JP4549869B2 - 殺菌装置及び殺菌方法 - Google Patents
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Description
本発明の他の目的は、電子線を透過させる窓の温度上昇を抑制して、該透過窓の過熱を防止することができる殺菌装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、容器を支持手段で支持しながら電子線照射に搬入する場合において、この支持手段の遮蔽作用を受けることなく容器の全域に電子線を照射することができる殺菌装置を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、容器の特定部位(例えば、口栓部)を偏りなく電子線殺菌することができ、また、上記特定部位を照射する電子線を透過させる真空容器の窓の温度上昇及び無駄なエネルギーの消費を抑制することができる殺菌方法を提供することにある。
また、前記容器が口栓部を備える場合、該口栓部が前記特定部位になり得る。
前記各走査磁石を駆動するための第1、第2の電流波形を形成するステップと、
前記容器を下記の関係を満たす配列間隔L及び速度vで搬送して順次所定の電子線照射位置に搬入するステップと、
L=N・T・v
ここで、N:正の整数、T:前記電流波形の発生周期。
前記容器の特定部位を含む部位が前記電子線照射位置を通過するタイミングで前記第1の電流波形によって前記各走査磁石を駆動し、前記容器の前記特定部位を含まない部位が前記電子線照射位置を通過するタイミングで前記第2の電流波形によって前記各走査磁石を駆動するステップと、を含み、
前記第1の電流波形は、前記特定部位を含む部位に電子線を照射するように設定され、前記第2の電流波形は、前記特定部位を含まない部位に電子線を照射するように形成される。前記容器が口栓部を備える場合、該口栓部が前記特定部位になり得る。
この場合、上記双方の電子線を透過させる透過窓は、一方のみの電子線を透過させる透過窓よりも面積が大きく設定されることになるので、前者の透過窓と後者の透過窓の電子線総透過量を等しく設定した場合、前者の透過窓における単位面積当たりの電子線透過量は後者の透過窓のそれよりも少なくなる。したがって、この殺菌装置によれば、電子線透過窓の温度上昇を抑制して、該透過窓の過熱を防止することができる。
この殺菌装置は、略門形の真空容器1の上方中央部に第1走査磁石3を配設し、さらに、この真空容器1の中心軸線Lを挟む左右対称位置に第1偏向磁石5L,5R、第2走査磁石7L,7R及び第2偏向磁石9L,9Rを順次下方に向かって配設した構成を有する。上記第1走査磁石3及び第2走査磁石7L,7Rは交流磁石であり、第1偏向磁石5L,5R及び第2偏向磁石9L,9Rは直流磁石である。
電子線の照射対象物(殺菌対象物)の一例であるペットボトル15は、上記上部透過窓11及び側部透過窓13L,13Rによって囲まれた通路空間17を図1の紙面に垂直な方向(z方向)に通過する。
ボトル支持器具23は、搬送テーブル19に固定された基底部25と、この基底部25の両側から相対向して上方に延びる長尺状の一対の弾性板27とによって構成されている。ペットボトル15は、上記一対の弾性板27の弾性によって挟持され、その際、その底部15dは上記基底部25よりも高い位置にある。
電子線31は、前記上部透過窓11を透過してペットボトル15の口栓部15a及び肩部15bを照射し、一方、電子線33L,33Rは、第1偏向磁石5L,5Rに入射する。
したがって、この第1の実施形態に係る殺菌装置によれば、前記電子線31,37L,37R,41L,41Rによってペットボトル15の全体を殺菌することができる。
なお、図1においては、前記軸線Lを中心とする電子線31の左方及び右方走査範囲(角度範囲)をそれぞれθ1L及びθ1Rで、電子線39L,39Rの走査範囲をそれぞれθ2L及びθ2Rで、また、電子線37L,37Rの走査範囲をそれぞれθ3L及びθ3Rで示している。
そこで、この第1の実施形態に係る殺菌装置においては、第2偏向磁石9L,9Rの高さ位置を調整する高さ位置調整機構43L,43Rを設けてある。
上記のような小サイズのペットボトル15に対する電子線殺菌を実施する場合には、図示のように、電子線31の走査範囲θ1L,θ1Rをこのペットボトル15の肩部15bの面積に適合するように縮小することが望ましく、同様に、電子線37L,37Rの走査範囲θ3L,θ3Rをこのペットボトル15の高さに適合するように縮小することが望ましい。
さらに、上記実施形態では、第2偏向磁石9L,9Rのそれぞれに高さ位置調整機構43L,43Rを設けているが、いずれか一方のみに対して高さ位置調整機構43を設けるようにしても、サイズの異なるペットボトル15の底部15dの電子線照射に対応することができる。
この第2の実施形態に係る殺菌装置は、図4に示す上部透過窓11に代えて、図8に示すような平面略十字形状の上部透過窓45を真空容器1に形成した点と、交流磁石からなる第3走査磁石47を新たに配設した点において前記第1の実施形態に係る殺菌装置と相違する。
また、この第3の実施形態においては、上記口栓部15aの殺菌を終えたペットボトル15が所定距離進行した時点でその口栓部15aを把持する把持部材59を配設してある。この把持部材59は、図11に示すように、ペットボトル15の口栓部15aを移動可能に把持する溝59aを有している。
なお、この第3の実施形態の構成は、図1に示した第1の実施形態に係る殺菌装置にも適用することができる。
同様の理由から、電子線39Lの走査範囲θ2Lの右端と電子線37Lの走査範囲θ2Lの下端とで挟まれた領域、及び、電子線39Rの走査範囲θ2の左端と電子線37Rの走査範囲θ3の下端とで挟まれた領域を第2禁照射域と呼ぶ。
図12に示す照射制御装置の同期信号発生部61は、図13(A)に示す所定周期τの同期信号を発生し、この同期信号を電子銃駆動部63及び磁石制御部65に与える。電子銃駆動部63は、上記同期信号が入力されるタイミングで電子銃67に駆動パルスを供給し、その結果、電子銃67が上記同期信号に同期した電子線29を発生する。
そこで、磁石制御部65は、上記禁照射域1,2に含まれない電子線31,37L,37R,41L,41Rを形成するために、上記第1走査磁石3に流す電流を図13(B)に示す波形に基づいて制御し、また、第2走査磁石7L及び7Rへの供給電流をそれぞれ図13(C)及び(D)に示す波形に基づいて制御する。
次に、第1走査磁石3の電流は、次の同期信号の発生時点t1'で値c(電子線29を電子線33Lの位置まで走査する電流値)となるように急増され、その結果、時点t1'において電子線33Lが生成されることになる。電流値がbからcへ急増される期間t1〜t1'(Δt=τ)内では、同期信号が発生せず、このため、上記第1禁照射域に電子線が照射されることはない。
また、第1走査磁石3の電流がt1'の後に値cに到達すると、この値cよりも電流が小さいときに上記電子線29が発生するので、やはり、上記第1の禁照射域内に電子線が入り込むことになる。
第1走査磁石3への供給電流は、その後、所定個数の同期信号が発生した時点t4で値aに到達するように減少される。この電流変化b〜aにより、前記角度θ1Lに亘る電子線31が形成されるように第1走査磁石3が電子線29を走査する。
その後、第2走査磁石7Lの電流は、所定個数の同期信号が発生する時間が経過した時点t3で値fを示すように増加され、これにより、走査領域θ3Lにわたる前記電子線37Lが形成される。
さらに、第1走査磁石3及び第2走査磁石7L、7Rを駆動する電源の最大出力電圧は、上記電流を急変させる時間Δtに反比例するので、上記のようにこの時間Δtを同期信号の周期τに一致させれば、最大出力電圧を最小にできるという理由で上記電源のコストを低減することができる。
なお、上記第1、第2禁照射域に電子線が照射されることを回避するための電流波形作成手法は、前記第1〜第3の各実施形態のいずれに対してもに有効に適用することができる。
そこで、図12に示す磁石制御部65に、各電子線照射域における電子線の本数を調整する機能を持たせることができる。
磁石制御部65に、このような手段を設ければ、各照射領域における電子線の本数を適宜に設定して、照射線量の不足や過剰照射等の不都合を回避することが可能になるので、前記第1〜第3の実施の形態に係る殺菌装置の実用性を一層高めることができる。
図15において、ペットボトル15の配列間隔をL(m)、電子線照射周期をT(s)、ペットボトル15の搬送速度をv(m/s)とすると、これらが下式の関係を満たすように設定される。
L=N・T・v
ここで、Nは正の整数である。このNの値は、電子線の走査密度を勘案して設定され、例えば、N=6に設定される。
上式によれば、電子線照射周期Tにおけるペットボトル15の進行距離をN倍した距離がペットボトル15の配列間隔Lになる。
図16に示す第1走査磁石3についての電流波形では、時間tx及びtyにおいて図1の軸線L上を通過する電子線が発生されることになる。一方、図17に示す第1走査磁石3についての電流波形では、軸線L上を通過する電子線が発生されずに、電子線33L、33Rのみが発生されることになる。
また、最初の電子線照射周期と第m・N電子線照射周期にのみに上記ペットボトル15の口栓部に電子線が照射されるので、上部透過窓11の温度上昇を抑制することができるとともに、無駄なエネルギーの消費を抑制することができ、しかも、ペットボトル15の肩部の熱変形及び変色を防止することができる。
2 第1走査磁石
5L,5R 第1偏向磁石
7L,7R 第2走査磁石
9L,9R 第2偏向磁石
11、11'、45 上部透過窓
15 ペットボトル
17 通路空間
19 搬送テーブル
23 ボトル支持器具
27 弾性板
29、31、33L,R、37L,R、39L,R、41L,R、 電子線
43L,43R 高さ位置調整機構
51 第3偏向磁石
53 第4偏向磁石
55 電子線通路
61 同期信号発生部
63 電子銃駆動部
65 磁石制御部
67 電子銃
Claims (13)
- 複数の走査磁石と該走査磁石で走査された電子線を偏向する複数の偏向磁石とを備える電子線偏向手段を用い、この電子線偏向手段から照射される電子線を容器に照射することによって該容器を殺菌する殺菌装置において、
前記偏向磁石の中の少なくとも1つは、電子線を偏向して前記容器の底部外面に照射するように、かつ、前記底部外面の位置変化に対応させるべく移動可能に配置されていることを特徴とする殺菌装置。 - 前記各走査磁石で走査される電子線は、所定周期で発生する同期信号に同期して発生する電子線であり、前記各走査磁石を駆動するために、前記同期信号に同期して変化する電流波形を形成する波形生成手段を設け、前記電流波形は、予め設定された電子線禁照射域の一方の端から他方の端に電子線を移動させるための電流変化が前記同期信号の周期に相当する時間で実行されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。
- 前記各走査磁石で走査される電子線は、所定周期で発生する同期信号に同期して発生する電子線であり、前記各走査磁石を駆動するために、前記同期信号に同期して変化する電流波形を形成する波形生成手段を設け、該波形生成手段は、予め設定された電子線照射域での前記電子線の本数を指定する手段と、指定された電子線の本数に基づいて前記照射域を規定する前記電流波形の変化時間を変更する手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。
- 複数の走査磁石と該走査磁石で走査された電子線を偏向する複数の偏向磁石とを備える電子線偏向手段を用い、この電子線偏向手段から照射される電子線を容器に照射することによって該容器を殺菌する殺菌方法において、
前記偏向磁石の中の少なくとも1つによって電子線を偏向して前記容器の底部外面に照射するステップと、
前記容器の種類の変更に基づく前記底部外面の位置変化に応じて、前記少なくとも1つの偏向磁石の位置を変更するステップと、
含むことを特徴とする殺菌方法。 - 複数の走査磁石と該走査磁石で走査された電子線を偏向する複数の偏向磁石とを備える電子線偏向手段を用い、この電子線偏向手段から照射される電子線を容器に照射することによって該容器を殺菌する殺菌装置において、
前記走査磁石の中の第1及び第2の走査磁石は、電子線を互いに直交する平面に沿って走査して前記容器に照射するように配置されていることを特徴とする殺菌装置。 - 前記容器が口栓部を有し、前記第1及び第2の走査磁石は、それぞれによって走査した前記電子線を前記容器の口栓部に向って照射するように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の殺菌装置。
- 複数の走査磁石と該走査磁石で走査された電子線を偏向する複数の偏向磁石とを備える電子線偏向手段を用い、この電子線偏向手段から照射される電子線を容器に照射することによって該容器を殺菌する殺菌装置において、
前記電子線を前記容器の特定部位に向って照射する第1の電子線照射位置と、
前記電子線を前記容器の特定部位を除く部位に向って照射する第2の照射位置と、
前記容器を支持手段で把持しながら前記第1の電子線照射位置から前記第2の電子線照射位置へと搬送する搬送手段と、を備え、
前記支持手段は、前記容器が前記第1の照射位置に位置しているときに前記容器の前記特定部位を除いた部位を支持し、前記容器が前記第2の照射位置に位置しているときに前記特定部位を支持するように構成されていることを特徴とする殺菌装置。 - 前記第1の電子線照射位には、前記偏向磁石によって前記電子線が導かれることを特徴とする請求項7に記載の殺菌装置。
- 前記容器が口栓部を備え、前記特定部位が該口栓部であることを特徴とする請求項7に記載の殺菌装置。
- 前記各走査磁石で走査される電子線は、所定周期で発生する同期信号に同期して発生する電子線であり、前記各走査磁石を駆動するために、前記同期信号に同期して変化する電流波形を形成する波形生成手段を設け、前記電流波形は、予め設定された電子線禁照射域の一方の端から他方の端に電子線を移動させるための電流変化が前記同期信号の周期に相当する時間で実行されるように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の殺菌装置。
- 前記各走査磁石で走査される電子線は、所定周期で発生する同期信号に同期して発生する電子線であり、前記各走査磁石を駆動するために、前記同期信号に同期して変化する電流波形を形成する波形生成手段を設け、該波形生成手段は、予め設定された電子線照射域での前記電子線の本数を指定する手段と、指定された電子線の本数に基づいて前記照射域を規定する前記電流波形の変化時間を変更する手段とを備えることを特徴とする請求項7に記載の殺菌装置。
- 複数の走査磁石と該走査磁石で走査された電子線を偏向する複数の偏向磁石とを備える電子線偏向手段を用い、この電子線偏向手段から照射される電子線を容器に照射することによって該容器を殺菌する殺菌方法において、
前記各走査磁石を駆動するための第1、第2の電流波形を形成するステップと、
前記容器を下記の関係を満たす配列間隔L及び速度vで搬送して順次所定の電子線照射位置に搬入するステップと、
L=N・T・v
ここで、N:正の整数、T:前記電流波形の発生周期。
前記容器の特定部位を含む部位が前記電子線照射位置を通過するタイミングで前記第1の電流波形によって前記各走査磁石を駆動し、前記容器の前記特定部位を含まない部位が前記電子線照射位置を通過するタイミングで前記第2の電流波形によって前記各走査磁石を駆動するステップと、を含み、
前記第1の電流波形は、前記特定部位を含む部位に電子線を照射するように設定され、前記第2の電流波形は、前記特定部位を含まない部位に電子線を照射するように形成されていることを特徴とする殺菌方法。 - 前記容器が口栓部を備え、前記特定部が該口栓部であることを特徴とする請求項12に記載の殺菌方法。
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