JP4556031B2 - チェーンカバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ローラチェーンに装着してチェーンの上部と両側を覆い、同時にチェーン上にフラットな搬送面を作り出すチェーンカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
首記のチェーンカバーとしては、特開平8−121542号公報や特開平8−231017号公報に示されるものなどがある。
【0003】
前者の公報のチェーンカバーは、チェーンの上部を覆うトップカバー(ウェブ部)の両側にチェーンの側部を覆うサイドカバー(対向側壁)を設け、このサイドカバーに各2個設けた軸穴にチェーンの隣り合う連結ピンを嵌めてチェーンに装着し、トップカバーに加わる搬送物の荷重を2本の連結ピンで受けるようにしている。
【0004】
また、後者の公報のチェーンカバーは、トップカバーをチェーンの1ピッチに対応する長さにしてそのトップカバーの両側部に、チェーンの連結ピンと同心の凸形円弧、及び凹形円弧の前後の縁を有するサイドカバーを垂下して設け、このサイドカバーの内面にチェーンのピンリンクプレートと連結ピンを係止させる溝を設け、その溝の形を変えた2種類のカバーブロックを交互に並べてチェーンに装着するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−121542号公報のチェーンカバーは、トップカバーに加わる荷重をチェーンの連結ピンで受けるので、荷重受けの安定化のために軸穴に対する連結ピンの挿入代を大きくする必要があり、そのため、装着対象のローラチェーンが特殊品になり、ローラチェーンに対するカバーの着脱もし辛くなる。
【0006】
これに対し、特開平8−231017号公報のチェーンカバーは、チェーンの1ピッチに対応する形状にしているため、上記の不具合がほぼ解消される。しかしながら、これは形状の異なる2種類のカバーブロックを組合わせて使用するのでコスト面で不利になり、カバーブロックの管理、着脱等も面倒になる。また、チェーンのローラリンクとピンリンクを大きく屈曲させてカバーブロックを着脱する必要があるので、スプロケットホイール間に架け渡したチェーンを取外さずに傷んだカバーを交換すると言ったことが行えず、使用面でも不便なところがある。
【0007】
さらに、同公報のチェーンカバーは、チェーンの屈曲規制を完全に無くし得るものにはなっておらず、カバー使用時のチェーンのターン半径が無使用時に比べて大きくなる。
【0008】
この発明は、上記の不具合を無くすことを課題としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の課題を解決するため、この発明においては、長さがチェーンピッチと略等しい平板のトップカバーと、そのトップカバーの両側部に垂下して設けるサイドカバーとでチェーンカバーを構成し、ローラチェーンの側部を覆う前記サイドカバーに、チェーンの連結ピンを係止させる軸穴と、その軸穴と同心の凸形円弧の前縁と、その前縁に対応させた凹形円弧の後縁と、前記軸穴よりも下側の内面を裾拡がりの方向に傾斜させるテーパガイド面を備えさせ、
ローラチェーンへの装着状態で、チェーンの上部を覆うトップカバーがチェーンのローラリンクに支えられるようにした。そしてさらに、前記サイドカバーの内面に前記軸穴を取り巻く小面積の凸部を設け、左右のサイドカバーの前記凸部間寸法をチェーンのピンリンクプレートの外面間寸法とほぼ等しくしたのである。
【0010】
このチェーンカバーは、サイドカバーの下面をトップカバーと平行なストレート面にし、前記軸穴の中心から下面までの距離と、下面の軸穴中心からの後方への延び出し量をそれぞれチェーンピッチの約1/2にすると好ましい。
【0012】
【作用】
この発明のチェーンカバーは、トップカバーをチェーンのローラリンクで支えて搬送物の荷重をローラリンクで直接受けるので、軸穴に対するチェーンの連結ピンの挿入代を大きくする必要がない。カバーの外れ止めに必要な係止力が得られるだけの挿入代があればよく、ピンリンクプレートからの連結ピンの突出量が小さい汎用(標準品の)ローラチェーンにも問題無く使用できる。
【0013】
また、軸穴に対する連結ピンの挿入代が小さくてよいので、チェーンに対する着脱も容易になる。
【0014】
さらに、軸穴に連結ピンを係止させる構造にしたので、カバーの種類をひとつに統合でき、カバーの着け外しもきつい規制を受けずに行える。
【0015】
このほか、軸穴の中心からトップカバーと平行な下面までの距離と、下面の軸穴中心からの後方への延び出し量をチェーンピッチの約1/2に設定したものは、カバーによるチェーンの屈曲規制が緩和され、カバー装着後もチェーンの各部を90度の角度で屈曲させることが可能になる。
【0016】
また、サイドカバーの内面に小面積の凸部を設けたので、チェーンに対するサイドカバー内面の接触面積が小さくなってカバーとの摩擦によるチェーンの屈曲抵抗増が小さく抑えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3に、この発明のチェーンカバーの実施形態を示す。
【0018】
図のチェーンカバー1は、合成樹脂の成形品であるが、金属で形成することもできる。
【0019】
このチェーンカバー1は、平板のトップカバー2の両側部に、垂下したサイドカバー3を一体に連設し、トップカバー2でチェーンの上部を、左右のサイドカバー3でチェーンの両側部を各々覆うようにしている。
【0020】
トップカバー2の長さLは、チェーンピッチP(図2参照)とほぼ等しい。
【0021】
サイドカバー3には、ローラチェーン11の連結ピン12を係止させる軸穴4と、その軸穴と同心の凸形円弧の前縁5と、前縁5に対応させた凹形円弧の後縁6と、軸穴4よりも下側の内面を裾拡がりの方向に傾斜させるテーパガイド面7を設けている。軸穴4は、カバーの製造のし易さを考えて貫通穴にしたが、非貫通の穴であってもよい。
【0022】
また、ここでは、説明の便宜上、凸形円弧の縁5を前縁、凹形円弧の縁6を後縁と称するが、両縁には実際には前後の関係はない。
【0023】
図3に示すように、サイドカバー3の高さHは、ローラチェーン11の高さとほぼ等しい。また、サイドカバー3の下面8は、トップカバー2と平行なストレート面にし、軸穴4の中心から下面までの距離hをチェーンピッチPの約1/2にしている。さらに、後縁6と下面8の交差部にできる鋭角コーナ部を除去して軸穴4の中心からの下面8の後方への延び出し量lもチェーンピッチPの約1/2にしている。lを1/2Pよりも大きくして(l+h)の値をPより若干大き目に設定すると、カバー相互の拘束によるカバーの外れ止め効果も得られて好ましい。
【0024】
このほか、サイドカバー3の内面に、軸穴4を取り巻く小面積の凸部9を設け、左右のサイドカバーの凸部間寸法Wをチェーンのピンリンク13の幅W1 とほぼ等しくしている。凸部9は、サイドカバー3の内面から僅かに(例えば0.5mm以下)突出していればよい。
【0025】
図1(c)の10は、トップカバー2の前方にせり出させて設けた補助覆い部である。この補助覆い部10は好ましいものであって、チェーンのターン部において前後のチェーンカバー間に生じる隙間を塞ぐ働きをする。
【0026】
このように構成したチェーンカバー1は、図2に示すようにローラチェーン11に対し、同一形状のものを同一向きに整列させて1本の連結ピンに1個のカバーが係止するように装着する。その作業は、門型形状になっているチェーンカバー1をローラチェーン11上に跨がせ、カバー1を下向き、或いは斜め下向きに押込む方法で行う。その押込み時に、テーパガイド面7と連結ピン12の接触点に外向きの分力が発生してその力でサイドカバー3が押し広げられ、連結ピン12が軸穴4に嵌まるとサイドカバー3が自己の弾性で復元して連結ピンとの係止状態が維持される。従って、装着はいたって簡単である。また、汎用ローラチェーンはリンクプレートからの連結ピンの突出量が小さいため、サイドカバー3を大きく押し広げる必要が無く、押込みに要する力も小さくて済む。
【0027】
図2は、カバー装着後のチェーンの側面を表している。この状態では、図3に示すように、トップカバー2がチェーンのローラリンクプレートに接し、トップカバーに加わる搬送物の荷重がローラリンク14に受け止められる。また、チェーンに対するサイドカバー3の接触が凸部9の部分でのみ起こる。
【0028】
図4は、チェーンカバー1を図1に示す形状にしたこと及び図1の寸法h、lをチェーンピッチの約1/2としたことにより、カバー装着後もチェーンの各ヒンジ部での90°曲げが許容されることを示している。これにより、カバー装着後もチェーンの最小ターン半径が大きくならない。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明のチェーンカバーは、トップカバーをローラリンクで直接支えるようにしたので、チェーンの連結ピンを軸穴に深く挿入する必要が無く、安価な汎用ローラチェーンに装着でき、カバーの着け外しも容易になる。また、カバーを2種類に分ける必要がなく、コスト面でも有利になる。
【0030】
さらに、チェーンを大きく屈曲させずに着脱することができるので、スプロケットホイール間に架け渡したチェーンを外さずにチェーンのターン部において傷んだカバーを交換することも可能になる。
【0031】
このほか、実施形態として挙げたものは、カバー装着後もチェーンの最小ターン半径が大きくならず、搬送装置の大型化を回避できる。
【0032】
また、サイドカバーの内面の凸部がピンリンクプレートに接してチェーンとサイドカバーの摩擦が軽減されるので、チェーンの屈曲性も損われず、カバー装着による動力損失の増加も防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)この発明のチェーンカバーの実施形態を示す斜視図
(b)同上のチェーンカバーの正面図
(c)同上のチェーンカバーの縦断断面図
【図2】ローラチェーンに装着した状態の側面図
【図3】図2のIII −III 線部の断面図
【図4】カバー装着後のチェーンを折り重ねた状態を示す側面図
【符号の説明】
1 チェーンカバー
2 トップカバー
3 サイドカバー
4 軸穴
5 凸形円弧の前縁
6 凹形円弧の後縁
7 テーパガイド面
8 下面
9 凸部

Claims (2)

  1. 長さがチェーンピッチと略等しい平板のトップカバーと、そのトップカバーの両側部に垂下して設けるサイドカバーとから成り、
    ローラチェーンの側部を覆う前記サイドカバーに、チェーンの連結ピンを係止させる軸穴と、その軸穴と同心の凸形円弧の前縁と、その前縁に対応させた凹形円弧の後縁と、前記軸穴よりも下側の内面を裾拡がりの方向に傾斜させるテーパガイド面を備えさせ、
    ローラチェーンへの装着状態で、チェーンの上部を覆う前記トップカバーがチェーンのローラリンクに支えられるようにしたチェーンカバーであって、
    前記サイドカバーの内面に前記軸穴を取り巻く小面積の凸部を設け、左右のサイドカバーの前記凸部間寸法をチェーンのピンリンクプレートの外面間寸法とほぼ等しくしたチェーンカバー。
  2. 前記サイドカバーの下面を前記トップカバーと平行なストレート面にし、前記軸穴の中心から下面までの距離と、下面の軸穴中心からの後方への延び出し量をそれぞれチェーンピッチの約1/2にした請求項1に記載のチェーンカバー。
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