JP4560556B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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EL素子には、発光材料として無機化合物を用いる無機EL素子と、有機化合物を用いる有機EL素子とがあり、このうち、有機EL素子は、印加電圧を大幅に低くし得る小型化が容易であるため、次世代の表示素子としてその実用化研究が積極的になされている。有機EL素子の構成は、陽極/発光層/陰極の構成を基本とし、ガラス板等を用いた基板上に、透明陽極を積層する構成が通常採用されている。この場合、発光は基板側に取り出される。
ところで、近年以下の理由で、陰極を透明にして発光を陰極側に取り出す試みがなされている。
(ア)陽極を透明とすれば、透明な発光素子ができる。
(イ)透明な発光素子の背景色として任意な色が採用でき、発光時以外もカラフルなディスプレイとすることができ、装飾性が改良される。また、背景色として黒を採用した場合には、発光時のコントラストが向上する。
(ウ)カラーフィルターや色変換層を用いる場合は、発光素子の上にこれらを置くことができる。このため、これらの層を考慮することなく素子を製造することができる。その利点として、例えば、陽極を形成させる際に基板温度を高くすることができ、これにより陽極の抵抗値を下げることができる。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在してなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記陰極が電子注入電極層と非晶質透明導電膜とからなり、前記電子注入電極層が、電子注入性の金属、合金およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上と電子伝達性の有機物の混合層であり、かつ前記電子注入電極層が前記有機層と接することを特徴とする有機EL素子。
(2)電子注入電極層が、島状電子注入域からなることを特徴とする前記(1)記載の有機EL素子。
(3)非晶質透明導電膜が、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、酸素(O)からなる酸化物を用いて、形成されていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の有機EL素子。
(4)Inの原子比〔In/(In+Zn)〕が0.45〜0.85である前記(3)記載の有機EL素子。
(5)Inの原子比〔In/(In+Zn)〕が0.70〜0.85である前記(3)記載の有機EL素子。 (6)非晶質透明導電膜が、さらにスズ(Sn)を含有し、Snの原子比〔Sn/(In+Zn+Sn)〕が0.2以下である前記(3)記載の有機EL素子。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在しており、陰極は電子注入電極層と非晶質透明導電膜とによって構成されており、しかも電子注入電極層が有機層と接するという構成で成り立っている。この構成は、例えば、図1により模式的に表すことができる。
以下に、これらの構成について説明する。
まず、本発明の有機EL素子において陰極を構成する非晶質透明導電膜について説明する。本発明で用いる非晶質透明導電膜は、非晶質であって透明性を有するものであればよいが、前記したように、電圧降下とそれに起因する発光の不均一性の排除のため、比抵抗値が5×10-4Ω・cm以下であることが好ましい。
スパッタリングの方法は、RFあるいはDCマグネトロンスパッタリング等でも反応性スパッタリングでもよく、使用するスパッタリングターゲットの組成やスパッタリングの条件は、成膜しようとする透明導電膜の組成等に応じて適宜選択される。RFあるいはDCマグネトロンスパッタリング等によりIn−Zn−O系の透明導電膜を形成させる場合には、下記(i)〜(ii)のスパッタリングターゲットを用いることが好ましい。
また、焼結体ターゲットを用いる場合、このターゲットの相対密度は70%以上とすることが好ましい。相対密度が70%未満では、成膜速度の低下や膜質の低下をまねき易い。より好ましい相対密度は85%以上であり、更に好ましくは90%以上である。
ダイレクトスパッタリング法により透明導電膜を設ける場合のスパッタリング条件は、ダイレクトスパッタリングの方法やスパッタリングターゲットの組成、用いる装置の特性等により種々変わってくるために一概に規定することは困難であるが、DCダイレクトスパッタリング法による場合には例えば下記のように設定することが好ましい。
基板温度は、有機層の耐熱性に応じて、当該有機層が熱により変形や変質を起こさない温度の範囲内で適宜選択される。基板温度が室温未満では冷却用の機器が別途必要になるため、製造コストが上昇する。また、基板温度を高温に加熱するにしたがって、製造コストが上昇する。このため、室温〜200℃とするのが好ましい。
前記した(i)〜(ii)等のスパッタリングターゲットを用いて上述したような条件でダイレクトスパッタリングを行うことにより、目的とする透明導電膜を有機層上に設けることができる。
次に、電子注入電極層について説明する。電子注入電極層とは、発光層を含む有機層に良好に電子注入ができる電極の層であり、透明発光素子を得るためには、光線透過率が50%以上であることが好ましく、このためには膜厚を0.5〜20nm程度の超薄膜とすることが望ましい。
他の好ましい例としては、前記の仕事関数3.8eV以下の金属(複数種でもよい。)と仕事関数4.0eV以上の金属との合金(電子注入性の合金)を用いた電子注入電極層を挙げることができる。このような合金としては、電子注入電極層の形成が可能な合金であれば足りるが、例えば、アルミニウム−リチウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−リチウム合金、鉛−リチウム合金、ビスマス−リチウム合金、スズ−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−バリウム合金、アルミニウム−スカンジウム合金を挙げることができる。この場合においても、膜厚を1nm〜20nmとすることが好ましく、50%以上、特に60%以上の光線透過率を与える層とすることが好ましい。
アルカリ土類金属酸化物層の形成手法としては、抵抗加熱蒸着法によりアルカリ土類金属を蒸着しながら、真空槽内に酸素を導入して真空度を10-3〜10-4Paとし、酸素とアルカリ土類を反応させながら蒸着させる方法が好ましい。また、アルカリ土類金属酸化物を電子ビーム蒸着法により製膜する方法を採用することもできる。
なお、これまで説明した、電子注入性の金属、合金、アルカリ土類金属酸化物については、1種のみでなく2種以上を用いて電子注入電極層を形成することもできる。
電子注入性の金属、合金、アルカリ土類金属酸化物としては、前記した金属、合金、アルカリ土類金属酸化物を挙げることができる。また、これらは、1種のみでなく2種以上を用いることもできる。一方、電子伝達性の化合物は、電子を伝達する化合物であればよく、好ましい化合物として、キレート化オキシノイド化合物を挙げることができ、更に好適な化合物として下式で表されるものが挙げられる。
式中の金属としては、キレート形成能のある1〜3価金属であればよく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、マグネシウムやカルシウムのようなアルカリ土類金属、あるいはホウ素やアルミニウムのような3価金属を挙げることができる。また、Zは少なくとも2個の縮合芳香族環を持つ複素環状核を完成する原子を表す。Zが完成する複素環状核としては、例えば、アゾール環やアジン環を挙げることができる。
また、電子注入性の金属、合金、アルカリ土類金属酸化物と電子伝達性の化合物との混合比(重量比)は、100:1〜1:2とすることが好ましい。電子注入性の金属、合金と電子伝達性の化合物との混合層は、2元同時蒸着法により形成するのが好ましい。基板温度は、10〜100℃の間で設定すればよい。
また、この電子注入域は、薄膜状を指すものでも、孤立原子分散の状態を示すものでもない。上記の低仕事関数の金属又は化合物が、粒子状の形態で導電性薄膜上又は有機化合物層内に分散されている状態を指す。このような分散により、有機化合物層と接触している面積が大きくなり、電子注入性が高まる。
島状電子注入域の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着法を採用することができる。後者の場合、高融点のホウ化金属、窒化金属または酸化物を電子ビーム蒸着により島状に不連続に形成させる。
また、電子注入電極層が有機層と接することで、電子が有機層に注入される。これにより、陽極側からの正孔の注入と相まってEL素子が形成される。本発明の有機EL素子においては、通常、基板上に陽極を積層しその上に有機層を積層する構成を採用するが、この場合、有機発光層を含む有機層の上に電子注入電極層を形成する。形成方法は、前記のとおりであるが、他の好ましい方法としてスパッタリング法があるが。この手法を用いるに際しては、プラズマにより有機層が損傷を受けないように注意する必要がある。
本発明の有機EL素子において、陽極と陰極との間に介在する有機層は、少なくとも発光層を含む。有機層は、発光層のみからなる層であってもよく、また、発光層とともに、正孔注入輸送層などを積層した多層構造のものであってもよいよい。
この有機EL素子において、発光層は(1)電界印加時に、陽極又は正孔輸送層により正孔を注入することができ、かつ電子注入層より電子を注入することができる機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能などを有している。この発光層に用いられる発光材料の種類については特に制限はなく、従来有機EL素子における公知のものを用いることができる。
陽極は、仕事関数が4.8eV以上の導電性を示すものであれば特に制限はない。仕事関数が4.8eV以上の金属又は透明導電膜(導電性酸化物膜)又はこれらを組み合わせたものが好ましい。陽極は、必ずしも透明である必要はなく、黒色のカーボン層等をコーティングしてもよい。
好適な金属としては、例えば、Au,Pt,Ni,Pdを挙げることができ、導電性酸化物としては、例えば、In−Zn−O,In−Sn−O,ZnO−Al,Zn−Sn−Oを挙げることができる。また、積層体としては、例えば、AuとIn−Zn−Oの積層体、PtとIn−Zn−Oの積層体、In−Sn−OとPtの積層体を挙げることができる。
陽極の膜厚は、50〜300nm程度とすることが好ましい。膜厚が50nm未満では、抵抗値が高くなり過ぎる場合がある。一方、300nmを超えると、有機EL素子において、陽極がパターンされている端で生じる段差により上部の膜、例えば有機層や陰極が段差切れや断線を起こす場合がある。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在しており、陰極は電子注入電極層と非晶質透明導電膜とによって構成されており、しかも電子注入電極層が有機層と接するという構成を具備していれば、本発明の目的を達成することができるが、更に他の構成を付加して、種々の機能を持たせることができる。
以下に本発明の有機EL素子を利用した構成を例示する。
(2) 陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/カラーフィルター
(3) 陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/色変換層
(4) 透明陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/黒色光吸収層透明
(5) 陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/背景色形成層
(6) 黒色光吸収層/透明陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極
(7) 背景色形成層/透明陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極
前記(1) の構成の場合、両方の電極が透明なので、透明表示素子が形成される。
(4) や(6) の構成においては、画素がオフのときに黒色に見えるので、入射外光が反射せず、ディスプレイのコントラストが向上するという利点がある。図4に、(4) の構成を例示する。(5) や(7) の構成においては、種々の背景色や図柄を採用することができ、画素がオフのときにも装飾性に優れるディスプレイとすることができる。図5に、(7) の構成を例示する。
実施例1
<有機EL素子の作製>
25mm×75mm×1mmのガラス基板上に、ITOを100nmの膜厚で製膜したもの(ジオマティックス社製)を基板上に導電性薄膜が成膜してあるものとして使用した。次に、これをイソプロピルアルコール中に浸漬し、超音波洗浄を行った後、サムコインターナショナル製の紫外線照射機UV−300を用いて紫外線とオゾンとを併用して30分間洗浄した。
まず、正孔注入輸送層としてCuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次に第2の正孔注入輸送層としてTPDを40nm蒸着し、更に発光層としてAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、アルミニウム−リチウム合金を7nm蒸着して電子注入電極層を形成させた。
さらに、前記した素子の作成方法と同様の方法を用いて、ITO薄膜付きガラス基板上に直接、電子注入電極層および非晶質透明導電膜を積層した積層体を作成し、波長460nmの光の透過率を計測したところ、63%と高透明のものであった。
前記実施例の製造法により形成された非晶質透明導電膜について、三菱油化社製のロレスタFPを用いた四探針法により面抵抗値を調べたところ、17Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、3.4×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、3.1mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、60cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RH(相対湿度)の雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光性能も維持されていた。
実施例1と同様の方法により有機EL素子を作製した。ただし、In−Zn−O系酸化物膜を形成させる代わりに、市販のITOターゲットを用いて結晶質透明導電膜であるところのITO膜を形成させた。
その後、実施例1と同様の方法により有機EL素子の性能を評価したところ、面抵抗値は130Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、2.6×10-3Ω・cmと高抵抗であることが確認された。次に、この有機EL素子に電圧を8V印加したところ、4mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、60cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼で無数確認され、発光欠陥が多いことが確認された。
<有機EL素子の作製>
実施例1で用いたものと同様のITO薄膜付きガラス基板を、実施例1と同様に真空蒸着装置内の基板ホルダーに取り付け、真空槽を5×10-4Paまで減圧した。なお、あらかじめ真空蒸着装置の抵抗加熱ボートには、CuPc、TPD及びAlqをそれぞれ200mgずつ入れ、また抵抗加熱フィラメントにはアルミニウム−リチウム合金(Li含量:2重量%)を入れておいた。
まず、CuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次にTPDを40nm蒸着し、更にAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、真空度が1×10-3Paとなるまで酸素を導入し、バリウム(Ba)を膜厚1.0nm蒸着し、電子注入電極層であるBaOを形成させた。なお、Baは、真空槽中に存在する酸素と反応し、BaO電子注入電極層が形成される。
この製造法により形成された非晶質透明導電膜について、実施例1と同様にして面抵抗値を調べたところ、16Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、3.2×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、3.0mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、80cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光効率も落ちず、発光性能が維持されていた。
<有機EL素子の作製>
実施例1で用いたものと同様のITO薄膜付きガラス基板を、実施例1と同様に真空蒸着装置内の基板ホルダーに取り付け、真空槽を5×10-4Paまで減圧した。なお、あらかじめ真空蒸着装置の抵抗加熱ボートには、CuPc、TPD及びAlqをそれぞれ200mgずつ入れ、また抵抗加熱フィラメントにはアルミニウム−リチウム合金(Li含量:2重量%)を入れておいた。
まず、CuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次にTPDを40nm蒸着し、更にAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、電子注入金属であるマグネシウム(Mg)を蒸着速度1.4nm/秒で、電子伝達性化合物であるAlqを0.1nm/秒で同時に蒸着し、膜厚10nmの混合電子注入電極層とした。
この製造法により形成された非晶質透明導電膜について、実施例1と同様にして面抵抗値を調べたところ、20Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、4.0×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、2.9mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、60cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光効率も落ちず、発光性能が維持されていた。
<有機EL素子の作製>
実施例1で用いたものと同様のITO薄膜付きガラス基板を、実施例1と同様に真空蒸着装置内の基板ホルダーに取り付け、真空槽を5×10-4Paまで減圧した。なお、あらかじめ真空蒸着装置の抵抗加熱ボートには、CuPc、TPD及びAlqをそれぞれ200mgずつ入れ、また抵抗加熱フィラメントにはアルミニウム−リチウム合金(Li含量:2重量%)を入れておいた。
まず、CuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次にTPDを40nm蒸着し、更にAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、Al−Li合金を膜厚2nmとなるように蒸着した。ただし、本実施例においては、島状に不連続になるように蒸着させ、電子注入電極層とした。
また、島状電子注入域の形成については、上記のEL素子の作成方法において、Al−Li合金を蒸着した段階で止めた積層体を別途作成し、走査型電子顕微鏡により、島状に蒸着されていることを確認した。
前記実施例の製造法により形成された非晶質透明導電膜について、実施例1と同様にして面抵抗値を調べたところ、15Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、3.0×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、3.8mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、65cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光効率も落ちず、発光性能が維持されていた。
2:陽極
3:有機層
4:電子注入電極層
5:非晶質透明導電膜
6:島状注入域
7:カラーフィルター
8:黒色光吸収層
9:背景色形成層
Claims (6)
- 支持基板上に形成された陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在してなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記陰極が電子注入電極層と非晶質透明導電膜とからなり、前記電子注入電極層が、電子注入性の金属、合金およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上と電子伝達性の有機物の混合層であり、かつ前記電子注入電極層が前記有機層と接し、前記支持基板とは逆の方向に光を取り出すことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 電子注入電極層が、島状電子注入域からなることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 非晶質透明導電膜が、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、酸素(O)からなる酸化物を用いて、形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- Inの原子比〔In/(In+Zn)〕が0.45〜0.85である請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- Inの原子比〔In/(In+Zn)〕が0.70〜0.85である請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 非晶質透明導電膜が、さらにスズ(Sn)を含有し、Snの原子比〔Sn/(In+Zn+Sn)〕が0.2以下である請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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