JP4550274B2 - アブラナ属の粒子射入形質転換 - Google Patents

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、粒子射入法(particle bombardment)によるアブラナ属植物(Brassica)の形質転換に関係する方法および材料に関する。
【0002】
発明の背景
アブラナ属植物の種には、ヒトが野菜、食用油および香辛料として使用する農業上重要な作物の大きな群が含まれる。実際、アブラナ属の植物油の生産量が占める割合は、世界の食用油の12%を超える。農業上重要な作物の品質を向上させるために、栽培者達は伝統的に従来の育種法に頼ってきた。しかし現在では、植物の分子生物学および遺伝学における今日の進歩により、栽培者達は植物の品質を外来DNAの導入により改良することができる。
【0003】
植物を形質転換するために幾つかの異なる方法が使用されてきた。一般的に用いられている1つの方法では、目的のDNAでコーティングした微粒子を植物細胞に射入する。実際に、トウモロコシ、大豆、小麦およびイネを形質転換するために、粒子射入法は広く使用されてきた。しかし、粒子射入法を用いてアブラナ種を形質転換する試みは、成功したことがない。現に、アブラナ属植物の形質転換を成功させる唯一の方法は、アブラナ属植物の胚の実質的な操作を必要としていた。従って研究者らは現在のところ、アブラナ属植物を形質転換するために、アグロバクテリウムを媒介とした方法など、他の方法に頼っている。
【0004】
発明の概要
本発明では、粒子射入法によりアブラナ属植物の種の形質転換を行う。特に、本発明は、培養、粒子射入法による形質転換、植物体への再生が可能なアブラナ属の細胞を調製することができる簡便な組織調製法の発見に基づく。さらに本発明は、形質転換細胞、ならびに成長して成熟し、種子を実らせる再生植物を提供する。このような再生植物およびその子孫は、導入された核酸分子を安定に発現する。本明細書中に記載された本発明の方法の簡便さは、粒子射入法によるアブラナ属の形質転換を可能とするだけでなく、経済的にも実施可能なものとする。
【0005】
本発明の1つの態様は、非胚アブラナ属組織から調製した細胞に核酸でコーティングしたミクロ粒子弾を射入するステップ、および該核酸で形質転換された細胞を同定するステップを含む、形質転換されたアブラナ属細胞の作製方法を提供する。核酸で形質転換された細胞は、射入された細胞を浮揚装置上に置き、該浮揚装置を液体選択培地に接触させ、生き残った細胞を選択することにより、同定することができる。この方法は、形質転換した細胞からのアブラナ属植物の再生をも含む。例えば、同定した細胞を、液体再生培地に接触する浮揚装置上に置くことができる。非胚アブラナ属組織から調製した細胞は2倍体であってもよい。さらに、非胚アブラナ属組織は、実生苗、例えば4〜6日齢の無菌の実生苗等から得ることができる。細胞は、非胚アブラナ属組織から、組織をカットして切片とし、該切片を誘導培地と接触させることにより、調製することができる。例えば細胞は、非胚アブラナ属組織から、実生苗から胚軸をカットして複数の切片とし、これらの切片を縦方向にスライスし、この縦方向スライスの表皮側を誘導培地と接触させる方法により、調製することができる。また細胞は、非胚アブラナ属組織から、組織を解離させて細胞スラリーとする方法により、調製することができる。例えば、実生苗から胚軸の下側部分を除去し、残った上側部分(苗条の先端、子葉、および10〜50%の胚軸を含む)と誘導培地とを組み合わせ、この組合わせを解離させて細胞スラリーとする方法により、非胚アブラナ属組織から細胞を調製することができる。さらに、この細胞スラリーは46〜230ミクロンの大きさの細胞物質について富化することもできる。アブラナ属細胞を形質転換するのに使用する核酸は、ポリペプチドの発現を調節するもの、またはポリペプチドをコードするものであることができる。例えば、核酸はアンチセンス分子、例えばリボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドをコードすることができる。さらに、アブラナ属組織は、Brassica napus、Brassica juncea、Brassica carinata、Brassica nigra、Brassica oleracea、およびBrassica campestris(「rapa」とも呼ばれる)などのアブラナ属植物の種から得ることができる。
【0006】
本発明の他の態様は、非胚アブラナ属組織から得た細胞に、核酸でコーティングしたミクロ粒子弾を射入し、該核酸で形質転換された細胞を同定することにより作製された、アブラナ属細胞およびその子孫を提供する。
【0007】
本発明の他の態様は、液体培地に接触した浮揚装置の上にアブラナ属組織を配置するステップを含む、アブラナ属組織の培養方法を提供する。この液体培地は選択培地であってもよい。選択培地上でアブラナ属組織を培養すると、核酸で形質転換されたアブラナ属組織の同定を行うことができる。さらに、この液体培地は再生培地であってもよい。再生培地上でアブラナ属組織を培養すると、アブラナ属組織からアブラナ属植物を再生することができる。
【0008】
特に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されたものと類似のまたは同等の方法および材料を、本発明の実施または検査において使用することができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。本明細書中に記載された全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は全て、参考として本明細書中に組み込まれるものとする。抵触する場合、本明細書(定義を含む)を優先する。さらに、材料、方法および実施例は単に例示のためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求の範囲より明らかであろう。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、粒子射入法によるアブラナ属植物の形質転換に関する方法および材料を提供する。特に、本発明は、アブラナ属植物の細胞を培養し、粒子射入法により形質転換し、植物体へと再生させることができるような、非胚アブラナ属組織の調製方法を提供する。また本発明は、安定に形質転換されたアブラナ属細胞およびその子孫も提供する。形質転換された植物は、本明細書中においてトランスジェニック植物とも呼ばれる。
【0011】
組織の調製
細胞または組織の調製物とは、粒子射入法に適するようにアレンジされた細胞または組織の一群として定義される。形質転換を首尾良く行うために、細胞または組織調製物は、比較的多数の細胞、好ましくは核酸でコーティングした粒子を受け取ることができるように表面を露出させた、急速に分裂する細胞を、提供する。さらに、受容細胞は成長し続けて植物を再生することができなければならない。多くの非胚アブラナ属細胞または組織の供給源を使用して、これらの基準に合う細胞または組織調製物を調製することができる。例えば、アブラナ属から得た葉のプロトプラスト、単離した小胞子の培養物、茎組織、および胚軸組織をアブラナ属細胞の供給源として使用することができる。非胚組織供給源を用いると、形質転換処理が大幅に簡易化される。一般的には、無菌条件下で育った若い実生苗から調製した胚軸組織を使用する。この場合、胚軸を縦方向の薄片にカットする。あるいは、実生苗の上側部分を砕いて細胞スラリーとすることができる。このような上側部分は、2つの子葉、苗条の先端、および胚軸の一番上の部分を含み得る。
【0012】
細胞スラリーは、生存能のある細胞を含む不溶性細胞物質の液状懸濁物である。アブラナ属組織をつぶして細胞スラリーにするために、ブレンダーを使用することができる。さらに、不溶性細胞物質のサイズに基づいて、細胞スラリーを幾つかのグループに分別することができる。例えば、特定サイズの不溶性細胞物質を富化するように一連のメッシュを使用して、細胞スラリーを選別することができる。細胞スラリーが生存能のある細胞を含む限り、あらゆるサイズの細胞スラリーを粒子射入法で使用することできる。例えば、細胞スラリーを、約35ミクロン〜約500ミクロンのサイズ、または約46ミクロン〜約230ミクロンのサイズの細胞物質について富化し、粒子射入法で使用することができる。
【0013】
アブラナ属組織の調製物は、二倍体または半数体細胞を含むことができる。二倍体細胞を用いる場合、得られる形質転換細胞は各組込み部位においてヘテロ接合型である可能性の高いことが理解されよう。換言すると、導入された核酸のコピーが両方の染色体の同じ位置に組み込まれる可能性は非常に低い。しかし、半数体細胞を用いる場合は、得られる形質転換された半数体細胞は、コルヒチンで処理して染色体を2倍にすることができる。このように、得られる細胞は各組込み部位でホモ接合性である可能性が最も高い。あるいは、得られる形質転換半数体細胞から半数体植物を再生することができる。次に、これらの半数体植物を他の植物と交配させて、特定の組込み部位でヘテロ接合性またはホモ接合性である植物を作製することができる。さらに、導入された核酸配列がゲノムに組み込まれた細胞は、安定に形質転換された細胞と呼ばれる。安定に形質転換された細胞は、典型的には、導入された核酸配列を各細胞分裂と共に保持する。導入された核酸配列がそのゲノムに組み込まれていない細胞は、一過性形質転換細胞と呼ばれる。一過性形質転換細胞は一般に、導入された核酸配列のある部分を各細胞分裂と共に失う。このように形質転換細胞は、一過性でおよび/または安定に形質転換されたものであり得る。
【0014】
非胚アブラナ属組織の調製物は、射入前に、誘導培地(例えば固形誘導培地)で培養することができる。一般的に、固形培地は液体培地に寒天を加えることにより作られる。典型的には、誘導培地はMurashige and Skoog(MS)培地、ならびに比較的高濃度のオーキシン(例えば2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D))および比較的低濃度のサイトカイニン(例えばカイネチン)を含む。例えば、2,4-D(1mg/L)およびカイネチン(0.3mg/L)をMS培地に添加して使用することができる。さらに、組織調製物は通常、射入前に1〜3日間誘導培地上で培養される。
【0015】
本発明の目的のために、固形および/または液体組織培養法を使用することができる。例えば誘導培地、選択培地、および再生培地は、固形でも液体であってもよい。固形培地を使用する場合、アブラナ属組織を直接培地に載せることもできるし、フィルター膜に載せてからこのフィルター膜を培地に接触させることもできる。液体培地を使用する場合、液体培地に接触させた浮揚装置にアブラナ属組織を載せることができる。浮揚装置は、一般的には他の文献(例えば米国特許第5,324,657号)に記載されたような多孔性膜である。浮揚装置、浮揚装置を用いる方法および液体培養法に役立つ補助装置の例は、Life Technologies社(Rockville, MD)およびOsmotek社(イスラエル国、Kiryat Weizmann Rehovot 76120)等の製造会社から容易に入手することができる。一般的に、より急速に増殖する組織を液体培地で培養する。例えば、液体選択培地および液体再生培地を使用して、Brassica juncea組織を培養することができる。
【0016】
核酸分子
環状または線状の核酸分子を使用して粒子をコーティングし、次にこの粒子を用いてアブラナ属を形質転換することができる。さらに、これらの核酸分子はRNAまたはDNA(cDNA、ゲノムDNAおよび合成(例えば化学合成した)DNAを含む)であってもよく、また二本鎖または一本鎖であってもよい。一本鎖の場合、核酸はセンス鎖またはアンチセンス鎖であることができる。また、これらの分子の断片も、本発明の範囲内であると考えられ、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により生成したり、または1以上の制限エンドヌクレアーゼで処理して生成することができる。RNA分子は、例えばin vitro転写により生成することができる。
【0017】
本発明の核酸分子は一般に、ポリペプチドをコードするもの、またはポリペプチドの発現を調節するものである。例えば、酵素をコードするcDNAまたは酵素の産生を妨げるアンチセンス分子を使用することができる。「アンチセンス分子」という用語は、天然に生じるポリペプチドのコード鎖に相補的な配列を含む任意の核酸分子を包含する。またアンチセンス分子は、フランキング配列(例えば調節配列)またはイントロンも含み得る。このように、アンチセンスオリゴヌクレオチドと同様に相補的アンチセンス配列(例えばリボザイム)を用いることにより、RNAを特異的にターゲッティングして切断する酵素的核酸分子は、本発明の範囲内のアンチセンス分子とみなされる。これらのリボザイムは、該分子がRNAを切断するのであれば、ヘアピン、ハンマーヘッド、またはオックスヘッド構造(これらに限定されない)を含むあらゆる一般構造を有することができる。
【0018】
一般に、本発明の核酸分子はプラスミド形態であり、ポリペプチドをコードする配列およびアブラナ属細胞中に存在するときに該ポリペプチドの発現を促進する配列を含む。ポリペプチドの発現を促進する配列は、一般的にはそのポリペプチドコード配列に隣接する調節配列である。ポリペプチドは、合成的に作製されるポリペプチドであっても、生物学的に誘導されるポリペプチドであってもよい。さらに、該ポリペプチドは、アブラナ属植物中に天然に存在するものであっても、アブラナ属に対して異種のものであってもよい。このように、アブラナ属ポリペプチド、植物ポリペプチド、非植物ポリペプチド、改変ポリペプチド、合成ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドの一部は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0019】
植物を首尾良く形質転換するための核酸分子の組成および該核酸分子を構築する方法は、当業者に公知である。例えば、適切な核酸成分(例えばプロモーター、ポリアデニル化配列、選択マーカー配列、レポーター配列、エンハンサー、イントロンなど)の使用法およびこれらの成分の具体的な組成を提供する文献は、ほかに記載されている(Weisingら、Ann.Rev. Genetics 22:421-478(1988))。さらに、適切な構築方法が他の文献に記載されている(Sambrook J.ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))。本明細書中において、これらと同じまたは類似した組成および方法を、アブラナ属の形質転換に有用な核酸分子を作製するために使用することができることに注目することは重要である。なぜなら、アブラナ属を形質転換するために使用する核酸分子の具体的な組成は、本発明の中心ではなく、本発明は使用する特定の形質転換核酸分子の組成に依らないからである。
【0020】
アブラナ属の形質転換に特に有用な核酸分子には、得られる形質転換されたアブラナ属植物の有益な特徴を提供または強化するDNA分子が含まれる。例えば該DNAは、食料としての価値、生産高、病害虫抵抗性、病害抵抗性等を高めるポリペプチドまたはアンチセンス分子をコードすることができる。具体的な例としては、脂肪酸組成を変える異種脂肪酸デサチュラーゼ(desaturase)または脂肪酸エロンガーゼ(elongase)、または昆虫耐性を付与するBt-エンドトキシン遺伝子またはプロテアーゼインヒビター;グリホサート(glyphosate)除草剤に対する耐性を付与する細菌性ESPSシンターゼ遺伝子;および殺菌性を付与するキチナーゼまたはグルカンエンド-1,3-B-グルコシダーゼ遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、該核酸分子をアブラナ属に導入し、突然変異体を作製する遺伝的ツールとして機能させたり、かつ/またはアブラナ属DNAのセグメントの同定、遺伝子のタグ付けもしくは単離に役立たせたりすることができる。有益な特徴を提供したり、遺伝子ツールとして有用である他の核酸分子は、当業者に一般的に知られており、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0021】
またアブラナ属に導入されるこの核酸分子は、選択マーカーもしくはレポーター、またはその両方をコードする核酸配列を含むこともできる。アブラナ属におけるこれらの配列の発現は、安定に形質転換された細胞若しくは一過性形質転換細胞、またはその両方の同定および選択を容易にすることができる。あるいは、選択マーカーは、同時形質転換法を用いて導入される別の核酸分子上に担持させることができる。これらの選択マーカーおよびレポーターをコードする配列を、アブラナ属における発現を容易にする適切な調節配列に隣接させることができる。有用な選択マーカーは当分野では公知であり、例えば抗生物質耐性遺伝子および除草剤耐性遺伝子が挙げられる。このような遺伝子の具体的な例は、他の文献に開示されている(Weisingら、Ann. Rev. Genetics 22:421-478(1988))。典型的な選択マーカー遺伝子は、抗生物質であるカナマイシン、ネオマイシンおよびG418(ジェネティシン(geneticin))に対する耐性を付与するポリペプチドをコードする、トランスポゾンTn5のアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子(AphII)である。当分野で知られている他の選択マーカーには、大腸菌から得られるハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(HPT)コード遺伝子、ならびにグリホサート、メトトレキセート、ホスフィノスリシン(phosphinothricin)、イミダゾリノン(imidazolinones)、スルホニル尿素、ブロモキシニルおよびダラポン等に対する耐性もしくはトレランスを付与するポリペプチドをコードする遺伝子が含まれる。形質転換されたアブラナ属植物における、除草剤耐性またはトレランスを付与する選択マーカー遺伝子の発現は、商業的に有用である。
【0022】
簡単にアッセイすることが可能なマーカーポリペプチドをコードするレポーター遺伝子は、当分野において公知である。一般に、レポーター遺伝子は、受容生物または組織中に存在しないまたは発現されない遺伝子であって、その発現が簡単に検出しうる特性(例えば表現型の変化または酵素活性)により示されるポリペプチドをコードする遺伝子である。このようなレポーターの例は他の文献に記載されている(Weisingら、Ann. Rev. Genetics 22:421-478(1988))。典型的なレポーターとしては、生物発光クラゲAequorea victoriaに由来する緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子、GFPの変異体、大腸菌のTn9に由来するクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、大腸菌のuidA遺伝子座のβ-グルクロニダーゼ遺伝子、および蛍Photinus pyralisに由来するルシフェラーゼ遺伝子が挙げられる。GFPおよびGFP変異株の核酸配列を含むベクターは、Clontech Laboratories社(Palo Alto, CA)から市販されている。GFPアプリケーション・ノート(Living Colors(商標);PT2040-1;Clontech Laboratories社)は、GFPおよびGFP変異体の両方について記載している。
【0023】
本発明において有用な調節配列には、植物細胞において機能する、あらゆる構成的、誘導性、組織もしくは器官特異的、または発生段階特異的なプロモーターが含まれる。好適なこのようなプロモーターは他の文献に開示されている(Weisingら、Ann. Rev. Genetics 22:421-478(1988))。以下は、本発明で使用するのに適した代表的なプロモーターの一部を掲載したリストである: アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のT-DNAに由来する調節配列、例えばマンノピン・シンターゼ、ノパリン・シンターゼ、およびオクトピン・シンターゼ;トウモロコシに由来するアルコール・デヒドロゲナーゼプロモーター;様々な種に由来するリブロース二リン酸カルボキシラーゼの小サブユニット遺伝子などの光誘導性プロモーター;主要なクロロフィルa/b結合タンパク質遺伝子プロモーター;カリフラワー・モザイクウイルスの35Sおよび19Sプロモーター;発生的に調節されるプロモーター、例えばオレオシン(oleosin)、クルシフェリン(cruciferin)、ナピンおよびファセオリン(phaseolin)プロモーター;ならびに誘導可能もしくは構成的な合成プロモーターまたは他の天然プロモーター、例えば器官特異的発現または植物の特定の発生段階における発現を示すプロモーター。
【0024】
特に好適なプロモーターは、種子特異的発現を可能とするプロモーターである。このようなプロモーターは、種子が植物油の主な供給源であるため、および種子特異的発現により非種子組織におけるあらゆる潜在的な有害作用が回避されるため、有用である。種子特異的プロモーターの例としては、種子貯蔵タンパク質のプロモーター(多くの植物において種子の総タンパク質量の最大90%を占めることがある)が挙げられるが、これに限定されない。種子貯蔵タンパク質は厳密に調節され、非常に組織特異的に、および段階特異的に、種子中にほぼ独占的に発現される(Higginsら、Ann. Rev. Plant Physiol 35:191-221(1984);Goldbergら、Cell 56:149-160(1989))。さらに、異なる種子貯蔵タンパク質は、種子の発生の異なる段階で発現され得る。
【0025】
種子特異的遺伝子の発現は、非常に細かい点に及んで研究されてきた(概説については、Goldbergら、Cell 56:149-160(1989)およびHigginsら、Ann. Rev. Plant Physiol. 35:191-221(1984)を参照されたい)。トランスジェニック双子葉植物における種子貯蔵タンパク質遺伝子の種子特異的発現については、現在多くの例がある。
【0026】
種子特異的プロモーターの他の例は、初期の胚形成期および油生合成の間に発現される遺伝子に由来するプロモーターである。例えば、脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子の天然調節配列(天然プロモーターを含む)は、単離した後、当業者により使用され得る。例えばBrassica napusイソクエン酸リアーゼおよびリンゴ酸シンターゼ(Comaiら、Plant Cell 1:293-300(1989))、ベニバナ(Thompsonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA88:2578-2582(1991))およびヒマ(Shanklinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:2510-2514(1991))に由来するδ-9デサチュラーゼ、Arabidopsis(Post-Beittenmillerら、Nucl. Acids Res. (1989) 17:1777)、Brassica napus(Saffordら、Eur. J. Biochem. 174: 287-295(1988))およびBrassica campestris(Roseら、Nucl. Acids Res. 15:7197(1987))に由来するアシルキャリヤータンパク質(ACP)、大麦(Siggaard-Andersenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA88:4114-4118(1991))に由来するβ-ケトアシル-ACP合成酵素、ならびにトウモロコシ(Leeら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA88:6181-6185(1991))、大豆(Genbank受託番号X60773)およびBrassica napus(Leeら、Plant Physiol. 96:1395-1397 (1991))に由来するオレオシン等の、種子油の生合成に関与する他の遺伝子から得た異種プロモーターを使用することができる。
【0027】
また核酸分子は、イントロン、エンハンサーおよびポリアデニル化配列等の他のエレメントを含むこともできる。このようなエレメントは、その核酸分子の機能に必要であっても無くてもよいが、転写、mRNAの安定性等に影響を及ぼすことにより該核酸の発現または機能の向上を提供することができるものである。このようなエレメントは、植物中の形質転換用核酸の最適な性能を得るために、所望どおりにその核酸分子中に含ませることができる。しかし、選択マーカーが満足に機能するに十分な発現は、しばしばイントロンの不在下で得られる。
【0028】
核酸成分の特定の組合せが希望通りに機能するかどうかを調べるために、アブラナ属受容細胞を、この特定の組合せおよびレポーターの両方を含む核酸分子構築物を用いた粒子射入法により、安定した状態でまたは一過性に形質転換することができる。形質転換後の適当な時点で、レポーターの発現についてアッセイを行うことができる。例えばあるアッセイは、大腸菌β-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子の一過性発現の同定を伴う(Jeffersonら、EMBO J. 6:3901-3907(1987))。この場合、アッセイを行うのに適した時期は、射入の約1〜3日後である。一過性アッセイの使用は、所望のアブラナ属受容細胞と適合することが以前に示されていなかったまたは確認されていなかった成分を含む核酸分子を使用する場合、特に重要である。
【0029】
粒子射入法
粒子射入法を用いて、本明細書中に記載される核酸分子を非胚アブラナ属組織の調製物中に導入する。好適な粒子射入用器具および粒子射入法の一般的な説明は、他の文献に記載されている(Sanfordら、J. Part. Sci. Technol. 5:27-37(1987); Heiser W., “Optimization of Biolistic(登録商標) transformation using the helium-driven PDS-1000/He system” in US/EG Bulletin 1688, BIO-RAD;およびDunderら、”Comparison of performance characteristics of different Biolistic(登録商標) devices” in US/EG Bulletin 1689, BIO-RAD)。簡潔に述べると、粒子射入法(「バイオリスティック法(Biolistic(登録商標) process)」とも呼ばれる)は、生物学的に不活性な材料から作られ、核酸分子でコーティングされた非常に小さな粒子を用いて、所望の核酸分子を細胞に送達する。該不活性粒子を核酸分子でコーティングして好適な速度に加速させると、1以上の粒子が1以上の細胞の中に入りこみ、該核酸分子は該粒子から放出されてその細胞の中で発現される。これらの細胞のうちの幾つかは射入過程で致命的なダメージを受けるが、幾つかは生き残る。生き残った受容細胞のうちの幾つかは、導入された核酸分子を安定に保持し、これを発現する。
【0030】
ミクロ粒子弾(microprojectiles)と呼ばれるこの粒子は、一般に密度の高い材料(例えばタングステンや金など)から製造される。これらは目的の核酸分子でコーティングされる。コーティング手順は、他の文献に詳細に記載されている(Stanfordら、Methods Enzymol. 217:483-509(1993)およびHeiser W., “Optimization of Biolistic(登録商標) transformation using the helium-driven PDS-1000/He system” in US/EG Bulletin 1688, BIO-RAD”)。次にこのミクロ粒子弾を、好適なエネルギー源からこれらのミクロ粒子弾へと原動力を伝達する機能を持ったマクロ粒子弾の表面に載せる。このマクロ粒子弾およびミクロ粒子弾は適当な速度に加速したあと、ブロッキング装置に接触し、このブロッキング装置はマクロ粒子弾がさらに前進し続けるのを防ぐ一方、核酸分子がコーティングされたミクロ粒子弾を前進させて、受容アブラナ属細胞にぶつけさせる。好適な器具は、高圧ヘリウムタンク、砲撃力、およびアーク式放電からの衝撃波などの様々な原動力を使用することができる(Sanfordら、J. Part. Sci. Technol. 5:27-37(1987)、およびSanfordら、Technique 3:3-16(1988))。
【0031】
砲撃器具の使用についてのプロトコールは、Klein Tら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:4305-4309(1988)およびBio/Technology 6:599-563(1988))により提供されており、2つの主なステップを含む。第1に、タングステン製ミクロ粒子弾を、核酸分子、塩化カルシウムおよびスペルミジン遊離塩基と、水性溶液中において所定の順番で混合させて、コーティングする。様々な成分の濃度は変えることができる。例えば、受容アブラナ属細胞が導入された核酸分子を発現する限り、あらゆる濃度の核酸分子を使用することができる。第2に、実際の粒子射入法において、バレルの端部から受容細胞までの距離、およびサンプル室中の減圧度の両方を設定する。これらの設定も、他の文献に記載されており(Kleinら、Bio/Technology 6:599-563(1988))、変えることができる。
【0032】
高圧ヘリウムタンク器具(Biolistc PDS-1000/He Particle Delivery System)の使用のためのプロトコールは、製造業社(BIO-RAD、カリフォルニア州ヘラクレス)により提供されている。ミクロ粒子弾のコーティングに使用する核酸分子の濃度、ミクロ粒子弾を加速するために使用するヘリウムの圧力、およびサンプルからストップ膜までの距離等の具体的な条件は、変えることができる。典型的には、受容組織はストップ板トレイの約6〜9cm下方に配置される。
【0033】
本明細書中に記載される具体的なアブラナ属組織の調製物をペトリ皿または他の表面上に置いて、本質的にいかなる様式に並べてもよいが、(I)皿の中心の領域が最も濃い濃度の核酸分子コーティング粒子を受け取り、そこに位置する組織が射入の間にダメージを受けること、および(ii)細胞に到達した粒子の数は射入領域の中心からの細胞の距離が大きくなるにつれて減少し、その皿の中心から遠く離れた細胞には粒子が射入されておらず、形質転換されていないことを確認する。Biolistic(登録商標) PDS-1000/He Particle Delivery System (BIO-RAD、カリフォルニア州ヘラクレス)は、受容細胞にミクロ粒子弾をより均等な分布で送達することができる。場合により、メッシュスクリーン(好ましくは金属製)を皿の上に載せ、組織が飛び散ったり噴出したりするのを防ぐことができる。組織には、核酸分子をコーティングした粒子を1回以上射入することができる。さらに、細胞には、単一のタイプの核酸分子または複数の異なる核酸分子でコーティングした粒子を射入することができる。同様に、組織調製物には、それぞれ異なる核酸分子でコーティングされた異なる粒子セットを含む、粒子の集合を射入することができる。
【0034】
形質転換されたアブラナ属の同定
アブラナ属組織の調製物にコーティングした粒子を射入して核酸分子が幾つかの細胞の中に入り込んだら、該核酸分子を含み且つ十分な再生能力を保持している細胞を同定することが必要である。形質転換した植物細胞を同定するための多くの方法を使用することができ、これらの方法は当業者に公知である。簡潔に、有用であることが判明した2つの一般的な方法について記載する。第1は、形質転換したアブラナ属細胞または該細胞から再生した植物を種々の標準的な方法(例えば該核酸分子中に含まれるレポーターの発現についてのアッセイ、および、(あれば)核酸分子の発現により引き起こされる表現型の影響の評価が挙げられるが、これに限定されない)により該核酸分子の存在についてスクリーニングすることができる。第2に、選択マーカー配列を該核酸分子と共に、または該核酸分子の一部として、導入することができる。この場合、形質転換細胞は、その選択マーカーの発現を検出するための選択用薬剤を使用することにより同定することができる。
【0035】
選択条件は、形質転換細胞の増殖および蓄積を可能とすると同時に非形質転換細胞の増殖を阻害するように選択しなければならない。この状況は、集団の中の個々の細胞の生命力がしばしば近くの細胞の生命力に高く依存するため、複雑化する場合がある。さらに選択条件は、形質転換細胞の植物再生能力および得られた植物の生殖能力が妨げられるほど過酷なものであってはならない。従って、細胞の生命力および形態学に対する選択用薬剤の影響を評価しなければならない。これは、所与の選択用薬剤および組織について増殖阻害曲線を実験的に作成し、これにより、増殖を阻害しない濃度範囲を確立することにより前もって行うことができる。
【0036】
選択マーカーを使用する場合、射入されたアブラナ属組織は非選択培地上で射入から回復させるか、または選択用薬剤を含む培地に直接移すことができる。
【0037】
選択手順は、典型的には、射入した組織を毒性薬剤に曝す工程を含む。連続的に変化させた濃度の該薬剤にこの組織を曝し、複数回選択を行うことができる。具体的な濃度およびサイクルの長さは、典型的には、使用する具体的な薬剤によって異なる。さらに、この選択手順では、初回の選択では比較的低濃度の毒性薬剤を使用し、後の回ではより高濃度のものを使用することができる。これにより、より長い時間かけてこの選択用薬剤にその毒性効果をゆっくり発揮させることができる。最初に、該薬剤の濃度は約5〜40%レベルの増殖阻害が起こるようなものとすることができ、このレベルは増殖阻害曲線から決定される。最終目標は、形質転換細胞を増殖させて優先的に分裂させる一方で非形質転換細胞を阻害することであるが、形質転換細胞の増殖を妨げない程度である。少数の個々の形質転換細胞が十分に増殖したら、より高濃度の毒性薬剤を含む培地に組織を移してほぼ全ての非形質転換細胞を殺すことができる。また、高濃度へ移すことによって、非形質転換細胞がその薬剤に慣れる可能性を低減させる。より高濃度とは、約30〜100%増殖を阻害する濃度とすることができる。第1回目の選択サイクルの長さは約1〜4週間、典型的には約2週間とすることができる。後の選択サイクルは、約1〜約12週間、典型的には約2〜約10週間とすることができる。推定アブラナ属形質転換体は一般に、非増殖細胞のバックグラウンドに対する組織または細胞の増殖領域として同定することができる。射入されたアブラナ属組織は、全体的な選択手順において様々な回数で非選択培地上でも培養することもできる。
【0038】
ある領域が推定形質転換体であると同定されると、表現型および/または遺伝子型分析により形質転換を確認することができる。選択用薬剤を使用する場合、表現型分析の1つの例としては、様々なレベルの選択用薬剤上における対照と比較した推定形質転換体の生体重の増加を測定する工程を挙げることができる。使用することができる他の分析は、導入された核酸分子の機能に依存するであろう。例えば、酵素または他のポリペプチドがその核酸分子によりコードされている場合、その特定の酵素またはポリペプチドに特異的な酵素的または免疫学的アッセイを使用することができる。導入した核酸分子の発現を検出するのに適した特定のバイオアッセイおよび化学アッセイ法は当分野で周知であり、ここでは繰り返さない。その核酸自体の存在は、従来法(すなわちサザンブロット、ノーザンブロット、またはPCR分析など)によって確認することもできる。
【0039】
アブラナ属植物の再生
形質転換したアブラナ属細胞を植物へと再生させ、得られた植物の生殖能力を調べることができる。簡潔には、形質転換について試験して陽性であった細胞を、組織分化および植物再生を促進する培地上に置く。再生培地の例としては、比較的低濃度のオーキシン(例えばインドール-3-酢酸(IAA))および比較的高濃度のサイトカイニン(例えばゼアチン)を含むMS培地が挙げられるが、これらに限定されない。当分野で周知の標準的な手法に従って、特定の再生処理を行うことができる。典型的には、これらの手法はオーキシンのレベルの低減を伴う。また再生培地は、選択培地で使用した選択用薬剤と同じものを含むこともできる。再生した植物は、栽培室または温室内で育てて成熟させ、適当に性交配または自家受粉させることができる。
【0040】
この植物再生は、本発明にとって重要であるが、あらゆる従来法により行うことができることに留意することが重要である。例えば、選択マーカーが細胞内に導入されたら、再生した植物の苗が形質転換されていることをさらに確認するために、選択用薬剤を再生培地中に導入することができる。再生技術は周知であり、本発明において特に限定する必要はないので、再生を行って生殖能力のある植物を生成する任意の技法を使用することができる。
【0041】
子孫の分析
形質転換したアブラナ属から再生した植物をR0世代またはR0植物と呼ぶ。R0世代の植物の様々な性交配により生成された種子をR1子孫またはR1世代と呼ぶ。R1種子が発芽したときに得られる植物もR1世代と呼ぶ。
【0042】
R1世代は導入した核酸分子をきちんと伝え継承しているかを確認するために分析しなければならない。この分析は、その植物の任意の部分を使用することができることを考慮して、本明細書中に記載された任意の形質転換体同定法を用いて行うことができる。さらに、任意のR1またはその後の世代(例えばR2、R3、R4など)の植物、ならびにF1またはその後の世代(例えばF2、F3、F4など)の植物を分析することができる。
【0043】
「子孫」という用語は、特定の細胞、細胞系、植物または植物系の派生物(例えば植物に実る種子およびこのような種子から派生した植物など)を含むことは、上記記載から明らかである。植物の子孫としては、R0、R1、R2およびその後の世代の植物上で形成される種子、F1、F2、F3およびその後の世代の植物上で形成される種子、またはBC1、BC2、BC3およびその後の世代の植物上で形成される種子が挙げられる。したがって、自家受粉による子孫には、最初の自家受粉のR1子孫だけでなく、R2、R3およびその後の世代も含まれる。
【0044】
トランスジェニックアブラナ属の育種
一般に、本発明で製造される形質転換アブラナ属植物の商業的価値は、多くの異なる品種にこの核酸分子を導入することができれば、絶大なものである。一般的に農家は、成熟度、抵抗性、および他の農業学的特性の差に基づいて、幾つかの異なる品種を栽培する。また、特定の栽培環境に適応する品種は、成熟度、病害耐性、および昆虫耐性などの特性における差ゆえに、通常は他の環境に適応しないため、農家は地理的環境に基づいて品種を選択しなくてはならない。そのため、所望の核酸分子を含む多くの変異体を作製することができるように、核酸分子を多数の親アブラナ属系に導入することが有利である。これは、生殖能力のある最初のトランスジェニック植物を正常なエリート近交株(normal elite inbred line)と交配し、次にその子孫をその正常な親と交配することにより逆プロセス(conversion process)(戻し交配)を行う育種プログラムにより、簡便に行うことができる。この交配から得た子孫は、これらの植物のうちの幾つかが該核酸分子を担持し、幾つかは担持しないといったふうに、分かれる。次に該核酸分子を担持している植物を再びこの正常な植物と交配させると、その子孫はもう一回分かれる。元の正常な親が、該核酸分子を含み且つ親植物に元々見られる他の全ての重要な属性を保有する遺伝子操作された株に変わるまで、この交配を繰り返す。遺伝子操作されたエリート株に変換する全てのエリート株に対して、別々の戻し交配プログラムを用いることができる。両方の親が該核酸分子についてホモ接合性であることが必要であろう。アブラナ属の育種および1つの株または品種から他のものに遺伝子を移すのに必要な手法および技術は、当業者に周知である。
【0045】
トランスジェニックアブラナ属植物の使用
本明細書中に記載されるように生産されるトランスジェニック植物は、様々な商業目的および研究目的に有用である。栽培者に有益な特性(例えば病害虫抵抗性や生産高の増大などの農業学的特性)、その植物から収穫した製品の消費者に有益な特性(例えば人間の食品または動物の餌に含まれる栄養素含量の改善)、または食品加工業者に有益な特性(改善された加工特性)を有するトランスジェニック植物を、伝統的な農業で使用するために作製することができる。アブラナ属の油および澱粉などの化学的な構成成分を食品用または産業用に抽出することができ、トランスジェニック植物を作製してこのような成分のレベルを強化または改変することができる。該植物は、様々な目的のための種子生産に使用することもできる。
【0046】
またトランスジェニック植物は、その中に含まれる核酸分子によりコードされるポリペプチドまたは他の分子の商業的製造(目的の発現分子を植物の部位や種子などから抽出または精製する製造法)に使用することもできる。さらに、トランスジェニック植物から得た細胞または組織は、培養したり、in vitroで増殖させたり、または発酵させて所望の分子を製造したり、または研究などの他の目的で使用することができる。
【0047】
またトランスジェニック植物は、商業的な育種プログラムにおいて使用したり、または関連する作物種の植物と交配または受粉させたりすることができる。核酸分子によりコードされる改良点は、例えばプロトプラスト融合などにより、あるアブラナ種から他のアブラナ種へと移し変えることができる。
【0048】
トランスジェニック植物は、研究または栽培において多くの用途を有し、これらの用途としては、後に伝統的な突然変異および選択により作製され得る有益な変異体を同定するための、挿入を用いた突然変異誘発による新しい突然変異植物の作製が挙げられる。本発明の方法を使用して、親株(proprietary line)または変異株を同定するために使用することができるユニークな「特徴配列(signature sequence)」または他のマーカー配列を有する植物を作製することもできる。
【0049】
本発明について、以下の実施例でさらに詳しく述べることとする。これらの実施例は請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。
【0050】
実施例
特定の組織調製法を用いた粒子射入法により、形質転換アブラナ属植物を作製した。
【0051】
実施例1:組織スライス調製法を用いたアブラナ属の形質転換
Brassica napus品種Westarの滅菌した種子を、寒天および30mM CaCl2を含むMS培地上で培養し、5〜6日間暗所で発芽させた。この段階での実生苗は、苗条の先端を含み高さ3〜6cmであった。組織の供給源として滅菌した種子を用いることの利点は、必要とされる設備、時間およびドナー物質の維持にかかる労力が最小限ですむことである。これらの実生苗の胚軸を収穫し、2〜3cmの長さの切片にカットした。各胚軸の小片を縦方向に半分にスライスし、表皮側を培地に接触させるように(すなわち切った表面を一般に上に向けて)誘導培地に載せた。誘導培地は、0.5〜1.0mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)および0.2〜0.3mg/Lのカイネチンを含むMS培地であった。これらの縦方向スライスを1皿あたり約20片、詰めて並べた。誘導培地上で1〜2日間培養した後、核酸でコーティングした金粒子をこの縦方向スライスに射入した。
【0052】
非胚アブラナ属細胞の射入および形質転換のための粒子をコーティングするのに使用した核酸分子は、pIMC38であった(図1)。この構築物は、2つの遺伝子、すなわちネオマイシン・ホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子およびβ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を含む。これらの遺伝子は両方とも、CaMV35Sプロモーターにより駆動され、ノパリンシンターゼ(NOS)遺伝子ターミネーターで終結した。35S-NPTII-NOSユニットおよび35S-GUS-NOSユニットを、反対方向に並べた。NPTII遺伝子は、適切に発現した場合に、培養中の該遺伝子が移入された細胞にカナマイシン耐性を付与し、発芽中にジェネティシンに対する耐性を形質転換種子に付与する、選択マーカーとして機能した。
【0053】
非胚アブラナ属細胞または組織の調製物の射入に使用した装置は、Biolistic (登録商標)PDS-1000/He System(デュポン社)であった。粒子射入法の手法は、バイオラド社:US/EG Bulletin 1688および1689に従った。使用した具体的な金属粒子は、0.6μまたは1.0μの金粒子であった。
【0054】
射入した後、縦方向スライスを誘導培地中で3日間培養した。つぎに培養物を選択培地に移した。選択培地は、選択剤であるカナマイシンを最終濃度25mg/Lまで加えた以外は、誘導培地と同じものであった。2〜3週間後、2mg/Lゼアチン、0.1mg/L IAAおよび25mg/Lカナマイシンを含む再生培地に培養物を移した。これらの細胞を再生培地上で約2週間毎に継代培養したところ、緑色の苗条が現れた。
【0055】
再生した植物の1つを選択し(「ピーター(Peter)」と名づけた)、NPTII核酸の存在について分析した。特に、葉の組織を「ピーター」から収集し、これらの細胞からDNAを抽出して、NPTII特異的プライマーを用いたPCRにより分析した。この分析により、「ピーター」から得た細胞がNPTII核酸を含んでいたことが判明した(表I)。
【0056】
再生した植物を温室で栽培して性成熟させた。「ピーター」と市販されている非トランスジェニックB. napus品種Quantumとの間で調整受粉を行った。また「ピーター」には自家受粉もさせた。
【0057】
R1種子を「ピーター」から収穫し、およびF1種子をQuantumと「ピーター」との交配から収穫し、ジェネティシン耐性について検査した。1.2g/Lのバクトアガーおよび50mg/Lまたは100mg/L ジェネティシン(Gibco-Lifesciences,II811-023)を含む試験培地に、滅菌した種子を入れた。種子を培地の約0.1〜0.4cmの深さのところに押し入れたあと、発芽状況を毎週測定し、3週間後に最終スコアを記録した。以下の記載は、種子の発芽状況をスコアリングするために使用した。典型的には、50mg/Lのジェネティシン検査培地で培養した場合、非トランスジェニック種子は高さ1.5cmまで成長し、黄色〜茶色の端部を有する緑の胚軸を有するが、根は0.5cmを超える長さにはならない。さらに、非トランスジェニック種子は50mg/Lのジェネティシン検査培地の中に2週間入れておいたあと、生存能力のある実生苗にはならない。このように、50mg/Lのジェネティシン検査培地中で発芽して高さ2cmを超える緑の胚軸および長さ1cmを超える根を有する実生苗になる種子を、NPTII陽性と定義した。さらに、ジェネティシンを含まない培地中で生長した非トランスジェニック種子と同じくらい速く且つ正常に50mg/Lのジェネティシン培地中で発芽した種子に「++」とマーキングした。
【0058】
【表1】
表I: 再生植物「ピーター」、自家受粉した子孫(R1およびR2)、および交配した子孫( F 1 および F 2 )の分析
植物の世代 PCR(NPTII) ジェネティシン含有培地での種子発芽
R0 陽性 N/A
R1 未検査 ++
F1 未検査 +
R2 陽性 ++
F 2 未検査 ++
++=正常な生命力、正常な苗形態;+=中程度の生命力、正常な苗形態;N/A=適用不可能;F1=Quantum×Peter;Quantumは市販されている非トランスジェニックB. napus品種
【0059】
再生植物「ピーター」(R0)から得た幾つかのR1種子はジェネティシン含有培地で培養したときに正常に発芽し、アブラナ属の形質転換を示した(表I)。ジェネティシン選択で生き残った幾つかのR1実生苗を土壌に移し、自家受粉させ、R2種子を収穫した。これらのR2種子の多くは、ジェネティシン含有培地で正常に元気に発芽し育った。F1(Quantum×ピーター)種子は、ジェネティシン含有培地で正常に発芽したが、ジェネティシン耐性R1またはR2種子のような勢いはなかった。このように、NPTII核酸のコピー数および組み込まれたNPTII核酸のホモ接合性は、NPTII発現のレベルに影響するようであった。ジェネティシン選択で生き残った幾つかのF1実生苗を土壌に移して自家受粉させ、Quantum×ピーターのF2種子を収穫して検査した。これらのF2種子の約半分がジェネティシン含有培地で正常且つ元気に発芽した。R2植物についてのNPTII特異的PCR分析で、陽性シグナルが出た。このことは、NPTII核酸が「ピーター」の中に組み込まれたことを確認するものである。しかし、「ピーター」の全ての世代におけるGUS染色は陰性であった。
【0060】
実施例2:組織粉砕調製法を用いたアブラナ属の形質転換
4〜6日齢のBrassica napus品種Westarの滅菌実生苗を収穫し、胚軸の下部、種皮、および根を捨てた。この実生苗の残った上側部分は10〜50%の胚軸、2つの子葉、および苗条の先端を含んでいた。ブレンダーを用いてこの上側部分を液体誘導培地とともに砕いて細胞スラリーとした。具体的には、約200個の実生苗の上側部分を30mlの誘導培地と混合した。この混合物を室温にてブレンダー(Blender Model 33BL79、Warning Products Division, Dynamics Corporation of America))で細かく砕いた。得られたスラリーを一連のメッシュで異なる範囲の組織サイズを有するグループに選別した。46〜230ミクロンの組織サイズを有するグループを収集し、固形誘導培地上に置いた12フィルターフィルム(直径4cm)上で高密度で培養した。3日間の培養後、砕いた組織を含むフィルムに核酸分子をコーティングした金の粒子を実施例1に記載したように射入し、誘導培地上でさらに3日間培養した。つぎに、培養物を選択培地に2〜3週間移したあと、苗条が再生するまで再生培地上で培養した。
【0061】
実施例1に記載したようにNPTII核酸分子の存在について再生した植物を分析した。さらに、このような植物の一部をGUS発現について分析した。簡潔に述べると、GUSを発現する細胞は、GUS染色アッセイの後は青になる。使用したGUS染色アッセイは、Anne-Marie Stopm in Sean R. Gallagher (ed.), GUS Protocols:Using the GUS gene as a Reporter of Gene Expression, pp.103-113, Academic Press, San Diego, California, 1992に詳細に記載されている。幾つかの再生した苗条および葉は、GUS染色すると濃い青を示し、導入された外来GUS核酸配列が発現されたことを示す。
【0062】
再生された植物を土壌に移し、培養して成熟させた。実施例1に記載した種子発芽検査により、10個のR1種子をジェネティシン耐性について検査した。6つは発芽しなかった。残り4つの種子のうち2つはジェネティシン耐性であり、得られた苗はこのような条件下において中程度の生長力を示した(表II)。さらに、17個のR1種子をジェネティシンの不在下にて発芽させ、各実生苗の葉を上記のようにGUSについて染色した。これらのうち11個は濃い青色を示した(表II)。R2植物についてのGUS染色およびNPTII特異的PCR分析により、陽性シグナルが出た。まとめると、これらの結果は、NPTII遺伝子およびGUS遺伝子の両方がゲノムに組み込まれ、その子孫にきちんと伝播されたことを示す。
【0063】
【表2】
II :粉砕法を用いて作製した再生植物の分析
植物の世代 GUS染色 ジェネティシン含有培地での発芽 NPTII特異的PCR
R0 陽性 N/A 未検査
R1 陽性 + 未検査
R 2 陽性 未検査 陽性
+=中程度の生命力、正常な苗形態;N/A=適用不可能
【0064】
実施例3: Brassica juncea の形質転換
Brassica juncea株DZJ-01は、組織培養物および他のBrassica juncea株の再生特性に匹敵する再生特性を有する親株である。実施例2に記載した組織破砕調製法を用いてDZJ-01株を首尾良く形質転換した。培養中DZJ-01組織はBrassica napus組織よりも速く増殖するので、幾つかの培養条件を改変した。具体的には、DZJ-01組織を実施例2に記載したように調製し、射入を行った。射入後、組織を固形誘導培地上で6日間培養した。つぎに培養物を浮揚板システム(floating raft system)に移し、液体選択培地中で8日間培養し、8日目に培地を液体再生培地に変えた。これら2つの液体培地の組成は、寒天を省いた以外は実施例2の対応する培地と同じ組成であった。この浮遊板システムは、LifeRaft Membrane Raft(ライフ・テクノロジーズ社、カタログ#10518-017)、LifeRaft Float Unit(ライフ・テクノロジーズ社、カタログ#10521-011)、およびLifeGuard Membrane Vented Lid (ライフ・テクノロジーズ、カタログ#10678-019)を備えたMagenta容器を含み、製造業社により記載されたように使用した。
【0065】
緑の苗条先端が発生するまで、再生培地を毎週新しいものに変えた。苗条が形成された後、これらを固形再生培地に移し、次にホルモンを含まない固形MS培地に移した。
【0066】
再生植物のうち1つ(「J.J.」と名づけた)は、上記のGUS染色アッセイにおいて濃い青色を示した。さらに、GUS特異的プライマーを用いたPCR分析は、GUS特異的配列が存在することを示す強い陽性シグナルを示した(表III)。まとめると、これらの結果は、導入されたDNAがR0植物のゲノムに組み込まれたことを示す。性成熟した時点で、「J.J.」を自家受粉させ、R1種子を収穫した。組み込みを証明するために、R1種子を発芽させ、得られた苗をGUS発現について検査した。R1実生苗の幾つかは、GUS染色すると濃い青色を示し、GUS遺伝子がBrassica junceaゲノムの中に組み込まれたことを示した。さらに、R2植物についてのGUS染色およびNPTII特異的PCR分析は陽性シグナルを示し、GUSおよびNPTII遺伝子がBrassica junceaゲノムに組み込まれたことをさらに確認した。
【0067】
【表3】
III :再生 Brassica juncea 植物の分析
植物の世代 GUS染色 PCR(GUS) PCR(NPTII)
R0 陽性 陽性 未検査
R1 陽性 未検査 未検査
R 2 陽性 未検査 陽性
【0068】
他の実施形態
本発明はその詳細な説明に関連して記載したが、前述の記載は本発明を例示するためのものであって、請求の範囲で定義した本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点および変更は、請求の範囲の範疇内である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本明細書中に報告された実験で使用したpIMC38構築物を表わす図である。

Claims (13)

  1. (a)核酸をコーティングしたミクロ粒子弾を、非胚アブラナ属組織から調製した細胞に射入し、射入した細胞調製物を作製するステップ、ここで、射入される前記細胞は前記非胚アブラナ属組織を砕いて細胞スラリーにすることにより、調製されるものである、および
    (b)前記射入調製物のうち前記核酸で安定に形質転換された細胞を同定するステップ、ここで、該細胞は前記形質転換されたアブラナ属細胞である、
    を含む、形質転換アブラナ属細胞の作製方法。
  2. 非胚アブラナ属組織から調製した前記細胞が二倍体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記非胚アブラナ属組織がアブラナ属実生苗から得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記実生苗が4〜6日齢の無菌実生苗であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 射入すべき前記細胞が、非胚アブラナ属組織から、実生苗の上側部分を誘導培地中で解離させて細胞スラリーを作製することにより調製され、前記上側部分が苗条の先端、子葉、および10〜50%の胚軸を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記細胞スラリーが、約46ミクロン〜約230ミクロンのサイズを有する細胞物質について富化されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 前記核酸がポリペプチドをコードするかまたはポリペプチドの発現を調節することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記核酸がアンチセンス分子を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記核酸がリボザイムを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記核酸が、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記アブラナ属組織が、Brassica napus、Brassica juncea、 Brassica carinata、Brassica nigra、Brassica oleracea、およびBrassica campestrisよりなる群から選択されるアブラナ属の種から得られることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記同定が、前記射入された細胞を、液体選択培地に接触させた浮揚装置上で培養すること、および前記選択培地の存在下において生き残ったこれらの細胞を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記同定した細胞からアブラナ属植物を再生するステップをさらに含み、ここで前記再生されたアブラナ科植物は、前記核酸により安定的に形質転換されており、その結果、トランスジェニックアブラナ科植物を生産する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
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