JP4553284B2 - 掘削方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボーリング孔の掘削作業、あるいは機械工作の穿孔加工等において、断面形状が非円形の孔(通し孔あるいは先止まり孔)を掘削する方法及び装置に関する。
より詳細には、本発明は、例えば地盤等へのボーリング孔の掘削、あるいは機械工作での穿孔加工の際に、断面形状が正N角形状(N個の各頂角が等角で、各辺長が等しい形状)となる様に穿孔する掘削方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
先ず、ボーリング孔の掘削作業に関連して説明すると、動力を用いて土を掘削する際には、掘削ビットを回転するのが最も有効な掘削方法の一つである。その際に、掘削の形状は当然円形となる。
しかし、掘削目的によっては円形でない方が望ましい場合もある。例えば、地下鉄その他の鉄道に利用するトンネルにおいては、四角形断面の方が掘削量に無駄がない(図51及び図52参照)。
【0003】
また、垂直ボーリングによって改良するべき地盤における施工部分の全面に亘って掘削を行って地盤改良を行う場合においては、図53に示す様に、円形掘削では重複する部分が多い。これに対して、例えば断面形状が六角形のボーリング孔掘削であれば、図54に示す様に、全く重複掘削をすること無く、施工すべき箇所の全面に亘って掘削をすることが可能である。そして、重複掘削による無駄なコストを削減する事が出来るので、施工コストを大幅に節減することが出来る。
【0004】
この様に、非円形断面の掘削には種々のメリットがある。しかし、非円形断面を有する掘削を穿孔するのに有効な技術は、現時点ではさほど提供されてはいない。
【0005】
また、ボーリング孔掘削における上記の問題と同様な問題が、機械加工などで母材に通し孔或いは先止まり孔を切削加工或いは研削加工する場合においても存在する。
そして、非円形断面を有する通し孔或いは先止まり孔を穿孔するのに有効な技術が現時点では提供されてはいない点も同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した様な実状に鑑み提案されたものであり、ボーリング掘削において非円形の断面形状、特に正多角形の断面形状を有するボーリング孔の掘削を可能とし、且つ、非円形の断面形状を有する通し孔或いは先止まり孔を切削加工或いは研削加工によって穿孔することを可能にした掘削方法及び装置の提供を目的としている。
【0007】
【知見】
発明者は研究の結果、次の様な技術的事項を見出した。
(A) 半径「(N−1)2r」の円に内接する正(N−1)角形を、その円の中心(N−1角形の重心)を軸に角速度「ω」で自転させつつ、半径「r」の円周上を角速度「(1−N)ω」で公転させる時、この正(N−1)角形の掃過範囲は、半径「N(N−2)r」の円に外接する正N角形状曲線に囲まれた範囲となる。
そして、上記の正(N−1)角形を、軸心(重心)から頂点を結ぶ長さ「L=(N−1)2 r」の線分とし、角速度「ω」で自転させつつ半径「r」の円周上を角速度「(1−N)ω」で公転させると、上記と同様に、正(N−1)角形の頂点に当たる線分の先端は、半径「N(N−2)r」の円に外接する正N角形状の曲線を画き、線分はその内側を掃過する。
(B) また、この線分を、半径「r」との比率が「(N−1)2 」より小さく、すなわち、線分「L」の先端が、前記半径「(N―1)2r」の円に内接する正(N−1)角形の頂点より内側(重心寄り)に入った線分とすれば、その先端の軌跡は、N個の頂点を有してその頂点間を重心側に湾曲した曲線で連結した形状となり、線分はその囲まれた範囲を掃過する。
(C) 一方、半径「(N+1)2r」の円に内接する正(N+1)角形を、その円の中心を軸に角速度ωで自転させつつ、半径「r」の円周上を角速度「(N+1)ω」で公転させる時には、この正(N+1)角形の掃過範囲は、半径「N(N+2)r」の円に外接する正N角形状の曲線に囲まれた範囲となる。
そして、上記と同様に正(N+1)角形を、重心から頂点に至る線分「L」としても、正(N+1)角形を掃過することができる。
(D) また、この線分「L」を、半径「r」との比率が「(N+1)2 」より小さく、すなわち、線分の先端が、前記半径「(N+1)2r」の円に内接する正(N+1)角形の頂点より内側(重心寄り)に入った線分とすれば、その先端の軌跡は、N個のラウンド(R)を有する頂点と、その頂点間を曲線で連結した閉曲線を形成し、線分はその囲まれた範囲を掃過する。
なお、上記知見及び本明細書において、角速度に付された正負の符号は、正符号のついた角速度と負符号のついた角速度とは、回転方向が互いに反対方向である事を示すために付されている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した知見に基づいて創作されたものである。
本発明の掘削方法は、頂角数がN個の概略N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、正(N−1)角形状の輪郭を有する掘削ビットをボーリング孔の中心と同心で半径「r」の円周上を公転させつつ、角速度「ω」で自転せしめ、前記正(N−1)角形状の掘削ビットは半径(N−1)2rの円に内接する輪郭を有しており、前記正(N−1)角形状の掘削ビットの公転角速度は「(1−N)ω」となり、前記正(N−1)角形状の掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴としている(請求項1)。
【0009】
また、本発明の掘削装置では、頂角数がN個の正N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、正(N−1)角形状の掘削ビットを備え、該掘削ビットは半径(N−1)2rの円に内接する輪郭を有しており、ボーリング孔の中心と同心で半径「r」の円周上を公転しつつ角速度「ω」で自転し、その公転角速度は「(1−N)ω」となる様に構成されており、前記正(N−1)角形状の掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率が2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値であることを特徴としている(請求項7)。
【0010】
このように構成された本発明の掘削方法及び掘削装置によれば、例えば上記の比率が(N−1)2 である場合には、前記した知見(A)に基づき、正(N−1)角形状の掘削ビットが前記線分に相当して正N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掃過することが出来、そして、その掃過範囲は、正(N−1)角形状の掘削ビットによって掘削される。
すなわち、正(N−1)角形状の掘削ビットが、半径「N(N−2)r」の円に外接する正N角形状の範囲を掃過し、以って、正N角形状のボーリング孔が掘削されるのである。
【0011】
次に、上記本発明の掘削方法では、頂点を結ぶ辺が(実質的に)直線である正N角形の断面形状を有するボーリング孔を掘削するものであるが、ここで、例えば摩擦杭の様に断面積に比較して断面の周長(断面形状の輪郭の長さ)を長くしたい場合がある。
【0012】
その様な要請に応えるためには、前記知見(B)に基づき、前記比率を、(N−1)2 よりも小さく、(1/4)(N−1)2 以上とすれば、掘削ビットの掃過範囲の断面形状が、N個の頂点を有し、且つ、曲線(ボーリング孔の中心線側に湾曲する湾曲線)から成る単一の閉じた領域から構成される形状となる。
従って、摩擦杭等の施工に適した断面形状、すなわち断面積に対して輪郭線の周長が長い形状の断面を有するボーリング孔を掘削することが出来る。
【0013】
ここで、前記比率が(1/4)(N−1)2 よりも小さいと、掘削されたボーリング孔の断面積が複数の閉じた領域から構成される形状となってしまう。その様な断面形状は、通常のボーリング孔掘削工事では需要が無い。すなわち、複数の閉じた領域から構成される断面形状は、施工現場の要請に対して応えるものではない。
【0014】
一方、上記の比率が(N−1)2 を多少超えたとしても、ボーリング孔掘削工事の施工上は問題は生じない。その様な場合、N角形の断面形状ではなく、円形に近い断面形状となる。
しかし、上記比率が余りに大きいと、掘削されたボーリング孔の断面形状は概略円形となってしまうので、非円形断面を有する掘削を行う実益に乏しい結果となる。
従って、上記比率が2(N−1)2 を超えない様に設定することが好ましい。
【0015】
また本発明の掘削方法は、頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、ロッドに「N−1」本以下のブレードを放射状に配置して構成したブレード状掘削ビットを用い、該ブレード状掘削ビットのロッドを掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドから半径方向に離隔して設け、該ロッドを中心にブレード状掘削ビットを自転しつつ前記ボーリングロッドの周囲を公転せしめ、前記ブレード状掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲を自転する角速度が「ω」である場合に当該掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲を公転する角速度は「(1−N)ω」となり、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴としている(請求項3)。
【0016】
これに対応する本発明の掘削装置は、頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、ロッドに「N−1」本以下のブレードを放射状に配置して構成したブレード状掘削ビットとを有しており、該ブレード状掘削ビットのロッドは前記ボーリングロッドから半径方向に離隔して設けられ且つその周囲を自転しつつ公転する様に構成されており、前記ブレード状掘削ビットが前記ロッドの周囲を自転する角速度が「ω」である場合に当該掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲を公転する角速度は「(1−N)ω」となり、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値としている(請求項9)。
【0017】
このように構成された本発明の掘削方法及び装置によれば、例えば上記の比率が(N−1)2 である場合には、前記した知見(A)に基づき、ブレード状掘削ビットが前記線分に相当して正N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掃過することが出来、そして、その掃過範囲は、掘削ビットによって掘削される。すなわち、掘削ビットは、半径「N(N−2)r」の円に外接する正N角形状の範囲を掃過して正N角形状のボーリング孔が掘削される。
【0018】
上記本発明の掘削方法では、頂点を結ぶ辺が(実質的に)直線である正N角形の断面形状を有するボーリング孔を掘削するものであるが、ここで、例えば摩擦杭の様に断面積に比較して断面の周長(断面形状の輪郭の長さ)を長くしたい場合がある。
その様な要請に応えるためには、前記知見(B)に基づき、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離「r」と当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離「L」との比率、或いはモニタがボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離「r」と地盤掘削用の流体の到達距離「L」との比率を、「(N−1)2 」よりも小さくすれば、掘削ビットの掃過範囲の断面形状が、N個の頂点を有し、且つ、曲線(ボーリング孔の中心線側に湾曲する湾曲線)から成る単一の閉じた領域から構成される形状となる。
従って、摩擦杭等の施工に適した断面形状、すなわち断面積に対して輪郭線の周長が長い形状の断面を有するボーリング孔を掘削することが出来る。
【0019】
この場合においても、前記比率が(1/4)(N−1)2 よりも小さいと、掘削されたボーリング孔の断面積が複数の閉じた領域から構成される形状となってしまい、掘削工事の実情にそぐわない断面形状となってしまう。
【0020】
一方、上記の比率が(N−1)2 を多少超えても、掘削工事の施工上は、通常、問題は無く、N角形状よりも円形に近い断面形状に掘削出来る。しかし、上記比率が余りに大きいと、掘削されたボーリング孔の断面形状は概略円形となってしまい、非円形断面を有する掘削を行う実益が無くなる。
そのため、上記比率は2(N−1)2 を超えないことが好ましい。
【0021】
なお、上記ブレード本数は、(N−1)本を放射状に、その先端が正(N−1)角となるよう円周方向等間隔に配置するのが好ましい。また、(N−1)本未満の場合には、それぞれ正(N−1)角のいずれかの頂角に向けて配置するのが好ましい。
【0022】
本発明において、正(N−1)角形状の掘削ビット、ブレード状ビット、掘削用流体の何れを使用する場合においても、掘削される掘削の断面形状は、正(N−1)角形が偏心回転によって創成される包絡線であって、掘削される正N角形の各頂角には丸みが付き、また、各辺は厳密な意味において直線とは言い得ない。しかし、実用上、本発明により掘削される掘削の断面形状は、正N角形と考えて何ら問題は無い。
【0023】
そして本発明の掘削方法は、頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、該ボーリングロッドに設けられ且つその周囲を回転する様に構成された掘削用モニタと、該掘削用モニタの周縁部に設けられ且つ該モニタの周囲を回転しつつ掘削用流体を半径方向に噴射する「N−1」本以下のノズルとを有し、前記ノズルが前記モニタの周囲を回転する角速度が「ω」である場合に前記モニタが前記ボーリングロッドの周囲を回転する角速度は「(1−N)ω」となり、前記モニタが前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する前記掘削用流体の到達距離の比率を2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴としている(請求項5)。
【0024】
係る方法に対応する本発明の掘削装置は、頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、該ボーリングロッドに設けられ且つその周囲を回転する様に構成された掘削用モニタと、該掘削用モニタの周縁部に設けられ且つ該モニタの周囲を回転しつつ掘削用流体を半径方向に噴射する「N−1」本以下のノズルとを有し、前記ノズルが前記モニタの周囲を回転する角速度が「ω」である場合に、前記モニタが前記ボーリングロッドの周囲を回転する角速度は「(1−N)ω」となり、前記モニタが前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する前記掘削用流体の到達距離の比率を2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴としている(請求項11)。
【0025】
係る構成を具備する本発明の掘削方法及び装置によれば、前記比率を「(N−1)2 」とした場合には、前記知見(A)に基づき、噴射された掘削用流体が、前記線分に相当してN個の頂点を有する正N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掘削することができる。
【0026】
また、前記比率を「(N−1)2 」より小さくすれば、前記知見(B)に基づき、前記掘削用流体が掘削する範囲はN個の頂点を有し、かつ曲線からなる単一の閉じた領域から構成された概略N角形状の断面を有するので、表面積が大きいことを要求される摩擦杭等の施工に適した断面形状となる。
【0027】
この場合においても、前記比率が(1/4)(N−1)2 よりも小さいと、掘削されたボーリング孔の断面積が複数の閉じた領域から構成される形状となり、ボーリング孔の断面積の制御が困難となり、掘削工事の実情にそぐわない断面形状となってしまう。
【0028】
一方、上記の比率が(N−1)2 を多少超えても、掘削工事の施工上は、N角形状というよりも円形に近い断面形状となることを除けば、通常、問題は無いと考えられる。しかし、上記比率が余りに大きいと、掘削されたボーリング孔の断面形状は概略円形となってしまい、非円形断面を有する掘削を行う実益が無くなる。そのため、上記比率は2(N−1)2 を超えないことが好ましい。
【0029】
本発明の掘削方法は、頂角数がN個の概略N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、正(N+1)角形状の輪郭を有する掘削用モニタをボーリング孔の中心と同心で半径「r」の円周上を公転させつつ、角速度「ω」で自転せしめ、前記正(N+1)角形状の掘削用モニタは半径「(N+1)2 r」の円に内接する輪郭を有しており、前記正(N+1)角形状の掘削用モニタの公転角速度は「(N+1)ω」となり、前記正(N+1)角形状の掘削用モニタの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削用モニタの自転中心から先端までの距離の比率を2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴としている(請求項2)。
【0030】
係る方法に対応する本発明の掘削装置は、頂角数がN個の正N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、正(N+1)角形状の掘削ビットを備え、該掘削ビットは半径「(N+1)2 r」の円に内接する輪郭を有しており、ボーリング孔の中心と同心で半径「r」の円周上を公転しつつ角速度「ω」で自転し、その公転角速度は「(N+1)ω」となる様に構成されており、前記正(N+1)角形状の掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率が2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値であることを特徴としている(請求項8)。
【0031】
係る構成を有する本発明の掘削方法及び装置によれば、例えば上記比率が「(N+1)2 」となる様に設定すれば、前記知見(C)に基づき、正(N+1)角形状の掘削ビットが前記線分に相当して半径「N(N+2)r」の円に外接する正N角形状の断面形状を掃過し、その範囲(すなわち、N角形状の断面を有する範囲)を掘削して、断面N角形のボーリング孔を掘削することが出来る。
【0032】
そして、上記比率を「(N+1)2 」より小さくすれば、前記知見(D)に基づいて、正(N+1)角形状の掘削ビットの掃過範囲は丸みを持ったN個の頂点を有し曲線によって閉じた領域で構成された形状の範囲とすることが出来る。
その様な断面形状は、表面積が大きいことを要求される摩擦杭等の施工に適している。
【0033】
この場合において、前記比率が(1/4)(N+1)2 よりも小さいと、掘削されたボーリング孔の断面積が複数の閉じた領域から構成される形状となり、ボーリング孔の断面積の制御が困難となり、掘削工事の実情にそぐわなくなる恐れが存在する。
【0034】
一方、上記の比率が(N+1)2 を多少超えても、掘削工事の施工上は、N角形状というよりも円形に近い断面形状となることを除けば、通常、問題は無いと考えられる。
しかし、上記比率が余りに大きいと、掘削されたボーリング孔の断面形状は概略円形となってしまい、非円形断面を有する掘削を行う実益が無くなる。
そのため、上記比率は2(N+1)2 を超えないことが好ましい。
【0035】
また、本発明の掘削方法は、頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、ロッドに「N+1」本以下のブレードを放射状に配置して構成したブレード状掘削ビットを用い、該ブレード状掘削ビットのロッドを掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドから半径方向に離隔して設け、該ロッドを中心にブレード状掘削ビットを自転しつつ前記ボーリングロッドの周囲を公転せしめ、前記ブレード状掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲で自転する角速度が「ω」である場合に当該掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲を公転する角速度は「(N+1)ω」となり、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴としている(請求項4)。
【0036】
係る方法に対応する本発明の掘削装置は、頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、ロッドに「N+1」本以下のブレードを放射状に配置して構成したブレード状掘削ビットとを有しており、該ブレード状掘削ビットのロッドは前記ボーリングロッドから半径方向に離隔して設けられ且つその周囲を自転しつつ公転する様に構成されており、前記ブレード状掘削ビットが前記ロッドの周囲を自転する角速度が「ω」である場合に当該掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲を公転する角速度は「(N+1)ω」となり、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴としている(請求項10)。
【0037】
上述した構成を具備する本発明において、例えば前記比率を「(N+1)2 」に設定すれば、前記知見(C)に基づき、ブレード状掘削ビットが前記線分に相当して半径「N(N+2)r」の円に外接する正N角形状の断面形状を掃過し、その範囲を掘削して、断面正N角形状のボーリング孔を掘削することが出来る。
【0038】
なお、上記ブレード本数は、(N+1)本を放射状に、その先端が正(N+1)角となるよう円周方向等間隔に配置するのが好ましい。また、(N+1)本未満の場合には、それぞれ正(N+1)角のいずれかの頂角に向けて配置するのが好ましい。
【0039】
本発明において、例えば前記比率を「(N+1)2 」より小さく設定すれば、前記知見(D)に基づき、ブレード状掘削ビットは、N個の頂点を有してその頂点間を湾曲した曲線で結んだ単一の閉じた曲線内を掃過し、概略N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掘削することができる。
ここで、前記比率が「(1/4)(N+1)2 」よりも小さい場合には、ボーリング孔の断面形状は曲線から成る複数個の閉じた領域から構成されてしまう。その様な形状は、ボーリング孔掘削という需要に対して好適ではない。従って、前記比率は「(1/4)(N+1)2 」以上の数値を選択するべきである。
【0040】
一方、上記の比率が(N+1)2 を多少超えても、掘削工事の施工上は、N角形状というよりも円形に近い断面形状となることを除けば、問題は無いと考えられる。
しかし、上記比率が余りに大きいと、掘削されたボーリング孔の断面形状は概略円形となってしまい、非円形断面を有する掘削を行う意味が無くなる。
そのため、上記比率は2(N+1)2 を超えないことが好ましい。
【0041】
本発明の掘削方法は、頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、該ボーリングロッドに設けられ且つその周囲を回転する様に構成された掘削用モニタと、該掘削用モニタの周縁部に設けられ且つ該モニタの周囲を回転しつつ掘削用流体を半径方向に噴射する「N+1」本以下のノズルとを有し、前記ノズルが前記モニタの周囲を回転する角速度が「ω」である場合に前記モニタが前記ボーリングロッドの周囲を回転する角速度は「(N+1)ω」となり、前記モニタが前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する前記掘削用流体の到達距離の比率を2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴としている(請求項6)。
【0042】
係る方法に対応する本発明の掘削装置は、頂角数がN個の正N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、該ボーリングロッドに設けられ且つその周囲を回転する様に構成された掘削用モニタと、該掘削用モニタの周縁部に設けられ且つ該モニタの周囲を回転しつつ掘削用流体を半径方向に噴射する「N+1」本以下のノズルとを有し、前記ノズルが前記モニタの周囲を回転する角速度が「ω」である場合に前記モニタが前記ボーリングロッドの周囲を回転する角速度は「(N+1)ω」となり、前記モニタが前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する前記掘削用流体の到達距離の比率を2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴としている(請求項12)。
【0043】
上述した様な構成を具備する本発明によれば、例えば上記比率を「(N+1)2 」に設定すれば、前記知見(C)に基づき、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドに設けた掘削用モニタが当該ボーリングロッドの周囲を回転し、掘削用モニタの周縁部に設けられ且つ該モニタの周囲を回転するノズルから掘削用流体を噴射してその掘削する範囲は半径「N(N+2)r」の円に外接する正N角形状の範囲となる。
【0044】
そして、上記比率を「(N+1)2 」以下に設定すれば、前記知見(D)に基づき、噴射された掘削用流体は知見(D)でいう「線分」に相当し、丸みを持ったN個の頂点を有し曲線によって閉じられた領域内を掘削して正N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削することができる。
ここで、前記比率が「(1/4)(N+1)2 」よりも小さい場合には、ボーリング孔の断面形状は曲線から成る複数個の閉じた領域から構成されてしまい、ボーリング孔掘削という需要に対して好適ではない。
従って、前記比率は「(1/4)(N+1)2 」以上の数値を選択するべきである。
【0045】
一方、上記の比率が(N+1)2 を多少超えても、掘削工事の施工上は、N角形状というよりも円形に近い断面形状となることを除けば、問題は無いと考えられる。
しかし、上記比率が余りに大きいと、掘削されたボーリング孔の断面形状は概略円形となってしまい、非円形断面を有する掘削を行う意味が無くなる。
そのため、上記比率は2(N+1)2 を超えないことが好ましい。
【0046】
なお、ここで、前記ノズルは2個1対で設け、前記掘削用流体が所謂「交差噴流」を形成するのが好ましい。交差噴流であれば、掘削用流体の到達距離を極めて高精度に制御出来るからである。
【0047】
このように、本発明によれば、ブレード状の掘削ビットあるいはモニタ周縁部に設けたノズルから噴射される掘削用流体によって正多角形状の掘削が可能で、地盤に対するボーリング孔の掘削、その他の各種掘削施工に適用することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0049】
まず、図1〜図21を参照して前記知見(A)に基づいて正(N−1)角形を回転し正N角形を創成する(あるいは、正(N−1)角形状の掘削ビットにより正N角形状のボーリング孔を掘削する)方法について説明する。
図1には、各頂点を符号A、B、C、Dで示す正方形(ボーリング孔)Hをその正方形Hに内接する正三角形(掘削ビット)Tを回転して創成(掘削)する例が示されている。そして、図2〜図7には、その正三角形Tによって正四角形孔Hが順次創成される態様が示されている。
【0050】
図において、正三角形T(正(N−1)角形状の輪郭を有する掘削ビット)は、1辺が2aの正方形(ボーリング孔)Hに内接し、その重心(図心)Gが正方形Hの中心Oから半径「r」の軌道Rを反時計回りに公転しており、その回転角(公転する角度)をθで示している。そして、正三角形Tは時計回りに公転速度の1/3の速度で自転しており、その回転角(自転する角度)をφで示す。
また、正三角形Tの重心Gから頂点Pまでの距離Lは、L=a/cos30°であり、また、正方形Hと正三角形Tの重心(O、G)間距離「r」は、r=L−a=(sec30°−1)aであってこの「r」が公転軌道Rの半径となっている。
【0051】
図2は、正三角形Tの頂点Pと重心Gとを結ぶ線分LがX軸と重なった状態であって、この状態を回転角θ=0°とする。
以下、図3および図4はそれぞれθ=45°および90°の回転時を示し、正三角形Tはφ=15°および30°反対方向に回転し、その頂点Pの軌跡が正方形Hの一辺を形成している。そして、図5のθ=135°での頂角部は丸みを形成して、図6および図7のθ=180°および270°で次の辺が形成されている。同様にして正三角形Tの図示しない他の頂点で各辺が形成され、正方形Hが正方形状に形成される。
【0052】
図8は、前記図1〜図7で説明した様な正三角形(掘削ビット)Tを回転した際の頂点Pの軌跡を包絡線で表現したものである。そして、頂点Pの軌跡が正方形Hを形成するのが明示されている。なお図8において、正三角形Tの重心Gの軌跡が、符号G−Tで示されている。
ここで、図8で示されているように、創成される正方形Hは、正三角形Tの偏心回転による包絡線であり、その各頂角には丸みが付き、また、各辺は厳密な意味において直線とは言い得ない。しかし、図8で示す正方形Hの形状は、ボーリング孔の掘削においては、実用上、正方形(正4角形)と考えて問題は無い。
【0053】
また、図9には、正方形T4で正五角形H5が、そして、図10には正五角形T5で正六角形H6が創成される例が示されている。
この場合、軌道円半径「r」は、両多角形重心間距離(OG)であり、
r=a{sec(π/N)−1}/2 となる。
ただし、aは正N角形の中心Oと一辺間の距離である(図9参照)。
【0054】
上記の各例により、正(N−1)角形を偏心回転させて正N角形状が創成されることを説明したが、後記(図17〜図19)にて詳述するが、正(N−1)角形の重心(回転中心)と各頂点を結ぶ線分を回転すれば、同様にその先端は正N角形を描き、その線分をブレード状の掘削ビット(或いは掘削流体のジェット)とすれば、正多角形状のボーリング孔が掘削できることは、容易に理解できる。
図11〜図16は、正三角形状(図11)から正八角形状(図16)までのボーリング孔H3〜H8およびカッタ軸の回転中心(重心)の軌道R3〜R8を、それぞれ示している。
【0055】
次に、そのカッタによる掘削の実施形態について、図17〜図21を参照して説明する。なお、ここでは正多角形の重心位置に設けられたモニタの周縁部に、円周方向等間隔に設けたノズルから正多角形の頂点に向けジェットを噴出して掘削する例で説明するが、重心位置から放射状に頂点に伸びるブレード状の掘削カッタであっても全く同様である。
【0056】
図17〜図21では、角速度ωで半径「r」の円周上を公転し、角速度3ωで反対方向に自転して一辺の長さaの正4角形状にボーリング孔を掘削(改良体造成)する実施形態を例に説明する。
図17において、交差噴流を構成するジェットJ1、J2は単一の矢印Jで表現しており、ノズルN1、N2も点Nで表現して、図示を簡略化している。
【0057】
図17は、正方形断面を有する改良体10の造成の1過程を模式的に示す断面図であって、この図において、ノズルNの軌跡(公転軌跡)TLが構成する円の半径寸法が「r」であって、ノズルNの初期位置(図17で示す位置)の座標(x、y)は(r、0)となり、これを一般化すると次式(2)、(3)の通りになる。
x=r・cosΩt ・・・・ (2)
y=r・sinΩt ・・・・ (3)
この式(2)、(3)において、符号ΩはノズルNが図示しないモニタの周囲を回転する角速度(公転角速度)である。
なお、図17で示す初期位置において、ノズルNからのジェットJはX軸上を左方向に噴射されており、その先端は符号J−Eで示されている。
【0058】
図17において、ノズルNの公転軌跡は、1辺の長さがaの正三角形が正方形10(1辺の長さがaの正方形)に常に内接する様に移動している場合における当該正三角形の重心の軌跡に一致する。
【0059】
図18〜図21は、ジェットJによる切削の進捗を図示したものであり、符号θはノズルNの公転した角度を示している。
図18は、ノズルNが前記図17で示す位置(初期位置)に対して反時計方向にπ/2(rad)だけ公転した状態を示している。そして、ノズルNは、公転速度Ω(=3ω=(N−1)ω:N=4)の1/3の角速度「−ω」で反対方向に自転するので、そこから噴射されるジェットJは、X軸に対して平行とはならず、図18で示す様な角度(自転による回転角度)を有している。そして、ノズルNの公転及び自転によってジェットJも移動し、その先端J−Eも移動する。
その結果、図18においてハッチングを付して示す領域が切削され、地盤改良材と混合される。ここで、当該改良された領域の断面形状は、従来の円形断面を有する改良体では形成し得なかった断面形状となっている。
【0060】
この際に、切削・改良された領域(ハッチングを付して示す領域)において、点Fと点J−Eとを結ぶ線分は、Y軸と平行な直線になっている。換言すれば、ジェットJの先端は、Y軸と平行に図中の上方に移動している。
なお、符号TLは公転軌跡を示している。この段階においても、点Fと点J−Eとを結ぶ線分は、Y軸と平行な直線となっている。なお図示の簡略化のため、図19〜図21においては、改良された領域にハッチングを付していない。
【0061】
図19は、ノズルNが初期位置に対して反時計方向にθ=π(rad)だけ公転移動した状態を示している。この段階においては、ジェットJの先端J−Eは、Y軸に平行に移動した後に、X軸と平行に図中の時計方向に移動している。図20で示す段階、すなわちノズルNが初期位置に対してθ=5π/4だけ公転移動した段階では、ジェットJの先端J−Eは、X軸と平行に図中の時計方向へ、さらに移動している。そして、ノズルNがθ=2π(rad)だけ公転移動すると(換言すれば公転軌跡TL上を1回転すると)、ジェットJの先端J−Eは図21で示す様な位置に到達する。
【0062】
なお、図示は省略したが、ノズルNが初期位置に対してθ=6πだけ公転移動すると、すなわち公転軌跡TL上を3回転すると、ジェットJの先端J−Eは初期位置Fまで戻り(すなわち、自転を1回転行い)、正方形断面すなわち正4角形状の断面を有する領域が切削される。
また、図17〜図21において、掘削された正方形断面10の角部には若干のラウンド(R)がつくが、直角な角部とラウンドのついた角部との差異は、実際の施工に際しては無視出来る程度の小さなものである。
【0063】
次に、前記知見(C)に基づく実施形態について、図22〜図25を参照して説明する。
ここで、図22〜図25の実施形態においては、ボーリング孔の断面形状(正N角形状)は4角形である。すなわち、N=4である。
なお、正「N+1」(5)角形状の輪郭を有する掘削ビットで説明するが、正(N+1)角形の重心から各頂角へ放射状に伸びるブレード状掘削カッタ(またはジェット)についても全く同様に掘削できることは、前例の説明と同様である。
【0064】
図22〜図25において、正5角形状(正「N+1」角形状)のカッタP(正(N+1)角形状の輪郭を有する掘削ビット)は、その重心(図心)Gがボーリング孔Hの中心Oから半径「r」の円周軌道Rを時計回りに移動(公転)しており、その回転角(公転する角度)が符号「θ」で示されている。
ここで、カッタPの重心が描く軌跡の半径「r」は、カッタPに外接する円(図22〜図25では図示せず)の半径の1/25(すなわち1/(N+1)2)である。換言すれば、正5角形状のカッタPは、半径25r(すなわち、「(N+1)2 r」)の円(図22〜図25では図示せず)に内接する輪郭を有している。
一方、カッタPは公転すると共に自転をしており、その自転速度は前記公転速度の1/5(すなわち「1/(N+1)」)の速度であり、その回転角(自転する角度)は符号「ψ」で示されている。
【0065】
図22〜図25に示す5角形カッタPの掘削ビットの掃過範囲を考察するに際して、以下、5角形カッタPの頂点PE−1の軌跡のみを考慮する。
なお図22〜図25において、符号「IS」で示すのは、完全に正方形をしたボーリング孔が掘削可能であると仮定した場合における断面形状であり、換言すれば、理想的な断面形状を示している。
【0066】
図22には、カッタPは当初の状態に対して270゜公転し、且つ、54゜自転した状態が示されている。これにより、カッタPの1つの頂点PE−1は、原点P−Oから符号「TR−21」で示す軌跡を描く。
【0067】
図23の状態では、カッタPは630゜公転し、且つ、126゜自転している。これにより、カッタPの頂点PE−1は、符号「TR−22」で示す軌跡を描いている。
【0068】
図24の状態では、カッタPは1260゜公転し、且つ、252゜自転している。これにより、カッタPの頂点PE−1は、符号「TR−23」で示す軌跡を描いている。
【0069】
図25の状態では、カッタPは1800゜公転し、且つ、360゜自転している。すなわち、カッタPは自転により一回転をしているので、その頂点PE−1は、符号「TR−24」で示す様な閉じた形状の軌跡を描く。この軌跡TR−24と、理想的な断面形状ISとを比較すると、軌跡TR−24(すなわち、カッタPにより掘削される領域の断面形状)は、その4隅部が円弧状になっている。
しかしながら概略4角形状の軌跡を描いており、実用的には、四角形断面のボーリング孔を掘削したものと考えて差し支えない。
【0070】
以上、図22〜図25において、前記知見(C)に基づく正(N+1)角形による正N角形状孔の創成を5角形状掘削ビットによる4角形孔の創成を例に説明し、他の任意N角形状孔についての例は省略したが、同様に創成することができる。
【0071】
次に、前記知見(B)の様に、モニタが前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離「r」と、前記地盤掘削用流体の到達距離「L」との比率を、或いは、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離と、当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離との比率(すなわち、公転半径と自転中心から掘削ビット先端までの距離との比L/r)を、(N−1)2 より小さくすれば、掘削ビットT、Pの掃過範囲の断面形状をN個の頂点を有して且つ頂点と頂点とを結ぶ辺が湾曲線で構成されている形状に形成できる。
図26〜図31は、前記比率を(N−1)とした場合において、図17〜図21で説明した実施形態によって掘削されたボーリング孔の断面形状を示している。
ここで、図26はN=3、図27はN=4、図28はN=5、図29はN=6、図30はN=7、図31はN=8の場合をそれぞれ示している。
【0072】
また、図32に前記公転半径「r」と自転中心から掘削ビット先端までの距離Lとの比率(「モニタが前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離と、前記地盤掘削用流体の到達距離との比率」、或いは、「前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離と、当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離との比率」)L/rを「N」とした場合について、N=4の例が示されている。
【0073】
なお、図26〜図31の実施形態の説明において、その他の構成等については、図17〜図21の実施形態と概略同様である。
【0074】
上記のように、公転半径「r」と自転中心から掘削ビット先端までの距離Lとの比率(モニタがボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離と、前記地盤掘削用の流体の到達距離との比率、或いは、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離と、当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離との比率)L/rを、(N−1)よりもさらに小さくすれば、掘削ビットT、Pの先端軌跡を、曲線から成る複数個の閉じた領域から構成され、且つ前記ボーリング孔の中心に対して対称となる様な形状とすることが可能である。
図34〜図39は、当該「複数個の閉じた領域」がN個であり、且つ、前記比率L/rを「1」にした場合における前記図17〜図21の実施形態によって創成されたボーリング孔の断面形状を示している。
ここでは、図34はN=3、図35はN=4、図36はN=5、図37はN=6、図38はN=7、図39はN=8の場合をそれぞれ示している。
なお、このように前記比率L/rが小さく、先端の軌跡が複数個の閉じた領域を形成する場合には、ブレード状掘削ビット(またはジェット)の掃過領域は、前記閉じられた領域内にとどまらない。
【0075】
また、図33は、「複数個の閉じた領域」が(N+1)個であり、且つ、前記比率を「N−2」にした場合におけるN=4のボーリング孔の断面形状を示している。
【0076】
次に、知見(D)に基づく実施形態を図40〜図45に示す。
図40〜図42は、N=4の正N角形状のボーリング孔を(N+1)=5本のブレード状掘削ビットを用い、ブレード状掘削ビットの自転中心がボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離「r」と、当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離「L」との比率を/rをそれぞれ27、18および9に変えた場合を示している。
また、図43〜図45は、N=6の正N角形状のボーリング孔を(N+1)=7本のブレード状掘削ビットを用い、前記比率L/rをそれぞれ33.75、18および9に変えた場合を示している。
この様に、前記比率L/rを(N+1)2 より小さくして行くと、創成される正N角形状ボーリング孔の頂角部のラウンド(R)が、漸次大きくなり、花のような形状が形成される。
【0077】
次に、図46〜図48を参照して、ブレード状掘削ビットを用いて正N角形(例えば正方形:正4角形)の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置の実施形態について説明する。
【0078】
図46および図47は、(特に図46で示す様な)中央で連結された3本のブレードR1、R2、R3を有するカッタ或いは掘削ビットT−1を、図1〜図8で説明した様に自転及び公転して正三角形(掘削ビット:図1〜図8の符号「T」)によるのと同様に、正方形(正四角形)状のボーリング孔を掘削する実施形態を説明している。
【0079】
図46において、全体を符号T−1で示すブレード状掘削ビットは、自転中心V−Oを中心として円周方向に等間隔に配置された3本のブレードR1、R2、R3を有しており、ブレードR1、R2、R3の各々には、掘削用のチップBBCが複数設けられている。
ここで、ブレード状掘削ビットT−1の自転中心V−Oは、各ブレードR1〜R3が等長であるから、各ブレードの頂点R1−P、R2−P、R3−Pを結んで出来る正3角形の重心になる。
【0080】
前記自転中心V−Oは、ブレード状掘削ビットT−1によって掘削されるボーリング孔Hの中心Oに対し、距離「r」だけ偏心している。ボーリング孔Hの中心Oは、図39において符号100で示すボーリングマシンのボーリングロッド60の中心軸と一致している。
換言すれば、ブレード状掘削ビットT−1は、その自転中心V−Oが、図39において符号100で示すボーリングマシンのボーリングロッド60の中心軸Oから距離「r」だけ離れた円周上を公転しつつ、自転している。
【0081】
図46および図47に示す実施形態において、ブレード状掘削ビットT−1が自転する角速度が「ω」である場合に、前記ボーリングロッド60(或いは、ボーリング孔Hの中心O)の周囲をブレード状掘削ビットT−1が公転する角速度は「(1−N)ω」である。
また、前述した様に、ブレード状掘削ビットT−1の自転中心V−Oがボーリング孔Hの中心O(或いは、ボーリングロッド60の中心軸)から離隔する半径方向距離は「r」であるが、ブレード状掘削ビットT−1の自転中心V−Oから各ブレードR1、R2、R3の先端R1−P、R2−P、R3−Pまでの距離は「(N−1)2 r」となる様に設定されている。
その結果、ブレード状掘削ビットT−1の掃過範囲、すなわち当該掘削ビットT−1で掘削されるボーリング孔Hの断面形状は、半径「N(N−2)r」の円に外接する正4角形状となる。
【0082】
なお、図46および図47の実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図8の実施形態と同様である。
【0083】
さらに、図46および図47と同様に、図48で示す様な中央で連結された5本のロッドから成る断面形状を有するカッタ或いは掘削ビットP−1を、図22〜図25で説明した様に自転及び公転をすれば、図48において点線で示す形状のカッタ(正三角形状のカッタ:図22〜25の符号「P」)と同様に、正方形(正四角形)状のボーリング孔が掘削出来る。
【0084】
以上の各実施形態の説明では、正N角形状のボーリング孔の掘削を、(N−1)本のブレード状掘削ビットまたはジェットを公転とは逆方向に回転する、あるいは(N+1)本のブレード状掘削ビットまたはジェットを公転と同方向に回転することで掘削する例を示してきた。
しかし、ブレード状掘削ビットまたはジェットは、(N−1)本以下、あるいは(N+1)本以下であっても同様にして正N角形状孔の掘削は可能である。なお、この際、これらの各ビットまたはジェットは、正(N−1)角形あるいは正(N+1)角形の頂角に向けて設ける必要がある。
【0085】
また、図49および図50は、正N角形状のボーリング孔の掘削に用いる(N−1)角形状の掘削ビット(図49)またはジェット(図50)にさらに副次的なビットまたはジェットを追加して構成した実施形態である。
すなわち、図49において、正方形状のボーリング孔Hを、正3角形状の掘削ビットTによって掘削するに際し、そのビットTとは60°位相をずらせた副ビットTaを設けて施工を行う。また、図50に示すジェットによる掘削では、等間隔(120°)の主ジェットJ1〜J3の間に副次的なジェットJa1〜Ja3を設けて施工している。
【0086】
以上、図示した前記各実施形態は例示であって本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、図示した実施形態においては、主として正4角形断面或いは正5角形断面を有するボーリング孔を地盤に掘削する場合に関して説明しているが、所望の正N角形状の断面形状を有する孔を掘削する場合についても、本発明は広く適用可能である。また、地盤のみならず、非常に硬い岩盤にボーリング孔を掘削する場合や、或いは機械加工における各種母材への切削、研削またはアブレイシブジェットなどによる穿孔に対しても本発明を適用することが出来る。
そして、本発明は、その他にも種々の変形、変更が可能である旨を付記する。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように構成された本発明によれば、正N角形状のボーリング孔を掘削するという、従来は不可能であった要請に応える事が出来、しかも、実施或いは施工が容易である。そして本発明は、地盤に対する孔の掘削にとどまらず、岩盤その他に対する掘削、あるいは機械加工に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基礎である知見(A)を4角形状孔の創成を例に説明する図。
【図2】図1の掘削の創成を説明する図。(θ=0°)
【図3】図2から回転した状態(θ=45°)を説明する図。
【図4】図3から回転した状態(θ=90°)を説明する図。
【図5】図4から回転した状態(θ=135°)を説明する図。
【図6】図5から回転した状態(θ=180°)を説明する図。
【図7】図6から回転した状態(θ=270°)を説明する図。
【図8】図1〜図7に示した回転する掘削ビット先端の軌跡を包絡線で示す図。
【図9】知見(C)を五角形状孔の掘削で説明する平面図。
【図10】さらに別の例(六角形状孔)を示す平面図。
【図11】本発明による三角形状孔の実施形態を示す平面図。
【図12】本発明による四角形状孔の実施形態を示す平面図。
【図13】本発明による五角形状孔の実施形態を示す平面図。
【図14】本発明による六角形状孔の実施形態を示す平面図。
【図15】本発明による七角形状孔の実施形態を示す平面図。
【図16】本発明による八角形状孔の実施形態を示す平面図。
【図17】本発明の実施形態による掘削の1過程を模式的に示す断面図。
【図18】図17の実施形態により地盤を切削する1過程を模式的に示す断面図。
【図19】地盤を切削する1過程を模式的に示す断面図。
【図20】地盤を切削する1過程を模式的に示す断面図。
【図21】地盤を切削する1過程を模式的に示す断面図。
【図22】本発明のさらに別の実施形態による地盤切削の1過程を模式的に示す断面図。
【図23】図22の掘削の1過程を模式的に示す断面図。
【図24】図23から進んだ1過程を模式的に示す断面図。
【図25】図24から進んだ1過程を模式的に示す断面図。
【図26】本発明の他の実施形態による三角形状孔の例を示す平面図。
【図27】本発明の他の実施形態による四角形状孔の例を示す平面図。
【図28】本発明の他の実施形態による五角形状孔の例を示す平面図。
【図29】本発明の他の実施形態による六角形状孔の例を示す平面図。
【図30】本発明の他の実施形態による七角形状孔の例を示す平面図。
【図31】本発明の他の実施形態による八角形状孔の例を示す平面図。
【図32】本発明の別の実施形態により掘削されたボーリング孔の断面形状を示す平面図。
【図33】本発明のその他の実施形態により掘削されたボーリング孔の断面形状を示す平面図。
【図34】本発明のさらに他の実施形態による三角形状孔の例を示す平面図。
【図35】本発明のさらに他の実施形態による四角形状孔の例を示す平面図。
【図36】本発明のさらに他の実施形態による五角形状孔の例を示す平面図。
【図37】本発明のさらに他の実施形態による六角形状孔の例を示す平面図。
【図38】本発明のさらに他の実施形態による七角形状孔の例を示す平面図。
【図39】本発明のさらに他の実施形態による八角形状孔の例を示す平面図。
【図40】本発明のさらに他の実施形態による四角形状孔の例を示す平面図。
【図41】図40に対して公転半径と回転中心から先端までの距離との比率を変えた例を示す平面図。
【図42】図40に対して公転半径と回転中心から先端までの距離との比率を変えた別の例を示す平面図。
【図43】本発明のさらに他の実施形態による六角形状孔の例を示す平面図。
【図44】図43に対して公転半径と回転中心から先端までの距離との比率を変えた例を示す平面図。
【図45】図43に対して公転半径と回転中心から先端までの距離との比率を変えた別の例を示す平面図。
【図46】本発明の掘削装置の一実施形態で用いられるブレード状掘削ビットを示す平面図。
【図47】図46で示すブレード状掘削ビットを用いてボーリング孔を掘削する状態を示す正面断面図。
【図48】ブレード状掘削ビットの形状変数の例を示す図。
【図49】副次的な掘削ビットを設けた実施形態を示す平面図。
【図50】副次的なジェットを設けた実施形態を示す平面図。
【図51】円形断面のトンネルを示す図。
【図52】四角形断面のトンネルを示す図。
【図53】従来の地盤全面掘削を円形掘削で施工した場合を示す図。
【図54】地盤全面掘削を六角形掘削で施工した場合を示す図。
【符号の説明】
H・・・掘削
O・・・掘削中心
R・・・軌道円
T、P、T−1・・・カッタ(掘削ビット)
G・・・掘削手段重心
r・・・軌道円半径
θ・・・(公転)回転角
φ、ψ・・・掘削手段(自転)回転角
Claims (12)
- 頂角数がN個の概略N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、正(N−1)角形状の輪郭を有する掘削ビットをボーリング孔の中心と同心で半径「r」の円周上を公転させつつ、角速度「ω」で自転せしめ、前記正(N−1)角形状の掘削ビットは半径(N−1)2 rの円に内接する輪郭を有しており、前記正(N−1)角形状の掘削ビットの公転角速度は「(1−N)ω」となり、前記正(N−1)角形状の掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴とする掘削方法。
- 頂角数がN個の概略N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、正(N+1)角形状の輪郭を有する掘削ビットをボーリング孔の中心と同心で半径「r」の円周上を公転させつつ、角速度「ω」で自転せしめ、前記正(N+1)角形状の掘削ビットは半径「(N+1)2 r」の円に内接する輪郭を有しており、前記正(N+1)角形状の掘削ビットの公転角速度は「(N+1)ω」となり、前記正(N+1)角形状の掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴とする掘削方法。
- 頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、ロッドに「N−1」本以下のブレードを放射状に配置して構成したブレード状掘削ビットを用い、該ブレード状掘削ビットのロッドを掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドから半径方向に離隔して設け、該ロッドを中心にブレード状掘削ビットを自転しつつ前記ボーリングロッドの周囲を公転せしめ、前記ブレード状掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲を自転する角速度が「ω」である場合に当該掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲を公転する角速度は「(1−N)ω」となり、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴とする掘削方法。
- 頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、ロッドに「N+1」本以下のブレードを放射状に配置して構成したブレード状掘削ビットを用い、該ブレード状掘削ビットのロッドを掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドから半径方向に離隔して設け、該ロッドを中心にブレード状掘削ビットを自転しつつ前記ボーリングロッドの周囲を公転せしめ、前記ブレード状掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲で自転する角速度が「ω」である場合に当該掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲を公転する角速度は「(N+1)ω」となり、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴とする掘削方法。
- 頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、該ボーリングロッドに設けられ且つその周囲を回転する様に構成された掘削用モニタと、該掘削用モニタの周縁部に設けられ且つ該モニタの周囲を回転しつつ掘削用流体を半径方向に噴射する「N−1」本以下のノズルとを有し、前記ノズルが前記モニタの周囲を回転する角速度が「ω」である場合に前記モニタが前記ボーリングロッドの周囲を回転する角速度は「(1−N)ω」となり、前記モニタが前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する前記掘削用流体の到達距離の比率を2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴とする掘削方法。
- 頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削方法において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、該ボーリングロッドに設けられ且つその周囲を回転する様に構成された掘削用モニタと、該掘削用モニタの周縁部に設けられ且つ該モニタの周囲を回転しつつ掘削用流体を半径方向に噴射する「N+1」本以下のノズルとを有し、前記ノズルが前記モニタの周囲を回転する角速度が「ω」である場合に前記モニタが前記ボーリングロッドの周囲を回転する角速度は「(N+1)ω」となり、前記モニタが前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する前記掘削用流体の到達距離の比率を2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴とする掘削方法。
- 頂角数がN個の正N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、正(N−1)角形状の掘削ビットを備え、該掘削ビットは半径(N−1)2 rの円に内接する輪郭を有しており、ボーリング孔の中心と同心で半径「r」の円周上を公転しつつ角速度「ω」で自転し、その公転角速度は「(1−N)ω」となる様に構成されており、前記正(N−1)角形状の掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率が2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値であることを特徴とする掘削装置。
- 頂角数がN個の正N角形状の水平断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、正(N+1)角形状の掘削ビットを備え、該掘削ビットは半径「(N+1)2 r」の円に内接する輪郭を有しており、ボーリング孔の中心と同心で半径「r」の円周上を公転しつつ角速度「ω」で自転し、その公転角速度は「(N+1)ω」となる様に構成されており、前記正(N+1)角形状の掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率が2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値であることを特徴とする掘削装置。
- 頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、ロッドに「N−1」本以下のブレードを放射状に配置して構成したブレード状掘削ビットとを有しており、該ブレード状掘削ビットのロッドは前記ボーリングロッドから半径方向に離隔して設けられ且つその周囲を自転しつつ公転する様に構成されており、前記ブレード状掘削ビットが前記ロッドの周囲を自転する角速度が「ω」である場合に当該掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲を公転する角速度は「(1−N)ω」となり、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴とする掘削装置。
- 頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、ロッドに「N+1」本以下のブレードを放射状に配置して構成したブレード状掘削ビットとを有しており、該ブレード状掘削ビットのロッドは前記ボーリングロッドから半径方向に離隔して設けられ且つその周囲を自転しつつ公転する様に構成されており、前記ブレード状掘削ビットが前記ロッドの周囲を自転する角速度が「ω」である場合に当該掘削ビットが前記ボーリングロッドの周囲を公転する角速度は「(N+1)ω」となり、前記ブレード状掘削ビットの自転中心が前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する当該掘削ビットの自転中心から先端までの距離の比率を2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴とする掘削装置。
- 頂角数がN個の概略N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、該ボーリングロッドに設けられ且つその周囲を回転する様に構成された掘削用モニタと、該掘削用モニタの周縁部に設けられ且つ該モニタの周囲を回転しつつ掘削用流体を半径方向に噴射する「N−1」本以下のノズルとを有し、前記ノズルが前記モニタの周囲を回転する角速度が「ω」である場合に、前記モニタが前記ボーリングロッドの周囲を回転する角速度は「(1−N)ω」となり、前記モニタが前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する前記掘削用流体の到達距離の比率を2(N−1)2 以下で(1/4)(N−1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴とする掘削装置。
- 頂角数がN個の正N角形状の断面形状を有するボーリング孔を掘削する掘削装置において、掘削するべきボーリング孔の中心線と同軸のボーリングロッドと、該ボーリングロッドに設けられ且つその周囲を回転する様に構成された掘削用モニタと、該掘削用モニタの周縁部に設けられ且つ該モニタの周囲を回転しつつ掘削用流体を半径方向に噴射する「N+1」本以下のノズルとを有し、前記ノズルが前記モニタの周囲を回転する角速度が「ω」である場合に前記モニタが前記ボーリングロッドの周囲を回転する角速度は「(N+1)ω」となり、前記モニタが前記ボーリング孔の中心線から離隔する半径方向距離に対する前記掘削用流体の到達距離の比率を2(N+1)2 以下で(1/4)(N+1)2 以上の範囲の数値としたことを特徴とする掘削装置。
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