JP4562127B2 - 遺伝子導入による植物の交雑特性の改変 - Google Patents

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Description

本発明は、ZPT2-10遺伝子の導入により導入遺伝子依存性不和合性を付与された植物体、該植物体の生産のための薬剤および細胞、並びに該植物体の生産方法に関するものである。
遺伝子組換え作物を実用化するに際し、花粉の飛散による野生種や在来品種との交配によって、組換え遺伝子が環境に拡散する可能性が懸念されている。その一例としては、除草剤耐性を付与した遺伝子組換え作物と雑草との交雑によって、除草剤耐性を獲得し農薬が効かない「スーパー雑草」の出現する可能性などが挙げられる(非特許文献1)。一方、遺伝子組換え植物を開発、生産する立場からは、この問題は遺伝子組換え植物の一般への受け入れを促進するために解決すべき重要な課題の一つと考えられる。雄性不稔形質の利用はそのための対策の一つであり、出願者らが開発した方法(特許文献1〜4)を含め、多数の例がある(非特許文献2)。しかしながら、雄性不稔を用いる方法は自殖性作物には応用が困難であり、また他家受粉による交配を阻止できないなどの問題がある。近年では、母性遺伝のみで伝搬し、花粉を通しては遺伝しないとされる葉緑体ゲノムに組込むことによって、花粉から環境への遺伝子拡散を防ぐ手法の研究も行われている。
なお、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
特開2001-145429 特開2001-145430 特開2003-92936 特開2003-92937 Dale, P.J. et al. Potential for the environmental impact of transgenic crops. Nat Biotechnol. 20(6), 2002, 567-574. Mariani, C., Beuckeleer, M.D., Truettner, J., Leemans, J., and Goldberg, R.B. Induction of male sterility in plants by a chimaeric ribonuclease gene. Nature, 347, 1990, 737-741.
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、遺伝子組換え植物における組換え遺伝子の環境への拡散を効果的に防止するための、植物の交雑特性の改良にある。本発明は、より具体的には、遺伝的な改良により、導入遺伝子依存性不和合性を付与された植物体、該植物体の生産のための薬剤および細胞、並びに該植物体の生産方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、ペチュニアにおいて、花柱のtransmitting tissueに特異的に発現しているTFIIIA型ジンクフィンガー転写因子遺伝子ZPT2-10を、ジャガイモ由来SK2キチナーゼ遺伝子プロモーターと融合して(SK2:ZPT2-10)ペチュニアに導入した。その結果、得られた形質転換体の一部[transgene dependent incompatibility (TDI)系統]において、有用な交雑特性を示すことが見出された。
TDI系統ペチュニアは、自殖または同じ組換え遺伝子を有する別の形質転換体との間の交配では稔性であり、正常な種子を生じるが、TDI形質をもたない他の形質転換系統および非形質転換体との交配では不稔性を示す(導入遺伝子依存性不和合性)。TDI系統形質転換体のこのような交雑特性は、TDI系統を花粉親、雌しべ親のいずれとして用いた場合にも同様に観察された。また、この形質は導入SK2:ZPT2-10遺伝子とともに後代に遺伝し、SK2:ZPT2-10が分離して失われると交雑形質が正常に復帰することから、導入遺伝子と表現型の関係は明らかである。
本発明は、このような導入遺伝子依存性不和合性という前例を見ない現象に基づくものであり、より詳しくは、以下の〔1〕〜〔6〕を提供するものである。
〔1〕下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNAまたは該DNAを含むベクターを有効成分として含有する、植物に導入遺伝子依存性不和合性を付与する薬剤。
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA
〔2〕下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNAまたは該DNAを含むベクターが導入された、導入遺伝子依存性不和合性を示す植物体を再生しうる植物細胞。
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA
〔3〕〔2〕に記載の植物細胞から再生された、導入遺伝子依存性不和合性を示す植物体。
〔4〕〔3〕に記載の植物体の子孫またはクローンである、導入遺伝子依存性不和合性を示す植物体。
〔5〕〔3〕または〔4〕に記載の導入遺伝子依存性不和合性を示す植物体の繁殖材料。
〔6〕導入遺伝子依存性不和合性を示す植物体の生産方法であって、
(i)下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNAまたは該DNAを含むベクターを植物細胞に導入する工程、および
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA
(ii)工程(i)においてDNAまたはベクターが導入された植物細胞から植物体を再生する工程、
を含む方法。
本発明の方法を利用して遺伝子組換え体が環境に拡散することを防止できる。本方法を他の植物に応用することは、遺伝子組換え植物の環境への拡散を抑制する有効な手段となり、遺伝子組換え植物の一般への受け入れを促進にも資すると考えられる。また、本発明は純系種子の生産への利用も考えられる。他品種の遺伝子の混入を防いで特定品種の純系を保った高品質の種子を得るために、現在は交配後の袋がけや媒介昆虫が飛来できない離島での採種(松島白菜)などの物理的隔離法が行われており、大きな労力や地理的制約などの困難を強いられているが、本発明が実用化されればそのような物理的隔離が不要になる可能性がある。
本発明は、TFIIIA型ジンクフィンガー転写因子遺伝子ZPT2-10を利用した、植物に導入遺伝子依存性不和合性を付与する薬剤を提供する。
本発明において、「導入遺伝子依存性不和合性」とは、自殖または同じ組換え遺伝子を有する特定の別の形質転換体との間の交配では稔性であり、正常な種子を生じるが、同様の形質をもたない他の形質転換系統および非形質転換体との交配では不稔性を示す交雑特性を意味する。
ある遺伝子を含む薬剤が植物に導入遺伝子依存性不和合性を付与するか否かは、実施例3に示したように、該薬剤に含まれる遺伝子を導入した植物で自家受粉を行なった場合は、正常な種子を生じ、一方、該薬剤に含まれる遺伝子を導入した植物と野生株間で受粉を行なった場合は、結実が認められないという交配特性を、植物体が得るか否かを調べることにより評価することができる。
本発明における植物に導入遺伝子依存性不和合性を付与する薬剤に用いるDNAの形態に特に制限はなく、cDNAであってもゲノムDNAであってもよい。ゲノムDNAおよびcDNAの調製は、当業者にとって常套手段を利用して行うことが可能である。例えば、ゲノムDNAはZPT2-10の公知の塩基配列情報(配列番号:1)から適当なプライマー対を設計して、目的の植物から調製したゲノムDNAを鋳型にPCRを行い、得られる増幅DNA断片をプローブとしてゲノミックライブラリーをスクリーニングすることによって調製することができる。また、同様にプライマー対を設計して、目的の植物から調製したcDNAまたはmRNAを鋳型にPCRを行い、得られる増幅DNA断片をプローブとして用いてcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、ZPT2-10をコードするcDNAを調製することができる。さらに市販のDNA合成機を用いれば、目的のDNAを合成により調製することも可能である。
本発明の薬剤の有効成分としては、植物に導入遺伝子依存性不和合性を付与する機能を有している限り、ペチュニア由来のZPT2-10タンパク質(配列番号:2)をコードするDNAのみならず、該タンパク質に構造的に類似したタンパク質をコードするDNA(例えば、変異体、誘導体、アレル、バリアントおよびホモログ)を用いることもできる。このようなDNAには、例えば、配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAが含まれる。
アミノ酸配列が改変されたタンパク質をコードするDNAを調製するための当業者によく知られた方法としては、例えば、site-directed mutagenesis法(Kramer, W. and Fritz, H.J. Oligonucleotide-directed construction of mutagenesis via gapped duplex DNA. Methods in Enzymology. 154, 1987, 350-367.)が挙げられる。また、塩基配列の変異によりコードするタンパク質のアミノ酸配列が変異することは、自然界においても生じ得る。このように天然型のZPT2-10タンパク質をコードするアミノ酸配列(配列番号:2)において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAであっても、植物に導入遺伝子依存性不和合性を付与する機能を有している限り、本発明のDNAに含まれる。
改変されるアミノ酸の数は、特に制限はないが、一般的には、50アミノ酸以内、好ましくは30アミノ酸以内、より好ましくは10アミノ酸以内(例えば、5アミノ酸以内、3アミノ酸以内)である。アミノ酸の改変は、好ましくは保存的置換である。改変前と改変後の各アミノ酸についてのhydropathic index(Kyte, J. and Doolittle, R.F. J Mol Biol. 157(1), 1982, 105-132.)やHydrophilicity value(米国特許第4,554,101号)の数値は、±2以内が好ましく、さらに好ましくは±1以内であり、最も好ましくは±0.5以内である。
また、たとえ、塩基配列が変異した場合でも、それがタンパク質中のアミノ酸の変異を伴わない場合(縮重変異)もあり、このような縮重変異体も本発明の薬剤の有効成分としてのDNAに含まれる。
ペチュニア由来のZPT2-10タンパク質(配列番号:2)に構造的に類似したタンパク質をコードするDNAとしては、ハイブリダイゼーション技術(Southern, E.M. Journal of Molecular Biology. 98, 1975, 503.)やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Saiki, R.K. et al. Science. 230, 1985, 1350-1354.; Saiki, R.K. et al. Science, 239, 1988, 487-491.)を利用して調製したものを用いることも可能である。即ち、本発明のDNAには、配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAが含まれる。このようなDNAを単離するためには、好ましくはストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーション反応を行なう。本発明において「ストリンジェントな条件」とは、6M尿素、0.4%SDS、0.5xSSCの条件またはこれと同等のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を指すが、特にこれらの条件に限定されるものではない。よりストリンジェンシーの高い条件、例えば、6M尿素、0.4%SDS、0.1xSSCの条件を用いれば、より相同性の高いDNAの単離を期待することができる。
ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられるが、当業者であればこれら要素を適宜選択することで最適なストリンジェンシーを実現することが可能である。これにより単離されたDNAは、アミノ酸レベルにおいて、ペチュニア由来のZPT2-10タンパク質のアミノ酸配列(配列番号:2)と高い相同性を有すると考えられる。高い相同性とは、アミノ酸配列全体で、少なくとも50%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%,96%,97%,98%,99%以上)の配列の同一性を指す。アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Karlin, S. and Altschul, S.F. Proc Natl Acad Sci U S A. 87(6), 1990, 2264-2268.; Karlin, S. and Altschul, S.F. Proc Natl Acad Sci U S A. 90(12), 1993, 5873-5877.)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul, S.F. et al. J Mol Biol. 215(3), 1990, 403-410.)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。
本発明の薬剤の有効成分としてのDNAは、ベクターに挿入された形態であってもよい。ベクターとしては、植物細胞内で挿入遺伝子を発現させることが可能なものであれば特に制限はない。例えば、植物細胞内での恒常的な遺伝子発現を行うためのプロモーター(例えば、ジャガイモ・キチナーゼ遺伝子SK2のプロモーター、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター等)を有するベクターや外的な刺激により誘導的に活性化されるプロモーターを有するベクターを用いることも可能である。
本発明における「薬剤」は、上記DNAや該DNAが挿入されたベクター自体であってもよく、また、これらが植物細胞への導入のための他の成分と混合されているものであってもよい。例えば、上記DNA,上記DNAを挿入したベクター、上記DNAが導入されたアグロバクテリウム、これらを含む生化学的試薬や溶液は、本発明における薬剤に含まれる。
植物に導入遺伝子依存性不和合性を付与する機能を有する上記のDNAやベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生することにより、導入遺伝子依存性不和合性を示す植物体を製造することができる。従って、本発明は、また、導入遺伝子依存性不和合性を示す植物体の製造方法を提供する。
上記DNAやベクターを導入する植物細胞の種類としては、導入遺伝子依存性不和合性を付与しうる限り特に制限はなく、例えば、ペチュニア、タバコ、トマト、ジャガイモ等があげられる。
上記DNAやベクターが導入される植物細胞の形態は、植物体を再生しうるものであれば、特に制限はなく、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片、カルスなどが含まれる。
上記DNAやベクターの植物細胞への導入は、例えば、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポーレーション)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法等の当業者に公知の方法によって実施することができる。アグロバクテリウムを介する方法においては、例えばNagelらの方法(Nagel, R. et al. FEMS Microbiol Lett. 67, 1990, 325-328.)にしたがって、上記DNAが挿入された発現ベクターをアグロバクテリウムに導入し、このアグロバクテリウムを直接感染法やリーフディスク法で植物細胞に感染させることにより、上記DNAを植物細胞に導入することができる。
植物細胞からの植物体の再生は、植物の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である。例えば、ペチュニアにおいては、オーキシン(IAA:indole acetic acid)およびサイトカイニン(BAP:benzylaminopurine)を含む培地上でシュートを再生させた後、IBA(indole butyric acid)を含む培地上で発根させて生育させる(van der Meer, I.M. Methods Mol Biol. 111, 1999, 327-334.)。トレニア、タバコ、ガーベラでも類似の方法で植物体を再生させることができる(Elomaa, P., Mehto, M., Kotilainen, M., Helariutta, Y., Nevalainen, L., and Teeri, T.H. Plant J. 16, 1998, 93-109.)。その他の植物の植物体の再生方法としては、例えば、イネであればFujimuraら(Fujimura. et al. Tissue Culture Lett. 2, 1995, 74.)の方法が挙げられ、トウモロコシであればShillitoら(Shillito, R.D., et al. Bio/Technology, 7, 1989, 581-587.)の方法やGordon-Kammら(Gordon-Kamm, W.J. et al. Plant Cell. 2(7), 1990, 603-618.)の方法が挙げられ、ジャガイモであればVisserら(Visser, R.G.F. et al. Theor. Appl. Genet. 78, 1989, 594-600.)の方法が挙げられ、シロイヌナズナであればAkamaら(Akama. et al. Plant Cell Reports. 12, 1992, 7-11.)の方法が挙げられ、ユーカリであれば土肥ら(特開平8-89113号公報)の方法が挙げられる。
一旦、ゲノム内に上記DNAやベクターが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖または無性生殖により子孫あるいはクローンを得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。
本発明は、このような導入遺伝子依存性不和合性を示す植物体、該植物体を再生しうる植物細胞、該植物体の子孫あるいはクローンである植物体、および上記植物体の繁殖材料をも提供するものである。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら制限されるものではない。
実施例1
(SK2:ZPT2-10融合遺伝子の作製)
ジャガイモ・キチナーゼ遺伝子SK2のプロモーター領域配列を含むDNA断片(940 bp)はRichard D. Thompson博士(Max Planc Institute, Germany)より分譲されたプラスミドpSK2/1(Ficker. et al. Plant Mol. Biol. 35, 1997, 425-431.)からXbaI、NcoIで切り出した。一方、pUC19ベクター中にZPT2-10 cDNA (1200 bp/配列番号:1)(Kubo. et al. Nucleic Acids res. 26, 1998, 608-616.)とNos terminator配列を含むプラスミドpUC-ZPT2-10-NTを鋳型に、ZPT2-10コード配列の開始ATGコドンの前にNcoIサイトを導入するようデザインした上流プライマー(5’-CAT GCC ATG GAT CTT CTA CAA GAT-3’/配列番号:3)とベクター中のM13(-20)プライマー(Stratagene)とを用いてPCRを行い、NcoI-ZPT2-10:Nos-terminator断片を得た。次に、SK2プロモーター断片と、NcoI-ZPT2-10::Nos-terminator断片を、順番にpBluescript SK+に挿入してSK2::ZPT2-10::Nos-terminator遺伝子を作製し、これをpGreen0029バイナリーベクター(Hellens. et al., Plant Mol. Biol. 42, 2000, 819-832.)に導入し、pGreen-SK2::ZPT2-10を得た(図1)。
実施例2
(SK2:ZPT2-10融合遺伝子のペチュニア細胞への導入)
Hellensらの記述(Hellens. et al., Plant Mol. Biol. 42, 2000, 819-832.)に従い、pGreen-SK2::ZPT2-10を、pSoupプラスミドと混合し、エレクトロポレーション法によってAgrobacterium tumefaciens GV3101株に形質転換した。得られた形質転換アグロバクテリウムを用い、リーフディスク法によってペチュニアへ導入した(Jorgensen, R.A., Cluster, P.D., English, J., Que, Q., and Napoli, C.A. Plant Mol. Biol. 31, 1996, 957-973.)。
実施例3
(交雑特性の検定)
SK2::ZPT2-10遺伝子導入ペチュニアの開花1-2日後の花の葯から花粉を採集し、同植物体中のあらかじめ除雄した長さ5 cm以上のつぼみ(開花1日前)の柱頭に授粉して自家受粉を行った。その結果、いずれの個体も正常な種子を生じた。一方、SK2::ZPT2-10遺伝子導入ペチュニアの花粉を野生株の雌しべに受粉した場合、およびその逆の組み合わせによる受粉を行った場合、3つの独立な形質転換系統において、結実が全く認めらないという現象が認められた(表1および図2)。この現象を導入遺伝子依存性不和合性(TDI: Transgene-Dependent Incompatibility)、このような交配特性を示す系統をTDI系統と呼ぶことにした。TDI系統のペチュニアは、交雑特性以外の形質には異常が認められない。
実施例4
(TDI形質の遺伝)
TDI系統のT1世代を得るには独立な3系統のTDI系統T0個体の間で交配を行って種子を得た。T1世代について導入遺伝子と交雑形質を検定し、両者の連鎖について調査した。導入SK2::ZPT2-10遺伝子の遺伝を調べるには、各個体からゲノムDNAを抽出し、ZPT2-10遺伝子のcDNAをプローブとして用いてサザンブロット解析(Sambrook et al., Molecular Cloning., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)を行い、導入遺伝子特異的バンドの有無を調べた。その結果、T1個体の中には、SK2::ZPT2-10遺伝子を両親からそれぞれ遺伝したもの、片方の親から遺伝したもの、およびいずれからも遺伝しなかったものが、それぞれ存在することが判った(図3)。これらの各T1個体を用いて実施例3と同様の交配受粉を行い、交雑特性を検定した。その結果、TDI系統の親からSK2::ZPT2-10遺伝子を遺伝したすべてのT1個体が、親個体と同様、自家受粉および他のTDI系統との間の交配では稔性を示すが、野生株との交配においては不稔性を示すことがわかった(表2)。一方で、SK2::ZPT2-10遺伝子を遺伝しなかった個体では、一個体を除き、いずれの交配においても種子を生じ、全く正常な交配特性を示した。これらの結果は、TDI形質は、導入されたSK2::ZPT2-10遺伝子と強く連鎖し、後代に安定して遺伝することを示している。
実施例5
TDI個体と非形質転換体の間での不和合性受粉において、受粉以降のどの段階における異常が不稔性の原因であるかを調査した結果、花粉管伸長過程での阻害は見られず、花粉管は正常に胚珠に到達するが、受精後の胚発生が中断されるために致死となることが判った(図4)。
SK2:ZPT2-10遺伝子の構造図である。 T0世代におけるTDI系統の交雑特性を示す写真である。Aに可稔性交配、Bに不稔性交配の結実時の状態を示す。 TDI系統におけるT1世代への導入遺伝子の遺伝を調べた写真である。TDI-2とTDI-3との交配によって得られたT1世代個体のゲノムDNAをHindIIIで切断し、ZPT2-10のcDNAをプローブとして用いたサザン・ハイブリダイゼーションによって導入遺伝子(SK2:ZPT2-10)の存在を調べた。 TDIによる不稔は胚発生の停止に起因していることを示す写真である。不稔性交配(TDI(雌)xWT(雄))では球状型胚から心臓型胚の間で停止している。

Claims (6)

  1. ペチュニアに導入遺伝子依存性不和合性を付与する機能を有している下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNAまたは該DNAを含むベクターを有効成分として含有する、ペチュニアに導入遺伝子依存性不和合性を付与する薬剤。
    (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
    (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは10アミノ酸以内のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと6M尿素、0.4%SDS、0.1xSSCの条件でハイブリダイズするDNAであって、配列番号:1に記載の塩基配列と96%以上の相同性を有するDNA
  2. ペチュニアに導入遺伝子依存性不和合性を付与する機能を有している下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNAまたは該DNAを含むベクターが導入された、導入遺伝子依存性不和合性を示すペチュニアを再生しうるペチュニア細胞。
    (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
    (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは10アミノ酸以内のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと6M尿素、0.4%SDS、0.1xSSCの条件でハイブリダイズするDNAであって、配列番号:1に記載の塩基配列と96%以上の相同性を有するDNA
  3. 請求項2に記載のペチュニア細胞から再生された、導入遺伝子依存性不和合性を示すペチュニア
  4. 請求項3に記載のペチュニアの子孫またはクローンである、導入遺伝子依存性不和合性を示すペチュニア
  5. 請求項3または4に記載の導入遺伝子依存性不和合性を示すペチュニアの繁殖材料。
  6. 導入遺伝子依存性不和合性を示すペチュニアの生産方法であって、
    (i)ペチュニアに導入遺伝子依存性不和合性を付与する機能を有している下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNAまたは該DNAを含むベクターをペチュニア細胞に導入する工程、および
    (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
    (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは10アミノ酸以内のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号:1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと6M尿素、0.4%SDS、0.1xSSCの条件でハイブリダイズするDNAであって、配列番号:1に記載の塩基配列と96%以上の相同性を有するDNA
    (ii)工程(i)においてDNAまたはベクターが導入されたペチュニア細胞からペチュニアを再生する工程、
    を含む方法。
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