JP4560796B2 - 超音波探傷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼管や棒鋼など管状又は棒状の被探傷材を超音波探傷する装置に関し、特に軸方向の曲がりを有する被探傷材の先端部及び後端部をも精度良く探傷可能な超音波探傷装置に関する。
従来より、管状又は棒状の被探傷材に存在する欠陥を非破壊的に検出する装置として、超音波探傷装置が広く用いられている。斯かる超音波探傷装置は、垂直方向から又は斜め方向から超音波を被探傷材内部に入射し、被探傷材内部や表面に存在する欠陥からの反射エコーを検出してきずの存在を検知する装置である。
より具体的に説明すれば、従来の超音波探傷装置としては、例えば、特許文献1の図8に示すような構成が知られている。すなわち、従来の超音波探傷装置としては、軸方向に沿って搬送される管状又は棒状の被探傷材(特許文献1の図8に示す「被試験体1」に相当)に対して超音波を送受信する超音波探触子(特許文献1の図8に示す「超音波探触子2」に相当)と、前記超音波探触子からの出力信号を受信して、被探傷材に存在する欠陥を検出する超音波探傷器(特許文献1の図8に示す「探傷装置8」に相当)と、前記超音波探触子が取り付けられ、被探傷材を挿通すると共に被探傷材の周方向に沿って回転する円筒状回転体(特許文献1の図8に示す「円筒回転体3」に相当)と、被探傷材の搬送方向に沿って前記円筒状回転体の上流側及び下流側にそれぞれ配置され、被探傷材を案内支持する上流側ロール及び下流側ロール(特許文献1の図8に示す「ピンチローラ10」及び「被試験体搬送ローラ12」に相当)と、前記円筒状回転体の上下左右方向の位置を制御する制御手段(特許文献1の図8に示す「機構装置4」、「制御装置9」、「機構装置昇降モータ13」、「機構装置移動モータ14」及び「機構装置移動機構15」に相当)とを備える構成が知られている。
上記構成の超音波探傷装置によって超音波探傷を実施する際には、まず最初に、制御手段が、予め設定された被探傷材の外径に基づいて、被探傷材と円筒状回転体との芯出しを行う。換言すれば、制御手段は、被探傷材の軸芯位置と円筒状回転体の軸芯位置とが一致するように、円筒状回転体の上下左右方向の位置を制御する。斯かる芯出し動作の後、制御手段によって円筒状回転体を回転させる(これにより超音波探触子も回転する)と共に、被探傷材を軸方向に搬送して円筒状回転体に挿通させることにより、被探傷材の外表面に沿って螺旋状に超音波探触子が走査されることになる。以上に説明した制御方法により、被探傷材の全長に亘る超音波探傷が実施される。上記制御方法によれば、被探傷材の外径に応じて芯出しされた円筒状回転体の軸芯位置は、超音波探傷が実施される間、被探傷材の全長に亘って一定のまま保持されることになる。換言すれば、上記制御方法は、被探傷材が全長に亘ってほぼ真直であることを前提とした制御方法であるといえる。
しかしながら、実際には、鋼管等の被探傷材を焼入れする際の冷却むら等に起因して、被探傷材には軸方向の曲がり(被探傷材の軸方向についての湾曲)が生じる場合がある。被探傷材に曲がりが生じている場合、上記の制御方法では、被探傷材の全長に亘って被探傷材の軸芯位置と円筒状回転体の軸芯位置とを精度良く一致させることができないため、超音波探触子と被探傷材との離間距離が被探傷材の軸方向に沿って変動して探傷精度が低下する(欠陥の誤検出等が発生する)という問題がある。
このような問題を解決するため、特許文献1では、該特許文献1の図1に示すように、前述した構成に加えて、被探傷材(特許文献1の図1に示す「被試験体1」に相当)を案内支持する上流側ロール(特許文献1の図1に示す「ピンチローラ10」及び「被試験体搬送ローラ12」に相当)と円筒状回転体(特許文献1の図1に示す「円筒回転体3」に相当)との間に空中超音波センサ(特許文献1の図1に示す空中超音波センサ16a、16b、16c)を配置し、この空中超音波センサで測定した被探傷材までの距離に基づいて、外径測定装置(特許文献1の図1に示す外径測定装置17)で被探傷材の芯ずれ量(被探傷材の軸芯位置と円筒状回転体の軸芯位置との差)を測定する構成を備えた超音波探傷装置が提案されている。
上記超音波探傷装置によれば、空中超音波センサ及び外径測定装置によって、円筒状回転体に被探傷材が挿通される前に、被探傷材の曲がりに起因した芯ずれ量が被探傷材の軸方向の各所定部位毎に測定される。そして、制御手段(特許文献1の図1に示す「機構装置4」、「制御装置9」、「機構装置昇降モータ13」、「機構装置移動モータ14」及び「機構装置移動機構15」に相当)は、前記各所定部位が超音波探触子(特許文献1の図1に示す「超音波探触子2」に相当)の直下に到達した際に、被探傷材の軸芯位置と円筒状回転体の軸芯位置とが一致するように、前記各所定部位毎に測定した芯ずれ量に応じて、円筒状回転体の上下左右方向の位置をリアルタイムに制御する。斯かる制御方法によれば、円筒状回転体の軸芯位置を被探傷材の全長に亘って一定のまま保持する場合に比べると、被探傷材の曲がりに起因した超音波探触子と被探傷材との離間距離の変動をある程度抑制することができ、ひいては探傷精度の低下をある程度抑制することが可能である。
特開平6−288991号公報
しかしながら、上記特許文献1で提案されている超音波探傷装置は、空中超音波センサの設置位置での芯ずれ量と超音波探触子の設置位置での芯ずれ量とが、被探傷材の同一部位については同一の値であることを前提としている。換言すれば、空中超音波センサ設置位置における各所定部位の芯ずれ量が、各所定部位が超音波探触子の直下に到達するまで維持されることを前提とし、各所定部位の前記芯ずれ量と同じ量だけ円筒状回転体の上下左右方向の位置を制御するように構成されている。このため、特に被探傷材の先端部及び後端部において、探傷精度が劣化する虞があるという問題がある。
より具体的に説明すれば、上流側ロール及び下流側ロール(特許文献1の図1に示す「ピンチローラ10」及び「被試験体搬送ローラ12」に相当)の双方によって被探傷材が案内支持されている状態(上流側ロール及び下流側ロールの双方に噛み込んだ状態)では、被探傷材が軸方向に搬送されても軸芯位置が大きく変動せず、各所定部位の空中超音波センサ設置位置での芯ずれ量と超音波探触子設置位置での芯ずれ量とは略同等の値になると考えられる。換言すれば、空中超音波センサの設置位置で芯ずれ量を測定するタイミングと、超音波探触子の直下に到達するタイミングの双方において、上流側及び下流側ロールの双方によって被探傷材が案内支持された状態となる所定部位については、空中超音波センサ設置位置での芯ずれ量と超音波探触子設置位置での芯ずれ量とが略同等の値になると考えられる。従って、上記所定部位の空中超音波センサ設置位置で測定した芯ずれ量と同じ量だけ円筒状回転体の上下左右方向の位置を制御しても、探傷精度が劣化する虞は少ないと考えられる。
これに対して、被探傷材の最先端が超音波探触子の直下に到達してから下流側ロールに噛み込んで案内支持されるまでの間、被探傷材は一方のロール(上流側ロール)のみで案内支持されることになるため、被探傷材に曲がりが生じている場合には、被探傷材が軸方向に搬送されることにより、被探傷材の軸芯位置が曲がりの程度に応じて変動することになる。換言すれば、被探傷材の最先端から超音波探触子の設置位置と下流側ロールの設置位置との離間距離に相当する長さまでの部位(被探傷材の先端部)については、空中超音波センサの設置位置で芯ずれ量を測定するタイミング(図1(a)参照)と、超音波探触子の直下に到達するタイミング(図1(b)参照)の双方において、上流側ロールのみによって被探傷材が案内支持された状態となるため、空中超音波センサ設置位置での芯ずれ量と超音波探触子設置位置での芯ずれ量とが異なる値になると考えられる。すなわち、図1に示す例では、被探傷材の先端部が上向きに曲がっており、空中超音波センサと超音波探触子とが同一水平面上に配置されていると仮定すると、同一の部位であっても、空中超音波センサと被探傷材との離間距離(図1(a)の距離D1)と、超音波探触子と被探傷材との離間距離(図1(b)の距離D2)とは異なる値となる。
同様に、被探傷材の最後端が上流側ロールから抜け出て超音波探触子の直下に到達するまでの間にも、被探傷材は一方のロール(下流側ロール)のみで案内支持されることになるため、被探傷材に曲がりが生じている場合には、被探傷材が軸方向に搬送されることにより、被探傷材の軸芯位置が曲がりの程度に応じて変動することになる。換言すれば、被探傷材の最後端から超音波探触子の設置位置と上流側ロールの設置位置との離間距離に相当する長さまでの部位(被探傷材の後端部)については、空中超音波センサの設置位置で芯ずれ量を測定するタイミングと、超音波探触子の直下に到達するタイミングの双方において、下流側ロールのみによって被探傷材が案内支持された状態となるため、空中超音波センサ設置位置での芯ずれ量と超音波探触子設置位置での芯ずれ量とが異なる値になると考えられる。
以上に説明したように、被探傷材の先端部及び後端部については、空中超音波センサの設置位置での芯ずれ量と超音波探触子の設置位置での芯ずれ量とが異なる値になるため、被探傷材の全長に亘って空中超音波センサの設置位置での芯ずれ量と超音波探触子の設置位置での芯ずれ量とが一致することを前提とした特許文献1の超音波探傷装置では、特に被探傷材の先端部及び後端部において探傷精度が劣化する虞がある。
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、軸方向の曲がりを有する管状又は棒状の被探傷材の先端部及び後端部をも精度良く探傷可能な超音波探傷装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するべく、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、前述した空中超音波センサと被探傷材との離間距離(図1(a)の距離D1)と、超音波探触子と被探傷材との離間距離(図1(b)の距離D2)との比は、空中超音波センサと超音波探触子とが同一水平面上に配置されているとすると、空中超音波センサと上流側ロールとの被探傷材の軸方向に沿った離間距離と、超音波探触子と上流側ロールとの被探傷材の軸方向に沿った離間距離との比に略等しいことを見出した。換言すれば、空中超音波センサ等の軸芯測定手段と上流側ロールとの被探傷材の軸方向に沿った離間距離と、超音波探触子と上流側ロールとの被探傷材の軸方向に沿った離間距離とが一定でありさえすれば、被探傷材の先端部について、空中超音波センサ等の軸芯測定手段の設置位置に於ける芯ずれ量と、超音波探触子設置位置に於ける芯ずれ量との比は略一定であることを見出した。同様に、空中超音波センサ等の軸芯測定手段と下流側ロールとの被探傷材の軸方向に沿った離間距離と、超音波探触子と下流側ロールとの被探傷材の軸方向に沿った離間距離とが一定でありさえすれば、被探傷材の後端部について、空中超音波センサ等の軸芯測定手段の設置位置に於ける芯ずれ量と、超音波探触子設置位置に於ける芯ずれ量との比は略一定であることを見出した。従って、前回探傷を実施した被探傷材(前回被探傷材)について、軸芯測定手段設置位置に於ける芯ずれ量と超音波探触子設置位置に於ける芯ずれ量とを測定して両者の比を算出すると共に、今回探傷を実施する被探傷材(今回被探傷材)について、軸芯測定手段設置位置に於ける芯ずれ量を測定すれば、今回被探傷材についての超音波探触子設置位置に於ける芯ずれ量を予測することができ、この予測した超音波探触子設置位置に於ける芯ずれ量に基づいて円筒状回転体の位置を制御すれば、被探傷材の先端部及び後端部についても精度良く探傷可能となることが期待できる。本発明は、斯かる発明者らの知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明に係る超音波探傷装置は、軸方向に沿って搬送される管状又は棒状の被探傷材に対して超音波を送受信する超音波探触子と、前記超音波探触子からの出力信号を受信して、被探傷材に存在する欠陥を検出すると共に、前記超音波探触子から被探傷材までの距離を測定する超音波探傷器と、前記超音波探触子が取り付けられ、被探傷材を挿通すると共に被探傷材の周方向に沿って回転する円筒状回転体と、被探傷材の搬送方向に沿って前記円筒状回転体の上流側及び下流側にそれぞれ配置され、被探傷材を案内支持する上流側ロール及び下流側ロールと、前記上流側ロールと前記円筒状回転体との間に配置され、被探傷材の軸芯位置を測定する軸芯測定手段と、前記円筒状回転体の軸方向にそれぞれ直交し且つ互いに直交するY軸方向(例えば、円筒状回転体の軸方向から見て左右方向)及びZ軸方向(例えば、円筒状回転体の軸方向から見て上下方向)の位置を制御する制御手段とを備える。
そして、前記制御手段は、前記軸芯測定手段で測定した被探傷材のY軸方向の軸芯位置と前記円筒状回転体の予め設定した初期のY軸方向の軸芯位置との差を、前記軸芯測定手段設置位置に於ける被探傷材のY軸方向の芯ずれ量として算出すると共に、前記軸芯測定手段で測定した被探傷材のZ軸方向の軸芯位置と前記円筒状回転体の予め設定した初期のZ軸方向の軸芯位置との差を、前記軸芯測定手段設置位置に於ける被探傷材のZ軸方向の芯ずれ量として算出する。
また、前記制御手段は、前記超音波探傷器で測定したY軸方向に沿った前記超音波探触子から被探傷材までの距離に基づいて、被探傷材のY軸方向の軸芯位置を演算し、該演算した被探傷材のY軸方向の軸芯位置と前記円筒状回転体の予め設定した初期のY軸方向の軸芯位置との差を、前記超音波探触子設置位置に於ける被探傷材のY軸方向の芯ずれ量として算出すると共に、前記超音波探傷器で測定したZ軸方向に沿った前記超音波探触子から被探傷材までの距離に基づいて、被探傷材のZ軸方向の軸芯位置を演算し、該演算した被探傷材のZ軸方向の軸芯位置と前記円筒状回転体の予め設定した初期のZ軸方向の軸芯位置との差を、前記超音波探触子設置位置に於ける被探傷材のZ軸方向の芯ずれ量として算出するように構成されている。
さらに、前記制御手段は、今回探傷を実施する被探傷材の先端部及び後端部が前記超音波探触子設置位置に到達する際に、前記円筒状回転体のY軸方向の位置を下記の式(1)に示すBY’(x)だけ補正すると共に、前記円筒状回転体のZ軸方向の位置を下記の式(2)に示すBZ’(x)だけ補正することを特徴とする。
BY’(x)=AY’(x)×(BY(x)−CY(x))/AY(x)・・・(1)
BZ’(x)=AZ’(x)×(BZ(x)−CZ(x))/AZ(x)・・・(2)
ここで、上記式(1)及び(2)において、xは被探傷材の軸方向の位置を、AY’(x)及びAZ’(x)はそれぞれ今回探傷を実施する被探傷材(今回被探傷材)の先端部及び後端部についての軸芯測定手段設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、AY(x)及びAZ(x)はそれぞれ前回探傷を実施した被探傷材(前回被探傷材)の先端部及び後端部についての軸芯測定手段設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、BY(x)及びBZ(x)はそれぞれ前回被探傷材の先端部及び後端部についての超音波探触子設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、CY(x)及びCZ(x)はそれぞれ前回被探傷材の先端部及び後端部について補正した円筒状回転体のY軸方向及びZ軸方向の位置補正量を、BY’(x)及びBZ’(x)はそれぞれ今回被探傷材の先端部及び後端部について予測される超音波探触子設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を意味する。
斯かる発明によれば、前回被探傷材についての軸芯測定手段設置位置に於ける芯ずれ量AY(x)及びAZ(x)と、超音波探触子設置位置に於ける芯ずれ量BY(x)及びBZ(x)と、今回被探傷材についての軸芯測定手段設置位置に於ける芯ずれ量AY’(x)及びAZ’(x)とを用いて、式(1)及び(2)により今回被探傷材についての超音波探触子設置位置に於ける芯ずれ量BY’(x)及びBZ’(x)を予測する。そして、今回被探傷材の先端部及び後端部が超音波探触子設置位置に到達する際に、円筒状回転体のY軸方向及びZ軸方向の位置を、予測した芯ずれ量BY’(x)及びBZ’(x)だけ補正する(すなわち、前回被探傷材の先端部及び後端部が超音波探触子設置位置に到達した際に設定した円筒状回転体のY軸方向及びZ軸方向の位置を基準として、BY’(x)及びBZ’(x)だけ円筒状回転体のY軸方向及びZ軸方向の位置をそれぞれ変更する)ため、被探傷材の先端部及び後端部について軸芯位置と円筒状回転体の軸芯位置とを精度良く一致させることができ、ひいては被探傷材の先端部及び後端部についても精度良く探傷可能である。
なお、本発明における「先端部」とは、被探傷材の最先端から、超音波探触子の設置位置と下流側ロールの設置位置との被探傷材の軸方向に沿った離間距離に相当する長さまでの部位を意味する。また、本発明における「後端部」とは、被探傷材の最後端から、超音波探触子の設置位置と上流側ロールの設置位置との被探傷材の軸方向に沿った離間距離に相当する長さまでの部位を意味する。
なお、被探傷材の先端部及び後端部を除く中央部については、特許文献1で提案されている制御方法と同様に、軸芯測定手段によって順次測定した各部位の軸芯位置に基づいて芯ずれ量を算出し、この算出した各部位の芯ずれ量と同じ量だけ、円筒状回転体の位置を順次補正することも考えられる。しかしながら、被探傷材の中央部については、超音波探傷が実施される際に上流側ロール及び下流側ロールの双方で案内支持されおり、曲がりの影響が比較的少ないと考えられるため、前回被探傷材の中央部について超音波探触子設置位置で測定した芯ずれ量の軸方向平均値に基づいて、今回被探傷材の中央部を探傷する際の円筒状回転体の位置を一定の値に制御しても(すなわち、被探傷材の中央部の各部位が軸方向に順次搬送されるに従って円筒状回転体の位置を順次変更する複雑な制御を施さなくても)、比較的精度良く探傷可能となることが期待できる。
従って、好ましくは、前記制御手段は、今回探傷を実施する被探傷材の先端部及び後端部を除く中央部が前記超音波探触子設置位置に到達する際に、前記円筒状回転体のY軸方向の位置を下記の式(3)に示すCY’だけ補正すると共に、前記円筒状回転体のZ軸方向の位置を下記の式(4)に示すCZ’だけ補正するように構成される。
CY’=Ave(BYc(x)−CY)・・・(3)
CZ’=Ave(BZc(x)−CZ)・・・(4)
ここで、上記式(3)及び(4)において、xは被探傷材の軸方向の位置を、BYc(x)及びBZc(x)はそれぞれ前回探傷を実施した被探傷材(前回被探傷材)の中央部についての超音波探触子設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、CY及びCZはそれぞれ前回被探傷材の中央部について補正した円筒状回転体のY軸方向及びZ軸方向の位置補正量を、Ave( )は、括弧内の平均値を意味する。
本発明に係る超音波探傷装置によれば、被探傷材の先端部及び後端部について軸芯位置と円筒状回転体の軸芯位置とを精度良く一致させることができ、ひいては被探傷材の先端部及び後端部についても精度良く探傷可能である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明に係る超音波探傷装置の一実施形態について、被探傷材が鋼管である場合を例に挙げて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る超音波探傷装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る超音波探傷装置100は、軸方向に沿って搬送される鋼管Sに対して超音波を送受信する超音波探触子1と、超音波探触子1からの出力信号(反射エコー信号)を受信して、鋼管Sに存在する欠陥を検出すると共に、超音波探触子1から鋼管までの距離を測定する超音波探傷器2と、超音波探触子1が取り付けられ、鋼管Sを挿通すると共に鋼管Sの周方向に沿って回転する円筒状回転体3と、鋼管Sの搬送方向に沿って円筒状回転体3の上流側(図2の左側)及び下流側(図2の右側)にそれぞれ配置され、鋼管Sを案内支持する上流側ロール4及び下流側ロール5と、上流側ロール4と円筒状回転体3との間に配置され、鋼管Sの軸芯位置を測定する軸芯測定手段6と、円筒状回転体3の軸方向(X軸方向)にそれぞれ直交し且つ互いに直交するY軸方向(図2の紙面に垂直な方向であり、円筒状回転体3の軸方向から見て左右方向)及びZ軸方向(図2の紙面の上下方向であり、円筒状回転体3の軸方向から見て上下方向)の位置を制御する制御手段7とを備えている。
超音波探触子1としては、超音波を鋼管Sの内部に入射し、鋼管Sの内部や表面に存在する欠陥からの反射エコーを受信できるものである限りにおいて、市販品など種々の公知の超音波探触子を用いることが可能である。
超音波探傷器2は、超音波探触子1から受信した反射エコー信号に対して所定の探傷ゲートを設定し、該探傷ゲート内の反射エコー信号の振幅の大小に基づいて鋼管Sに存在する欠陥を検出する。また、超音波探傷器2は、超音波探触子1から受信した反射エコー信号に基づいて、超音波探触子1が超音波を送信してから鋼管S表面での反射エコーを検出するまでの時間を検出し、この検出した時間と超音波の音速とにより超音波探触子1から鋼管Sまでの距離を測定する。斯かる機能を有する超音波探傷器2としては、市販品など種々の公知の超音波探傷器を用いることが可能である。
円筒状回転体3には、内部の中空部に向けて超音波が発信されるように超音波探触子1が取り付けられており、前記中空部すなわち超音波探触子1と鋼管Sとの間隙には、外部から供給された水Wが充填されるように構成されている。斯かる構成により、超音波探触子1から発信された超音波は、前記充填された水Wを接触媒質として鋼管Sに伝搬されることになる。そして、円筒状回転体3が鋼管Sの周方向に沿って回転することにより、超音波探触子1も円筒状回転体3の回転中心をその回転中心として、鋼管Sの周方向に沿って回転することになる。従って、鋼管Sが軸方向に搬送されることにより、鋼管Sの外表面に沿って螺旋状に超音波探触子1が走査されながら超音波探傷が実施されることになる。
上流側ロール4及び下流側ロール5は、ピンチロールとされており、鋼管Sの外径に応じて上下に位置変動すると共に、搬送されてきた鋼管Sの外表面を所定の圧力で押圧して案内支持するように構成されている。
軸芯測定手段6は、鋼管Sの軸芯位置を鋼管Sの軸方向の各所定部位毎に測定するように構成されている。より具体的には、予め設定されたタイミング毎に(鋼管Sの各所定部位が軸芯測定手段6の設置位置に到達する毎に)、各所定部位の軸芯位置を測定するように構成されている。軸芯測定手段6としては、例えば、図3に示すように、Y軸方向に沿って対向する一対の空中超音波センサ61a、61bと、Z軸方向に沿って対向する一対の空中超音波センサ61c、61dとを備えた構成とすることが可能である。斯かる構成の軸芯測定手段6を採用する場合、空中超音波センサ61aで測定した空中超音波センサ61aから鋼管Sの外表面までの距離Yaと、空中超音波センサ61bで測定した空中超音波センサ61bから鋼管Sの外表面までの距離Ybとに基づき、鋼管Sの軸芯S0のY軸方向の位置を測定可能である。より具体的に説明すれば、空中超音波センサ61a、61bの超音波送信方向と、空中超音波センサ61c、61dの超音波送信方向との交点Oを原点にしたとすると、鋼管Sの軸芯S0のY軸方向の位置(Y座標)は、(Ya−Yb)/2で算出されることになる。同様にして、鋼管Sの軸芯S0のZ軸方向の位置(Z座標)は、空中超音波センサ61cで測定した空中超音波センサ61cから鋼管Sの外表面までの距離Zaと、空中超音波センサ61dで測定した空中超音波センサ61dから鋼管Sの外表面までの距離Zbとに基づき、交点Oを原点として(Zb−Za)/2で算出されることになる。
或いは、特許文献1に記載の構成と同様に、3つの空中超音波センサを超音波の送信方向が互いに90°で交差するように配置した軸芯測定手段6を採用し、各空中超音波センサから鋼管Sの外表面までの距離と、鋼管Sの断面が真円であると仮定した場合の幾何学的な関係とに基づいて、鋼管Sの軸芯S0の位置を算出することも可能である。何れにせよ、鋼管Sの軸芯位置を測定できるものである限りにおいて、軸芯測定手段6の構成は何ら限定されるものではなく、種々の構成を採用可能である。
制御手段7は、円筒状回転体3をY軸方向及びZ軸方向に移動させる機構部(図示せず)と、該機構部を制御する制御部(図示せず)とを備えている。前記機構部としては、例えば、特許文献1に記載のような、機構装置、機構装置昇降モータ、機構装置移動モータ及び機構装置移動機構など、種々の公知の構成を採用可能である。前記制御部は、軸芯測定手段6で測定した鋼管Sの軸芯S0の位置と、超音波探傷器2で測定した超音波探触子1から鋼管Sの外表面までの距離とを受信し、これら受信した計測値に基づいて、鋼管Sの先端部及び後端部が超音波探触子1の設置位置に到達する際における円筒状回転体3の適切な位置(超音波探触子1の設置位置に於ける鋼管Sの軸芯位置と円筒状回転体3の軸芯位置とが一致する位置)を演算する。そして、円筒状回転体3が該演算した位置となるように前記機構部を制御する。以下、制御手段7(制御部)による演算及び制御動作について、より具体的に説明する。
まず、制御手段7は、前述のようにして軸芯測定手段6で測定した鋼管Sの軸芯S0のY軸方向の位置と、円筒状回転体3の予め設定した初期(超音波探傷を実施する前)のY軸方向の軸芯位置との差を、軸芯測定手段6設置位置に於ける鋼管SのY軸方向の芯ずれ量として算出する。より具体的に説明すれば、例えば軸芯測定手段6として図3に示す構成を採用した場合には、交点OのY軸方向の位置と円筒状回転体3の予め設定した初期のY軸方向の軸芯位置との関係を予め記憶しておくことにより、交点Oを原点にして算出した鋼管Sの軸芯S0のY軸方向の位置と、円筒状回転体3の予め設定した初期のY軸方向の軸芯位置との差を算出することが可能である。同様にして、制御手段7は、軸芯測定手段6で測定した鋼管Sの軸芯S0のZ軸方向の位置と円筒状回転体3の予め設定した初期のZ軸方向の軸芯位置との差を、軸芯測定手段6設置位置に於ける鋼管SのZ軸方向の芯ずれ量として算出する。
一方、制御手段7は、超音波探傷器2で測定したY軸方向に沿った超音波探触子1から鋼管Sの外表面までの距離に基づいて、鋼管SのY軸方向の軸芯位置を演算する。すなわち、図4に示すように、円筒状回転体3の回転に伴って超音波探触子1も回転するが、超音波探触子1がY軸方向に沿った位置(図4の(b)及び(d)の位置)に到達したタイミングで、超音波探傷器2が超音波探触子1から鋼管Sの外表面までの距離Ya’、Yb’を測定し、制御手段7が前記測定された距離Ya’、Yb’に基づいて、鋼管Sの軸芯S0’のY軸方向の位置を演算する。より具体的に説明すれば、Y軸方向に沿った位置に到達した超音波探触子1の超音波送信方向と、Z軸方向に沿った位置(図4の(a)及び(c)の位置)に到達した超音波探触子1の超音波送信方向との交点O’を原点にしたとすると、鋼管Sの軸芯S0’のY軸方向の位置(Y座標)は、(Ya’−Yb’)/2で算出されることになる。以上のようにして、制御手段7は、超音波探触子1がY軸方向に沿った位置に到達するタイミング毎に、鋼管SのY軸方向の軸芯位置を演算する。
そして、制御手段7は、前記演算した鋼管Sの軸芯S0’のY軸方向の位置と、円筒状回転体3の予め設定した初期のY軸方向の軸芯位置との差を、超音波探触子1設置位置に於ける鋼管SのY軸方向の芯ずれ量として算出する。より具体的に説明すれば、図4に示す交点O’のY軸方向の位置と円筒状回転体3の予め設定した初期のY軸方向の軸芯位置との関係を予め記憶しておくことにより、交点O’を原点にして算出した鋼管Sの軸芯S0’のY軸方向の位置と、円筒状回転体3の予め設定した初期のY軸方向の軸芯位置との差を算出することが可能である。
同様にして、制御手段7は、超音波探触子1がZ軸方向に沿った位置に到達するタイミング毎に、超音波探傷器2で測定したZ軸方向に沿った超音波探触子1から鋼管Sの外表面までの距離Za’、Zb’に基づいて、鋼管Sの軸芯S0’のZ軸方向の位置を演算する。鋼管Sの軸芯S0’のZ軸方向の位置(Z座標)は、交点O’を原点として(Zb’−Za’)/2で算出されることになる。そして、制御手段7は、前記演算した鋼管Sの軸芯S0’のZ軸方向の位置と、円筒状回転体3の予め設定した初期のZ軸方向の軸芯位置との差を、超音波探触子設置位置1に於ける鋼管SのZ軸方向の芯ずれ量として算出する。すなわち、図4に示す交点O’のZ軸方向の位置と円筒状回転体3の予め設定した初期のZ軸方向の軸芯位置との関係を予め記憶しておくことにより、交点O’を原点にして算出した鋼管Sの軸芯S0’のZ軸方向の位置と、円筒状回転体3の予め設定した初期のZ軸方向の軸芯位置との差を算出する。
そして、制御手段7は、今回探傷を実施する鋼管Sの先端部(鋼管Sの最先端から超音波探触子1の設置位置と下流側ロール5の設置位置との離間距離(図2に示すLt)に相当する長さまでの部位)及び後端部(鋼管Sの最後端から超音波探触子1の設置位置と上流側ロール4の設置位置との離間距離(図2に示すLb)に相当する長さまでの部位)が超音波探触子1設置位置に到達する際に、円筒状回転体3のY軸方向の位置を下記の式(1)に示すBY’(x)だけ補正すると共に、円筒状回転体3のZ軸方向の位置を下記の式(2)に示すBZ’(x)だけ補正する。換言すれば、制御手段7は、前回探傷を実施した鋼管Sの先端部及び後端部が超音波探触子1設置位置に到達した際に設定した円筒状回転体3のY軸方向及びZ軸方向の位置を基準として、BY’(x)及びBZ’(x)だけ円筒状回転体3のY軸方向及びZ軸方向の位置をそれぞれ変更する。つまり、制御手段7の制御部は、BY’(x)及びBZ’(x)を演算し、円筒状回転体3のY軸方向及びZ軸方向の位置がそれぞれBY’(x)及びBZ’(x)だけ移動するように、制御手段7の機構部を制御する。
BY’(x)=AY’(x)×(BY(x)−CY(x))/AY(x)・・・(1)
BZ’(x)=AZ’(x)×(BZ(x)−CZ(x))/AZ(x)・・・(2)
ここで、上記式(1)及び(2)において、xは鋼管Sの軸方向の位置を、AY’(x)及びAZ’(x)はそれぞれ今回探傷を実施する鋼管S(今回被探傷材)の先端部及び後端部についての軸芯測定手段6設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、AY(x)及びAZ(x)はそれぞれ前回探傷を実施した鋼管S(前回被探傷材)の先端部及び後端部についての軸芯測定手段6設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、BY(x)及びBZ(x)はそれぞれ前回被探傷材の先端部及び後端部についての超音波探触子1設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、CY(x)及びCZ(x)はそれぞれ前回被探傷材の先端部及び後端部について補正した円筒状回転体3のY軸方向及びZ軸方向の位置補正量を、BY’(x)及びBZ’(x)はそれぞれ今回被探傷材の先端部及び後端部について予測される超音波探触子1設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を意味する。
以上に説明した制御手段7の演算及び制御動作により、鋼管Sの先端部及び後端部について軸芯位置と円筒状回転体3の軸芯位置とを精度良く一致させることができ、ひいては鋼管Sの先端部及び後端部についても精度良く探傷可能である。
なお、上記制御手段7の演算及び制御動作は、前回被探傷材が存在する場合、すなわち、超音波探傷を開始してから2本目以降の鋼管Sに対して実施する動作である。1本目の鋼管Sについては、前回被探傷材についての軸芯測定手段6設置位置に於ける芯ずれ量であるAY(x)及びAZ(x)、前回被探傷材についての超音波探触子1設置位置に於ける芯ずれ量であるBY(x)及びBZ(x)、前回被探傷材についての円筒状回転体3の位置補正量CY(x)及びCZ(x)が存在しないため、式(1)及び(2)に基づいて、今回被探傷材についての超音波探触子1設置位置に於ける芯ずれ量であるBY’(x)及びBZ’(x)を予測することができないからである。
従って、1本目の鋼管Sについては、例えば特許文献1で提案されている制御方法と同様に、軸芯測定手段6によって測定した鋼管Sの各部位の軸芯位置に基づいて芯ずれ量(式(1)及び(2)に示すAY’(x)及びAZ’(x)に相当する)を算出し、この算出した各部位の芯ずれ量と同じ量だけ、円筒状回転体3の位置を順次補正することが考えられる。ただし、斯かる制御動作は、軸芯測定手段6設置位置での芯ずれ量と超音波探触子1設置位置での芯ずれ量とが、鋼管Sの同一部位については同一の値であることを前提としているため、1本目の鋼管Sについては、先端部及び後端部の探傷精度が劣化する虞がある。
1本目の鋼管Sについても、探傷精度の劣化を低減するには、例えば、鋼管Sの外径や材質等の属性毎に、超音波探触子1設置位置に於ける芯ずれ量と軸芯測定手段6設置位置に於ける芯ずれ量との比(式(1)に示すBY(x)とAY(x)との比BY(x)/AY(x)、式(2)に示すBZ(x)とAZ(x)との比BZ(x)/AZ(x)に相当する)を予め実績値としてデータ採取し、制御手段7に記憶しておくことが考えられる。そして、制御手段7は、探傷を実施する1本目の鋼管Sの属性に応じて、前記記憶した比BY(x)/AY(x)、BZ(x)/AZ(x)を読み出し、鋼管Sの先端部及び後端部が超音波探触子1設置位置に到達する際に、円筒状回転体3のY軸方向の位置を下記の式(1−a)に示すBY”(x)だけ補正すると共に、円筒状回転体3のZ軸方向の位置を下記の式(2−a)に示すBZ”(x)だけ補正すればよい。
BY”(x)=AY’(x)×BY(x)/AY(x)・・・(1−a)
BZ”(x)=AZ’(x)×BZ(x)/AZ(x)・・・(2−a)
上記の制御方法は、同種の属性を有する鋼管Sの過去の実績値データを利用して、超音波探触子設置位置1に於ける芯ずれ量を予測する構成であるため、特許文献1に記載のように軸芯測定手段6設置位置での芯ずれ量と超音波探触子1設置位置での芯ずれ量とが鋼管Sの同一部位については同一の値であることを前提とした制御方法に比べれば、精度良く探傷し得ることが期待できる。
なお、本実施形態に係る制御手段7は、今回探傷を実施する鋼管Sの先端部及び後端部を除く中央部が超音波探触子1設置位置に到達する際には、円筒状回転体3のY軸方向の位置を下記の式(3)に示すCY’だけ補正すると共に、円筒状回転体3のZ軸方向の位置を下記の式(4)に示すCZ’だけ補正する。換言すれば、制御手段7は、前回探傷を実施した鋼管Sの中央部が超音波探触子1設置位置に到達した際に設定した円筒状回転体3のY軸方向及びZ軸方向の位置を基準として、CY’及びCZ’だけ円筒状回転体3のY軸方向及びZ軸方向の位置をそれぞれ変更する。つまり、制御手段7の制御部は、CY’及びCZ’を演算し、円筒状回転体3のY軸方向及びZ軸方向の位置がそれぞれCY’及びCZ’だけ移動するように、制御手段7の機構部を制御する。
CY’=Ave(BYc(x)−CY)・・・(3)
CZ’=Ave(BZc(x)−CZ)・・・(4)
ここで、上記式(3)及び(4)において、xは鋼管Sの軸方向の位置を、BYc(x)及びBZc(x)はそれぞれ前回探傷を実施した鋼管S(前回被探傷材)の中央部についての超音波探触子1設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、CY及びCZはそれぞれ前回被探傷材の中央部について補正した円筒状回転体3のY軸方向及びZ軸方向の位置補正量を、Ave( )は、括弧内の平均値を意味する。
以上に説明した鋼管Sの中央部に対する制御手段7の演算及び制御動作によれば、今回被探傷材の中央部を探傷する際の円筒状回転体3の位置を一定の値に制御しても(すなわち、鋼管Sの中央部の各部位が軸方向に順次搬送されるに従って円筒状回転体3の位置を順次変更する複雑な制御を施さなくても)、比較的精度良く探傷可能である。
なお、上記鋼管Sの中央部に対する制御手段7の演算及び制御動作は、前回被探傷材が存在する場合、すなわち、超音波探傷を開始してから2本目以降の鋼管Sに対して実施する動作である。1本目の鋼管Sについては、前回被探傷材についての超音波探触子1設置位置に於ける芯ずれ量であるBYc(x)及びBZc(x)、前回被探傷材についての円筒状回転体3の位置補正量CY及びCZが存在しないため、式(3)及び(4)に基づいて、今回被探傷材についての位置補正量CY’及びCZ’を算出できないからである。
従って、1本目の鋼管Sについては、例えば特許文献1で提案されている制御方法と同様に、軸芯測定手段6によって測定した鋼管Sの中央部の各部位の軸芯位置に基づいて芯ずれ量を算出し、この算出した各部位の芯ずれ量と同じ量だけ、円筒状回転体3の位置を順次補正することが考えられる。そして、2本目の鋼管Sの中央部に対して円筒状回転体3の位置補正量を算出する際には、式(3)及び(4)に示す位置補正量CY及びCZとして、上記算出した1本目の鋼管Sの中央部の各部位の芯ずれ量の軸方向平均値を用いればよい。
図5は、以上に説明した本実施形態に係る超音波探傷装置100を適用した場合と、適用しなかった場合(鋼管Sの曲がりを考慮せず、鋼管Sの外径に基づいて、鋼管Sと円筒状回転体3との芯出しを行って探傷した場合)とにおける欠陥の誤検出を評価した結果の一例を示すグラフである。図5の横軸は評価した年月を、縦軸は誤検出率(欠陥が存在すると誤検出した鋼管の本数/探傷を実施した鋼管の本数)を示す。
図5に示すように、本実施形態に係る超音波探傷装置100を適用することにより、曲がりを有する鋼管であっても、欠陥の誤検出が大幅に低減され、精度良く探傷可能であることが分かった。
図1は、従来の超音波探傷装置における問題点を説明するための説明図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る超音波探傷装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。 図3は、図2に示す軸芯測定手段の一構成例を示す図である。 図4は、図2に示す超音波探傷器によって被探傷材の軸芯位置を算出する方法を説明するための説明図である。 図5は、図2に示す超音波探傷装置による探傷精度の評価結果の一例を示すグラフである。
符号の説明
1・・・超音波探触子
2・・・超音波探傷器
3・・・円筒状回転体
4・・・上流側ロール
5・・・下流側ロール
6・・・軸芯測定手段
7・・・制御手段
100・・・超音波探傷装置
S・・・鋼管(被探傷材)
A・・・管周方向の入射角

Claims (2)

  1. 軸方向に沿って搬送される管状又は棒状の被探傷材に対して超音波を送受信する超音波探触子と、
    前記超音波探触子からの出力信号を受信して、被探傷材に存在する欠陥を検出すると共に、前記超音波探触子から被探傷材までの距離を測定する超音波探傷器と、
    前記超音波探触子が取り付けられ、被探傷材を挿通すると共に被探傷材の周方向に沿って回転する円筒状回転体と、
    被探傷材の搬送方向に沿って前記円筒状回転体の上流側及び下流側にそれぞれ配置され、被探傷材を案内支持する上流側ロール及び下流側ロールと、
    前記上流側ロールと前記円筒状回転体との間に配置され、被探傷材の軸芯位置を測定する軸芯測定手段と、
    前記円筒状回転体の軸方向にそれぞれ直交し且つ互いに直交するY軸方向及びZ軸方向の位置を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記軸芯測定手段で測定した被探傷材のY軸方向の軸芯位置と前記円筒状回転体の予め設定した初期のY軸方向の軸芯位置との差を、前記軸芯測定手段設置位置に於ける被探傷材のY軸方向の芯ずれ量として算出すると共に、前記軸芯測定手段で測定した被探傷材のZ軸方向の軸芯位置と前記円筒状回転体の予め設定した初期のZ軸方向の軸芯位置との差を、前記軸芯測定手段設置位置に於ける被探傷材のZ軸方向の芯ずれ量として算出し、
    前記超音波探傷器で測定したY軸方向に沿った前記超音波探触子から被探傷材までの距離に基づいて、被探傷材のY軸方向の軸芯位置を演算し、該演算した被探傷材のY軸方向の軸芯位置と前記円筒状回転体の予め設定した初期のY軸方向の軸芯位置との差を、前記超音波探触子設置位置に於ける被探傷材のY軸方向の芯ずれ量として算出すると共に、前記超音波探傷器で測定したZ軸方向に沿った前記超音波探触子から被探傷材までの距離に基づいて、被探傷材のZ軸方向の軸芯位置を演算し、該演算した被探傷材のZ軸方向の軸芯位置と前記円筒状回転体の予め設定した初期のZ軸方向の軸芯位置との差を、前記超音波探触子設置位置に於ける被探傷材のZ軸方向の芯ずれ量として算出するように構成されており、
    前記制御手段は、今回探傷を実施する被探傷材の先端部及び後端部が前記超音波探触子設置位置に到達する際に、前記円筒状回転体のY軸方向の位置を下記の式(1)に示すBY’(x)だけ補正すると共に、前記円筒状回転体のZ軸方向の位置を下記の式(2)に示すBZ’(x)だけ補正することを特徴とする超音波探傷装置。
    BY’(x)=AY’(x)×(BY(x)−CY(x))/AY(x)・・・(1)
    BZ’(x)=AZ’(x)×(BZ(x)−CZ(x))/AZ(x)・・・(2)
    ここで、上記式(1)及び(2)において、xは被探傷材の軸方向の位置を、AY’(x)及びAZ’(x)はそれぞれ今回探傷を実施する被探傷材(今回被探傷材)の先端部及び後端部についての軸芯測定手段設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、AY(x)及びAZ(x)はそれぞれ前回探傷を実施した被探傷材(前回被探傷材)の先端部及び後端部についての軸芯測定手段設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、BY(x)及びBZ(x)はそれぞれ前回被探傷材の先端部及び後端部についての超音波探触子設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、CY(x)及びCZ(x)はそれぞれ前回被探傷材の先端部及び後端部について補正した円筒状回転体のY軸方向及びZ軸方向の位置補正量を、BY’(x)及びBZ’(x)はそれぞれ今回被探傷材の先端部及び後端部について予測される超音波探触子設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を意味する。
  2. 前記制御手段は、今回探傷を実施する被探傷材の先端部及び後端部を除く中央部が前記超音波探触子設置位置に到達する際に、前記円筒状回転体のY軸方向の位置を下記の式(3)に示すCY’だけ補正すると共に、前記円筒状回転体のZ軸方向の位置を下記の式(4)に示すCZ’だけ補正することを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷装置。
    CY’=Ave(BYc(x)−CY)・・・(3)
    CZ’=Ave(BZc(x)−CZ)・・・(4)
    ここで、上記式(3)及び(4)において、xは被探傷材の軸方向の位置を、BYc(x)及びBZc(x)はそれぞれ前回探傷を実施した被探傷材(前回被探傷材)の中央部についての超音波探触子設置位置に於けるY軸方向及びZ軸方向の芯ずれ量を、CY及びCZはそれぞれ前回被探傷材の中央部について補正した円筒状回転体のY軸方向及びZ軸方向の位置補正量を、Ave( )は、括弧内の平均値を意味する。
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