JP4549004B2 - 真空処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応容器内に処理ガスを導入して行うプロセス、例えばアモルファス半導体デバイス、電子写真用感光体や光起電力デバイス等の機能性堆積膜の形成や、ガスエッチング等の真空処理方法に関し、特に複数の反応容器に共通のガス供給装置から処理ガスを供給して行う真空処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、プラズマCVD等の真空処理によって水素または/およびハロゲンで補償されたアモルファスシリコン等のアモルファス材料からなる半導体用等の堆積膜を基体上に形成する場合や、ガスエッチングを行う場合に、複数の反応容器を共通の排気装置やガス供給装置に接続し、反応容器内に設置した基体に対して同時に処理を施すことによって生産コストの低減や生産効率の向上を図ってきた。このとき、処理条件を均一にするため、反応容器と排気装置とを繋ぐ真空排気路中に圧力調節弁を設けて反応容器内の圧力を揃えることが一般的に行われている。例えば、特開平10−154704号には、排気管路内にスロットル弁を設け、2つの処理領域の圧力を調節する例が開示されている。また、特開2000−273616号には、複数の成膜室と真空排気系とを繋ぐそれぞれの配管中に可変コンダクタンスバルブを設けることにより、各成膜室内の圧力をそれぞれ個別に調節可能とする例が開示されている。
【0003】
ところで、上述したような複数の反応容器を共通の排気装置やガス供給装置に接続した構成においては、反応容器を排気装置やガス供給装置と着脱可能とすることによって、装置の稼動効率を向上させることができる。例えば、特開平10−168576号には、搬送可能な真空反応容器を、真空保持状態で搬送して処理を施していく例が開示されており、これによって、処理を終えた反応容器を移動させ、別の場所でメンテナンスを行い、その間に別の反応容器を接続して処理を行うことができるため、装置のデッドタイムが短く、生産効率の高い製造装置を構築することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術を用いて反応容器内の圧力を揃えるとき、真空排気路のコンダクタンスを調節することで反応容器内の圧力を揃えることができるが、その際、それぞれの反応容器に接続されたガス供給路のコンダクタンスにばらつきがあると、処理ガスを各反応容器に均等に分配できなくなる。これによって、例えばプラズマCVDによる堆積膜の形成においては、プラズマの特性が各反応容器間で不均一になり、堆積膜の特性のばらつきに繋がることがある。排気装置やガス供給装置に対して反応容器の配置に対称性をもたせ、配管の長さや曲げ部の数等を揃えることで各配管のコンダクタンスをある程度揃えることはできるが、装置の設計の自由度が低下し、コストの上昇に繋がることがある。また、ガスを均等に分配するには、例えば、それぞれのガス供給路に可変コンダクタンス弁を取り付け、予めコンダクタンスを調節しておくことが考えられるが、経時変化によってガスの流量が変動する場合があることから、処理毎に真空排気路やガス供給路のコンダクタンスを簡便に調節可能な方法が求められる。
【0005】
さらに、複数の反応容器を、共通の排気装置やガス供給装置と着脱可能とすると、装置のデッドタイムが短く、生産効率の高い真空処理装置を構築することができるが、配管の長さの調節等の設計のみによってコンダクタンスを調節することが困難な場合がある。すなわち、反応容器の着脱ごとに真空排気路やガス供給路との接続状態、例えば反応容器の位置決め等に再現性が得られないときには、真空排気路やガス供給路のコンダクタンスが反応容器の着脱の度に異なる場合があるため、処理ロットによって処理条件が不均一になることがある。さらに、同じ構成の反応容器を用いても、反応容器の個体差によってガスの流入速度と排気速度のバランスにばらつきが生じ、処理条件が不均一になることがある。このような反応容器の接続位置や、処理ロット、反応容器の個体差等によって真空処理条件がばらつくと、堆積膜の特性が不均一になりやすい。そのため、真空処理条件を全ての反応容器で均一に保って処理を行うには、処理前に反応容器に接続された各配管のコンダクタンスの調節を行う必要がある。
【0006】
本発明は、以上のような従来技術における改善すべき点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、複数の反応容器を用いた真空処理方法において、各反応容器に導入されるガスの流入、流出速度を揃えて処理を行うための真空処理方法を提供し、特に、反応容器が真空排気路やガス供給路と着脱可能なときに再現性を高くして処理を行うための真空処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、真空処理方法を次のように構成したものである。すなわち、処理ガスを複数の反応容器に導入する前に、一つの反応容器のみにガスを導入できる状態にしておき、ガスを導入できるようにした反応容器に予め定めた流量のガスを導入し、そのときの反応容器内の圧力を予め定めた値になるように排気コンダクタンスを調節する工程を全ての反応容器について順次行うことによって、反応容器の各々に接続された真空排気路のコンダクタンスを揃えた後、ガス供給装置からすべての反応容器に同時に処理ガスを供給する際に、各々の反応容器に接続されたガス供給路のコンダクタンスを揃える工程を行うことを特徴とする真空処理方法である。
【0008】
また、本発明においては、それぞれの反応容器に接続された真空排気路のコンダクタンスの調節を、各々の反応容器に接続された真空排気路中に設けた弁を用いて行うことができる。このときに用いる弁としては、スロットル弁等が挙げられる。
【0009】
さらに、本発明においては、それぞれの真空排気路のコンダクタンスを全ての反応容器について揃えた後、それぞれのガス供給路のコンダクタンスを揃える方法としては、全ての反応容器に同時に処理ガスを導入した後、それぞれの反応容器内の圧力を調節する方法が考えられる。
【0010】
ここで、ガス供給路のコンダクタンスを揃える工程は、反応容器の各々に接続したガス供給路中に設けた弁を用いて行うことができる。このときに用いる弁としては、ニードル弁等が挙げられる。
【0011】
また、本発明においては、反応容器を排気装置やガス供給装置と着脱可能とし、処理の前後に反応容器を移動させ、反応容器のメンテナンス等を別の場所で行ってもよい。
【0012】
上記のとおり構成された発明によれば、複数の反応容器を共通の排気装置およびガス供給装置に接続して所定の処理を行う真空処理方法、例えば、プラズマCVDやガスエッチング等において、処理を行う前に、それぞれの反応容器に接続された真空排気路やガス供給路のコンダクタンスを容易に調節することが可能で、各反応容器に導入されるガスの流量や反応容器中の圧力を再現性良く揃えることができ、それによって反応容器の接続位置等による処理条件のばらつきを小さくして処理を行うことが可能となる。このとき、真空排気路やガス供給路中に設けた弁を用いてコンダクタンスの調節を行うことで、配管のコンダクタンスを全ての反応容器について簡便に、かつ個別に、さらには必要なときにいつでも調節することができる。また、反応容器が排気装置およびガス供給装置と着脱可能なとき、反応容器と真空排気路やガス供給路の接続状態の再現性や反応容器の個体差等の影響を受けずに、処理前に真空排気路やガス供給路のコンダクタンスを容易に揃えることが可能で、処理ロット間での処理条件のばらつきを小さくして処理を行うことが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る真空処理装置の一例の模式図である。この装置は、プラズマCVDによって基体上にアモルファスシリコン感光体を形成するために構成された装置の一例である。この装置は、大別して複数の反応容器101,102,103と、反応容器内を排気するための排気装置200、プラズマ処理工程や、真空排気路およびガス供給路のコンダクタンスを調節する工程において必要なガスを供給するガス供給装置300、マッチングボックス701,702,703および高周波電源711,712,713からなっている。それぞれの反応容器には圧力計111,112,113が設けられている。圧力計は反応容器内の圧力を直接測定できるように設置しておくことが好ましいが、堆積膜の形成工程において圧力計にも堆積膜が形成されてしまうことが懸念されるときには、反応容器内の圧力を実質的に知ることができる範囲内で反応容器近傍の真空排気路に設けることもできる。また、それぞれの反応容器は、真空排気路501,502,503が共通の真空排気路510を介して排気装置200に接続されており、また、ガス供給路521,522,523が共通のガス供給路530を介してガス供給装置300に接続されている。また、それぞれの真空排気路にはスロットル弁411,412,413が設けられ、排気コンダクタンスを個別に調節可能となっている。さらに、それぞれのガス供給路にはニードル弁431,432,433が設けられ、ガス供給路のコンダクタンスを個別に調節可能となっている。
ところで、図1に示した装置は、3個の反応容器を排気装置やガス供給装置に接続できるようにしたものであるが、反応容器はいくつ接続してもよい。また、それぞれの真空排気路やガス供給路の長さを揃えるなどして、コンダクタンスのばらつきをできるだけ小さくするように設計しておくことが望ましい。
【0015】
図2は、プラズマCVDによって基体上にアモルファスシリコン感光体を形成するために構成された反応容器内部の一例の模式図である。この図は反応容器101の構成を示したものであるが、他の位置に接続された反応容器も同様の構成である。反応容器101は架台121の上に設置されている。反応容器101内には基体122を保持するための保持部材123が設けられており、基体122の内側には、基体122を所望の温度に加熱できるように、ヒータ124が設けられている。また、基体122の内部にあるヒータ124がプラズマに曝されないように、基体122の上部にキャップ125が設けられている。反応容器101は上蓋126によって真空封止可能となっている。反応容器101の周りには複数の電極127が設けられ、分岐板128を介してマッチングボックス701および高周波電源711へと接続される。電極127の周りには電極から周囲に高周波が漏洩するのを防止する高周波シールド129が設けられている。また、反応容器101の底部には排気口130が設けられ、真空排気路501が繋がっている。ガス導入管131はガス供給路521を介してガス供給装置300に接続される。
【0016】
図3は、反応容器の形状を円筒形としたときに、図2に示した反応容器を上から見た一例の概略図である。円筒形の基体122が反応容器101の中央に設置され、その周囲に排気口130が同一円周上に配設されている。反応容器101の外側には、電極127が排気口の配列に対して同心円状に設けられている。ここで、基体を複数配置するときには中央部に排気口を設け、その周りに基体を同心円上に配置してもよい。
【0017】
図1および図2に示した真空処理装置を用いて基体上に堆積膜を形成する前に、各反応容器に接続された真空排気路およびガス供給路のコンダクタンスを揃える方法の一例のフローチャートを、図4に示す。まず、排気装置200を用いて反応容器101,102,103内を真空排気する。排気が十分行われた後、各反応容器に接続された真空排気路のコンダクタンスを一つずつ調節する。例えば、真空排気路501のコンダクタンスを調節するとき、反応容器101に接続された真空排気路501中の弁401とガス供給路中の弁421を開き、反応容器102および反応容器103に接続された真空排気路502,503中の弁402および弁403と、ガス供給路522,523中の弁422および弁423を閉じておく。そして、弁440を開き、反応容器101にのみ予め定めた流量の圧力調整用のガスを導入する。このとき、圧力調整用ガスの流量は、マスフローコントローラ301〜305によって真空処理の種類や条件にあわせて適宜調節する。また、ガスの種類としては、実際に処理に使用するガスを用いてもよいし、Ar、He等の不活性ガス等を用いてもよい。ガスの流量が安定した後、真空排気路501中に設けられたスロットル弁411を用いて反応容器101内の圧力を予め設定した値に調節する。続いて、他の真空排気路502のコンダクタンスを調節する。真空排気路501のコンダクタンスを調節した後、弁401,421を閉じ、弁402,422を開いて反応容器102にガスを導入する。ガスの流量が安定した後、真空排気路502中のスロットル弁412で反応容器102内の圧力を調節する。同様にして反応容器403内部の圧力をスロットル弁413で調節し、真空排気路のコンダクタンスを揃える。
【0018】
次に、ガス供給路のコンダクタンスを揃える。ガス供給路のコンダクタンスの調節は以下のようである。各反応容器の真空排気路501,502,503のコンダクタンスを揃えた後、弁401,402,403,421,422,423,440および、原料ガスの弁451〜455のうち、処理に用いるガスの弁を開いた状態で、処理ガスを全ての反応容器に同時に供給する。処理ガスの流量が安定した後、ガス供給路521,522,523中に設けられたニードル弁431,432,433を用いて全ての反応容器内の圧力を揃える。このとき、ガス供給路に処理ガスを滞留させることなく、それぞれの容器に均等に分配するためには、処理ガスの導入時まではニードル弁431,432,433を全開にしておき、処理ガスを導入したときに圧力の高い反応容器から順に圧力を調節していくのが望ましい。
【0019】
ところで、処理の種類によっては反応容器内の圧力を処理の途中で変更しなければならないことがある。例えば、堆積膜の形成工程においては、それまで堆積していた膜と異なる機能を持つ堆積膜を引き続いて形成する際に反応容器内の設定圧力を変更する場合が多い。そのときには、ガス供給路のコンダクタンスが揃っているため、真空排気路のコンダクタンスを再調節すればよい。すなわち、次の堆積膜に使用する処理ガスをそれぞれの反応容器に同時に供給し、ガスの流量が安定した後、スロットル弁411,412,413を用いて反応容器内の圧力を再度調節することで処理条件のばらつきを抑えたまま堆積膜を形成することができる。また、共通の真空排気路510にスロットル弁を設け、それぞれの反応容器内の圧力を一括して調節してもよい。以上のように、真空処理前に真空排気路やガス供給路のコンダクタンスを調節することで、反応容器の接続位置による処理条件のばらつきを抑えることができる。
【0020】
図5に、反応容器を移動自在としたときの本発明に係る真空処理装置の一例の模式図を示す。反応容器を移動させ、別の場所でメンテナンスを行う間に別の反応容器を用いて処理を行うことで、装置の稼動効率を向上させることができる。
反応容器101についてみてみると、反応容器101は接続機構601を介して排気装置200と,接続機構611を介してガス供給装置300と、接続機構621を介してマッチングボックス701と着脱可能となっている。そして、バルブ481,491を閉じ、接続機構601,611,621を開放することによって、反応容器101は真空保持したまま移動可能となっている。
【0021】
また、反応容器102,103も、それぞれに対応する接続機構602,603を介して排気装置200と、それぞれに対応する接続機構612,613を介してガス供給装置300と、それぞれに対応する接続機構622,623を介してマッチングボックス701と着脱可能となっていて、反応容器101と同様に真空保持したまま移動可能である。
【0022】
図6は、プラズマCVDによってアモルファスシリコン感光体を形成するために構成された移動自在な反応容器内部の一例の模式図である。この図は反応容器101の構成を示したものであるが、他の位置に接続された反応容器も同様の構成である。反応容器101は搬送用車輪132を持つ移動台133の上に設置されることによって移動自在となっている。また、排気配管134は弁481を備えていて、接続機構601を介して真空排気路に接続される。さらに、ガス導入管は弁491を備えていて、接続機構611を介してガス供給路に接続される。そして、接続機構621を介してマッチングボックスおよび高周波電源に接続可能となっている。
【0023】
図5および図6に示した装置を用いて処理を行うとき、反応容器を所定の位置まで移動させ、真空排気路とガス供給路を接続機構を介して接続した後、先に述べた方法で真空排気路とガス供給路のコンダクタンスを揃えることで、真空排気路やガス供給路と反応容器の接続状態の再現性や反応容器の個体差に影響を受けずに、処理ロット間での条件のばらつきを小さくして処理を行うことが可能となる。
【0024】
図1または図5で示した真空処理装置を用いて、基体上にアモルファスシリコン膜を形成する工程は、以下のようである。まず、堆積膜の形成前にそれぞれの真空排気路およびガス供給路のコンダクタンスを揃える。次に、反応容器内に処理ガスを導入しながら高周波電源711,712,713からマッチングボックス701,702,703を介して高周波電力を印加し、処理ガスをプラズマ化して基体上に堆積膜を形成する。このとき、ヒータ124によって基体の温度を適宜調節してもよい。堆積膜の層構成や膜厚、特性は、目的に応じて原料ガスの種類や流量や割合、高周波電力の大きさ等によって任意に調節する。このとき、基体を一定の速さで回転させておくと、反応容器の周方向にわたってプラズマの分布にむらがあるときでも均一な膜質を得ることができる。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明における実施例を、図を用いて説明する。ただし、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
【0026】
<実施例1>
図1に示した装置を用いて、真空排気路とガス供給路のコンダクタンスを揃えたときにそれぞれの反応容器に導入されるガスの流量を測定した。一つの排気装置とガス供給装置に対して、3個の反応容器を接続できるように真空排気路やガス供給路を配管した。また、真空排気路やガス供給路の長さを概ね揃えるなどしてコンダクタンスのばらつきが大きくならないようにした。真空排気路とガス供給路のコンダクタンスの調節は以下のようにして行った。まず、全ての反応容器内を真空排気した後、反応容器101にアルゴンガスを300ml/min.[normal]導入し、その際の各反応容器内の圧力を50Paになるように真空排気路に設けたスロットル弁を用いて調節した。その後、反応容器102,103も同様の手順で反応容器内の圧力を調節し、真空排気路のコンダクタンスを揃えた。その後、処理ガスを模したアルゴンガスをそれぞれの反応容器に同時に導入し、ガス供給路に設けたニードル弁431〜433を用いて各反応容器の圧力を揃えた。アルゴンガスの流量は900ml/min.[normal]とした。それぞれのガス供給路にはマスフローメーターを設け、それぞれの反応容器に導入されるガスの流量を測定した。
【0027】
測定されたそれぞれの反応容器に導入されるガスの流量のばらつきを計算したところ、流量が最も少なかったものと多かったものとの差は2%程度となり、本発明の方法でそれぞれの反応容器に導入されるガスの流量を揃えることができることが分かった。
【0028】
<実施例2>
図1および図2に示した装置を用いて、既述した堆積膜の形成方法でアモルファスシリコン感光体を形成し、その特性のばらつきを評価した。装置としては実施例1と同様のものを用い、基体としては、長さ358mm、直径80mmのアルミニウムシリンダーを反応容器中央に保持した。また、感光体の層構成としては、導電性の基体から電荷の注入を阻止する働きを持つ電荷注入阻止層と、光導電性を有する光導電層と、耐湿性、繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性向上を目的とする表面層を基体上に順次積層した。堆積膜の形成条件を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0004549004
ここで、各ガス種の流量は、全ての反応容器に導入される合計であり、膜厚は目標値である。堆積膜の形成前には、真空排気路とガス供給路のコンダクタンスの調節を行った。まず、実施例1の手順に従って真空排気路のコンダクタンスを揃えた後、電荷注入阻止層を形成するための処理ガスを各反応容器に同時に導入し、ガス供給路に設けたニードル弁431,432,433を用いて反応容器内の圧力が同じになるように調節した。また、各層の変わり目では、真空排気路に設けたスロットル弁411,412,413で反応容器内の圧力を再調節した。
また、成膜処理が終わるたびにその場で反応容器のメンテナンスを行った後、次の成膜を行った。成膜操作は5度行い、合計で15本のアモルファスシリコン感光体を形成した。
【0030】
得られたアモルファスシリコン感光体について、膜厚および帯電能を測定した。膜厚については、基体の軸方向の中心における膜厚を測定した。帯電能については、キヤノン製iR6000を実験用に改造した電子写真装置にアモルファスシリコン感光体を設置し、帯電器に6kVの電圧を印加してコロナ帯電を行い、表面電位計によって基体の中心の暗部電位を測定した。
【0031】
得られた測定値から反応容器の接続位置による特性のばらつきの評価を以下のようにして行った。まず、一つの処理ロットにおいて各反応容器から得られた感光体について、膜厚の最も薄いものに対する最も厚いものの比と、帯電能の最も低いものに対する最も高いものの比を計算し、それらの値の5つの処理ロットの平均値を算出し、反応容器の接続位置による膜厚や帯電能のばらつきとして評価した。
【0032】
<比較例1>
図1および図2に示した装置を用いてアモルファスシリコン感光体を形成し、その特性のばらつきを評価した。本比較例においては、堆積膜を形成する際の反応容器内の圧力は、処理ガスを導入した際に、真空排気路に設けたスロットル弁によって調節した。装置構成、堆積膜の形成条件、堆積膜形成後の反応容器のメンテナンスの手順は実施例2と同様とした。成膜操作は5度行い、得られたアモルファスシリコン感光体について、実施例2と同様の方法で膜厚および帯電能を測定し、反応容器の接続位置による特性のばらつきを評価した。
【0033】
実施例2および比較例1のそれぞれにおいて、反応容器の接続位置による膜厚のばらつきを評価した結果を表2に、帯電能のばらつきを評価した結果を表3に示す。数値が大きいほどばらつきが大きいことを表す。
【0034】
【表2】
Figure 0004549004
【0035】
【表3】
Figure 0004549004
表2および表3から明らかなように、真空排気路のコンダクタンスのみを調節した時に比べて、真空排気路に加えてガス供給路のコンダクタンスも調節したときには、反応容器の接続位置による膜厚や帯電能のばらつきを小さくして堆積膜を形成できることが分かる。
【0036】
<実施例3>
図5および図6に示した装置を用いて、既述した堆積膜の形成方法でアモルファスシリコン感光体を形成し、その特性のばらつきを評価した。一つの排気装置とガス供給装置に対して、真空排気路やガス供給路と着脱可能な3個の反応容器を接続できるように装置を構成した。また、真空排気路やガス供給路の長さを概ね揃えるなどしてコンダクタンスのばらつきが大きくならないようにした。同じ設計の反応容器を6個以上用意し、各成膜操作の後、反応容器を真空排気路やガス供給路から外し、別の場所でメンテナンスを行う間に次の反応容器を接続して成膜を行った。真空排気路とガス供給路のコンダクタンスの調節条件および堆積膜の形成条件は実施例2と同様とした。成膜操作は5度行い、合計で15本のアモルファスシリコン感光体を形成した。得られたアモルファスシリコン感光体について、実施例2と同様の方法で膜厚および帯電能を測定し、処理ロットによる膜厚や帯電能のばらつきを以下の方法で評価した。まず、5つの処理ロットにおいて、同じ位置に接続した反応容器から得られた感光体について、膜厚の最も薄いものに対する最も厚いものの比と、帯電能の最も低いものに対する最も高いものの比を計算した。そして、その値の3箇所の接続位置の平均値を算出し、処理ロットによる膜厚や帯電能のばらつきとして評価した。
【0037】
<比較例2>
図5および図6に示した装置を用いてアモルファスシリコン感光体を形成し、その特性のばらつきを評価した。本比較例においては、堆積膜を形成する際の反応容器内の圧力は、処理ガスを導入した際に、真空排気路に設けたスロットル弁によって調節した。装置構成、堆積膜形成後の反応容器のメンテナンスの手順は実施例3と同様とし、堆積膜の形成条件は実施例2と同様とした。成膜操作を5度行い、得られたアモルファスシリコン感光体について膜厚および帯電能を測定し、実施例3と同様の方法で処理ロットによる膜厚や帯電能のばらつきを評価した。
【0038】
<比較例3>
図5および図6に示した装置を用いてアモルファスシリコン感光体を形成し、その特性のばらつきを評価した。本比較例においては、反応容器の圧力の調節を以下のようにして行った。まず、1度目の成膜の際に真空排気路とガス供給路のコンダクタンスを揃え、2度目以降の成膜については、1度目に揃えたガス供給路中のニードル弁の開度を保持し、真空排気路中のスロットル弁によってそれぞれの反応容器内の圧力を揃えた。装置構成、堆積膜形成後の反応容器のメンテナンスの手順は実施例3と同様とし、堆積膜の形成条件は実施例2と同様とした。
成膜操作を5度行い、得られたアモルファスシリコン感光体について膜厚および帯電能を測定し、実施例3と同様の方法で処理ロットによる膜厚や帯電能のばらつきを評価した。
【0039】
実施例3および比較例2,3のそれぞれにおいて、処理ロットによる膜厚のばらつきを評価した結果を表4に、帯電能のばらつきを評価した結果を表5に示す。
【0040】
【表4】
Figure 0004549004
【0041】
【表5】
Figure 0004549004
表4および表5から明らかなように、真空排気路のみのコンダクタンスを調節したときや、一度目の成膜時のみに真空排気路とガス供給路のコンダクタンスを調節したときに比べて、反応容器を着脱するたびに真空排気路とガス供給路のコンダクタンスを調節したときには処理ロットによる膜厚や帯電能のばらつきを抑えて堆積膜を形成できることが分かる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、複数の反応容器を用いて所定の真空処理を行う前に、それぞれの反応容器に接続された真空排気路やガス供給路のコンダクタンスを調節しておくことで、接続位置による処理条件のばらつきを小さくして処理を行うことができる。また、反応容器が移動自在であって、反応容器と排気装置やガス供給装置の接続状態や反応容器の個体差に再現性がない場合でも、処理前にそれぞれの真空排気路やガス供給路のコンダクタンスを調節することで、処理ロット間での処理条件のばらつきを小さくして処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空処理装置の一例の模式図である。
【図2】プラズマCVDによってアモルファスシリコン感光体を形成するために構成された反応容器の一例である。
【図3】本発明の真空処理方法で用いる反応容器を垂直方向から見たときの一例を示す模式図である。
【図4】各反応容器に接続された真空排気路およびガス供給路のコンダクタンスを揃える方法の一例のフローチャートである。
【図5】反応容器を移動自在としたときの、本発明に係る真空処理装置の一例の模式図をである。
【図6】プラズマCVDによってアモルファスシリコン感光体を形成するために構成された移動自在な反応容器の一例の模式図である。
【符号の説明】
101〜103 反応容器
111〜113 圧力計
121 架台
122 基体
123 保持部材
124 ヒータ
125 キャップ
126 上蓋
127 電極
128 分岐板
129 高周波シールド
130 排気口
131 ガス導入管
132 搬送用車輪
133 移動台
134 排気配管
200 排気装置
300 ガス供給装置
301〜305 マスフローコントローラ
311〜315 レギュレータ
321〜325 ボンベ
401〜403 弁
411〜413 スロットル弁
421〜423 弁
431〜433 ニードル弁
440 弁
451〜455 弁
461〜465 弁
471〜475 弁
481〜483 弁
491〜493 弁
501〜503 真空排気路
510 共通の真空排気路
521〜523 ガス供給路
530 共通のガス供給路
601〜603 真空排気路との接続機構
611〜613 ガス供給路との接続機構
621〜623 マッチングボックスとの接続機構
701〜703 マッチングボックス
711〜713 高周波電源

Claims (5)

  1. 複数の減圧可能な反応容器の各々に接続された真空排気路が、共通の真空排気路を介して排気装置に接続され、かつ、前記反応容器の各々に接続されたガス供給路が共通のガス供給路を介してガス供給装置に接続され、前記ガス供給装置から前記反応容器に処理ガスを供給して行う真空処理方法において、
    前記処理ガスを複数の前記反応容器に導入する前に、一つの反応容器のみに予め定めた流量のガスを導入し、そのときの前記一つの反応容器内の圧力が予め定めた値になるように排気コンダクタンスを調節する工程を全ての反応容器について順次行うことによって反応容器の各々に接続された前記真空排気路のコンダクタンスを揃えた後、前記ガス供給装置から全ての反応容器に同時に前記処理ガスを供給する際に、各々の前記反応容器に接続されたガス供給路のコンダクタンスを揃える工程を行うことを特徴とする真空処理方法。
  2. 前記排気コンダクタンスを調節する工程を、前記反応容器の各々に接続された真空排気路中に設けた弁によって行う、請求項1に記載の真空処理方法。
  3. 前記ガス供給路のコンダクタンスを揃える工程は、全ての反応容器に前記ガス供給装置から同時に前記処理ガスを導入し、そのときの前記反応容器内の圧力が同じになるように各々の前記ガス供給路のコンダクタンスを調節する、請求項1又は2に記載の真空処理方法。
  4. 前記ガス供給路のコンダクタンスを揃える工程を、前記反応容器の各々に接続されたガス供給路中に設けた弁によって行う、請求項3に記載の真空処理方法。
  5. 前記反応容器の全てが前記排気装置および前記ガス供給装置と着脱可能、かつ移動自在であり、真空処理の前後に前記反応容器を前記排気装置および前記ガス供給装置から切り離して移動させる工程を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の真空処理方法。
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