JP4551520B2 - 焦点検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ等の光学機器に用いられる焦点検出装置の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等の光学機器に用いられる焦点検出方法としては、位相差型の焦点検出方法が知られている。特開平6−235856号公報に代表されるような位相差型の焦点検出装置を一眼レフレックスカメラに組み込んだ場合を図10を使って説明する。
【0003】
撮影レンズ101とフィルム面103の間に、中央部に半透過部を有する主ミラー210が配置される。撮影レンズ101を通過した光束は、主ミラー102により上方に反射され焦点板104で結像し、ペンタプリズム105、接眼レンズ106を介して撮影者により観察される。
【0004】
一方、主ミラー102の半透過部を通過した光束は、サブミラー107により下方に反射され、焦点検出装置115に導かれる。焦点検出装置115においては、フィールドレンズ108、視野マスク109、反射ミラー110、一対の開口部を有する絞り111、一対の再結像レンズ112、光電変換素子113が、筐体114に固定され、一体型のユニットとして周知の位相差型の焦点検出を行っている。
【0005】
焦点検出装置115は、通常、カメラ本体を構成する部材に筐体114と可塑性材料などで一体的に成形された取付部を取付けねじ等の固定手段により固定することで保持される。ここで、焦点検出装置の固定方法を図2を用いて詳細に説明する。
【0006】
図11は、図10の焦点検出装置115を斜め上方から見た組立分解斜視図である。尚、図11において、図10と同様の番号を付した部材については、同様の役割を果たす部材である。
【0007】
図11において、焦点検出装置を構成する筐体114は、その側面に一体的に複数の平板状の腕部116a、116bを有している。腕部116a、116bには、カメラ本体を構成する部材(不図示)に取付けねじ117で筐体114を固定するための3ヵ所の取付穴118a、118b、118cが備えられている。このような構成で、筐体114をカメラ本体を構成する部材に取付穴118aを介して、取付けねじ117により固定する。
【0008】
ここで、従来例においては、筐体114とカメラ本体を構成する部材の間にコイルバネ119をはさみ、取付穴118aで筐体114を固定している。同様に、取付穴118b、118cにおいても同様の方法で固定される。
【0009】
従来においては、筐体114とカメラ本体を構成する部材の間にコイルバネを挟んでいるが、これは、焦点検出に必要な筐体114の位置調整を行うためである。また、筐体114の腕部116a、116bと対向するカメラ本体を構成する部材の受け面やねじ穴の製造誤差を吸収するためでもある。更に、従来例においては、筐体114の光電変換素子113を保持する部分114aが分離されているが、これは光電変換素子113の調整を柔軟に行うために分離したものであって、一体型の筐体であっても構わない。また、114b、114cにおいても同様である。
【0010】
ところで、カメラの周囲の温湿度が変化した場合、焦点検出装置115を構成するそれぞれの部材は膨張若しくは収縮する。これは、各々の温度若しくは湿度により焦点検出光学系を構成するフィールドレンズ108、視野マスク109、反射ミラー110、一対の開口部を有する絞り111、一対の再結像レンズ112、光電変換素子113の相対的な位置関係が変化することになり、従って、カメラが同一条件で同一距離にある同一被写体を撮影していても、各々の温度若しくは湿度により焦点検出装置115が検出する信号も変化することになり、焦点検出精度を維持することは困難である。そこで、従来から焦点検出装置の近傍に温度センサーを設け、温湿度の変化に合わせて焦点検出信号を補正する方法が知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、前記従来例において、X、Y、Z軸を図11のように定めると、温湿度変化により筐体14が膨張、収縮した場合、Z軸方向だけを考えた場合、コイルバネ119を介しているので筐体114は再現性を損なうことなく弾性変形することができる。
【0012】
しかしながら、X、Y軸方向については、温湿度変化で筐体114が膨張、収縮した場合、腕部116a、116bの取付穴118a、118b、118cは拘束されているために筐体114は変形してしまう。
【0013】
従って、従来例においては、筐体114の温湿度による体積変化が方向によって制限されるために、筐体114の体積変化は複雑で、筐体114の部材内にひずみ等が発生してしまう。
【0014】
そうすると、筐体114の温湿度変化による体積膨張、収縮に再現性がなくなり、結果として、再結像レンズ112や光電変換素子113等の焦点検出光学系を構成する部材の相対的な位置関係にも再現性がなくなり、温度補正を行うことが困難になる。また、筐体114はコイルバネ119を介して固定されているために位置が不安定で、何らかの衝撃や振動により筐体114の位置が変化してしまう可能性もある。更に、コイルバネ119を用いるとコストがかさむ。
【0015】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で焦点検出装置の大型化を招くことなく、また、温湿度変化が生じでも焦点検出信号の再現性を損なうことがなく部品点数を削減可能な焦点検出装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る焦点検出装置は、光束を結像させる結像光学系と、前記結像光学系により結像される像を電気信号に変換する光電変換素子と、前記結像光学系及び前記光電変換素子を所定の位置に保持する保持部材と、前記光電変換素子の前記保持部材に対する位置および角度を調整可能なセンサー調整アジャスタとを備え、前記保持部材に光軸と垂直な方向に折り曲げられた複数の屈曲部を有する第1、第2の腕部が光軸を挟んで略対象な位置に光軸と略垂直な方向に延出形成され、当該延出形成される腕部の端には前記保持部材を他の部材に固定するための固定部が当該延出形成される腕部の中心線以外の領域に設けられることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の焦点検出装置を位相差型の焦点検出装置として一眼レフレックスカメラに適用した場合の光学的基本構成を示す中央断面図である。なお、従来例の図10及び図11と同様の番号を付したものは同様の機能を示す部材である。
【0020】
図1において、撮影レンズ1を通過した光束は、中央部に半透過性を有する主ミラー2により上方に反射され焦点板4で結像し、ペンタプリズム5、接眼レンズ6を介して撮影者により観察される。一方、主ミラー2の半透過部を通過した光束は、楕円を軸周りに回転してできる面からなる楕円ミラー7により下方に反射され、焦点検出装置8に導かれる。
【0021】
ここで、楕円ミラー7は、撮影レンズの代表的な射出瞳位置と再結像レンズ12の入射瞳位置が結像するように設定されており、フィールドレンズとしての役割を果たしている。
【0022】
また、楕円ミラー7は焦点検出に必要な領域のみを反射し、それ以外の領域は反射しないように構成されており、視野マスクとしての機能も兼ねている。図2は、図1の焦点検出装置8を拡大した図である。
【0023】
図2において、楕円ミラー7によって反射された光束は、反射ミラー9、赤外線カットガラス10、一対の開口部を有する絞り11、一対の再結像レンズ12を経て、光電変換素子13上に結像し、周知の位相差型の焦点検出を行っている。
【0024】
また、焦点検出装置8におけるこれらの部材は、筐体14に保持され、一体型のユニットとして構成されている。ここで、本実施例の位相差型焦点検出装置においては、撮影レンズの瞳を左右方向(紙面に垂直な方向)に分割する構成としているので、絞り11の開口部及び、1対の再結像レンズ12は片側のみしか図示されていない。
【0025】
尚、回転楕円体からなる楕円ミラー7を用いた位相差型の焦点検出方法については、特開平9−184969号公報に詳細が記載されているので、省略する。
【0026】
次に、図3を用いて、焦点検出装置8の組立て手順を説明する。図3は図1における焦点検出装置8を斜め上方から見た組立分解斜視図である。
【0027】
図3において、図1及び図2と同様の番号を付した部材は、同様の部材である。まず、絞り11の開口部11a、11bが一対の再結像レンズ12の射出部12a、12bを基準に位置合わせされ、絞り11が再結像レンズ12と赤外線カットガラス10に挟着される状態で接着剤等の固定手段により固定される。その後、絞り11及び赤外線カットガラス10が接着された再結像レンズ12を筐体14の所定の位置に位置決めし、再結像レンズ12の左右側面近傍で接着固定される。
【0028】
次に、反射ミラー9が筐体14の背面側から位置決めされ接着剤などの固定手段により筐体14に固定される。ここで、反射ミラー9は、焦点検出装置8内の迷光を防止するために、焦点検出に必要な領域のみを反射し、それ以外の領域は黒塗りの塗装等の反射防止手段が施されている。更に、反射ミラー9と再結像レンズ12の間の筐体内壁での迷光反射を防ぐために、黒塗りの塗装等が施された反射防止部材15が取付けられる。
【0029】
その後、筐体14の上方から、同様な塗装が施され、焦点検出に必要な光束のみが通過可能な開口部を有する遮光部材16を取付け、焦点検出装置内に上方から迷光が入射するのを防止している。一方、センサーホルダ17は、光電変換素子13に接着剤等の固定手段によりあらかじめ固定される。
【0030】
このような状態で、まず、半完成状態の焦点検出ユニットである筐体14を不図示の調整工具に取付ける。次に、センサー調整アジャスター181、182を筐体14の孔14a(不図示)、14bに挿入し、アジャスター板19の側面部19a(不図示)、19bが筐体14の側面部を挟み込むような状態で、アジャスター板19が筐体14の前面を覆う。ここで、筐体の孔14a、14bに挿入されたセンサー調整アジャスター181、182は前後(図中X軸方向)に進退可能な構成としている。
【0031】
また、センサー調整アジャスター181、182の凸部181a、182aは、アジャスター板19の切り欠き部19c(不図示)、19dと係合しており、センサー調整アジャスター181、182の前後進退に合わせて移動するように構成されている。
【0032】
このような状態で、センサーホルダ17が固定された光電変換素子13を筐体前面に当接させ、図3におけるX、Y、Z軸方向の調整を行う。同時に、センサー調整アジャスター181、182をセンサーホルダー17と対向する側の反対側から不図示の工具で前後にそれぞれ独自に進退させることによって、前記X、Y、Z軸を中心とした回転方向の調整も行う。
【0033】
尚、上記のような光電変換素子13の位置調整については、特開平10−253871号公報に詳細が記載されているので、省略する。
【0034】
このように、それぞれの調整を経て、光電変換素子13を位置決めした後に、筐体14の側面部近傍で、筐体14、センサー調整アジャスター181、182、アジャスター板19、センサホルダー17が同時に接着され、結果として、光電変換素子13が筐体14に対して固定される。
【0035】
次に、焦点検出装置8とカメラ本体を構成する部材の固定方法について説明する。焦点検出装置8の筐体14には、再結像レンズ12や光電変換素子13等の焦点検出装置を構成する部材が固定されている部分を中心としてほぼ対称な位置に可塑性材料などで筐体14と一体的に成形された複数の屈曲部を有する腕部14c、14dが設けられている。
【0036】
なお、図中屈曲部としては、筐体14の片側腕部14dの屈曲部14e、14f、14gのみが示されており、反対側の腕部14cの屈曲部は斜視図のため隠れて表示されていない。腕部14c、14dには、それぞれの先端部近傍に取付穴14h、14iと、位置決めピン14j、14kが設けられている。
【0037】
このような構成で、腕部14c、14dの位置決めピン14j、14kをカメラ本体を構成する部材の位置決め穴(不図示)に嵌合させて、焦点検出装置8を位置決めする。その後、腕部14dの取付穴14iにカラー20を介して取付けねじ21を通し、取付けねじを締め付けることで、筐体14からなる焦点検出装置8をカメラ本体を構成する部材に固定する。
【0038】
ここで、カラー20は取付ねじ21の締め付け時の回転力が腕部14dに直接伝わり、筐体14に影響を及ぼすのを防止するために用いた。なお、図3においては片側腕部14dについてのみ説明したが、もう片側の腕部14cについても同様に固定する。
【0039】
上記のような構成の焦点検出装置の効果について以下に説明する。カメラの周囲の温湿度が変化した場合、筐体14はその温度に応じて膨張若しくは収縮し体積が変化する。しかしながら、筐体14は腕部14c、14dの取付穴14h、14i及び位置決めピン14j、14kで固定されているので、筐体の体積変化は妨げられる。
【0040】
ここで、まず図3におけるX軸方向の筐体14の体積変化について考えてみる。図4は、図3における筐体14の片側腕部14dのみを拡大した部分拡大上面図である。図4において、図1〜図3と同様の記号を付した部材は、同様の部材である。周囲の温湿度変化により筐体の体積が変化して、筐体14にX軸方向、例えば、矢印A方向に体積変化が生じる場合について考えてみる。
【0041】
筐体14は、取付け部14i及び位置決めピン14kにおいて拘束されているために、筐体14に矢印A方向の体積変化が生じた場合、筐体14の腕部14dは自身の体積変化を起こすと共に、図中点線のように変形する。筐体14の腕部14dの固定されている部分、即ち、取付穴14i、位置決めピン14k が筐体14に近い位置に設けられている場合、矢印A方向の体積変化を腕部14dのみで吸収することができず、筐体14にも変形を生じさてしまう。
【0042】
しかしながら、本実施例においては、筐体14と腕部14dの締結部である取付穴14iの間に複数の屈曲部14e、14f、14gを設け、更に、取付穴14i、位置決めピン14kを腕部14dの先端部近傍に設け、筐体14から十分に沿面距離を長く設けているので、図4に示すように矢印A方向の体積変化を腕部14dのみで吸収することができ、筐体14にはほとんど影響を及ぼさない。
【0043】
また、取付穴14i、位置決めピン14kは、筐体14の腕部中心線22上以外の領域に設ける構成とし、極力筐体14との沿面距離を長くする構成としている。ここで、筐体14に矢印A方向と逆方向の体積変化が生じたとしても同様に腕部14dのみで吸収することができ、筐体14にはほとんど影響を及ぼさない。一方、筐体14の腕部14dと略対象な位置に設けられる腕部14cについても同様である。
【0044】
次に、図3における筐体14のY軸方向の体積変化について説明する。図5は、図3における筐体14の腕部14dのみを拡大し部分拡大正面図、筐体14がカメラ本体を構成する部材23に取付け固定されている状態を示している。
【0045】
図5において、図1〜図4と同様の記号を付した部材は、同様の部材である。
周囲の温湿度変化により筐体の体積が変化して、筐体14にY軸方向、例えば、矢印B方向に体積変化が生じる場合について考えてみる。
【0046】
この場合もX軸方向の場合と同様に、筐体14の腕部14dは、取付穴14iにおいて、カメラ本体を構成する部材23にカラー20を介して取付ねじ21で固定されているので、その取付穴14iを支点に図中線のように変形する。
【0047】
しかしながら、本実施例においては、筐体14と腕部14dの取付穴14iの間に複数の屈曲部14e、14f、14gを設け、更に、取付穴14i、位置決めピン14kを腕部14dの先端部近傍に設け、筐体14から十分に沿面距離を長く設けているので、腕部14dが板ばねのような役割を果たし、図5に示すように筐体14の矢印B方向の体積変化を腕部14dのみで吸収することができ、筐体14にはほとんど影響を及ぼさない。また、取付穴14i、位置決めピン14kは、図4に示すように筐体14の腕部14dの中心軸22上以外の領域に設ける構成とし、極力筐体14との沿面距離を長くする構成としている。ここで、筐体14に矢印B方向と逆方向の体積変化が生じたとしても同様である。
【0048】
一方、筐体14の腕部14dと略対象な位置に設けられる腕部14cについても同様である。
【0049】
次に、図3における筐体14のZ軸方向の体積変化について説明する。図6は、図3における筐体14の腕部14dのみを拡大し部分拡大正面図、筐体14がカメラ本体を構成する部材23に取付け固定されている状態を示している。
【0050】
図6において、図1〜図5と同様の記号を付した部材は、同様の部材である。
周囲の温湿度変化により筐体の体積が変化して、筐体14にZ軸方向、例えば、矢印C方向に体積変化が生じる場合について考えてみる。
【0051】
この場合もX、Y軸方向の場合と同様に、筐体14の腕部14dは自身の体積変化を起こすと共に、図中点線のように変形する。しかしながら、本実施例においては、筐体14と腕部14dの取付穴14i、位置決めピン14kの間に複数の屈曲部14e、14f、14gを設け、更に、取付穴14i、位置決めピン14kを腕部14dの先端部近傍に設け、筐体14から十分に沿面距離を長く設けているので、腕部14dが板ばねのような役割を果たし、図6に示すように筐体14の矢印B方向の体積変化を腕部14dのみで吸収することができ、筐体14にはほとんど影響を及ぼさない。
【0052】
また、取付穴14i、位置決めピン14kは、筐体14の腕部14dの中心軸20以外の領域に設ける構成とし、極力筐体14との沿面距離を長くする構成としている。また、筐体14に矢印C方向と逆方向の体積変化が生じたとしても同様である。一方、筐体14の腕部14dと略対象な位置に設けられる腕部14cについても同様である。
【0053】
このように、筐体14の腕部に複数の屈曲部を設け、沿面距離も十分長くとっているので、温湿度変化による筐体14の体積変化を腕部のみの変形で吸収することができ、また、腕部の変形も再現性の高い弾性変形内にほぼ留めることができる。従って、焦点検出信号の温度補正も容易で高精度の焦点検出制度を保証できる。更に、複数の屈曲部を有しているので、実施例のように沿面距離を十分長く確保しても焦点検出装置が大型化することもない。
【0054】
なお、本実施例においては、温湿度変化による筐体14の体積変化について説明してきたが、上記のような構成にすれば、筐体14の腕部14c、14dの位置決めピン14j、14kと嵌合する筐体14を保持する不図示のカメラ本体を構成する部材の位置決め穴の製造誤差、筐体14の腕部14c、14dと当接する不図示のカメラ本体を構成する部材の受け面の製造誤差等を腕部14c、14dのみの変形で吸収することもでき、筐体14を不図示のカメラ本体を構成する部材に取り付けた後に、筐体14にまで変形が及び、焦点検出装置を構成する部材の相対的位置関係が崩れることはない。
【0055】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態において、筐体14の腕部14c、14dを改良したもので、光学的な基本構成や焦点検出構成は第1実施形態の図1、図2、図3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0056】
図7は、第2の実施形態における焦点検出装置の筐体腕部の片側のみを拡大して上方から見た腕部拡大上面図である。尚、図7において、第1実施形態の図1〜図6と同様の記号を付した部材は同様の部材を示すものとする。
【0057】
図7において、筐体14には、第1実施形態の図3を用いて説明したように再結像レンズ12と赤外線カットガラス10に絞り11が挟まれる状態で接着され、再結像レンズ12を筐体14の所定の位置に接着剤のなどの固定手段で固定している。
【0058】
ここで、図中下方には図3における光電変換素子13、センサーホルダー17、センサー調整アジャスター181、182、アジャスター板19が一体的に接着固定されているわけだが、図7においてはこれらの部材は省略している。一方、再結像レンズ12を挟んで光電変換素子13と略対称な位置に保持される反射鏡9(不図示)は図中上方に保持される。
【0059】
このような筐体14には、第1の実施例と同様に筐体14の略対称な位置に可塑性材料などで一体的に成形された腕部14c、14dが設けられ、図7においてはその片側腕部14dのみが示されている。腕部14dは上方から見るとL字型の形状をしており、その基部14lは再結像レンズ12と反射鏡9間の筐体14側面付近にある。これは、焦点検出精度に敏感な再結像レンズ12と光電変換素子13間に取付け時や腕部14dの変形時の影響を与えないように考慮し、また、焦点検出光学系を構成する反射鏡9にも直接影響を与えないように基部14lを再結像レンズ12と反射鏡9間の筐体14側面部に設けている。
【0060】
腕部14dの先端部近傍には、筐体14をカメラ本体を構成する部材に取付けるための取付穴14i及び位置決めピン14kが設けられている。また、腕部14dの基部14lと取付穴14iの間には多数の屈曲部14m〜14tが備えられている。尚、腕部14dと略対称な位置に設けられる反対側の腕部14c(不図示)についても同様の構成である。
【0061】
以下に、図8、図9を加えて、筐体14の腕部14dの屈曲部14m〜14tについて説明する。
【0062】
図8は、図7において下方から見た筐体14の片側腕部14d拡大正面図で、カメラ本体を構成する部材23にカラー20を介して取付ねじ21で固定されている状態を示している。一方、図9は図7において左方から見た筐体14の側面図である。
【0063】
尚、これらの図において、第1の実施形態の図1〜図6及び図7と同様の記号を付した部材は同様の部材である。筐体14の腕部14dは、取付穴14iと基部14lの間に多数の屈曲部14m〜14tを備えているわけだが、図8においては、腕部14dは波型に屈曲しており、その屈曲部14m、14n、14o、14pが図示されている。同様に図9においては、腕部14dは波型に屈曲しており、その屈曲部14q、14r、14sが図示されている。
【0064】
尚、腕部14dと略対称な位置に設けられる反対側の腕部14c(不図示)についても同様の構成である。このように、腕部14dをL字型とし、取付穴14iと基部14lの間を波型に屈曲させることで、焦点検出装置を大型化させることなく、筐体14の反射鏡9、再結像レンズ12、光電変換素子13などが保持される部分から取付穴14iまでの沿面距離を第1の実施形態の場合よりも更に長くすることが可能である。
【0065】
従って、カメラの周囲の環境が変化して筐体14に体積変化を生じても、取付穴14iと基部14lの間の腕部14dが板ばねのような役割を果たし、筐体14の反射鏡9、再結像レンズ12、光電変換素子13を保持する部分にほとんど影響を及ぼさない。また、腕部14dの取付け固定される取付穴14iまでの沿面距離も十分に長くとる構成としているので、腕部14dに変形が生じても、その変形を再現性の高い弾性変形内に確実に留めることができる。従って、焦点検出信号の温度補正も再現性を損なうことなく高精度の補正が可能である。
【0066】
上記実施形態においては、カメラの位相差型の焦点検出装置を例に説明してきたが、本発明は、ボケ(コントラスト)検出方式、三角測距方式等の焦点検出装置にも用いることができ、更に、カメラのみにとらわれることなく、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラ等の焦点検出装置を搭載した機器に利用することができる。また、測光装置やデジタルカメラの撮像素子を保持するユニット等、高精度の位置合わせを必要とする光学装置の筐体にも応用することができる。
【0067】
【発明の効果】
以上のように本願発明によれば、焦点検出装置を構成する部材の相対的位置関係も再現性を損なうことがなく、焦点検出信号の温度補正も容易である。また、従来例のようにコイルバネを使用しなくても屈曲部を有する腕部が変形することで製造誤差を吸収することができ、保持部材の組み付け後に、焦点検出装置を構成する部材の相対的位置関係が崩れることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の位相差型焦点検出装置を一眼レフレックスカメラに適用した場合の光学的基本構成を示す中央断面図である。
【図2】第1の実施形態における焦点検出装置を拡大した中央断面図である。
【図3】第1の実施形態における焦点検出装置の組立て分解斜視図である。
【図4】第1の実施形態における筐体の片側腕部のみを拡大した部分拡大上面図である。
【図5】第1の実施形態における筐体がカメラ本体を構成する部材に取付け固定されている状態で、片側腕部のみを拡大した部分拡大正面図である。
【図6】第1の実施形態における筐体がカメラ本体を構成する部材に取付け固定されている状態で、片側腕部のみを拡大した部分拡大正面図である。
【図7】第2の実施形態における筐体の片側腕部のみを拡大した部分拡大上面図である。
【図8】第2の実施形態における筐体がカメラ本体を構成する部材に取付け固定されている状態で、片側腕部のみを拡大した部分拡大正面図である。
【図9】第2の実施形態における筐体の側面図である。
【図10】従来例の焦点検出装置を一眼レフレックスカメラに適用した場合の光学的基本構成を示す中央断面図である。
【図11】従来例の焦点検出装置の組立て分解斜視図である。
【符号の説明】
1 撮影レンズ
2 主ミラー
3 フィルム面
4 焦点板
5 ペンタプリズム
6 接眼レンズ
7 楕円ミラー
8 焦点検出装置
9 反射ミラー
10 赤外線カットガラス
11 絞り
12 再結像レンズ
13 光電変換素子
14 筐体
14c、14d 腕部
15 反射防止部材
16 遮光部材
17 センサーホルダー
181,182 センサー調整アジャスター
19 アジャスター板
20 カラー
21 取付ねじ
Claims (2)
- 光束を結像させる結像光学系と、
前記結像光学系により結像される像を電気信号に変換する光電変換素子と、
前記結像光学系及び前記光電変換素子を所定の位置に保持する保持部材と、
前記光電変換素子の前記保持部材に対する位置および角度を調整可能なセンサー調整アジャスタとを備え、
前記保持部材に光軸と垂直な方向に折り曲げられた複数の屈曲部を有する第1、第2の腕部が光軸を挟んで略対象な位置に光軸と略垂直な方向に延出形成され、当該延出形成される腕部の端には前記保持部材を他の部材に固定するための固定部が当該延出形成される腕部の中心線以外の領域に設けられることを特徴とする焦点検出装置。 - 前記腕部は、前記保持部材が前記結像光学系を保持する部分と前記光電変換素子を保持する部分に挟まれる領域を避けて延出形成されることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
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Patent Citations (2)
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JPS6219611U (ja) * | 1985-07-19 | 1987-02-05 | ||
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