JP4178817B2 - 内燃機関用排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気系には、触媒コンバータやディーゼルパティキュレート捕捉装置やNOx吸蔵・浄化装置などの排気浄化装置が配置される。
特開2000−34918は、従来の触媒コンバータを開示しており、そこでは、無機繊維を含む保持マットを担体の外周面に巻き付け、保持マットを厚さ方向に圧縮した状態で保持マットを介して担体をケース内に保持している。
従来の内燃機関の排気浄化装置11では、排気ガスの背圧や振動などにより、担体が排気ガス流れ方向後方に位置ずれを起こさないように、図5、図6に示すように、保持マット13を巻き付けた担体12をケース14に圧入した後、ケース14の担体の上流側、下流側部分をスピニング加工により絞ってコーン部15、16を形成するときに、ケース14の担体軸方向端部に対応する部分を外周からスピニング加工により絞って段差部17、18を形成し、保持マット13の担体軸方向端部に対応する部分を、担体軸方向に部分的に圧縮して他の一般部13bより高密度化した高密度部13aを形成して、保持力を上げる対策をとる場合があった。通常、マット厚さは自由状態で25mmであったものをケース圧入前にバインダを混合して8mmにし、それをケースに圧入して約4mmにするが、段差部17、18形成後は段差部17、18内周部位で約2mmに圧縮される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図5、図6の保持力増加対策では、挿入後ケースに段差部を形成するので、組み付け時の担体位置のばらつきにより、狙いとするマットの高密度位置を出しにくい。とくに、複数担体を軸方向に直列配置したタンデム型排気浄化装置では問題となる。
また、圧入後の段差部形成を無くすために、圧入時に既に全体が高密度化されている保持マットを使用すると、ケースへの圧入が困難となる、担体のエッジ欠けまたは割れが生じる、マット材料が多く必要になってコストアップを招く、等の問題を生じる。
本発明の目的は、保持マット巻き付け担体のケースへの挿入が容易な、内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 無機繊維を含む保持マットを担体の外周面に巻き付け前記保持マットを厚さ方向に圧縮した状態で前記保持マットを介して前記担体をケース内に保持した内燃機関の排気浄化装置において、前記保持マットに、前記排気浄化装置軸方向の少なくとも1箇所において周方向全周にわたって、他の部分である一般部よりも密度を高くした高密度部分が部分的に設けられており、前記保持マットの前記高密度部分は前記保持マットの排気浄化装置軸方向端部から所定距離離れていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
(2) 前記ケースのうち前記担体を保持している部分は前記排気浄化装置軸方向にストレート形状を有する(1)記載の内燃機関の排気浄化装置。
(3) 前記高密度部分の密度は前記一般部の密度の1.5〜3倍の密度とされている(1)記載の内燃機関の排気浄化装置。
(4) 前記保持マットの前記高密度部分と前記一般部とは互いに一体に成形されている(1)記載の内燃機関の排気浄化装置。
(5) 前記内燃機関の排気浄化装置は、前記担体が前記ケース内に排気浄化装置軸方向に複数配置されたタンデム型排気浄化装置である(1)記載の内燃機関の排気浄化装置。
(6) 前記タンデム型排気浄化装置の複数の前記担体は、上流側の担体と下流側の担体とが、排気浄化装置軸芯まわり方向に45°±25°の範囲内の所定角度だけ、担体のハニカムの目の方向を互いにずらされている(5)記載の内燃機関の排気浄化装置。
【0005】
上記(1)〜(3)の内燃機関の排気浄化装置では、保持マットが部分的に高密度部分を有するので、マットの繊維の粉化により面圧が低下した時でも高密度部分で担体を保持でき、担体の排気ガス流れ方向後方への移動を阻止できる。
上記(2)の内燃機関の排気浄化装置では、ケースの担体保持部分がストレート形状を有したままのため、担体圧入後スピニングで縮径段差部を形成する従来の場合のような工程の追加・精密管理が不要である。
上記(3)の内燃機関の排気浄化装置では、高密度部分の密度が一般部の密度の1.5倍以上のため担体保持効果が保たれ、3倍以下とされているので高密度部分形成時の繊維の破損を少なくできマットの耐久性が保たれる。
上記(1)の内燃機関の排気浄化装置では、高密度部分が保持マットの排気浄化装置軸方向端部から所定距離離れているので、保持マットを巻き付けた担体をケースに圧入するときの挿入性が従来の高密度部分をもたないマットと同程度に良好に維持される。
上記(4)の内燃機関の排気浄化装置では、保持マットの、高密度部分と一般部とが互いに一体に成形されるので、製造、取扱いが容易である。
上記(5)の内燃機関の排気浄化装置は、タンデム型排気浄化装置の場合であるが、担体に対する高密度部分の位置が巻付け時から出ているので、挿入後にケースを部分的に位置を狙って縮径して高密度部分を作成する場合に比べて、高密度部分の位置が安定しかつ精度が出ている。
上記(6)の内燃機関の排気浄化装置は、上流側の担体と下流側の担体とが、排気浄化装置軸芯まわり方向に45°±25°の範囲内の所定角度だけ、担体のハニカムの目の方向を互いにずらされているので、上流側の担体を出た排気ガスが下流側の担体に流入する時の流れ抵抗が増え、ミキシングが良くなり、排気浄化性能向上に寄与できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の内燃機関の排気浄化装置を図1〜図4を参照して、説明する。
本発明の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気系に配置された、触媒コンバータやディーゼルパティキュレート捕捉装置やNOx吸蔵・浄化装置などの何れかの排気浄化装置からなる。
【0007】
本発明の内燃機関の排気浄化装置1は、ケース4と、ケース4内に配置された担体2と、担体2の外周に巻き付けられて担体2とともにケース1内に圧入され担体2をケース4から支持する保持マット3と、を有する。
ケース4は、円筒型でマット巻き担体を圧入するタイプのもの、半割りのクラムシェルタイプのもの、マット巻き担体のまわりにケースを巻き付けて形成するターニキットタイプのもの、の何れであってもよい。図示例は円筒状ストレトケースの場合を示す。
【0008】
ケース4のうち内側に担体2を保持している部分は排気浄化装置1の軸方向(担体2の軸方向と同じ)にストレート形状を有する。したがって、ケース4は、従来のような、マット巻き付け担体を圧入した後にスピニングにより縮径されたマット圧縮用の段差部(図5の17、18)を持たない。ケース4の排気ガス流れ方向上流側にコーン部5が位置し、ケース4の排気ガス流れ方向下流側にコーン部6が位置する。コーン部5、コーン部6は担体をケースに挿入後スピニングによりテーパ状に成形されてもよいし、あるいは予めコーン状に形成しておいたテーパ管を、マット巻き付け担体を圧入した後のケースに溶接付けしてもよい。図1の例では、ケース4からコーン部5、6への移行部を縮径しているが、この縮径部は、マット3から外れた位置での縮径であって、従来のマット圧縮用の段差部(図5の17、18)ではなく、あっても無くてもよい。
【0009】
保持マット3には、図1およびマット展開図である図2に示すように、マットの排気浄化装置軸方向の少なくとも1箇所においてマットの周方向全周にわたって、他の部分である一般部3bよりも密度を高くした高密度部分3aが、排気浄化装置軸方向に部分的に設けられている。図1の例では、高密度部分3aが2本設けられている場合を示す。2本の高密度部分3aのうち1本は担体の軸方向上流側端部の近傍に設けられており、他の1本は担体の軸方向下流側端部の近傍に設けられており、2本の高密度部分3aの間の部分と2本の高密度部分3aより軸方向外側の部分は一般部3bとなっている。保持マット3の排気浄化装置軸方向長さは、たとえば約100〜150mmであり、高密度部分3aの排気浄化装置軸方向長さ(幅)は1本あたり約10〜35mmである。
【0010】
マットはアルミナ・シリカ系の複合マットで、アルミナ・シリカ系繊維が約30%、マイカが約60%、残り約10%がバインダーのマットである。アルミナ・シリカ系マットは、繊維が折れやすく、面圧を大きく設定できないので、担体圧入後にケースに縮径部を作ってマットを圧縮することは精密な管理が必要である。縮径部を作らない場合、ケース内に担体を止めにくい。そのため、圧入前に部分的に高密度部分3aを作っておいてそれを繊維を折らないようにケースに圧入して、従来(図5)と同程度にケース内に担体を止める。この場合、マット全体を高密度にしないで、疎密をつけることによって、触媒保持面圧に疎密ができ、保持性能が向上し、排気ガスの背圧、脈動、車両の振動による担体の後退が阻止されるとともに、排気ガスのマット内吹き抜け防止、シール性向上がはかられる。
【0011】
高密度部分3aの密度は一般部3bの密度の1.5〜3倍の密度とされている。一般部3bの密度γb は、図5の従来の、ケース段差部17、18で圧縮された部分の間の、ケース段差部17、18で圧縮されていないマット部分の密度程度である。高密度部分3aの密度γa は、一般部3bの密度γb の1.5〜3倍の密度、さらに望ましくは、一般部3bの密度γb の1.5〜2倍の密度とされている。「1.5倍」の根拠はそれより小だと疎密効果による担体保持作用増加が多く望めなくなることであり、「3倍」の根拠はそれより大だと密度増加時にマットの繊維が破損するおそれがあることであり、「2倍」の根拠はそれ以下だと密度増加時にマットの繊維が破損しないことである。
【0012】
図2に示すように、保持マット3の高密度部分3aは保持マット3の排気浄化装置軸方向端部から所定距離a離れている。所定距離aは2mm以上である。したがって、マット端部から軸方向に2mm以上内側に入った部位から密度アップする。
これによって、保持マット3を巻き付けた担体をケース4に圧入するときの挿入性が向上する。具体的には、マット圧入初期は一般部3bの密度γb のため、円筒状ストレートケース4に問題なく挿入できる。その後に高密度部分3aが来ても、一般部3bから高密度部分3aに円滑に移行でき、高密度部分3aの圧入には支障をきたさない。
一般部3bから高密度部分3aに円滑に移行できるように、保持マット3の高密度部分3aと一般部3bとは互いに一体に成形されていることが望ましい。
【0013】
ケース4がクラムシェルタイプケースやターニキットタイプケースの場合は、圧入の必要がないので、高密度部分3aを保持マット3の排気浄化装置軸方向端部から所定距離a離す構造はとらなくてもよく、高密度部分3aを保持マット3の排気浄化装置軸方向端部に位置させてもよい。また、保持マット3の高密度部分3aと一般部3bとは互いに一体に成形しなくてもよく、高密度部分3aと一般部3bと別々に形成して隣接して配置してもよい。
【0014】
図3は、本発明の内燃機関の排気浄化装置1を担体2がケース4内に排気浄化装置軸方向に複数配置されたタンデム型排気浄化装置に適用した場合を示している。複数の担体は互いに同種の担体、たとえば触媒担体であってもよいし、あるいは異種の担体、たとえば上流側担体がNOx吸収材、下流側担体が三元触媒担体であってもよい。
タンデム型排気浄化装置において、各担体2の外周面に巻付けられた各保持マット3に高密度部分3aと一般部3bとを形成し、各担体2のケース4内後退を防止する。
各保持マット3の排気浄化装置軸方向長さは、たとえば約100〜150mmであり、高密度部分3aの排気浄化装置軸方向長さ(幅)は1本あたり約10〜35mmである。
隣接担体間にはスペースを設けてガスのミキシングをはかることが望ましい。このスペースの排気浄化装置軸方向長さ(幅)は約20mmである。このスペース対応部にケース4に酸素センサなどを設けることができる。
【0015】
図4(図3のA視とB視を並べて表示した図)に示すように、タンデム型排気浄化装置において、複数の担体2の隣接担体において、上流側の担体と下流側の担体とが、排気浄化装置軸芯まわり方向に45°±25°(20°〜70°)の範囲内の所定角度だけ、担体のハニカムの目の方向を互いにずらされている。図示例はハニカムの目の形状が四角形の場合を示したが、ハニカムの目の形状は四角形に限るものではなく、たとえば六角形であってもよい。
担体のハニカムの目の方向を互いにずらすことによって、上流側の担体を流出した排気ガスが下流側の担体にそのまま流入しにくくなり、抵抗が増えるので、スペースにおける排気ガスのミキシングが良好になる。これによって、スペースに酸素センサを配置して排気浄化コントロールをする場合に、制御精度が向上する。
【0016】
【発明の効果】
請求項1〜3の内燃機関の排気浄化装置によれば、保持マットが部分的に高密度部分を有するので、マットの繊維の粉化により面圧が低下した時でも高密度部分で担体を保持でき、担体の排気ガス流れ方向後方への移動を阻止でき、さらに、排気ガスの保持マット吹き抜けを防止することができる。
請求項2の内燃機関の排気浄化装置によれば、ケースの担体保持部分がストレート形状を有しているので、担体圧入後スピニングで縮径段差部を形成する従来の場合のように段差形成の工程、精密管理が不要となり、生産性が向上する。
請求項3の内燃機関の排気浄化装置によれば、高密度部分の密度が一般部の密度の1.5倍以上のため担体保持効果が保たれ、3倍以下とされているので高密度部分形成時の繊維の破損を少なくできマットの耐久性を維持できる。
請求項1の内燃機関の排気浄化装置によれば、高密度部分が保持マットの排気浄化装置軸方向端部から所定距離離れているので、保持マットを巻き付けた担体をケースに圧入するときの挿入性を、従来の高密度部分をもたないマットと同程度に、良好に維持できる。
請求項4の内燃機関の排気浄化装置によれば、保持マットの、高密度部分と一般部とが互いに一体に成形されるので、製造、取扱いが容易である。
請求項5の内燃機関の排気浄化装置によれば、タンデム型排気浄化装置に適用すると、担体に対する高密度部分の位置がマット巻付け時から出ているので、挿入後にケースを部分的に位置を狙って縮径して高密度部分を作成していた従来の場合に比べて、高密度部分の位置が安定しかつ精度が出ている。
請求項6の内燃機関の排気浄化装置によれば、上流側の担体と下流側の担体とが、排気浄化装置軸芯まわり方向に45°±25°の範囲内の所定角度だけ、担体のハニカムの目の方向を互いにずらされているので、上流側の担体を出た排気ガスが下流側の担体に流入する時の流れ抵抗が増え、ミキシングが良くなり、排気浄化性能向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例の内燃機関の排気浄化装置の断面図である。
【図2】 図1の内燃機関の排気浄化装置の保持マットの展開図である。
【図3】 本発明を適用したタンデム型の内燃機関の排気浄化装置の断面図である。
【図4】 図3のA視とB視を並べて示した担体の正面図である。
【図5】 従来の内燃機関の排気浄化装置の断面図である。
【図6】 図5の内燃機関の排気浄化装置の保持マットの展開図である。
【符号の説明】
1 内燃機関の排気浄化装置
2 担体
3 保持マット
3a 高密度部
3b 一般部
4 ケース
5、6 コーン部
Claims (6)
- 無機繊維を含む保持マットを担体の外周面に巻き付け前記保持マットを厚さ方向に圧縮した状態で前記保持マットを介して前記担体をケース内に保持した内燃機関の排気浄化装置において、前記保持マットに、前記排気浄化装置軸方向の少なくとも1箇所において周方向全周にわたって、他の部分である一般部よりも密度を高くした高密度部分が部分的に設けられており、前記保持マットの前記高密度部分は前記保持マットの排気浄化装置軸方向端部から所定距離離れていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
- 前記ケースのうち前記担体を保持している部分は前記排気浄化装置軸方向にストレート形状を有する請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記高密度部分の密度は前記一般部の密度の1.5〜3倍の密度とされている請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記保持マットの前記高密度部分と前記一般部とは互いに一体に成形されている請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記内燃機関の排気浄化装置は、前記担体が前記ケース内に排気浄化装置軸方向に複数配置されたタンデム型排気浄化装置である請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記タンデム型排気浄化装置の複数の前記担体は、上流側の担体と下流側の担体とが、排気浄化装置軸芯まわり方向に45°±25°の範囲内の所定角度だけ、担体のハニカムの目の方向を互いにずらされている請求項5記載の内燃機関の排気浄化装置。
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