JP4552001B2 - テンショナー - Google Patents

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    • F16H2007/0857Screw mechanisms

Description

本発明は、無端状のベルトやチェーンの張力を一定に保つよう調整するテンショナーに関する。
テンショナーは、例えば、自動車のエンジンに使用されるタイミングチェーンやタイミングベルトを所定の力で押しており、これらに伸びや緩みが生じた場合に、その張力を一定に保つように作用する。
図25は、テンショナー100を自動車のエンジン本体200に実装した状態を示すレイアウト図である。エンジン本体200の内部には、一対のカムスプロケット210、210とクランクスプロケット220とが配置されており、これらのスプロケット210、210、220の間にタイミングチェーン230が無端状となって掛け渡されている。また、タイミングチェーン230の移動路上には、チェーンガイド240が揺動自在に配置されており、タイミングチェーン230はチェーンガイド240を摺動するようになっている。エンジン本体200には、取付面250が形成されており、テンショナー100は取付面250の取付孔260を貫通するボルト270によって取付面250に固定される。なお、エンジン本体200の内部には、図示しない潤滑用のオイルが封入されている。
図26は従来一般的なテンショナーの縦断面図、図27はその作用における力の釣合いを模式的に説明するための力学モデル図である。
図26に示されたテンショナー100は、既に公知であるので詳細な説明は省略するが、雌雄ねじ部131、121によって螺合した回転シャフト120及び推進シャフト130と、回転シャフト120を一方向に回転付勢する捩りばね150とがケース110内に収容されており、推進シャフト130の回転を拘束して捩りばね150の回転付勢力を推進シャフト130の推進力に変換する。ケース110のフランジ部112が、図25に示すように、ボルト270によりエンジン本体200の取付面250に対して取付けられる。
以上の構造のテンショナー100では、ケース110の先端部分に回転止めされた状態で固定された平板形状の軸受160を貫通した推進シャフト130が軸受160の貫通孔161と共に非円形断面形状に成形されることによりケース110に回転拘束されるため、捩りばね150の付勢力によって回転シャフト120が回転し、この回転力が推進シャフト130の推進力に変換されることから、推進シャフト130が進出する。したがって、推進シャフト130は、図25に示すように、キャップ180及びチェーンガイド240を介してタイミングチェーン230を押付けることにより、タイミングチェーン230に張力を付与することができる。
ここで、図27の力学モデル図を参照してテンショナー100の機能及び力の釣合いについて説明する。エンジン200からの振動による受け荷重Wが推進部材130に入力される。一方、その反力として、捩じりばね150のばね力Kとねじ部121、131と回転シャフト120の下端面部等の摺動面摩擦抵抗Mとの釣合いが成り立つ。静荷重時には、前記摺動面の摩擦係数μが大きく(M=W×μ)、推進部材130の出又は戻り作動は発生しない。ところが、エンジン200からの振動による受け荷重Wが推進部材130に入力されると、摺動面の摩擦係数μが静摩擦から動摩擦に切り替わることにより低下し、推進部材130の図示下方向後退、回転部材120の図示右方向移動、捩じりばね150の圧縮が同時的に順次行われることにより、最終的に力の釣合った位置まで推進シャフト130が戻り作動を行う。
近年、2輪、4輪自動車を問わずエンジンの高性能化が進み、エンジン内部のカムチェーン系の振動が大きいエンジンが増えつつある。振動の大きいエンジンにおいては、図25に示すチェーンガイド240を介してテンショナー100が受ける受け荷重Wも大きい傾向にある。受け荷重Wは、通常エンジンの振動により変動する振動荷重であり、推進シャフト130の出代寸法A(図26、27参照)よっても変化する。
図28は、あるエンジンの回転数に対するテンショナーの受け荷重特性線図の一例である。従来のエンジンでは、エンジンからの振動が全体的に小さく、図28のLに示すように、回転数の変化に対して受け荷重Wは大きく変動しない傾向にあった。しかし、近年登場する高性能エンジンでは、図28のHに示すように、回転数の変化に対して受け荷重Wが大きく変動する傾向にある。同図中L、Hの各上下の線は、それぞれ受け荷重Wの最大、最小値を示し、各上下の線間幅がそれぞれの振幅を示す。一般的には、エンジンの回転数の増大に伴って受け荷重Wの振幅も増大する傾向にある。しかし、その途中で一時的に振幅のピークを示す所があるが、これはテンショナーを含むカムチェーン系の固有振動数とエンジンの回転数とが一致することによる共振現象等の特異点と考えられている。
ところで、テンショナーに求められる機能は、エンジンの回転数あるいは振動の大きい領域に至るまで、カムチェーン系に対し少なくとも次の要件をバランスよく満たすことである。
(1)最適なチェーン張力を付与する(出(張り)過ぎず、戻り(緩み)過ぎず)。
(2)チェーンのばたつきを抑制する(出・戻り振幅が小さい)。
このようなテンショナーは元来、チェーンガイド240からの外部入力である振動荷重を受けて、振動の大きな場合は戻り作動を、振動が小さい場合は出作動を行い、最適な推進シャフトの出代寸法を維持しつつ最適なチェーン張力を付与する機能を有することが望ましい。
図29は、従来のテンショナー(図26、27)における振動受け荷重Wと摺動面の摩擦係数μとの関係を概念的に示した特性線図である。振動受け荷重Wが大きくなるほど、摩擦係数μは低下傾向にあり、ある限度を超えた時点で摺動面が浮き上がり状況になり摩擦係数μが急減し不安定な状態を示すようになる。摩擦係数μが不安定な状態となる領域Q2域を図27の力の釣合いに当てはめると、摺動面摩擦抵抗Mが0に近づき、入力振動である振動受け荷重Wとばね力Kだけの釣合いとなり、推進シャフト(推進部材)の振幅bは急増して発散状態となってしまう。このとき、推進シャフトの出代寸法Aも不安定になり、定まらない。このような状況では、テンショナー100はチェーン系に適切な張力を付与できず、機能を十分発揮できない状況となってしまう。
そこで、振動の大きいエンジンに対して従来のテンショナー100では、チェーンガイド240からの振動荷重に対する推進シャフト130の押し込み量(振幅b)を押さえて作動を安定させるために、チェーンガイド240を強く押さえる必要がある。このためには、(1)捩りばね150のばねトルクを大きくする、(2)回転シャフト120と推進シャフト130の螺合を行っている雄ねじ部121及び雌ねじ部131のリード角を小さくする(例えば、12°を9°にする)、(3)回転シャフト120の端面の径を大きくして回転シャフト120と受け座140(又はケース110)(図26参照)との接触半径を大きくする、等の対応がなされている。
しかしながら、これらの対応構造では、逆に推進シャフト130が推進(前進)する特性が強くなる傾向となっている。そして、推進シャフト130が必要以上に推進する場合には、チェーン系に余分な張力を与えチェーンガイド240とチェーン230との間の摩擦が増加して、エンジンの出力ロスが大きくなる原因となり、好ましくない。
これに対し、最近、ケースに摩擦板を設けると共に、回転シャフトにおける摩擦板との対向部分に接触径の大きな鍔状の摩擦面を設け、さらに補助ばねによって摩擦面が摩擦板と接触しないように保持する構造が開示されている。この構造では、チェーンガイドからの外部入力荷重が小さいときには、摩擦面が摩擦板と接触しないが、外部入力荷重が一定大きさ以上となったとき、摩擦面が摩擦板と接触して摩擦力を発生することができる。これにより、上述した(1)〜(3)の構造とする必要がなくなって、エンジンの出力ロスを低減させることができ、しかも大きな外部入力荷重に対する推進シャフトの振幅を抑えることが可能となっている。
特開2001−21012号公報
特開2001−21012号公報の構造によっても、推進シャフトの振幅を抑えることが可能となっているが、最近の高性能エンジンなどエンジンの機種によっては、強い振動に対し、振幅抑制に重点をおいた出作動及び戻り作動を抑えた特性をもったテンショナーが強く要求されるようになっている。
本発明は、このような要求に対応するためになされたものであり、エンジンからの強い入力振動荷重に対しても、エンジン回転数の広範囲に亘り出作動及び戻り作動時とも安定した振幅抑制を行うことが可能なテンショナーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のテンショナーは、ねじ部によって螺合した第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材と、第1のシャフト部材を一方向に回転付勢する捩りばねとがケースに収容されており、第2のシャフト部材の回転を拘束して捩りばねの回転付勢力を第2のシャフト部材の推進力に変換するテンショナーであって、第2のシャフト部材の進退往復方向に対しても常時抵抗トルクを付加する抵抗トルク付加機構が、前記第1のシャフト部材と第2のシャフト部材との間に配置されており、前記抵抗トルク付加機構は、前記第1のシャフト部材のねじ部に螺合し、第1のシャフト部材に対して回転が規制され軸方向には移動可能な少なくとも一つの第3のシャフト部材と、前記第2のシャフト部材又は第1のシャフト部材のいずれかと第3のシャフト部材との間に設けられた第1の弾性部材とを含んでいることを特徴とする。
上記発明では、エンジンの振動による外部入力荷重を受けて第2のシャフト部材が進退往復する両方向に対しても常時、第1のシャフト部材と第2のシャフト部材との間に配置された抵抗トルク付加機構が抵抗トルクを付加するため、この抵抗トルクがダンピング効果を生むことから第2のシャフト部材の進退振幅を小さくすることができる。
この結果、外部入力荷重が大きい場合、捩りばねのばねトルクを大きくしたり、ねじ部のリード角を小さくしたりする等によって第2のシャフト部材の推進力を大きくする必要がなくなる。このため、チェーンガイドとチェーンとの間の摩擦が大きくなることがなく、エンジンの出力ロスを少なくすることができる。すなわち、テンショナーの張り過ぎによる馬力ロスや、戻り過ぎによるチェーン張力不足といった問題点が同時に解決可能である。また、第3のシャフト部材は第1の弾性部材以外の第2のシャフト部材には直接接触しておらず、いわゆる一種の遊動ねじ部材である。すなわち、第2のシャフト部材又は第1のシャフト部材のいずれかに対して、抵抗トルク付加機構の第3のシャフト部材が第1の弾性部材を介し間接的に配置されているので、外部入力荷重を直接受け止めることがなく、第1の弾性部材による軸力(圧縮力)が作用するのみである。このため、外部入力荷重の大小によっても第3のシャフト部材を含む抵抗トルク付加機構のねじ部の摩擦係数が低下しない。このことから、外部入力荷重の大小に関係なく、抵抗トルク付加機構が抵抗トルクを常に付加して第2のシャフト部材の振幅を制御するため、安定した振幅抑制を行うことができる。そして、第3のシャフト部材のねじ部が第1の弾性部材の圧縮力により第1のシャフト部材又は第2のシャフト部材のいずれかのねじ部に常時押付けられているため、戻り及び出作動時の進退往復方向に対しても常に抵抗トルクを有効的に付加する。ここで、例えば、単に第1のシャフト部材と第2のシャフト部材との間に圧縮ばねからなる弾性部材を設けただけの簡易な構造の形態も考えられるが、このような形態では次のような問題点がある。すなわち、前記弾性部材が戻り作動時には第1のシャフト部材と第2のシャフト部材との間で有効的な抵抗トルクを発生させるが、出作動時には前記弾性部材の圧縮力により第2のシャフト部材のねじ面が第1のシャフト部材のねじ面から浮き上がる(このとき、ねじ面の摩擦係数≒0となる)ことから摩擦による抵抗トルクが必ずしも有効的に発生しない。これに対して、本発明の前記第3のシャフト部材及び第1の弾性部材を備えた抵抗トルク付加機構は、上述したように戻り作動時は勿論、出作動時にも常時有効的な抵抗トルクを発生するため、このような問題点をも改善するものである。
このようなテンショナーにおいて、前記第3のシャフト部材は、前記第1のシャフト部材のねじ部に螺合しており、且つ第2のシャフト部材と共に回転方向が規制されていることが好ましい
上記発明の構成では、第3のシャフト部材のねじ部が第1の弾性部材の圧縮力により第1のシャフト部材のねじ部に常時押付けられているため、戻り及び出作動時の進退往復方向に対しても常に抵抗トルクを有効的に付加する。
また、第1の弾性部材が第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に設けられる場合は、第2のシャフト部材及び第3のシャフト部材が共に進退するため第1の弾性部材のセット長が変化することから、第1の弾性部材による軸力Zも変化する。このとき、捩じりばねのばねトルクと第1の弾性部材及び第3のシャフト部材等からなる抵抗トルク付加機構により付加される抵抗トルクとの差を同一になるように設定すれば、第2のシャフト部材が推進する力(押し力)が一定となる特性が得られる。これにより、エンジンの広範囲な回転数及び振動域に亘りテンショナーの過出戻り、それによる摩耗やエンジン馬力ロス等を防止し、安定した制振効果及び耐久性を確保することができる。
また、上記目的を達成するため、本発明のテンショナーねじ部によって螺合した第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材と、第1のシャフト部材を一方向に回転付勢する捩りばねとがケースに収容されており、第2のシャフト部材の回転を拘束して捩りばねの回転付勢力を第2のシャフト部材の推進力に変換するテンショナーであって、第2のシャフト部材の進退往復方向に対しても常時抵抗トルクを付加する抵抗トルク付加機構が、前記第1のシャフト部材と第2のシャフト部材との間に配置されており、前記抵抗トルク付加機構は、前記第のシャフト部材のねじ部に螺合し、第1のシャフト部材に対して回転が規制され軸方向には移動可能な少なくとも一つの第3のシャフト部材と、前記第1のシャフト部材が貫通した状態で前記第2のシャフト部材に連結され、前記第1のシャフト部材に対して回転が規制され第2のシャフト部材と共に軸方向に移動する接続部材と、この接続部材と第3のシャフト部材との間に設けられた第1の弾性部材とを含んでいることを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明のテンショナーはねじ部によって螺合した第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材と、第1のシャフト部材を一方向に回転付勢する捩りばねとがケースに収容されており、第2のシャフト部材の回転を拘束して捩りばねの回転付勢力を第2のシャフト部材の推進力に変換するテンショナーであって、第2のシャフト部材の進退往復方向に対しても常時抵抗トルクを付加する抵抗トルク付加機構が、前記第1のシャフト部材と第2のシャフト部材との間に配置されており、前記抵抗トルク付加機構は、前記第2のシャフト部材のねじ部に螺合し、第2のシャフト部材に対して回転が規制され軸方向には移動可能な少なくとも一つの第3のシャフト部材と、前記第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に設けられた第1の弾性部材とを含んでいることを特徴とする。
上記テンショナーにおいて、前記抵抗トルク付加機構は、前記第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に設けられた第2の弾性部材を含むことが好適である。
の発明の構成では、外部入力荷重が第2のシャフト部材に入力されると、第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に配置された第2の弾性部材に荷重が作用する。これにより、第2の弾性部材が外部入力荷重に対する抵抗トルクをさらに付加的に発生させるため、第2のシャフト部材の振幅を一層小さくすることができる。
さらに、第2の弾性部材が第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に配置されているため、外部入力荷重の入力があると、第3のシャフト部材及び第1のシャフト部材が常に摩擦による抵抗トルクを付加的に発生する。従って、外部入力荷重の大小に関係なく、抵抗トルクが発生して第2のシャフト部材の振幅を効果的に制御するため、きめ細かな安定した振幅抑制を行うことができる。
上記テンショナーにおい前記第1の弾性部材は、第2のシャフト部材又は第1のシャフト部材のいずれかと第3のシャフト部材との間に圧縮された状態で配置されるとともに、外部入力荷重とは独立して、第1のシャフト部材と第2のシャフト部材及び第3のシャフト部材との間で継続的な抵抗トルクを付加的に発生させるコイルばねであることが好ましい。
の発明の構成では第1の弾性部材がコイルばねによって形成されている。このコイルばねは、第2のシャフト部材又は第1のシャフト部材のいずれかと第3のシャフト部材とによって圧縮された状態となっているとともに、外部入力荷重を直接受け止めることがないことから、きめ細かな安定した振幅抑制を行うことができる。また、コイルばねの軸方向荷重を調節することによって、抵抗トルクを増減することが可能であり、抵抗トルクを最適値に設定することができる。
上記テンショナーにおい、前記第2の弾性部材は、前記第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間にそれぞれ圧縮された状態で配置されるとともに、外部入力荷重によって圧縮されることにより、第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間で摩擦トルクを付加的に発生させるコイルばねであることが好ましい。
の発明の構成では、第2の弾性部材がコイルばねによって形成されている。このコイルばねは、第1のシャフト部材及び第3のシャフト部材により圧縮された状態となっているとともに、第2のシャフト部材への外部入力荷重の入力によって圧縮力が作用することにより圧縮される。この圧縮により、第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に摩擦による抵抗トルクが重畳的に付加され、テンショナー全体の抵抗トルクが増大するため、第1のシャフト部材の回転が効果的に規制される。すなわち、外部入力荷重を受けることによって、第2のシャフト部材がケース内に押し込まれるため、第1のシャフト部材は捩りばねの回転付勢方向と逆方向に回転するが、この逆方向の回転に対しては第2の弾性部材であるコイルばねの摩擦力によるブレーキ力がさらに付加的に作用する。このため、第2のシャフト部材の進退する振幅が効果的に抑制される。
このように、第2の弾性部材であるコイルばねが第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に配置されているため、コイルばねが常に第1のシャフト部材及び第3のシャフト部材に対して摩擦による抵抗トルクをさらに付加的に発生させる。そこに外部入力荷重が入力すると、さらにコイルばねが圧縮され第1のシャフト部材の回転を強く抑制するため、第2のシャフト部材に対する振幅抑制効果が高められる。
上記テンショナーにおい、前記第1の弾性部材及び第2の弾性部材は、圧縮ばね、皿ばね、ゴム成形体又は樹脂成形体のいずれかとすることができる。
このような発明では、皿ばね、ゴム成形体又は樹脂成形体第1又は第2の弾性部材として用いるものである。従って、例えば捩じりばねに板巻きばね、第1及び第2の弾性部材に皿ばねとを採用した場合は、これらのばねがいずれもコンパクトであるため、テンショナーを小型軽量化することができる。
上記テンショナーにおい、前記第2のシャフト部材は、第1のシャフト部材のねじ部に螺合する基端部である主部材に連結され、第3のシャフト部材の回転方向を規制するとともに、軸方向移動可能にするように形成された筒状部材を有することが好ましい
の発明の構成では、外部入力荷重の大きさに関係なく第2のシャフト部材へのきめ細かな振幅抑制を行うことができる。これに加えて、第3のシャフト部材の回転方向を規制するとともに軸方向移動可能にする別体の筒状部材を第2のシャフト部材の主部材に接続することから、テンショナー製作設計の自由度が向上する。
上記テンショナーにおい、前記抵抗トルク付加機構が第1のシャフト部材に付加する抵抗トルクをTmz、前記捩じりばねのばねトルクをTbとすると、Tmz<Tbの関係を満足することが好適である
の発明の構成では、抵抗トルク付加機構が第1のシャフト部材に付加する抵抗トルクTmzより捩じりばねのばねトルクTbを大きく設定しているので、第2のシャフト部材の進退作動が良好に対応することができ、安定した振幅抑制作動を確保することができる。
上記テンショナーにおい、前記第2のシャフト部材が推進する方向に流体圧源からの流体圧を作用させることが好ましい
の発明の構成では、前記第2のシャフト部材が推進する方向に流体圧源からの流体圧を作用させるので、第1、第2及び第3のシャフト部材の作動に対して流体の粘性抵抗によるダンピング効果が付加される。このため、第2のシャフト部材の振幅を一層安定的に抑制することができる。
また、前記流体がこれらのシャフト部材及び捩りばねや各種弾性部材の潤滑剤ともなるため、テンショナーの円滑な作動を行うことができるとともに、これら部材の摩耗を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
発明によれば、外部入力荷重を受けて第2のシャフト部材が進退往復する両方向に対しても常時、抵抗トルク付加機構が抵抗トルクを付加することによるダンピング効果を生むことから、第2のシャフト部材の進退振幅を小さくすることができる。このため、テンショナーの張り過ぎによる馬力ロスや、戻り過ぎによるチェーン張力不足といった問題点を同時に解決することができる。
また、抵抗トルク付加機構の第3のシャフト部材が外部入力荷重を直接受け止めることがないことから、外部入力荷重の大小に関係なく、さらに戻り作動時及び出作動時とも抵抗トルク付加機構が抵抗トルクを常に付加して第2のシャフト部材の振幅を制御するため、安定した振幅抑制を行うことができる。また、第1の弾性部材が第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に設けられる場合は、第2のシャフト部材及び第3のシャフト部材が共に進退するため第1の弾性部材のセット長すなわち軸力も変化する。したがって、捩じりばねのばねトルクと抵抗トルク付加機構により付加される抵抗トルクとの差すなわち第2のシャフト部材の推進する力(押し力)が一定となるような特性が得られる。これにより、エンジンの広範囲な回転数及び振動域に亘りテンショナーの過出戻り、それによる摩耗やエンジン馬力ロス等を防止し、安定した制振効果及び耐久性を確保することができる。
1のシャフト部材に対して、抵抗トルク付加機構の第3のシャフト部材が第1の弾性部材を介し間接的に配置されているので、外部入力荷重を直接受け止めることがないことから、外部入力荷重の大小に関係なく、抵抗トルク付加機構が抵抗トルクを常に付加して第2のシャフト部材の振幅を制御するため、安定した振幅抑制を行うことができる。
2のシャフト部材を介して外部入力荷重を受ける第2の弾性部材が第1のシャフト部材及び第3のシャフト部材に対して抵抗トルクをさらに付加的に発生させるため、第2のシャフト部材の振幅を一層効果的に抑え、きめ細かな安定した振幅抑制を行うことができる。
2のシャフト部材又は第1のシャフト部材のいずれかと第3のシャフト部材とによって圧縮された状態となっている第1の弾性部材であるコイルばねが、外部入力荷重を直接受け止めることがないことから、きめ細かな安定した振幅抑制を行うことができる。また、コイルばねの軸方向荷重を調節することによって、抵抗トルクを増減することが可能であり、抵抗トルクを最適値に設定することができる。
1のシャフト部材及び第2のシャフト部材によって圧縮された状態となっている第2の弾性部材であるコイルばねが、第2のシャフト部材への外部入力荷重の入力により圧縮されることによって、第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に摩擦による抵抗トルクが重畳的に付加され、テンショナー全体の抵抗トルクが増大するため、第1のシャフト部材の回転が強く規制される。このため、第2のシャフト部材に対する振幅抑制効果が高められる。
ばね、ゴム成形体又は樹脂成形体第1又は第2の弾性部材として用いる構成、例えば捩じりばねに板巻きばね、第1及び第2の弾性部材に皿ばね等を採用した場合は、これらのばねがいずれもコンパクトであるため、テンショナーを小型軽量化することができるなど製作設計の自由度がある。
3のシャフト部材の回転方向を規制するとともに軸方向移動可能にする別体の筒状部材を第2のシャフト部材の主部材に接続することから、テンショナー製作設計の自由度が向上する。
抗トルク付加機構の第1のシャフト部材に対する抵抗トルクTmzより捩じりばねのばねトルクTbを大きく設定した場合には、第2のシャフト部材の進退作動が良好で、安定した振幅抑制作動を確保することができる。
性を有する油圧油などの流体圧源からの流体が、第1のシャフト部材、第2シャフト部材及び第3のシャフト部材の作動に対して流体の粘性抵抗によるダンピング効果及び潤滑効果が付加されるため、第2のシャフト部材の振幅を安定的に抑制する効果がさらに高められるとともに、これら部材の摩耗を抑制することにより耐久性を向上させることができる。
以下、本発明を図示する実施例により具体的に説明する。なお、各実施例において、部分的に形状が異なっていても同一の機能を有する部材には同一の符号を付して対応させてある。エンジンからの強い入力振動荷重に対しても、エンジン回転数の広範囲に亘り安定した振幅抑制を行うために、最小の部品点数追加により、テンショナーの配置上スペース的にも問題のないように構成した。
図1は本発明の実施例1のテンショナーA1を示す縦断面図、図2は図1におけるF−F線断面図である。テンショナーA1は、ケース2、第1のシャフト部材3、第2のシャフト部材4、捩りばね5、軸受6、スペーサ7、及び抵抗トルク付加機構20を備えている。
ケース2は、胴部2aの中間部にフランジ部2bを備えた有底円筒状に大略成形されている。そして、胴部2a内部には、先端部にかけて軸方向(推進方向)に延びる収納孔2cが形成されている。収納孔2cの先端部分は開放されており、この収納孔2c内に、第1及び第2のシャフト部材3、4、捩りばね5、スペーサ7及び抵抗トルク付加機構20の組付体が収容される。
ケース2のフランジ部2bは、適用されるエンジン本体への取付けを行うものであり、エンジン本体に螺合するボルト(図示省略)が貫通する取付孔2dが形成されている。エンジン本体への取付けに際しては、図25と同様に、フランジ部2bの先端面がエンジン本体200の取付面250と当接する。
第1のシャフト部材3は後述する捩りばね5によって付勢されることにより回転し、ケース2に設けられた後述の軸受6により回転が規制されるとともに軸方向に移動可能な第2のシャフト部材4は第1のシャフト部材3の回転によってケース2から推進する。
第1のシャフト部材3は、基端側シャフト部3aと、先端側(図示上方)のねじ部3bとが軸方向に一体的に形成されており、先端側のねじ部3bの外周には、雄ねじ8が形成されている。また、基端側シャフト部3aの基端部は、ケース2内に設けた受け座19に当接することにより、その回転が支承されるようになっている。さらに、シャフト部3aの基端面には、第1のシャフト3を回転させるための巻締め治具(図示省略)の先端が挿入されるスリット3eが形成されている。スリット3eはケース2の胴部2aの基端面に開設した治具孔2eと連通しており、巻締め治具の先端を治具孔2eからスリット3eに挿入し、スリット3eを介して第1のシャフト部材3を回転させることにより、後述する捩りばね5を巻締めることができる。
第2のシャフト部材4は軸方向先端(図示上方)に開口する筒状部4bが形成されており、基端部4aの内面には、第1のシャフト部材3の雄ねじ8が螺合する雌ねじ9が形成されている。これらのシャフト部材3、4は、雄ねじ8及び雌ねじ9を螺合させた状態でケース2の収納孔2c内に挿入される。この第2のシャフト部材4の筒状部4b先端には、キャップ10が取付けられている。キャップ10は、頭部10a及び脚部10bからなり、頭部10aが第2のシャフト部材4の筒状部4b先端部分を覆い、脚部10bを筒状部4bの先端部分に嵌め込んだ状態で、これらにスプリングピン11を圧入することにより抜け止めされて筒状部4bに固定される。
捩りばね5は、第1のシャフト部材3の基端側シャフト部3aに外挿されている。この捩りばね5の一端側(先端側)のフック部5aがケース2に形成されたフック溝2fに挿入されて係止される一方、他端側(基端側)のフック部5bが第1のシャフト部材3の基端面(底部)のスリット3eに挿入され係止されている。従って、捩りばね5を巻締めてトルクを付与することにより第1のシャフト部材3を回転させることができる。
軸受6は、ケース2の先端部分に取付けられ、止め輪13によって固定されている。軸受6は、摺動孔6aを有しており、この摺動孔6a内を第2のシャフト部材4が貫通している。軸受6の摺動孔6aの内面及び第2のシャフト部材4の外面は、断面が略小判形状、Dカットや平行カット、その他いずれかの非円形に形成されており、これにより第2のシャフト部材4は回転が拘束された状態となる。
軸受6は、所定厚さの平板形状に成形されており、例えば従来と同様に外周側には複数の固定片6bが放射状に形成されている。この固定片6bがケース2の先端部分に形成されている切欠溝2gに嵌合することにより、軸受6の全体が回転止めされた状態となっている。このように軸受6がケース2に対して回転止めされることにより、軸受6を貫通した第2のシャフト部材4が軸受6を介してケース2に回転拘束される。
第2のシャフト部材4には、雌雄ねじ9、8部を介して第1のシャフト部材3が螺合しており、捩りばね5の回転付勢力によって回転する第1のシャフト部材3の回転力が第2のシャフト部材4に伝達されるが、第2のシャフト部材4が軸受6によって回転拘束されているため、第2のシャフト部材4は推進力を得てケース2に対し軸方向に進退する。
スペーサ7は、筒状となっており、その内部には第1のシャフト部材3及び第2のシャフト部材4の螺合部分が挿入される。この場合、第1のシャフト部材3における基端側シャフト部3aとねじ部3bとの境界部分には、大径となるフランジ部3cが形成されており、スペーサ7はその基端部7aがフランジ部3cに当接している。また、スペーサ7の先端部7bは軸受6の下面に近接して臨んでおり、軸受6への当接によって、第1及び第2のシャフト部材3、4がケース2から抜け出ることを防止している。
以上に加えて、実施例1では、第1のシャフト部材3のねじ部3bにほぼ一定の抵抗トルクを付加する抵抗トルク付加機構20が設けられている。抵抗トルク付加機構20は、第1のシャフト部材3のねじ部3bに螺合する第3のシャフト部材21と、第3のシャフト部材21及び第2のシャフト部材4の間に設けられた第1の弾性部材としてのコイルばね22とから構成されている。第3のシャフト部材21は、第2のシャフト部材4の雌ねじ9が形成されている基端部4aより先端側の筒状部4b内に配置されている。さらに、コイルばね22は、筒状部4b内の第3のシャフト部材21の下面21bと第2のシャフト部材4の基端部4a内面4cとの間に配置されている。
また、コイルばね22としては、両端部が自由端となっている圧縮ばねが使用されている。圧縮ばねからなるコイルばね22は、一端部(先端部)22aが第3のシャフト部材21の下面21aと当接する一方、他端部(基端部)22bが第2のシャフト部材4の基端部4a内面4cと当接している。このようなコイルばね22は、両端部22a、22bが両シャフト部材21、4と当接するとともに、ある程度圧縮された状態で組み込まれる。これにより、第2のシャフト部材4及び第3のシャフト部材21は、第1のシャフト部材3のねじ部3bの雄ねじ8に対し、コイルばね22の圧縮力により常に相互軸方向反対側(図示上下方向)に押付けられている。なお、コイルばね22と第1のシャフト部材3のねじ部3bとの絡み合い防止のため、コイルばね22の巻方向をねじ山の捩じれ方向と逆にすることが望ましい。
第3のシャフト部材21は、図2に示すように、第2のシャフト部材4の断面六角形状に成形された筒状部4b内面に嵌合して回転方向が拘束され、軸方向は移動可能である六角ナット状に成形されている。ただし、第2のシャフト部材4の筒状部4bの内面及び第3のシャフト部材21の外面形状は、相互に嵌合する断面略小判形状、Dカットや平行カット、その他の非円形に成形されてもよい。そして、第3のシャフト部材21は、第1のシャフト部材3のねじ部3bに螺合するとともに、第2のシャフト部材4の非円形断面形状に成形された筒状部4bの内面に嵌合して回転が拘束され、軸方向は移動可能となっている。
図3は、テンショナーA1の抵抗トルク付加機構20の作用を説明する一部縦断面図である。以上のように構成された第3のシャフト部材21は、内径に形成された雌ねじ21cがエンジンからの外部入力荷重(受け荷重)及び後述の第1のシャフト部材3に対する摩擦抵抗と捩りばね5のばね力との力の釣合う正又は逆方向に回転する第1のシャフト部材3のねじ部3bの雄ねじ8に対し、コイルばね22の圧縮力(軸方向荷重)Zにより常に軸方向に押付けられた密着状態で螺合している。かくして前記力の釣合う方向に追従して第1のシャフト部材3が回転するのに伴い、第3のシャフト部材21は、回転が拘束されているので推進力を得ることから第1のシャフト部材3のねじ部3bに常に密着螺合状態を保持しながら第2のシャフト部材4及びコイルばね22と共に一体的に軸方向に進退する。
このように、第3のシャフト部材21は、コイルばね22以外の第2のシャフト部材には直接接触しておらず、いわゆる一種の遊動ねじ部材である。すなわち、第3のシャフト部材21と第2のシャフト部材4との間の軸方向の位置関係(すなわちコイルばね22のセット長)は一定に保持される。同時に、第3のシャフト部材21は、第1のシャフト部材3の回転に対し、正逆転の関係無しにほぼ一定の摩擦による抵抗トルクを付与している。このとき、エンジンからの外部入力荷重(受け荷重)は、第2のシャフト部材4と螺合している第1のシャフト部材3に直に軸方向に作用するが、第3のシャフト部材21を含む抵抗トルク付加機構20には直接的には作用しない。このため、抵抗トルク付加機構20のねじ部の摩擦係数μが外部入力荷重(受け荷重)の大小によっても低下しない。このことは、後述するが、エンジンからの強い入力振動荷重に対しても、抵抗トルク付加機構20が第1のシャフト部材3の回転に対し正逆転の関係無しにほぼ一定の抵抗トルクを付与することができることを意味し、エンジン回転数の広範囲に亘り安定した振幅抑制を行うという本発明の目的を果たす上で最も重要なポイントである。
従って、第2のシャフト部材4を押し込むエンジンからの受け荷重が入力されると、第2のシャフト部材4と螺合している第1のシャフト部材3に直に軸力が作用し、第1のシャフト部材3を回転させる。第1のシャフト部材3の回転に伴い、第3のシャフト部材21を含む抵抗トルク付加機構20及び第2のシャフト部材4が共に一体的に軸方向に進退する。これらの動作において、第3のシャフト部材21及び第2のシャフト部材4と第1のシャフト部材3との間に抵抗トルクTmzが加算的に発生している。すなわち、前記従来のテンショナー100において推進シャフト130と回転シャフト120との間に発生する摩擦トルク相当に、さらに第3のシャフト部材21及び第2のシャフト部材4と第1のシャフト部材3との間にコイルばね22の圧縮力(軸方向荷重)Zにより発生する抵抗トルクTmzが加算されて第1のシャフト部材3に対して発生する全体抵抗トルクが増大することになる。これにより、第1のシャフト部材3に対して強いブレーキ力が作用し、第1のシャフト部材3の回転が効果的に規制される。
また、コイルばね22の軸方向荷重Zを調節することによって、抵抗トルクTmzを増減することが可能である。この結果、抵抗トルクTmzを最適値に設定することが可能となる。抵抗トルクTmzの値は、第2のシャフト部材4に作用するエンジンからの振動受け荷重によって若干変化するが、実施例1の構造では、無負荷時おおよそ次の値を示す。
Tmz≒2・Z・μ・r ここで、μはねじ面の摩擦係数、rはねじ部3bの有効半径である。
上記式中の数値「2」が乗じられるのは、第1のシャフト部材3のねじ部3bに対して、図3に示すように、コイルばね22により押付けられる第3のシャフト部材21及び第2のシャフト部材4の螺合する摩擦面が2面あるためである。
図4は、実施例1(A1)の抵抗トルク付加機構20の作用を説明する一部断面斜視図である。ここで、図26、27に示す従来のテンショナー100と比較して説明する。図30は、従来のテンショナー100の作用を説明する一部断面斜視図である。図30において、従来のテンショナー100には、本発明の実施例1(A1)の符号を付して対応させてある。第1のシャフト部材3には、図4及び30に示すように、捩りばね5によってトルクTbからなる回転付勢力が作用している。チェーンガイドを介して外部入力荷重であるエンジンからの振動受け荷重Wの入力があると、第2のシャフト部材4がケース2内に押し込まれるため、第1のシャフト部材3が捩りばね5の回転付勢力(トルクTb)に抗して軸回り方向に回転する。
抵抗トルク付加機構20を備えていない従来のテンショナー100では、図30に示すように、振動受け荷重Wの入力に応じた回転トルクで軸回り正逆転方向に微小往復(揺動)回転する。この場合の第1のシャフト部材3の回転角度はθであり、角度θに対応した第2のシャフト部材4の振幅はbとなる。エンジンからの振動は、チェーンガイド→キャップ(振動受け荷重Wが入力)→第2のシャフト部材(推進シャフト)4→第1のシャフト部材(回転シャフト)3→受け座19→ケース2の順番で伝播し、その抵抗要素としては、第1のシャフト部材3のねじ部3b及び受け座19の摩擦による抵抗トルクと捩じりばね5のばねトルクTbの間で力の釣合いが成り立つ。その結果として、第1のシャフト部材3が揺動回転角度θ、第2のシャフト部材4が振幅bの進退運動をしている。このとき、ねじ部3b及び受け座19等の摺動面の摩擦係数(動摩擦係数)は、静的状態(静摩擦係数)より低下している。
さらにエンジンからの振動が大きくなると(振動受け荷重2W〜4W〜など)、摩擦係数がさらに低下すると同時に、ある振動限度を超えると前記摺動面の摩擦係数が0に近付く。このような状態では、図30に示すように、第2のシャフト部材4の振幅は大きな増加(2b〜4b〜発散)をし、出代寸法も極めて不安定な状態になる。
これに対し、本発明の実施例1(A1)では、図4に示すように、第1のシャフト部材3と第2のシャフト部材4との間に抵抗トルク付加機構20が配置されている。抵抗トルク付加機構20として、第2のシャフト部材4及び第3のシャフト部材21がコイルばね22により第1のシャフト部材3のねじ部3b雄ねじ8面(それぞれ上下面共)に押付けられ、しかもエンジンからの振動受け荷重は第3のシャフト部材21には直接的にほとんど作用しない。第2のシャフト部材4及び第3のシャフト部材21の間にはコイルばね22により、常時軸力Zが負荷され、第1のシャフト部材3を回転させるためには、抵抗トルクTmz以上の回転力が必要となる(図3参照)。この結果、第1のシャフト部材3の正逆転の往復回転運動に対し、常に(継続的に)抵抗トルクTmzが制動をかける働きを行うことから、第1のシャフト部材3の往復回転角度θ’は前記従来のテンショナーの往復回転角度θに比べて小さくなる。これに伴い、第2のシャフト部材4の進退振幅b’も従来のテンショナーの進退振幅bに比べて小さくなる。
エンジンからの振動が大きくなっても(振動受け荷重2W〜4W〜など)、抵抗トルク付加機構20には振動受け荷重がほとんど直接的には作用しないため、第1のシャフト部材3に対する摩擦係数が低下することなくほぼ一定である。このため、図4に示すように、第2のシャフト部材4の振幅(2b’〜4b’〜など)は、前記従来のテンショナーの進退振幅(2b〜4b〜発散)のような大きな増加を示さない。これにより、第2のシャフト部材の出代寸法も極めて安定な状態、すなわち進退振幅が安定的に抑制された状態を保持する。
図5は、抵抗トルク付加機構の有無による(本発明及び従来の)テンショナーの挙動比較を示す試験データ図の一例である。図5において、横軸はエンジンの回転数を周波数(Hz)で示し、縦軸は第2のシャフト部材(推進シャフト)の出代寸法Aを示す。また、図5においては、密集して色濃く見える点が抵抗トルク付加機構20を有する本発明のテンショナーA1、分散している点が従来のテンショナー100のデータを示す。この図から明らかなように、従来のテンショナー100は高周波数域すなわちエンジンの高速回転域でエンジン振動も大きい領域において出代寸法Aの最大最小値の幅(振幅)が拡大しており、不安定な挙動を示している。これに対して、本発明のテンショナーA1はエンジンの回転数及びこれに伴うエンジン振動が大きい領域においても出代寸法A及びその最大最小値の幅(振幅)がほぼ一定で、出代寸法Aの最大値及びAの振幅も従来のものより小さな値を示しており、抵抗トルク付加機構20が極めて有効に振幅抑制を安定的に行うことを実証している。
また、図31及び図32は、本発明及び従来のテンショナーを振動の大きい高性能エンジンに装着した際の挙動比較を示す試験データ図の一例で、それぞれエンジンの回転数に対する出代寸法Aの最大値Amax、受け荷重(外部入力荷重)Wの特性を示している。図31において、Amaxの値が相対的に大きくかつ変動も大きい特性を示しているのが従来のテンショナーであり、Amaxの値が相対的に小さくかつ変動も小さくほぼ一定の特性を示しているのが本発明のテンショナーである。図32においては、下方部に密集して色濃く見える点が本発明のテンショナー、上方部に分散している点が従来のテンショナーのデータを示す。この図から明らかなように、従来のテンショナーは高周波数域すなわちエンジンの高速回転域でエンジン振動も大きい領域において受け荷重Wの最大最小値の幅(振幅)も拡大しており、不安定な挙動を示している。これに対して、本発明のテンショナーはエンジンの回転数及びこれに伴うエンジン振動が大きい領域においても受け荷重W及びその最大最小値の幅(振幅)もほぼ一定で、受け荷重Wの最大値及びWの振幅も従来のものより小さな値を示している。これは、抵抗トルク付加機構20が極めて有効に振幅抑制を安定的に行うことによる結果でもある。
このような実施例1(A1)では、抵抗トルク付加機構20が第1のシャフト部材3及び第2のシャフト部材4との間に配置されることにより、外部入力荷重(受け荷重)Wの影響をほとんど受けることなく、しかも第2のシャフト部材4の進退の両方向において、抵抗トルク付加機構20が常時第1のシャフト部材3に対して抵抗トルクを付加する。従って、外部入力荷重Wの大小に関係なく、第2のシャフト部材4の振幅を抑制できるため、きめ細やかな振幅抑制を安定的に行うことが可能となる。一方、抵抗トルク付加機構20は、外部入力荷重(受け荷重)Wの大きさに関係なく、第2のシャフト部材4の進出(出作動)方向にも抵抗トルクが働くために進出(出作動)方向の抑制が可能である。これらの効果によって、本発明のテンショナーはエンジン振動に最適な追随が可能となり、大きな振動を有する最近の高性能エンジンに対してもより広い適応が可能となる。
また、外部入力荷重Wが大きい場合従来のテンショナー100に対して行われたような、振幅抑制を行うために捩りばね5のばねトルクを大きくしたり、ねじ部(8、9)のリード角を小さくしたりして第2のシャフト部材4の推進力を大きくする必要がない。このため、チェーンガイドとチェーンとの間の摩擦が過大となることがなく、エンジンの出力ロスを少なくすることができる。
図6は、本発明の実施例2のテンショナーA2の縦断面図である。実施例2(A2)においては、実施例1(A1)における第2のシャフト部材4の基端部4aから筒状部4bを切り離した別体の筒状部材41としたもので、他の構成は実施例1(A1)と同じである。すなわち、実施例2(A2)における第2のシャフト部材4は、実施例1(A1)における第2のシャフト部材4の基端部4aに相当する主部材40と筒状部材41とから構成される。
図7は筒状部材41を示す縦断面図、図8はその平面図である。筒状部材41は、図8に示すように、内面及び外面とも平行カット部41c、41dを有する非円形断面形状に成形されている。筒状部材41の内外面は、略小判形状、Dカット、その他の非円形断面形状に成形されてもよい。これは、筒状部材41の内面が、後述する外面が同形状の非円形断面形状に成形された第3のシャフト部材21の回転を規制するとともに、軸方向に移動可能にガイドするためである。一方、筒状部材41の外面は、軸受6の同形状の非円形断面形状に成形された摺動孔6aの内面に回転が拘束されるとともに、軸方向に移動可能にガイドされるためである。また、筒状部材41の先端41bには、キャップ10を嵌め込んだ状態で取付け、図示しないスプリングピンを圧入する貫通孔41eが連通して2個設けられている(図6参照)。
図9は主部材40を示す縦断面図、図10はその平面図である。主部材40は、段付鍔部を有する円形鍔状に形成されており、その内面には第1のシャフト部材3の雄ねじ8が螺合する雌ねじ9が形成されている。そして、第1、第2のシャフト部材3、4及び後述の第3のシャフト部材21は、実施例1と同様に図6に示すように、それぞれ雄ねじ8に雌ねじ9及び21cを螺合させた状態でケース2の収納孔2c内に挿入される。主部材40は、大径鍔状の基端部上面40aに連設して小径段部(上面40b)が形成されている。小径段部の外面40cは、図10に示すように、筒状部材41の基端部41a内面が嵌合できるようにその形状に合わせ例えば平行カット部40dなどを有する非円形断面形状に成形されている。基端部上面41a及び小径段部外面40cには、筒状部材41の基端部41aが嵌め込められた状態でカシメられるなどにより抜け止めされて連結され、いわゆる第2のシャフト部材4を構成する(図6参照)。また、小径段部の上面40bに連設しさらに小径部40eが形成されている。この上面40b及び小径部40eには、コイルばね22の先端部22aが外挿される。
このように、実施例2(A2)においては、第2のシャフト部材4が筒状部材41及び主部材40により個別的に接続される構成となっているので、テンショナーの製作・組立て又は分解も容易化されるなど製作設計の自由度が向上するメリットがある。
図11は第3のシャフト部材21を示す縦断面図、図12はその平面図である。第3のシャフト部材21は、鍔部を有する円形鍔状に形成されており、その内面には第1のシャフト部材3の雄ねじ8が螺合する雌ねじ21cが形成されている。鍔部(上面21a、下面21b)の外面は、図12に示すように、筒状部材41の内面に嵌合できるようにその形状に合わせ、例えば平行カット部21dなどを有する非円形断面形状に成形されている。そして、第3のシャフト部材21は、第1のシャフト部材3のねじ部3bに螺合するとともに、第2のシャフト部材4の非円形断面形状に成形された筒状部41の内面に嵌合して回転が拘束され、軸方向は移動可能となっている。また、鍔部下面21bに連設しさらに小径部21eが形成されている。この下面21b及び小径部21eには、コイルばね22の基端部22bが外挿される。
第1の弾性部材であるコイルばね22は、実施例1と同様に、第2のシャフト部材3及び第3のシャフト部材21の間に圧縮された状態で配置されており、コイルばね22と第1のシャフト部材3のねじ部3bとの絡み合い防止のため、コイルばね22の巻方向をねじ山の捩じれ方向と逆にすることが望ましいことも同様である。さらに、コイルばね22の径方向移動を規制するため、主部材40及び第3のシャフト部材21のコイルばね22の座面となる小径段部上面40b及び小径部40eと鍔部下面21b及び小径部21eとにコイルばね22の両端部22b、22aを外挿するようにしたり、コイルばね22の外径を筒状部材41の内面又は平行カット部41dに近接させたりすることなども絡み合い防止に効果がある(図6、9及び11参照)。
図13は実施例2(A2)の変形々態のテンショナーA2aを示す縦断面図、図14はその平面図である。図13の形態(A2a)では、各構成部材の形状が若干異なるものの図6の形態(A2)と機能・構成内容は基本的に同様である。例えば、ケース2は、胴部2aの基端部が角部の余肉を切除した略円錐体状に成形されるとともに、フランジ部2bも取付孔2dの回りをスリム化した形状に成形されている。
第1のシャフト部材3のフランジ部3cは、上部に段付状の小径部3dが形成され、スペーサ7の基端部7aが小径部3dに安定的に嵌め込まれている。
また、捩りばね5は、スペーサ7の外面をその先端部7a近傍まで覆うように外挿され、フック部5aがケース2先端部の軸受6の下面に隣接して形成されたフック溝2fに挿入され係止されている。このため、捩りばね5は、スペーサ7外面に案内されることにより、径方向へのずれを防止して安定した状態を保持することができる。また、捩りばね5の取付長を長く取れるので、ばね巻数を多くすることにより、第2のシャフト部材4の出代ストロークを大きく取れることもできるが、それよりも重要な点は出代ストロークに対するばねトルクTbの変化率を緩やかに設定することができる。これにより、安定した制振作動を確保することができるというメリットがある。
軸受6は、摺動孔6a部がケース2先端面部まで盛り上がったキャップ状に形成されている。スペーサ7の先端部7bは、軸受6のキャップ状頂部の摺動孔6a部下面に近接して臨んでおり、摺動孔6a部の下面への当接により、第1及び第2のシャフト部材3、4がケース2から抜け出ることを防止している。
このように、図13の形態(A2a)では、実施例1(A1)及び図6の実施例2(A2)と同様な効果を有するのに加えて上記のメリットを確保するともに、上記したように、構成スペースの有効活用及びスリム化による軽量・コンパクト化を図ることができる。
図15は本発明の実施例3のテンショナーA3を示す縦断面図、図16は図15におけるH−H線断面図である。この実施例のテンショナーA3では、図15に示すように、前記実施例に対して第2のシャフト部材4及び第3のシャフト部材21の配置を上下逆転した構造による抵抗トルク付加機構20の配置構成が異なるだけであり、他の構成は前記実施例と基本的に同様である。すなわち、抵抗トルク付加機構20は、第1のシャフト部材3のねじ部3bに螺合した第3のシャフト部材21が第2のシャフト部材4の基端部の下側に配置され、コイルばね22を介して接続部材50により第2のシャフト部材4と連結された構成となっている。
図17は実施例3(A3)の接続部材50を示す縦断面図、図18はその平面図である。接続部材50は、図17、18に示すように、有底円筒の先端側胴部を4箇所等間隔にカットした形状に概略形成されている。接続部材50の基端部51の底面には、第1のシャフト部材3のねじ部3bを挿通するためのねじ部3b外径より大き目の径の貫通孔53が設けられている。基端部51に連設する先端側の4箇所の胴部52は、先端が鍵状に曲折されたフック部52aが設けられている。
一方、第2のシャフト部材4の基端部4aの外周面には、図15に示すように、接続部材50の4個のフック部52aを挿入して係止するとともに、接続部材50の回転を規制する係止溝4cが4ヶ所設けられている。
また、第3のシャフト部材21の外周面には、図16に示すように、接続部材50の4個の胴部52が外側から没入されるとともに、接続部材50の回転を規制する係止溝21cが4ヶ所設けられている。
そして、圧縮ばねからなるコイルばね22は、先端部22aが第3のシャフト部材21の下面21aと当接する一方、基端部22bが接続部材50の基端部51の底面(内面)と当接している。このようなコイルばね22は、両端部22a、22bが第3のシャフト部材21と接続部材50と当接するとともに、ある程度圧縮された状態で組み込まれる。これにより、第2のシャフト部材4及び第3のシャフト部材21は、コイルばね22及び接続部材50を介して第1のシャフト部材3のねじ部3bの雄ねじ8に対し、コイルばね22の圧縮力により常に相互軸方向反対側(図示上下方向)に押付けられている。
以上のように第3のシャフト部材21、コイルばね22及び接続部材50等から構成された抵抗トルク付加機構20を有する実施例3のテンショナーA3は、前記実施例と同様な効果を有するのに加えて、第1のシャフト部材3と第2のシャフト部材4との間への抵抗トルク付加機構20の組付けが容易化するメリットがある。
図19は実施例3の変形々態のテンショナーA3aを示す縦断面図である。図19の形態(A3a)は、図17の実施例3(A3)に対しコイルばね22が第2のシャフト部材4と第3のシャフト部材21との間に配置されるとともに、接続部材50が図13の形態(A2)におけるスペーサ7を兼用している構造による抵抗トルク付加機構20の配置構成が異なるだけであり、他の構成は前記実施例と基本的に同様である。
圧縮ばねからなるコイルばね22は、先端部22aが第2のシャフト部材4の基端部4a下面4fと当接する一方、基端部22bが第3のシャフト部材21の上面21aと当接している。このようなコイルばね22は、両端部22a、22bが両シャフト部材4、21と当接するとともに、ある程度圧縮された状態で組み込まれる。これにより、第2のシャフト部材4及び第3のシャフト部材21は、第1のシャフト部材3のねじ部3bの雄ねじ8に対し、コイルばね22の圧縮力により常に相互軸方向反対側(図示上下方向)に押付けられている。
接続部材50の基端部50aは、第1のシャフト部材3のフランジ部3cの上部段付状の小径部3dに回転自在に嵌め込まれている。また、接続部材50の先端部50bは、軸受6のキャップ状頂部の摺動孔6a部の下面に近接して臨んでおり、摺動孔6a部の下面への当接により、第1及び第2のシャフト部材3、4がケース2から抜け出ることを防止している。これと併せて、接続部材50の外面が捩じりばね5のガイドとなっていることも前記実施例におけるスペーサ7と同様の機能である。
一方、接続部材50の内面は、第2のシャフト部材4の基端部4a及び第3のシャフト部材21の外形形状に合わせて両シャフト部材4、21の回転を規制するとともに、軸方向の移動可能とするよう例えば図示しない平行カット部などを有する非円形断面形状に成形されている。
以上のように第3のシャフト部材21、コイルばね22及び接続部材50等から構成された抵抗トルク付加機構20を有する図19の形態(A3a)においては、外部入力荷重を受けて第1のシャフト部材3が正又は逆回転すると、第2のシャフト部材4、コイルばね22及び第3のシャフト部材21は回転が規制されているため共に軸方向に移動(すなわち進退)する。一方このとき、接続部材50は、第2のシャフト部材4と共に回転を規制されて停止した状態で、第3のシャフト部材21の回転を規制するとともにこれらのシャフト部材4、21の軸方向移動をガイドしている。
なお、キャップ10の頭部10の先端には、略球体状のゴムなどの弾性部材10cが装着されている。この弾性部材10cは、外部入力荷重Wの振動低減効果を得るための緩衝材の役目を果たすもので、特に振動の大きい前記高性能エンジン用のテンショナーに適用される場合に一層有効的である。
以上のようにこの形態のテンショナーA3aは、前記実施例と同様な効果を有するのに加えて、接続部材50が図13の形態(A2)におけるスペーサ7を兼用しているため部材点数が削減されることから、構成及び組立てが簡易化され、コスト的にもメリットがある。
図20は実施例3の別の変形々態のテンショナーA3bを示す縦断面図である。図20の形態のテンショナーA3bは、図19の形態(A3)に対しコイルばね22が第1のシャフト部材3と第3のシャフト部材21との間に配置されている構造による抵抗トルク付加機構20の配置構成が異なるだけであり、接続部材50が図13の形態(A2)におけるスペーサ7を兼用していることを含め他の構成は前記実施例と基本的に同様である。
圧縮ばねからなるコイルばね22は、先端部22aが第3のシャフト部材21の下面21bと当接する一方、基端部22bが第1のシャフト部材3のフランジ部3cの上部段付状の小径部3dの上面3fに当接している。このようなコイルばね22は、両端部22a、22bが第3のシャフト部材21と第1のシャフト部材3と当接するとともに、ある程度圧縮された状態で組み込まれる。これにより、第3のシャフト部材21の雌ねじ9は、第1のシャフト部材3のねじ部3bの雄ねじ8に対し、コイルばね22の圧縮力により常に先端側軸方向に押付けられている。
図21は、この形態のテンショナーA3bの特性を示す特性線図である。この形態(A3b)では、第2のシャフト部材4の進退に伴って、第2のシャフト部材4と共に接続部材50により回転規制されている第3のシャフト部材21も共に進退するためコイルばね22のセット長が変化する(たわむ)ことから、コイルばね22による軸力Zも変化する。このとき、捩じりばね5のばねトルクTbとコイルばね22及び第3のシャフト部材21等からなる抵抗トルク付加機構20により付加される抵抗トルクTmzとの差を同一(Tb−Tmz=一定)になるように設定すれば、第2のシャフト部材4が推進する力(押し力)Jが一定となる特性が得られる。すなわち、この形態(A3b)の出代寸法Aに対するトルクTb、Tmz及び押し力Jの関係を示したのが、図21の特性線図である。
従来のテンショナー100等や前記実施例においては、押し力Jは推進部材又は第2のシャフト部材4の進退位置(ストローク)が変ると変動していたが、図21の形態(A3b)では、第2のシャフト部材4の進退位置(ストローク)がどの位置でも押し力Jが変化しない点が独特的な特徴である。これにより、エンジンの広範囲な回転数及び振動域に亘りテンショナーの過出戻り、それによる摩耗やエンジン馬力ロス等を防止し、安定した制振効果及び耐久性を確保することができる。
図22は、本発明の実施例4のテンショナーA4を示す縦断面図である。この実施例のテンショナーA4は、図22に示すように、図15の実施例3(A3)の構成に加えて第2の弾性部材としてのコイルばね60が設けられている構造による抵抗トルク付加機構20の構成が異なるだけであり、他の構成は前記実施例と基本的に同様である。コイルばね60は、第1のシャフト部材3及び第3のシャフト部材21の間に配置されている。この実施例(A4)において、コイルばね60は第1のシャフト部材3におけるねじ部3bの基端部と第3のシャフト部材21の下面21bとの間に配置されている。すなわち、抵抗トルク付加機構20は、第1のシャフト部材3のねじ部3bに螺合した第3のシャフト部材21がコイルばね22を介して接続部材50により第2のシャフト部材4と連結されるとともに、コイルばね60が第1のシャフト部材3及び第3のシャフト部材21の間に設けられた構成となっている。
また、コイルばね60としては、両端のフック部が自由端となっている圧縮ばねが使用されている。圧縮ばねからなるコイルばね60は、先端部60aが第3のシャフト部材21と当接する一方、基端部60bが第1のシャフト部材3と当接している。この場合、基端部60bは第1のシャフト部材3のフランジ部3cの上段に形成された小径部3dの上面3fと当接するものである。このようなコイルばね60は、両端部60a、60bが両シャフト部材21、3と当接するとともに、ある程度圧縮された状態で組み込まれる。
このようにコイルばね60の追加によって、第3のシャフト部材21は第1のシャフト部材3のねじ部3aの先端側軸方向に押付けられる。この結果、コイルばね22の圧縮力にさらにコイルばね60の圧縮力が追加された合計圧縮力による抵抗トルクが、抵抗トルク付加機構20による抵抗トルクTmzとして第1のシャフト部材3に対して付加される。
従って、第2のシャフト部材4を押し込む外部入力荷重が入力すると、第1のシャフト部材3が回転するのに伴い接続部材50を介して回転規制された第3のシャフト部材21も第2のシャフト部材4と共に第1のシャフト部材3のねじ部3aの基端側に押込まれ、先端部60aが第3のシャフト部材21と当接しているコイルばね60に直に圧縮力が作用して、コイルばね60が圧縮される。コイルばね60は他端部60bが第1のシャフト部材3と当接しているため、コイルばね60の圧縮によって、コイルばね60と第1のシャフト部材3との間に摩擦による抵抗トルクが加算的に付加され、既に発生していたコイルばね22の圧縮力による抵抗トルクがさらに増大する。これにより、第1のシャフト部材3に対してブレーキ力が強く作用し、第1のシャフト部材3の回転が強力に規制されることからさらに強力で安定した制振機能を確保することができる。
第1のシャフト部材3のフランジ部3c上段の小径部3dとねじ部3bとの間に、さらにコイルばね60の内径に相応した外径の段部3eが形成されている。この段部3は、コイルばね60の基端部60bを支持する支持座となるものである。そして、コイルばね60の基端部60bに対してこの段部3eを挿入することにより、さらに安定した支持状態としている。なお、コイルばね60の基端部60bと第1のシャフト部材3のフランジ部3c上段の小径部3dの上面3fとの間には、図示しない緩衝板又は摩擦板としての金属ワッシャを挟設することが望ましい。この実施例(A4)においても、コイルばね60はある程度圧縮された状態となっている。
このように第1及び第3のシャフト部材3、21にコイルばね60の両端部60b、60aが支持されるとともに、接続部材50を介して第2及び第3のシャフト部材4、21にコイルばね22の両端部22b、22aが支持されることにより、第1のシャフト部材3が往復回転を繰り返しても、その作動に円滑に対応することができるため、一層安定した制振作動を行うことができる。
図23は、本発明の実施例5のテンショナーA5を示す縦断面図である。この実施例のテンショナーA5は、図23に示すように、図15の実施例3(A3)における第2のシャフト部材4と第1のシャフト部材3の配列を逆転した構造である(請求項3の発明に対応する)。また、捩じりばね5として板巻きばね、第1の弾性部材として皿ばねの積層体22が用いられており、ケース2など部材の形状も変っている所が多いが、テンショナーとしての機能及び制振性能は実施例3(A3)と基本的に同様である。
ケース2は、基端部側ケースと先端部側ケースとに2分割され、フランジ2b1、2b2を介して図示しないボルト部材などにより連結されている。基端部側ケースは、胴部2a1の先端部にフランジ部2b1を備えた有底円筒状に大略成形されている。そして、胴部2a1内部には、先端部にかけて軸方向(推進方向)に延びる収納孔2c1が形成されている。収納孔2c1の先端部分は開放されており、この収納孔2c1内に、第1及び第2のシャフト部材3、4の基端側シャフト部3a、4a及び捩りばね5の組付体が収容される。先端部側ケースは、胴部2a2の基端部にフランジ部2b2を備えた円筒状に大略成形されている。そして、胴部2a2内部には、軸方向に貫通する収納孔2c2が形成されている。収納孔2c2の両端は開放されており、この収納孔2c2内に、第1及び第2のシャフト部材3、4の先端側シャフト部3b、4b等の組付体が収容される。なお、先端部側の収納孔2c2は、基端部側の収納孔2c1より若干細くなっているが、この理由については後述する。
先端部側ケースのフランジ部2b2は、適用されるエンジン本体への取付けを行うものであり、いずれも図示しないエンジン本体に螺合するボルトが貫通する取付孔が形成されている。エンジン本体への取付けに際しては、図25と同様に、フランジ部2b2の先端面(図示上面)がエンジン本体200の取付面250と当接する。
第1のシャフト部材3は捩りばね5によって付勢されることにより回転し、先端側ケースに設けられた軸受6により回転が規制されるとともに軸方向に移動可能な第2のシャフト部材4は第1のシャフト部材3の回転によってケース2から推進する。
第1のシャフト部材3は、基端側シャフト部3aと、先端側シャフト部3bとが軸方向に一体的に連設された両端開放の円筒状に大略成形されており、先端側シャフト部3bの内面には、雌ねじ8aが形成されている。基端側シャフト部3aの内径3iは、第2のシャフト部材4の雄ねじ9aの外径より若干大き目の逃げ孔径となっている。また、基端側シャフト部3aの基端部は、ケース2内に設けた受け座19に当接することにより、その回転が支承されるようになっている。
第2のシャフト部材4は軸方向先端に伸びる先端側シャフト部4bが形成されており、基端部側シャフト部4aの外周には、第1のシャフト部材3の雌ねじ8aが螺合する雄ねじ9aが形成されたねじ部となっている。第1及び第2のシャフト部材3、4は、雌ねじ8a及び雄ねじ9aを螺合させた状態でケース2の収納孔2c1及び2c2内に挿入される。第2のシャフト部材4の先端側シャフト部4bの先端には、キャップ10が取付けられている。
板巻きばねからなる捩りばね5は、第1のシャフト部材3の基端部側シャフト部3aに外挿されている。この捩りばね5の図示しないフック状に形成された外径端部5aがケース2の基端部側ケース内に形成された図示しないフック溝に挿入されて係止される一方、図示しないフック状に形成された内径端部5bが第1のシャフト部材3の基端部側シャフト3aの図示しないスリットに挿入されて係止されている。従って、捩りばね5を巻締めてトルクを付与することにより第1のシャフト部材3を回転させることができる。
軸受6は、前記実施例と同様に、ケース2の先端側ケースの先端部分に回転止めされた状態で取付けられ、止め輪13によって固定されている。軸受6は摺動孔6aを有しており、この摺動孔6a内を第2のシャフト部材4の先端側シャフト部4bが貫通している。軸受6の摺動孔6aの内面及び第2のシャフト部材4の先端側シャフト部4bの外面は、断面が図示しない略小判形状、Dカットや平行カット、その他いずれかの非円形に形成されており、これにより第2のシャフト部材4は回転が拘束された状態となる。
第2のシャフト部材4には、雌雄ねじ8a、9a部を介して第1のシャフト部材3が螺合しており、捩りばね5の回転付勢力によって回転する第1のシャフト部材3の回転力が第2のシャフト部材4に伝達されるが、第2のシャフト部材4が軸受6によって回転拘束されているため、第2のシャフト部材4は推進力を得てケース2に対し軸方向に進退する。
この実施例5(A5)においては、実施例3(A3)におけるスペーサ7は省略されており、ケース2の先端側ケースがスペーサの機能を兼ねている。すなわち、第1のシャフト部材3における基端側シャフト部3aと先端側シャフト部3bとの境界部分には、大径となるフランジ部3cが形成されており、先端側ケースのフランジ2b2の内面2c2側(先端部側の収納孔2c2が、基端部側の収納孔2c1より若干細くなっていることによる段差部分)下面2hにフランジ部3cの上面3hが当接可能なように近接している。この第1のシャフト部材3のフランジ部3cの当接によって、第1及び第2のシャフト部材3、4がケース2から抜け出ることを防止している。
以上に加えて、この実施例5(A5)では、第2のシャフト部材4の雄ねじ9a部及び第1のシャフト部材3の基端部3aにほぼ一定の抵抗トルクを付加する抵抗トルク付加機構20が設けられている。抵抗トルク付加機構20は、前記先端側ケース内に配置され、第2のシャフト部材4の雄ねじ9aに螺合する第3のシャフト部材21と、第3のシャフト部材21及び第1のシャフト部材3の間に設けられた第1の弾性部材としての皿ばね22と、第3のシャフト部材21及び第のシャフト部材を連結する接続部材55とから構成されている。皿ばね22は、前記先端側ケース内の第3のシャフト部材21の基端面(図示下面)21bと第1のシャフト部材3の先端面(図示上面)3jとの間に配置されている。
また、皿ばね22は、表裏1対ずつ重ね合わされた複数対の積層体であり、その両端部が自由端となっている圧縮ばねとして使用されている。圧縮ばねである皿ばね22は、先端部22aが第3のシャフト部材21の基端面21bと当接する一方、基端部22bが第1のシャフト部材3の先端面3jと当接している。このような皿ばね22は、両端部22a、22bが両シャフト部材21、3と当接するとともに、ある程度圧縮された状態で組み込まれる。これにより、第1のシャフト部材3及び第3のシャフト部材21は、第2のシャフト部材4の雄ねじ8aに対し、皿ばね22の圧縮力により常に相互軸方向反対側(図示上下方向)に押付けられている。これと同時に、第1のシャフト部材3の基端部3aが受け座19にも皿ばね22の圧縮力により常に軸方向基端側(図示下側)に押付けられている。
接続部材55は、図23に示すように、有天円筒形状に概略形成されている。接続部材55の先端部56の天井面56aには、第2のシャフト部材4を挿通するための貫通孔58が設けられている。先端部56に連設する基端側の胴部57は、天井面56aに連設する先端部近傍が内側に凹状に曲折された凹部57aが設けられている。
一方、第3のシャフト部材3の先端部の外周面には、図23に示すように、接続部材55の凹部57aを挿入して係止する係止溝21fが設けられている。
また、接続部材55の内面は、第3のシャフト部材21及び第1のシャフト部材3の先端部3b外形と共に形状を合わせて、両シャフト部材21、3の回転を規制する一方、第1のシャフト部材3の軸方向の移動可能とするよう、例えば図示しない平行カット部などを有する非円形断面形状に成形されている。
以上のように第3のシャフト部材21、皿ばね22及び接続部材55等から構成された抵抗トルク付加機構20を有する図23の形態(A5)においては、外部入力荷重を受けて第1のシャフト部材3が正又は逆回転すると、接続部材55により第1のシャフト部材3と連結された第3のシャフト部材21及び皿ばね22共同時に回転するが、第3のシャフト部材21第2のシャフト部材4は軸受6によリ回転が規制されているため軸方向に進退する。
以上のようにこの形態のテンショナーA5は、前記実施例3(A3)と同様な効果を有するのに加えて、ケース2の先端側ケースが図13の形態(A2)におけるスペーサ7を兼用しているため部材点数が削減されることから、構成及び組立てが簡易化され、コスト的にもメリットがある。また、ケース2が基端部側ケースと先端部側ケースとに2分割されているため、テンショナー全体の組立て及び分解が容易化される。
さらに、捩じりばねの板巻きばね5、第1の弾性部材の皿ばね22はいずれもコンパクトであるため、テンショナーを小型軽量化することができる。
図24は、本発明の実施例6のテンショナーA6を示す縦断面図である。この実施例のテンショナーA6は、前記実施例のテンショナーの第1、第2のシャフト部材3、4、及び第3のシャフト部材21等からなる抵抗トルク付加機構20を含むケース2内に油圧などの流体圧源70からの流体71が充填され、第2のシャフト部材4が推進する方向に前記流体圧が作用するものである。その一例として図24に示すテンショナーA6は、図13の形態(A2a)と同様な構成が示されている。したがって、図24のテンショナーA6は、前記図13の形態(A2a)と同様な機能及び制振性能に、さらに流体の粘性抵抗による緩衝機能を付加したものであり、エンジンからの振動を十分緩衝する効果を発揮し、一層安定した挙動特性を有する。
図24のテンショナーA6では、第2のシャフト部材4が筒状部材41の先端にキャップ10を一体的に備えた構造である。また、ケース2が、胴部2aの側面にフランジ部2bを備え、そのフランジ部2bを介してエンジン本体にボルト結合されている。その他の構成は、流体圧系を除き図13の形態(A2a)と同様の構成であるため、それらの詳細説明は省略する。
ケース2の胴部2a側面のフランジ部2bには、流体71の流路72がケース2の先端側内部(溝2e)に連通し設けられている。さらに、スペーサ7の基端部7bにも流体71の流通口73が設けられ、この流通口73内には適宜流体71の流通抵抗を付与する図示しないオリフィス等の流動抵抗手段を備えている。また、第2のシャフト部材4の基端部の主部材40及び第3のシャフト部材21にも、それぞれ流体71の流通口74、75が形成されている。また、ケース2の胴部2aの基端面に開設された治具孔2eは、盲プラグ73をねじ込み密閉される。
第2のシャフト部材4が先端方向(出方向)に推進する場合、図24の矢印80のように、例えばエンジン本体内に設けられた流体圧源70からの流体71は、流路72を経てケース2内に流入し、さらに流通口73からスペーサ7内、そして順次流通口74、75を経て第2のシャフト部材4内に流入する。第2のシャフト部材4が基端部方向(戻り方向)に推進する場合、第2のシャフト部材4内の流体71は、前記図24の矢印80とは反対方向に流れ、ケース2内から流路72を経て流出し、流体圧源70に逆流する。さらに、流体71は、流通口73を流出入するとき、前記流動抵抗手段により一層効果的な流動抵抗を受ける。
このような第2のシャフト部材4の進退(出戻り)動作に伴う流体71の粘性流動抵抗により、エンジンからの外部入力荷重を受ける第2のシャフト部材4の前記進退(出戻り)動作(振動)に対して緩衝機能を付加する。この結果、実施例6のテンショナーA6は、前記抵抗トルク付加機構20による制振効果に加えて、流体71による緩衝効果が付加され、一層効果的な安定した制振特性を発揮する。さらに、流体71がシャフト部材3、4、21及び捩りばね5や第1の弾性部材22等の潤滑剤ともなるため、テンショナーの円滑な作動を行うことができるとともに、これら部材の摩耗を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
以上説明したように、本発明のテンショナーは、図1〜24に示した実施例の他に、ケース2、第1、第2、第3のシャフト部材3、4、21及びその他の構成部材について、任意に形状を変更したり、組み合わせを変更したりすることが可能である。また、捩じりばね5、第1及び第2の弾性部材22、60についても、径を含むばね部材寸法や形状は、任意に変更が可能であり、これにより、ばねトルクあるいは圧縮力による抵抗トルクを任意に調整することができる。さらに、第1及び第2の弾性部材は圧縮ばね、皿ばね、ゴム成形体又は樹脂成形体等、あるいは捩じりばね5はコイルばね、板巻きばね、その他いずれか任意選択的に適用することができる。
本発明は、抵抗トルク付加機構が外部入力荷重を直接受け止めることがないため、外部入力荷重の大小に関係なく抵抗トルクを常に付加して第2のシャフト部材の振幅を抑制するため、安定した振幅抑制を行うことができることから、特に最近の高性能エンジンなど振動の大きいエンジンのタイミングチェーンやタイミングベルトのテンショナーとして効果的に適用できる。
本発明の実施例1のテンショナーを示す縦断面図である。 図1におけるF−F線断面図である。 実施例1の抵抗トルク付加機構の作用を説明する一部縦断面図である。 実施例1の抵抗トルク付加機構の作用を説明する一部断面斜視図である。 実施例1の抵抗トルク付加機構の有無によるテンショナーの挙動比較を示す試験データ図の一例である。 実施例2のテンショナーを示す縦断面図である。 実施例2の筒状部材を示す縦断面図である。 図7の平面図である。 実施例2の第2のシャフト部材を示す縦断面図である。 図9の平面図である。 実施例2の第3のシャフト部材を示す縦断面図である。 図11の平面図である。 実施例2の変形々態のテンショナーを示す縦断面図である。 図13の平面図である。 実施例3のテンショナーを示す縦断面図である。 図15におけるH−H線断面図である。 実施例3の接続部材を示す縦断面図である。 図17の平面図である。 実施例3の変形々態のテンショナーを示す縦断面図である。 実施例3の別の変形々態のテンショナーを示す縦断面図である。 実施例3の別の変形々態のテンショナーの特性を示す特性線図である。 実施例4のテンショナーを示す縦断面図である。 実施例5のテンショナーを示す縦断面図である。 実施例6のテンショナーを示す縦断面図である。 テンショナーをエンジン本体に装着した状態のレイアウト図である。 従来のテンショナーを示す縦断面図である。 従来のテンショナーの力の釣合いを説明するための力学モデル図である。 あるエンジンの回転数に対するテンショナーの受け荷重特性線図の一例である。 従来のテンショナーの振動受け荷重Wと摺動面の摩擦係数μとの関係を概念的に示した特性線図である。 従来のテンショナーの作用を説明する一部断面斜視図である。 本発明及び従来のテンショナーの挙動比較を示す試験データ図の別の例である。 本発明及び従来のテンショナーの挙動比較を示す試験データ図のさらに別の例である。
2 ケース
3 第1のシャフト部材
4 第2のシャフト部材
4a 基端部
5 捩りばね
20 抵抗トルク付加機構
21 第3のシャフト部材
22 第1の弾性部材
40 主部材
41 筒状部材
60 第2の弾性部材
70 流体圧源
71 流体

Claims (11)

  1. ねじ部によって螺合した第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材と、第1のシャフト部材を一方向に回転付勢する捩りばねとがケースに収容されており、第2のシャフト部材の回転を拘束して捩りばねの回転付勢力を第2のシャフト部材の推進力に変換するテンショナーであって、
    第2のシャフト部材の進退往復方向に対しても常時抵抗トルクを付加する抵抗トルク付加機構が、前記第1のシャフト部材と第2のシャフト部材との間に配置されており、
    前記抵抗トルク付加機構は、
    前記第1のシャフト部材のねじ部に螺合し、第1のシャフト部材に対して回転が規制され軸方向には移動可能な少なくとも一つの第3のシャフト部材と、
    前記第2のシャフト部材又は第1のシャフト部材のいずれかと第3のシャフト部材との間に設けられた第1の弾性部材とを含んでいることを特徴とするテンショナー。
  2. ねじ部によって螺合した第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材と、第1のシャフト部材を一方向に回転付勢する捩りばねとがケースに収容されており、第2のシャフト部材の回転を拘束して捩りばねの回転付勢力を第2のシャフト部材の推進力に変換するテンショナーであって、
    第2のシャフト部材の進退往復方向に対しても常時抵抗トルクを付加する抵抗トルク付加機構が、前記第1のシャフト部材と第2のシャフト部材との間に配置されており、
    前記抵抗トルク付加機構は、
    前記第1のシャフト部材のねじ部に螺合し、第1のシャフト部材に対して回転が規制され軸方向には移動可能な少なくとも一つの第3のシャフト部材と、
    前記第1のシャフト部材が貫通した状態で前記第2のシャフト部材に連結され、前記第1のシャフト部材に対して回転が規制され第2のシャフト部材と共に軸方向に移動する接続部材と、
    この接続部材と第3のシャフト部材との間に設けられた第1の弾性部材とを含んでいることを特徴とするテンショナー。
  3. ねじ部によって螺合した第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材と、第1のシャフト部材を一方向に回転付勢する捩りばねとがケースに収容されており、第2のシャフト部材の回転を拘束して捩りばねの回転付勢力を第2のシャフト部材の推進力に変換するテンショナーであって、
    第2のシャフト部材の進退往復方向に対しても常時抵抗トルクを付加する抵抗トルク付加機構が、前記第1のシャフト部材と第2のシャフト部材との間に配置されており、
    前記抵抗トルク付加機構は、
    前記第2のシャフト部材のねじ部に螺合し、第2のシャフト部材に対して回転が規制され軸方向には移動可能な少なくとも一つの第3のシャフト部材と、
    前記第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に設けられた第1の弾性部材とを含んでいることを特徴とするテンショナー。
  4. 前記抵抗トルク付加機構は、
    前記第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に設けられた第2の弾性部材を含むことを特徴とする請求項2に記載のテンショナー。
  5. 前記第1の弾性部材は、第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に圧縮された状態で配置されるとともに、外部入力荷重とは独立して、第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間で継続的な抵抗トルクを付加的に発生させるコイルばねであることを特徴とする請求項1に記載のテンショナー。
  6. 前記第1の弾性部材は、第2のシャフト部材と第3のシャフト部材との間に圧縮された状態で配置されるとともに、外部入力荷重とは独立して、第2のシャフト部材と第3のシャフト部材との間で継続的な抵抗トルクを付加的に発生させるコイルばねであることを特徴とする請求項1に記載のテンショナー。
  7. 前記第1の弾性部材は、前記接続部材と第3のシャフト部材との間に圧縮された状態で配置されるとともに、外部入力荷重とは独立して、接続部材を介して第2のシャフト部材と第3のシャフト部材との間で継続的な抵抗トルクを付加的に発生させるコイルばねであることを特徴とする請求項2に記載のテンショナー。
  8. 前記第2の弾性部材は、前記第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間にそれぞれ圧縮された状態で配置されるとともに、外部入力荷重によって圧縮されることにより、第1のシャフト部材と第3のシャフト部材との間で抵抗トルクを付加的に発生させるコイルばねであることを特徴とする請求項4記載のテンショナー。
  9. 前記第1の弾性部材は、圧縮ばね、皿ばね、ゴム成形体又は樹脂成形体のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のテンショナー。
  10. 前記第2の弾性部材は、圧縮ばね、皿ばね、ゴム成形体又は樹脂成形体のいずれかであることを特徴とする請求項4記載のテンショナー。
  11. 前記第2のシャフト部材が推進する方向に流体圧源からの流体圧を作用させることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のテンショナー。
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