JP4554038B2 - 触媒コンバータ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の排気ガスの浄化に用いられる触媒コンバータ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、触媒コンバータは、保持筒と、この保持筒の内周面に保持材を介して挿入された触媒担体とから構成されており、触媒担体は、保持筒の内周面に保持材を介して所定の押圧力で押し付けられている。これにより、触媒担体が保持筒に固定されるとともに、保持材の内部を排気ガスが通過したり、保持材が排気ガスによって徐々に持ち去られてしまう等の不都合が防止されている。
【0003】
従来、上記のように構成された触媒コンバータを製造する場合には、保持筒に触媒担体を保持材を介して挿入した後、保持筒をスピニング加工によって縮径する。これにより、保持筒の内周面に触媒担体を保持材を介して押圧固定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
保持筒をスピニング加工すると、加工時に保持筒が振動する。このため、触媒担体の一部に過大な圧力が作用することがあり、その部分から触媒担体が割れるおそれがあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、この発明に係る触媒コンバータは、保持筒と、この保持筒の内周面に環状の保持材を介して押圧固定された触媒担体とを備えた触媒コンバータにおいて、上記触媒担体の外周面をテーパ状に形成し、上記保持筒の内周面に上記触媒担体を上記保持材を介して圧入固定し、上記保持筒の上記触媒担体が取り付けられる部位の内周面並びに上記保持材の内周面及び外周面が上記触媒担体の外周面と同一のテーパ角度を有していることを特徴としている
また、この発明に係る触媒コンバータの製造方法は、保持筒の内周面に触媒担体が環状の保持材を介して押圧固定されるなる触媒コンバータを製造するに際し、上記触媒担体の外周面をテーパ状に形成し、上記保持筒に上記触媒担体を上記保持材を介して圧入し
上記保持筒の上記触媒担体が取り付けられる部位の内周面並びに上記保持材の内周面及び外周面が上記触媒担体の外周面と同一のテーパ角度を有していることを特徴としている。
この場合、上記触媒担体の圧入加重が所定の範囲の大きさになるまで上記触媒担体を上記保持筒に圧入することが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明に係る触媒コンバータの参考例を示している。この参考例の触媒コンバータ1は、保持筒2及び触媒担体3を備えている。
【0007】
保持筒2は、両端が開口した断面円形の金属製の筒であり、その軸線方向の中央部には、装着部21が形成されている。装着部21の外周面及び内周面は、いずれもテーパ状をなし、しかも同一のテーパ角を有している。装着部21の外周面は、一定の外径を有する円柱面にしてもよい。保持筒2の両端部には、装着部21から内周側へ向って屈曲する屈曲部22、中央側から端部側へ向うにしたがって小径になるデフューザー部23、及び一様な直径を有するストレート部24が、装着部21から端部側へ向って順次形成されている。
【0008】
触媒担体3は、周知のように、多孔質のセラミックまたはハニカム構造体からなるものであり、その内部には、触媒たる貴金属の微小片または貴金属と卑金属との各微小片(図示せず)を混合したものが設けられている。触媒担体2の外径は、全長にわたって一定になっている。触媒担体3の外周には、保持材4が装着されている。保持材4は、無膨張マット等を環状に形成してなるものであり、全長にわたって一定の厚さを有している。保持材4は、触媒担体2の両端部を除く外周面に装着されているが、外周面全体に装着してもよい。
【0009】
触媒担体3は、保持筒2の装着部21の内周に保持材4を介して圧入されている。したがって、装着部21の内周面が保持材4に押圧接触し、保持材4が触媒担体3に押圧接触している。そして、装着部21と保持材4との間、及び保持材4と触媒担体3との間に作用する摩擦抵抗により、触媒担体3が保持筒2に保持材4を介して押圧固定されている。この場合、装着部21がテーパ状をなしているのに対し、保持材4の外径が一様であるから、装着部21の内周面による保持材4(触媒担体3)に対する押圧力は、装着部21の小径側で大きく、大径側で小さくなる。しかし、装着部21のテーパ角度を適宜に選択することにより、保持材4に対する押圧力は、そのいずれの端部においても適正値の範囲内になるように調節されている。
なお、触媒担体3の両端部は、屈曲部23,23に対して離れているが、接触させるようにしてもよい。そのようにすれば、触媒担体3を保持筒2により一層確実に位置固定することができる。
【0010】
次に、この発明に係る触媒コンバータの製造方法を説明するに、まず参考例である上記触媒コンバータ1の製造方法を説明する。
触媒コンバータ1を製造する場合には、図2に示すように、保持筒2の素材として装着部21と同一のテーパ角度を有する筒体5を準備する。筒体5は、全体がテーパ状に形成されていてもよいが、触媒担体3及び保持材4が圧入される中央部(装着部21及びその近傍部分)だけがテーパ状に形成され、両端部がストレートな筒状に形成されていてもよい。また、図4に示すように、筒体5の大径側の端部に中央側から端部側へ向かうにしたがって大径になる案内部51を形成してもよい。案内部51は、筒体5の他の部分より大きなテーパ角度を有しており、その大径側の端部の内径は、触媒担体3に装着された保持材4の外径より大きくなっている。また、筒体5の全長は、保持筒2とほぼ同一であってもよいが、後述する理由により長くしておくのが望ましい。
【0011】
触媒担体3及び保持材4は、触媒コンバータ1に用いられるものと同一のものが用いられる。触媒担体3の外周には、保持材4を予め装着しておく。そして、触媒担体3を筒体5にその大径側から挿入する。この場合、図4に示すように、筒体5の大径側の端部に案内部51を形成しておくと、保持材4が筒体5の端面に引っ掛かることなく、スムースに挿入することができる。触媒担体3を筒体5に挿入すると、保持材4が筒体5の内周面に接触するようになり、その後は触媒担体3が保持材4を介して筒体5に圧入される。そして、図3に示すように、触媒担体3が筒体5の中央部に達すると、触媒担体3が筒体5に保持材4を介して所定の押圧力で固定される。
【0012】
筒体5の内径寸法、触媒担体3の外径及び保持材4の厚さは、触媒担体3が筒体5の中央部まで圧入されたときに筒体5の内周面による触媒担体3に対する押圧力が所定の大きさになるうように、予め設定されている。しかし、それらには製造誤差がある。このため、触媒担体3が筒体5の中央に達したときには、触媒担体3に対する筒体5の押圧力が所定の値より大きくなることもあり、小さくなることもある。そこで、触媒担体3の圧入に際しては、圧入荷重を計測するのが望ましい。そして、圧入荷重が予め設定された所定の荷重に達したときに、圧入を終了するようにすれば、触媒担体3を筒体5にほぼ一定の押圧力で固定することができる。
【0013】
触媒担体3の筒体5への圧入が完了したら、触媒担体3から両端側へ延びる筒体5の両端部に屈曲部22、デフューザー部23及びストレート部24を形成する。これは、例えばスピニング加工等によって行うことができる。これにより、筒体5が保持筒2になり、触媒コンバータ1が製造される。
【0014】
上記のように、触媒担体3、保持材4及び筒体5には製造誤差があるため、触媒担体3を筒体5の中央部に圧入したときに圧入が完了することなく、その手前で完了したり、中央部を過ぎてから圧入が完了することもある。その場合には、筒体5の大径側の端部と小径側の端部とのいずれかの端部が、所定の長さ(触媒担体3の圧入が筒体5の中央部で完了したときにおける筒体5の触媒担体3から突き出る両端部の長さ)より短くなってしまう。このような場合にも、筒体5の両端部に屈曲部22、デフューザー部23及びストレート部24を確実に形成することができるよう、筒体5の全長は必要な長さ(保持筒2の長さ)より予め長くしておくのが望ましい。勿論、所定の寸法より長くなった端部については、余分な部分を切り落とせばよい。
【0015】
この参考例の触媒コンバータ1では、触媒担体3を保持筒2(筒体5)に保持材4を介して圧入しているから、触媒コンバータ1の製造時に保持筒2が振動することがない。したがって、触媒担体3の一部に過度に大きな荷重が作用するのを防止することができる。よって、触媒担体3が割れるのを確実に防止することができる。
【0016】
次に、この発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態においては、上記の参考例と異なる構成についてのみ説明することとし、同様な部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0017】
図5は、この発明の第1の実施の形態を示す。この実施の形態の触媒コンバータ1Aにおいては、触媒担体3の外周がテーパ状に形成されており、そのテーパ角度は、保持筒2の装着部21と同一のテーパ角度に設定されている。また、保持材4の厚さが全長にわたって一定であるので、保持材の外周も同一のテーパ角度でテーパ状に形成されている。この触媒コンバータ1Aによれば、保持材4に対する保持筒2の押圧力を、保持材4の各部において同一にすることができる。
【0018】
図6に示す触媒コンバータ1Bにおいては、装着部21が内外径共に一定であるストレートな筒状に形成されている。触媒担体3は、テーパ状に形成されている。保持材4は、その厚さが全長にわたって一定であるので、その外周はテーパ状になっている。
【0019】
触媒コンバータ1Bを製造する場合には、触媒コンバータ1を製造する際の筒体5に代えて、図7に示すように、装着部21と同一の内径を有するストレートな円筒状をなす筒体5Aが用いられる。筒体5Aの内径dは、保持材4の小径側端部の外径D1より小径で、触媒担体3の小径側端部の外径D2より大きく設定されている。筒体5Aの端部には、図4に示す筒体5と同様の案内部51を形成するのが望ましい。そして、触媒担体3を筒体5Aに保持材4を介して圧入した後、筒体5Aの両端部に屈曲部22、デフューザー部23及びストレート部24を形成する。
【0020】
また、図8はこの発明に係る触媒コンバータの他の参考例の製造方法を示すものであり、この製造方法においては、保持材4の厚さが一端から他端へ向かって漸次薄くなっている。それによって、保持材4の外周面がテーパ状に形成されている。また、ストレートな筒体5A及び一定外径を有する触媒担体3が用いられている。筒体5Aの内径dは、保持材4の小径側端部の外径D1より小径で、触媒担体3の外径D2より大きく設定されている。
【0021】
なお、この発明は上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、保持筒2全体を一体に形成しているが、装着部21と、屈曲部22、デフューザー部23及びストレート部24とを別体に形成してよい。その場合には、装着部21に対応する筒体に触媒担体3を保持材4を介して圧入固定した後、屈曲部22、デフューザー部23及びストレート部24が一体に形成されたものを筒体の両端部に固定すればよい。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、触媒コンバータの製造時に触媒担体が割れるのを確実に防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る触媒コンバータの参考例を示す断面図である。
【図2】 図1に示す触媒コンバータを製造するための製造方法を示す図であって、保持筒の素材たる筒体と保持材が装着された触媒担体とが圧入前の状態で示されている。
【図3】 筒体に触媒担体を圧入した状態を示す断面図である。
【図4】 図1に示す触媒コンバータの製造方法において用いられる筒体の他の例を示す断面図である。
【図5】 この発明に係る触媒コンバータの第1の実施の形態を示す断面図である。
【図6】この発明に係る触媒コンバータの第2の実施の形態を示す断面図である。
【図7】 図6に示す触媒コンバータを製造するための製造方法を説明するための図である。
【図8】 この発明に係る触媒コンバータの他の参考例を製造するための製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1A 触媒コンバータ
1B 触媒コンバータ
2 保持筒
3 触媒担体
4 保持材
5 筒体
5A 筒体
21 装着部

Claims (3)

  1. 保持筒と、この保持筒の内周面に環状の保持材を介して押圧固定された触媒担体とを備えた触媒コンバータにおいて、
    上記触媒担体の外周面をテーパ状に形成し、上記保持筒の内周面に上記触媒担体を上記保持材を介して圧入固定し
    上記保持筒の上記触媒担体が取り付けられる部位の内周面並びに上記保持材の内周面及び外周面が上記触媒担体の外周面と同一のテーパ角度を有していることを特徴とする触媒コンバータ。
  2. 保持筒の内周面に触媒担体が環状の保持材を介して押圧固定されてなる触媒コンバータを製造するに際し、上記触媒担体の外周面をテーパ状に形成し、上記保持筒に上記触媒担体を上記保持材を介して圧入し
    上記保持筒の上記触媒担体が取り付けられる部位の内周面並びに上記保持材の内周面及び外周面が上記触媒担体の外周面と同一のテーパ角度を有していることを特徴とする触媒コンバータの製造方法。
  3. 上記触媒担体の圧入加重が所定の範囲の大きさになるまで上記触媒担体を上記保持筒に圧入することを特徴とする請求項に記載の触媒コンバータの製造方法。
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