JP4559222B2 - 改変インスリン様成長因子結合蛋白質 - Google Patents

改変インスリン様成長因子結合蛋白質 Download PDF

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Description

本発明は、IGF(インスリン様成長因子)放出特性が低減された改変インスリン様成長因子結合蛋白質(IGFBP)に関する。本発明のIGFBPは、ある種の癌の治療など、治療目的において有用であることが提案される。本発明の具体的な形態は改変IGFBP−2に関する。
インスリン様成長因子(IGF−IおよびIGF−II)は、多様な種類の細胞においてタンパク質同化(anabolic)活性、分裂促進(mitogenic)活性および抗アポトーシス活性を媒介する小形で高い関連性のある蛋白質(約7.5キロダルトン)である。これらの作用は、IGFが1型IGF受容体(IGF1R)と相互作用しこれによってIGF1Rが活性化されることの結果として生じる(Sepp−Lorenzino、(1998)、Baserga、1999)。第2の関連しない受容体(2型IGF受容体あるいはIGF2R)は、インターナリゼーションと分解とによるIGF−IIレベルの調節という主要機能を有し(Wangら、1994)、最近の証拠は、IGF2RがIGF−II依存性腫瘍の腫瘍サプレッサーとして作用することを示唆している(Braulke、1999)。
IGFは、肝臓で産生されて循環性IGFとなるほか、ほとんどの組織で局所的に分泌される。6つの高親和性IGF結合蛋白質(IGFBP−1から−6)のファミリーは、(主として、IGFBP−3・ALS・IGF複合体として)血液循環中のIGFの半減期を延ばすとともに、IGFを標的組織へ輸送する作用を有する。標的組織内で、IGFBPはIGFの作用を増大したり阻害したりすることができる。IGFBPは、IGFの相互作用を、IGF1Rへの結合を遮断することによって阻害することができる。しかし、ある状況下では、IGFBPはIGFを放出することができ、これによってIGFをIGF1Rに結合可能にする。これは、IGF作用の増大効果をもたらす。この放出機序は、1)IGFBPの蛋白質加水分解と、2)IGFBPの細胞外マトリックス(ECM)への結合とを含み、どちらもIGFに対する親和性を低減させる。細胞外マトリックス結合はまた、IGFを細胞表面の近傍すなわちIGF1Rの近くに局在させることを支援すると考えられている。IGFBPの活動の成果は、局所的な蛋白質加水分解活性とIGFBPのECMへの結合とのバランスで制御される。
多くの証拠(in vivoおよびin vitro)が、インスリン様成長因子(IGF)およびIGF結合蛋白質(IGFBP)が癌に関与していることを示している。多くの腫瘍細胞(前立腺および乳房など)は、それらに対応する正常な細胞に比べてより多くのIGF−IIとIGFBP−2を分泌し、それらの血清中レベルは通常、癌が進行するにつれて上昇する(Cohenら、(1994);Thrasherら、(1996);Hoら、(1997);Chanら、1998)。腫瘍細胞から分泌されたIGFは1型IGF受容体に結合し、腫瘍形成および転移を強化する(DiGiovanniら、2000)。
IGFBP−2の蛋白質加水分解は、多くの正常および異常な生理的条件のもとで検出されている。例えば、IGFBP−2断片がヒトの乳において検出されており、切断は、N−およびC−ドメインの間のリンカー領域において発生し、主としてhIGFBP−2の168残基および180/181残基のサイトを含む(HoとBaxter、1997;Elmingerら、1999)。蛋白質加水分解されたIGFBP−2はまた、妊娠期間において血清中で確認される。IGFBP−2はまた、癌細胞によって産生されるプロテアーゼによっても切断される(Michellら、1997)。この特異的癌細胞プロテアーゼは、その特性について十分には明らかにされていないが、in vitroで前立腺上皮細胞によって産生されたカテプシンDがIGFBP−2を分解することが示されている(Kanetyら、1993;Nunnら、1997)。IGFBP−2の優先的な蛋白質加水分解が、結腸癌(Michellら、1997)および神経芽腫細胞(Menounyら、1997)において実証されている。特異的切断部位は、癌プロテアーゼによる蛋白質加水分解産物については未だ記述されていない。
IGFBP−3、−4および−5の配列においては、プロテアーゼ切断部位が同定されている。蛋白質加水分解は、通常はこれら蛋白質のリンカー領域内で起きるが、C−ドメインでも起こりうる。プロテアーゼ抵抗性IGFBP−4およびIGFBP−5(Imaiら、1997)が、切断部位の特異的残基を変異させることによって、あるいはいくつかのリンカー領域の残基を欠失させることによって生成された(IGFBP−4では121−141の欠失によって、妊娠期の血清中のあるプロテアーゼに対して抵抗性になった(Byunら、2000))。
IGFBP−2は、ヒト線維芽細胞外膜の調製物(Araiら、1996)とグリコサミノグリカン(Russoら1997、Araiら、1996)とに結合する。IGFBP−2配列内には2つの潜在的なマトリックス結合部位がある。最近の証拠は、hIGFBP−5の201〜218残基に対応するhIGFBP−2の塩基性領域(227〜244残基)が、マトリックス結合の部位として作用するかもしれないことを示唆している(Araiら、1996)。hIGFBP−5の201〜218残基(マトリックス結合に重要であるとして知られている残基)(Araiら、1996)に基づく合成ペプチドの使用は、IGFBP−2のヘパリンセファロースへの結合を阻害した。Hodgkinsonら(1994)は、CardinとWeintraub(1989)によって記述された短いGAG結合コンセンサス配列に基づいてIGFBP−2におけるグリコサミノグリカン(GAG)結合部位を予想した。このhIGFBP−2の179〜184残基の位置のXBBXBX(B=塩基性、X=不定)モチーフは、中央ドメインに存在する。このモチーフがGAG結合において何らかの役割を果たすという公表された証拠はない。
この明細書において、用語「含む、有する(comprising)」は「含むがそれに限定されない」を意味し、用語「含む、有する(comprise)」はそれに対応する意味を有する。また、この明細書内における文献の参照は、その文献の開示内容がオーストラリアの一般的な知識であると認めるものとして理解されるべきではない。
本発明は、IGF−IおよびIGF−IIの放出を阻害する形でのIGFBP−2の改変から得られたものである。この放出阻害は、IGFBP−2への変化の導入によって、細胞外マトリックス(ECM)への結合性が低減され、かつ1種類または複数種類のプロテアーゼによる蛋白質加水分解に対する感受性が低減されることの結果として生じる。この改変IGFBP−2は、結腸癌、前立腺癌、乳房癌など、IGF依存性腫瘍の成長を阻害する能力のために有用であると提案されている。改変IGFBPが、低減されたECM結合性と低減された蛋白質加水分解感受性との両者を含むように構築されたのは、本発明者の知るところでは、これが初めてであり、さらに、この組合せがIGF−IとIGF−IIの放出の阻害に効果的であると示されたのも、これが初めてである。このアプローチは、IGFBP−2のみならず他のIGFBPにも効果的であることが提案されている。また、本発明者の知るところでは、IGFBP−2の2つのECM結合部位の位置を示す実用的なデータが得られ、かつ、これらが蛋白質加水分解部位の改変とともにIGF−IとIGF−IIの放出の阻害をもたらすことが示されたのも、これが初めてである。さらに、本発明者の知るところでは、重なり合ったIGFおよびECM結合部位が、IGF結合は依然として許容するがECM結合は許容しない形で改変されたのはこれが初めてである。
それゆえに、本発明は、第1の広義の態様では、細胞外マトリックスとの接触またはプロテアーゼへの曝露時のIGF放出の阻害によって特徴付けられる、高い親和性でIGF−IまたはIGF−IIと結合することができる改変IGFBP−2分子にあるといってもよい。
本発明の第1の態様の第2の形態では、細胞外マトリックスとの接触またはプロテアーゼへの曝露時のIGFの放出の阻害によって特徴付けられる、高い親和性でIGF−IまたはIGF−IIと結合することが可能な改変IGFBP分子にあるといってもよい。
切断IGFBP−2では、IGFに対する親和性が10分の1未満に低下している(Carrick、2001)。改変IGFBP−2は、少なくとも、IGF−Iに対して、天然のIGFBP−2のIGF−Iに対するそれと比べて10分の1の低さであるIGF1型受容体と同等の親和性を有することが必要であることが望ましい。これによって、IGF結合において受容体との効果的な競合が可能になり、IGFの高親和性結合という語は、その文脈において理解されるべきである。
IGF結合に必要な領域は十分には解明されていないが、これらの領域を決定するために多くの努力がなされている。例えば、我々(Hobbaら、1998)および他の人たち(Zeslawskiら、2001)は、IGF結合に関与するN−ドメインの末端部分の残基を同定した。同様に、IGF結合に必要なIGFBP−2の最小C−ドメイン長が記述されている(Forbesら、1998)。WO00/23469においても、IGF結合ドメインについて述べられており、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。IGF結合を分析するための複数の方法が、当該技術分野において知られており、改変IGFBPがIGFに結合することができるか否かを確認するために容易に用いることができる。
本発明者は、IGFBP−2について2つのECM部位を同定し、これら部位内の変異がヘパリン結合性の低下に繋がることを示した。IGFBP−2についての第1のECM部位は、配列179〜184にわたっており、配列PKKLRP[配列番号1]からなり、これは最初にマトリックス結合蛋白質に対するコンセンサス配列(すなわちXBBXBX、Hodgkinsonら、1994)との相同性に基づいて提案された。同定されたIGFBP−2の第2のECM結合配列は、IGFBP−3およびIGFBP−5との相同性から227〜244であり、配列KHGLYNLKQCKMSLNGQR[配列番号2]からなる。適当な参照配列は配列データベースから入手可能である。このように、ヒトIGFBP−2のcDNAのヌクレオチド配列は、NCBI配列データベースから登録番号 (accession number) NM000597としてアクセスしてもよい。適当なアミノ酸配列の推定はヌクレオチド配列から予測することができる。
第1の態様の第3の形態において、本発明は、高い親和性でIGF−IまたはIGF−IIと結合することが可能な改変IGFBP−2分子であって、前記IGFBP−2分子は両方のECM結合部位内のいずれか1つまたは複数のアミノ酸に改変を有し、第1のECM結合部位は配列179から185に位置し、第2のECM結合部位は配列227から244に位置し、前記改変は別々におよび共同してIGFBP−2のECMへの結合を阻害するものであるIGFBP−2分子にあるといってもよい。
好ましくは、227と236の間の残基は、置換変異である。この部位の少なくとも一部分はIGF結合に重要であるかもしれないと考えられているためである。これに対し、179〜185の改変は、欠失、逆位、置換またはその他の総体的な改変によって達成してもよいが、アミノ酸置換によって改変されることが好ましい。
一般的に、塩基性アミノ酸を別の性質の、すなわち中性または酸性のアミノ酸で置換すると、一般的にマトリックス結合性モチーフ(matrix binding motifs)への攪乱が見られる。
これまでにIGFBP−2に導入された変異を利用して、2つのECM部位のうちの1つを改変するだけではECM結合を完全に破棄するために十分ではないことが本発明者によって確認されている。本発明は好ましくは両方のECM部位に改変を提供しているが、一方で、本発明は、ECM結合部位のうちの一方のみにおける改変を、おそらくは、改変されたプロテアーゼ切断および/または結合部位との組合せで、提供することも含むことができる。
下に掲げたのは、6つのIGFBPすべてについてのECM結合部位であると示されたまたは提案された配列である。
ECM結合部位(14番目と16番目のシステイン残基の間のC−ドメインに存在)
IGFBP-3 CDKKGFYKKKQCRPSKGRKRGFC [配列番号3] (Firth, 1998)
IGFBP-5 CDRKGFYKRKQCKPSRGRKRGIC [配列番号4] (Arai, 1996b)
IGFBP-2 CDKHGLYNLKQCKMSLNGQRGEC [配列番号5]
* * * *
IGFBP1 CNKNGFYHSRQCETSMDGEAGLC [配列番号6]
IGFBP4 CDRNGNFHPKQCHPALDGQRGKC [配列番号7]
IGFBP6 CDHRGFYRKRQCRSSQGQRRGPC [配列番号8]
*=保存された正帯電残基
IGFBP3とIGFBP5についての部位は以前に公表されており、本データはIGFBP−2についての結合部位を決定するものであり、IGFBP1、4および6についての該部位はアミノ酸アラインメントに基づいて提案されている。
本発明はまた、ECM結合部位が改変された改変IGFBP−1、−4または−6も含むことができる。
あるいは、本発明のこの第1の態様において、IGFの放出の満足のいく低減を、第2のECM結合部位でのアミノ酸置換によるECM結合の阻害のみによって達成することもできる。そのような放出の低減は、IGF結合部位と第2のECM結合部位との間の密接な関連の結果であるかもしれない。したがって、本発明の第1の態様は、依然としてECMの結合を阻害しそれによってIGF放出も阻害する一方でIGFの結合を依然として許容するECM結合部位内において1つまたは複数のアミノ酸置換を有する改変IGFBP分子およびおそらく好ましくはIGFBP−2分子にある。
正帯電残基は結合に重要であり、これら残基の置換は結合の阻害をもたらしやすいと考えられる。その置換は、下記のアラニン(A)によるリシン(K)の置換などの非保存的置換でもよい。
Site 1 Site 2
PKKLRP [配列番号9] KHGLYNLKQCKMSLNGQR [配列番号14]
PAKLRP [配列番号10] AHGLYNLKQCKMSLNGQR [配列番号15]
PKALRP [配列番号11] KHGLYNLAQCKMSLNGQR [配列番号16]
PKKLAP [配列番号12] KHGLYNLKQCAMSLNGQR [配列番号17]
PAALAP [配列番号13] AHGLYNLAQCAMSLNGQR [配列番号18]
リシン残基を他のアミノ酸で置換することも企図できる。
本発明の第1の態様の改変IGFBP−2は、好ましくは、いずれか1つまたは複数の蛋白質加水分解切断部位に改変を有し、これによって、この蛋白質加水分解切断部位に特異的なプロテアーゼに曝されたときにIGFの放出を阻害する。
本発明の第1の態様の好ましい形態は、1つまたは複数の蛋白質加水分解切断部位を除去するリンカードメインにおけるいずれか1つまたは複数の欠失とともに、第1および第2のECM結合部位、おそらく上記した部位に置換変異を含む。
上記のある態様で示唆したように、本発明は、1つまたは複数の蛋白質加水分解酵素への曝露時にIGFの放出を阻害する改変を含む。IGFBPが感受性である多くの蛋白質加水分解酵素は、それらの標的を前記リンカードメインとする。治療目的の送達中に改変IGFBPが曝露される蛋白質加水分解酵素は、治療すべき症状によって異なってもよい。腫瘍細胞系は、それが産生する蛋白質加水分解酵素において多様であることが知られている。本発明者によって、IGFBP−2のリンカードメインにおけるかなりの欠失は、蛋白質加水分解性の切断に対する抵抗性をもたらし、同時に蛋白質安定性を維持すると共に高い親和性でのIGF結合を維持することが示された。プロテアーゼ抵抗性をもたらすIGFBPの好ましい改変は、したがって、前記リンカードメイン内における1つまたは複数の欠失である。1つの欠失または複数の欠失の大きさは多様であってよい。実質的にすべてのリンカー領域の欠失も依然としてIGF結合をもたらすことが本発明者によって見出された。実質的にすべてのリンカー領域の欠失があっても、およそ180から191までのアミノ酸は維持されることが好ましい。
より小さな欠失も、IGFBPを蛋白質加水分解に対して感受性の高い部位の除去に適している可能性がある。それゆえに、およそ110からおよそ170までのアミノ酸の欠失が、蛋白質加水分解に対する感受性の低下という結果になった。
蛋白質加水分解に対する抵抗性は、蛋白質加水分解性の切断や結合に重要な部位へのより的を絞った改変によって達成されてもよい。
蛋白質加水分解またはECM結合に関与する残基以外の残基の置換を考慮することもできる。これらの置換は、改変IGFBPが依然として高親和性IGF結合が可能であるかぎり、保存的置換、非保存的置換、欠失、重複、逆位や他の再構成でもよい。加えて、改変IGFBPは、グリコシル化や他の化学修飾など、さらなる変化を有していてもよい。
蛋白質は、精製を助ける融合蛋白質であってもよく、それゆえに、蛋白質は、ニッケル親和性の精製を提供するC末端6ヒスチジンタグを含んでいてもよい。他の融合精製系も知られており、使用してもよい。細菌系においては、融合蛋白質は、この蛋白質を細胞表面から分泌させるように変化したシグナル配列、例えばompA由来の配列、を含んでいてもよい。
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の蛋白質またはアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をコードする核酸にあるといってもよい。好ましい形態では、この核酸はベクターに保持されており、このベクターは、蛋白質またはアミノ酸の発現をもたらす転写のためのプロモータを含む制御配列に作用可能に連結された核酸を有している。上記の目的のための大変に多くの公知のベクターのうちのいずれか1つを使用してもよい。あるいは、このベクターは、単に染色体宿主細胞への組み込みのために宿主細胞内へ改変IGFBPをコードする核酸を導入するために使用してもよく、したがってレトロウィルス発現ベクターでもよい。
第3の形態では、本発明は、本発明の第2の態様のベクターまたは核酸を保持する組換え細胞にあるといってもよい。宿主細胞は、精製後の蛋白質が個々に使用され望み通りに投与されるように産生・精製されることが可能な改変IGFBPの発現を意図したものであってもよい。この宿主細胞は、細菌系、酵母菌系、植物系または哺乳動物系のものであってもよい。あるいは、この宿主細胞は、遺伝子治療目的のために、ヒトなど、治療対象の動物への導入を意図したものであってもよい。
第4の形態では、本発明は薬剤組成物にあるといってもよい。この組成物は、本発明の第1の態様の改変IGFBP−2を活性成分として含む。この薬剤組成物は、認可された方法にしたがって配合してもよく、そして、改変IGFBPに融合または改変IGFBPに複合されている、またはされていない担体を含んでいてもよい。この組成物は、他の医療薬剤、治療薬剤、アジュバント、希釈剤、賦形剤などをさらに含んでいてもよい。
本発明は、第5の形態において、IGF−IまたはIGF−IIの改変IGFBPからの放出を阻害しそれによって生物学的に活性であるIGF−IまたはIGF−IIの血清および組織中のレベルを低減するために有効な量の本発明の第1の態様の改変IGFBPを哺乳動物に投与することによって、生物学的に活性なIGF−IまたはIGF−IIの血清および/または組織中のレベルを低減するための方法にあるといってもよい。
本発明の第5の態様は、いわゆる遺伝子治療アプローチとして、動物またはヒト患者の1つまたは複数の細胞内での改変IGFBP−2をコードする外因性の核酸の発現を企図している。
通常は、哺乳動物において改変IGFBP−2レベルを上げる(または過剰発現させる)ために遺伝子治療法が使用される。IGFBP−2をコードする核酸は、この目的のために使用することができる。所望のアミノ酸配列をコードする遺伝子コードの縮重を用いて、いくつかの核酸分子が生成されてもよい。
遺伝子治療の目的のために核酸(ベクターに含有されていてもよい)を患者の細胞内に入れるためには2つの主要なアプローチ、すなわちin vivoとex vivoがある。in vivoで投与する場合には、核酸は患者に対して直接的に、一般にはビペリン(viperine)が必要とされる場所に、投与される。好ましくは、これは肝臓内であろう。ex vivo治療では、患者の細胞を取り出し、核酸をこれらの単離された細胞に導入し、この変更された細胞を患者に直接に投与するかまたは、例えば、多孔性の膜に包んでこれを患者に移植する。例えば、米国特許第4,892,538号および第5,283,187号を参照されたい。
生存可能な細胞に核酸を導入するためには様々な手法が利用可能である。これらの手法は、核酸の培養細胞への導入をin vitroで行うか、意図した宿主の細胞内でin vivoで行うかによって異なっている。in vitroでの哺乳動物細胞内への核酸の導入に適した手法は、リポソーム法、電気穿孔法、マイクロインジェクション法、細胞融合法、DEAE−デキストラン法、リン酸カルシウム共沈法などの使用を含む。遺伝子のex vivo送達に一般に使用されるベクターはレトロウィルスである。
in vivo核酸導入の手法は、ウィルスベクター(アデノウィルス、単純ヘルペスI型ウィルスまたはアデノ関連ウィルス)および脂質系システム(遺伝子の脂質を介した導入に有用な脂質は、例えば、DOTMA、DOPEおよびDC−Cholである)によるトランスフェクションを含む。ある状況では、核酸供給源を細胞表面の膜蛋白質や標的細胞に特異的な抗体や、標的細胞上の受容体に対するリガンドなど、標的細胞を標的とする薬剤とともに供給することが望ましい。リポソームが用いられる場合には、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜蛋白質に結合する蛋白質を、ターゲティングのためおよび/または取り込みを容易にするために用いてもよく、その例として、特定の種類の細胞に対して刺激性のカプシド蛋白質またはその断片、サイクル中にインターナリゼーションを起こす蛋白質に対する抗体、細胞内局在化を狙いかつ細胞内半減期を延長する蛋白質があげられる。受容体が媒介するエンドサイトーシスの手法は、例えば、WuらによってJ.Biol.Chem.、262:4429〜4432頁(1987)に、Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:3410〜3414頁(1990)により記述されている。公知の遺伝子マーキングおよび遺伝子治療法のプロトコルの概要は、AndersonらのScience、256:808〜813頁(1992)を参照されたい。また、WO93/25673およびそこに引用されている参考文献も参照されたい。
あるいは、精製された改変IGFBPを適当な担体を用いて哺乳動物に投与することもできる。この改変IGFBPは、経口的、非経口的、局所的、経皮的に投与することができる。この改変IGFBPはゆっくりと放出される形態で提供することが好ましいであろう。適切な投与量や配合の決定は、当該分野における通常の技能を有する者が通常手順の実験法を用いて達成できる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(Martin E.E.編、最新版)、Mack Publishing Co、Easton PAを参照されたい。
さらに、本発明の範囲には、改変IGFBP−2の細胞毒性剤または抗癌剤との共投与が含まれる。そのような薬剤の好適なものとしては、代謝拮抗物質(例えば、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、フルダラビン)、微小管阻害剤(antimicrotubule agents)(例えば、ビンクリスチン 、ビンブラスチンや、パクリタキセルやドセタキセルなどのタキサン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メルファラン、ビスクロロエチルニトロソウレア 、ヒドロキシウレア)、プラチナ剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、JM−216、CI−973)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン)、抗生物質(例えば、マイトマイシン、イダルビシン、アドリアマイシン、ダウノマイシン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポサイド、カンプトテシン)または他のいかなる抗腫瘍性の薬剤(リン酸エストラムスチン、プレドニムスチン)も含まれる。
種々の抗癌剤との組合せで使用された改変IGFBP−2は、癌性細胞への細胞毒性作用の顕著な増大を引き起こし、これにより治療効果の増大を提供することが予想される。具体的には、抗癌剤を単独で使う治療型に比べて低い濃度の抗癌剤を用いた上記開示の組合せによって、成長阻害効果のかなりの増大が得られるので、抗癌剤を単独で使い投与量がより多い場合に通常観察されるよりも、抗癌剤に関連する有害な副作用がかなり低減される治療を提供し得る。
本発明の化合物は、経腸的、非経腸的および局所的な投与経路を含む多様な方法で投与することができる。例えば、投与の好適な方式は、経口、皮下、経皮、経粘膜(transmucosal)、イオン導入法、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、硬膜下、直腸内、経膣などを含む。
薬学的に許容される好適な賦形剤は、処理剤(processing agent)および薬物送達の変更因子(drug delivery modifiers)および賦活剤(enhancer)、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、でんぷん、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂など、さらに、それらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含む。他の好適で薬学的に許容される賦形剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Pub.Co.、N.J.(1991)に記述されており、参照により本明細書に組み込まれている。
第6の態様では、本発明は、IGF存在下での癌性細胞集団のIGFが媒介する増殖を、本発明による改変IGFBPにこの細胞集団を接触させることによって低減する方法にあるといってもよい。
このような方法での治療に反応する可能性のある症状はIGF依存性の癌を含み、これは、乳房、前立腺、結腸直腸、肺、甲状腺、卵巣および脳のある種の癌さらに小児白血病、神経グリア芽細胞腫および神経芽腫を含むだろう。
本発明による、例えば、前立腺癌の治療は、必ずしもそのままで用いなくてもよく、他の方法の補助として用いることが企図される。
簡略表記法として、アミノ酸残基を表す3文字および1文字略号を表1で定義したように本明細書で使用する。
ある特定のアミノ酸残基を蛋白質のポリペプチド内での位置によって示す場合、アミノ酸略号に残基番号を上付で添えて使用する。(すなわち、Xaan)
Figure 0004559222
発明の詳細な説明
材料と方法
変異誘発とサブクローニング
pBluescriptベクター(Stratagene、La Jolla、CA、USA)においてhIGFBP−2をコードするcDNAの突然変異を、Quikchange突然変異誘発法(Stratagene)を用いて導入した。リシン(K)からアラニン(A)への変異および欠失変異Des(114〜170)Hisを導入するために、下記のオリゴヌクレオチドを使用した。
K180A K181AHis 順方向 5'CTT GGC CTG GAG GAG CCT GCC GCC CTG CGA CCA CCC CCT 3'
[SEQ ID No 19]
逆方向 5'AGG GGG TGG TCG CAG GGC GGC AGG CTC CTC CAG GCC AAG 3'
[SEQ ID No 20]

K227AHis 順方向 5'ATC CCC AAC TGT GAC GCC CAT GGC CTG TAC ACC 3'
[SEQ ID No 21]
逆方向 5'GGT GTA CAG GCC ATG GGC GTC ACA GTT GGG GAT 3'
[SEQ ID No 22]

K234AHis 順方向 5'GGC CTG TAC AAC CTC GCC CAG TGC AAG ATG TCT 3'
[SEQ ID No 23]
逆方向 5'AGA CAT CTT GCA CTG GGC GAG GTT GTA CAG GCC 3'
[SEQ ID No 24]

K237AHis 順方向 5'AAC CTC AAA CAG GCC ATG TCT CTG AAC GGG 3'
[SEQ ID No 25]
逆方向 5'CCC GTT CAG AGA CAT GGC GCA CTG TTT GAG GTT 3'
[SEQ ID No 26]

Des(114-170)His 順方向1 5'GTT GCA GAC AAT GGC GCC GGC CAC TCA GAA GAA GCC 3'
[SEQ ID No 27]
逆方向1 5'GCC TCC TTC TGA GTG GCC GGC GCC ATT GTC TGC AAC 3'
[SEQ ID No 28]
順方向2 5'CGG CAC ATG GGC AAG GCC GGC AAG CAT CAC CTT 3'
[SEQ ID No 29]
逆方向2 5'AAG GTG ATG CTT GCC GGC CTT GCC CAT GTG CCG 3'
[SEQ ID No 30]
欠失変異体Des(114〜170)Hisは、それぞれ114および170残基をコードするcDNA内の2個のNaeI制限部位を順次導入することによって生成した。この新たなクローンは、NaeIで分解して、その後再連結することにより、これらの部位の間の配列を欠失させた。
得られた変異体IGFBPをコードするcDNAを、DH5α大腸菌内に形質転換した。正しい変異導入を確認するためにクローンの配列決定を行った。続いてそれらを、XhoIおよびEcoRI制限部位を用いてpXMT−2ベクターにサブクローニングし、DH5α大腸菌内へ形質転換した(図1参照;Rathjen P.D.ら、(1990);Whyatt L.M.ら、(1993))。変異体IGFBP−2蛋白質は、変異体IGFBP−2 cDNAを用いたCOS−1サル腎臓細胞(ATCC:CRL 1650)の一時的なトランスフェクションで発現させた。Cos−1細胞は、DMEM(GIBCO)+10%FCSで培養する。培養と精製方法はForbesら(1998)に記述されている。
精製と純度の解析
各蛋白質のC末端の6ヒスチジンタグを利用して標準的なニッケル親和性精製法を用いて蛋白質を精製した。IGFBPが分泌されるので、精製は培地から行う(Forbesら、1998)。ニッケルカラムからの溶出に続いて、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて蛋白質をさらに精製した。純度は、rpHPLC、SDS PAGEおよび質量分析法によって解析した。各変異体の質量を、エレクトロスプレー質量分析法(Dr.Chris Bagley、Hanson Centreによる)によって求め、正確であることがわかった(一般的に質量分析の限界=1質量単位/10,000ダルトンの範囲内)。
IGF結合親和性の測定
hIGFBP−2および変異体のIGF結合親和性を、IGF−IまたはIGF−IIをセンサ表面に固定化したBIAcoreを使った表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)によって求めた(方法の詳細は、Carrickら(2001)を参照されたい)。IGF−IまたはIGF−II(70RU)を、標準的な固定化の手順(LofasとJohnsson、1990)を用いてCM−5バイオセンサチップ(BIAcore Inc)にアミン基を介して固定化した。簡単に説明すると、5μl/分で、CM5チップを35μlのNHS(0.4mg)/EDC(2.6mg)で活性化し、35μlのIGF(10μg/ml)を10mM酢酸ナトリウムpH4.5中で固定化した。未反応の基を、35μlの1Mエタノールアミン−HCl、pH8.5で不活性化した。一定範囲のhIGFBP−2または変異体濃度(50、25、12.5、6.25および3.1nM)での速度論的研究を、結合に300秒、解離に900秒かけて、質量輸送(mass transport)の影響を最小にするために40μl/分で行った。IGF表面は10mMHClで再生処理した。
蛋白質加水分解分析
蛋白質加水分解試験のためのプロテアーゼの供給源は、癌細胞のならし培地(conditioned medium)であった。細胞は、ウシ胎児血清の存在下で密集するまで増殖させた。(T84細胞は、DMEM:10%ウシ胎児血清FBSとHamのF12(50:50v:v)中で増殖する。LNCaPは、RPMI+6%FBS中で増殖させた。PC3とDU145は、DMEM+10%FBS中で増殖させた。すべての培地とFBSはGIBCOからのものである)。その後、細胞を無血清培地で2×2時間洗浄した。その後、無血清条件で3日間培養し、培地を採取した。ならし培地を、セントリコン−10(centricon−10 )(Millipore Corp、MA USA)でおよそ10倍に濃縮した。精製されたhIGFBP−2またはその変異体(2μl中250ng)を37℃で24時間ならし培地と混合して、蛋白質加水分解を行わせた。蛋白質を、12%トリシンSDSポリアクリルアミドゲルで分離し、ニトロセルロースに移した。ニトロセルロースフィルターを、特異的ポリクローナル抗IGFBP−2抗体(我々の実験室で作製)でプローブしてIGFBP−2およびIGFBP−2断片を検出した。アビジンアルカリホスファターゼに結合させた2次ヤギ抗ウサギ抗体(Sigma)を用いて、抗IGFBP−2抗体を検出した。アビジンアルカリホスファターゼの基質(ニトロブルーテトラゾリウムと5 ブロモ 4 クロロ 3−インドリルリン酸 p−トルイジン塩)を加え、呈色したバンドはIGFBP−2の存在を示唆した。
マトリックス結合分析
ヘパリンを、ビオシチンヒドラジン(Pierce)を用い、その製造業者が推奨する条件を用いてビオチン化した。反応に続いて、ビオチン化されたヘパリンを、セントリコン−3(centricon−3 )(Millipore Corp、MA USA)を用いて濃縮し、HOに対して透析した。ビオチン化ヘパリンを、0.3M NaClおよびHBS(界面活性剤を含むHEPES緩衝生理食塩水、BIAcore Inc.)中でストレプトアビジンバイオセンサチップに固定化した。異なる濃度(6.25nMから300nM)のhIGFBP−2と変異体を10μl/分で注入した。表面の再生処理は2M NaClによって行なった。
HT−29結腸直腸細胞の増殖
細胞を、RPMI(GIBCO)+10%FCS(ウシ胎児血清)中の96ウェルプレートに1ウェル当たり細胞12000個で植え付け、2日間増殖させ、無血清RPMIで3時間洗浄し、その後RPMI+5%BSA中でブチレート(5mM、Sigma)またはブチレートと多様な濃度のIGF−Iとの組合せで処理する。この実験では、種々の量のIGFBP−2または変異体IGFBP−2をブチレート+IGF−1処理細胞に加えた。増殖は、PromegaのCell−titre−Gloキットを用いて測定する。これは基本的にはATPレベルを測定する。IGFは細胞をアポトーシスから救済し、結合蛋白質(天然あるいは変異体)は、細胞をアポトーシスから救済するIGFの能力を阻害する(IGFを受容体から隔離する)。
結果と考察
クローニング、発現、純度およびIGF結合親和性
5つの変異体を、プロテアーゼ抵抗性の導入またはマトリックス結合の妨害のために設計した(K180A K181AHis、K227AHis、K234AHis、K237AHis、Des(114〜170)His)。これらは、精製して均質化し(図2)、質量分析にかけ、期待した質量を有していることを確認した。残基K180とK181は、プロテアーゼ切断の潜在的部位であり(Ho,J.P.& Baxter,R.C.(1997)、またマトリックス結合に関与しているかもしれない(Hodgkinsonら(1994))。K227、K234およびK237は、マトリックス結合性モチーフに対応するIGFBP−3および−5の類似領域内の残基である。蛋白質加水分解性の切断およびマトリックス結合の潜在的部位は、図3でハイライト表示されている。
精製された変異体を、BIAcore解析によって、IGF−Iに結合する能力について分析した(図4)。すべての変異体は、天然hIGFBP−2と類似した親和性を有している。変異体K237AHisは、IGF−IとIGF−IIの両者に対しておよそ2倍高い親和性を有し、Des(114〜170)Hisは、IGF−IとIGF−IIに対する親和性においてそれぞれ5倍または2倍低減している(表2と3)。
表2は、IGF−Iに結合するhIGFBP−2と変異hIGFBP−2のBIAcore解析から得られた速度定数を示す。データは、BIA評価ソフトウェア3.0を用いて解析され、Langmuir 1:1結合モデルに適合させた。解離定数(K)はk/kの計算から決定された。ここで、kは結合速度であり、kは解離速度である。相対K(Relative KD)は、hIGFBP−2のK/hIGFBP−2変異体のKに等しい。
Figure 0004559222
表3.IGF−IIに結合する変異体hIGFBP−2とhIGFBP−2のBIAcore解析から得られた速度定数。データは、BIA評価ソフトウェア3.0を用いて解析され、Langmuir 1:1結合モデルに適合させた。解離定数(K)はk/kの計算から決定された。ここで、kは結合速度であり、kは解離速度である。相対Kは、hIGFBP−2のK/hIGFBP−2変異体のKに等しい。
Figure 0004559222
プロテアーゼ分析
変異体結合蛋白質を、材料と方法で記述した分析法でプロテアーゼ感受性について分析した。我々はまず、切断型変異体Des(114〜170)Hisを解析し、T84、HT29、CaCO(すべての結腸癌細胞)およびPC3(前立腺癌細胞系)を含む多くのならし培地でプロテアーゼ抵抗性を観察した。表4は、どの細胞系が使用されたか、プロテアーゼ活性の相対量(ゲルの観察からの定性量)およびどのならし培地が切断型変異体をもはや切断できないプロテアーゼを含有していたかについての概略を示す。
表4.蛋白質加水分解活性を有するならし培地の供給源として用いられた細胞系のリスト。細胞系は、癌の種類別にグループ分けされている。定性的なスコアが各細胞系に与えられ、hIGFBP−2とのインキュベーションで明らかになる蛋白質加水分解活性の量を示している(中央の列)。hIGFBP−2の切断型(Des(114〜170)His hIGFBP−2)においては、hIGFBP−2と比較してならし培地による切断からの保護という結果が得られており、このことは右側の列に示されている。
Figure 0004559222
重要なことに、T84細胞系ならし培地ではかなりの量の容易に検出可能なプロテアーゼ活性があった(図5Aと5B)。切断型変異体は、この培地での蛋白質加水分解に対して明らかに抵抗性であった。hIGFBP−2の蛋白質加水分解は、PC3ならし培地でも容易に検出され、切断型変異体は、この培地による蛋白質加水分解に対してやはり抵抗性であった(図5A)。他の細胞系では、蛋白質加水分解活性がより低く、プロテアーゼ抵抗性の検出が比較的困難であった(例、LIM1215)。他の細胞系では、切断型変異体は明らかに蛋白質加水分解された(図5B)。
これらの結果は、各細胞系は異なる群のプロテアーゼを産生することを強調している。どのプロテアーゼがT84およびPC3培地においてhIGFBP−2を切断しているかは不明である。T84培地の切断産物は、C末端残基に特異的な抗体によって検出されたことから、hIGFBP−2のC末端断片に対応する。我々は、T84ならし培地内で他の変異体をプロテアーゼ抵抗性について分析した。これらの残基は114〜170切断型の外にあるので、どれ1つとして蛋白質加水分解に抵抗性ではなかったことは驚くことではなく、このことは切断がK180、K181、K227、K234、K237では発生しないことを示している。
ヘパリン結合
我々は、通常使用されるヘパリン結合のモデル系を用いてマトリックス結合を解析した。我々は、BIAcoreを用いてヘパリン結合を解析した。予備的データは、K234A変異がヘパリン結合を5倍低減し(図8)、K180A、K181A変異がヘパリン結合に大きな効果を有することを示している。このデータは、おそらく2つのヘパリン結合部位がIGFBP−2にあることを示唆している。
表5.hIGFBP−2およびK234AHis IGFBP−2のヘパリン結合親和性が表面プラズモン共鳴によって測定された。データをBIA評価ソフトウェア3.0を用いて解析し、Langmuir 1:1結合モデルに適合させた。解離定数(K)はk/kの計算から決定された。ここで、kは結合速度であり、kは解離速度である。
Figure 0004559222
HT−29結腸直腸細胞の増殖
本検定は、HT−29結腸直腸癌細胞が5mMブチレート中でアポトーシスに至ることを示している。IGF−Iの添加は、細胞をブチレート誘発アポトーシスから、投与量依存性の態様で救済する。IGFBP−2の増量は、細胞をブチレート誘発アポトーシスから救済するIGF−Iの能力を、IGFをIGF受容体から隔離することによって阻害する。変異体Des(114〜170)とDes(114〜170)K180A K181Aは、IGF−Iの作用の阻害においてより有効である。この分析は、Des(114〜170)とDes(114〜170)K180A K181Aとの間にほとんど差異がないことを示し、最大の利点が、プロテアーゼ切断部位の除去によってその分子に与えられる蛋白質加水分解への抵抗性であることを示唆している。K180AおよびK181Aの位置の変異によっても、さらなる蛋白質加水分解からの保護や細胞外マトリックスとの相互作用の阻害が可能となるだろう。しかし、この分析の条件下では、Des(114〜170)とDes(114〜170)K180A K181Aとの間に有意の差異を検出することは不可能である。
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哺乳動物発現ベクターpXMT2(Rathjenら、(1990);Whyattら、(1993))から構成されたhIGFBP−2発現ベクターの模式図。コリシンE1複製起点(ori)とβ−ラクタマーゼアンピシリン耐性遺伝子(Amp)は大腸菌において選択と増殖を可能にする。IGFBP−2 cDNAの哺乳動物発現は、アデノウィルス主要後期プロモータ(MLP)によって駆動される。ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子は選択のために存在する。6ヒスチジンタグがIGFBP−2 cDNA配列の3'末端にコードされている。 精製されたhIGFBP−2と変異体は12%トリシンSDSポリアクリルアミドゲルで分離された。蛋白質はクマシーブルーで染色された(サイプロルビーで染色されたDes(114〜170)His hIGFBP−2を除く)。すべての変異体は、分子サイズ標準(Novex Broad range)との比較から推定される予測サイズで移動した。副次的な破壊産物がこの特定のK234AHis調製物において検出された。 リンカードメインによって結合した保存されたN−およびC−システインドメインを示すhIGFBP−2と切断型hIGFBP−2の模式図。公知のジスルフィド結合(横白色縞で示される)および残基番号が上に示されている。潜在的な切断およびECM部位も同定されている。 IGF−Iに結合するhIGFBP−2と変異体のBIAcore解析。ヒトIGFBP−2(濃度3.1、6.25、12.5、25および50nMで)をバイオセンサ表面(70レゾナンスユニットのhIGFBP−2)において300秒間(t=150秒から)結合させ、その後900秒間解離させた。リアルタイム結合は応答単位(response units)で測られる。質量移動(mass transfer)の影響を最小にするために30μl/分の流速で速度論的調査を行った。IGF−Iにより被覆されたバイオセンサ表面は、結合サイクルの間に10mMHClで再生処理された。各結合曲線について、対照表面(蛋白質の結合無し)を用いて得られた応答を差し引いた。 癌細胞によるならし培地内での蛋白質加水分解に対する切断型hIGFBP−2の感受性の解析。切断型hIGFBP−2とhIGFBP−2は、a)T84結腸癌およびb)PC3前立腺癌の培地に、37度で0、3もしくは24時間曝露した。サンプルは、10%トリシンゲル上のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、ニトロセルロースに移した。hIGFBP−2と切断産物は抗IGFBP−2ポリクローナル抗体で検出した(左)。hIGFBP−2は34kDaへ移動し、一方でDes(114〜170)Hisは20kDaへ移動する。二量体はhIGFBP−2調製物中に存在する。蛋白質加水分解断片は14から20kDaの大きさの範囲に分布している。ブロット上に示されたバンドの密度は、NIH画像プログラムと、グラフで示された未切断または切断hIGFBP−2の量とを用いて定量された(右)。 癌細胞によるならし培地内での蛋白質加水分解に対する切断型hIGFBP−2の感受性の解析。切断型hIGFBP−2とhIGFBP−2は、c)DU145およびd)LNCaP前立腺癌細胞系の培地に、37度で0、3もしくは24時間曝露した。サンプルは、10%トリシンゲル上のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、ニトロセルロースに移された。hIGFBP−2と切断産物は抗IGFBP−2ポリクローナル抗体で検出した(左)。hIGFBP−2は34kDaで移動し、一方でDes(114〜170)Hisは20kDaで移動する。二量体がhIGFBP−2調製物内に存在する。蛋白質加水分解断片はサイズ14から20kDaの間に分布している。ブロット上に示唆されたバンドの密度は、NIH画像プログラムと、グラフで示された未切断または切断hIGFBP−2の量とを用いて定量された(右)、および Cell−Titre−Glo検定(Promega)によって測定されたHT−29結腸直腸細胞の増殖。アポトーシスを5mMブチレートで誘発し、細胞生存を促進するIGF−1の能力を測定した。天然IGFBP−2と、DES(114〜170)と、DES(114〜170) K180A K181Aとを、ブチレートの存在下で様々な濃度(0、0.1、0.3および0.65nM)でIGF−1で処理した細胞に添加した。結果は、培地のみの存在下での増殖のパーセンテージで表す。Des(114〜170)とDes(114〜170)K180A K181Aは、それぞれIGF−IとIGF−IIに対して2分の1の親和性を有するので、それに応じてこれら処理のための増殖パーセンテージを調節した。

Claims (16)

  1. 少なくともIGF1型受容体と同等の親和性でIGF−IまたはIGF−IIと結合することができる改変ヒトIGFBP−2分子であって、ヒトIGFBP−2分子における114−170のアミノ酸が欠失している点でヒトIGFBP−2分子とは異なるものである改変ヒトIGFBP−2分子。
  2. ヒトIGFBP−2分子における180、181、227、234、および237のうち1つまたは複数の位置にあるリシンが中性アミノ酸または酸性アミノ酸に置換されている、請求項1に記載の改変ヒトIGFBP−2分子
  3. 180、181、227、234、および237のうち1つまたは複数の位置にあるリシンがアラニンに置換されている、請求項に記載の改変ヒトIGFBP−2分子。
  4. 180および181の位置にあるリシンがアラニンに置換されている、請求項に記載の改変ヒトIGFBP−2分子。
  5. 234の位置にあるリシンがアラニンに置換されている、請求項に記載の改変ヒトIGFBP−2分子。
  6. 180、181および234の位置にあるリシンがアラニンに置換されている、請求項に記載の改変ヒトIGFBP−2分子。
  7. 少なくともIGF1型受容体と同等の親和性でIGF−IまたはIGF−IIと結合することができる改変ヒトIGFBP−2分子をコードする、単離された核酸分子であって、前記改変ヒトIGFBP−2分子が、ヒトIGFBP−2分子における114−170のアミノ酸が欠失している点でヒトIGFBP−2分子とは異なるものである、核酸分子。
  8. 前記ヒトIGFBP−2分子における180、181、227、234、および237のうち1つまたは複数の位置にあるリシンが中性アミノ酸または酸性アミノ酸に置換されたものである、請求項7に記載の単離された核酸分子
  9. 前記改変ヒトIGFBP−2分子が、180、181、227、234、および237のうち1つまたは複数の位置にあるリシンがアラニンに置換されたものである、請求項に記載の単離された核酸分子。
  10. 前記改変ヒトIGFBP−2分子が、180および181の位置にあるリシンがアラニンに置換されたものである、請求項に記載の単離された核酸分子。
  11. 前記改変ヒトIGFBP−2分子が、234の位置にあるリシンがアラニンに置換されたものである、請求項に記載の単離された核酸分子。
  12. 前記改変ヒトIGFBP−2分子が、180、181および234の位置にあるリシンがアラニンに置換されたものである、請求項に記載の単離された核酸分子。
  13. 請求項〜請求項12のいずれか一項に記載の核酸分子を保持する宿主細胞。
  14. 癌性細胞集団のIGFに媒介された増殖を低減する方法であって、前記細胞集団を請求項1からのいずれか一項に記載の改変ヒトIGFBP−2分子に接触させる工程を含む方法(ヒトに対する治療を除く)。
  15. 前記癌性細胞が前立腺、結腸および乳癌細胞からなる群から選択される、請求項14に記載の癌性細胞集団のIGFに媒介された増殖を低減する方法。
  16. 前記癌性細胞が結腸癌細胞である、請求項14に記載の癌性細胞集団のIGFに媒介された増殖を低減する方法。
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