JP2005056864A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低抵抗かつ高透明な陰極を有するとともに、発光効率および耐久性(耐湿熱性)に優れ、透明発光素子としても利用可能な有機エレクトロルミネッセンス素子の提供。
【解決手段】 陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在してなる有機EL素子であって、前記陰極が電子注入陰極層と非晶質透明導電膜とからなり、かつ前記電子注入陰極層が前記有機層と接する構成を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】 図1
【解決手段】 陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在してなる有機EL素子であって、前記陰極が電子注入陰極層と非晶質透明導電膜とからなり、かつ前記電子注入陰極層が前記有機層と接する構成を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】 図1
Description
本発明は、発光を素子の両側が取り出すことができる、耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
電界発光を利用したエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子と略記する。)は、自己発光のため視認性が高く、かつ完全固体素子であるため、耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。
EL素子には、発光材料として無機化合物を用いる無機EL素子と、有機化合物を用いる有機EL素子とがあり、このうち、有機EL素子は、印加電圧を大幅に低くし得る小型化が容易であるため、次世代の表示素子としてその実用化研究が積極的になされている。有機EL素子の構成は、陽極/発光層/陰極の構成を基本とし、ガラス板等を用いた基板上に、透明陽極を積層する構成が通常採用されている。この場合、発光は基板側に取り出される。
ところで、近年以下の理由で、陰極を透明にして発光を陰極側に取り出す試みがなされている。
(ア)陽極を透明とすれば、透明な発光素子ができる。
(イ)透明な発光素子の背景色として任意な色が採用でき、発光時以外もカラフルなディスプレイとすることができ、装飾性が改良される。また、背景色として黒を採用した場合には、発光時のコントラストが向上する。
(ウ)カラーフィルターや色変換層を用いる場合は、発光素子の上にこれらを置くことができる。このため、これらの層を考慮することなく素子を製造することができる。その利点として、例えば、陽極を形成させる際に基板温度を高くすることができ、これにより陽極の抵抗値を下げることができる。
EL素子には、発光材料として無機化合物を用いる無機EL素子と、有機化合物を用いる有機EL素子とがあり、このうち、有機EL素子は、印加電圧を大幅に低くし得る小型化が容易であるため、次世代の表示素子としてその実用化研究が積極的になされている。有機EL素子の構成は、陽極/発光層/陰極の構成を基本とし、ガラス板等を用いた基板上に、透明陽極を積層する構成が通常採用されている。この場合、発光は基板側に取り出される。
ところで、近年以下の理由で、陰極を透明にして発光を陰極側に取り出す試みがなされている。
(ア)陽極を透明とすれば、透明な発光素子ができる。
(イ)透明な発光素子の背景色として任意な色が採用でき、発光時以外もカラフルなディスプレイとすることができ、装飾性が改良される。また、背景色として黒を採用した場合には、発光時のコントラストが向上する。
(ウ)カラーフィルターや色変換層を用いる場合は、発光素子の上にこれらを置くことができる。このため、これらの層を考慮することなく素子を製造することができる。その利点として、例えば、陽極を形成させる際に基板温度を高くすることができ、これにより陽極の抵抗値を下げることができる。
陰極を透明にすることにより、前記のような利点が得られるため、透明陰極を用いた有機EL素子を作成する試みがなされている。特許文献1には、透明導電層よりなる第1の電極層と、超薄膜の電子注入金属層及びその上に形成される透明導電層よりなる第2の電極層を設けた、透明な有機EL素子が開示されている。そして、これらの透明導電層を構成する物質として、ITO(インジウムチンオキサイド)やSnO2 が開示されている。しかし、これらはX線回折ピークが消失する程度にまで結晶性をなくすることはできず、本質的に結晶質である。このため、有機層を介して基板に積層するに際して、有機層の損傷を防ぐために基板温度を室温〜100℃近くに設定して蒸着した場合、比抵抗値が高い透明導電層が形成される(ITOでは、1×10-3Ω・cm程度以上となる。)。そして、そのような有機EL素子においては、透明導電層の配線ラインで電圧降下が発生し、発光に不均一性が生じるため、比抵抗値を下げる改良が求められている。また、ITOやSnO2 は、本質的に結晶質であるため、結晶粒界より水分や酸素が侵入しやすい。このため、隣接して積層される電子注入金属層が劣化をうけ易く、その結果発光欠陥が生じたり、発光しなくなったりするなど、耐久性が十分とはいえず、更なる改良が求められている。
特開平8−185984号公報
本発明の目的は、上記従来技術を解決し、低抵抗かつ高透明の陰極を有する有機EL素子を提供することにある。本発明の目的は、また、陰極を構成する透明導電膜から水分や酸素が侵入しにくく、耐久性に優れる有機EL素子を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、陰極を構成する透明導電膜として非晶質の透明導電膜を採用することにより、上記の課題が解決されることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在してなる有機EL素子であって、前記陰極が電子注入電極層と非晶質透明導電膜とからなり、かつ前記電子注入電極層が前記有機層と接することを特徴とする有機EL素子。
(2)電子注入電極層が、電子注入性の金属、合金およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上を用いて、超薄膜状に形成されていることを特徴とする前記(1)記載の有機EL素子。
(3)電子注入電極層が、電子注入性の金属、合金およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上と電子伝達性の有機物の混合層であることを特徴とする前記(1)記載の有機EL素子。
(4)電子注入電極層が、島状電子注入域からなることを特徴とする前記(1)記載の有機EL素子。
(5)非晶質透明導電膜が、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、酸素(O)からなる酸化物を用いて、形成されていることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機EL素子。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在してなる有機EL素子であって、前記陰極が電子注入電極層と非晶質透明導電膜とからなり、かつ前記電子注入電極層が前記有機層と接することを特徴とする有機EL素子。
(2)電子注入電極層が、電子注入性の金属、合金およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上を用いて、超薄膜状に形成されていることを特徴とする前記(1)記載の有機EL素子。
(3)電子注入電極層が、電子注入性の金属、合金およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上と電子伝達性の有機物の混合層であることを特徴とする前記(1)記載の有機EL素子。
(4)電子注入電極層が、島状電子注入域からなることを特徴とする前記(1)記載の有機EL素子。
(5)非晶質透明導電膜が、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、酸素(O)からなる酸化物を用いて、形成されていることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機EL素子。
本発明の有機EL素子は、低抵抗かつ高透明の陰極を有するため、発光を効率よく素子の両面から取り出すことができる。また、耐久性に優れる。このため、本発明の有機EL素子は、たとえば情報機器のディスプレイなどに好適に用いられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在しており、陰極は電子注入電極層と非晶質透明導電膜とによって構成されており、しかも電子注入電極層が有機層と接するという構成で成り立っている。この構成は、例えば、図1により模式的に表すことができる。
以下に、これらの構成について説明する。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在しており、陰極は電子注入電極層と非晶質透明導電膜とによって構成されており、しかも電子注入電極層が有機層と接するという構成で成り立っている。この構成は、例えば、図1により模式的に表すことができる。
以下に、これらの構成について説明する。
<非晶質透明導電膜>
まず、本発明の有機EL素子において陰極を構成する非晶質透明導電膜について説明する。本発明で用いる非晶質透明導電膜は、非晶質であって透明性を有するものであればよいが、前記したように、電圧降下とそれに起因する発光の不均一性の排除のため、比抵抗値が5×10-4Ω・cm以下であることが好ましい。
まず、本発明の有機EL素子において陰極を構成する非晶質透明導電膜について説明する。本発明で用いる非晶質透明導電膜は、非晶質であって透明性を有するものであればよいが、前記したように、電圧降下とそれに起因する発光の不均一性の排除のため、比抵抗値が5×10-4Ω・cm以下であることが好ましい。
また、材質としては、In−Zn−O系の酸化物膜が好ましい。ここで、In−Zn−O系の酸化物膜とは、主要カチオン元素としてインジウム(In)及び亜鉛(Zn)を含有する非晶質酸化物からなる透明導電膜である。Inの原子比〔In/(In+Zn)〕は0.45〜0.90が好ましい。それは、この範囲外では導電性が低くなる可能性があるからである。Inの原子比〔In/(In+Zn)〕は、導電性の点で0.50〜0.90が特に好ましく、0.70〜0.85が更に好ましい。
上記非晶質酸化物は、主要カチオン元素として実質的にIn及びZnのみを含有するものであってもよいし、その他に価数が正3価以上の1種以上の第3元素を含有するものであってもよい。前記第3元素の具体例としては、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)等があげられるが、導電性が向上するという点でSnを含有するものが特に好ましい。また、第3元素の含有量は、その総量の原子比〔(全第3元素)/(In+Zn+(全第3元素)〕が0.2以下となる量が好ましい。第3元素の総量の原子比が0.2を超えると、イオンの散乱により導電性が低くなる場合がある。第3元素の総量の特に好ましい原子比は0.1以下である。なお、組成が同じであっても、結晶化したものは非晶質のものより導電性に劣るので、この点からも非晶質の透明導電膜を使用する必要がある。
上述の非晶質酸化物は、薄膜にすることで透明導電膜として利用可能となる。このときの膜厚は、概ね3〜3000nmとするのが好ましい。それは、3nm未満では導電性が不十分となりやすく、3000nmを超えると光透過性が低下したり、有機EL素子を製造する過程や製造後において故意又は不可避的に有機EL素子を変形させたときに透明導電膜にクラック等が生じやすくなる。透明導電膜の特に好ましい膜厚は5〜1000nmであり、更に好ましい膜厚は10〜800nmである。
本発明の有機EL素子において、基板上に陽極および有機層を介して陰極が形成される場合、電子注入電極層の上に非晶質透明導電膜(酸化膜)が形成される。非晶質透明導電膜の形成手法としては、スパッタリング法の他、化学蒸着法、ゾルゲル法、イオンプレーティング法等を採用できるが、有機層への熱的な影響が少ないことや簡便性の観点より、スパッタリング法が好ましい。この場合、スパッタリング時に発生するプラズマにより有機層が損傷を受けないように注意する必要がある。また、有機層の耐熱性は低いので、基板の温度を200℃以下とするのが好ましい。
スパッタリングの方法は、RFあるいはDCマグネトロンスパッタリング等でも反応性スパッタリングでもよく、使用するスパッタリングターゲットの組成やスパッタリングの条件は、成膜しようとする透明導電膜の組成等に応じて適宜選択される。RFあるいはDCマグネトロンスパッタリング等によりIn−Zn−O系の透明導電膜を形成させる場合には、下記(i)〜(ii)のスパッタリングターゲットを用いることが好ましい。
スパッタリングの方法は、RFあるいはDCマグネトロンスパッタリング等でも反応性スパッタリングでもよく、使用するスパッタリングターゲットの組成やスパッタリングの条件は、成膜しようとする透明導電膜の組成等に応じて適宜選択される。RFあるいはDCマグネトロンスパッタリング等によりIn−Zn−O系の透明導電膜を形成させる場合には、下記(i)〜(ii)のスパッタリングターゲットを用いることが好ましい。
(i)酸化インジウムと酸化亜鉛との組成物からなる焼結体ターゲットで、インジウムの原子比が所定のもの。ここで、「インジウムの原子比が所定のもの」とは、最終的に得られる膜におけるInの原子比〔In/(In+Zn)〕が0.45〜0.90の範囲内の所望値となるものを意味するが、焼結体ターゲットにおける原子比が概ね0.50〜0.90のものである。この焼結体ターゲットは、酸化インジウムと酸化亜鉛との混合物からなる焼結体であってもよいし、In2O3(ZnO)m(m=2〜20)で表される六方晶層状化合物の1種以上から実質的になる焼結体であってもよいし、In2O3(ZnO)m(m=2〜20)で表される六方晶層状化合物の1種以上とIn2O3及び/又はZnOとから実質的になる焼結体であってもよい。なお、六方晶層状化合物を表す前記式においてmを2〜20に限定する理由は、mが前記範囲外では六方晶層状化合物とならないからである。
(ii)酸化物系ディスクと、このディスク上に配置した1種以上の酸化物系タブレットとからなるスパッタリングターゲット。酸化物系ディスクは、酸化インジウム又は酸化亜鉛から実質的になるものであってもよいし、In2O3(ZnO)m(m=2〜20)で表される六方晶層状化合物の1種以上から実質的になる焼結体であってもよいし、In2O3(ZnO)m(m=2〜20)で表される六方晶層状化合物の1種以上とIn2 O3 及び/又はZnOとから実質的になる焼結体であってもよい。また、酸化物系タブレットとしては、上記酸化物系ディスクと同様のものを使用することができる。酸化物系ディスク及び酸化物系タブレットの組成並びに使用割合は、最終的に得られる膜におけるInの原子比〔In/(In+Zn)〕が0.45〜0.80の範囲内の所望値となるように適宜決定される。
前記(i)〜(ii)のいずれのスパッタリングターゲットもその純度は98%以上であることが好ましい。98%未満では、不純物の存在により、得られる膜の耐湿熱性(耐久性)が低下したり、導電性が低下したり、光透過性が低下したりすることがある。より好ましい純度は99%以上であり、更に好ましい純度は99.9%以上である。
また、焼結体ターゲットを用いる場合、このターゲットの相対密度は70%以上とすることが好ましい。相対密度が70%未満では、成膜速度の低下や膜質の低下をまねき易い。より好ましい相対密度は85%以上であり、更に好ましくは90%以上である。
ダイレクトスパッタリング法により透明導電膜を設ける場合のスパッタリング条件は、ダイレクトスパッタリングの方法やスパッタリングターゲットの組成、用いる装置の特性等により種々変わってくるために一概に規定することは困難であるが、DCダイレクトスパッタリング法による場合には例えば下記のように設定することが好ましい。
また、焼結体ターゲットを用いる場合、このターゲットの相対密度は70%以上とすることが好ましい。相対密度が70%未満では、成膜速度の低下や膜質の低下をまねき易い。より好ましい相対密度は85%以上であり、更に好ましくは90%以上である。
ダイレクトスパッタリング法により透明導電膜を設ける場合のスパッタリング条件は、ダイレクトスパッタリングの方法やスパッタリングターゲットの組成、用いる装置の特性等により種々変わってくるために一概に規定することは困難であるが、DCダイレクトスパッタリング法による場合には例えば下記のように設定することが好ましい。
スパッタリング時の真空度およびターゲット印加電圧は以下のように設定することが好ましい。スパッタリング時の真空度は1.3×10-2〜6.7×100Pa程度、より好ましくは1.7×10-2〜1.3×100Pa程度、更に好ましくは4.0×10-2〜6.7×10-1Pa程度とする。また、ターゲットの印加電圧は200〜500Vが好ましい。スパッタリング時の真空度が1.3×10-2Paに満たない(1.3×10-2Paよりも圧力が低い)とプラズマの安定性が悪く、6.7×100Paよりも高い(6.7×100Paよりも圧力が高い)とスパッタリングターゲットへの印加電圧を高くすることができなくなる。また、ターゲット印加電圧が200V未満では、良質の薄膜を得るのが困難になったり、成膜速度が制限されることがある。
雰囲気ガスとしては、アルゴンガス等の不活性ガスと酸素ガスとの混合ガスが好ましい。不活性ガスとしてアルゴンガスを用いるばあい、このアルゴンガスと酸素ガスとの混合比(体積比)は概ね1:1〜99.99:0.01、好ましくは9:1〜99.9:0.1とする。この範囲を外れると、低抵抗かつ光線透過率の高い膜が得られない場合がある。
基板温度は、有機層の耐熱性に応じて、当該有機層が熱により変形や変質を起こさない温度の範囲内で適宜選択される。基板温度が室温未満では冷却用の機器が別途必要になるため、製造コストが上昇する。また、基板温度を高温に加熱するにしたがって、製造コストが上昇する。このため、室温〜200℃とするのが好ましい。
前記した(i)〜(ii)等のスパッタリングターゲットを用いて上述したような条件でダイレクトスパッタリングを行うことにより、目的とする透明導電膜を有機層上に設けることができる。
基板温度は、有機層の耐熱性に応じて、当該有機層が熱により変形や変質を起こさない温度の範囲内で適宜選択される。基板温度が室温未満では冷却用の機器が別途必要になるため、製造コストが上昇する。また、基板温度を高温に加熱するにしたがって、製造コストが上昇する。このため、室温〜200℃とするのが好ましい。
前記した(i)〜(ii)等のスパッタリングターゲットを用いて上述したような条件でダイレクトスパッタリングを行うことにより、目的とする透明導電膜を有機層上に設けることができる。
<電子注入電極層>
次に、電子注入電極層について説明する。電子注入電極層とは、発光層を含む有機層に良好に電子注入ができる電極の層であり、透明発光素子を得るためには、光線透過率が50%以上であることが好ましく、このためには膜厚を0.5〜20nm程度の超薄膜とすることが望ましい。
次に、電子注入電極層について説明する。電子注入電極層とは、発光層を含む有機層に良好に電子注入ができる電極の層であり、透明発光素子を得るためには、光線透過率が50%以上であることが好ましく、このためには膜厚を0.5〜20nm程度の超薄膜とすることが望ましい。
電子注入電極層としては、例えば、仕事関数3.8eV以下の金属(電子注入性の金属)、例えば、Mg,Ca,Ba,Sr,Li,Yb,Eu,Y,Scなどを用いて膜厚を1nm〜20nmとした層を挙げることができる。この場合において、50%以上、特に60%以上の光線透過率を与える構成が好ましい。
他の好ましい例としては、前記の仕事関数3.8eV以下の金属(複数種でもよい。)と仕事関数4.0eV以上の金属との合金(電子注入性の合金)を用いた電子注入電極層を挙げることができる。このような合金としては、電子注入電極層の形成が可能な合金であれば足りるが、例えば、アルミニウム−リチウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−リチウム合金、鉛−リチウム合金、ビスマス−リチウム合金、スズ−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−バリウム合金、アルミニウム−スカンジウム合金を挙げることができる。この場合においても、膜厚を1nm〜20nmとすることが好ましく、50%以上、特に60%以上の光線透過率を与える層とすることが好ましい。
他の好ましい例としては、前記の仕事関数3.8eV以下の金属(複数種でもよい。)と仕事関数4.0eV以上の金属との合金(電子注入性の合金)を用いた電子注入電極層を挙げることができる。このような合金としては、電子注入電極層の形成が可能な合金であれば足りるが、例えば、アルミニウム−リチウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−リチウム合金、鉛−リチウム合金、ビスマス−リチウム合金、スズ−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−バリウム合金、アルミニウム−スカンジウム合金を挙げることができる。この場合においても、膜厚を1nm〜20nmとすることが好ましく、50%以上、特に60%以上の光線透過率を与える層とすることが好ましい。
前記の金属または合金を用いて電子注入電極層を形成させる場合、好適には抵抗加熱蒸着法を用いる。この場合、基板温度を10〜100℃の間で設定し、蒸着速度を0.05〜20nm/秒の間に設定するのが好ましい。また、特に合金を蒸着する場合には、2元蒸着法を用い、2種の金属の蒸着速度を個別に設定して蒸着するすることができる。この場合、Li,Ba,Ca,Sc,Mgなどの蒸着速度を0.01〜0.1nm/秒の間に設定し、Al等の母体金属の蒸着速度を1〜10nm/秒の間に設定して同時に蒸着するという手法が採用できる。また、合金を蒸着する場合に、1元蒸着法を用いることもできる。この場合、予め所望の割合で電子注入性の金属を母体金属に仕込んだ蒸着ペレットまたは粒状体を抵抗加熱ボートやフィラメントに設置し、加熱蒸着する。
更に別の好ましい形態としては、薄膜状の電子注入性のアルカリ土類金属酸化物であって、膜厚が0.1nm〜10nmの超薄膜を挙げることができる。前記アルカリ土類金属酸化物としては、例えば、BaO,SrO,CuO及びこれらを混合した、BaXSr1-XO(0<x<1)やBaXCa1-XO(0<x<1)を好ましくものとして挙げることができる。
アルカリ土類金属酸化物層の形成手法としては、抵抗加熱蒸着法によりアルカリ土類金属を蒸着しながら、真空槽内に酸素を導入して真空度を10-3〜10-4Paとし、酸素とアルカリ土類を反応させながら蒸着させる方法が好ましい。また、アルカリ土類金属酸化物を電子ビーム蒸着法により製膜する方法を採用することもできる。
なお、これまで説明した、電子注入性の金属、合金、アルカリ土類金属酸化物については、1種のみでなく2種以上を用いて電子注入電極層を形成することもできる。
アルカリ土類金属酸化物層の形成手法としては、抵抗加熱蒸着法によりアルカリ土類金属を蒸着しながら、真空槽内に酸素を導入して真空度を10-3〜10-4Paとし、酸素とアルカリ土類を反応させながら蒸着させる方法が好ましい。また、アルカリ土類金属酸化物を電子ビーム蒸着法により製膜する方法を採用することもできる。
なお、これまで説明した、電子注入性の金属、合金、アルカリ土類金属酸化物については、1種のみでなく2種以上を用いて電子注入電極層を形成することもできる。
更に他の好ましい例として、電子注入電極層は、電子注入性の金属、合金あるいはアルカリ土類金属酸化物と電子伝達性の化合物との混合層であってもよい。
電子注入性の金属、合金、アルカリ土類金属酸化物としては、前記した金属、合金、アルカリ土類金属酸化物を挙げることができる。また、これらは、1種のみでなく2種以上を用いることもできる。一方、電子伝達性の化合物は、電子を伝達する化合物であればよく、好ましい化合物として、キレート化オキシノイド化合物を挙げることができ、更に好適な化合物として下式で表されるものが挙げられる。
電子注入性の金属、合金、アルカリ土類金属酸化物としては、前記した金属、合金、アルカリ土類金属酸化物を挙げることができる。また、これらは、1種のみでなく2種以上を用いることもできる。一方、電子伝達性の化合物は、電子を伝達する化合物であればよく、好ましい化合物として、キレート化オキシノイド化合物を挙げることができ、更に好適な化合物として下式で表されるものが挙げられる。
(式中、Meは金属を表し、nは1〜3の整数である。Zは独立にそれぞれの場合において少なくとも2個の縮合芳香族環を持つ核を完成する原子を示す。)
式中の金属としては、キレート形成能のある1〜3価金属であればよく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、マグネシウムやカルシウムのようなアルカリ土類金属、あるいはホウ素やアルミニウムのような3価金属を挙げることができる。また、Zは少なくとも2個の縮合芳香族環を持つ複素環状核を完成する原子を表す。Zが完成する複素環状核としては、例えば、アゾール環やアジン環を挙げることができる。
式中の金属としては、キレート形成能のある1〜3価金属であればよく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、マグネシウムやカルシウムのようなアルカリ土類金属、あるいはホウ素やアルミニウムのような3価金属を挙げることができる。また、Zは少なくとも2個の縮合芳香族環を持つ複素環状核を完成する原子を表す。Zが完成する複素環状核としては、例えば、アゾール環やアジン環を挙げることができる。
前記有用なキレート化オキシノイド化合物としては、アルミニウムトリスオキシン、マグネシウムビスオキシン、ビス〔ベンゾ(f)−8−キノリノール〕亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウムオキサイド、インジウムトリスオキシン、アルミニウムトリス(5−メチルオキシン)、リチウムオキシン、ガリウムトリスオキシン、カルシウムビス(5−クロロオキシン)、ポリ〔亜鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリノニル)メタン〕、ジリチウムエピンドリジオン等が挙げられる。
また、電子注入性の金属、合金、アルカリ土類金属酸化物と電子伝達性の化合物との混合比(重量比)は、100:1〜1:2とすることが好ましい。電子注入性の金属、合金と電子伝達性の化合物との混合層は、2元同時蒸着法により形成するのが好ましい。基板温度は、10〜100℃の間で設定すればよい。
また、電子注入性の金属、合金、アルカリ土類金属酸化物と電子伝達性の化合物との混合比(重量比)は、100:1〜1:2とすることが好ましい。電子注入性の金属、合金と電子伝達性の化合物との混合層は、2元同時蒸着法により形成するのが好ましい。基板温度は、10〜100℃の間で設定すればよい。
更に他の好ましい例として、電子注入電極層が島状の電子注入域である構成を挙げることができる。ここで、島状とは、例えば図2に示すように、不連続に電子注入性化合物層が形成されていて、この層は有機層の表面を覆いつくすことがないことを意味する。島状電子注入域は、例えば仕事関数3.8eV以下の低仕事関数の金属、酸化物、ホウ化金属、窒化金属、ケイ化金属などを島状に不連続に形成させたものであり、その形状及び大きさについては特に制限はないが、微粒子状または結晶状であって、大きさが0.5nm〜5μm程度のものが好ましい。
また、この電子注入域は、薄膜状を指すものでも、孤立原子分散の状態を示すものでもない。上記の低仕事関数の金属又は化合物が、粒子状の形態で導電性薄膜上又は有機化合物層内に分散されている状態を指す。このような分散により、有機化合物層と接触している面積が大きくなり、電子注入性が高まる。
また、この電子注入域は、薄膜状を指すものでも、孤立原子分散の状態を示すものでもない。上記の低仕事関数の金属又は化合物が、粒子状の形態で導電性薄膜上又は有機化合物層内に分散されている状態を指す。このような分散により、有機化合物層と接触している面積が大きくなり、電子注入性が高まる。
上記島状電子注入域を構成する低仕事関数の金属及び合金としては、仕事関数3.8eV以下のものが好ましく、例えば、前記した金属及び合金を挙げることができる。また、低仕事関数の酸化物としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物が好ましく、特にCaO,BaO,SrOなどが好適であり、また、これらと他の金属酸化物との固溶体も好ましく挙げることができる。更に、低仕事関数のホウ化金属や窒化金属としては、例えば希土類のホウ化物、希土類のケイ化物あるいはTiNなどが好ましく挙げられる。
島状電子注入域の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着法を採用することができる。後者の場合、高融点のホウ化金属、窒化金属または酸化物を電子ビーム蒸着により島状に不連続に形成させる。
島状電子注入域の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着法を採用することができる。後者の場合、高融点のホウ化金属、窒化金属または酸化物を電子ビーム蒸着により島状に不連続に形成させる。
本発明の有機EL素子においては、陰極が電子注入電極層と非晶質透明導電膜とで構成されているため、劣化し易い電子注入電極層が非晶質透明導電膜で保護されることとなり、電子注入電極層を薄くすることができ、結果として、透明陰極を作成できるという利点を有する。
また、電子注入電極層が有機層と接することで、電子が有機層に注入される。これにより、陽極側からの正孔の注入と相まってEL素子が形成される。本発明の有機EL素子においては、通常、基板上に陽極を積層しその上に有機層を積層する構成を採用するが、この場合、有機発光層を含む有機層の上に電子注入電極層を形成する。形成方法は、前記のとおりであるが、他の好ましい方法としてスパッタリング法があるが。この手法を用いるに際しては、プラズマにより有機層が損傷を受けないように注意する必要がある。
また、電子注入電極層が有機層と接することで、電子が有機層に注入される。これにより、陽極側からの正孔の注入と相まってEL素子が形成される。本発明の有機EL素子においては、通常、基板上に陽極を積層しその上に有機層を積層する構成を採用するが、この場合、有機発光層を含む有機層の上に電子注入電極層を形成する。形成方法は、前記のとおりであるが、他の好ましい方法としてスパッタリング法があるが。この手法を用いるに際しては、プラズマにより有機層が損傷を受けないように注意する必要がある。
<有機層>
本発明の有機EL素子において、陽極と陰極との間に介在する有機層は、少なくとも発光層を含む。有機層は、発光層のみからなる層であってもよく、また、発光層とともに、正孔注入輸送層などを積層した多層構造のものであってもよいよい。
この有機EL素子において、発光層は(1)電界印加時に、陽極又は正孔輸送層により正孔を注入することができ、かつ電子注入層より電子を注入することができる機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能などを有している。この発光層に用いられる発光材料の種類については特に制限はなく、従来有機EL素子における公知のものを用いることができる。
本発明の有機EL素子において、陽極と陰極との間に介在する有機層は、少なくとも発光層を含む。有機層は、発光層のみからなる層であってもよく、また、発光層とともに、正孔注入輸送層などを積層した多層構造のものであってもよいよい。
この有機EL素子において、発光層は(1)電界印加時に、陽極又は正孔輸送層により正孔を注入することができ、かつ電子注入層より電子を注入することができる機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能などを有している。この発光層に用いられる発光材料の種類については特に制限はなく、従来有機EL素子における公知のものを用いることができる。
また、正孔注入輸送層は、正孔伝達化合物からなる層であって、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入輸送層を陽極と発光層との間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入される。その上、電子注入層より発光層に注入された電子は、発光層と正孔注入輸送層の界面に存在する電子の障壁により、この発光層内の界面近くに蓄積されたEL素子の発光効率を向上させ、発光性能の優れたEL素子とする。この正孔注入輸送層に用いられる正孔伝達化合物については特に制限はなく、従来有機EL素子における正孔伝達化合物として公知のものを使用することができる。正孔注入輸送層は、単層のみでなく多層とすることもできる。
<陽極>
陽極は、仕事関数が4.8eV以上の導電性を示すものであれば特に制限はない。仕事関数が4.8eV以上の金属又は透明導電膜(導電性酸化物膜)又はこれらを組み合わせたものが好ましい。陽極は、必ずしも透明である必要はなく、黒色のカーボン層等をコーティングしてもよい。
好適な金属としては、例えば、Au,Pt,Ni,Pdを挙げることができ、導電性酸化物としては、例えば、In−Zn−O,In−Sn−O,ZnO−Al,Zn−Sn−Oを挙げることができる。また、積層体としては、例えば、AuとIn−Zn−Oの積層体、PtとIn−Zn−Oの積層体、In−Sn−OとPtの積層体を挙げることができる。
陽極は、仕事関数が4.8eV以上の導電性を示すものであれば特に制限はない。仕事関数が4.8eV以上の金属又は透明導電膜(導電性酸化物膜)又はこれらを組み合わせたものが好ましい。陽極は、必ずしも透明である必要はなく、黒色のカーボン層等をコーティングしてもよい。
好適な金属としては、例えば、Au,Pt,Ni,Pdを挙げることができ、導電性酸化物としては、例えば、In−Zn−O,In−Sn−O,ZnO−Al,Zn−Sn−Oを挙げることができる。また、積層体としては、例えば、AuとIn−Zn−Oの積層体、PtとIn−Zn−Oの積層体、In−Sn−OとPtの積層体を挙げることができる。
また、陽極は、有機層との界面が仕事関数4.8eV以上であればよいため、陽極を2層とし、有機層と接しない側に仕事関数4.8eV以下の導電性膜を用いてもよい。この場合、Al,Ta,W等の金属やAl合金、Ta−W合金等の合金等を用いることができる。また、ドープされたポリアニリンやドープされたポリフェニレンビニレン等のドープされた導電性高分子や、α−Si,α−SiC、α−Cなどの非晶質半導体、μC−Si,μC−SiC等の微結晶なども好ましく用いることができる。更には、黒色の半導性の酸化物であるCr2 O3 ,Pr2 O5 ,NiO,Mn2 O5 ,MnO2 等を用いることができる。
陽極の膜厚は、50〜300nm程度とすることが好ましい。膜厚が50nm未満では、抵抗値が高くなり過ぎる場合がある。一方、300nmを超えると、有機EL素子において、陽極がパターンされている端で生じる段差により上部の膜、例えば有機層や陰極が段差切れや断線を起こす場合がある。
陽極の膜厚は、50〜300nm程度とすることが好ましい。膜厚が50nm未満では、抵抗値が高くなり過ぎる場合がある。一方、300nmを超えると、有機EL素子において、陽極がパターンされている端で生じる段差により上部の膜、例えば有機層や陰極が段差切れや断線を起こす場合がある。
<有機EL素子の構成>
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在しており、陰極は電子注入電極層と非晶質透明導電膜とによって構成されており、しかも電子注入電極層が有機層と接するという構成を具備していれば、本発明の目的を達成することができるが、更に他の構成を付加して、種々の機能を持たせることができる。
以下に本発明の有機EL素子を利用した構成を例示する。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在しており、陰極は電子注入電極層と非晶質透明導電膜とによって構成されており、しかも電子注入電極層が有機層と接するという構成を具備していれば、本発明の目的を達成することができるが、更に他の構成を付加して、種々の機能を持たせることができる。
以下に本発明の有機EL素子を利用した構成を例示する。
(1) 透明陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極
(2) 陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/カラーフィルター
(3) 陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/色変換層
(4) 透明陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/黒色光吸収層透明
(5) 陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/背景色形成層
(6) 黒色光吸収層/透明陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極
(7) 背景色形成層/透明陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極
前記(1) の構成の場合、両方の電極が透明なので、透明表示素子が形成される。
(2) 陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/カラーフィルター
(3) 陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/色変換層
(4) 透明陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/黒色光吸収層透明
(5) 陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極/背景色形成層
(6) 黒色光吸収層/透明陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極
(7) 背景色形成層/透明陽極/有機層/電子注入電極層/非晶質透明電極
前記(1) の構成の場合、両方の電極が透明なので、透明表示素子が形成される。
(2) や(3) の構成の場合、陽極を支持基板上に形成し、支持基板とは逆方向に発光の取り出しができるので、カラーフィルターや色変換層上に陽極を形成する必要がない。従って、陽極を形成する際に基板温度が150℃以上となるようなプロセスを採用することができ、陽極の抵抗値を下げる上で大きなメリットがある。また、カラーフィルターや色変換層は陽極形成後に形成されるため、高温プロセスの採用による劣化を心配する必要がない。図3に、(2) の構成を例示する。なお、ここで、色変換層としては、蛍光性色素を含有する透明性ポリマーからなり、EL発光色を蛍光により別の色に変換するものであることが好ましい。
また、(2) や(3) の構成で、多くの画素を構成させた態様においては、基板上に陽極以外の補助配線やTFT(Thin Film Transister)が形成されるため、基板方向に光を取り出すと、補助配線やTFTが光を遮断し、光取り出しの開口率が落ち、結果としてディスプレイの輝度が小さくなり、画質が落ちるという欠点がある。本発明を用いれば基板とは逆の方向に光の取り出しができるが、この場合には光が遮断されず光取り出しの開口率が落ちない。
(4) や(6) の構成においては、画素がオフのときに黒色に見えるので、入射外光が反射せず、ディスプレイのコントラストが向上するという利点がある。図4に、(4) の構成を例示する。(5) や(7) の構成においては、種々の背景色や図柄を採用することができ、画素がオフのときにも装飾性に優れるディスプレイとすることができる。図5に、(7) の構成を例示する。
(4) や(6) の構成においては、画素がオフのときに黒色に見えるので、入射外光が反射せず、ディスプレイのコントラストが向上するという利点がある。図4に、(4) の構成を例示する。(5) や(7) の構成においては、種々の背景色や図柄を採用することができ、画素がオフのときにも装飾性に優れるディスプレイとすることができる。図5に、(7) の構成を例示する。
なお、前記(2) 〜(7) の構成において、色変換層、カラーフィルター、黒色光吸収層及び背景色形成層は、必ずしも電極に密着する必要はなく、中間層を介在させてもよいし、その効果が発現される限り、図3に示すように離して設置してもよい。ただし、色変換層やカラーフィルターは光取り出し方向に設置される必要があり、黒色光吸収層や背景色形成層は光取り出し方向とは逆方向に設置される必要がある。
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
<有機EL素子の作製>
25mm×75mm×1mmのガラス基板上に、ITOを100nmの膜厚で製膜したもの(ジオマティックス社製)を基板上に導電性薄膜が成膜してあるものとして使用した。次に、これをイソプロピルアルコール中に浸漬し、超音波洗浄を行った後、サムコインターナショナル製の紫外線照射機UV−300を用いて紫外線とオゾンとを併用して30分間洗浄した。
実施例1
<有機EL素子の作製>
25mm×75mm×1mmのガラス基板上に、ITOを100nmの膜厚で製膜したもの(ジオマティックス社製)を基板上に導電性薄膜が成膜してあるものとして使用した。次に、これをイソプロピルアルコール中に浸漬し、超音波洗浄を行った後、サムコインターナショナル製の紫外線照射機UV−300を用いて紫外線とオゾンとを併用して30分間洗浄した。
次いで、このITO薄膜付きガラス基板を、市販の真空蒸着装置の中に入れ、この装置に設置されている基板ホルダーに取り付け、真空槽を5×10-4Paまで減圧した。なお、あらかじめ真空蒸着装置の抵抗加熱ボートには、Cu配位のフタロシアニン(以下、CuPcと略記する。)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(以下、TPDと略記する。)及び8−キノリノールアルミニウム錯体(アルミニウムトリスオキシン、以下、Alqと略記する。)をそれぞれ200mgずつ入れ、また抵抗加熱フィラメントにはアルミニウム−リチウム合金(Li含量:2重量%)を入れておいた。これらのボートおよびフィラメントを順次加熱することにより、それぞれの成分を蒸着した。
まず、正孔注入輸送層としてCuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次に第2の正孔注入輸送層としてTPDを40nm蒸着し、更に発光層としてAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、アルミニウム−リチウム合金を7nm蒸着して電子注入電極層を形成させた。
まず、正孔注入輸送層としてCuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次に第2の正孔注入輸送層としてTPDを40nm蒸着し、更に発光層としてAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、アルミニウム−リチウム合金を7nm蒸着して電子注入電極層を形成させた。
次に、上記真空蒸着装置に連結されている別の真空槽の基板ホルダーに基板を移送しセットした。なお、この間真空度は保たれたままである。上記、別の真空槽はDCマグネトロンスパッタリングによりIn−Zn−O系酸化物膜を形成できるように設備されている。In−Zn−O系酸化物膜を形成させるためのターゲットは、In2 O3 とZnOとからなる焼結体であり、Inの原子比〔In/(In+Zn)〕は0.67である。この真空槽のアルゴンガスと酸素ガスの混合ガス(体積比で1000:2.8)を3×10-1Paとなるまで導入し、スパッタリング出力を20W、基板温度を室温に設定して膜厚200nmの非晶質透明導電膜を形成させた。なお、In−Zn−O系酸化物膜が非晶質であることは、ITO薄膜が蒸着されていないガラス基板を用いて上記と同様の方法により積層体を形成し、X線回折により確認した。
さらに、前記した素子の作成方法と同様の方法を用いて、ITO薄膜付きガラス基板上に直接、電子注入電極層および非晶質透明導電膜を積層した積層体を作成し、波長460nmの光の透過率を計測したところ、63%と高透明のものであった。
さらに、前記した素子の作成方法と同様の方法を用いて、ITO薄膜付きガラス基板上に直接、電子注入電極層および非晶質透明導電膜を積層した積層体を作成し、波長460nmの光の透過率を計測したところ、63%と高透明のものであった。
<有機EL素子の評価>
前記実施例の製造法により形成された非晶質透明導電膜について、三菱油化社製のロレスタFPを用いた四探針法により面抵抗値を調べたところ、17Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、3.4×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、3.1mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、60cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RH(相対湿度)の雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光性能も維持されていた。
前記実施例の製造法により形成された非晶質透明導電膜について、三菱油化社製のロレスタFPを用いた四探針法により面抵抗値を調べたところ、17Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、3.4×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、3.1mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、60cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RH(相対湿度)の雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光性能も維持されていた。
比較例1
実施例1と同様の方法により有機EL素子を作製した。ただし、In−Zn−O系酸化物膜を形成させる代わりに、市販のITOターゲットを用いて結晶質透明導電膜であるところのITO膜を形成させた。
その後、実施例1と同様の方法により有機EL素子の性能を評価したところ、面抵抗値は130Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、2.6×10-3Ω・cmと高抵抗であることが確認された。次に、この有機EL素子に電圧を8V印加したところ、4mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、60cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼で無数確認され、発光欠陥が多いことが確認された。
実施例1と同様の方法により有機EL素子を作製した。ただし、In−Zn−O系酸化物膜を形成させる代わりに、市販のITOターゲットを用いて結晶質透明導電膜であるところのITO膜を形成させた。
その後、実施例1と同様の方法により有機EL素子の性能を評価したところ、面抵抗値は130Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、2.6×10-3Ω・cmと高抵抗であることが確認された。次に、この有機EL素子に電圧を8V印加したところ、4mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、60cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼で無数確認され、発光欠陥が多いことが確認された。
以上の結果より、本発明の有機EL素子は、陰極の透明性が高く、かつ陰極を構成する非晶質透明導電膜が低抵抗であるため発光効率が高く、更に非晶質であるため、耐久性に優れ、発光欠陥が生じにくいことが確認された。ところで、電子注入電極層の酸化により発光欠陥が生じることが知られている。本発明の有機EL素子では、電子注入電極層の上に非晶質透明導電膜が形成され、この透明導電膜には結晶粒界が存在しないため、酸素や水分の侵入が防がれ前記の結果となったものと考えられる。
実施例2
<有機EL素子の作製>
実施例1で用いたものと同様のITO薄膜付きガラス基板を、実施例1と同様に真空蒸着装置内の基板ホルダーに取り付け、真空槽を5×10-4Paまで減圧した。なお、あらかじめ真空蒸着装置の抵抗加熱ボートには、CuPc、TPD及びAlqをそれぞれ200mgずつ入れ、また抵抗加熱フィラメントにはアルミニウム−リチウム合金(Li含量:2重量%)を入れておいた。
まず、CuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次にTPDを40nm蒸着し、更にAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、真空度が1×10-3Paとなるまで酸素を導入し、バリウム(Ba)を膜厚1.0nm蒸着し、電子注入電極層であるBaOを形成させた。なお、Baは、真空槽中に存在する酸素と反応し、BaO電子注入電極層が形成される。
<有機EL素子の作製>
実施例1で用いたものと同様のITO薄膜付きガラス基板を、実施例1と同様に真空蒸着装置内の基板ホルダーに取り付け、真空槽を5×10-4Paまで減圧した。なお、あらかじめ真空蒸着装置の抵抗加熱ボートには、CuPc、TPD及びAlqをそれぞれ200mgずつ入れ、また抵抗加熱フィラメントにはアルミニウム−リチウム合金(Li含量:2重量%)を入れておいた。
まず、CuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次にTPDを40nm蒸着し、更にAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、真空度が1×10-3Paとなるまで酸素を導入し、バリウム(Ba)を膜厚1.0nm蒸着し、電子注入電極層であるBaOを形成させた。なお、Baは、真空槽中に存在する酸素と反応し、BaO電子注入電極層が形成される。
次に、上記真空蒸着装置に連結されている別の真空槽の基板ホルダーに基板を移送しセットした。なお、この間真空度は保たれたままである。上記、別の真空槽はDCマグネトロンスパッタリングによりIn−Zn−O系酸化物膜を形成できるように設備されている。In−Zn−O系酸化物膜を形成させるためのターゲットは、In2O3とZnOとからなる焼結体であり、Inの原子比〔In/(In+Zn)〕は0.84である。この真空槽のアルゴンガスと酸素ガスの混合ガス(体積比で1000:5.0)を3×10-1Paとなるまで導入し、スパッタリング出力を20W、基板温度を室温に設定して膜厚200nmの非晶質透明導電膜を形成させた。なお、In−Zn−O系酸化物膜が非晶質であることは、ITO薄膜が蒸着されていないガラス基板を用いて上記と同様の方法により積層体を形成し、X線回折により確認した。
<有機EL素子の評価>
この製造法により形成された非晶質透明導電膜について、実施例1と同様にして面抵抗値を調べたところ、16Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、3.2×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、3.0mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、80cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光効率も落ちず、発光性能が維持されていた。
この製造法により形成された非晶質透明導電膜について、実施例1と同様にして面抵抗値を調べたところ、16Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、3.2×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、3.0mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、80cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光効率も落ちず、発光性能が維持されていた。
実施例3
<有機EL素子の作製>
実施例1で用いたものと同様のITO薄膜付きガラス基板を、実施例1と同様に真空蒸着装置内の基板ホルダーに取り付け、真空槽を5×10-4Paまで減圧した。なお、あらかじめ真空蒸着装置の抵抗加熱ボートには、CuPc、TPD及びAlqをそれぞれ200mgずつ入れ、また抵抗加熱フィラメントにはアルミニウム−リチウム合金(Li含量:2重量%)を入れておいた。
まず、CuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次にTPDを40nm蒸着し、更にAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、電子注入金属であるマグネシウム(Mg)を蒸着速度1.4nm/秒で、電子伝達性化合物であるAlqを0.1nm/秒で同時に蒸着し、膜厚10nmの混合電子注入電極層とした。
<有機EL素子の作製>
実施例1で用いたものと同様のITO薄膜付きガラス基板を、実施例1と同様に真空蒸着装置内の基板ホルダーに取り付け、真空槽を5×10-4Paまで減圧した。なお、あらかじめ真空蒸着装置の抵抗加熱ボートには、CuPc、TPD及びAlqをそれぞれ200mgずつ入れ、また抵抗加熱フィラメントにはアルミニウム−リチウム合金(Li含量:2重量%)を入れておいた。
まず、CuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次にTPDを40nm蒸着し、更にAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、電子注入金属であるマグネシウム(Mg)を蒸着速度1.4nm/秒で、電子伝達性化合物であるAlqを0.1nm/秒で同時に蒸着し、膜厚10nmの混合電子注入電極層とした。
次に、上記真空蒸着装置に連結されている別の真空槽の基板ホルダーに基板を移送しセットした。なお、この間真空度は保たれたままである。上記、別の真空槽はDCマグネトロンスパッタリングによりIn−Zn−O系酸化物膜を形成できるように設備されている。In−Zn−O系酸化物膜を形成させるためのターゲットは、In2O3とZnOとからなる焼結体であり、Inの原子比〔In/(In+Zn)〕は0.84である。この真空槽のアルゴンガスと酸素ガスの混合ガス(体積比で1000:5.0)を3×10-1Paとなるまで導入し、スパッタリング出力を1W/cm2 、基板温度を室温に設定して膜厚200nmの非晶質透明導電膜を形成させた。なお、In−Zn−O系酸化物膜が非晶質であることは、ITO薄膜が蒸着されていないガラス基板を用いて上記と同様の方法により積層体を形成し、X線回折により確認した。
<有機EL素子の評価>
この製造法により形成された非晶質透明導電膜について、実施例1と同様にして面抵抗値を調べたところ、20Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、4.0×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、2.9mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、60cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光効率も落ちず、発光性能が維持されていた。
この製造法により形成された非晶質透明導電膜について、実施例1と同様にして面抵抗値を調べたところ、20Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、4.0×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、2.9mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、60cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光効率も落ちず、発光性能が維持されていた。
実施例4
<有機EL素子の作製>
実施例1で用いたものと同様のITO薄膜付きガラス基板を、実施例1と同様に真空蒸着装置内の基板ホルダーに取り付け、真空槽を5×10-4Paまで減圧した。なお、あらかじめ真空蒸着装置の抵抗加熱ボートには、CuPc、TPD及びAlqをそれぞれ200mgずつ入れ、また抵抗加熱フィラメントにはアルミニウム−リチウム合金(Li含量:2重量%)を入れておいた。
まず、CuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次にTPDを40nm蒸着し、更にAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、Al−Li合金を膜厚2nmとなるように蒸着した。ただし、本実施例においては、島状に不連続になるように蒸着させ、電子注入電極層とした。
<有機EL素子の作製>
実施例1で用いたものと同様のITO薄膜付きガラス基板を、実施例1と同様に真空蒸着装置内の基板ホルダーに取り付け、真空槽を5×10-4Paまで減圧した。なお、あらかじめ真空蒸着装置の抵抗加熱ボートには、CuPc、TPD及びAlqをそれぞれ200mgずつ入れ、また抵抗加熱フィラメントにはアルミニウム−リチウム合金(Li含量:2重量%)を入れておいた。
まず、CuPcをITO薄膜付きガラス基板に25nm蒸着し、次にTPDを40nm蒸着し、更にAlqを60nm蒸着した。次に、形成された積層体の上にマスクを設置し、Al−Li合金を膜厚2nmとなるように蒸着した。ただし、本実施例においては、島状に不連続になるように蒸着させ、電子注入電極層とした。
次に、上記真空蒸着装置に連結されている別の真空槽の基板ホルダーに基板を移送しセットした。なお、この間真空度は保たれたままである。上記、別の真空槽はDCマグネトロンスパッタリングによりIn−Zn−O系酸化物膜を形成できるように設備されている。In−Zn−O系酸化物膜を形成させるためのターゲットは、In2O3とZnOとからなる焼結体であり、Inの原子比〔In/(In+Zn)〕は0.84である。この真空槽のアルゴンガスと酸素ガスの混合ガス(体積比で1000:5.0)を3×10-1Paとなるまで導入し、スパッタリング出力を1W/cm2 、基板温度を室温に設定して膜厚200nmの非晶質透明導電膜を形成させた。なお、In−Zn−O系酸化物膜が非晶質であることは、ITO薄膜が蒸着されていないガラス基板を用いて上記と同様の方法により積層体を形成し、X線回折により確認した。
また、島状電子注入域の形成については、上記のEL素子の作成方法において、Al−Li合金を蒸着した段階で止めた積層体を別途作成し、走査型電子顕微鏡により、島状に蒸着されていることを確認した。
また、島状電子注入域の形成については、上記のEL素子の作成方法において、Al−Li合金を蒸着した段階で止めた積層体を別途作成し、走査型電子顕微鏡により、島状に蒸着されていることを確認した。
<有機EL素子の評価>
前記実施例の製造法により形成された非晶質透明導電膜について、実施例1と同様にして面抵抗値を調べたところ、15Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、3.0×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、3.8mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、65cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光効率も落ちず、発光性能が維持されていた。
前記実施例の製造法により形成された非晶質透明導電膜について、実施例1と同様にして面抵抗値を調べたところ、15Ω/□であった。そして、膜厚が200nmであるため、比抵抗は、3.0×10-4Ω・cmと低抵抗であることが確認された。
次に、ITO薄膜を陽極とし、前記非晶質透明導電膜を陰極として、電圧を8V印加したところ、3.8mA/cm2 の電流密度となり、非晶質透明導電膜側より観測したところ、65cd/m2 の発光があった。発光は、Alqより生じた緑色発光であった。更に、この素子を大気中、70%RHの雰囲気に100時間放置したところ、無発光点は肉眼では観測されず、素子の発光効率も落ちず、発光性能が維持されていた。
1:基板
2:陽極
3:有機層
4:電子注入電極層
5:非晶質透明導電膜
6:島状注入域
7:カラーフィルター
8:黒色光吸収層
9:背景色形成層
2:陽極
3:有機層
4:電子注入電極層
5:非晶質透明導電膜
6:島状注入域
7:カラーフィルター
8:黒色光吸収層
9:背景色形成層
Claims (5)
- 陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層が介在してなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記陰極が電子注入電極層と非晶質透明導電膜とからなり、かつ前記電子注入電極層が前記有機層と接することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 電子注入電極層が、電子注入性の金属、合金およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上を用いて、超薄膜状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 電子注入電極層が、電子注入性の金属、合金およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上と電子伝達性の有機物の混合層であることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 電子注入電極層が、島状電子注入域からなることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 非晶質透明導電膜が、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、酸素(O)からなる酸化物を用いて、形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Priority Applications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012513084A (ja) * | 2008-12-19 | 2012-06-07 | コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ | 透明有機発光ダイオード |
WO2014162450A1 (ja) * | 2013-04-01 | 2014-10-09 | パイオニア株式会社 | 発光装置 |
JP2015176751A (ja) * | 2014-03-14 | 2015-10-05 | 株式会社Joled | 表示装置および電子機器 |
-
2004
- 2004-11-26 JP JP2004342002A patent/JP2005056864A/ja active Pending
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