JP2002504355A - アブラナ属の粒子射入形質転換 - Google Patents

アブラナ属の粒子射入形質転換

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    • A01HNEW PLANTS OR NON-TRANSGENIC PROCESSES FOR OBTAINING THEM; PLANT REPRODUCTION BY TISSUE CULTURE TECHNIQUES
    • A01H4/00Plant reproduction by tissue culture techniques ; Tissue culture techniques therefor
    • A01H4/005Methods for micropropagation; Vegetative plant propagation using cell or tissue culture techniques

Abstract

(57)【要約】 本発明は、粒子射入法によるアブラナ属(Brassica)の形質転換に関係する方法および材料に関する。特に、本発明は、アブラナ属細胞の培養、粒子射入法による形質転換、植物体への再生を可能とするような、非胚アブラナ属組織の調製方法を提供する。さらに、本発明は安定に形質転換されたアブラナ属細胞およびその子孫を提供する。また、本発明は、形質転換されたアブラナ属細胞を同定し、形質転換されたアブラナ属植物体へと再生させるような、液体培地を用いたアブラナ属組織の培養方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、粒子射入法(particle bombardment)によるアブラナ属植物(Bras
sica)の形質転換に関係する方法および材料に関する。
【0002】発明の背景 アブラナ属植物の種には、ヒトが野菜、食用油および香辛料として使用する農
業上重要な作物の大きな群が含まれる。実際、アブラナ属の植物油の生産量が占
める割合は、世界の食用油の12%を超える。農業上重要な作物の品質を向上させ
るために、栽培者達は伝統的に従来の育種法に頼ってきた。しかし現在では、植
物の分子生物学および遺伝学における今日の進歩により、栽培者達は植物の品質
を外来DNAの導入により改良することができる。
【0003】 植物を形質転換するために幾つかの異なる方法が使用されてきた。一般的に用
いられている1つの方法では、目的のDNAでコーティングした微粒子を植物細胞 に射入する。実際に、トウモロコシ、大豆、小麦およびイネを形質転換するため
に、粒子射入法は広く使用されてきた。しかし、粒子射入法を用いてアブラナ種
を形質転換する試みは、成功したことがない。現に、アブラナ属植物の形質転換
を成功させる唯一の方法は、アブラナ属植物の胚の実質的な操作を必要としてい
た。従って研究者らは現在のところ、アブラナ属植物を形質転換するために、ア
グロバクテリウムを媒介とした方法など、他の方法に頼っている。
【0004】発明の概要 本発明では、粒子射入法によりアブラナ属植物の種の形質転換を行う。特に、
本発明は、培養、粒子射入法による形質転換、植物体への再生が可能なアブラナ
属の細胞を調製することができる簡便な組織調製法の発見に基づく。さらに本発
明は、形質転換細胞、ならびに成長して成熟し、種子を実らせる再生植物を提供
する。このような再生植物およびその子孫は、導入された核酸分子を安定に発現
する。本明細書中に記載された本発明の方法の簡便さは、粒子射入法によるアブ
ラナ属の形質転換を可能とするだけでなく、経済的にも実施可能なものとする。
【0005】 本発明の1つの態様は、非胚アブラナ属組織から調製した細胞に核酸でコーテ
ィングしたミクロ粒子弾を射入するステップ、および該核酸で形質転換された細
胞を同定するステップを含む、形質転換されたアブラナ属細胞の作製方法を提供
する。核酸で形質転換された細胞は、射入された細胞を浮揚装置上に置き、該浮
揚装置を液体選択培地に接触させ、生き残った細胞を選択することにより、同定
することができる。この方法は、形質転換した細胞からのアブラナ属植物の再生
をも含む。例えば、同定した細胞を、液体再生培地に接触する浮揚装置上に置く
ことができる。非胚アブラナ属組織から調製した細胞は2倍体であってもよい。
さらに、非胚アブラナ属組織は、実生苗、例えば4〜6日齢の無菌の実生苗等から
得ることができる。細胞は、非胚アブラナ属組織から、組織をカットして切片と
し、該切片を誘導培地と接触させることにより、調製することができる。例えば
細胞は、非胚アブラナ属組織から、実生苗から胚軸をカットして複数の切片とし
、これらの切片を縦方向にスライスし、この縦方向スライスの表皮側を誘導培地
と接触させる方法により、調製することができる。また細胞は、非胚アブラナ属
組織から、組織を解離させて細胞スラリーとする方法により、調製することがで
きる。例えば、実生苗から胚軸の下側部分を除去し、残った上側部分(苗条の先
端、子葉、および10〜50%の胚軸を含む)と誘導培地とを組み合わせ、この組合
わせを解離させて細胞スラリーとする方法により、非胚アブラナ属組織から細胞
を調製することができる。さらに、この細胞スラリーは46〜230ミクロンの大き さの細胞物質について富化することもできる。アブラナ属細胞を形質転換するの
に使用する核酸は、ポリペプチドの発現を調節するもの、またはポリペプチドを
コードするものであることができる。例えば、核酸はアンチセンス分子、例えば
リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドをコードすることができる。
さらに、アブラナ属組織は、Brassica napus、Brassica juncea、Brassica cari
nata、Brassica nigra、Brassica oleracea、およびBrassica campestris(「ra
pa」とも呼ばれる)などのアブラナ属植物の種から得ることができる。
【0006】 本発明の他の態様は、非胚アブラナ属組織から得た細胞に、核酸でコーティン
グしたミクロ粒子弾を射入し、該核酸で形質転換された細胞を同定することによ
り作製された、アブラナ属細胞およびその子孫を提供する。
【0007】 本発明の他の態様は、液体培地に接触した浮揚装置の上にアブラナ属組織を配
置するステップを含む、アブラナ属組織の培養方法を提供する。この液体培地は
選択培地であってもよい。選択培地上でアブラナ属組織を培養すると、核酸で形
質転換されたアブラナ属組織の同定を行うことができる。さらに、この液体培地
は再生培地であってもよい。再生培地上でアブラナ属組織を培養すると、アブラ
ナ属組織からアブラナ属植物を再生することができる。
【0008】 特に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、本発明
が属する技術分野における当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本明
細書中に記載されたものと類似のまたは同等の方法および材料を、本発明の実施
または検査において使用することができるが、好適な方法および材料を以下に記
載する。本明細書中に記載された全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考
文献は全て、参考として本明細書中に組み込まれるものとする。抵触する場合、
本明細書(定義を含む)を優先する。さらに、材料、方法および実施例は単に例
示のためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0009】 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求の範囲より明ら
かであろう。
【0010】発明の詳細な説明 本発明は、粒子射入法によるアブラナ属植物の形質転換に関する方法および材
料を提供する。特に、本発明は、アブラナ属植物の細胞を培養し、粒子射入法に
より形質転換し、植物体へと再生させることができるような、非胚アブラナ属組
織の調製方法を提供する。また本発明は、安定に形質転換されたアブラナ属細胞
およびその子孫も提供する。形質転換された植物は、本明細書中においてトラン
スジェニック植物とも呼ばれる。
【0011】組織の調製 細胞または組織の調製物とは、粒子射入法に適するようにアレンジされた細胞
または組織の一群として定義される。形質転換を首尾良く行うために、細胞また
は組織調製物は、比較的多数の細胞、好ましくは核酸でコーティングした粒子を
受け取ることができるように表面を露出させた、急速に分裂する細胞を、提供す
る。さらに、受容細胞は成長し続けて植物を再生することができなければならな
い。多くの非胚アブラナ属細胞または組織の供給源を使用して、これらの基準に
合う細胞または組織調製物を調製することができる。例えば、アブラナ属から得
た葉のプロトプラスト、単離した小胞子の培養物、茎組織、および胚軸組織をア
ブラナ属細胞の供給源として使用することができる。非胚組織供給源を用いると
、形質転換処理が大幅に簡易化される。一般的には、無菌条件下で育った若い実
生苗から調製した胚軸組織を使用する。この場合、胚軸を縦方向の薄片にカット
する。あるいは、実生苗の上側部分を砕いて細胞スラリーとすることができる。
このような上側部分は、2つの子葉、苗条の先端、および胚軸の一番上の部分を
含み得る。
【0012】 細胞スラリーは、生存能のある細胞を含む不溶性細胞物質の液状懸濁物である
。アブラナ属組織をつぶして細胞スラリーにするために、ブレンダーを使用する
ことができる。さらに、不溶性細胞物質のサイズに基づいて、細胞スラリーを幾
つかのグループに分別することができる。例えば、特定サイズの不溶性細胞物質
を富化するように一連のメッシュを使用して、細胞スラリーを選別することがで
きる。細胞スラリーが生存能のある細胞を含む限り、あらゆるサイズの細胞スラ
リーを粒子射入法で使用することできる。例えば、細胞スラリーを、約35ミクロ
ン〜約500ミクロンのサイズ、または約46ミクロン〜約230ミクロンのサイズの細
胞物質について富化し、粒子射入法で使用することができる。
【0013】 アブラナ属組織の調製物は、二倍体または半数体細胞を含むことができる。二
倍体細胞を用いる場合、得られる形質転換細胞は各組込み部位においてヘテロ接
合型である可能性の高いことが理解されよう。換言すると、導入された核酸のコ
ピーが両方の染色体の同じ位置に組み込まれる可能性は非常に低い。しかし、半
数体細胞を用いる場合は、得られる形質転換された半数体細胞は、コルヒチンで
処理して染色体を2倍にすることができる。このように、得られる細胞は各組込
み部位でホモ接合性である可能性が最も高い。あるいは、得られる形質転換半数
体細胞から半数体植物を再生することができる。次に、これらの半数体植物を他
の植物と交配させて、特定の組込み部位でヘテロ接合性またはホモ接合性である
植物を作製することができる。さらに、導入された核酸配列がゲノムに組み込ま
れた細胞は、安定に形質転換された細胞と呼ばれる。安定に形質転換された細胞
は、典型的には、導入された核酸配列を各細胞分裂と共に保持する。導入された
核酸配列がそのゲノムに組み込まれていない細胞は、一過性形質転換細胞と呼ば
れる。一過性形質転換細胞は一般に、導入された核酸配列のある部分を各細胞分
裂と共に失う。このように形質転換細胞は、一過性でおよび/または安定に形質 転換されたものであり得る。
【0014】 非胚アブラナ属組織の調製物は、射入前に、誘導培地(例えば固形誘導培地)
で培養することができる。一般的に、固形培地は液体培地に寒天を加えることに
より作られる。典型的には、誘導培地はMurashige and Skoog(MS)培地、なら びに比較的高濃度のオーキシン(例えば2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D) )および比較的低濃度のサイトカイニン(例えばカイネチン)を含む。例えば、
2,4-D(1mg/L)およびカイネチン(0.3mg/L)をMS培地に添加して使用すること ができる。さらに、組織調製物は通常、射入前に1〜3日間誘導培地上で培養され
る。
【0015】 本発明の目的のために、固形および/または液体組織培養法を使用することが できる。例えば誘導培地、選択培地、および再生培地は、固形でも液体であって
もよい。固形培地を使用する場合、アブラナ属組織を直接培地に載せることもで
きるし、フィルター膜に載せてからこのフィルター膜を培地に接触させることも
できる。液体培地を使用する場合、液体培地に接触させた浮揚装置にアブラナ属
組織を載せることができる。浮揚装置は、一般的には他の文献(例えば米国特許
第5,324,657号)に記載されたような多孔性膜である。浮揚装置、浮揚装置を用 いる方法および液体培養法に役立つ補助装置の例は、Life Technologies社(Roc
kville, MD)およびOsmotek社(イスラエル国、Kiryat Weizmann Rehovot 76120 )等の製造会社から容易に入手することができる。一般的に、より急速に増殖す
る組織を液体培地で培養する。例えば、液体選択培地および液体再生培地を使用
して、Brassica juncea組織を培養することができる。
【0016】核酸分子 環状または線状の核酸分子を使用して粒子をコーティングし、次にこの粒子を
用いてアブラナ属を形質転換することができる。さらに、これらの核酸分子はRN
AまたはDNA(cDNA、ゲノムDNAおよび合成(例えば化学合成した)DNAを含む)で
あってもよく、また二本鎖または一本鎖であってもよい。一本鎖の場合、核酸は
センス鎖またはアンチセンス鎖であることができる。また、これらの分子の断片
も、本発明の範囲内であると考えられ、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に より生成したり、または1以上の制限エンドヌクレアーゼで処理して生成するこ
とができる。RNA分子は、例えばin vitro転写により生成することができる。
【0017】 本発明の核酸分子は一般に、ポリペプチドをコードするもの、またはポリペプ
チドの発現を調節するものである。例えば、酵素をコードするcDNAまたは酵素の
産生を妨げるアンチセンス分子を使用することができる。「アンチセンス分子」
という用語は、天然に生じるポリペプチドのコード鎖に相補的な配列を含む任意
の核酸分子を包含する。またアンチセンス分子は、フランキング配列(例えば調
節配列)またはイントロンも含み得る。このように、アンチセンスオリゴヌクレ
オチドと同様に相補的アンチセンス配列(例えばリボザイム)を用いることによ
り、RNAを特異的にターゲッティングして切断する酵素的核酸分子は、本発明の 範囲内のアンチセンス分子とみなされる。これらのリボザイムは、該分子がRNA を切断するのであれば、ヘアピン、ハンマーヘッド、またはオックスヘッド構造
(これらに限定されない)を含むあらゆる一般構造を有することができる。
【0018】 一般に、本発明の核酸分子はプラスミド形態であり、ポリペプチドをコードす
る配列およびアブラナ属細胞中に存在するときに該ポリペプチドの発現を促進す
る配列を含む。ポリペプチドの発現を促進する配列は、一般的にはそのポリペプ
チドコード配列に隣接する調節配列である。ポリペプチドは、合成的に作製され
るポリペプチドであっても、生物学的に誘導されるポリペプチドであってもよい
。さらに、該ポリペプチドは、アブラナ属植物中に天然に存在するものであって
も、アブラナ属に対して異種のものであってもよい。このように、アブラナ属ポ
リペプチド、植物ポリペプチド、非植物ポリペプチド、改変ポリペプチド、合成
ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドの一部は、本発明の範囲内であるとみ
なされる。
【0019】 植物を首尾良く形質転換するための核酸分子の組成および該核酸分子を構築す
る方法は、当業者に公知である。例えば、適切な核酸成分(例えばプロモーター
、ポリアデニル化配列、選択マーカー配列、レポーター配列、エンハンサー、イ
ントロンなど)の使用法およびこれらの成分の具体的な組成を提供する文献は、
ほかに記載されている(Weisingら、Ann.Rev. Genetics 22:421-478(1988))。 さらに、適切な構築方法が他の文献に記載されている(Sambrook J.ら、Molecul
ar Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory
Press(1989))。本明細書中において、これらと同じまたは類似した組成および 方法を、アブラナ属の形質転換に有用な核酸分子を作製するために使用すること
ができることに注目することは重要である。なぜなら、アブラナ属を形質転換す
るために使用する核酸分子の具体的な組成は、本発明の中心ではなく、本発明は
使用する特定の形質転換核酸分子の組成に依らないからである。
【0020】 アブラナ属の形質転換に特に有用な核酸分子には、得られる形質転換されたア
ブラナ属植物の有益な特徴を提供または強化するDNA分子が含まれる。例えば該D
NAは、食料としての価値、生産高、病害虫抵抗性、病害抵抗性等を高めるポリペ
プチドまたはアンチセンス分子をコードすることができる。具体的な例としては
、脂肪酸組成を変える異種脂肪酸デサチュラーゼ(desaturase)または脂肪酸エロ
ンガーゼ(elongase)、または昆虫耐性を付与するBt-エンドトキシン遺伝子ま たはプロテアーゼインヒビター;グリホサート(glyphosate)除草剤に対する耐
性を付与する細菌性ESPSシンターゼ遺伝子;および殺菌性を付与するキチナーゼ
またはグルカンエンド-1,3-B-グルコシダーゼ遺伝子が挙げられるが、これらに 限定されない。さらに、該核酸分子をアブラナ属に導入し、突然変異体を作製す
る遺伝的ツールとして機能させたり、かつ/またはアブラナ属DNAのセグメントの
同定、遺伝子のタグ付けもしくは単離に役立たせたりすることができる。有益な
特徴を提供したり、遺伝子ツールとして有用である他の核酸分子は、当業者に一
般的に知られており、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0021】 またアブラナ属に導入されるこの核酸分子は、選択マーカーもしくはレポータ
ー、またはその両方をコードする核酸配列を含むこともできる。アブラナ属にお
けるこれらの配列の発現は、安定に形質転換された細胞若しくは一過性形質転換
細胞、またはその両方の同定および選択を容易にすることができる。あるいは、
選択マーカーは、同時形質転換法を用いて導入される別の核酸分子上に担持させ
ることができる。これらの選択マーカーおよびレポーターをコードする配列を、
アブラナ属における発現を容易にする適切な調節配列に隣接させることができる
。有用な選択マーカーは当分野では公知であり、例えば抗生物質耐性遺伝子およ
び除草剤耐性遺伝子が挙げられる。このような遺伝子の具体的な例は、他の文献
に開示されている(Weisingら、Ann. Rev. Genetics 22:421-478(1988))。典型
的な選択マーカー遺伝子は、抗生物質であるカナマイシン、ネオマイシンおよび
G418(ジェネティシン(geneticin))に対する耐性を付与するポリペプチドを コードする、トランスポゾンTn5のアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ 遺伝子(AphII)である。当分野で知られている他の選択マーカーには、大腸菌 から得られるハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(HPT)コード遺伝子
、ならびにグリホサート、メトトレキセート、ホスフィノスリシン(phosphinot
hricin)、イミダゾリノン(imidazolinones)、スルホニル尿素、ブロモキシニ
ルおよびダラポン等に対する耐性もしくはトレランスを付与するポリペプチドを
コードする遺伝子が含まれる。形質転換されたアブラナ属植物における、除草剤
耐性またはトレランスを付与する選択マーカー遺伝子の発現は、商業的に有用で
ある。
【0022】 簡単にアッセイすることが可能なマーカーポリペプチドをコードするレポータ
ー遺伝子は、当分野において公知である。一般に、レポーター遺伝子は、受容生
物または組織中に存在しないまたは発現されない遺伝子であって、その発現が簡
単に検出しうる特性(例えば表現型の変化または酵素活性)により示されるポリ
ペプチドをコードする遺伝子である。このようなレポーターの例は他の文献に記
載されている(Weisingら、Ann. Rev. Genetics 22:421-478(1988))。典型的な
レポーターとしては、生物発光クラゲAequorea victoriaに由来する緑色蛍光タ ンパク質(GFP)遺伝子、GFPの変異体、大腸菌のTn9に由来するクロラムフェニ コールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、大腸菌のuidA遺伝子座のβ-グルク ロニダーゼ遺伝子、および蛍Photinus pyralisに由来するルシフェラーゼ遺伝子
が挙げられる。GFPおよびGFP変異株の核酸配列を含むベクターは、Clontech Lab
oratories社(Palo Alto, CA)から市販されている。GFPアプリケーション・ノー ト(Living Colors(商標);PT2040-1;Clontech Laboratories社)は、GFPおよ びGFP変異体の両方について記載している。
【0023】 本発明において有用な調節配列には、植物細胞において機能する、あらゆる構
成的、誘導性、組織もしくは器官特異的、または発生段階特異的なプロモーター
が含まれる。好適なこのようなプロモーターは他の文献に開示されている(Weis
ingら、Ann. Rev. Genetics 22:421-478(1988))。以下は、本発明で使用するの
に適した代表的なプロモーターの一部を掲載したリストである: アグロバクテ リウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のT-DNAに由来する調
節配列、例えばマンノピン・シンターゼ、ノパリン・シンターゼ、およびオクト
ピン・シンターゼ;トウモロコシに由来するアルコール・デヒドロゲナーゼプロ
モーター;様々な種に由来するリブロース二リン酸カルボキシラーゼの小サブユ
ニット遺伝子などの光誘導性プロモーター;主要なクロロフィルa/b結合タンパ ク質遺伝子プロモーター;カリフラワー・モザイクウイルスの35Sおよび19Sプロ
モーター;発生的に調節されるプロモーター、例えばオレオシン(oleosin)、ク ルシフェリン(cruciferin)、ナピンおよびファセオリン(phaseolin)プロモー ター;ならびに誘導可能もしくは構成的な合成プロモーターまたは他の天然プロ
モーター、例えば器官特異的発現または植物の特定の発生段階における発現を示
すプロモーター。
【0024】 特に好適なプロモーターは、種子特異的発現を可能とするプロモーターである
。このようなプロモーターは、種子が植物油の主な供給源であるため、および種
子特異的発現により非種子組織におけるあらゆる潜在的な有害作用が回避される
ため、有用である。種子特異的プロモーターの例としては、種子貯蔵タンパク質
のプロモーター(多くの植物において種子の総タンパク質量の最大90%を占める
ことがある)が挙げられるが、これに限定されない。種子貯蔵タンパク質は厳密
に調節され、非常に組織特異的に、および段階特異的に、種子中にほぼ独占的に
発現される(Higginsら、Ann. Rev. Plant Physiol 35:191-221(1984);Goldber
gら、Cell 56:149-160(1989))。さらに、異なる種子貯蔵タンパク質は、種子の
発生の異なる段階で発現され得る。
【0025】 種子特異的遺伝子の発現は、非常に細かい点に及んで研究されてきた(概説に
ついては、Goldbergら、Cell 56:149-160(1989)およびHigginsら、Ann. Rev. Pl
ant Physiol. 35:191-221(1984)を参照されたい)。トランスジェニック双子葉 植物における種子貯蔵タンパク質遺伝子の種子特異的発現については、現在多く
の例がある。
【0026】 種子特異的プロモーターの他の例は、初期の胚形成期および油生合成の間に発
現される遺伝子に由来するプロモーターである。例えば、脂肪酸デサチュラーゼ
遺伝子の天然調節配列(天然プロモーターを含む)は、単離した後、当業者によ
り使用され得る。例えばBrassica napusイソクエン酸リアーゼおよびリンゴ酸シ
ンターゼ(Comaiら、Plant Cell 1:293-300(1989))、ベニバナ(Thompsonら、P
roc. Natl. Acad. Sci. USA88:2578-2582(1991))およびヒマ(Shanklinら、Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA 88:2510-2514(1991))に由来するδ-9デサチュラーゼ
、Arabidopsis(Post-Beittenmillerら、Nucl. Acids Res. (1989) 17:1777)、Br
assica napus(Saffordら、Eur. J. Biochem. 174: 287-295(1988))およびBras
sica campestris(Roseら、Nucl. Acids Res. 15:7197(1987))に由来するアシ ルキャリヤータンパク質(ACP)、大麦(Siggaard-Andersenら、Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA88:4114-4118(1991))に由来するβ-ケトアシル-ACP合成酵素、な らびにトウモロコシ(Leeら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA88:6181-6185(1991 ))、大豆(Genbank受託番号X60773)およびBrassica napus(Leeら、Plant Ph
ysiol. 96:1395-1397 (1991))に由来するオレオシン等の、種子油の生合成に関
与する他の遺伝子から得た異種プロモーターを使用することができる。
【0027】 また核酸分子は、イントロン、エンハンサーおよびポリアデニル化配列等の他
のエレメントを含むこともできる。このようなエレメントは、その核酸分子の機
能に必要であっても無くてもよいが、転写、mRNAの安定性等に影響を及ぼすこと
により該核酸の発現または機能の向上を提供することができるものである。この
ようなエレメントは、植物中の形質転換用核酸の最適な性能を得るために、所望
どおりにその核酸分子中に含ませることができる。しかし、選択マーカーが満足
に機能するに十分な発現は、しばしばイントロンの不在下で得られる。
【0028】 核酸成分の特定の組合せが希望通りに機能するかどうかを調べるために、アブ
ラナ属受容細胞を、この特定の組合せおよびレポーターの両方を含む核酸分子構
築物を用いた粒子射入法により、安定した状態でまたは一過性に形質転換するこ
とができる。形質転換後の適当な時点で、レポーターの発現についてアッセイを
行うことができる。例えばあるアッセイは、大腸菌β-グルクロニダーゼ(GUS)
遺伝子の一過性発現の同定を伴う(Jeffersonら、EMBO J. 6:3901-3907(1987))
。この場合、アッセイを行うのに適した時期は、射入の約1〜3日後である。一過
性アッセイの使用は、所望のアブラナ属受容細胞と適合することが以前に示され
ていなかったまたは確認されていなかった成分を含む核酸分子を使用する場合、
特に重要である。
【0029】粒子射入法 粒子射入法を用いて、本明細書中に記載される核酸分子を非胚アブラナ属組織
の調製物中に導入する。好適な粒子射入用器具および粒子射入法の一般的な説明
は、他の文献に記載されている(Sanfordら、J. Part. Sci. Technol. 5:27-37(
1987); Heiser W., “Optimization of Biolistic(登録商標) transformation u
sing the helium-driven PDS-1000/He system” in US/EG Bulletin 1688, BIO-
RAD;およびDunderら、”Comparison of performance characteristics of diff
erent Biolistic(登録商標) devices” in US/EG Bulletin 1689, BIO-RAD)。 簡潔に述べると、粒子射入法(「バイオリスティック法(Biolistic(登録商標)
process)」とも呼ばれる)は、生物学的に不活性な材料から作られ、核酸分子 でコーティングされた非常に小さな粒子を用いて、所望の核酸分子を細胞に送達
する。該不活性粒子を核酸分子でコーティングして好適な速度に加速させると、
1以上の粒子が1以上の細胞の中に入りこみ、該核酸分子は該粒子から放出され
てその細胞の中で発現される。これらの細胞のうちの幾つかは射入過程で致命的
なダメージを受けるが、幾つかは生き残る。生き残った受容細胞のうちの幾つか
は、導入された核酸分子を安定に保持し、これを発現する。
【0030】 ミクロ粒子弾(microprojectiles)と呼ばれるこの粒子は、一般に密度の高い
材料(例えばタングステンや金など)から製造される。これらは目的の核酸分子
でコーティングされる。コーティング手順は、他の文献に詳細に記載されている
(Stanfordら、Methods Enzymol. 217:483-509(1993)およびHeiser W., “Optim
ization of Biolistic(登録商標) transformation using the helium-driven PD
S-1000/He system” in US/EG Bulletin 1688, BIO-RAD”)。次にこのミクロ粒
子弾を、好適なエネルギー源からこれらのミクロ粒子弾へと原動力を伝達する機
能を持ったマクロ粒子弾の表面に載せる。このマクロ粒子弾およびミクロ粒子弾
は適当な速度に加速したあと、ブロッキング装置に接触し、このブロッキング装
置はマクロ粒子弾がさらに前進し続けるのを防ぐ一方、核酸分子がコーティング
されたミクロ粒子弾を前進させて、受容アブラナ属細胞にぶつけさせる。好適な
器具は、高圧ヘリウムタンク、砲撃力、およびアーク式放電からの衝撃波などの
様々な原動力を使用することができる(Sanfordら、J. Part. Sci. Technol. 5:
27-37(1987)、およびSanfordら、Technique 3:3-16(1988))。
【0031】 砲撃器具の使用についてのプロトコールは、Klein Tら(Proc. Natl. Acad. S
ci. U.S.A. 85:4305-4309(1988)およびBio/Technology 6:599-563(1988))によ り提供されており、2つの主なステップを含む。第1に、タングステン製ミクロ
粒子弾を、核酸分子、塩化カルシウムおよびスペルミジン遊離塩基と、水性溶液
中において所定の順番で混合させて、コーティングする。様々な成分の濃度は変
えることができる。例えば、受容アブラナ属細胞が導入された核酸分子を発現す
る限り、あらゆる濃度の核酸分子を使用することができる。第2に、実際の粒子
射入法において、バレルの端部から受容細胞までの距離、およびサンプル室中の
減圧度の両方を設定する。これらの設定も、他の文献に記載されており(Klein ら、Bio/Technology 6:599-563(1988))、変えることができる。
【0032】 高圧ヘリウムタンク器具(Biolistc PDS-1000/He Particle Delivery System )の使用のためのプロトコールは、製造業社(BIO-RAD、カリフォルニア州ヘラ クレス)により提供されている。ミクロ粒子弾のコーティングに使用する核酸分
子の濃度、ミクロ粒子弾を加速するために使用するヘリウムの圧力、およびサン
プルからストップ膜までの距離等の具体的な条件は、変えることができる。典型
的には、受容組織はストップ板トレイの約6〜9cm下方に配置される。
【0033】 本明細書中に記載される具体的なアブラナ属組織の調製物をペトリ皿または他
の表面上に置いて、本質的にいかなる様式に並べてもよいが、(I)皿の中心の 領域が最も濃い濃度の核酸分子コーティング粒子を受け取り、そこに位置する組
織が射入の間にダメージを受けること、および(ii)細胞に到達した粒子の数は
射入領域の中心からの細胞の距離が大きくなるにつれて減少し、その皿の中心か
ら遠く離れた細胞には粒子が射入されておらず、形質転換されていないことを確
認する。Biolistic(登録商標) PDS-1000/He Particle Delivery System (BIO-RA
D、カリフォルニア州ヘラクレス)は、受容細胞にミクロ粒子弾をより均等な分布
で送達することができる。場合により、メッシュスクリーン(好ましくは金属製
)を皿の上に載せ、組織が飛び散ったり噴出したりするのを防ぐことができる。
組織には、核酸分子をコーティングした粒子を1回以上射入することができる。
さらに、細胞には、単一のタイプの核酸分子または複数の異なる核酸分子でコー
ティングした粒子を射入することができる。同様に、組織調製物には、それぞれ
異なる核酸分子でコーティングされた異なる粒子セットを含む、粒子の集合を射
入することができる。
【0034】形質転換されたアブラナ属の同定 アブラナ属組織の調製物にコーティングした粒子を射入して核酸分子が幾つか
の細胞の中に入り込んだら、該核酸分子を含み且つ十分な再生能力を保持してい
る細胞を同定することが必要である。形質転換した植物細胞を同定するための多
くの方法を使用することができ、これらの方法は当業者に公知である。簡潔に、
有用であることが判明した2つの一般的な方法について記載する。第1は、形質
転換したアブラナ属細胞または該細胞から再生した植物を種々の標準的な方法(
例えば該核酸分子中に含まれるレポーターの発現についてのアッセイ、および、
(あれば)核酸分子の発現により引き起こされる表現型の影響の評価が挙げられ
るが、これに限定されない)により該核酸分子の存在についてスクリーニングす
ることができる。第2に、選択マーカー配列を該核酸分子と共に、または該核酸
分子の一部として、導入することができる。この場合、形質転換細胞は、その選
択マーカーの発現を検出するための選択用薬剤を使用することにより同定するこ
とができる。
【0035】 選択条件は、形質転換細胞の増殖および蓄積を可能とすると同時に非形質転換
細胞の増殖を阻害するように選択しなければならない。この状況は、集団の中の
個々の細胞の生命力がしばしば近くの細胞の生命力に高く依存するため、複雑化
する場合がある。さらに選択条件は、形質転換細胞の植物再生能力および得られ
た植物の生殖能力が妨げられるほど過酷なものであってはならない。従って、細
胞の生命力および形態学に対する選択用薬剤の影響を評価しなければならない。
これは、所与の選択用薬剤および組織について増殖阻害曲線を実験的に作成し、
これにより、増殖を阻害しない濃度範囲を確立することにより前もって行うこと
ができる。
【0036】 選択マーカーを使用する場合、射入されたアブラナ属組織は非選択培地上で射
入から回復させるか、または選択用薬剤を含む培地に直接移すことができる。
【0037】 選択手順は、典型的には、射入した組織を毒性薬剤に曝す工程を含む。連続的
に変化させた濃度の該薬剤にこの組織を曝し、複数回選択を行うことができる。
具体的な濃度およびサイクルの長さは、典型的には、使用する具体的な薬剤によ
って異なる。さらに、この選択手順では、初回の選択では比較的低濃度の毒性薬
剤を使用し、後の回ではより高濃度のものを使用することができる。これにより
、より長い時間かけてこの選択用薬剤にその毒性効果をゆっくり発揮させること
ができる。最初に、該薬剤の濃度は約5〜40%レベルの増殖阻害が起こるような ものとすることができ、このレベルは増殖阻害曲線から決定される。最終目標は
、形質転換細胞を増殖させて優先的に分裂させる一方で非形質転換細胞を阻害す
ることであるが、形質転換細胞の増殖を妨げない程度である。少数の個々の形質
転換細胞が十分に増殖したら、より高濃度の毒性薬剤を含む培地に組織を移して
ほぼ全ての非形質転換細胞を殺すことができる。また、高濃度へ移すことによっ
て、非形質転換細胞がその薬剤に慣れる可能性を低減させる。より高濃度とは、
約30〜100%増殖を阻害する濃度とすることができる。第1回目の選択サイクル の長さは約1〜4週間、典型的には約2週間とすることができる。後の選択サイ
クルは、約1〜約12週間、典型的には約2〜約10週間とすることができる。推定
アブラナ属形質転換体は一般に、非増殖細胞のバックグラウンドに対する組織ま
たは細胞の増殖領域として同定することができる。射入されたアブラナ属組織は
、全体的な選択手順において様々な回数で非選択培地上でも培養することもでき
る。
【0038】 ある領域が推定形質転換体であると同定されると、表現型および/または遺伝 子型分析により形質転換を確認することができる。選択用薬剤を使用する場合、
表現型分析の1つの例としては、様々なレベルの選択用薬剤上における対照と比
較した推定形質転換体の生体重の増加を測定する工程を挙げることができる。使
用することができる他の分析は、導入された核酸分子の機能に依存するであろう
。例えば、酵素または他のポリペプチドがその核酸分子によりコードされている
場合、その特定の酵素またはポリペプチドに特異的な酵素的または免疫学的アッ
セイを使用することができる。導入した核酸分子の発現を検出するのに適した特
定のバイオアッセイおよび化学アッセイ法は当分野で周知であり、ここでは繰り
返さない。その核酸自体の存在は、従来法(すなわちサザンブロット、ノーザン
ブロット、またはPCR分析など)によって確認することもできる。
【0039】アブラナ属植物の再生 形質転換したアブラナ属細胞を植物へと再生させ、得られた植物の生殖能力を
調べることができる。簡潔には、形質転換について試験して陽性であった細胞を
、組織分化および植物再生を促進する培地上に置く。再生培地の例としては、比
較的低濃度のオーキシン(例えばインドール-3-酢酸(IAA))および比較的高濃
度のサイトカイニン(例えばゼアチン)を含むMS培地が挙げられるが、これらに
限定されない。当分野で周知の標準的な手法に従って、特定の再生処理を行うこ
とができる。典型的には、これらの手法はオーキシンのレベルの低減を伴う。ま
た再生培地は、選択培地で使用した選択用薬剤と同じものを含むこともできる。
再生した植物は、栽培室または温室内で育てて成熟させ、適当に性交配または自
家受粉させることができる。
【0040】 この植物再生は、本発明にとって重要であるが、あらゆる従来法により行うこ
とができることに留意することが重要である。例えば、選択マーカーが細胞内に
導入されたら、再生した植物の苗が形質転換されていることをさらに確認するた
めに、選択用薬剤を再生培地中に導入することができる。再生技術は周知であり
、本発明において特に限定する必要はないので、再生を行って生殖能力のある植
物を生成する任意の技法を使用することができる。
【0041】子孫の分析 形質転換したアブラナ属から再生した植物をR0世代またはR0植物と呼ぶ。R0
代の植物の様々な性交配により生成された種子をR1子孫またはR1世代と呼ぶ。R1 種子が発芽したときに得られる植物もR1世代と呼ぶ。
【0042】 R1世代は導入した核酸分子をきちんと伝え継承しているかを確認するために分
析しなければならない。この分析は、その植物の任意の部分を使用することがで
きることを考慮して、本明細書中に記載された任意の形質転換体同定法を用いて
行うことができる。さらに、任意のR1またはその後の世代(例えばR2、R3、R4
ど)の植物、ならびにF1またはその後の世代(例えばF2、F3、F4など)の植物を
分析することができる。
【0043】 「子孫」という用語は、特定の細胞、細胞系、植物または植物系の派生物(例
えば植物に実る種子およびこのような種子から派生した植物など)を含むことは
、上記記載から明らかである。植物の子孫としては、R0、R1、R2およびその後の
世代の植物上で形成される種子、F1、F2、F3およびその後の世代の植物上で形成
される種子、またはBC1、BC2、BC3およびその後の世代の植物上で形成される種 子が挙げられる。したがって、自家受粉による子孫には、最初の自家受粉のR1
孫だけでなく、R2、R3およびその後の世代も含まれる。
【0044】トランスジェニックアブラナ属の育種 一般に、本発明で製造される形質転換アブラナ属植物の商業的価値は、多くの
異なる品種にこの核酸分子を導入することができれば、絶大なものである。一般
的に農家は、成熟度、抵抗性、および他の農業学的特性の差に基づいて、幾つか
の異なる品種を栽培する。また、特定の栽培環境に適応する品種は、成熟度、病
害耐性、および昆虫耐性などの特性における差ゆえに、通常は他の環境に適応し
ないため、農家は地理的環境に基づいて品種を選択しなくてはならない。そのた
め、所望の核酸分子を含む多くの変異体を作製することができるように、核酸分
子を多数の親アブラナ属系に導入することが有利である。これは、生殖能力のあ
る最初のトランスジェニック植物を正常なエリート近交株(normal elite inbre
d line)と交配し、次にその子孫をその正常な親と交配することにより逆プロセ
ス(conversion process)(戻し交配)を行う育種プログラムにより、簡便に行
うことができる。この交配から得た子孫は、これらの植物のうちの幾つかが該核
酸分子を担持し、幾つかは担持しないといったふうに、分かれる。次に該核酸分
子を担持している植物を再びこの正常な植物と交配させると、その子孫はもう一
回分かれる。元の正常な親が、該核酸分子を含み且つ親植物に元々見られる他の
全ての重要な属性を保有する遺伝子操作された株に変わるまで、この交配を繰り
返す。遺伝子操作されたエリート株に変換する全てのエリート株に対して、別々
の戻し交配プログラムを用いることができる。両方の親が該核酸分子についてホ
モ接合性であることが必要であろう。アブラナ属の育種および1つの株または品
種から他のものに遺伝子を移すのに必要な手法および技術は、当業者に周知であ
る。
【0045】トランスジェニックアブラナ属植物の使用 本明細書中に記載されるように生産されるトランスジェニック植物は、様々な
商業目的および研究目的に有用である。栽培者に有益な特性(例えば病害虫抵抗
性や生産高の増大などの農業学的特性)、その植物から収穫した製品の消費者に
有益な特性(例えば人間の食品または動物の餌に含まれる栄養素含量の改善)、
または食品加工業者に有益な特性(改善された加工特性)を有するトランスジェ
ニック植物を、伝統的な農業で使用するために作製することができる。アブラナ
属の油および澱粉などの化学的な構成成分を食品用または産業用に抽出すること
ができ、トランスジェニック植物を作製してこのような成分のレベルを強化また
は改変することができる。該植物は、様々な目的のための種子生産に使用するこ
ともできる。
【0046】 またトランスジェニック植物は、その中に含まれる核酸分子によりコードされ
るポリペプチドまたは他の分子の商業的製造(目的の発現分子を植物の部位や種
子などから抽出または精製する製造法)に使用することもできる。さらに、トラ
ンスジェニック植物から得た細胞または組織は、培養したり、in vitroで増殖さ
せたり、または発酵させて所望の分子を製造したり、または研究などの他の目的
で使用することができる。
【0047】 またトランスジェニック植物は、商業的な育種プログラムにおいて使用したり
、または関連する作物種の植物と交配または受粉させたりすることができる。核
酸分子によりコードされる改良点は、例えばプロトプラスト融合などにより、あ
るアブラナ種から他のアブラナ種へと移し変えることができる。
【0048】 トランスジェニック植物は、研究または栽培において多くの用途を有し、これ
らの用途としては、後に伝統的な突然変異および選択により作製され得る有益な
変異体を同定するための、挿入を用いた突然変異誘発による新しい突然変異植物
の作製が挙げられる。本発明の方法を使用して、親株(proprietary line)また
は変異株を同定するために使用することができるユニークな「特徴配列(signat
ure sequence)」または他のマーカー配列を有する植物を作製することもできる
【0049】 本発明について、以下の実施例でさらに詳しく述べることとする。これらの実
施例は請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。
【0050】実施例 特定の組織調製法を用いた粒子射入法により、形質転換アブラナ属植物を作製
した。
【0051】実施例1:組織スライス調製法を用いたアブラナ属の形質転換 Brassica napus品種Westarの滅菌した種子を、寒天および30mM CaCl2を含むMS
培地上で培養し、5〜6日間暗所で発芽させた。この段階での実生苗は、苗条の先
端を含み高さ3〜6cmであった。組織の供給源として滅菌した種子を用いることの
利点は、必要とされる設備、時間およびドナー物質の維持にかかる労力が最小限
ですむことである。これらの実生苗の胚軸を収穫し、2〜3cmの長さの切片にカッ
トした。各胚軸の小片を縦方向に半分にスライスし、表皮側を培地に接触させる
ように(すなわち切った表面を一般に上に向けて)誘導培地に載せた。誘導培地
は、0.5〜1.0mg/Lの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)および0.2〜0.3mg/L のカイネチンを含むMS培地であった。これらの縦方向スライスを1皿あたり約20
片、詰めて並べた。誘導培地上で1〜2日間培養した後、核酸でコーティングした
金粒子をこの縦方向スライスに射入した。
【0052】 非胚アブラナ属細胞の射入および形質転換のための粒子をコーティングするの
に使用した核酸分子は、pIMC38であった(図1)。この構築物は、2つの遺伝子
、すなわちネオマイシン・ホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子およびβ-
グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を含む。これらの遺伝子は両方とも、CaMV35Sプ
ロモーターにより駆動され、ノパリンシンターゼ(NOS)遺伝子ターミネーター で終結した。35S-NPTII-NOSユニットおよび35S-GUS-NOSユニットを、反対方向に
並べた。NPTII遺伝子は、適切に発現した場合に、培養中の該遺伝子が移入され た細胞にカナマイシン耐性を付与し、発芽中にジェネティシンに対する耐性を形
質転換種子に付与する、選択マーカーとして機能した。
【0053】 非胚アブラナ属細胞または組織の調製物の射入に使用した装置は、Biolistic
(登録商標)PDS-1000/He System(デュポン社)であった。粒子射入法の手法は、
バイオラド社:US/EG Bulletin 1688および1689に従った。使用した具体的な金 属粒子は、0.6μまたは1.0μの金粒子であった。
【0054】 射入した後、縦方向スライスを誘導培地中で3日間培養した。つぎに培養物を 選択培地に移した。選択培地は、選択剤であるカナマイシンを最終濃度25mg/Lま
で加えた以外は、誘導培地と同じものであった。2〜3週間後、2mg/Lゼアチン 、0.1mg/L IAAおよび25mg/Lカナマイシンを含む再生培地に培養物を移した。こ れらの細胞を再生培地上で約2週間毎に継代培養したところ、緑色の苗条が現れ
た。
【0055】 再生した植物の1つを選択し(「ピーター(Peter)」と名づけた)、NPTII核酸
の存在について分析した。特に、葉の組織を「ピーター」から収集し、これらの
細胞からDNAを抽出して、NPTII特異的プライマーを用いたPCRにより分析した。 この分析により、「ピーター」から得た細胞がNPTII核酸を含んでいたことが判 明した(表I)。
【0056】 再生した植物を温室で栽培して性成熟させた。「ピーター」と市販されている
非トランスジェニックB. napus品種Quantumとの間で調整受粉を行った。また「 ピーター」には自家受粉もさせた。
【0057】 R1種子を「ピーター」から収穫し、およびF1種子をQuantumと「ピーター」と の交配から収穫し、ジェネティシン耐性について検査した。1.2g/Lのバクトアガ
ーおよび50mg/Lまたは100mg/L ジェネティシン(Gibco-Lifesciences,II811-023 )を含む試験培地に、滅菌した種子を入れた。種子を培地の約0.1〜0.4cmの深さ のところに押し入れたあと、発芽状況を毎週測定し、3週間後に最終スコアを記
録した。以下の記載は、種子の発芽状況をスコアリングするために使用した。典
型的には、50mg/Lのジェネティシン検査培地で培養した場合、非トランスジェニ
ック種子は高さ1.5cmまで成長し、黄色〜茶色の端部を有する緑の胚軸を有する が、根は0.5cmを超える長さにはならない。さらに、非トランスジェニック種子 は50mg/Lのジェネティシン検査培地の中に2週間入れておいたあと、生存能力の ある実生苗にはならない。このように、50mg/Lのジェネティシン検査培地中で発
芽して高さ2cmを超える緑の胚軸および長さ1cmを超える根を有する実生苗になる
種子を、NPTII陽性と定義した。さらに、ジェネティシンを含まない培地中で生 長した非トランスジェニック種子と同じくらい速く且つ正常に50mg/Lのジェネテ
ィシン培地中で発芽した種子に「++」とマーキングした。
【0058】
【表1】 表I:再生植物「ピーター」、自家受粉した子孫(R1およびR2)、および交配した子孫(F1およびF2)の分析 植物の世代 PCR(NPTII) ジェネティシン含有培地での種子発芽 R0 陽性 N/A R1 未検査 ++ F1 未検査 + R2 陽性 ++F2 未検査 ++ ++=正常な生命力、正常な苗形態;+=中程度の生命力、正常な苗形態;N/A=適
用不可能;F1=Quantum×Peter;Quantumは市販されている非トランスジェニック
B. napus品種
【0059】 再生植物「ピーター」(R0)から得た幾つかのR1種子はジェネティシン含有培
地で培養したときに正常に発芽し、アブラナ属の形質転換を示した(表I)。ジ ェネティシン選択で生き残った幾つかのR1実生苗を土壌に移し、自家受粉させ、
R2種子を収穫した。これらのR2種子の多くは、ジェネティシン含有培地で正常に
元気に発芽し育った。F1(Quantum×ピーター)種子は、ジェネティシン含有培 地で正常に発芽したが、ジェネティシン耐性R1またはR2種子のような勢いはなか
った。このように、NPTII核酸のコピー数および組み込まれたNPTII核酸のホモ接
合性は、NPTII発現のレベルに影響するようであった。ジェネティシン選択で生 き残った幾つかのF1実生苗を土壌に移して自家受粉させ、Quantum×ピーターのF 2 種子を収穫して検査した。これらのF2種子の約半分がジェネティシン含有培地 で正常且つ元気に発芽した。R2植物についてのNPTII特異的PCR分析で、陽性シグ
ナルが出た。このことは、NPTII核酸が「ピーター」の中に組み込まれたことを 確認するものである。しかし、「ピーター」の全ての世代におけるGUS染色は陰 性であった。
【0060】実施例2:組織粉砕調製法を用いたアブラナ属の形質転換 4〜6日齢のBrassica napus品種Westarの滅菌実生苗を収穫し、胚軸の下部、
種皮、および根を捨てた。この実生苗の残った上側部分は10〜50%の胚軸、2つ
の子葉、および苗条の先端を含んでいた。ブレンダーを用いてこの上側部分を液
体誘導培地とともに砕いて細胞スラリーとした。具体的には、約200個の実生苗 の上側部分を30mlの誘導培地と混合した。この混合物を室温にてブレンダー(Bl
ender Model 33BL79、Warning Products Division, Dynamics Corporation of A
merica))で細かく砕いた。得られたスラリーを一連のメッシュで異なる範囲の
組織サイズを有するグループに選別した。46〜230ミクロンの組織サイズを有す るグループを収集し、固形誘導培地上に置いた12フィルターフィルム(直径4cm )上で高密度で培養した。3日間の培養後、砕いた組織を含むフィルムに核酸分
子をコーティングした金の粒子を実施例1に記載したように射入し、誘導培地上
でさらに3日間培養した。つぎに、培養物を選択培地に2〜3週間移したあと、
苗条が再生するまで再生培地上で培養した。
【0061】 実施例1に記載したようにNPTII核酸分子の存在について再生した植物を分析 した。さらに、このような植物の一部をGUS発現について分析した。簡潔に述べ ると、GUSを発現する細胞は、GUS染色アッセイの後は青になる。使用したGUS染 色アッセイは、Anne-Marie Stopm in Sean R. Gallagher (ed.), GUS Protocols
:Using the GUS gene as a Reporter of Gene Expression, pp.103-113, Acade
mic Press, San Diego, California, 1992に詳細に記載されている。幾つかの再
生した苗条および葉は、GUS染色すると濃い青を示し、導入された外来GUS核酸配
列が発現されたことを示す。
【0062】 再生された植物を土壌に移し、培養して成熟させた。実施例1に記載した種子
発芽検査により、10個のR1種子をジェネティシン耐性について検査した。6つは
発芽しなかった。残り4つの種子のうち2つはジェネティシン耐性であり、得ら
れた苗はこのような条件下において中程度の生長力を示した(表II)。さらに、
17個のR1種子をジェネティシンの不在下にて発芽させ、各実生苗の葉を上記のよ
うにGUSについて染色した。これらのうち11個は濃い青色を示した(表II)。R2 植物についてのGUS染色およびNPTII特異的PCR分析により、陽性シグナルが出た 。まとめると、これらの結果は、NPTII遺伝子およびGUS遺伝子の両方がゲノムに
組み込まれ、その子孫にきちんと伝播されたことを示す。
【0063】
【表2】表II:粉砕法を用いて作製した再生植物の分析 植物の世代 GUS染色 ジェネティシン含有培地での発芽 NPTII特異的PCR R0 陽性 N/A 未検査 R1 陽性 + 未検査R2 陽性 未検査 陽性 +=中程度の生命力、正常な苗形態;N/A=適用不可能
【0064】実施例3:Brassica junceaの形質転換 Brassica juncea株DZJ-01は、組織培養物および他のBrassica juncea株の再生
特性に匹敵する再生特性を有する親株である。実施例2に記載した組織破砕調製
法を用いてDZJ-01株を首尾良く形質転換した。培養中DZJ-01組織はBrassica nap
us組織よりも速く増殖するので、幾つかの培養条件を改変した。具体的には、DZ
J-01組織を実施例2に記載したように調製し、射入を行った。射入後、組織を固
形誘導培地上で6日間培養した。つぎに培養物を浮揚板システム(floating raf
t system)に移し、液体選択培地中で8日間培養し、8日目に培地を液体再生培
地に変えた。これら2つの液体培地の組成は、寒天を省いた以外は実施例2の対
応する培地と同じ組成であった。この浮遊板システムは、LifeRaft Membrane Ra
ft(ライフ・テクノロジーズ社、カタログ#10518-017)、LifeRaft Float Unit( ライフ・テクノロジーズ社、カタログ#10521-011)、およびLifeGuard Membrane
Vented Lid (ライフ・テクノロジーズ、カタログ#10678-019)を備えたMagenta
容器を含み、製造業社により記載されたように使用した。
【0065】 緑の苗条先端が発生するまで、再生培地を毎週新しいものに変えた。苗条が形
成された後、これらを固形再生培地に移し、次にホルモンを含まない固形MS培地
に移した。
【0066】 再生植物のうち1つ(「J.J.」と名づけた)は、上記のGUS染色アッセイにお いて濃い青色を示した。さらに、GUS特異的プライマーを用いたPCR分析は、GUS 特異的配列が存在することを示す強い陽性シグナルを示した(表III)。まとめ ると、これらの結果は、導入されたDNAがR0植物のゲノムに組み込まれたことを 示す。性成熟した時点で、「J.J.」を自家受粉させ、R1種子を収穫した。組み込
みを証明するために、R1種子を発芽させ、得られた苗をGUS発現について検査し た。R1実生苗の幾つかは、GUS染色すると濃い青色を示し、GUS遺伝子がBrassica
junceaゲノムの中に組み込まれたことを示した。さらに、R2植物についてのGUS
染色およびNPTII特異的PCR分析は陽性シグナルを示し、GUSおよびNPTII遺伝子が
Brassica junceaゲノムに組み込まれたことをさらに確認した。
【0067】
【表3】表III:再生Brassica juncea植物の分析 植物の世代 GUS染色 PCR(GUS) PCR(NPTII) R0 陽性 陽性 未検査 R1 陽性 未検査 未検査R2 陽性 未検査 陽性
【0068】他の実施形態 本発明はその詳細な説明に関連して記載したが、前述の記載は本発明を例示す
るためのものであって、請求の範囲で定義した本発明の範囲を限定するものでは
ないことを理解されたい。他の態様、利点および変更は、請求の範囲の範疇内で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本明細書中に報告された実験で使用したpIMC38構築物を表わす図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD20 CA06 CA16 CB02 CD03 CD07 CD09 CD10 CD21 4B024 AA08 BA80 CA02 CA11 DA01 EA04 FA10 GA11 GA17 4B065 AA88X AB01 AC10 AC14 BA02 BA25 CA24 CA53

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)核酸をコーティングしたミクロ粒子弾を、非胚アブラ ナ属組織から調製した細胞に射入し、射入した細胞調製物を作製するステップ、
    および (b)前記射入調製物のうち前記核酸で形質転換された細胞を同定するステップ 、 を含む、形質転換アブラナ属細胞の作製方法。
  2. 【請求項2】 非胚アブラナ属組織から調製した前記細胞が二倍体であるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記非胚アブラナ属組織がアブラナ属実生苗から得られるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記実生苗が4〜6日齢の無菌実生苗であることを特徴とす
    る、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 射入すべき前記細胞が、非胚アブラナ属組織から、前記組織
    を少なくとも1つの切片にカットし、前記少なくとも1つの切片を誘導培地に接
    触させることにより、調製されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 射入すべき前記細胞が、非胚アブラナ属組織から、実生苗か
    ら胚軸をほぼ横方向にカットして少なくとも1つの胚軸切片を作製し、前記少な
    くとも1つの胚軸切片を縦方向にスライスし、前記縦方向スライスの少なくとも
    1つを誘導培地に接触させることにより、調製されることを特徴とする、請求項
    1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 射入すべき前記細胞が、非胚アブラナ属組織から、前記組織
    を解離させて細胞スラリーとすることにより調製されることを特徴とする、請求
    項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 射入すべき前記細胞が、非胚アブラナ属組織から、実生苗の
    上側部分を誘導培地中で解離させて細胞スラリーを作製することにより調製され
    、前記上側部分が苗条の先端、子葉、および10〜50%の胚軸を含むことを特徴と
    する、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記細胞スラリーが、約46ミクロン〜約230ミクロンのサイ ズを有する細胞物質について富化されることを特徴とする、請求項7に記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 前記核酸がポリペプチドをコードするかまたはポリペプチ
    ドの発現を調節することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記核酸がアンチセンス分子を含むことを特徴とする、請
    求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記核酸がリボザイムを含むことを特徴とする、請求項1
    に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記核酸が、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むこと
    を特徴とする、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記アブラナ属組織が、Brassica napus、Brassica junce
    a、 Brassica carinata、Brassica nigra、Brassica oleracea、およびBrassica
    campestrisよりなる群から選択されるアブラナ属の種から得られることを特徴 とする、請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記同定が、前記射入された細胞を、液体選択培地に接触
    させた浮揚装置上で培養すること、および前記選択培地の存在下において生き残
    ったこれらの細胞を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記方法が、前記同定した細胞からアブラナ属植物を再生
    するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記再生が、液体再生培地に接触させた浮揚装置上で前記
    同定した細胞を培養することを含む、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 請求項1の方法に従って作製されたアブラナ属細胞および
    その子孫。
  19. 【請求項19】 液体選択培地の存在下または液体再生培地の存在下におい
    て、浮揚装置上でアブラナ属組織を培養することを含む、アブラナ属組織の培養
    方法。
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