JP4558428B2 - 単分散粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
従来、マイクロカプセルや単質材料からなる単分散粒子の湿式法による製造方法としては、「マイクロカプセル−その機能と応用」(発行所 日本規格協会、発行日 1991年3月20日)、「最新マイクロカプセル化技術」(発行所 (株)総合技術センター、発行日1990年4月20日)等に紹介されているとおり、界面沈積法(例えば、相分離法や、液中乾燥法、融解分散冷却法、懸濁被覆法)や、界面反応法(例えば、界面重合法や、in situ重合法、液中硬化被覆法、界面反応法)等の二種以上の液体間における反応による方法が、代表的な方法として知られている。
そこで、これら従来の湿式法による問題点を解決する方法として、単分散粒子を構成する部材の一部を含む液体からなる被吐出液体中に、単分散粒子を構成する部材の残りを含む液体を、前記被吐出液体中に浸漬した吐出口を介し、振動を利用して吐出し、両液体間の反応により単分散粒子を製造する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
この方法は、吐出孔より吐出された液体が、ほぼ一定の大きさの液滴となり、被吐出液体中に供給されるため、理論的には、均一な単分散粒子が製造できると考えられた。
上記問題を発生させる要因は、主として二つ存在すると考えられる。まず一つは、振動によって生じる液滴が、振動数や、滴下する液体の種類、気温、その他の滴下条件により、大きくばらつくため、生成した粒子の均一性が劣ることである。二つ目は、サテライト粒子の発生にある。サテライト粒子は、目的とする粒子径よりも小さな粒子径の粒子であり、その発生は、液滴を2つに切り離すときに、液滴同士が引き延ばされ、細く引き延ばされた部分が分離されるときに生じるものである。また、液滴が、吐出口の周辺にまとわりつく現象も、目的外粒子の発生を促進する要因となっている。このような過程で発生したサテライト粒子は、その用途によっては、単分散粒子の機能を著しく減殺するものであり、このような問題を解決する手段が求められていた。
即ち、本発明は、連続相としての第1液体中に、前記第1液体と反応し且つ前記第1液体よりも粘度の高い第2液体を、電気熱変換素子を吐出駆動源として有するチャンバーの吐出孔から、液滴で吐出し、前記第1液体中で単分散粒子を製造する方法において、該吐出孔が前記第1液体中に浸漬された状態で、前記第2液体が、該第1液体中に吐出されることを特徴とする方法に関するものである。
本発明は、分散相となる第2液体の粘度が連続相である第1液体の粘度より高いことを特徴(特徴1)としている。
更に、本発明は、好ましくは、前記吐出孔を形成し且つ第1液体と接している隔壁の表面に対する第2液体の接触角が、該面に対する第1液体の接触角より大きいことを特徴(特徴3)としている。
第2液体を、連続相である第1液体中に吐出するとき、第2液体に圧力を加え、吐出を行う場合、通常、サテライト粒子が生じやすくなる。本発明では、分散相となる第2液体の粘度が連続相である第1液体の粘度より高いこと(特徴1)により、吐出をスムーズにし、サテライト粒子の発生を抑制し、均一な単分散粒子を形成することができる。
また、本発明では、分散相となる第2液体が、吐出孔が前記連続相である第1液体中に浸漬された状態で、吐出される(特徴2)ので、分散相を連続相に滴下する際に、大気の影響を受けることがなく、吐出した液滴の大きさの変化が少なく、均一な液滴となり、その結果、均一な単分散粒子を形成する効果が得られる。
本発明において、接触角は、液滴法(例えば、協和界面化学(株)製の接触角系CA−X型)にて測定される。
具体的には、例えば、ポリアミンや、ポリオール等の活性水素含有化合物と、酸クロライド、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂等の化合物との組み合わせや、ゼラチンカチオン化合物と、アラビヤゴムアニオン化合物との組み合わせ、メラミンとホルマリン又は尿素との組み合わせ、その他「最新マイクロカプセル化技術」(発行所 (株)総合技術センター、発行日 1990年4月20日)等に紹介されている各種組み合わせが可能である。他の条件を満たす限り、どちらを第1液体とするか、第2液体とするかは、当業者には容易に理解される。
本発明において、両液体の組み合わせとしては、液体である化合物同士の組み合わせは、もちろん、固形である化合物であっても、該化合物を溶解もしくは安定に分散する溶媒と併用して、液体状態にしたものの組み合わせでもよい。また、これら液体は、必要に応じ、両液体を少なくとも一方側に前記反応を促進する反応促進剤や遅延する反応遅延剤、接触角を調整する界面活性剤、顔料、染料、導電剤、防腐剤等の各種機能を付与する添加剤を含ませることも可能である。また、本発明において、両液体間での反応は、液体同士全体が反応する必要はなく、それぞれの液体を構成する一部成分同士が反応し、それにより単分散粒子を形成するものであってもよい。
本発明において、均一な単分散粒子を製造するために、液体の粘度は重要であり、第1液体の粘度よりも第2液体の粘度の方を高くする必要がある。即ち、第1液体と第2液体の粘度は、前者が、例えば、10mPa・s以下、好ましくは、5mPa・s以下、更に好ましくは、2mPa・s以下であることが適当であり、後者は、それよりも高いもの、好ましくは2倍以上、更に好ましくは3〜10倍高いものが適当である。
第1液体の粘度が、前記粘度範囲よりも高い場合、吐出された第2液体が第1液体の深部中に入りにくくなる傾向にある。また、第2液体の粘度が、第1液体の粘度と同一か、又は、それよりも低い場合、吐出がスムーズに行われなくなり、サテライト粒子の発生が生じ易くなり、そのため、均一な単分散粒子が形成しにくくなる。
図1は、バブルジェット(登録商標)式インクジェットプリンターにおけるバブルジェット(登録商標)式インクジェットチャンバーとしてのヘッド1を、連続相である第1液体中2に浸漬した状態で、隔壁4に形成された吐出孔6を介して、第2液体3を液滴5で吐出する概略説明図である。また、図2は、図1におけるヘッド1の断面図である。
図1では、ヘッド1個の場合の例を示しているが、必要に応じて、連接した複数のヘッドを使用し、同時に複数の液滴を形成する方式であってもよい、また、図1では、隔壁4の面の向きが、重力方向に対し水平である場合について示しているが、必ずしも水平である必要はない。
また、第2液体の揮発成分として、水以外の溶剤を選択する場合、その溶剤の発火点が、上記加熱条件における加熱温度より低いことが、安全上の問題からみて好ましい。更に、第2液体の揮発成分と、第1液体の相溶性が低いことが好ましい。相溶性が高いと、単分散粒子を得ることが困難となり易い。
吐出孔6の口径は、例えば、0.1〜500μm、好ましくは、0.2〜400μmであることが適当であり、0.1μmより小さいと、ノズルつまりが生じやすくなり、一方500μmを超えると、均一な吐出制御が困難となり、均一な液滴を形成しにくくなる傾向にある。
連続相に接している側の隔壁の面の素材としては、例えば、セラミックや、ガラス、各種金属などの無機質材料や、各種プラスチックなどの有機質材料が好適に上げられる。
表面処理する方法としては、前記接触角条件を満たすように、例えば、各種樹脂を塗布する方法や、金属もしくはその酸化物を蒸着する方法、樹脂や金属からなるフィルムを貼り付ける方法、素材表面をレーザー光や紫外光等の照射処理、プラズマ放電処理、酸処理等で改質させる方法等が代表的なものとして挙げられるが、これら方法に限定されるものではない。
一般的に、分散相となる第2液体と、連続相の第1液体との関係が、W/O(オイル イン ウォーター)であれば、連続相に接している側の隔壁の面の素材は、シリコーン樹脂や、フッ素樹脂等で親油性にすることが適当である。一方、O/Wであれば、素材表面をレーザー光、紫外光の照射処理、プラズマ放電処理、酸処理、酸化チタン、シリカ、アルミナなどの蒸着処理、或いはポリビニルアルコール等の親水性樹脂等にて、親水性とするのが適当である。
接触角は、前述の通り、連続相に接している側の隔壁の面に対する前記分散相となる第2液体の接触角が、前記表面に対する連続相である第1液体の接触角より大きいことが好ましいが、例えば、前記隔壁表面に対する第2液体の接触角θが、0°<θ<180°、好ましく、10°<θ<180°であり、隔壁表面に対する第1液体の接触角θが、0°<θ<150°であり、且つ、前者の接触角が後者の接触角より10°以上、特に好ましくは、70°以上大きいものが望ましい。
分散相となる第2液体〔水とポリビニルアルコール[質量平均分子量500]と、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタンからなる、表1に示す割合の混合物〕を、上記エッジシューター型気熱変換素子を駆動源としたチャンバーの吐出孔〔直径25μm〕から、表1に示す素材の隔壁を有する該チャンバーの吐出孔を、連続相である第1液体〔エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)とキシレン[沸点144℃]とジクロロメタン[沸点40℃]又はシクロヘキサノン[沸点155℃]の表1に示す割合の混合物〕に浸漬させた状態で、熱変換素子の温度を200℃とし、吐出速度100滴/秒にて、吐出させた。吐出終了後、その分散液を70℃まで加温し、8時間保持した。
得られた分散液の画像は、顕微鏡(BX51:OLYMPUS(株)製)を通しCCDカメラ(DXC−990MD:SONY(株)製)で撮影し、コンピューターに取り込み、WinRoof(三谷商事(株)製)を用い基準スケール(OB‐M 1/100:OLYMPUS(株)製)によるキャリブレーションを行った後、1つ1つの単分散粒子の粒径分布を測定した(粒子の測定個数は200以上)。その結果を表1の下段に示した。
注3)粒径分布の変動係数CV(CV値小さいほど粒径均一)
(評価)◎:CV=10%以下 、○:CV=11〜20%
:CV=21〜30%、×:CV=30%越える
2 第1液体
3 第2液体
4 隔壁
5 液滴
6 吐出孔
7 熱素子
Claims (4)
- 連続相としての第1液体中に、前記第1液体と反応し且つ前記第1液体よりも粘度の高い第2液体を、電気熱変換素子を吐出駆動源として有するチャンバーの吐出孔から、液滴で吐出し、前記第1液体中で単分散粒子を製造する方法において、該吐出孔が前記第1液体中に浸漬された状態で、前記第2液体が、該第1液体中に吐出され、前記第2液体の粘度が、第1液体の3〜10倍であることを特徴とする方法。
- 前記吐出孔を形成し且つ前記第1液体と接触している隔壁の表面に対する前記第2液体の接触角が、該表面に対する前記第1液体の接触角より大きい、請求項1に記載の方法。
- 前記第2液体の接触角θが、10゜<θ<180゜であり、かつ、前記第2液体の接触角θが、前記第1液体の接触角θより10゜以上大きい、請求項2に記載の方法。
- 前記吐出孔の口径が、0.1〜500μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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