JP4548678B2 - 巻線機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は巻線機に関し、特に、それほどの精度を要しないが、少量多品種で、一般に設備コスト、製造コストとも割高になりがちである、古くから有る普通のコイルを、低い設備コスト、低い生産コストで効率良く製造可能にするための巻線機に関する。
【0002】
【従来の技術】
巻線機とは、主にコイルを巻く機械の事である。一口にコイルと言っても、その種類は無数に存在し、又、巻線機についても色々なタイプの巻線機が存在する。
近年、電子機器の小型化が進み、使用されるコイルも小型化、高効率化が要求され、そのため完全整列のボビンレスコイルや、平角線を使用したコイル等、新しいタイプのコイルも生み出され、又それらを巻く巻線機についても、高性能の巻線機が発表されている。
【0003】
しかし、世の中にはこれらの、所謂ハイテクなコイルばかりでなく、古くから有る普通のコイル(単純なボビンに巻いた、ソレノイドコイルとか、トランスコイルとか呼ばれる物)も、相当な数がリレーやトランス等に、使用されている。
これら普通のコイルは、大量生産される場合には、多軸のフライヤー型又は、多軸の大型の巻線機によって巻かれる事も一部有るが、大部分は、少量多品種生産で、殆どは、単軸の巻線機(スピンドル軸1本と、トラバースが1軸の巻線機)を使用して巻かれている。
【0004】
これら普通のコイルは、その製品単価が安い物が殆どで、最新の巻線機は、設備コストとの関係で使用出来ない事が多く、何十年も前の古い巻線機を使用したり、巻線機とも呼べないような、スピンドル軸に、巻数をカウントするカウンターを付けただけの物を使用し、人の手で、トラバースを掛けながら巻いていったりしている。
【0005】
これら普通のコイルについても、近年の小型化の要求によって、以前に比べて、随分小型の製品が作られるようになった。この場合、所謂ハイテクなコイルと違い、その整列性は然程要求されないことが多く、巻数さえ正確であれば、整列に巻かれていない、通称ガラ巻のコイルであっても、良品として扱われる事が多い。
【0006】
図3は、このことを説明する例として書いた模式図である。(A),(B)のコイルは、どちらもガラ巻になったコイルであるが、(B)のコイルは凸凹が大きく、ボビンの縁からはみ出しているので、さすがに不良品となる。
しかし、(A)のコイルは、多少凸凹は有るが、ボビンの縁からはみ出してはいないから、良品となる。
【0007】
以上を踏まえた上での更なる考察であるが、現在一般に使用されている、巻線機の制御方式は、パルス列制御方式の物が殆どである。この方式では、先ず、スピンドルモーターには、サーボ又は、インバーター等のモーターを使用する。また、トラバースモーターには、パルスモーター又は、サーボモーター等を使用する。そして、スピンドル軸に設けた、ロータリーエンコーダー等のセンサーの信号を、CPUを使用した制御回路で演算制御し、スピンドル軸に対してのトラバース軸の同期運転を実行する。
【0008】
このパルス列制御方式の特徴は、各部の動きを数値として制御する為、正確な動きと、その再現性の良さにあり、これで、ばらつきの少ない製品を生産する事が出来る。
又、巻線に関わるデーターを数値として管理、保存する事も可能で、今後においても、巻線機の主流の制御方式にされると推定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしその反面、使用するモーターや、トラバース軸に使用するボールネジ等の機構部品、或いはCPU等の制御回路に、比較的高価な、高精度の部品を使用しないと、その性能が発揮出来ない(第1点)。
また、数値で制御する関係で、必要とされる入力データーの種類が多く、しかも、入力したデーター通りにしか、各部が動けない(第2点)。
【0010】
第2点の入力データーについて、もう少し詳しく解説すると、巻線を数値で制御して、巻線を実行する場合、必要なデーターとしては、少なくとも、
1.総巻数(ターン数の事で、コイル等を巻く時の最も基本的なデーター)
2.巻幅(ボビンの長さ又は、折り返し位置のデーター)
3.ピッチ(ワイヤーの太さのデーター)
4.オフセット又は、巻始点(巻き始めのワイヤーの位置を、ボビンの一方の壁に合わせる為のデーター)
5.回転速度(巻線のスピードを決定するデーター)
があり、何れも基本的で不可欠なデーターである。その他に、巻線機又はコイル仕様によって、数種類の固有データーが必要になる場合がある。
そして前述のとおり、パルス列による数値制御方式の巻線機は、これら入力されたデーター通りにしか動かないのである。
【0011】
しかし実際の巻線では、例えば、2.の巻幅、3.のピッチ、4.のオフセット、等のデーターは、ワイヤー又はボビンの寸法に若干のばらつきが有り、更にワイヤーは、その位置で微妙に太さが違う事が有るために、実際の寸法が、入力されたデーターとは、僅かに食い違うという事が有る。
この僅かなデーターの食い違いは、それが蓄積されることで、巻乱れを起こし易く、そのために、この僅かな違いを補正する、熟練した技術者の、経験と勘が必要とされていた。
【0012】
勿論、このデーターの食い違いを補正する機能を備えた、高性能の巻線機の発想も有る(例えば特開平10−83927)。勿論、これらは所望の効果を発揮するが、データーの食い違いを自動補正する為には、高精度のセンサーの使用と、前述第1点にいう各部精度の更なる引き上げが必要であって、当然巻線機の価格上昇を招き、比較的付加価値の高い、ハイテクコイル用巻線機としてしか使用出来ない、というのが実際のところである。
【0013】
本発明の目的は、このような高精度のコイルでなく、多少ガラ巻であっても製品となり得る、普通のコイルを、少量多品種でも効率良く、しかも低設備コストで巻くために特に好適な巻線機を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため本発明では、トラバース制御手段及び記憶手段を有し、前記トラバース制御手段は、少なくとも1層目の巻回に於てそのときのワイヤー巻き付け位置の移動に追随するようにワイヤーガイドをトラバースさせ、前記記憶手段は、前記追随してトラバースしたときのワイヤーガイドの動きについてのデーターを記憶し、前記トラバース制御手段は、前記記憶の対象にした巻回層より後の層の巻回に於て、前記記憶されたデーターに従ってワイヤーガイドをトラバースさせる(請求項1)。
【0015】
また、検知針、検知針固定手段、トラバース制御手段及び記憶手段を有し、前記検知針は、ワイヤーガイドから巻き付け位置に向かう途中のワイヤーにその検知部分が係合されており、前記トラバース制御手段は、少なくとも1層目の巻回に於てそのときのワイヤー巻き付け位置の移動に追随するようにワイヤーガイドをトラバースさせ、前記記憶手段は、前記追随してトラバースしたときのワイヤーガイドの動きについてのデーターを記憶し、前記トラバース制御手段は、前記記憶の対象にした巻回層より後の層の巻回に於て、前記検知針固定手段で前記検知針の動きを固定しておいて、前記記憶されたデーターに従ってワイヤーガイドをトラバースさせる(請求項2)。
【0016】
また、検知針、検知針規制手段、トラバース制御手段及び記憶手段を有し、前記検知針は、ワイヤーガイドから巻き付け位置に向かう途中のワイヤーにその検知部分が係合されており、前記トラバース制御手段は、少なくとも1層目の巻回に於てそのときのワイヤー巻き付け位置の移動に追随するようにワイヤーガイドをトラバースさせ、前記記憶手段は、前記追随してトラバースしたときのワイヤーガイドの動きについてのデーターを記憶し、前記トラバース制御手段は、前記記憶の対象にした巻回層より後の層の巻回に於て、前記検知針が前記検知針規制手段に当接した状態を保つよう所定のオフセットを与えた上で、前記記憶されたデーターに従ってワイヤーガイドをトラバースさせる(請求項3)。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図示実施の形態例に基いて説明する。先ず、コイルを巻く方法の中で、比較的古くから有る方法として、ならい巻と言うのが有る(「ならい巻き」については末尾の記述参照。)。
これは、図5に示すように、通常の巻線で、第1層の中間CPまで巻線した時に、ボビン12の幅に対して充分の距離までトラバースガイド19を遠ざけて、そこでトラバースの動きを停止させておき、その後の巻線を、ワイヤー23の自然な動きに任せる、と言う巻線方法である。
【0018】
このならい巻と言う方法には、いくつかの条件が必要であるが、要は、図5に示すように、ワイヤーガイド22をボビン12に正対させ、ワイヤーガイド22の中心からボビン12の中間点に向かって延伸したときの直線CLに対して、ワイヤー23が作る振り角“θ”が、或る範囲に保たれてさえいれば、ワイヤー23は1回転前に巻かれたワイヤー23に密着しながら整列に並ぶ、と言う特性を利用している物である。
本発明は、通常のトラバースガイド19による強制的な送り方法(以後本稿では強制トラバース方式と称す)と、このならい巻方式の、それぞれの良い部分を活かすことを目論んでいるものである。
【0019】
第1の実施の形態例の巻線機10の要部を図1に示す。この実施の形態例は請求項1の発明に対応したものである。図において、11はスピンドルモーターで、ボビン12を回転させる。種類としては、スピードの可変が出来るインバーターモーター等が良いと思われる。16はロータリーエンコーダーで、スピンドルモーター11に連結されており、その回転角度を検出する。
17はトラバースモーターで、ボールネジ18を回転させ、トラバースガイド19を横移動させる。21はポテンショメータで、トラバースガイド19の位置を検出する。
【0020】
トラバースガイド19の上にはワイヤーガイド22が配置されていて、ここからボビン12に向かってワイヤー23が繰り出される。トラバースガイド19の上には、角度検出センサー24も配置されていて、その検知針の先端27は二又に分割されており、これがワイヤーガイド22から巻き付け位置WPに向かう途中のワイヤー23に係合されることで、ワイヤーガイド22からのワイヤー23の繰出し角(振り角)θが検出される。
なお、これら構成部品を固定するフレームや、制御回路を格納するケース等は図示を略す。
【0021】
各部を制御する制御回路の構成を図4に示す。既に図1に図示したものについては同一の符号を付し、説明を略す。図に於て、CPUは半導体集積回路からなる所謂マイクロプロセッサで、リードオンリメモリROMに格納されたプログラムに従い、ランダムアクセスメモリRAMを使用して、後述の各処理を実行する。なお、これらCPU等の略号は良く知られている。従って、これ以後、名称は略す。このあと説明するものについても同様とする。
【0022】
I/Oは入出力ポートで、CPUから各ドライバDRV1,2への制御信号の伝達、及びエンコーダENCからCPUへの検出信号の伝達を行なう。なお、DRV1はスピンドルモーターのドライバ、DRV2はブレーキ29のドライバである。ブレーキ29は、スピンドルモーター11のハウジング内に収容されている。
A/Dはアナログデジタル変換器で、ポテンショメータ21のアナログ出力をデジタル化してCPUに供給する。D/Aはデジタルアナログ変換器で、CPUからのデジタル出力をアナログ化して、第2アナログスイッチ31の入力端子Aに供給する。なお、同アナログスイッチ31の入力端子Bには、アース電位が供給されている。また、出力端子Xは、これら入力端子A,Bの何れかに接続される。
【0023】
32は、センサーアンプで、角度検出センサー24の受光素子34の出力を増幅し、第1アナログスイッチ29の入力端子Bに供給する。第1アナログスイッチ29の入力端子Aにはポテンショメータ21の出力が供給されており、出力端子Xは、これらA,Bの何れかの入力端子に接続される。
36はモーターアンプで、同相側入力(+)に第1アナログスイッチ29の端子Xの出力が、反転側入力(−)に第2アナログスイッチ31の端子Xの出力が夫々供給されており、その差分に従ってトラバースモーター17を駆動する。
【0024】
ワイヤー23の角度検出に使用する角度検出センサー24には、エリアセンサー、レーザー光線を使用したセンサー、高分解能のロータリーエンコーダー、ポテンショメータ、実公昭45−24657公報に記載の方法等、色々な物の利用が考えられる。
ここでは、それらの中で、一番低コストな方法と思われる、発光素子33、受光素子34から成るフォト・インタラプタを使用する。
【0025】
図1,図2に示すように、二又の先端27がワイヤー23を跨いでいる検知針26は、その反対の端が、フォト・インタラプタで実現されている角度検出センサー24のシャッター37として働く。
ワイヤー23の左右の動きに応じて、例えばワイヤー23が、図2(A)のように右に動くと、このシャッター37は閉じる方向に動いて、受光素子34に入る光量を減少させる。ワイヤー23が図2(C)のように左に動くと、シャッター37は開く方向に動いて、受光素子34に入る光量を増加させる。
【0026】
この出力は、図4のセンサーアンプ32で増幅される。その出力は、第1アナログスイッチ29を介してモーターアンプ36に供給される。ここで、1層目と2層目の巻線のときは、第1及び第2アナログスイッチ31が図4に示すように接続される(各出力端子Xが入力端子B側に接続)。
このとき、第2アナログスイッチ31の入力端子Bには、接地電位(0ボルト)が入力されている。この為、モーターアンプ36は、センサーアンプ32の出力が零になる迄トラバースモーター17を駆動する。
【0027】
具体的には、受光素子34への光量が減少すれば、トラバースガイド19を右の方に動かすようにトラバースモーター17を回転させ、光量が増加すれば、トラバースガイド19を左の方に動かすようにトラバースモーター17を回転させる。
なお、図2(B)の位置が、この、センサーアンプ32の出力が零になる位置であり、第1層、第2層巻回のとき、この状態、即ち振り角θがほぼ0に近い状態に保たれて巻線が進行する。
【0028】
これはいわば、ならい巻方式を、電気的に行っているような物で、通常のならい巻では、条件が整わずに、巻く事が出来なかったコイル仕様に対しても、ならい巻による巻線を行う事が出来る。
尤も、このように、ワイヤーの動きを検出して、トラバースを制御する方法は、特公昭37−566公報、実公昭45−24657公報、実公昭45−32173公報等で公知である。
【0029】
しかし本発明の要点はここにあるのではない。元々、ならい巻方式は、巻線が一列だけのコイル、又は、層が2〜3層の、巻数の少ないコイルに対して有効とされる手段であって、多層の巻数の多いコイルでは、巻線の途中で、ワイヤーの動きが乱れ、ガラ巻になる確率が非常に高い。
更に、単純な電気的ならい巻方式を採ると、ワイヤーの動きに追従して、トラバースガイドが動かされる為、一度ワイヤーが乱れると、それを、更に悪化させ、更に乱れる方向に動かしてしまい、収拾が付かなくなってしまう畏れがある。
【0030】
そこで本発明では、例えば図1のポテンショメータ21によって、トラバースガイド19の絶対位置を読み取り、例えば巻線が一往復する迄(第2層の巻き終りの時点迄)は、角度検出センサー24による電気的なならい巻を行い、その間のトラバースガイド19の動き、例えば絶対位置の変化を、図4のポテンショメータ21と、A/Dコンバーターとで読み取り、これをメモリー(RAM)に格納しておく。
【0031】
そして、3層目以後は、このメモリーに貯えられた、例えば2層目までのトラバースガイド19の動きを表わすデーター通りにトラバースガイド19を動かす、いわば途中からの強制トラバース方式への切り替えを行なう。こうすることで、従来のならい巻きで起こりがちであった、巻き乱れの更なる悪化を食い止めることが可能になる。
なお、ポテンショメータ21で直接的に読取っているのはトラバースガイド19の位置であるが、本来求めているのは、その上に配置されたワイヤーガイド22の位置である。従って、以後はその場面に応じこのワイヤーガイド22の位置を以て説明をする。
【0032】
巻線の順を追って、具体的に説明する。まずスピンドル軸38に、ボビン12を固定し、ワイヤー23をワイヤーガイド22と、検知針の先端27に引っかけ、ボビン12の巻き始め位置まで持ってくる。
この時、各アナログスイッチ29,31の入力は、図4に示されるように、端子B側に接続されるものであり、トラバースガイド19は、前述の角度検出センサー24及び、各アンプ32,36の働きにより、ワイヤー23の動きに追従し、ワイヤーガイド22は巻き始めの位置まで自動的に移動する。
【0033】
次に図示していないが、スタートスイッチ等を押下する。スピンドル軸38が回転し、巻線がスタートする。
するとトラバースガイド19は、角度検出センサー24等の作用で、ワイヤー23の動きに追従し、ワイヤーガイドから繰出されたワイヤー23は1回転前のものに密着しながら、その実際の太さに合致したピッチで巻線されていく。
一方、トラバースガイド19には、図1のようにポテンショメータ21が接続されている。なお、このポテンショメータ21は、図ではリニアー型のポテンショメータを使用しているが、価格の安い、丸型のポテンショメータを使用しても構わないし、ロータリーエンコーダー等、他の物でも構わない。要はトラバースガイド19の絶対位置が検出できれば良い。
【0034】
又、スピンドル軸38には、ロータリーエンコーダー16が接続され、例えば、スピンドル軸38の1/10回転毎に(勿論1/10回転でなくとも良い)、CPUに対してトリガー信号を与える。CPUはそのトリガー信号に応動して、ポテンショメータ21のアナログ出力をA/D変換し、トラバースガイド19の絶対位置信号として、RAMに貯える。
こうして巻線が進行し、ワイヤー23がボビン12の反対の端まで来ると、ボビン12のフランジ14が邪魔をして、それ以上進む事が出来ず、ワイヤー23は自然に折り返る様になる。トラバースモーター17も、今迄の回転とは逆回転し始め、2層目の巻線に移行する。
【0035】
そして、2層目の巻線が完了し、同じように3層目への折り返しを確認すると、CPUはそれまでの、ポテンショメータ21からのデーターの取り込みを止め、各アナログスイッチ29,31を入力端子A側に切り替える。
そして、今までRAMに貯めて置いた、トラバースガイド19の絶対位置データーを、今度は、ロータリーエンコーダー16で検出されるスピンドル軸38の回転に合わせ、D/Aコンバータに送る。
【0036】
モーターアンプ36は、各アナログスイッチ29,31が切り替わった為、それまでの角度検出センサー24の信号に追従するのに代え、このD/Aコンバーターの信号に追従する。これで、2層目までの巻線パターンで、3層目以後のトラバースが実行される。
こうする事により、トラバースガイド19(ワイヤーガイド22)は、それまでの正しい巻線パターン通りに動く。従って、ワイヤー23が勝手な方向に動き出し、巻き乱れが発生しそうになるのを防止出来る。又、仮に巻乱れが発生しても、極端なガラ巻には至らない様にする事が出来る。
こうして、設定された総巻数までの巻線が完了したら、スピンドル軸38を停止し、次の巻線に備える。第1の実施の形態例10の動作は以上のようになる。
【0037】
なお、電気的なならい巻方式で巻線をしても、必ず巻乱れが発生するとは限らない。例えば、比較的線径の太いワイヤーを使用する場合等は、ならい巻のままで、奇麗な巻線が出来る事が有り、この様な場合には、わざわざ制御を切り替える必要は無い。従って、例えば第1の実施の形態例10に於ても、スイッチ等を設け、途中、例えば3層目から、本発明に係る強制トラバース方式に切り替えるのか、切り替えないのかの選択を行えるようにしておいてもよい。
【0038】
以上、第1の実施の形態例の巻線機10の動作と、巻乱れが起こりにくいという本発明の利点を説明した。本発明にはもう一つ、巻線データーの入力が簡素化できる、という特徴が有る。
即ち従来の強制トラバース方式の巻線機では、少なくとも、5種類以上のデーターを必要とした。しかし本方式では、2.の巻幅、3.のピッチ、4.のオフセットに関しては、入力する必要が無い。
何故ならば、ピッチ、巻幅に付いては、上記動作説明にも有る通り、トラバースガイド19は、ワイヤー23の動きに追従しながら、自動的にトラバースをして、巻線をしていくものであり、この為、ピッチ、巻幅、としての、改まってのデーターは必要としないのである。
【0039】
又、オフセットに関しても、本機10は全自動の巻線機ではないので、巻線のスタートワイヤーのセットは、作業者によって行われる。このとき、作業者がワイヤーをセットしようとして、ワイヤー23を動かすと、トラバースガイド19(ワイヤーガイド22)も、自動的にそれを追って移動して、そこがオフセット位置と言う事になる。従って、オフセットというデーターの概念も必要なくなる。
この3つのデーターは巻線に関わる大変重要なデーターである。従来の巻線機では、これらのデーターの設定の良し悪しによって、出来上がったコイルが良品になったり、不良品になったりもした。しかし、本発明により、そのようなデーターが不要で、その入力の必要も無くなれば、熟練した技術者でなくとも、正しい巻線を行う事が可能となる。
【0040】
次に設備コストが低いという別の利点について説明する。ローコストと言う表現は、本機の様な巻線機10には、適切な表現ではないかもしれない。だが本機10にとっては、かなり重要なファクターであるので、あえてこの表現を用い、通常の巻線機に比べ、ローコストで製作できる可能性を含んでいる巻線機である事を説明する。
【0041】
まず第一点は使用部品である。前章でも説明したが、強制トラバース方式の巻線機では、整列巻線を目指した物が殆どで、その為には、各部が入力された数値(データー)通りに動く必要が有り、ボールネジやモーター等の機構部品に、高精度の部品を使用しなければならない。
高精度の部品は、当然の事ながら値段が高く、高精度イコール高価格と言う事になる。
【0042】
それに対し本機10では、整列なコイルを対象とはしていない。多少のガラ巻であっても良い、と言うコイルを対象としており、整列に巻ければ尚結構と言う程度のものを扱う。
そして、本機10の制御方法では、巻線機で一番重要なトラバース機構に関して、機構部品をも含めて、フィードバックループを形成する、一種のサーボ構成にしている。
【0043】
従って、各機構部品の誤差やばらつき等は、このフィードバックループの中で、ある程度補正する事ができ、必ずしも高精度の部品を必要としない。
と言う事は、比較的低価格のボールネジ18や、ドライブ回路が簡単なDCモーター等を使用して、トラバース機構を構成する事が出来るということになる。
【0044】
第2点は、これも前章で少し触れているが、制御回路の構成の違いである。強制トラバース方式の巻線機は、入力した数値(データー)と、ロータリーエンコーダー等の、センサー信号のデーターを、比較、演算、加工して、各部を制御しているが、高分解能のデーターと、そのスピードが必要となる為、使用するCPUは、16bitや、32bit等のハイスペックな(高級仕様の)CPUを使用せざるを得ない。
【0045】
IC等に代表される、半導体の価格は、年々低下しており、最近は高性能のCPU等も、随分安く手に入れる事が出来る様になって来た。しかし、CPUを動作させる為に必要な、RAMやROM等のメモリー、及び、その他の周辺IC等を含めて考えると、まだまだハイスペックなCPUを使用した制御回路は高い物となってしまう。
【0046】
それに比べ、本機10の制御回路の基本的な部分は、アナログ制御であり、低価格なOPアンプ(演算増幅器)を使用している。
本機10に於いても、CPUは使用しているが、本機全体のスケジュールを制御する程度の使い方しかしていない。従って、高精度の演算等は必要で無く、8bit程度の普及型のCPUで充分で、A/D,D/Aコンバータを含めた周辺ICについても、低価格の普及品で充分である。
【0047】
又、CPUを動かす為のソフトウェアについても、同様の事が言える。
一般論としては、高級なCPUには、高級で比較的高価な、プログラミングに手間が掛かるソフトウェアが必要であるが、普及型のCPUには、このようなソフトウェアは必要無い上に、普及型で尚且つ、歴史の有るCPUは、過去に於いて開発されたソフトウェアが、相当数、蓄積されており、その分価格も安い。
従って、ソフトウェアの開発費に関しても、普及型のCPUの方が、相対的に低価格になると思われる。
【0048】
更に本機10で使用している、ロータリーエンコーダー16についても、A/D,D/Aコンバータへのタイミングと、巻数の管理に使用しているだけなので、高分解能の物は必要無く、100P/R(パルス/回転)程度の、分解能の物で充分である。
【0049】
以上説明したように、本機10は巻線機としては、決して万能型と言うわけではなく、本機10では巻けないコイルも存在する。
しかし、現在でも相当な数が流通している、普通のコイルに対しては、より安いコストで、巻線機を供給する事が出来、ひいてはコイル及び、コイルを使用した電化製品の価格を下げる事に貢献できる。
【0050】
なお、本発明に係る手法は、糸巻型のボビンの巻線にも有用である。即ち、ボビンの形状は、図6(A)に示したような内壁垂直型のもの12のほかに、同図(B)に示したような糸巻型のもの13がある。
一般には、図6(A)の内壁垂直型12が使用される。これは、各層の巻き幅が同じでプログラミングし易いからであるが、反面、このボビン12は、巻線が進むにつれ、巻かれたワイヤー23に押されて、フランジ14が外側に膨らみ易い。
【0051】
糸巻型13には、このような欠点は無い。これは、構造力学上当然であるが、その代わり、層毎に巻き幅が増加していくために、現在多用されているコンピュータ制御の巻線機では、プログラミングが煩雑で、他品種少量生産に向かないという欠点がある。これは、プログラミングは出来るものの、線径のバラつきに起因する巻幅のバラつきや層の厚みのバラつきに完全に対応できないからで、これがため、上記構造的利点があったとしてもあまり使用されていない。
【0052】
本発明は、1層目の巻線結果或いは1層目及び2層目の巻線結果等に基いて、それ以降の層のトラバースを制御する。即ち、そのとき巻き付けられているワイヤー23の、実際の径に合致した送りピッチでトラバースが行なわれるという利点がある。
従って、このような糸巻型13についても、労せずして、その最適の送りピッチを設定することができ、他品種少量生産のものについても、この糸巻型ボビン13の使用を可能にする。
【0053】
以下、第1の実施の形態例の変形について述べる。ボールネジ18の代りに、タイミングベルトなどで、トラバースガイド19を駆動するという方法も考えられる。こうすれば、ボールネジ18を使用する場合に比べ、更にローコストにすることが出来る。
また、従来のトラバースガイド19(ワイヤーガイド22)のトラバースに代え、釣り棹の先から釣糸を繰出すのと同様に、回動可能な軸からアームを延伸し、その先端から巻かれるべきワイヤー23を繰出すようにし、その軸の回動角を変えることで、アーム先端の位置、即ち線材の繰出し位置を移動させるようにしても良い。
【0054】
第1の実施の形態例では、1層目と2層目のワイヤーを巻回した際のデータに従い、3層目以後のワイヤー巻回時のトラバースを制御した。
元にするデータは、これに限らない。例えば1層目のワイヤー巻回の際のデータのみを使用して2層目以後のトラバースを制御しても良い。
更には、1層目,2層目とも、第1の実施の形態例と同様に巻回していくが、記憶自体は1層目だけとし、このデーターで、3層目以降のトラバースを制御しても良い。
【0055】
また、判りにくいといけないので、先の動作説明では触れなかったが、VRは、振り角θを調整するためのボリュームである。ここで、図5に示した直線CLを、基準方位(θ=0゜)として、ここから時計回り方向を振り角θの正の方向とすると、前記ボリュームVRの抵抗値を小→大へと変化させたとき、振り角θは、負→0→正(11時方向→12時方向→1時方向)へと変化する。
【0056】
上記第1の実施の形態例10では、この振り角θを出来るだけ0に近づけた。
それは、振り角θがあまり大きいと、図5に於て、巻き付け位置WPが左側へ移動していく際に(復路とする)、ワイヤーガイド22の方が、巻き付け位置WPより先に左へ進んでしまって、ワイヤー23の密着性が悪くなるかも知れないからである。
なお、実際には、制御の遅れがある。従って、振り角θが0に近ければ、現実には、復路でも、ワイヤーガイド22は、このワイヤー巻き付け位置WPと一緒か、僅かに遅れてトラバースする。
【0057】
この点、徹底したいなら、図7に示すように、センサーアンプ32の前段に切替スイッチ41を置いて、入力の極性を切り替えるようにすると良い。接極子42は、往路のとき(巻き付け位置WPが右側へ移動するとき)、図4に示したように上側へ接続し、復路のとき、下側へ接続する。
こうすると、往路、復路、何れでも、ワイヤーガイド22は、ボビンへの巻き付け位置WPに遅れてトラバースする。
この図7のようにしたときは、VRの抵抗値はある程度大きめに、即ち、振り角θが、或る程度の大きさになるようにすると良い。
【0058】
なお、前述の「ならい巻き」という用語についてであるが、一般的に、“ならい”と言う単語は、ならい旋盤に代表されるように、ある雛形にならって物を作る、と言う意味として使用される事が多いと思われる。
巻線機に関しても、例えば特公昭49−22622公報等ではこの意味で使用されている。しかし巻線機業界では、文中に有るように、トラバースガイド19(ワイヤーガイド22)を遠くに離して巻線する巻方の事を、“ならい巻”と呼んでおり、日常的に使用している。従って、本明細書でもこちらの意味として、「ならい巻」の語を使用する。
【0059】
第2の実施の形態例50を図8,図9に示す。この実施の形態例は、請求項2の発明に対応したものである。トラバースガイド19上に、検知針26を固定するための検知針固定機構51を設けたことが、この実施の形態例50の特徴である。この検知針固定機構51が、請求項2にいう検知針固定手段に当たる。他の部分は、第1の実施の形態例10と同じである。同じ部分については説明を略す。また、図8,図9に示される各部分のうち、第1の実施の形態例10と同じ部分には同じ符号を付し、これも説明を略す。
【0060】
新たに設けられた検知針固定機構51は、ソレノイド52と、その中央に上下動自在に保持された固定用ロッド53とから成る。固定用ロッド53は、先端が二股に形成され、Y字状を成している。ソレノイド52が励磁されていないとき、この固定用ロッド53は下がった状態にあり(図8(B))、検知針26は自由に回動できる。
ソレノイド52が励磁されると、固定用ロッド53は上方に突出する(図9(B))。固定用ロッド53の二股の中に検知針26が補捉され、検知針26の回動は阻止される。
【0061】
この第2の実施の形態例50でも、第1の実施の形態例10と同様に巻線を実行するものとする。即ち、先ず1層目と2層目の巻回では、巻回されて行くワイヤー23に追随するようにトラバースガイド19(ワイヤーガイド22)をトラバースさせる。
このときのトラバースガイド19の動きは、RAMに記憶される。そして3層目から、この記憶データーに従ったトラバースガイド19(ワイヤーガイド22)の強制トラバースが実行される。
【0062】
そして、この第2の実施の形態例50では、この3層目以降の強制トラバースの際に、ソレノイド52の励磁が行なわれる。これにより、固定用ロッド53が上昇し、検知針26は固定されてしまう。
検知針先端27は、ワイヤーガイド22から巻き付け位置WPに向かう途中のワイヤー23に係合されている。従って、この固定によって、この第2の実施の形態例50では、3層目以降の巻線に於て、第1の実施の形態例10のときよりも更に巻き付け位置WPに近いところでワイヤー23が強制的にトラバースされる。
【0063】
このように、この第2の実施の形態例10では、検知針26は、文字どおりのワイヤー23の動きの検知手段としての機能する一方で、ワイヤー23を強制的にトラバースさせるという、ワイヤーガイドとしても機能している。
即ち、1層目と2層目の巻回の際は、巻線の進行に従って移動していくワイヤーの巻き付け位置WPに追随して行ってその位置を検出し、3層目以降では、巻き付け位置WPに一層近ずいた位置に於て、ワイヤーを強制的にトラバースさせている。
これにより、3層目以降の巻回に於て、トラバースの強制力が一層強められることとなり、第1の実施の形態例10のときより更に確実な整列巻線が実現される。なお、検知針の先端27が請求項にいう検知部分に当たる。
【0064】
第3の実施の形態例60を図10に示す。この実施の形態例は、請求項3の発明に対応したものである。検知針26の両脇に、その動きを規制するための検知針規制ポスト61L,61Rを立設したことが、この実施の形態例60の特徴である。この規制ポスト61L,61Rが、請求項3にいう検知針規制手段に当たる。他の部分は、第1の実施の形態例10と同じである。同じ部分については説明を略す。また、図10に示される各部分のうち、第1の実施の形態例10と同じ部分には同じ符号を付し、これも説明を略す。
【0065】
この第3の実施の形態例10でも、1層目、2層目は、第1の実施の形態例と同様の巻線が実行される。即ち、巻き付け位置WPに追随するようにトラバースガイド19(ワイヤーガイド22)がトラバースされ、そのときのトラバースガイド19の動きがRAMに記憶される。
検知針規制ポスト61L,61Rは、この1層目、2層目の巻回場面で、巻き付け位置WPの移動に追随するため、必要な範囲で検知針26が自由に回動できるよう、検知針26から少し離間して立設される。
【0066】
そして、3層目以降でも、基本的には、記憶されているデーターに従った強制トラバースが実行されるのであるが、ここでの特徴は、この3層目以降でのトラバースに於て、検知針26が、規制ポスト61L又は61Rにに押し付けられた状態のままトラバースが実行されるよう、トラバースガイド19(ワイヤーガイド22)の位置に対し、一定のオフセットが加算されることにある。
【0067】
即ち、第1層の巻線のときのトラバースガイド19の動きのデーターを「1層目のデーター」と名付けるなら、例えば3層目の巻回に於て、図5に示すように、コイルの左から右へと巻線が進行して行くとした場合に、トラバースガイド19が、このとき1層目のデーターで示される位置より所定量だけ左に移動した状態でトラバースするように、言い換えれば、巻き付け位置WPから所定量だけ遅れてワイヤーガイド22がついて行くように、所定のオフセット値が、この「1層目のデーター」に加算される。そして、この加算後の位置データに従って、3層目でのトラバースガイド19(ワイヤーガイド22)のトラバースが実行される。これで、3層目では、検知針26が右側の規制ポスト61Rに当たった状態でワイヤーガイド19がトラバースする。
【0068】
また、2層目でのワイヤーガイド19の動きのデーターを「2層目のデーター」と名付けるなら、4層目では、トラバースガイド19(ワイヤーガイド22)を右に所定量だけ移動させるべく、所定のオフセット値がこの「2層目のデーター」に加算される。そして、この加算後の位置データに従って、ワイヤーガイド19が右から左へとトラバースされていく。
これで、4層目では、検知針26が左側の規制ポスト61Lに当たった状態でトラバースガイド19(ワイヤーガイド22)がトラバースする。
【0069】
ここで、検知針26の先端27は、同じようにワイヤーガイド22から巻き付け位置WPに向かう途中のワイヤー23に係合されている。従って、このように、右或いは左の規制ポスト61R,61Lに押し付けられた形でのトラバースにより、この第3の実施の形態例60の場合も、3層目以降に於て、第1の実施の形態例10のときより更に巻き付け位置WPに近いところで、ワイヤー23の強制トラバースが実行される。
【0070】
なお、上記右側の規制ポスト61Rは、例えば3層目、5層目等の、右方向への巻線に於て、そのときの巻き付け位置WPよりも右、即ちそのときの巻き付け位置WPより先行しようとするワイヤー23の動きに対し、これを規制する働きをする。また、このとき、若し巻き付け位置WPよりも左、即ち巻き付け位置WPより後の方へ逸脱しようとするワイヤー23の動きがあったとすれば、これは、このとき迄に、この巻き付け位置WPまで巻回されて来たワイヤー23が壁となり、この後方向への逸脱を阻止する。
【0071】
この点は、4層目、6層目等の、左へのワイヤー巻回に関しても同じであり、左側の規制ポスト61Lが、そのときの巻き付け位置WPよりも左、即ちそのときの巻き付け位置WPより先行しようとするワイヤー23の動きを規制し、このときの巻き付け位置WPより右、即ち後方向へと逸脱しようとするワイヤー23の動きは、同様に、その時その位置WPまで巻回されて来たワイヤー23が壁になる。
【0072】
このように、後方への逸脱防止の作用が加わることもあって、この第3の実施の形態例60に於ても、3層目以降の巻回に於て、いわば強制トラバースの働きは強められるものであり、第1の実施の形態例10の場合より一層確実な整列巻線が実現される。
なお、この第3の実施の形態例60でも、検知針26は、1層目と2層目では、巻線の進行に従って移動していく巻き付け位置WPを検知する検知手段として機能する一方、3層目以降では、巻き付け位置WPに一層近づいた位置に於て、ワイヤーを強制的にトラバースさせるワイヤーガイドとしても機能している。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明では、少なくとも1層目の巻回に於て、そのときのワイヤー巻き付け位置の移動に追随するようにワイヤーガイドをトラバースさせ、このとき、このワイヤーガイドの動きのデーターを記憶しておいて、それより後の層の巻回で、この記憶されたデーターに従ってワイヤーガイドをトラバースさせるようにした。
【0074】
これにより、最初の1層目,2層目などでは、ワイヤーが密着してそのときのワイヤー径に自然に合致した適切な送りピッチで巻線が実行され、それが記憶される。
そして、その後の層では、このとき記憶された正確な送りピッチで、強制的な整然とした巻線が実行される。従って、細かなデーター設定は全く不要で、誰でも簡単に使える巻線機が実現できる。
また、制御の内容が極めて簡素である。それ故、プログラム開発に時間は掛からない。しかもフィードバックループによって誤差は吸収されてしまう。従って、構成部品の精度は低くても構わない。それ故、低い装置コストで巻線機が製造できる。
【0075】
以上の利点により、請求項1の発明によれば、多少ガラ巻であっても製品となり得る、普通のコイルを、少量多品種でも、効率的に、しかも低設備コストで生産できるようになる。
【0076】
また、請求項2の発明では、検知針の検知部分を、ワイヤーガイドから巻き付け位置に向かう途中のワイヤーに係合し、少なくとも1層目の巻回に於てそのときのワイヤー巻き付け位置の移動に追随するようにワイヤーガイドをトラバースさせ、このときのワイヤーガイドの動きについてのデーターを記憶し、これより後の層の巻回に於て、検知針固定手段で前記検知針の動きを固定しておいて、記憶されたデーターに従ってワイヤーガイドをトラバースさせるようにした。
【0077】
この検知針の固定により、ワイヤーは上記請求項1の発明の場合より更に巻き付け位置に近い位置で、強制的にトラバースされることとなる。
これによって、記憶手段に記憶されていた例えば1層目、2層目のトラバース状態は、例えば3層目以降に於て、上記請求項1の発明より一層正確に再現され、簡単な装置でも整列性の良い巻線が実現される。
【0078】
また請求項3の発明では、検知針の検知部分を、ワイヤーガイドから巻き付け位置に向かう途中のワイヤーに係合し、少なくとも1層目の巻回に於てそのときのワイヤー巻き付け位置の移動に追随するようにワイヤーガイドをトラバースさせ、このときのワイヤーガイドの動きについてのデーターを記憶し、それより後の層の巻回に於て、検知針が検知針規制手段に当接した状態を保つよう所定のオフセットを与えた上で、記憶されたデーターに従ってワイヤーガイドをトラバースさせるようにした。
【0079】
検知針が規制手段に当接されるので、検知針はいわば固定された状態で強制トラバースされる。従って、請求項2の発明と同様に、ワイヤーは上記請求項1の発明の場合より更に巻き付け位置に近い位置で、強制的にトラバースされることとなる。また、巻き付けが進んで行く方向とは反対の方へのワイヤーの逸脱の動きは、そのときその位置まで巻回されて来たワイヤーが壁となり、この動きを阻止している。
これにより、請求項2の発明と同様、記憶手段に記憶されていた例えば1層目、2層目のトラバース状態は、例えば3層目、4層目等に於て、上記請求項1の発明より一層正確に再現され、簡単な装置でも整列性の良い巻線が実現される。
【0080】
ここで、検知針規制手段は、検知針の両脇に例えば丸棒を立設するなどで容易に実現できる。従って、請求項2の構成に比し、材料費、加工費が掛からない。
制御のためのソフトウェアの変更に関しても単にオフセットを加えることについてだけで足り、この点でも請求項2の構成より費用が少なくて済む。要するに請求項2の発明と同様の効果を、一層低コストで実現出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態例10の要部を示し、(A)は正面図、(B)は右側面図。
【図2】角度検出センサー24へのシャッター37(検知針26の後端)の掛かり具合を示す正面図で、(A),(C)が位置ずれを生じている状態、(B)が位置適正である状態を示す。
【図3】ワイヤーの巻回状態の例を示す正面図で、(A)は乱れがあるもの良品とされる例、(B)は乱れが多過ぎて不良とされる例を示す。
【図4】第1の実施の形態例10の回路構成を示すブロック図。
【図5】ボビン上のワイヤーが巻付けられている位置WPとワイヤーガイド22との位置関係を示す正面図。
【図6】ボビンの形状例を示す正面図で、(A)はフランジ内壁が垂直である一般型の例12、(B)はフランジ内壁にテーパが掛けられている糸巻型の例13を示す。
【図7】センサーアンプ32の前段に切替スイッチ41を置いた第1の実施の形態例の変形を示す回路図。
【図8】検知針固定機構を中心とした第2の実施の形態例の要部を取り出して示し、(A)は固定用ロッド53が下がっている状態を示す平面図、(B)は同じ状態を示す右側面図、(C)は固定用ロッド53が下がった状態の検知針固定機構を示す正面図である。
【図9】検知針固定機構を中心とした第2の実施の形態例の要部を取り出して示し、(A)は固定用ロッド53が上がっている状態を示す平面図、(B)は同じ状態を示す右側面図である。
【図10】検知針規制ポストを中心とした第3の実施例の要部を取り出して示し、(A)は平面図、(B)は右側面図である。
【符号の説明】
CP…第1層の中間(図5) CL…基準線
VR…ボリューム WP…現在の巻き付け位置
θ…振り角 10…巻線機
11…スピンドルモータ 12…ボビン(内壁垂直型)
13…ボビン(糸巻型) 14…フランジ
16…ロータリーエンコーダー 17…トラバースモーター
18…ボールネジ 19…トラバースガイド
21…ポテンショメーター 22…ワイヤーガイド
23…ワイヤー 24…角度検出センサー
26…検知針 27…検知針先端
28…ブレーキ 29…第1アナログスイッチ
31…第2アナログスイッチ 32…センサーアンプ
33…発光素子 34…受光素子
36…モーターアンプ 37…シャッター
38…スピンドル軸 41…切替スイッチ
42…接極子 50…第2の実施の形態例
51…検知針固定機構 52…ソレノイド
53…固定用ロッド 60…第3の実施の形態例
61L…検知針規制ポスト(左) 61R…検知針規制ポスト(右)

Claims (3)

  1. トラバース制御手段及び記憶手段を有し、
    前記トラバース制御手段は、少なくとも1層目の巻回に於てそのときのワイヤー巻き付け位置の移動に追随するようにワイヤーガイドをトラバースさせ、
    前記記憶手段は、前記追随してトラバースしたときのワイヤーガイドの動きについてのデーターを記憶し、
    前記トラバース制御手段は、前記記憶の対象にした巻回層より後の層の巻回に於て、前記記憶されたデーターに従ってワイヤーガイドをトラバースさせる
    ことを特徴とする巻線機。
  2. 検知針、検知針固定手段、トラバース制御手段及び記憶手段を有し、
    前記検知針は、ワイヤーガイドから巻き付け位置に向かう途中のワイヤーにその検知部分が係合されており、
    前記トラバース制御手段は、少なくとも1層目の巻回に於てそのときのワイヤー巻き付け位置の移動に追随するようにワイヤーガイドをトラバースさせ、
    前記記憶手段は、前記追随してトラバースしたときのワイヤーガイドの動きについてのデーターを記憶し、
    前記トラバース制御手段は、前記記憶の対象にした巻回層より後の層の巻回に於て、前記検知針固定手段で前記検知針の動きを固定しておいて、前記記憶されたデーターに従ってワイヤーガイドをトラバースさせる
    ことを特徴とする巻線機。
  3. 検知針、検知針規制手段、トラバース制御手段及び記憶手段を有し、
    前記検知針は、ワイヤーガイドから巻き付け位置に向かう途中のワイヤーにその検知部分が係合されており、
    前記トラバース制御手段は、少なくとも1層目の巻回に於てそのときのワイヤー巻き付け位置の移動に追随するようにワイヤーガイドをトラバースさせ、
    前記記憶手段は、前記追随してトラバースしたときのワイヤーガイドの動きについてのデーターを記憶し、
    前記トラバース制御手段は、前記記憶の対象にした巻回層より後の層の巻回に於て、前記検知針が前記検知針規制手段に当接した状態を保つよう所定のオフセットを与えた上で、前記記憶されたデーターに従ってワイヤーガイドをトラバースさせる
    ことを特徴とする巻線機。
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