JP4559297B2 - エンジン音合成装置およびそれを備えた車両システム、ならびにエンジン音合成方法 - Google Patents

エンジン音合成装置およびそれを備えた車両システム、ならびにエンジン音合成方法 Download PDF

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Description

この発明は、エンジン音を合成するエンジン音合成装置およびそれを備えた車両システム、ならびにエンジン音合成方法に関する。
四輪自動車や自動二輪車に代表される車両のエンジン音は、沿道の住民にとっては騒音に過ぎない場合が多い。そこで、近年の騒音規制を契機として、エンジン音の低減のための改良が重ねられ、現在では、著しく静音化されたエンジンが実用化されている。
ところが、車両の運転者にとっては、車両に搭載されたエンジン音には捨てがたい魅力があり、運転時の楽しみの一つでもある。そのため、静音化されたエンジンを搭載した車両は、運転者に必ずしも十分な満足をもたらすことができず、車両の購買意欲の低下の原因となりかねない。
そこで、下記の特許文献1に記載されているように、四輪自動車の車室内や二輪自動車の運転者が装着するヘルメット内で合成エンジン音を再生することにより、周囲に対しては静粛性を維持しながら、運転者には十分な音量のエンジン音を感じさせることができる構成が提案されている。
具体的には、特許文献1には、エンジン回転速度およびアクセル操作量によって特定された運転状態に対応したエンジン音データを記憶手段から読み出して再生するエンジン音合成装置が開示されている。このエンジン音合成装置では、エンジン回転速度に応じてエンジン音データの再生レートが定められ、さらに、一燃焼サイクル毎に、音の高さ、大きさおよび音色が僅かずつ変更されるようになっている。
特開2000−001142号公報
実際のエンジンは、爆発毎に、燃焼圧力や爆発間隔が変化しており、それに応じて、エンジン音には、音圧の揺らぎが生じ、かつ、発音間隔の揺らぎが生じている。
しかし、特許文献1に記載された先行技術では、実際のエンジン音に生じる揺らぎとは無関係に音の高さ、大きさおよび音色が変更されているだけである。また、エンジン音データの再生レートはエンジン回転速度に応じて定められているものの、この構成では、実際のエンジンの爆発間隔の揺らぎまでを再現することはできない。
そこで、本願の発明者は、先に提出した特願2004−258620号において、エンジンに回転パルス生成器および燃焼圧センサを付設し、これらの出力信号に基づいてエンジン音データを再生する構成のエンジン音合成装置を提案した。この構成により、回転パルス生成器の出力に同期してエンジン音データを再生することによって爆発間隔の揺らぎを再現できる。また、燃焼圧センサの出力に応じてエンジン音データに音圧変動を付与することによって、燃焼圧力の揺らぎを再現できる。
ところが、この先願に係る構成では、爆発間隔および燃焼圧力の揺らぎの再現のためにそれぞれセンサを設ける必要があり、構成が複雑化することも多い。
そこで、この発明の目的は、簡単な構成で、実際のエンジン音と同様な音圧変動(揺らぎ)特性を有する合成エンジン音を生成することができるエンジン音合成装置およびエンジン音合成方法を提供することである。
また、この発明の他の目的は、そのようなエンジン音合成装置を搭載することによって、運転者に実音に近似したエンジン音を提供でき、これにより、運転者の満足度を高めることができる車両システムを提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、エンジンの爆発タイミングを表す爆発タイミング信号を生成する爆発タイミング信号生成手段と、この爆発タイミング信号生成手段が生成する爆発タイミング信号の生成時間間隔を表す爆発間隔データを生成する爆発間隔データ生成手段と、この爆発間隔データ生成手段が生成する爆発間隔データの差分(好ましくは、一階差分)を用いて音圧係数を求める音圧係数演算手段と、予め収録したエンジン音データを再生するエンジン音再生手段と、この音圧係数演算手段によって求められた音圧係数に基づいて、前記エンジン音再生手段によって再生されるエンジン音データに音圧の変動を付与する音圧変動付与手段とを含むことを特徴とするエンジン音合成装置である。
この構成によれば、エンジン音再生手段によって再生されるエンジン音データに対して爆発間隔の差分に応じた音圧の変動(揺らぎ)が付与される。これにより、実音に近い音圧変動特性(揺らぎ特性)を有する合成エンジン音を生成することができる。
実際のエンジンが発生するエンジン音の音圧の揺らぎは、爆発ごとの燃焼圧力の変動に起因している。つまり、燃焼圧力が大きいほどエンジン音の音圧が大きくなる。一方、燃焼圧力が大きいほど、ピストンは大きな圧力を受けるから、クランクシャフトの回転が早まる。その結果、或る回の爆発の燃焼圧力が大きいほど、次の回の爆発までの間隔(爆発間隔)が短くなる。したがって、爆発間隔はエンジン音の音圧に対応していると言える。このことは、音圧の揺らぎが爆発間隔の揺らぎに対応していることを意味している。
そこで、この発明では、爆発間隔の差分に基づいて音圧係数を求め、この音圧係数を用いてエンジン音データに音圧の変動を付与するようにしている。これにより、燃焼圧力を直接的に検出したりすることなく音圧の変動を再現できるので、簡単な構成で、実際のエンジン音と同様な音圧変動特性を有する合成エンジン音を生成できる。
前記爆発間隔の差分とは、具体的には、時間的に近接した(好ましくは時間的に隣り合う)一対の爆発間隔データの差分をいう。
前記音圧係数演算手段は、最新の爆発間隔データI0、前回の爆発間隔データI-1、および予め定める係数E0を用いて、下記(1)式に従って音圧係数を演算するものであってもよい。
音圧係数=E0×(I0−I-1) ……(1)
このようにして求められる音圧係数は、下記(2)式によって表される音圧レベルLPに比例し、この音圧レベルLPは、人間の聴感的には音圧Pにほぼ等しい。
P=20Log(P/P0) ……(2)
ただし、P0は周波数1kHzの最小可聴音の音圧。
前記エンジン音再生手段は、予め収録した所定時間分(たとえば、1燃焼サイクル分、1回の爆発区間など)のエンジン音を再生するものであってもよい。
請求項2記載の発明は、前記爆発タイミング信号生成手段が生成する爆発タイミング信号に同期して前記エンジン音再生手段からエンジン音データを再生させるエンジン音再生制御手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のエンジン音合成装置である。
この構成によれば、エンジンの爆発タイミングに同期してエンジン音データが再生されるため、実際のエンジンにおける爆発間隔の変動(揺らぎ)を再現した合成エンジン音を生成することができる。こうして、爆発間隔および音圧の両方の揺らぎを再現した自然な合成エンジン音を生成できる。
爆発タイミング信号生成手段は、エンジンのクランク軸の回転に連動して回転パルスを生成する回転パルス生成手段であってもよい。回転パルスは、エンジンの爆発タイミングに対応したタイミングで生成される。したがって、回転パルスの時間間隔を爆発間隔データとして用いることで、音圧の変動(揺らぎ)を再現できる。また、回転パルスに同期してエンジン音データを再生することにより、エンジンの爆発間隔の変動特性(揺らぎ特性)を再現できる。
請求項3記載の発明は、前記エンジン音再生手段は、前記爆発タイミング信号生成手段によって生成される爆発タイミング信号に同期して循環的に順次エンジン音データを再生する複数の再生部と、この複数の再生部が再生するエンジン音データを重ね合わせる重ね合わせ手段とを含むことを特徴とする請求項2記載のエンジン音合成装置である。
この構成によれば、或る再生部によるエンジン音データの再生をエンジンの爆発タイミングに合わせて開始し、その後の爆発タイミングに合わせて他の再生部によるエンジン音データの再生を開始させるので、これらを重ね合わせることにより、エンジンの爆発間隔の変動(揺らぎ)を忠実に再現したエンジン音データを合成できる。
前記複数の再生部は、前記爆発タイミング信号生成手段が生成する第1爆発タイミング信号をトリガとしてエンジン音データの再生を開始し、前記第1爆発タイミング信号の後の第2爆発タイミング信号をトリガとして前記エンジン音データの再生音圧を漸減させる減音処理を行う第1再生部と、前記爆発タイミング信号生成手段が前記第1爆発タイミング信号よりも後に生成する第2爆発タイミング信号をトリガとしてエンジン音データの再生を開始し、前記第2爆発タイミング信号の後の第3爆発タイミング信号をトリガとして前記エンジン音データの再生音圧を漸減させる減音処理を行う第2再生部とを含むものであってもよい。
この構成によれば、第1および第2再生部は、エンジン音データの再生の後期においてエンジン音データの再生音圧を漸減させるから、エンジン音データを瞬時に消音することに起因するノイズを抑制できる。これにより、エンジンの爆発間隔を忠実に再現した自然なエンジン音を生成することができる。
前記エンジン音再生手段は、2つの再生部を有していてもよく、3つ以上の再生部を有していてもよい。前記第1および第2再生部の2つの再生部を有する場合には、これらが交互に(すなわち循環的に)エンジン音データを再生することになる。また、3つ以上の再生部が備えられている場合には、これらによるエンジン音データの再生が循環的に順次行われることになる。
前記第1および第2爆発タイミング信号は、連続する一対の爆発タイミング信号であり、前記第3および第4爆発タイミング信号は、連続する別の一対の爆発タイミング信号であることが好ましい。
この構成によれば、或る爆発タイミング信号に同期してエンジン音データの再生が開始され、その次の爆発タイミング信号に同期してエンジン音データの減音処理が開始されるから、爆発間隔の変動(揺らぎ)を忠実に再現できる。
第1および第2再生部が交互にエンジン音データを生成するとすれば、第4爆発タイミング信号に同期して第2再生部での減音処理が開始されると同時に、この第4爆発タイミング信号を次のサイクルの第1爆発タイミング信号として、第1再生部によるエンジン音データの再生が開始されることが好ましい。
請求項4記載の発明は、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段とをさらに含み、前記エンジン音再生手段は、前記スロットル開度検出手段によって検出されるスロットル開度および前記エンジン回転速度検出手段によって検出されるエンジン回転速度の組み合わせによって特定される運転状態に応じてエンジン音データを再生するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエンジン音合成装置である。
この構成によれば、スロットル開度およびエンジン回転速度に応じたエンジン音データが生成されることにより、より実音に近い合成エンジン音を得ることができる。
より具体的には、請求項5に記載されているように、前記エンジン音再生手段は、異なる運転状態でそれぞれ収録された複数のエンジン音データを前記スロットル開度およびエンジン回転速度によって特定される運転状態に応じて重ね合わせて合成する合成音生成手段を含むものであってもよい。この構成によれば、異なる運転状態に対応した少数のエンジン音データを予め収録しておけば、これらを重ね合わせることによって、種々の運転状態のエンジン音データを合成できる。これにより、エンジン音データの記憶に要する記憶容量を削減できる。
請求項6記載の発明は、車輪を回転させるための駆動力を発生する駆動源(エンジンまたは電動モータ)と、請求項1ないし5のいずれかに記載のエンジン音合成装置と、前記エンジン音再生手段によって再生されるエンジン音を出力する音出力部とを含むことを特徴とする車両システムである。
この構成によれば、静粛性の高いエンジンを搭載した車両や電動車両であっても、運転者に対して十分な音量の実音に近似した合成エンジン音を提供できる。しかも、提供される合成エンジン音は、音圧の変動(揺らぎ)を有する自然なエンジン音である。これにより、運転者を含めた乗員の満足度を高めることができる。
前記音出力部は、車両の乗員が装着するヘルメットに取り付けられたスピーカを含んでいてもよく、また、車両に取り付けられたスピーカを含んでいてもよい。
電動車両のようにエンジンを備えていない車両にこの発明が適用される場合には、前記爆発タイミング信号生成手段は、発生間隔に変動(揺らぎ)を与えた爆発タイミング信号を生成することが好ましい。これにより、爆発間隔データに変動(揺らぎ)が生じ、これを反映した音圧係数が生成されることになる。こうして、音圧変動を付与したエンジン音を合成することができる。
請求項7記載の発明は、エンジンの爆発間隔を表す爆発間隔データの差分を用いて音圧係数を求める音圧係数演算ステップと、予め収録したエンジン音データを再生するエンジン音再生ステップと、前記求められた音圧係数に基づいて、前記エンジン音再生ステップにおいて再生されるエンジン音データに音圧の変動を付与する音圧変動付与ステップとを含むことを特徴とするエンジン音合成方法である。
この方法により、燃焼圧を直接的に検出したりすることなく、燃焼圧に応じた音圧の変動(揺らぎ)を有するエンジン音データを合成できる。こうして、簡単な構成で、実音に近い音圧変動特性(揺らぎ特性)を有する合成エンジン音を生成することができる。
請求項8記載の発明は、エンジンの爆発タイミングを表す爆発タイミング信号を生成する爆発タイミング信号生成ステップと、
前記爆発タイミング信号の生成時間間隔を検出して、前記爆発間隔データを生成するステップとをさらに含み、
前記エンジン音再生ステップは、前記爆発タイミング信号に同期してエンジン音データを再生するステップを含むことを特徴とする請求項7記載のエンジン音合成方法である。
この方法により、実際のエンジンにおける爆発間隔の変動(揺らぎ)を再現した合成エンジン音を生成することができる。また、爆発タイミング信号を、エンジン音データの再生制御と、爆発間隔データの生成との両方に用いることができる。これにより、たとえば、爆発タイミングを検出するセンサをエンジン音データの再生制御および爆発間隔データの生成とに共用して、エンジン音合成装置の構成を簡素化できる。
請求項9記載の発明は、エンジンの爆発間隔を表す爆発間隔データを生成する爆発間隔データ生成手段と、前記爆発間隔データ生成手段が生成する爆発間隔データの差分を用いて音圧係数を求める音圧係数演算手段と、予め収録したエンジン音データを再生するエンジン音再生手段と、前記音圧係数演算手段によって求められた音圧係数に基づいて、前記エンジン音再生手段によって再生されるエンジン音データに音圧変動を付与する音圧変動付与手段とを含むことを特徴とするエンジン音合成装置である。
この構成により、燃焼圧を直接的に検出したりすることなく、燃焼圧に応じた音圧の変動(揺らぎ)を有するエンジン音を合成できる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両システムを二輪車両(自動二輪車)に適用した構成例を示す図解図である。
二輪車両50は、たとえば電子制御式4サイクル単気筒エンジンからなるエンジン2を動力源とし、このエンジン2からの駆動力を車輪51に伝達して走行するものである。
エンジン音合成装置10は、たとえば、運転者45が着座するシート52の下方に配置されている。一方、運転者45が装着するヘルメット46には、アンプ47、スピーカ48および赤外線受信器56が内蔵されている。アンプ47および赤外線受信器56は、たとえば、ヘルメット46の顎ガード部(運転者45の顎に対向する部分)に配置され、スピーカ48は、ヘルメット46の耳部(運転者45の耳に対向する部分)に配置されている。赤外線受信器56は、運転者45がヘルメット46を装着した状態で運転者の前方に受信方向が向くように取り付けられている。
運転者45よりも車体の前方部、たとえば燃料タンク53の上部には、赤外線発信器55が配設されている。この赤外線発信器55が発生する赤外線信号が運転者45が装着するヘルメット46に設けられた赤外線受信器56によって受信されることになる。
赤外線発信器55には、エンジン音合成装置10から、合成エンジン音データに対応した音声信号が与えられるようになっている。
このような構成により、エンジン音合成装置10が生成した合成エンジン音データに対応する音声信号が、赤外線発信器55から赤外線受信器56へと送られ、アンプ47で増幅された後に、スピーカ48によって音響化されて出力される。
エンジン2には、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ11と、エンジン2の回転パルスを生成する回転パルス生成手段としての回転パルス生成器13(爆発タイミング信号生成手段)とが装備されており、これらの出力信号は、エンジン音合成装置10に入力されている。回転パルス生成器13は、たとえば、クランクシャフトの一回転毎に1パルスを出力するものであり、この実施形態では、その出力信号は爆発タイミング信号として用いられる。4サイクル単気筒エンジンの場合には、クランクシャフトの2回転(720度の回転)に一回のタイミングで爆発が生じるので、回転パルス生成器13が生成する回転パルスの2周期分が爆発間隔に等しくなる。
エンジン2のスロットル開度は、ハンドルに設けられたアクセルグリップ(通常は右側グリップ)の操作量に対応するので、スロットル開度センサ11の代わりに、アクセルグリップの操作量を検出するアクセル操作量センサの出力信号をエンジン音合成装置10に入力することもできる。
このような構成により、エンジン音合成装置10は、エンジン2のスロットル開度等に対応した合成エンジン音信号を発生し、これに対応した合成エンジン音がスピーカ48から出力される。これにより、エンジン2が極めて静粛性の高いものであったとしても、運転者45はエンジン音を感じながら、二輪車両50の運転を楽しむことができる。
図2は、エンジン音合成装置10の電気的構成を説明するためのブロック図である。エンジン音合成装置10は、スロットル開度センサ11または前述のアクセル操作量センサの出力信号に基づいてスロットル開度データAを生成するスロットル開度検出部21と、回転パルス生成器13が生成する回転パルスCに基づいてエンジン回転速度データBを演算するエンジン回転速度検出部22と、回転パルスCのパルス間隔を計測して回転パルス間隔データDを生成するパルス間隔データ生成部23(爆発間隔データ生成手段)と、合成エンジン音データ生成部24と、この合成エンジン音データ生成部24が生成した合成エンジン音データをアナログ音声信号に変換するディジタル/アナログ変換機能を備えた出力処理部25とを備えている。合成エンジン音データ生成部24には、スロットル開度データA、エンジン回転速度データB、回転パルスCおよび回転パルス間隔データDが入力されており、合成エンジン音データ生成部24は、これらに基づいて合成エンジン音データを生成する。
パルス間隔データ生成部23は、たとえば、回転パルスCが与えられてから次の回転パルスCが与えられるまで、所定の基準クロックを計数するカウンタで構成することができる。前述のように、エンジン2において1回の爆発が生じてから次の爆発が生じるまでには、回転パルスCの2周期分の時間間隔があるから、回転パルスCの発生時間間隔は、エンジン2の爆発時間間隔の約2分の1の時間となる。しかし、回転パルスCの発生時間間隔は、結局、エンジン2の爆発時間間隔にほぼ比例するから、爆発時間間隔に対応する値であり、爆発時間間隔と同等に取り扱って差し支えない。
むろん、パルス間隔データ生成部23において、エンジン2の実際の爆発時間間隔を測定するには、或る回転パルスCが与えられてから、次の回転パルスが与えられ、さらにその次の回転パルスが与えられるまでの時間を計測すればよい。
図3は、合成エンジン音データ生成部24の具体的な構成例を示すブロック図である。合成エンジン音データ生成部24は、予め収録したエンジン音データを再生することにより合成音データを生成するエンジン音再生手段としての第1再生部31および第2再生部32と、これらの動作を制御するエンジン音再生制御手段としての再生制御部33と、第1および第2再生部31,32が生成する合成音データを重ね合わせて合成エンジン音データを生成する重ね合わせ部34とを備えている。第1再生部31および第2再生部32は、この実施形態では、同様な構成を有し、回転パルスCに同期して交互に合成音データを生成する。
第1再生部31は、スロットル開度および/またはエンジン回転速度が異なる複数の運転状態で収録したエンジン音データをそれぞれ格納した複数個(この実施形態では5個)のエンジン音メモリM11,M12,M13,M14,M15と、このエンジン音メモリM11〜M15から出力されるエンジン音データに対してそれぞれ重み付け処理(音圧増幅処理)を施す複数の重み付け部W11,W12,W13,W14,W15と、この重み付け部W11〜W15によって重み付けされたエンジン音データを重ね合わせて合成音データを生成する重ね合わせ部S1とを備えている。第1再生部31は、さらに、重ね合わせ部S1が生成する合成音データに対して音圧の揺らぎ(変動)を与える揺らぎ処理部X1(音圧変動付与手段)と、この揺らぎ処理後の合成音データに対して減音処理を施す減音処理部Y1とを備えている。減音処理とは、再生音圧を漸減させるための処理である。
第2再生部32も同様に、複数の運転状態で収録したエンジン音データをそれぞれ格納した複数個(この実施形態では5個)エンジン音メモリM21,M22,M23,M24,M25と、このエンジン音メモリM21〜M25から出力されるエンジン音データに対してそれぞれ重み付け処理(音圧増幅処理)を施す複数の重み付け部W21,W22,W23,W24,W25と、この重み付け部W21〜W25によって重み付けされたエンジン音データを重ね合わせて合成音データを生成する重ね合わせ部S2とを備えている。第2再生部32は、さらに、重ね合わせ部S2が生成する合成音データに対して音圧の揺らぎ(変動)を与える揺らぎ処理部X2(音圧変動付与手段)と、この揺らぎ処理後の合成音データに対して減音処理を施す減音処理部Y2とを備えている。
エンジン音メモリM11〜M15;M21〜M25、重み付け部W11〜W15;W21〜W25および重ね合わせ部S1,S2は、スロットル開度およびエンジン回転速度をパラメータとして表される運転状態に応じた合成音データを生成する合成音生成手段としての合成処理部Z1,Z2を構成している。
図4は、合成処理部Z1,Z2の働きを説明するための図である。この実施形態では、エンジン2の運転状態が、スロットル開度およびエンジン回転速度をパラメータとして表される複数(この実施形態では25個)の運転状態範囲1〜25に区分されている。エンジン音メモリM11〜M15;M21〜M25には、運転状態範囲1〜25のうち、その四隅の運転状態範囲1(アイドリング状態:スロットル開度最低、エンジン回転速度最低),5(スロットル開度最低、エンジン回転速度最高),21(スロットル開度最高、エンジン回転速度最低),25(最大出力:スロットル開度最高、エンジン回転速度最高)と、中央の運転状態範囲13に関して、実際に収録したエンジン音データが1つずつ記憶されている。つまり、たとえば、エンジン音メモリM11,M21には運転状態範囲1の状態で収録したエンジン音データが格納されており、エンジン音メモリM12,M22には運転状態範囲5の状態で収録したエンジン音データが格納されており、エンジン音メモリM13,M23には運転状態範囲21の状態で収録したエンジン音データが格納されており、エンジン音メモリM14,M24には運転状態範囲25の状態で収録したエンジン音データが格納されており、エンジン音メモリM15,M25には運転状態範囲13の状態で収録したエンジン音データが格納されている。
他の運転状態範囲については、エンジン音データは記憶されておらず、前記5つの運転状態範囲のエンジン音データを利用した補間処理によって、未収録のエンジン音データが合成されるようになっている。収録されているエンジン音データは、たとえば、1燃焼サイクル中における爆発区間のデータである。より具体的には、1気筒の1回の爆発に対応するデータである。
前記補間処理は、エンジン音メモリM11〜M15;M21〜M25に格納されたエンジン音データを重み付けして重ね合わせることによって達成される。たとえば、運転状態範囲3の合成音データは、重み付け部W11,W21およびW12,W22に対してそれぞれ重み「0.5」を設定し、他の重み付け部W13〜W15;W23〜W25に対してそれぞれ重み「0」を設定することによって得られる。すなわち、運転状態範囲1のエンジン音データに重み0.5を付与し、運転状態範囲5のエンジン音データに重み0.5を付与して、これらを重ね合わせ部S1,S2で重ね合わせることによって、運転状態範囲3に対応した合成音データを得る補間処理を達成できる。エンジン音データが格納されていない他の任意の運転状態範囲の合成音データも、補間処理によって得ることができる。エンジン音データが格納されている運転状態範囲については、当該運転状態範囲に対応するエンジン音メモリのエンジン音データの重みを「1」とし、残余のすべてのエンジン音メモリのエンジン音データの重みを「0」とすればよい。
図3に示すように、再生制御部33は、重み付け部W11〜W15;W21〜W25に対して、上記のような補間処理のための重みを設定する重み設定部35を備えている。この重み設定部35は、スロットル開度データAおよびエンジン回転速度データBに基づいて、エンジン2の運転状態が運転状態範囲1〜25のいずれに該当するかを特定し、その特定された運転状態範囲に応じた重みを、重み付け部W11〜W15;W21〜W25に対して設定する。これにより、エンジン2の運転状態に対応した合成音データが得られる。
なお、エンジン音メモリM11〜M15;M21〜M25に格納されるエンジン音データは、エンジン2と同種のエンジンのエンジン音から抽出されたものであることが好ましいが、他の種類のエンジンのエンジン音から抽出されたものであってもよい。
揺らぎ処理部X1,X2は、合成処理部Z1,Z2が生成する合成音データに対して、エンジン2の実際の燃焼圧に応じた音圧の揺らぎ(変動)を付与するための音圧増幅処理を行う。この揺らぎ処理部X1,X2には、再生制御部33に備えられた音圧係数生成部36(音圧係数演算手段)から、音圧係数が与えられるようになっている。揺らぎ処理部X1,X2は、与えられた音圧係数を合成音データに乗じることによって、音圧増幅処理を行う。
図5は、音圧係数生成部36の構成を説明するためのブロック図である。音圧係数生成部36は、パルス間隔データ生成部23からの回転パルス間隔データDの一階差分を演算する一階差分演算部61と、この一階差分演算部61によって求められた一階差分に対して所定の係数E0を乗じる乗算部62とを備えている。これにより、最新の爆発間隔データI0、前回の爆発間隔データI-1、および予め定める係数E0を用いて、下記(3)式に従う音圧係数Eが演算される。
E=E0×(I0−I-1) ……(3)
このようにして求められる音圧係数Eは、エンジン2の燃焼圧力の変動(揺らぎ)に対応しており、エンジン音の音圧の揺らぎを表す値となる。このような音圧係数Eが揺らぎ処理部X1,X2において合成音データに乗じられることにより、エンジン2の実際の燃焼圧の変動に応じた音圧の揺らぎが合成音データに付与されることになる。
一方、図3に示すように、再生制御部33は、回転パルスCの波形を変換して再生制御信号C1を生成する波形変換部37を備えている。この波形変換部37は、図6(a)に示す回転パルスCを図6(b)に示す波形の再生制御信号C1に変換する。回転パルスCは、たとえばクランクシャフトが1回転するごとに瞬間的に立ち上がるパルスである。再生制御信号C1は、回転パルスCの入力ごとにハイレベルとローレベルとの間で交互に切り換わる信号である。ただし、再生制御信号C1の切り換わりタイミングは、エンジン2の音が運転者45に伝わるまでの時間δだけ遅れるようにされている。
このような波形の再生制御信号C1は、第1再生部31の合成処理部Z1のエンジン音メモリM11〜M15からのエンジン音データの読み出しを制御する読み出し制御部としてのカウンタC11に与えられている。カウンタC11は、再生制御信号C1の立ち上がりによってリセットされるとともに、クロック信号CLKに同期してカウントし、そのカウント値をエンジン音メモリM11〜M15にアドレス信号として供給する。クロック信号CLKは、エンジン音データの収録時のサンプリング周波数と同じ周波数とされている。これにより、エンジン音メモリM11〜M15からは、収録時の再生レートでエンジン音データが生成されることになる。
一方、再生制御信号C1は、反転部38で論理反転されて、図6(c)に示す再生制御信号C2へと変換されるようになっている。この再生制御信号C2は、カウンタC21に与えられるようになっている。このカウンタC21は、第2再生部32の合成処理部Z2のエンジン音メモリM21〜M25からのエンジン音データの読み出しを制御する読み出し制御部として機能する。カウンタC21は、再生制御信号C2の立ち上がりによってリセットされるとともに、クロック信号CLKに同期してカウントし、そのカウント値をエンジン音メモリM21〜M25にアドレス信号として供給する。クロック信号CLKは、エンジン音データの収録時のサンプリング周波数と同じ周波数とされているので、エンジン音メモリM21〜M25からは、収録時の再生レートでエンジン音データが生成される。
再生制御信号C1,C2は、回転パルスCの時間間隔ΔT(エンジン2の爆発間隔に応じて変動する時間間隔)で交互に立ち上がるから、第1および第2再生部31,32は、交互に合成音データを生成することになり、これらが重ね合わせ部34で重ね合わされることにより、一連の合成音に対応した合成エンジン音データが生成される。
再生制御部33には、さらに、減音処理部Y1,Y2における減音処理を制御する減音制御部としてのカウンタC12,C22が備えられている。
カウンタC12は、再生制御信号C1の立ち上がりでリセットされるとともに、再生制御信号C1がローレベルのときにカウント動作を行う。このカウント動作は、クロック信号CLKを分周器39で分周した信号に応じて行われる。カウンタC12のカウント値は、減音制御信号として減音処理部Y1に与えられる。減音処理部Y1は、たとえば、カウンタC12のカウント値に応じて、合成音データを下位ビット側にビットシフトするビットシフト処理部で構成されている。これにより、カウンタC12のカウントが進むに従って、音圧が指数関数的に減少していく。分周器39は、このような減音が急激に生じないように、クロック信号CLKよりも周期の長いカウント信号をカウンタC12に与えるためのものである。
カウンタC22も同様に、再生制御信号C2の立ち上がりでリセットされるとともに、再生制御信号C2がローレベルのときにカウント動作を行う。このカウント動作は、クロック信号CLKを分周器40で分周した信号に応じて行われる。カウンタC22のカウント値は、減音制御信号として減音処理部Y2に与えられる。減音処理部Y2は、減音処理部Y1と同様に、たとえば、カウンタC22のカウント値に応じて、合成音データを下位ビット側にビットシフトするビットシフト処理部で構成されている。これにより、カウンタC22のカウントが進むに従って、音圧が指数関数的に減少していくことになる。分周器40は、このような減音の進行を緩和する。
図7は、回転パルスCに応じた第1および第2再生部31,32による合成音データの生成を説明するための図解的な波形図である。パルスP1(第1爆発タイミング信号)は、第1再生部31におけるエンジン音データ再生開始トリガとなり、エンジン音がエンジン2から運転者45にとどくまでに要すると推定される時間δだけ遅れて、第1再生部31でのエンジン音データ再生が始まる。次のパルスP2(第2爆発タイミング信号、第3爆発タイミング信号)は、第1再生部31においては減音処理開始トリガとなり、前記時間δだけ遅れて減音処理が開始される。このパルスP2は、第2再生部32においてはエンジン音再生開始トリガとなり、前記時間δだけ遅れてエンジン音データの再生が開始される。その次のパルスP3(第4爆発タイミング信号、次サイクルの第1爆発タイミング信号)は、第1再生部31におけるエンジン音データ再生開始トリガとなり、第2再生部32においては減音処理開始トリガとなる。続くパルスP4は、第1再生部31においては減音処理開始トリガとなり、第2再生部32においてはエンジン音再生開始トリガとなる。
このようにして、第1および第2再生部31,32によるエンジン音の再生が循環的に(すなわち交互に)行われることにより、連続したエンジン音が生成される。この間、重み付け部W11〜W15;W21〜W25に設定される重みは、スロットル開度データAおよびエンジン回転速度データBに基づいて定められるため、運転状態に応じたエンジン音が生成されることになる。
回転パルスCは間隔が予測できないため、回転パルスCの到来によりエンジン音データの再生が開始される。これにより、エンジン2の爆発間隔の変動(揺らぎ)を忠実に再現できる。
エンジン音データの再生を開始した後、エンジン音データの再生を完了するよりも前に次の回転パルスCが到来したときには、エンジン音データの再生を中止しなければならない。しかし、いきなり消音すると、ノイズの原因となり、運転者に違和感を与えてしまう。そこで、この実施形態では、エンジン音データの再生中に次のパルスが到来することにより、減音処理を開始し、音圧を漸減させるようにしている。ところが、このままでは、音が間引かれてしまうため、2つの再生部31,32を設けて、交互にエンジン音データを再生させ、重ね合わせ部34で重ね合わせるようにしている。
パルス間隔データ生成部23は、回転パルスCが到来するごとに回転パルス間隔データDを求めて、音圧係数生成部36に入力する。音圧係数生成部36は、回転パルス間隔データDが入力されるたびに、音圧係数Eを再計算して更新する。たとえば、パルスP3が到来すると、パルス間隔データ生成部23は、パルスP2,3間のパルス間隔I23を表す回転パルス間隔データDを音圧係数生成部36に与える。これを受けて、音圧係数生成部36は、パルスP1,P2間のパルス間隔I12(前回与えられたパルス間隔データ)と、パルスP2,3間のパルス間隔I23(今回のパルス間隔データ)との一階差分を求め、これに基づいて音圧係数Eを演算する。この音圧係数Eは、パルスP3の到来から前記時間δだけ遅れて揺らぎ処理部X1,X2に与えられる。
以上のようにこの実施形態によれば、回転パルスの発生時間間隔を表す回転パルス間隔データDの一階差分に基づいて音圧係数Eが演算され、この音圧係数Eに応じて合成音データに対して音圧の揺らぎを与えている。回転パルス間隔データDはエンジン2の爆発時間間隔に対応しており、その燃焼圧力に対応している。そして、この回転パルス間隔データDの一階差分は、結局、燃焼圧力の変動(揺らぎ)に対応している。したがって、回転パルス間隔データDの一階差分に基づいて算出した音圧係数Eを用いて合成音データに対して音圧の揺らぎを付与することで、エンジン2の燃焼圧の揺らぎに応じた音圧の揺らぎを再現できる。
また、この実施形態では、エンジン2の回転パルスに同期してエンジン音データの再生を開始している。そのため、エンジン2の爆発間隔に応じた発音間隔の揺らぎを忠実に再現した合成エンジン音を生成させることができる。
このように、エンジン2の燃焼圧に対応した音圧揺らぎを有し、かつ、エンジン2の爆発間隔の変動を忠実に再現したタイミングで発音される合成エンジン音が運転者45の耳元で生成されることになる。したがって、エンジン2が静粛性の高いものである場合でも、運転者45は、エンジン2の実際の特性とほぼ同じ特性の合成エンジン音を十分に感じながら、二輪車両50の運転を愉しむことができる。
図8は、この発明の他の実施形態に係るエンジン音合成装置を装備した車両である四輪自動車の構成を説明するための概念図である。この図8において、前述の図1に示された各部に対応する部分には、図1の場合と同一の参照符号を付して示す。
この自動車1は、エンジン2を動力源とし、このエンジン2からの駆動力を車輪3に伝達して走行するものである。車室4内の運転席5の前方の操作パネル6には、カーオーディオ装置本体7が配置されている。このカーオーディオ装置本体7に接続されたスピーカ8は、たとえば、運転席5の近傍の位置と、車室4の後方位置とに配置されている。カーオーディオ装置本体7は、外部音声入力端子を装備しており、この外部音声入力端子から入力された音声信号を増幅してスピーカ8に伝達することができる。これにより、外部から入力された音声信号を車室4内に向けて音響化できるようになっており、カーオーディオ装置本体7およびスピーカ8は、音出力部を構成している。
エンジン音合成装置10は、たとえば、カーオーディオ装置本体7の近傍に配置され、このカーオーディオ装置本体7の前記外部音声入力端子に接続されている。すなわち、エンジン音合成装置10が発生する合成エンジン音信号は、カーオーディオ装置本体7によって増幅され、スピーカ8から車室4内に向けて音響化されて出力る。
このような構成により、運転者は、実際のエンジン音と同じ特性の合成エンジン音を聞きながら、心地よく自動車1を運転することができる。これにより、自動車1の運転の愉しみを増加できる。
自動車1に備えられるエンジン2が、たとえば、4サイクル4気筒エンジンの場合、クランク軸の180度の回転ごとにいずれかの気筒での爆発が起こる。そこで、回転パルス生成器13は、クランク軸の180度の回転ごとに回転パルスを生成する構成とすることが好ましい。具体的には、たとえば、回転パルス生成器13は、クランク軸に対して、回転方向に180度の間隔を開けて一対の永久磁石片を埋設するとともに、永久磁石片に対向する位置に電磁ピックアップを配置した構成とすればよい。これにより、クランク軸が180度回転するごとに、一対の永久磁石片のいずれかが電磁ピックアップに対向し、この電磁ピックアップから回転パルスを生成させることができる。
なお、エンジン2のスロットル開度は、運転席の床面に設けられたアクセルペダル9の操作量に対応するので、スロットル開度センサ11の代わりに、アクセルペダル9の操作量を検出するアクセル操作量センサ14の出力信号をエンジン音合成装置10に入力することもできる。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、回転パルス生成器13を用いる代わりに、エンジン2の点火プラグ(図示せず)に流れる電流を検出する電流センサを設け、この電流センサの出力を爆発タイミング信号として用いるようにしてもよい。また、点火プラグを制御する点火制御部から点火信号を生成させて、この点火信号を爆発タイミング信号として用いてもよい。
また、上記の実施形態では、25個の運転状態範囲1〜25のうちの5個の運転状態範囲についてのみエンジン音データを用意しておき、他の運転状態範囲については補間処理によって対応する合成音データを作成するようにしている。しかし、運転状態範囲1〜25の全部について、各範囲の運転状態で収録したエンジン音データをメモリに格納しておき、スロットル開度データAおよびエンジン回転速度データBに基づいて特定された運転状態範囲のエンジン音データをメモリから読み出して再生するようにしてもよい。むろん、補間処理を行う場合でも、4個以下の複数個のエンジン音データ、または6個以上のエンジン音データをメモリに格納しておくようにしてもよい。
さらに、上記の実施形態では、合成エンジン音データ生成部24は、第1および第2再生部31,32から、回転パルスCに同期して、交互に合成音データを生成させるようにしているが、同様な再生部を3個以上設けて、循環的に合成音データを再生させるようにすることもできる。
また、前述の実施形態では、第1および第2再生部31,32がそれぞれ揺らぎ処理部X1,X2を有している構成について説明したが、重ね合わせ部34が生成する合成エンジン音データに対して揺らぎ処理を行う揺らぎ処理部を設けてもよい。この場合には、第1および第2再生部31,32内に揺らぎ処理部を設ける必要はない。
また、運転者が感じるエンジン音の大きさを調整するために、運転者が操作可能な操作部を有する音量調整手段を設けてもよい。さらに、複数種類のエンジンのエンジン音をメモリに格納しておいて、運転者の好みに応じてエンジン音の種類を切り換えられるようにしてもよい。
さらに、前述の実施形態では、エンジンを駆動源とした車両を例にとったが、この発明は、電動モータを駆動源とした車両や、車両の運転を模擬するゲーム機などにおける仮想エンジンのエンジン音を合成する目的にも適用可能である。この場合、爆発タイミング信号生成回路を設けて、適当な揺らぎを付与した時間間隔で爆発タイミング信号を生成させればよい。このような爆発タイミング信号生成回路が生成する爆発タイミング信号の生成時間間隔を爆発間隔データとして求め、その一階差分に基づいて音圧係数を求めることにより、音圧の揺らぎを有する合成エンジン音を生成できる。
また、前述の実施形態では時間的に隣り合う爆発間隔データの一階差分に応じて、エンジン音データに音圧の変動を付与している。しかし、時間的に十分近接していれば、時間的に離隔している爆発間隔データの一階差分に応じて、エンジン音データに音圧の変動を付与するようにしてもよい。この場合「時間的に十分近接している」とは、一階差分がエンジンの燃焼圧に対応するほど時間的に近接していることを意味する。
さらに、前述の実施形態では、爆発間隔データの一階差分に応じてエンジン音データに音圧変動を付与しているが、差分に一対一に対応する音圧変動をエンジン音データに付与する必要は必ずしもない。すなわち、複数の爆発間隔データの傾向に応じて、音圧変動をエンジン音データに付与するようにしてもよい。この場合の「爆発間隔データの傾向」とは、爆発間隔データの増加傾向および減少傾向、ならびに増加または減少の割合その他の変化傾向を意味する。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の一実施形態に係る車両システムの構成例を示す図解図である。 エンジン音合成装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 合成エンジン音データ生成部の具体的な構成例を示すブロック図である。 合成処理部の働きを説明するための図である。 音圧係数生成部の構成を説明するためのブロック図である。 エンジン音データの再生制御を説明するための波形図である。 回転パルスに応じた合成音データの生成を説明するための図解的な波形図である。 この発明の他の実施形態に係るエンジン音合成装置を装備した車両である四輪自動車の構成を説明するための概念図である。
符号の説明
1 自動車
2 エンジン
3 車輪
4 車室
5 運転席
6 操作パネル
7 カーオーディオ装置本体
8 スピーカ
9 アクセルペダル
10 エンジン音合成装置
11 スロットル開度センサ
13 回転パルス生成器
14 アクセル操作量センサ
21 スロットル開度検出部
22 エンジン回転速度検出部
23 パルス間隔データ生成部
24 合成エンジン音データ生成部
25 出力処理部
31 第1再生部
32 第2再生部
33 再生制御部
34 重ね合わせ部
35 重み設定部
36 音圧係数生成部
37 波形変換部
38 反転部
39 分周器
40 分周器
45 運転者
46 ヘルメット
47 アンプ
48 スピーカ
50 二輪車両
51 車輪
52 シート
53 燃料タンク
55 赤外線発信器
56 赤外線受信器
61 一階差分演算部
62 乗算部
A スロットル開度データ
B エンジン回転速度データ
C 回転パルス
D 回転パルス間隔データ
E 音圧係数
C11 カウンタ
C12 カウンタ
C21 カウンタ
C22 カウンタ
M11〜M15 エンジン音メモリ
M21〜M25 エンジン音メモリ
S1 重ね合わせ部
S2 重ね合わせ部
W11〜W15 重み付け部
W21〜W25 重み付け部
X1 揺らぎ処理部
X2 揺らぎ処理部
Y1 減音処理部
Y2 減音処理部
Z1 合成処理部
Z2 合成処理部

Claims (9)

  1. エンジンの爆発タイミングを表す爆発タイミング信号を生成する爆発タイミング信号生成手段と、
    この爆発タイミング信号生成手段が生成する爆発タイミング信号の生成時間間隔を表す爆発間隔データを生成する爆発間隔データ生成手段と、
    この爆発間隔データ生成手段が生成する爆発間隔データの差分を用いて音圧係数を求める音圧係数演算手段と、
    予め収録したエンジン音データを再生するエンジン音再生手段と、
    この音圧係数演算手段によって求められた音圧係数に基づいて、前記エンジン音再生手段によって再生されるエンジン音データに音圧の変動を付与する音圧変動付与手段とを含むことを特徴とするエンジン音合成装置。
  2. 前記爆発タイミング信号生成手段が生成する爆発タイミング信号に同期して前記エンジン音再生手段からエンジン音データを再生させるエンジン音再生制御手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のエンジン音合成装置。
  3. 前記エンジン音再生手段は、前記爆発タイミング信号生成手段によって生成される爆発タイミング信号に同期して循環的に順次エンジン音データを再生する複数の再生部と、この複数の再生部が再生するエンジン音データを重ね合わせる重ね合わせ手段とを含むことを特徴とする請求項2記載のエンジン音合成装置。
  4. エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、
    前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段とをさらに含み、
    前記エンジン音再生手段は、前記スロットル開度検出手段によって検出されるスロットル開度および前記エンジン回転速度検出手段によって検出されるエンジン回転速度の組み合わせによって特定される運転状態に応じてエンジン音データを再生するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエンジン音合成装置。
  5. 前記エンジン音再生手段は、異なる運転状態でそれぞれ収録された複数のエンジン音データを前記スロットル開度およびエンジン回転速度によって特定される運転状態に応じて重ね合わせて合成する合成音生成手段を含むものであることを特徴とする請求項4記載のエンジン音合成装置。
  6. 車輪を回転させるための駆動力を発生する駆動源と、
    請求項1ないし5のいずれかに記載のエンジン音合成装置と、
    前記エンジン音再生手段によって再生されるエンジン音を出力する音出力部とを含むことを特徴とする車両システム。
  7. エンジンの爆発間隔を表す爆発間隔データの差分を用いて音圧係数を求める音圧係数演算ステップと、
    予め収録したエンジン音データを再生するエンジン音再生ステップと、
    前記求められた音圧係数に基づいて、前記エンジン音再生ステップにおいて再生されるエンジン音データに音圧の変動を付与する音圧変動付与ステップとを含むことを特徴とするエンジン音合成方法。
  8. エンジンの爆発タイミングを表す爆発タイミング信号を生成する爆発タイミング信号生成ステップと、
    前記爆発タイミング信号の生成時間間隔を検出して、前記爆発間隔データを生成するステップとをさらに含み、
    前記エンジン音再生ステップは、前記爆発タイミング信号に同期してエンジン音データを再生するステップを含むことを特徴とする請求項7記載のエンジン音合成方法。
  9. エンジンの爆発間隔を表す爆発間隔データを生成する爆発間隔データ生成手段と、
    前記爆発間隔データ生成手段が生成する爆発間隔データの差分を用いて音圧係数を求める音圧係数演算手段と、
    予め収録したエンジン音データを再生するエンジン音再生手段と、
    前記音圧係数演算手段によって求められた音圧係数に基づいて、前記エンジン音再生手段によって再生されるエンジン音データに音圧変動を付与する音圧変動付与手段とを含むことを特徴とするエンジン音合成装置。
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