JP2001145429A - タペート層特異的ジンクフィンガー転写因子の遺伝子を用いて花粉稔性を低下させる方法 - Google Patents

タペート層特異的ジンクフィンガー転写因子の遺伝子を用いて花粉稔性を低下させる方法

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JP2001145429A
JP2001145429A JP33068099A JP33068099A JP2001145429A JP 2001145429 A JP2001145429 A JP 2001145429A JP 33068099 A JP33068099 A JP 33068099A JP 33068099 A JP33068099 A JP 33068099A JP 2001145429 A JP2001145429 A JP 2001145429A
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dna
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Sanjae Kapur
サンジャエ カプール
Akira Kobayashi
晃 小林
Hiroshi Takatsuji
博志 高辻
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NATL INST OF AGROBIOLOGICAL RESOURCES
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Sasaki Co Ltd
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Bio Oriented Technology Research Advancement Institution
Sasaki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 雄性不稔に代表される植物形質の改変に有用
な、葯の組織に特異的な遺伝子を利用する遺伝子工学的
手法を提供する。 【解決手段】 (i)特定の塩基配列を有するDNA、
(ii)(i)の塩基配列を有するDNAとストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズし、花粉の発達を制御
する転写因子をコードするDNA、又は(iii)
(i)もしくは(ii)の断片であるDNAのいずれか
である核酸と、この核酸に作動可能に連結されたプロモ
ーターとを含む、植物発現カセットを準備し、花粉の発
達を制御する内因性の転写因子を有する植物の細胞を提
供する工程では内因性の転写因子をコードする遺伝子
は、核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
され、発現カセットを植物細胞に導入し、植物細胞を植
物体に再生し、内因性の転写因子の発現が抑制された植
物体を選択する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雄しべの葯に特異
的に発現する遺伝子およびその利用に関する。本発明
は、特に、葯のタペート層に特異的に発現する、ペチュ
ニア由来のジンクフィンガー型転写因子(ZPT3−
2)の遺伝子およびその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】花粉の稔性は、農業・園芸における様々
な局面で問題になる。たとえば、交雑育種における交配
の際、自家受粉を避けるために、多くの労力がかかる除
雄(雄しべの除去)の作業が行われる。種苗産業におい
ては、交雑育種によって得られた優れた品種を商業的に
保護したいという立場から、花粉稔性の無い形質が求め
られている。このような要請から、花粉の稔性を制御す
る技術(pollination control)が
強く求められてきた。従来、特定の作物では、細胞質雄
性不稔性の系統が交雑育種に用いられ、一定の成功を収
めてきた。しかし、細胞質不稔形質は多くの場合、耐病
性の低下などの好ましくない副次効果を伴い、さらに形
質が不安定であること、種子の大量生産が困難なことな
どの問題がある。化学薬品処理によって稔性を低下させ
る方法も研究されているが、安全性評価および作用機作
解明が遅れており、実用化には至っていない。そこで、
遺伝子工学を用いた優れた雄性不稔化技術が求められて
いる。
【0003】タペート層は、葯壁の最も内側に位置し、
胞子形成細胞(花粉細胞)を取り囲んでいる組織であ
る。タペート層の役割は、花粉の発達に欠かせない重要
なものであり、単に花粉細胞の支持体としてだけでな
く、花粉の発達に必要な栄養の供給、四分子(tetr
ad)を包むカロース層の分解、花粉細胞表面のエキシ
ン層などを構成する化合物の供給など、多岐にわたって
いる。葯の発達は、胞子形成細胞の減数分裂直後にあた
る四分子期、四分子からの微小胞子の放出期、花粉細胞
の拡大および空胞形成に特徴付けられる一核期、有糸分
裂により栄養細胞および生殖細胞への分化が生じる有糸
細胞分裂期、その後の二核期という、各段階に区分され
る。これらの段階を経て、最終的に葯が開裂し、成熟し
た花粉粒が放出される。以上の発達過程において、タペ
ート層の機能の一部でも損なわれると、多くの場合、正
常な花粉の発達が阻害され、花粉稔性が失われることが
知られている。
【0004】上記のように、遺伝子工学による雄性不稔
化技術には大きな期待が寄せられている。特に、タペー
ト層のような、外部に露出していない小さな領域で特異
的に発現する遺伝子を利用できれば、植物に好ましくな
い形質を付与することなく、雄性不稔化を達成し得る可
能性が高いと考えられる。タペート層に特異的なプロモ
ーター、および、それを含む雄生不稔化のための遺伝子
構築物の例は、いくつか報告されている(Shivan
naおよびSawhney編, Pollenbiot
echnology for crop produc
tion and improvement (Cam
bridge UniversityPress)p
p.237−257,1997)。しかし、発現の組織
特異性および時期特異性が高い、花粉稔性の制御のため
に有用な新たな遺伝子に対する要望が依然として存在す
る。
【0005】本発明者らは、最近、ペチュニア由来の新
規な転写因子として、PEThyZPT3−2(以下、
ZPT3−2と略す)を含む7つのジンクフィンガー
(ZF)型転写因子のcDNA配列を特定した。そし
て、ノーザンブロット分析から、それぞれの転写因子が
葯特異的に、葯の発達の異なる段階において一過性の発
現を示すことを報告した(Kobayashiら,Pl
ant J.,13:571,1998)。しかし、こ
れらの転写因子の植物における生理的な機能および作
用、ならびに転写因子をコードする遺伝子の正確な発現
部位およびその発現調節機構は不明であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、雄性
不稔に代表される植物形質の改変に有用な、葯の組織に
特異的な遺伝子を利用する遺伝子工学的手法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以前にペ
チュニアから単離した、葯特異的な転写因子の一つ(Z
PT3−2)をコードする遺伝子をペチュニアに再導入
した。その結果、導入遺伝子が内因性遺伝子の発現を抑
制することによって、花粉の正常な発達が阻害され、花
粉の稔性が著しく低下することを見出した。さらに本発
明者らは、ZPT3−2のゲノム遺伝子から上流領域を
単離し、そのプロモーター活性の組織特異性を調べた。
その結果、4分子期から一核期にかけてのタペート層に
おいて、プロモーター活性が組織および時期特異的に発
現されることを見出した。本発明は、これらの知見に基
づいて完成された。
【0008】本発明は、その第1の局面において、雄性
不稔性の植物を作出する方法であって、以下の工程を包
含する方法に関する:(i)配列番号1によって示され
る塩基配列の第1位から第1886位までの配列を有す
るDNA、(ii)(i)の塩基配列を有するDNAと
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、花粉の
発達を制御する転写因子をコードするDNA、または
(iii)(i)もしくは(ii)の断片であるDNA
のいずれかである核酸と、上記核酸に作動可能に連結さ
れたプロモーターとを含む、植物発現カセットを提供す
る工程;花粉の発達を制御する内因性の転写因子を有す
る植物の細胞を提供する工程であって、ここで、内因性
の転写因子をコードする遺伝子は、上記核酸とストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズする、工程;発現カ
セットを植物細胞に導入する工程;発現カセットが導入
された植物細胞を、植物体に再生する工程;および、再
生された植物体であって、上記核酸が発現されることに
よって、内因性の転写因子の発現が抑制された植物体を
選択する工程。本発明の上記方法は、植物に雄性不稔性
を付与する方法として、利用され得る。
【0009】1つの実施態様において、上記核酸は上記
プロモーターに対して順方向で連結され、上記植物体の
細胞内でセンス方向に転写され得る。
【0010】1つの実施態様において、上記核酸は上記
プロモーターに対して逆方向で連結され、上記植物体の
細胞内でアンチセンス方向に転写され得る。
【0011】1つの実施態様において、上記植物は双子
葉植物である。双子葉植物は、好ましくはナス科植物で
あり、より好ましくはペチュニア属植物である。
【0012】1つの実施態様において、上記発現カセッ
トは植物発現ベクターに組み込まれている。
【0013】本発明の第1の局面によればまた、上記い
ずれかに記載の方法により作出された、雄性不稔性の植
物が提供される。
【0014】本発明は、その第2の局面において、雄性
不稔性の植物を作出する方法であって、以下の工程を包
含する方法に関する:(a)配列番号3によって示され
る塩基配列の第1位から第1991位までの配列を有す
るDNA、または(b)(a)の一部の配列を有し、葯
のタペート層に特異的なプロモーター活性を示すDNA
のいずれかを含むプロモーターと、上記プロモーターに
作動可能に連結された異種遺伝子とを含む、植物発現カ
セットを提供する工程;発現カセットを植物細胞に導入
する工程;および、発現カセットが導入された植物細胞
を、植物体に再生する工程。本発明の上記方法は、植物
に雄性不稔性を付与する方法として、利用され得る。
【0015】1つの実施態様において、上記植物は双子
葉植物である。双子葉植物は、好ましくはナス科植物で
あり、より好ましくはペチュニア属植物である。
【0016】1つの実施態様において、上記発現カセッ
トは植物発現ベクターに組み込まれている。
【0017】本発明の第2の局面によればまた、上記い
ずれかに記載の方法により作出された、雄性不稔性の植
物が提供される。
【0018】本発明は、その第3の局面において、以下
の(I)または(II)のDNAを含むプロモーターに
関する:(I)配列番号3によって示される塩基配列の
第1位から第1991位までの配列を有するDNA;ま
たは、(II)(I)の一部の配列を有し、葯のタペー
ト層に特異的なプロモーター活性を示す、DNA。
【0019】本発明は、その第4の局面において、上記
プロモーターと、上記プロモーターに作動可能に連結さ
れた異種遺伝子とを含む、植物に雄性不稔性を付与する
ために有用な植物発現カセットに関する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明について、以下に、より詳
細に説明する。
【0021】(ZPT3−2遺伝子由来の転写因子)本
発明の第1の局面である、雄性不稔性の植物を作出する
方法において有用な核酸は、(i)配列番号1によって
示される塩基配列の第1位から第1886位までの配列
を有するDNA、(ii)(i)の塩基配列を有するD
NAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、
花粉の発達を制御する転写因子をコードするDNA、ま
たは(iii)(i)もしくは(ii)の断片であるD
NAのいずれかである。本発明における上記核酸は、好
ましくは(i)のDNA、すなわち、ZPT3−2をコ
ードするDNA、またはその断片であり、より好ましく
は(i)のDNAである。
【0022】本明細書において「転写因子」とは、遺伝
子の調節領域のDNAに結合してmRNAの合成を制御
するタンパク質をいう。ある種の転写因子は、そのDN
A結合ドメインにジンクフィンガーモチーフと呼ばれる
保存性の高いアミノ酸配列を有することが知られてい
る。ZPT3−2は、Cys2/His2型(EPFフ
ァミリー)のジンクフィンガータンパク質であって、4
44アミノ酸からなる全長のアミノ酸配列内に3つのジ
ンクフィンガーモチーフを含み、さらにDLNL配列と
称される疎水性領域を含む転写因子である(Kobay
ashiら、前出)。ZPT3−2をコードするcDN
A配列(配列番号1)を、対応する推定アミノ酸配列
(配列番号2)と共に図1A〜1Dに示す。
【0023】本明細書において、核酸またはDNAの
「断片」とは、植物体に導入され、適切な様式で発現さ
れたときに、当該植物の内因性の転写因子の発現を抑制
し得る断片をいう。この断片は、上記(i)または(i
i)のDNAの、ジンクフィンガーモチーフをコードす
る領域以外から選択され、少なくとも約40塩基対以
上、好ましくは約50塩基対以上、より好ましくは約7
0塩基対以上、さらに好ましくは約100塩基対以上の
長さを有する。
【0024】本明細書において、ハイブリダイゼーショ
ンのための「ストリンジェントな条件」とは、特定の塩
基配列(例えば、ペチュニア由来のZPT3−2をコー
ドするDNA)と、これと相同性の高い他の塩基配列
(例えば、ペチュニア以外の植物に存在する、ZPT3
−2のホモログをコードするDNA)とのオリゴヌクレ
オチド二本鎖を形成させるのに十分な条件を意図する。
本発明に適用されるストリンジェントな条件の代表的な
例として、次の条件が挙げられる:1M NaCl、1
%SDS、10%デキストラン硫酸、32P標識プローブ
DNA(1x10 7cpm)および50μg/mlサケ
精子DNAを含む溶液中で、60℃で16時間ハイブリ
ダイズさせた後、2xSSC/1%SDSで60℃、3
0分間の洗浄を2回繰り返す。
【0025】本発明における、ZPT3−2をコードす
るDNA、およびこれとストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズし、花粉の発達を制御する転写因子をコー
ドするDNAを単離するためには、公知の転写因子の遺
伝子によりコードされるアミノ酸配列の保存領域に対応
するデジェネレートプライマー対を用い得る。このプラ
イマー対を用いて、植物のcDNAまたはゲノミックD
NAを鋳型としてPCRを行い、その後、得られた増幅
DNA断片をプローブとして用いて、同じ植物のcDN
Aライブラリーまたはゲノミックライブラリーをスクリ
ーニングすることができる。そのようなプライマー対の
例として、5’−CARGCNYTNGGNGGNCA
Y−3’(配列番号4)と、3’−RTGNCCNCC
NARNGCYTG−5’(配列番号5)との組合せが
挙げられる(ここで、Nはイノシンであり、RはGまた
はAであり、そしてYはCまたはTである)。上記プラ
イマー配列は、それぞれ、ZPT3−2のジンクフィン
ガーモチーフに含まれるアミノ酸配列QALGGHに対
応する。
【0026】従って、本発明に適用されるストリンジェ
ントなハイブリダイゼーション条件はまた、PCRの条
件としても規定され得、代表的な例においては、上記デ
ジェネレートプライマー(配列番号4および5)が用い
られ得る。この際のPCR反応条件は、94℃で5分間
の変性の後、94℃で30秒間、50℃で30秒間、そ
して72℃で1分間を30サイクル繰り返し、最後に、
72℃で7分間インキュベーションを行う条件であり得
る。
【0027】PCRは、市販のキットおよび装置の製造
者の指針に基づいて行うか、当業者に周知の手法で行い
得る。遺伝子ライブラリーの作製法、および遺伝子のク
ローニング法なども当業者に周知である。例えば、Sa
mbrookら,Molecular Clonin
g:A Laboratory Manual、第2版
(Cold Spring Harbor Labor
atory,1989)を参照のこと。得られた遺伝子
の塩基配列は、当該分野で公知のヌクレオチド配列解析
法または市販されている自動シーケンサーを利用して決
定し得る。
【0028】本明細書において、転写因子が「花粉の発
達を制御する」とは、代表的には、この転写因子の発現
が阻害されるとき、花粉の形態または機能において有意
な変化が観察されることをいう。本発明における転写因
子は、代表的には、それをコードする遺伝子の発現が阻
害されることにより、好ましくは約60%以上、より好
ましくは約75%以上、さらに好ましくは約90%以上
の花粉細胞を、成熟する前に死滅せしめる。ここで、転
写因子の発現が阻害されるとは、ノーザンブロット法に
より測定したとき、mRNAの量が、野生型のコントロ
ール植物と比較して約10分の1以下になることをい
う。
【0029】上記のようなスクリーニングによって単
離、同定された遺伝子によってコードされる転写因子
(すなわち、ZPT3−2およびZPT3−2ホモロ
グ)が花粉の発達を制御することは、本明細書の開示に
従って形質転換植物を作出し、その花粉の特性を観察す
ることによって、確認し得る。
【0030】本発明においては、花粉の発達を制御する
転写因子をコードするDNAまたはその断片を利用し
て、植物細胞において、当該DNAと同一のまたは相同
な塩基配列を含む内因性遺伝子の発現を抑制し得る。標
的となる内因性遺伝子もまた、花粉の発達を制御する転
写因子である。本発明の方法によれば、好ましくは、花
粉の発達を制御する内因性転写因子以外の発現を実質的
に抑制することなく、内因性転写因子の発現のみを選択
的に抑制することによって、植物に雄性不稔性が付与さ
れる。
【0031】すなわち、本発明における発現抑制技術が
適用される植物細胞は、花粉の発達を制御する内因性の
転写因子を有する植物の細胞であって、この内因性の転
写因子をコードする遺伝子は、上記ZPT3−2または
ZPT3−2ホモログのDNAとストリンジェントな条
件下でハイブリダイズするものとして規定される。ここ
で「ストリンジェントな条件」の定義は、ZPT3−2
ホモログの特定に関連して上述した条件と同じである。
本発明の範囲を限定する意図ではないが、上記方法によ
って雄性不稔性を付与し得る植物は、ZPT3−2遺伝
子が単離されたペチュニア、またはZPT3−2ホモロ
グをコードする遺伝子が単離された植物と、進化系統学
上近縁の植物であることが望ましい。ここで、進化系統
学上近縁とは、代表的には同じ目に分類され、好ましく
は同じ科に分類され、より好ましくは同じ属に分類さ
れ、さらに好ましくは同じ種に分類される植物である。
もっとも、葯の最内層にタペート層が存在し花粉の発達
に不可欠な機能を果たしていることは、ほとんどの種子
植物に共通する事実であるので、この点を考慮すれば、
ZPT3−2と同一または類似の機能を果たす転写因子
が他の植物にも広く存在し得ることは容易に理解され
る。
【0032】内因性遺伝子の発現を抑制するための手法
として、代表的にはコサプレッションおよびアンチセン
ス技術を利用し得る。コサプレッションは、植物細胞に
組み換え遺伝子を導入したとき、その遺伝子自体、およ
びその遺伝子の一部と相同な配列を含む内因性遺伝子の
両者の発現が抑制されることをいう。コサプレッション
が利用される場合、本発明における発現カセットは、転
写因子をコードするDNAまたはその断片を、プロモー
ターに対して順方向で連結された形態で含む。転写因子
をコードするDNAまたはその断片は、発現カセットと
して植物細胞に導入された後、プロモーターの制御下で
センス方向に転写され得る。この導入DNAの作用によ
り、所望とする遺伝子発現の抑制が可能となる。コサプ
レッションは、形質転換植物の一部の個体で認められ、
他の個体では十分に起こらない場合が多い。そのため、
通常、遺伝子発現が意図されたように抑制された個体
が、慣用的な手順に従って選択される。
【0033】アンチセンスは、植物細胞に組み換え遺伝
子を導入したとき、導入遺伝子の転写産物(mRNA)
が、内因性遺伝子の転写産物(mRNA)の相補的な配
列とハイブリッドを形成して、内因性遺伝子がコードす
るタンパク質の翻訳が阻害されることをいう。アンチセ
ンスが利用される場合、本発明における発現カセット
は、転写因子をコードするDNAまたはその断片を、プ
ロモーターに対して逆方向で連結された形態で含む。転
写因子をコードするDNAまたはその断片は、発現カセ
ットとして植物細胞に導入された後、プロモーターの制
御下でアンチセンス方向に転写され得る。このアンチセ
ンス転写物の作用により、所望とする遺伝子発現の抑制
が可能となる。
【0034】(ZPT3−2遺伝子由来のプロモータ
ー)本発明の第2の局面である、形質が改変された植物
を作出する方法において有用なプロモーターは、(a)
配列番号3によって示される塩基配列の第1位から第1
991位までの配列を有するDNA、または(b)
(a)の一部の配列を有し、葯のタペート層に特異的な
プロモーター活性を示すDNAのいずれかを含むプロモ
ーターである。本発明における上記プロモーターは、好
ましくは(a)のプロモーター、すなわち、ZPT3−
2遺伝子のプロモーターである。
【0035】ZPT3−2遺伝子のプロモーター領域
の、組識特異的な発現活性に必須でない配列を除去して
得られる、タペート層に特異的なプロモーター活性を有
する配列は、本発明の範囲内にある。このような配列
は、常法に従ってプロモーターのデリーション実験を行
うことによって、得ることができる。簡潔には、ZPT
3−2遺伝子のプロモーター領域の様々な欠失変異体
(例えば、ZPT3−2遺伝子のプロモーター領域を、
5’上流側から種々の長さに欠失させた変異体)と、適
切なレポーター遺伝子(例えば、GUS遺伝子)とを融
合したプラスミドを用いて、欠失変異体の組識特異的プ
ロモーター活性を測定することによって、その活性に必
須な領域を特定し得る。
【0036】いったんプロモーター活性に必須の領域が
特定されると、さらにその領域内の配列または隣接配列
を改変して、プロモーターの発現活性の程度を高めるこ
とも可能である。このようにして得られる改変体もま
た、タペート層に特異的なプロモーター活性を示す限
り、本発明の範囲内にある。
【0037】本発明において、「タペート層に特異的な
プロモーター活性を示す」とは、プロモーターが、天然
の植物中で、または任意の構造遺伝子に連結させた発現
カセットとして植物に導入されたときに、DNAの転写
を開始させることにより遺伝子の発現を指示する能力
を、タペート層において特異的に示すことを意味する。
ここで「特異的」とは、同じ植物体の花の、他のすべて
の組織(花粉、花糸、花柱、花頭、花弁、萼(がく)な
どを含む)よりも、プロモーターの発現活性が高いこと
をいう。上記特異的なプロモーターは、好ましくは、同
じ植物体の花の他のすべての組織および花以外の部分
(根、葉、茎など)よりも、プロモーターの発現活性が
高く、より好ましくは、同じ植物体の花の他のすべての
組織および花以外の部分において実質的に活性を示さな
い。発現活性の程度は、常法に従って、タペート層にお
けるプロモーターの発現レベルと、花の他の組識におけ
る同じプロモータの発現レベルとを比較することによっ
て、評価され得る。プロモーターの発現レベルは、通
常、そのプロモーターの制御下で発現される遺伝子産物
の産生量によって決定される。
【0038】上記の特異的プロモーターを利用する植物
への雄性不稔性の付与は、本発明におけるプロモーター
に作動可能に連結された任意の異種遺伝子が、この遺伝
子を導入された形質転換植物において、プロモーターの
制御下でタペート層に特異的に発現される結果として生
じ得る。多くの組織特異的プロモーターにおいて、その
組織特異性が種間を越えて保存されていることは周知で
あるので、本発明のプロモーターもまた幅広い植物種に
適用し得ることが容易に理解される。
【0039】本発明のプロモーターは、例えば、公知の
cDNAをプローブとして用いて、植物のゲノミックラ
イブラリーをスクリーニングし、そして対応のゲノミッ
ククローンからコード領域の上流配列を単離することに
より得ることができる。cDNAの例として、上述した
ペチュニア由来の転写因子であるZPT3−2のcDN
Aが挙げられる。
【0040】本発明におけるプロモーターは、天然から
単離されたものに限定されず、合成ポリヌクレオチドも
含み得る。合成ポリヌクレオチドは、例えば、上記のよ
うにして配列決定されたプロモーターの配列またはその
活性領域を、当業者に周知の手法によって合成または改
変することにより入手し得る。
【0041】(発現カセットおよび発現ベクターの構
築)本発明における転写因子をコードするDNAは、当
業者に周知の方法を用いて、適切なプロモーターに作動
可能に連結された発現カセットとして、公知の遺伝子組
換え技術を用いて、植物細胞に導入され得る。同様に、
本発明におけるタペート層特異的プロモーターは、所望
の異種遺伝子に作動可能に連結された発現カセットとし
て、植物細胞に導入され得る。
【0042】上記転写因子に連結され得る「プロモータ
ー」は、植物で発現する任意のプロモーターを意味し、
構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、および
誘導性プロモーターのいずれをも含み得る。
【0043】「構成的プロモーター」は、植物細胞内外
の刺激と関係なく一定のレベルで構造遺伝子を発現せし
めるプロモーターをいう。異種遺伝子が植物の他の組織
または器官で発現しても、植物に望ましくない形質を与
えない場合には、構成的プロモーターの使用が簡便であ
り、好ましい。構成的プロモーターの例としては、カリ
フラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモ
ーター(P35S)、およびノパリン合成酵素のプロモ
ーター(Tnos)が挙げられるが、これらに限定され
ない。
【0044】「組織特異的プロモーター」は、本発明に
おいては、少なくともタペート層を含む葯の組織におい
て特異的に構造遺伝子を発現せしめるプロモーターをい
う。このような組織特異的プロモーターには、本発明に
おけるZPT3−2遺伝子由来のプロモーターに加え
て、葯特異的に発現活性を示す他の公知のプロモーター
が含まれる。したがって、タペート層特異的プロモータ
ーと転写因子をコードする配列とを含む、天然のZPT
3−2遺伝子の発現カセット自体を、必要に応じて他の
調節エレメントと組み合わせて、使用することも本発明
の範囲に含まれる。
【0045】「誘導性プロモーター」は、化学薬剤、物
理的ストレスなどの特定の刺激を与えたときに構造遺伝
子を発現せしめ、刺激の非存在下では発現活性を示さな
いプロモーターをいう。誘導性プロモーターの例として
は、オーキシンで誘導可能な、グルタチオン S−トラ
ンスフェラーゼ(GST)プロモーター(van de
r Kop,D.A.ら、Plant Mol. Bi
ol.,39:979,1999)が挙げられるが、こ
れに限定されない。
【0046】本明細書において、用語「発現カセット」
または「植物発現カセット」とは、本発明における転写
因子をコードするDNAと、これに作動可能に(すなわ
ち、当該DNAの発現を制御し得るように)連結された
植物発現プロモーターとを含む核酸配列、ならびに、本
発明におけるタペート層特異的プロモーターと、これに
作動可能に(すなわち、インフレームに)連結された異
種遺伝子とを含む核酸配列をいう。
【0047】上記のタペート層特異的プロモーターに連
結され得る「異種遺伝子」とは、ZPT3−2遺伝子以
外のペチュニアにおける内因性遺伝子、もしくはペチュ
ニア以外の植物における内因性遺伝子、または植物に対
して外来の遺伝子(例えば、動物、昆虫、細菌、および
真菌に由来する遺伝子)であって、その遺伝子産物の発
現がタペート層において所望される任意の遺伝子をい
う。本発明における異種遺伝子の好ましい例は、コード
する遺伝子産物が細胞毒性を示し、その発現によって花
粉の発達を阻害する遺伝子である。このような遺伝子の
具体例として、barnase遺伝子(Beals,
T.P.およびGoldberg,R.B.,Plan
t Cell,9:1527,1997)が挙げられる
が、これに限定されない。
【0048】「植物発現ベクター」は、発現カセットに
加えて、さらに種々の調節エレメントが、宿主植物の細
胞中で作動し得る状態で連結されている核酸配列をい
う。好適には、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子、およ
びエンハンサーを含み得る。植物発現ベクターのタイプ
および使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に
応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
本発明に用いる植物発現ベクターは、さらにT−DNA
領域を有し得る。T−DNA領域は、特にアグロバクテ
リウムを用いて植物を形質転換する場合に遺伝子の導入
の効率を高める。
【0049】「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク
質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNA
に転写される際の転写の終結、およびポリA配列の付加
に関与する配列である。ターミネーターは、mRNAの
安定性に寄与し、そして遺伝子の発現量に影響を及ぼす
ことが知られている。ターミネーターの例としては、ノ
パリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)、
およびカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35
Sターミネーターが挙げられるが、これらに限定されな
い。
【0050】「薬剤耐性遺伝子」は、形質転換植物の選
抜を容易にするものであることが望ましい。カナマイシ
ン耐性を付与するためのネオマイシンホスホトランスフ
ェラーゼII(NPTII)遺伝子、およびハイグロマ
イシン耐性を付与するためのハイグロマイシンホスホト
ランスフェラーゼ遺伝子などが好適に用いられ得るが、
これらに限定されない。
【0051】本発明における植物発現ベクターは、当業
者に周知の遺伝子組換え技術を用いて作製され得る。植
物発現ベクターの構築には、例えば、pBI系のベクタ
ーまたはpUC系のベクターが好適に用いられるが、こ
れらに限定されない。
【0052】(形質転換植物の作出)上述のように構築
された発現カセット、またはこれを含む発現ベクター
は、公知の遺伝子組換え技術を用いて、所望の植物細胞
に導入され得る。導入された発現カセットは、植物細胞
中のDNAに組み込まれて存在する。なお、植物細胞中
のDNAとは、染色体のみならず、植物細胞中に含まれ
る各種オルガネラ(例えば、ミトコンドリア、葉緑体)
に含まれるDNAをも含む。
【0053】本明細書において、用語「植物」は、単子
葉植物および双子葉植物のいずれも含む。好ましい植物
は、双子葉植物である。双子葉植物は、離弁花亜綱およ
び合弁花亜綱のいずれも含む。好ましい亜綱は、合弁花
亜綱である。合弁花亜綱は、リンドウ目、ナス目、シソ
目、アワゴケ目、オオバコ目、キキョウ目、ゴマノハグ
サ目、アカネ目、マツムシソウ目、およびキク目のいず
れも含む。好ましい目は、ナス目である。ナス目は、ナ
ス科、ハゼリソウ科、ハナシノブ科、ネナシカズラ科、
およびヒルガオ科のいずれも含む。好ましい科は、ナス
科である。ナス科は、ペチュニア属、チョウセンアサガ
オ属、タバコ属、ナス属、トマト属、トウガラシ属、ホ
オズキ属、およびクコ属などを含む。好ましい属は、ペ
チュニア属、チョウセンアサガオ属、およびタバコ属で
あり、より好ましくは、ペチュニア属である。ペチュニ
ア属は、P.hybrida種、P.axillari
s種、P.inflata種、およびP.violac
ea種などを含む。好ましい種は、P.hybrida
種である。「植物」は、特に他で示さない限り、花を有
する植物体および植物体から得られる種子を意味する。
【0054】「植物細胞」の例としては、花、葉、およ
び根などの植物器官における各組織の細胞、カルスなら
びに懸濁培養細胞が挙げられる。
【0055】植物細胞への植物発現ベクターの導入に
は、当業者に周知の方法、例えば、アグロバクテリウム
を介する方法、および直接細胞に導入する方法が用いら
れ得る。アグロバクテリウムを介する方法としては、例
えば、Nagelらの方法(FEMS Microbi
ol.Lett.,67:325(1990))が用い
られ得る。この方法は、まず、植物発現ベクターで(例
えば、エレクトロポレーションによって)アグロバクテ
リウムを形質転換し、次いで、形質転換されたアグロバ
クテリウムをリーフディスク法などの周知の方法により
植物細胞に導入する方法である。植物発現ベクターを直
接細胞に導入する方法としては、エレクトロポレーショ
ン法、パーティクルガン、リン酸カルシウム法、および
ポリエチレングリコール法などがある。これらの方法
は、当該分野において周知であり、形質転換する植物に
適した方法が、当業者により適宜選択され得る。
【0056】植物発現ベクターを導入された細胞は、例
えば、カナマイシン耐性などの薬剤耐性を基準として選
択される。選択された細胞は、常法により植物体に再生
され得る。
【0057】再生した植物体において、導入した植物発
現ベクターが機能的であることは、当業者に周知の手法
を用いて確認し得る。例えば、内因性遺伝子の発現の抑
制を目的とする場合、この確認は、ノーザンブロット解
析を用いた転写レベルの測定によって行い得る。このよ
うにして、内因性の転写因子の発現が抑制された所望と
する形質転換植物体を選択することができる。組織特異
的プロモーターを用いた異種遺伝子の発現を目的とする
場合も、異種遺伝子の発現の確認は、通常、対象組織か
ら抽出されたRNAを試料とするノーザンブロット解析
を用いて行い得る。この解析法の手順は当業者に周知で
ある。
【0058】本発明の方法に従って内因性の転写因子の
発現が抑制され、花粉の稔性が低下したことは、例え
ば、転写因子をコードするDNAを含む発現ベクターで
形質転換して得られた植物の花粉の形態を、必要に応じ
て組識化学的染色を行ったうえ、顕微鏡観察することで
確認できる。
【0059】また、本発明の方法に従ってプロモーター
がタペート層に特異的に発現されたことは、例えば、プ
ロモータとGUS遺伝子とが作動可能に連結された発現
ベクターで形質転換して得られた植物における、葯を含
む花の組織でのGUS活性の分布を、常法により組識化
学的染色を行うことで確認できる。
【0060】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明を説明す
る。本発明の範囲は、実施例のみに限定されるものでは
ない。実施例で使用される制限酵素、プラスミドなど
は、商業的な供給源から入手可能である。
【0061】(実施例1:ZPT3−2をコードするポ
リヌクレオチドを含む植物発現ベクターの構築)以前に
報告した葯特異的ZF遺伝子(Kobayashiら、
前出)のうち、PEThyZPT3−2(ZPT3−
2)のcDNAを、カリフラワーモザイクウイルスの3
5Sプロモーターの下流につないで、植物発現ベクター
を作成した。
【0062】具体的には、プラスミドpBI221(C
LONTECH Laboratories Inc.
から購入)中のカリフラワーモザイクウイルス35Sプ
ロモーターを含むDNA断片(HindIII−Xba
I断片)およびNOSターミネーターを含むDNA断片
(SacI−EcoRI断片)を順次プラスミドpUC
AP(van Engelen,F.A.ら、Tran
sgenic Res.,4:288,1995)のマ
ルチクローニングサイトに挿入し、pUCAP35Sを
作製した。一方、ZPT3−2のcDNAを含むpBl
uescript ベクターをKpnIサイトおよびS
acIサイト(いずれもベクター中のサイト)で切断
し、上記pUCAP35SのKpnIおよびSacIサ
イトの間に挿入した。さらにこの組み換えプラスミドを
EcoRIおよびHindIIIで切断し、ZPT3−
2をコードするDNA断片をバイナリーベクターpBI
NPLUS(van Engelen,F.A.ら、前
出)のEcoRIおよびHindIIIサイトに導入し
た。構築されたZPT3−2遺伝子は、図2から明らか
なように、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)
の35Sプロモーター領域(P35S;0.9kb)、
本発明におけるZPT3−2をコードするポリヌクレオ
チド(ZPT3−2;約1.9kb)、およびノパリン
合成酵素のターミネーター領域(Tnos;0.3k
b)から構成されている。図2中のPnosは、ノパリ
ン合成酵素のプロモーター領域、NPTIIは、ネオマ
イシンホスホトランスフェラーゼII遺伝子を示す。
【0063】(実施例2:ZPT3−2プロモーター領
域の単離およびGUSレポーター遺伝子との連結)ZP
T3−2のcDNAをプローブにして、ペチュニアのゲ
ノムDNAライブラリーから、対応するゲノミック・ク
ローンを単離し、転写開始点上流のDNA断片(プロモ
ーター領域;約2.0kb)をサブクローニングした。
このDNA断片をGUSレポーター遺伝子の上流につな
いでバイナリー・ベクターにクローニングした。
【0064】具体的には、ZPT3−2のcDNAを、
通常のランダムプライム法(Sambrookら、前
出)を用いて[α32P]dCTPで標識して放射性標
識プローブを作製し、これを用いてEMBL3ベクター
(Stratagene製)中に作製したペチュニア
(Petunia hybrida var. Mit
chell)のゲノミックライブラリーをスクリーニン
グした。得られたクローンから遺伝子上流領域を含む約
2.0kbのゲノムDNA断片をpBluescrip
tSKベクターのEcoRIサイトにサブクローニング
し(pBS−ZPT3−2−E)、塩基配列を決定した
(図3)。次に、ZPT3−2遺伝子上流配列中のBg
lIIサイト(塩基番号2006)にSalI認識配列
を含むリンカーDNAを挿入し、SalIサイトを導入
した(塩基番号2016)。そして、EcoRIおよび
SalIで切断して得られたDNA断片をpUCAPG
USNTのGUSコード領域の上流に挿入した(pUC
AP−ZPT3−2−GUSNT)。これによってZP
T3−2遺伝子コード領域のN末端近傍の領域でinf
rameでGUSコード領域と接続された。さらにpU
CAP−ZPT3−2−GUSNTをEcoRIおよび
HindIIIで切断して得られるDNA断片(ZPT
3−2プロモーター、GUSコード領域およびNOSタ
ーミネーターを含む)をpBINPLUSベクターに挿
入し、pBIN−ZPT3−2−GUSを得た(図
4)。
【0065】(実施例3:各融合遺伝子のペチュニア細
胞への導入)上記の各発現ベクターを、以下の手順で、
アグロバクテリウムを介して、ペチュニア(Petun
ia hybrida var. Mitchell)
に導入した。
【0066】(1)アグロバクテリウム・チュメファシ
エンスLBA4404株(CLONTECH Labo
ratories Inc.から購入)を250mg/
mlのストレプトマイシンと50mg/mlのリファン
ピシンを含むL培地中、28℃で培養した。Nagel
ら(前出)の方法に従って、細胞懸濁液を調製し、実施
例1および2で構築したプラスミドベクターをエレクト
ロポレーションにより、上記菌株に導入した。
【0067】(2)各融合遺伝子をコードするポリヌク
レオチドを、以下の方法によって、ペチュニア細胞へ導
入した:上記(1)で得られたアグロバクテリウム・チ
ュメファシエンスLBA4404株をYEB培地(DN
A Cloning 第2巻、78頁、Glover
D.M.編、IRL Press、1985)で振とう
培養(28℃、200rpm)した。得られた培養液
を、滅菌水で20倍に希釈し、ペチュニア(Petun
ia hybrida var. Mitchell)
の葉片と共存培養した。2〜3日後、抗生物質を含む培
地で上記細菌を除去し、2週間ごとに選択培地で継代
し、上記2種類の融合遺伝子と共に導入された、pBI
NPLUS由来のNPTII遺伝子の発現によるカナマ
イシン抵抗性の有無に基づいて、形質転換されたペチュ
ニア細胞を選抜した。選抜した細胞を、常法によりカル
スを誘導した後、植物体に再分化した(Jorgens
enR.A.ら,Plant Mol. Biol.,
31:957,1996)。
【0068】(実施例4:ZPT3−2遺伝子を導入し
た形質転換ペチュニアの表現型)実施例1のベクターを
導入して得られた形質転換体を用い、ZPT3−2の発
現量の測定と花粉の形態の観察とを行うことによって、
ZPT3−2のcDNA導入による植物への作用と効果
とを検討した。
【0069】具体的には、ZPT3−2のcDNAを3
5Sプロモーターの制御下に導入した形質転換体(15
個体)から、ノーザンブロット解析によって、コサプレ
ッションによる遺伝子発現の抑制が起こった個体(4個
体)を選抜した。ノーザンブロット解析の条件は、次の
通り:7%SDS、50%ホルムアミド、5xSSC、
2%ブロッキング試薬(Boehringer Man
nheim製)、50mMリン酸ナトリウム・バッファ
ー(pH7.0)、0.1%ラウリルサルコシン・ナト
リウム、50μg/ml酵母tRNA、および32P標識
プローブDNA(1x107cpm)を含む溶液中で、
68℃で16時間ハイブリダイズさせた後、2xSSC
/0.1%SDSで68℃、30分間の洗浄。
【0070】上記のコサプレッション形質転換体4個体
において、約90%の花粉細胞が、成熟する前に死滅す
ることが観察された。常法によるフラボノール染色の結
果、これらの形質転換体において破裂した細胞には、花
粉細胞表面のエキシン層に含まれるはずのフラボノール
がほとんど検出されなった(図5;形質転換植物の花粉
を示す写真において、青白く見える不規則な形状の粒子
が、破裂した細胞である)。
【0071】上記観察結果から、遺伝子発現の抑制が起
こった形質転換体の花粉細胞では、エキシン層の蓄積の
異常による細胞壁の発達不全のため、浸透圧に耐えられ
ない細胞が破裂したものと推測される。四分子期までの
花粉細胞の発達には正常植物との間に違いが認められな
い。花粉に異常が表れる時期は、エキシン層が蓄積する
時期およびZPT3−2遺伝子が本来発現する時期とよ
く符合しており、上記の作用機作を支持している。遺伝
子発現の抑制が起こった形質転換体において、花粉以外
の形質には変化が認められなかった。なお、ZPT3−
2遺伝子を過剰に発現する個体では、花粉および他の形
質のいずれについても変化は認められなかった。
【0072】以上のように、ZPT3−2をコードする
遺伝子の導入によって、高い効率で花粉の発達を阻害
し、稔性を喪失させることができる。この効率は、遺伝
子導入の際に用いるプロモーターを最適化することで、
さらに高めることが可能である。例えば、実施例1のベ
クターに用いた単一のCaMV35Sプロモーターに代
えて、CaMV35Sプロモーターを2個直列につない
で活性を高めたもの(いわゆる、E2プロモーター)な
どが利用可能である。また、ZPT3−2遺伝子の導入
は、その効果が花粉に特異的であり、植物の他の形質に
は影響を与えない点で、選択的な形質改変技術として有
用であり得る。
【0073】(実施例5:ZPT3−2プロモーター活
性の組織特異性)実施例2のベクターを導入して得られ
た形質転換体を用い、GUS活性による組織化学的染色
を行うことによって、上記DNA断片が有する組織特異
的プロモーター活性を検出した。
【0074】具体的には、ZPT3−2遺伝子の上流領
域とGUSとの融合遺伝子を導入して得られた形質転換
体の花を用い、X−GUSを基質にしてGUS活性の分
布を調べた(Gallagher,S.R.編、GUS
protocols:using the GUS
gene as a reporter of gen
e expressin、Academic Pres
s,Inc.,pp.103−114,1992)。そ
の結果、GUS活性は葯のタペート層に特異的に検出さ
れた(図6)。発現の時期は一過的で、活性のピーク
は、花粉細胞における減数分裂直後の四分子期にほぼ相
当した。従って、ZPT3−2遺伝子のプロモーター
は、葯のタペート層に特異的な活性を示すことがわかっ
た。
【0075】以上のように、ZPT3−2遺伝子のプロ
モーターは、四分子期前後のタペート層に特異的な活性
を示す。タペート層は、上述のように、花粉の発達に必
須の役割を果たす組織である。従って、このプロモータ
ーは、花粉の発達に関連する詳細な研究のためのツール
として有用である。さらに、このプロモーターまたはそ
の活性断片を用いて、細胞毒性のある遺伝子などを特異
的に発現させ、タペート層の組織を破壊しまたは機能を
失わせることによって、花粉の発達を阻害し得る。
【0076】
【発明の効果】ZPT3−2遺伝子由来の転写因子をコ
ードするDNA、およびZPT3−2遺伝子由来のプロ
モーターを利用する本件発明の方法は、遺伝子工学的に
植物の形質を選択的に改変する技術、特に、雄性不稔形
質を付与する技術として有用である。
【0077】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> DIRECTOR GENERAL OF NATIONAL INSTITUTE OF AGROBIOLOGICAL RESOURCS, MINISTRY OF AGROCULTURE, FORESTRY AND FISHERIES <120> METHOD OF DECREASING POLLEN FERTILITY BY USE OF GENE OF TRANSCRIPTION FACTOR SPECIFIC TO TAPETUM <130> J199412449 <140> <141> <160> 5 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 1886 <212> DNA <213> Petunia hybrida <220> <221> CDS <222> (283)..(1617) <400> 1 cccacgcgtc cgcatgtgca gagataaata taaaccaaca tgacctacca ttaagatgag 60 acgatgatca tctaaaattt tggagctcag atgattttat tcgacaaatt tcctattttc 120 tcgctatggg tttccttttc agctaagcta cctccctcct tcttcttgat ttgattttct 180 tgggtttctt gtttcttctt gttttagggt ttttgataca catatatagt tgcttagtta 240 cgtagctaag taaggtgggt tatttcattt cttgaacttt ca atg gtt gat tat 294 Met Val Asp Tyr 1 caa gat ctt caa gtt ggg atg agc gga aca ctg tgg ata caa ctc aag 342 Gln Asp Leu Gln Val Gly Met Ser Gly Thr Leu Trp Ile Gln Leu Lys 5 10 15 20 att gaa gac aaa caa gtt caa gaa ttg gat cat agt caa gat att atg 390 Ile Glu Asp Lys Gln Val Gln Glu Leu Asp His Ser Gln Asp Ile Met 25 30 35 gac tat gag gtt cca aaa aat aat gat cat act agg att tgt gag gtg 438 Asp Tyr Glu Val Pro Lys Asn Asn Asp His Thr Arg Ile Cys Glu Val 40 45 50 tgt aac aaa ggg ttt agc tca ggt aaa gca ctt ggg ggt cac atg aga 486 Cys Asn Lys Gly Phe Ser Ser Gly Lys Ala Leu Gly Gly His Met Arg 55 60 65 att cac gtt cag gct gcc aaa aag ctc tta tct gtt ggt aaa aag tgc 534 Ile His Val Gln Ala Ala Lys Lys Leu Leu Ser Val Gly Lys Lys Cys 70 75 80 aaa aag ctg aac cca ttc ggt tcc agg tat tac aag aaa cga ata tta 582 Lys Lys Leu Asn Pro Phe Gly Ser Arg Tyr Tyr Lys Lys Arg Ile Leu 85 90 95 100 tta caa caa gat gat cat caa gat aat tac aac aat gac atc aag aat 630 Leu Gln Gln Asp Asp His Gln Asp Asn Tyr Asn Asn Asp Ile Lys Asn 105 110 115 cag ttg gca cca att tgt tca gtt tgt ggt aag aat ttt cca tca atg 678 Gln Leu Ala Pro Ile Cys Ser Val Cys Gly Lys Asn Phe Pro Ser Met 120 125 130 aaa tca ttg ttt ggg cat atg aga tct cat cct gaa agg gcc tgg aga 726 Lys Ser Leu Phe Gly His Met Arg Ser His Pro Glu Arg Ala Trp Arg 135 140 145 gga att caa cct cca gct cct aat aaa aac agt tgt ttg tca tca gct 774 Gly Ile Gln Pro Pro Ala Pro Asn Lys Asn Ser Cys Leu Ser Ser Ala 150 155 160 tcc aat gaa att gct gct act act aag tcg ggg gat tta tcg gtg cct 822 Ser Asn Glu Ile Ala Ala Thr Thr Lys Ser Gly Asp Leu Ser Val Pro 165 170 175 180 ggt tgg tct gtt aag gct aag cga ggc cga aag ggt act att gct gaa 870 Gly Trp Ser Val Lys Ala Lys Arg Gly Arg Lys Gly Thr Ile Ala Glu 185 190 195 gca tca tct aac tcg agt ctt ggt tct aga agt ttc tct ttt gat caa 918 Ala Ser Ser Asn Ser Ser Leu Gly Ser Arg Ser Phe Ser Phe Asp Gln 200 205 210 gaa aag gat gac gag gag cac gaa tta cac gat gct gtt ggt cat ctt 966 Glu Lys Asp Asp Glu Glu His Glu Leu His Asp Ala Val Gly His Leu 215 220 225 atg ttg tta gcc aat gga aat aag act agt gca gat caa gaa ttg gaa 1014 Met Leu Leu Ala Asn Gly Asn Lys Thr Ser Ala Asp Gln Glu Leu Glu 230 235 240 ata acc aac agt aat tcg ctt act tcc aaa gct gaa act gaa caa gtc 1062 Ile Thr Asn Ser Asn Ser Leu Thr Ser Lys Ala Glu Thr Glu Gln Val 245 250 255 260 gat gag aac aag aag aaa aag aag aag ata aag tta agg cgt ttg ggt 1110 Asp Glu Asn Lys Lys Lys Lys Lys Lys Ile Lys Leu Arg Arg Leu Gly 265 270 275 tct gta caa gac ctt gtt agt cca gtt tca gtt cat cat gac caa aaa 1158 Ser Val Gln Asp Leu Val Ser Pro Val Ser Val His His Asp Gln Lys 280 285 290 cta gtc atg gat acg cct gaa aaa tac aaa tgt aac act tgt gaa aag 1206 Leu Val Met Asp Thr Pro Glu Lys Tyr Lys Cys Asn Thr Cys Glu Lys 295 300 305 agc ttt gca act cat caa gca ctg gga gga cat agg tca agc cac aac 1254 Ser Phe Ala Thr His Gln Ala Leu Gly Gly His Arg Ser Ser His Asn 310 315 320 aag ttt aga atg gtc att caa aat tca gtt gaa gat gat gta gtt act 1302 Lys Phe Arg Met Val Ile Gln Asn Ser Val Glu Asp Asp Val Val Thr 325 330 335 340 aat gta gca act agt agc ata att ggc cca gtg gaa gaa cgt gaa gaa 1350 Asn Val Ala Thr Ser Ser Ile Ile Gly Pro Val Glu Glu Arg Glu Glu 345 350 355 gca gct gct agc acc tca aaa ttg ttg gtg gac cat aac aag aat gcc 1398 Ala Ala Ala Ser Thr Ser Lys Leu Leu Val Asp His Asn Lys Asn Ala 360 365 370 tca gca agt cag gta ctt ggg gtt cag aat agg tgc caa tgg gga agt 1446 Ser Ala Ser Gln Val Leu Gly Val Gln Asn Arg Cys Gln Trp Gly Ser 375 380 385 cca att gat cat caa gct ggt cca tca aca agt caa ttg act tca cca 1494 Pro Ile Asp His Gln Ala Gly Pro Ser Thr Ser Gln Leu Thr Ser Pro 390 395 400 ggt gaa gtt agc cat tca att ggt cga caa att ctg gat ttt gat ctc 1542 Gly Glu Val Ser His Ser Ile Gly Arg Gln Ile Leu Asp Phe Asp Leu 405 410 415 420 aat gaa tta ccc cct caa gaa gat gaa att gct ggt ggc cgt gat cat 1590 Asn Glu Leu Pro Pro Gln Glu Asp Glu Ile Ala Gly Gly Arg Asp His 425 430 435 cag tat ttt aca ttt ttt cca att taa ctactcctag gtagtgtttg 1637 Gln Tyr Phe Thr Phe Phe Pro Ile 440 445 tttagtctac agcttttaac tcttagctgg ttaggaatta acagctacta cttcatcatc 1697 agtgagaaag gccagtcatg taagttttgg catgttaatg atccatttac tagtagtgca 1757 aattgtggat aatagcgaac catcttggtt atttccattt ttttgctagt tttccataac 1817 aatgtggcat tttgaagaaa gggctgttga actttttttt cttatatctt catggaaagt 1877 acgatgttt 1886 <210> 2 <211> 444 <212> PRT <213> Petunia hybrida <400> 2 Met Val Asp Tyr Gln Asp Leu Gln Val Gly Met Ser Gly Thr Leu Trp 1 5 10 15 Ile Gln Leu Lys Ile Glu Asp Lys Gln Val Gln Glu Leu Asp His Ser 20 25 30 Gln Asp Ile Met Asp Tyr Glu Val Pro Lys Asn Asn Asp His Thr Arg 35 40 45 Ile Cys Glu Val Cys Asn Lys Gly Phe Ser Ser Gly Lys Ala Leu Gly 50 55 60 Gly His Met Arg Ile His Val Gln Ala Ala Lys Lys Leu Leu Ser Val 65 70 75 80 Gly Lys Lys Cys Lys Lys Leu Asn Pro Phe Gly Ser Arg Tyr Tyr Lys 85 90 95 Lys Arg Ile Leu Leu Gln Gln Asp Asp His Gln Asp Asn Tyr Asn Asn 100 105 110 Asp Ile Lys Asn Gln Leu Ala Pro Ile Cys Ser Val Cys Gly Lys Asn 115 120 125 Phe Pro Ser Met Lys Ser Leu Phe Gly His Met Arg Ser His Pro Glu 130 135 140 Arg Ala Trp Arg Gly Ile Gln Pro Pro Ala Pro Asn Lys Asn Ser Cys 145 150 155 160 Leu Ser Ser Ala Ser Asn Glu Ile Ala Ala Thr Thr Lys Ser Gly Asp 165 170 175 Leu Ser Val Pro Gly Trp Ser Val Lys Ala Lys Arg Gly Arg Lys Gly 180 185 190 Thr Ile Ala Glu Ala Ser Ser Asn Ser Ser Leu Gly Ser Arg Ser Phe 195 200 205 Ser Phe Asp Gln Glu Lys Asp Asp Glu Glu His Glu Leu His Asp Ala 210 215 220 Val Gly His Leu Met Leu Leu Ala Asn Gly Asn Lys Thr Ser Ala Asp 225 230 235 240 Gln Glu Leu Glu Ile Thr Asn Ser Asn Ser Leu Thr Ser Lys Ala Glu 245 250 255 Thr Glu Gln Val Asp Glu Asn Lys Lys Lys Lys Lys Lys Ile Lys Leu 260 265 270 Arg Arg Leu Gly Ser Val Gln Asp Leu Val Ser Pro Val Ser Val His 275 280 285 His Asp Gln Lys Leu Val Met Asp Thr Pro Glu Lys Tyr Lys Cys Asn 290 295 300 Thr Cys Glu Lys Ser Phe Ala Thr His Gln Ala Leu Gly Gly His Arg 305 310 315 320 Ser Ser His Asn Lys Phe Arg Met Val Ile Gln Asn Ser Val Glu Asp 325 330 335 Asp Val Val Thr Asn Val Ala Thr Ser Ser Ile Ile Gly Pro Val Glu 340 345 350 Glu Arg Glu Glu Ala Ala Ala Ser Thr Ser Lys Leu Leu Val Asp His 355 360 365 Asn Lys Asn Ala Ser Ala Ser Gln Val Leu Gly Val Gln Asn Arg Cys 370 375 380 Gln Trp Gly Ser Pro Ile Asp His Gln Ala Gly Pro Ser Thr Ser Gln 385 390 395 400 Leu Thr Ser Pro Gly Glu Val Ser His Ser Ile Gly Arg Gln Ile Leu 405 410 415 Asp Phe Asp Leu Asn Glu Leu Pro Pro Gln Glu Asp Glu Ile Ala Gly 420 425 430 Gly Arg Asp His Gln Tyr Phe Thr Phe Phe Pro Ile 435 440 <210> 3 <211> 2200 <212> DNA <213> Petunia hybrida <220> <221> promoter <222> (1)..(1991) <400> 3 gaattcaggg agtagaacgc ttgacaatat acctgttgct ccaaacttat aaattggggc 60 gacgatgaat gaagttaatc gatatgatta aattccatca cacagttatt gtttcaattc 120 ttgttaccta attttagtta cacttgcttc acttcttttt agtggcgctt tacaaaaata 180 atctagtcct cacattgaaa aaataatgcg atattagttt gacaataatt cagaagtact 240 tttgaatata tgcaaaaata attatttcta ctgttaagga aaagctgcaa atttctgttt 300 tttttttttt cagaagcaga agaaatttat taaattttca agataaaata atttttttaa 360 aagactatat caatttattt caactgttat atatctcaaa tataaataaa actctattct 420 tcttgtccat ctttatattt aaatttattc ctaccgatta aagaccttaa taatattttt 480 atactacatt ttaaatttta atcaaatgaa taaataatta aatagattaa ataaaaattt 540 tcttgatttt tttaaaaatc tttcacattt aaacaataat atcagccaca aatacaactt 600 tagtgctgtt tttttgcact atttttaaaa taagcagtct tttgcagcta gacagacaag 660 ttcatccaag tcaaatgcat cttaggtaaa ccaatgggcg tgaataattt tttttttcgc 720 gtaactttat atttctaaaa tcacttttcg tagtaaaatt ccaaaggata gaaggaaagt 780 ttgacgttat agcaaaatta tatgaaaaga tgatttctat ccttttataa gtgagtgaaa 840 tcaaagttca tatcatggtt gagaagattt ttattaatgg taaaacaaat taagggcttt 900 attgaaatat aagatggata ttatagcatt gatgtgggaa ttttggccgg tgtaaatgtg 960 gcatgaatat gatcggatcg gataaaattg ggcagaaaca cggcaagcta agattaaaaa 1020 acgcgcaang caaacacntc ancagtcaat gcaccactca agtagggtaa ttaatgacaa 1080 attttacatt caaactaaat taaatgcaca cggttaaaat ctctgttaaa agttttggta 1140 actttcagac tccttgaaca aactttccat ttggctaaag gtttgaacca aatgaatggg 1200 aatacctatg agatatacac cactggaaag tccaagataa tttgaaatta caagagtttc 1260 catttgatta ggctacttgt aatcttttga tttaattggt agtcaaattt taaaagatca 1320 gaatgatctt ccatttcaca ccatcactta tcccatatct ttatttacaa ttcaaaatac 1380 attaatatgt aaaacaaatt 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Sequence <220> <221> modified_base <222> (6) <223> i <220> <221> modified_base <222> (9) <223> i <220> <221> modified_base <222> (12) <223> i <220> <221> modified_base <222> (15) <223> i <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 4 cargcnytng gnggncay 18 <210> 5 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <221> modified_base <222> (6) <223> i <220> <221> modified_base <222> (9) <223> i <220> <221> modified_base <222> (12) <223> i <220> <221> modified_base <222> (15) <223> i <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 5 gtycgnranc cnccngtr 18
【図面の簡単な説明】
【図1A】 ZPT3−2をコードする遺伝子(本明細
書中、単に「ZPT3−2遺伝子」ともいう)のcDN
A配列、および対応するアミノ酸配列を示す図である。
3つのジンクフィンガーモチーフ、およびDLNL配列
(アミノ酸411位〜425位)を下線で示す。
【図1B】 図1Aの続きである。
【図1C】 図1Bの続きである。
【図1D】 図1Cの続きである。
【図2】 ZPT3−2 cDNA配列を発現するため
の植物発現ベクター(pBIN−35S−ZPT3−
2)の構成を示す概略図である。
【図3】 ZPT3−2遺伝子のコード領域の上流配列
を示す図である。転写開始点(1721位)を太矢印
で、翻訳開始コドン(ATG)を下線太字で示す。
【図4】 ZPT3−2遺伝子のプロモーターを解析す
るための植物発現ベクター(pBIN−ZPT3−2−
GUS)の構成を示す概略図である。
【図5】 野生型のペチュニアの花粉と、pBIN−3
5S−ZPT3−2を導入したペチュニアの花粉とを撮
影した、生物の形態を示す写真である(倍率は240
倍)。花粉はいずれもフラボノール染色した。図5
(a)〜(d)は、野生型ペチュニアのつぼみの異なる
成長段階における花粉を、図5(e)〜(h)は、形質
転換ペチュニアのつぼみの異なる成長段階における花粉
を、それぞれを示す。図5(a)および(e)は、つぼ
みのサイズ5mmでの花粉、図5(b)および(f)
は、つぼみのサイズ35mmでの花粉、図5(c)およ
び(g)は、つぼみのサイズ50mmでの花粉、そして
図5(d)および(h)は、成熟期の花粉である。
【図6】 pBIN−ZPT3−2−GUSを導入した
ペチュニアのGUS染色した花の器官を撮影した、生物
の形態を示す写真である。葯が四分子期にある花(つぼ
み)を、撮影対象とした。図6(a)は、倍率2.5倍
での、つぼみの外観を、図6(b)は、葯の低倍率(6
0倍)での断面図を、図6(c)は、葯のタペート層周
辺の高倍率(280倍)での断面図を、それぞれ示す。
フロントページの続き (72)発明者 小林 晃 北海道河西郡芽室町東2条南5丁目1番地 農業試験場宿舎D棟204号 (72)発明者 高辻 博志 茨城県つくば市観音台2−1−2 農林水 産省農業生物資源研究所内 Fターム(参考) 2B030 AD20 CA14 CA17 CA19 4B024 AA08 CA04 DA01 EA04 FA01 FA02 FA07 GA11 GA14 GA17 4B065 AA88X AA88Y AA89X AA95Y AB01 AC20 BA01 BA03 BA25 CA53

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雄性不稔性の植物を作出する方法であっ
    て: (i)配列番号1によって示される塩基配列の第1位か
    ら第1886位までの配列を有するDNA、(ii)
    (i)の塩基配列を有するDNAとストリンジェントな
    条件下でハイブリダイズし、花粉の発達を制御する転写
    因子をコードするDNA、または(iii)(i)もし
    くは(ii)の断片であるDNAのいずれかである核酸
    と、該核酸に作動可能に連結されたプロモーターとを含
    む、植物発現カセットを提供する工程、 花粉の発達を制御する内因性の転写因子を有する植物の
    細胞を提供する工程であって、ここで、該内因性の転写
    因子をコードする遺伝子は、該核酸とストリンジェント
    な条件下でハイブリダイズする、工程、 該発現カセットを該植物細胞に導入する工程、 該発現カセットが導入された植物細胞を植物体に再生す
    る工程、および該再生された植物体であって、該核酸が
    発現されることによって、該内因性の転写因子の発現が
    抑制された植物体を選択する工程を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記核酸が前記プロモーターに対して順
    方向で連結され、前記植物体の細胞内でセンス方向に転
    写され得る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記核酸が前記プロモーターに対して逆
    方向で連結され、前記植物体の細胞内でアンチセンス方
    向に転写され得る、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記植物が双子葉植物である、請求項1
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記植物がナス科植物である、請求項4
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記植物がペチュニア属植物である、請
    求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記発現カセットが植物発現ベクターに
    組み込まれている、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれかに記載の方法
    により作出された、雄性不稔植物。
  9. 【請求項9】 植物に雄性不稔性を付与する方法であっ
    て: (i)配列番号1によって示される塩基配列の第1位か
    ら第1886位までの配列を有するDNA、(ii)
    (i)の塩基配列を有するDNAとストリンジェントな
    条件下でハイブリダイズし、花粉の発達を制御する転写
    因子をコードするDNA、または(iii)(i)もし
    くは(ii)の断片であるDNAのいずれかである核酸
    と、該核酸に作動可能に連結されたプロモーターとを含
    む、植物発現カセットを提供する工程、 花粉の発達を制御する内因性の転写因子を有する植物の
    細胞を提供する工程であって、ここで、該内因性の転写
    因子をコードする遺伝子は、該核酸とストリンジェント
    な条件下でハイブリダイズする、工程、 該発現カセットを該植物細胞に導入する工程、 該発現カセットが導入された植物細胞を植物体に再生す
    る工程、および該再生された植物体であって、該核酸が
    発現されることによって、該内因性の転写因子の発現が
    抑制された植物体を選択する工程を包含する、方法。
  10. 【請求項10】 雄性不稔性の植物を作出する方法であ
    って: (a)配列番号3によって示される塩基配列の第1位か
    ら第1991位までの配列を有するDNA、または
    (b)(a)の一部の配列を有し、葯のタペート層に特
    異的なプロモーター活性を示すDNAのいずれかを含む
    プロモーターと、該プロモーターに作動可能に連結され
    た異種遺伝子とを含む、植物発現カセットを提供する工
    程、 該発現カセットを植物細胞に導入する工程、および該発
    現カセットが導入された植物細胞を植物体に再生する工
    程を包含する、方法。
  11. 【請求項11】 前記植物が双子葉植物である、請求項
    10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記植物がナス科植物である、請求項
    11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記植物がペチュニア属植物である、
    請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記発現カセットが植物発現ベクター
    に組み込まれている、請求項10に記載の方法。
  15. 【請求項15】 請求項10から14のいずれかに記載
    の方法により作出された、雄性不稔植物。
  16. 【請求項16】 植物に雄性不稔性を付与する方法であ
    って: (a)配列番号3によって示される塩基配列の第1位か
    ら第1991位までの配列を有するDNA、または
    (b)(a)の一部の配列を有し、葯のタペート層に特
    異的なプロモーター活性を示すDNAのいずれかを含む
    プロモーターと、該プロモーターに作動可能に連結され
    た異種遺伝子とを含む、植物発現カセットを提供する工
    程、 該発現カセットを植物細胞に導入する工程、および該発
    現カセットが導入された植物細胞を植物体に再生する工
    程を包含する、方法。
  17. 【請求項17】 以下の(I)または(II)のDNA
    を含むプロモーター:(I)配列番号3によって示され
    る塩基配列の第1位から第1991位までの配列を有す
    るDNA、または(II)(I)の一部の配列を有し、
    葯のタペート層に特異的なプロモーター活性を示す、D
    NA。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のプロモーターと、
    該プロモーターに作動可能に連結された異種遺伝子とを
    含む、植物に雄性不稔性を付与するために有用な植物発
    現カセット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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