ルーバ113a、113bによって左右方向および上下方向に向きを規制され室内に送出される。
<第1の気流制御>
室内の温度分布を均一にする場合は、第1の気流制御が行われる。図24に示すように上方の横ルーバ113aは前方が上方になるように例えば水平に対して20゜の角度で配置される。下方の横ルーバ113bは前方が若干下方となる斜め下方から略水平の間で例えば水平に対して5゜以下の角度で配置される。また、縦ルーバ12a、12bは前述の図3に示すように正面に向けて配置される。縦ルーバ12a、12bは前方を外側に向けて約5゜までの範囲で傾斜してもよい。そして、風速が「微風」に設定され、吹出口5から調和空気が送出される。
送風経路6を流通して吹出口5の上部から送出される空気は横ルーバ113aに沿って斜め上方に導かれる。送風経路6を流通して吹出口5の下部から送出される空気は横ルーバ113bに沿って若干下方または略水平に導かれる。この時、送風ファン7によって送風経路6内を図中、時計回りに旋回して流通する空気は、内周側となる送風経路6の上部の風量が多くなる。このため、吹出口5の下部から送出される空気は上部から送出される空気に沿う。その結果、吹出口5から矢印Bに示すように斜め上方に向かって調和空気が送出される。
下方の横ルーバ113bを前方へ行くほど上方になるように配置して空気を上方に導いてもよいが、横ルーバ113bの下面に沿って流通する調和空気が減少する。このため、横ルーバ113bの上面と下面との間に温度差が生じて結露する場合がある。従って、横ルーバ113bを斜め下方から略水平の間に配置する方がより望ましい。
吹出口5から斜め上方に送出された空気は、コアンダ効果により天井壁Sに沿って流通し、拡散しながら室内機1に対向する側壁W2(図35参照)に到達する。そして、側壁W2に沿って降下し、床面F(図35参照)を流通して部屋R内の全体を調和空気が流通する。これにより、室内が均一な温度に冷房運転される。
尚、詳細を後述するように、吹出口5から送出される空気の風速を大きくすると、冷房運転時に調和空気が低温を維持して遠くまで導かれる。このため、室内機1から遠い側が近い側よりも低温になる。
<第2の気流制御>
次に、操作部31aにより室内を左右に分割した各領域を異なる温度に設定した場合は、第2の気流制御が行われる。前述の図23に示すリモートコントローラ31の表示部31bは、室内機1に向かって左側の第1領域E1(図29参照)の設定温度を24℃に設定し、右側の第2領域E2(図29参照)の設定温度を26℃に設定した状態を表わしている。第1、第2領域E1、E2は室内機1を左右に分断する鉛直面によって分割されている。
この設定温度で冷房運転を開始すると、縦ルーバ12a、12bは図25に示すように配置される。即ち、右側の縦ルーバ12bは正面に向かう方向に配置される。左側の縦ルーバ12aは前方に行くほど左方に例えば40゜傾斜して配置される。縦ルーバ12aよりも傾斜角の小さい範囲で右側の縦ルーバ12bを前方に行くほど若干右方に例えば5゜傾斜して配置してもよい。
横ルーバ113a、113bの右側は、前述の図24と同様に配置される。即ち、上方の横ルーバ113aは前方が上方になるように例えば水平に対して20゜の角度で配置される。下方の横ルーバ113bは前方が若干下方となる斜め下方から略水平の間の例えば水平に対して5゜以下の角度で配置される。
また、横ルーバ113a、113bの左側は図26に示すように配置される。即ち、横ルーバ113a、113bは捩られて前方に行くほど若干下方となる斜め下方から略水平の間に配置される。例えば、横ルーバ113aの左側が略水平に配置され、横ルーバ113bの左側は水平に対して10゜前方が下方になるように配置される。図27はこの状態を示す室内機1の斜視図を示している。
そして、第1の気流制御と同様に風速が「微風」に設定され、送風ファン7を駆動して調和空気が吹出口5から図28に示すように送出される。即ち、左側吹出口5aからは、調和空気が矢印Aに示すように左方の略水平または左方の若干下方に向けて送出される。また、室内機1を分断する鉛直面に対して傾斜角αだけ左方に傾斜して送出される。右側吹出口5bからは、調和空気が矢印Bに示すように正面の斜め上方に向けて送出される。
図29は室内に送出された空気の流通状態を示している。右側吹出口5bから送出される空気(B)の気流(以下、「第2気流」という)は左右に拡散しながらコアンダ効果により天井壁Sに沿って流通して徐々に速度を低下させる。そして、室内機1に対向する側壁W2の広い範囲に沿って降下する。
左側吹出口5aから送出される空気(A)の気流(以下、「第1気流」という)は室内機1に向かって左側の側壁W3に沿って流通し、側壁W2に到達する。そして、第2気流は第1気流と合流して床面Fを流通する。
第1気流の傾斜角α(図28参照)は20゜以上にするとよい。図29の部屋Rを6畳間として短い方の側壁W1の中央に室内機1を設けると、室内機1の中央から側壁W2、W3が交わるコーナーに向かう方向は側壁W1に垂直な鉛直面に対して約20゜傾斜する。従って、第1気流の傾斜角αを20゜以上にすると、確実に第1気流を側壁W3に沿わせることができる。部屋Rが8畳間の場合や室内機1を正面にして横長の場合は傾斜角αを20゜よりも大きくすることにより側壁W3に沿わせることができる。
第2気流(B)は正面に向かって送出されるため、第2気流(B)によって部屋Rの左側の第1領域E1と右側の第2領域E2とが同等の冷却能力で冷却される。一方、第1気流(A)は左方に向かって送出されるため、第1気流(A)によって部屋Rの左側の第1領域E1が第2領域E2よりも多く冷却される。その結果、第1領域E1の平均温度は第2領域E2の平均温度よりも低くなる。
例えば、左側吹出口5a及び右側吹出口5bから1/2ずつの調和空気が送出されると、第2気流によって第1、第2領域はそれぞれ吹出口5から送出された調和空気の1/4ずつの冷却能力で冷却される。また、第1気流によって第1領域は吹出口5から送出された調和空気の略1/2の冷却能力で冷却される。これにより、第1領域には吹出口5から送出された調和空気の3/4の冷却能力が供給される。
また、前述の図25に示すように縦ルーバ12aは傾斜するため、左側吹出口5aから送出される第1気流(A)は縦ルーバ12aによる圧力損失の増加及び断面積の減少等により風量が減少する。このため、室内熱交換器9との熱交換によって第2気流よりも第1気流(A)の温度が低くなる。従って、第1領域E1の平均温度を第2領域E2の平均温度よりも更に低くすることができる。
図30〜図33は、第2の気流制御時の部屋R内の温度分布を示している。部屋Rの大きさは6畳(高さ2400mm、横3600mm、奥行き2700mm)である。図30〜図33は図29の一点鎖線D1、D2及び二点鎖線D3、D4のそれぞれの断面の測定結果を示している。
尚、D1断面は、側壁W3に平行かつ側壁W3から675mmの位置であり、部屋Rの室内機1に向かって左側1/4の位置の断面である。D2断面は、側壁W3に対向する側壁W4に平行かつ側壁W4から675mmの位置であり、部屋Rの室内機1に向かって右側1/4の位置の断面である。D3断面は、側壁W1に平行かつ側壁W1から1200mmの位置であり、部屋Rの室内機1に向かって前方1/3の位置の断面である。D4断面は、側壁W1に対向する側壁W2に平行かつ側壁W2から1200mmの位置であり、部屋Rの室内機1に向かって後方1/3の位置の断面である。
これらの図によると、部屋Rの室内機1に向かって左側の第1領域E1が約24℃に温度制御されている。また、室内機1に向かって右側の第2領域E2が約26℃に温度制御されている。従って、第1、第2領域E1、E2の温度差を約2℃設けることができる。
このとき、部屋Rの下方中央部の居住空間には空気が側壁W2から側壁W1の方向に向かって流通する。このため、吹出口5から送出された空気は減速され、第1領域E1の風速が0.1m/s以下であり、第2領域E2の風速が約0.2m/sになっている。従って、居住空間に冷気が直接降り注ぐことがなく、極めて低速の気流が流れるため使用者の健康を損なうことを防止することができる。尚、風速が0.5m/s以下であれば使用者にはほとんど無風に感じられる。このため、居住空間の風速が0.5m/s以下になるように送風ファン7の回転数が決められる。
また、第1気流(A)の風量は2.5m3/min、風速は3m/s、吹出温度は10℃であり、第2気流(B)の風量は5m3/min、風速は6m/s、吹出温度は15℃である。前述したように、圧力損失等により風量及び風速が異なり、第1気流(A)の吹出し温度が低くなっている。また、第1気流の風速が低いため、第1領域E1から第2領域E2に循環する調和空気の量が減少して第1領域E1に停滞する量が増加する。これにより、より簡単に第1領域E1の温度を第2領域E2よりも低くすることができる。
熱交換器9を左右に分割してそれぞれの熱交換器を異なる温度にして第1、第2気流の温度差を設けてもよい。また、送風ファン7を左右に分割してそれぞれの送風ファンを異なる回転数にして第1、第2気流を異なる風速及び風量にしてもよい。これらにより、第1、第2領域の温度をより細かく調節することができる。
また、吹出口5の左右の左側吹出口5aと右側吹出口5bから異なる方向に調和空気を送出するので、快適性を向上することができる。即ち、吹出口5の上下から異なる方向に調和空気を送出すると、横ルーバの上下面に温度差が発生する。これにより、横ルーバに結露が生じ、使用者に水が吹きかかったり、部屋を水浸しにして使用者を不快にする場合がある。これに対し、左側吹出口5aと右側吹出口5bから異なる方向に調和空気を送出すると、横ルーバ113a、113bの上下面の温度差発生が抑制され、結露を防止して快適性が向上する。
<第3の気流制御>
リモートコントローラ31の操作によって第1、第2領域E1、E2の温度差を更に大きく設定した場合は、第3の気流制御が行われる。第3の気流制御では縦ルーバ12a及び横ルーバ113a、113bは第2の気流制御の場合と同様に配置される。右側の縦ルーバ12bは前方が内側(左側)に向けて傾斜して配置される。
縦ルーバ12bは前方が内側(左側)に向けて傾斜して配置されるため、右側吹出口5bから送出される第2気流(B)は、部屋Rの右側の第2領域E2よりも、左側の第1領域E1により多く送出される。このため、部屋Rの右側の第2領域E2よりも左側の第1領域E1に多くの冷却能力がもたらされる。但し、吹出口5から送出される全体の空気量が減少するために送風ファン7の回転数を増加して風量が増加される。また、第1、第2領域E1、E2の絶対的な室温は圧縮機(不図示)の回転数を可変して調整される。
例えば、第1、第2領域E1、E2の設定温度がそれぞれ23℃、26℃の場合は、第1の気流制御に対して右側の縦ルーバ12bは前方が内側(左側)に向けて10°傾斜して配置される。また、送風ファン7の回転数は110%に設定され、圧縮機(不図示)の回転数は105%に設定される。
第1、第2領域E1、E2の設定温度がそれぞれ22℃、26℃の場合は、第1の気流制御に対して右側の縦ルーバ12bは前方が内側(左側)に向けて20°傾斜して配置される。また、送風ファン7の回転数は120%に設定され、圧縮機(不図示)の回転数は110%に設定される。
上記の通り、縦ルーバ12bの傾斜角αを内側(左側)に向けて傾斜して配置し、第2気流(B)の第1領域E1に送出される風量を増加することにより第1領域E1の冷却能力が増加し、第2の気流制御に比して第1領域E1の温度が低くなる。これにより、第1、第2領域E1、E2の温度差を大きくすることができる。従って、第2気流(B)の風向により第1領域E1及び第2領域E2に送出される風量の割合を増減することによって、第1、第2領域E1、E2を独立して所望の温度に温度制御することができる。
また、左右に2分割した縦ルーバ12a、12bを更に細分化することにより第1気流の割合を増減してもよい。送風ファンを左右に設けて個別に第1、第2気流の風量を可変してもよい。
尚、第2、第3の気流制御において第1領域E1を第2領域E2よりも低温にした場合を説明しているが、縦ルーバ12a、12b及び横ルーバ113a、113bを上記と左右対称に配置することで第2領域E2を第1領域E1よりも低温にすることができる。
<第4の気流制御>
次に、操作部31aにより室内を前後に分割した各領域を異なる温度に設定した場合は、第4の気流制御が行われる。図34はリモートコントローラ31の操作によって室内機1に近い側の第1領域E3(図35参照)の設定温度を26℃に設定し、遠い側の第2領域E4(図35参照)の設定温度を24℃に設定した状態を表わしている。第1、第2領域E3、E4は部屋Rの中央部を分断する鉛直面によって分割されている。
この設定温度で冷房運転を開始すると、縦ルーバ12a、12bは前述の図3と同様に、正面に向けて配置される。縦ルーバ12a、12bは前方を外側に向けて約5゜までの範囲で傾斜してもよい。また、横ルーバ113a、113bは、左右の両端部が同じ回転位置で捩られずに前述の図24と同様に配置される。即ち、上方の横ルーバ113aは前方が上方になるように例えば水平に対して20゜の角度で配置される。下方の横ルーバ113bは前方が若干下方となる斜め下方から略水平の間で例えば水平に対して5゜以下の角度で配置される。
そして、送風ファン7の回転数が第1の気流制御時に対して140%に設定され、調和空気が吹出口5から斜め上方に送出される。この時、吹出し風速は「弱風」(6畳タイプの空気調和機の場合は例えば6m/s)と同等になっている。図35に示すように、吹出口5から斜め上方に送出された空気は、コアンダ効果により天井壁Sに沿って流通し、拡散しながら室内機1に対向する側壁W2に到達する。そして、側壁W2に沿って降下し、床面Fを流通する。
この時、吹出し風速が大きいため、調和空気は天井壁Sに沿って流通する間に昇温されず、低温を維持して遠くまで到達する。このため、室外機1から近い側の第1領域E3の平均温度が遠い側の第2領域E4の平均温度よりも高くなる。
図36は、第4の気流制御時の部屋R内の温度分布を示している。部屋Rの大きさは上記と同様に6畳(高さ2400mm、横3600mm、奥行き2700mm)である。また、図36は図35に示す一点鎖線Dで示した部屋Rの中央断面の測定結果を示している。
同図によると、部屋Rの室内機1に近い側の第1領域E3が約26℃に温度制御されている。また、室内機1から遠い側の第2領域E4が約24℃に温度制御されている。従って、第1、第2領域E3、E4の温度差を約2℃設けることができる。
このとき、部屋Rの下方中央部の居住空間には空気が側壁W2から側壁W1の方向に向かって流通する。このため、吹出口5から送出された空気は減速され、居住空間の風速は0.1m/s以下になっている。従って、居住空間に冷気が直接降り注ぐことがなく、極めて低速の気流が流れるため使用者の健康を損なうことを防止することができる。
<第5の気流制御>
リモートコントローラ31の操作によって第1、第2領域E3、E4の温度差を更に大きく設定した場合は、第5の気流制御が行われる。第5の気流制御では、縦ルーバ12a、12b及び横ルーバ113a、113bは第4の気流制御の場合と同様に配置される。送風ファン7の回転数は増加され、吹出し気流の風速が増加される。また、第1、第2領域E3、E4の絶対的な室温は圧縮機(不図示)の回転数を可変して調整される。
例えば、第1、第2領域E3、E4の設定温度がそれぞれ23℃、26℃の場合は、第1の気流制御に対して送風ファン7の回転数は150%に設定され、圧縮機(不図示)の回転数は105%に設定される。また、第1、第2領域E3、E4の設定温度がそれぞれ22℃、26℃の場合は、第1の気流制御に対して送風ファン7の回転数は160%に設定され、圧縮機(不図示)の回転数は110%に設定される。
吹出口5から送出される風速が増加すると、低温の調和空気がより遠くまで到達する。これにより、第1、第2領域E3、E4の温度差をより大きくすることができる。従って、吹出し時の風速を可変することにより、第1、第2領域E3、E4を独立して所望の温度に温度制御することができる。
<第6の気流制御>
次に、操作部31aにより室内を上下に分割した各領域を異なる温度に設定した場合は、第6の気流制御が行われる。図37はリモートコントローラ31の操作によって室内の上部の第1領域E5(図39参照)の設定温度を26℃に設定し、遠い側の第2領域E6(図39参照)の設定温度を24℃に設定した状態を表わしている。第1、第2領域E5、E6は部屋Rの中央部を分断する水平面によって分割されている。
この設定温度で冷房運転を開始すると、縦ルーバ12a、12bは前述の図3と同様に、正面に向けて配置される。縦ルーバ12a、12bは前方を外側に向けて約5゜までの範囲で傾斜してもよい。また、横ルーバ113a、113bは、左右の両端部が同じ回転位置で捩られずに図38に示すように配置される。即ち、上方の横ルーバ113aは回動して吹出口5の上部を遮蔽するように配置される。下方の横ルーバ113bは回動して下端が上端に対して略真下方向から後方下方の間になるように設定される。
そして、送風ファン7の回転数が第1の気流制御時に対して80%に設定され、調和空気が吹出口5から略真下方向または下方後方に送出される。この時、吹出し風速は「微風」よりも小さくなっている。図39に示すように、吹出口5から略真下方向または下方後方に送出された空気は、室内機1が設置される側壁W1に沿って降下し、床面Fを流通する。
この時、吹出し時の風速が大きいと床面Fを流通した空気は側壁W2を上昇して循環されるが、吹出し時の風速が小さいため低温の空気が比重により床面Fに停滞して側壁W1及び床面F近傍が低温となる。このため、室外機1の上部の第1領域E5の平均温度が下部の第2領域E6の平均温度よりも高くなる。
図40は、上記の気流制御時の部屋R内の温度分布を示している。部屋Rの大きさは上記と同様に6畳(高さ2400mm、横3600mm、奥行き2700mm)である。また、図40は図39に示す一点鎖線Dで示した部屋Rの中央断面の測定結果を示している。
同図によると、部屋Rの天井側の第1領域E5が約25℃〜27℃になっており、平均温度が約26℃に温度制御されている。また、部屋Rの床面F側の第2領域E6が約23℃〜25℃になっており、平均温度が約24℃に温度制御されている。従って、第1、第2領域E5、E6の温度差を約2℃設けることができる。
このとき、吹出口5から低速で送出された空気は側壁W1に沿って流通する際に減速され、部屋Rの下方中央部の居住空間の風速は0.1m/s以下になっている。また、部屋Rの上部まで気流が届かないため上部の風速も0.1m/s以下になっている。従って、居住空間に冷気が直接降り注ぐことがなく、極めて低速の気流が流れるため使用者の健康を損なうことを防止することができる。
<第7の気流制御>
リモートコントローラ31の操作によって第1、第2領域E5、E6の温度差を更に大きく設定した場合は、第7の気流制御が行われる。第7の気流制御では縦ルーバ12a、12b及び横ルーバ113a、113bは第6の気流制御の場合と同様に配置される。送風ファン7の回転数は減少され、吹出し気流の風速が低下される。また、第1、第2領域E5、E6の絶対的な室温は圧縮機(不図示)の回転数を可変して調整される。
例えば、第1、第2領域E5、E6の設定温度がそれぞれ23℃、26℃の場合は、第1の気流制御に対して送風ファン7の回転数は70%に設定され、圧縮機(不図示)の回転数は105%に設定される。また、第1、第2領域E5、E6の設定温度がそれぞれ22℃、26℃の場合は、第1の気流制御に対して送風ファン7の回転数は60%に設定され、圧縮機(不図示)の回転数は110%に設定される。
吹出口5から送出される調和空気の風速が低下すると、低温の調和空気が対向する側壁W2を更に上昇しなくなる。これにより、第1、第2領域E5、E6の温度差をより大きくすることができる。従って、吹出し時の風速を可変することにより、第1、第2領域E5、E6を独立して所望の温度に温度制御することができる。
本実施形態によると、室内を分割した第1領域E1、E3、E5と、第2領域E2、E4、E6とを略等しい温度にすることができるとともに、それぞれを独立して所望の温度に温度制御することができる。従って、複数の使用者が快適と感じる温度が異なる場合でも各使用者が第1、第2領域に分かれて各使用者の快適性を満たすことができる。
例えば、従来であれば冷房運転時に22℃の環境を好む使用者と28℃の環境を好む使用者が1つの部屋にいる場合に、後者に合わせて設定温度を28℃にして前者に冷気を直接当て続ける。これにより、前者は冷気を直接を浴び続けて体調を損ねる。また、前者に合わせて設定温度を22℃にして後者に衣服を多く着用させる。これにより、後者が長期間にわたりその部屋にいると所謂「底冷え」を感じて体調を損ねる。本実施形態は、両者の体調を損ねることを防止して快適な環境を提供することができる。
また、横ルーバ113a、113bは捩ることが可能な可捩部材から成るので、吹出口5の一方と他方から容易に異なる向きに空気を送出することができる。これにより、室内を分割した領域を所望の異なる温度にすることができる。また、横ルーバ113a、113bの長手方向中央が分割されないので美感を損ねることを防止できるとともに、分割した部分の気流の乱れによる結露を防止することができる。
<<第2実施形態>>
次に、図41は第2実施形態の空気調和機の室内機1を示す斜視図である。説明の便宜上、前述の図1〜図21に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態の下方の横ルーバ113bに替えて非可捩部材から成る横ルーバ113cが設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
横ルーバ113cは板状の単一の樹脂成形品等から成り、横ルーバ113aのように捩ることができない非可捩部材になっている。また、横ルーバ113cは水平な回動軸を有し、左右端の一方に配された駆動モータ75(図5参照)の駆動によって回動する。これにより、第1実施形態に比して駆動モータを削減することができるとともに、安価な横ルーバ113cを用いて空気調和機のコスト削減を図ることができる。
第1の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12bが前述の図3に示すように配置される。横ルーバ113a、113cは回動して前述の図24に示す横ルーバ113a、113bと同様に配置される。これにより、冷房運転時に第1実施形態と同様に調和空気を送出して、冷房運転時の室内の温度を均一にすることができる。
第2の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12bが前述の図25に示すように配置される。上方の横ルーバ113aの右側及び下方の横ルーバ113cは第1の気流制御と同様に配置される。上方の横ルーバ113aの左側は捩られて前述の図26に示すように配置される。図42はこの時の室内機1を示す斜視図である。
左側吹出口5aの上下方向の送出方向は横ルーバ113aの左側及び横ルーバ113cの左側により規制される。右側吹出口5bの上下方向の送出方向は横ルーバ113aの右側及び横ルーバ113cの右側により規制される。これにより、冷房運転時に第1実施形態と同様に調和空気を送出して、室内を左右に分割した第1、第2領域E1、E2(図29参照)が異なる温度に制御される。
尚、前述したように、送風経路6の上部を流通する空気量が下部を流通する空気量よりも多い。このため、下方の横ルーバ113cが左右で同じ角度になっても第1実施形態と同様に左側吹出口5aと右側吹出口5bとで上下に異なる方向に気流を送出することができる。
第3の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a及び横ルーバ113a、113cは第2の気流制御の場合と同様に配置される。右側の縦ルーバ12bは前方が内側(左側)に向けて10゜以上傾斜して配置される。また、送風ファン7の回転数を増加して風量が増加される。これにより、冷房運転時に第1実施形態と同様に調和空気を送出して、室内を左右に分割した第1、第2領域E1、E2(図29参照)の温度差を大きくすることができる。従って、室内を左右に分割した第1、第2領域E1、E2を独立して温度制御することができる。
第4の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12bが前述の図3に示すように配置される。横ルーバ113a、113cは前述の図24に示す横ルーバ113a、113bと同様に配置される。これにより、冷房運転時に第1実施形態と同様に調和空気を送出して、室内を前後に分割した第1、第2領域E3、E4(図35参照)が異なる温度に制御される。
第5の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12b及び横ルーバ113a、113cは第4の気流制御と同様に配置される。そして、冷房運転時に第1実施形態と同様に風速を増大して調和空気を送出し、室内を前後に分割した第1、第2領域E3、E4(図35参照)の温度差を大きくすることができる。従って、室内を前後に分割した第1、第2領域E3、E4を独立して温度制御することができる。
第6の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12bが前述の図3に示すように配置される。横ルーバ113a、113cは前述の図38に示す横ルーバ113a、113bと同様に配置される。これにより、冷房運転時に第1実施形態と同様に調和空気を送出して、室内を上下に分割した第1、第2領域E5、E6(図39参照)が異なる温度に制御される。
第7の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12b及び横ルーバ113a、113cは第6の気流制御と同様に配置される。そして、冷房運転時に第1実施形態と同様に風速を低下して調和空気を送出し、室内を上下に分割した第1、第2領域E5、E6(図39参照)の温度差を大きくすることができる。従って、室内を前後に分割した第1、第2領域E5、E6を独立して温度制御することができる。
<<第3実施形態>>
次に、図43は第3実施形態の空気調和機の室内機1を示す斜視図である。前述の図1〜図40に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1の実施形態の横ルーバ113a、113bに替えて横ルーバ113dが設けられる。これにより、部品点数を削減することができる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
図44に示すように、横ルーバ113dは吹出口5の略全体を塞ぐ位置に配され、長手方向の両端にそれぞれ独立に駆動される駆動モータ75が設けられる。また、横ルーバ113dは前述の図6〜図16に示す第1実施形態の横ルーバ113a、113bと同様に構成された可捩部材から成っている。複数の部材を弾性体で連結した可捩部材でもよい。従って、横ルーバ113dの左部分は左側吹出口5aから送出される気流の上下方向の風向を可変する。横ルーバ113dの右部分は右側吹出口5bから送出される気流の上下方向の風向を可変する。
第1の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12bが前述の図3に示すように配置される。横ルーバ113dは左右端を同じ回転位置に配して捩られずに図45に示すように前方をやや上方に向けて配置される。これにより、冷房運転時に第1実施形態と同様に吹出口5から斜め上方に調和空気を送出して、冷房運転時の室内の温度を均一にすることができる。
第2の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12bが前述の図25に示すように配置される。横ルーバ113dの右部分は第1の気流制御と同様に配置される。横ルーバ113dの左部分は捩られて水平または前方が下方になるように配置される。図46はこの時の室内機1を示す斜視図である。これにより、冷房運転時に第1実施形態と同様に調和空気を送出して、室内を左右に分割した第1、第2領域E1、E2(図29参照)が異なる温度に制御される。
第3の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a及び横ルーバ113dは第2の気流制御の場合と同様に配置される。右側の縦ルーバ12bは前方を内側に向けて10゜以上傾斜して配置される。また、送風ファン7の回転数を増加して風量が増加される。これにより、冷房運転時に第1実施形態と同様に調和空気を送出して、室内を左右に分割した第1、第2領域E1、E2(図29参照)の温度差を大きくすることができる。従って、室内を左右に分割した第1、第2領域E1、E2を独立して温度制御することができる。
第4の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12bが前述の図3に示すように配置される。横ルーバ113dは回動して前述の図45と同様に配置される。これにより、冷房運転時に第1実施形態と同様に調和空気を送出して、室内を前後に分割した第1、第2領域E3、E4(図35参照)が異なる温度に制御される。
第5の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12b及び横ルーバ113dは第4の気流制御と同様に配置される。そして、冷房運転時に第1実施形態と同様に風速を増大して調和空気を送出し、室内を前後に分割した第1、第2領域E3、E4(図35参照)の温度差を大きくすることができる。従って、室内を前後に分割した第1、第2領域E3、E4を独立して温度制御することができる。
第6の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12bが前述の図3に示すように配置される。横ルーバ113dは左右端が同じ回転位置で捩られずに図47に示すように下端が上端に対して略真下方向から後方下方の間になるように配置される。これにより、冷房運転時に第1実施形態と同様に調和空気を送出して、室内を上下に分割した第1、第2領域E5、E6(図39参照)が異なる温度に制御される。
第7の気流制御を行う場合は、縦ルーバ12a、12b及び横ルーバ113dは第6の気流制御と同様に配置される。そして、冷房運転時に第1実施形態と同様に風速を低下して調和空気を送出し、室内を上下に分割した第1、第2領域E5、E6(図39参照)の温度差を大きくすることができる。従って、室内を前後に分割した第1、第2領域E5、E6を独立して温度制御することができる。
第1〜第3実施形態において、前述の図23に示すリモートコントローラ31の表示部31aには部屋Rの概略形状及び室内機1の概略設置位置が模式的な斜視図で表示されている。表示部31aの表示画面はこれに限られず他の画面を表示してもよい。例えば、図48に示すように、「左26℃、右24℃」、「前26℃、後24℃」、「上26℃、下24℃」のように文字で表わしてもよい。即ち、部屋R内をどのように分割した第1、第2領域に2つの異なる設定温度を与えるのかが、使用者にわかりやすくなっていればよい。また、図49に示すように、スライド式の蓋31dをスライドさせることにより温度、風向、風量等をより詳細に入力することができるようになっている。
また、第1〜第3実施形態は左右に延びた吹出口5に配された水平な回動軸114を有する横ルーバ113a〜113dを設けた空気調和機について説明しているが、鉛直方向に延びた回動軸を有した上下に延びる風向板を同様に可捩部材により形成してもよい。これにより、吹出口5の上下から左右に異なる方向に気流を送出することができる。
以上により、本発明に係る空気調和機を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更を加えて実施することができる。