JP4548188B2 - 繊維集合体の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、繊維をそれらの間に空隙が形成されるように集合させて構成した例えばフィルタ等に用いられる繊維集合体の製造方法に関するものである。
従来、この種の繊維集合体の製造方法としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されるような方法が提案されている。特許文献1の製造方法では、繊維を配合したスラリー中に、ほぼ筒状をなすとともに、小孔を列設した金属製の芯材を配置し、その芯材の中心内側からスラリー吸引することにより、芯材の外周面に繊維を堆積させて、筒状の繊維集合体を成形する。その後、繊維集合体を芯材とともにスラリー中から取り出して脱水乾燥させ、その繊維集合体に熱融着性樹脂等の接着剤(バインダ)を含浸させる。そして、繊維集合体を所定温度で加熱して接着剤を溶融させることにより、繊維同士を結合させて、形状保持させている。
また、特許文献2の製造方法では、波形板状の網体よりなる成形型の表面に繊維を供給堆積させて、同じく波形板状の繊維集合体を成形する。この状態で、繊維集合体に接着剤(バインダ)を散布するとともに、その繊維集合体を乾燥させる。その後、繊維集合体を成形型から剥離させて、熱プレスを施すことにより、接着剤を溶融させて繊維同士を結合させている。
特開平9−313829号公報 特開平8−38834号公報
ところが、これらの従来の製造方法においては、次のような問題があった。
すなわち、特許文献1及び特許文献2の方法では、所定形状に成形した繊維集合体に接着剤を含浸または散布させた後、繊維集合体全体を加熱して、その接着剤を加熱溶融させることにより、繊維集合体の繊維同士を結合させている。このため、繊維集合体を加熱処理するために大型の加熱設備が必要であるとともに、繊維集合体の繊維間には隙間が形成されているために、熱源からの熱が繊維集合体の内奥部には届きにくく、その加熱処理に長い時間が必要になって、製造コストのダウンが困難であるという問題があった。また、前記のように、熱源からの熱が繊維集合体の内奥部に届きにくいため、バインダとして低融点のものしか使用できず、材料選択の幅が狭く、制約を強いられるものであった。
さらに、特許文献2の方法では、板状の網体よりなる成形型の表面に繊維を供給堆積させて、波形板状の繊維集合体を成形しているため、円筒状や円柱状等の立体的な形状、あるいは複雑な形状の繊維集合体を製造することができないという問題もあった。
そして、立体的な形状、あるいは複雑な形状の繊維集合体を製造するためには、特許文献1のように、繊維集合体の形状保持のために、繊維材料のほかに芯材を必要とするので、部品点数が多くなり、製造コストが高くなった。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、種々の形状の繊維集合体を簡単な設備で短時間に製造することができる繊維集合体の製造方法を提供することにある。
請求項に記載の繊維集合体の製造方法に係る発明は、繊維が集合されるとともに、バインダが混入された繊維集合体に対し、レーザービームを照射し、そのレーザービームによってバインダを溶融させて、そのバインダにより繊維同士をそれらの間に空隙を形成した状態で結合させて、形状保持させることを特徴としたものである。
また、請求項に記載の発明は、レーザービームの透過性を有する成形型内に繊維集合体を収容した状態で、成形型の外側から繊維集合体にレーザービームを照射することを特徴としたものである。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記レーザービームの波長が、800〜1100nmの範囲内であることを特徴としたものである。
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項に記載の発明において、前記バインダが、レーザービームの透過性を低下させるために着色されたものであることを特徴としたものである。
請求項に記載の発明は、請求項〜請求項のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記バインダが、繊維集合体の主構造体を構成する繊維よりも融点の低い合成樹脂により構成されていることを特徴としたものである。
請求項に記載の発明は、請求項〜請求項のうちのいずれか一項に記載の発明において、繊維集合体の主構造体を構成する主繊維と、その主繊維よりも融点の低い合成樹脂製のバインダ繊維とを混合して繊維集合体が構成されていることを特徴としたものである。
請求項に記載の発明は、請求項〜請求項のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記バインダとして粒体または粉体を用い、それを繊維間に分散させることを特徴としたものである。
前記各請求項に記載の発明の作用は以下のとおりである。
請求項1に記載の発明においては、繊維集合体に加熱処理を施すことなく、レーザービームの照射によりバインダを溶融させて、繊維同士を結合させることができる。このため、大がかりな加熱設備が不要になり、従って、エネルギーコストも大幅に低減でき、フィルタ等の繊維集合体を短時間で、かつ低コストで製造することができる。しかも、レーザービームは、同ビームの透過性が低い繊維を選択的に、かつ瞬時に発熱させて溶融させるため、高融点のものであっても、低融点のものであってもバインダとして使用可能で、材料の選択幅を広くすることが可能になる。
請求項に記載の発明においては、立体的、あるいは複雑な形状の繊維集合体であっても芯材等を使用することなく、容易に成形することができて、製造コストを一層低減することができるとともに、高機能のフィルタ等の繊維集合体を得ることができる。
請求項に記載の発明においては、800〜1100nmの波長のレーザービームを用いることにより、繊維集合体を効率よく製造することができる。
請求項に記載の発明においては、バインダとしてレーザービームの透過性が低くなるように着色されたものが使用されている。よって、繊維集合体にレーザービームを照射したとき、バインダが容易に溶融されて、繊維を確実に結合させることができるとともに、バインダとして繊維集合体を構成する主繊維と同じ材質のものを用いることができ、バインダを介して主繊維同士の結合を強力なものとすることができる。
請求項及び請求項に記載の発明においては、バインダとして主構造体を構成する繊維よりも融点の低い合成樹脂が使用されている。よって、繊維集合体にレーザービームを照射したとき、バインダが容易に溶融されて、繊維を確実に結合させることができる。
請求項に記載の発明においては、バインダとして粒体または粉体が用いられているため、バインダを繊維間にほぼ均一に分布させることができ、繊維をムラなく確実に結合させることができる。
以上のように、この発明によれば、種々の形状の繊維集合体を簡単な設備で短時間に、かつ低コストで製造することができる効果を発揮する。
以下に、この発明を繊維集合体としてのフィルタの製造装置に具体化した実施形態を、図1〜図14に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態のフィルタの製造装置においては、例えば、平面トラック状のコンベア31が敷設され、このコンベア31上に複数の成形型32が所定間隔おきに支持されて、一方向に所定ピッチずつ間欠的に周回送りされるようになっている。そして、前記成形型32は、成形型32の内部に対して繊維材料を供給するための供給領域T1、成形型32内で繊維材料によりフィルタ成形が行われるフィルタ成形領域T2、成形されたフィルタが成形型32内で自然冷却される自然冷却領域T3、成形型32からフィルタが脱型される脱型領域T4、及び成形型32の内部清掃が行われる清掃領域T5を順次通過するように周回移動される。
前記供給領域T1には、複数の繊維材料供給機構33が成形型32の配列ピッチと同ピッチで配設され、これらの繊維材料供給機構33により、複数の成形型32内に繊維材料が同時に供給されるようになっている。フィルタ成形領域T2には、レーザー照射機構34が成形型32の配列ピッチと同ピッチで配設され、これらのレーザー照射機構34により、複数の各成形型32の外側から内部の繊維材料に対して同時にレーザービームが照射されて、繊維集合体としてのフィルタが成形されるようになっている。フィルタ成形の詳細については後述する。
前記フィルタの自然冷却領域T3においては、各成形型32内のフィルタが同成形型32内で自然放置されて冷却されるようになっている。フィルタの脱型領域T4には、複数の脱型機構35が成形型32の配列ピッチと同ピッチで配設され、これらの脱型機構35により、各成形型32内からフィルタが同時に取り出されるようになっている。成形型32の清掃領域T5には、複数のエア噴射機構36が成形型32の配列ピッチと同ピッチで配設され、これらのエア噴射機構36により、各成形型32の内面にエアが同時に吹き付けられて、成形型32の清掃が行われるようになっている。
なお、上記の成形ラインは一例を示したもので、例えば直線的に配列されたものであってもよい。
図2に示すように、前記繊維材料供給機構33には、繊維材料37を解きほぐすための一対の開繊ローラ38aを有する開繊装置38と、その開繊装置38からの繊維材料37を成形型32内に供給するための漏斗様の供給部材39とが装備されている。そして、各繊維材料供給機構33において、繊維材料37が開繊装置38によりほぼ均一な密度分布状態に解されながら、供給部材39を介して成形型32内に供給充填されるようになっている。
この場合、この実施形態において前記繊維材料37としては、図11に示すように、主構造体としての主繊維37aと、バインダとしてのバインダ繊維37bとを混合したものが用いられる。
この主繊維37aとしては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ乳酸等のレーザービームの透過性が良好な透明合成樹脂繊維が使用されている。また、この主繊維37aとしては、直径寸法S1が5〜30μmの範囲内で、長さ寸法S2が1〜5mmの範囲内のものが用いられている。直径寸法S1としては、1〜100μm程度のものが使用可能であり、10〜20μmが好適である。また長さ寸法S2としては、0.5〜10mm程度のものが使用可能であり、2〜4mmが好適である。また、バインダ繊維37bも主繊維37aと同様な数値のものが用いられる。
前記バインダ繊維37bとしては、主繊維37aと同材質の合成樹脂繊維に着色を施して、主繊維37aと比較してレーザービームの透過性を低下させたものが使用されている。このバインダ繊維37bの着色は、レーザービームの透過率を主繊維37aの70%以下に低下させるように、顔料や染料等を混入使用して行われている。そして、主繊維37aに対するバインダ繊維37bの混合割合は、フィルタの形状や大きさに応じて、重量比で30〜50パーセントの範囲内に設定されている。
図2〜図5に示すように、この実施形態における前記成形型32は、有底低円筒状の下型40と、その下型40の上端開口部に着脱可能に取り付けられる円板蓋状の上型41とから構成されている。下型40の底部内面には複数の円柱状のピン40aが所定間隔おきに立設されている。また、下型40の上端開口縁の一部には、位置決め凹部40bが形成されている。これに対して、上型41の下面には、下型40のピン40aと干渉しない位置で、複数の円柱状のピン41aが所定間隔おきに垂下されている。上下のピン40a,41aは、図4に示すように規則的に配列される。また、上型41の下面外周縁には下型40の上端開口部に嵌合可能な環状の段差部41bが形成されるとともに、その段差部41bの外周の一部には下型40の位置決め凹部40bに係合可能な位置決め凸部41cが形成されている。
さらに、この実施形態においては、前記成形型32の下型40及び上型41全体が、それらのピン40a,41aを含めて、レーザービームの透過性の高いガラス、ポリカーボネイト等の透明材料により形成されている。そして、図2及び図6に示すように、下型40上から上型41が取り外された状態で、その下型40内に繊維材料供給機構33から繊維材料37が供給充填される。
図7に示すように、前記繊維材料供給機構33には、バイブレータ等の振動付与装置42が装備されている。そして、成形型32の下型40内に繊維材料37が供給充填されるとともに、下型40の上端開口部に上型41が嵌着されるとき、この振動付与装置42が下型40の外周面に接触されて、成形型32に振動が付与される。これにより、繊維材料37が下型40及び上型41間にほとんど密度差なく均一分布状態で、かつ下型40及び上型41の内面隅部等に隙間を生じることなく充填されるようになっている。そして、成形型32内への繊維材料37の供給充填量を加減するとともに、振動付与装置42による振動付与度合いを調整することにより、成形型32内での繊維材料37の圧縮率及び密度、すなわち空隙率を調節できる。このようにすれば、成形後のフィルタの繊維密度を調整して、フィルタの目の大きさを調節することができる。
図8〜図10に示すように、前記各成形型32は、コンベア31上の回転テーブル43にそれぞれ支持されている。また、前記レーザー照射機構34には、成形型32内の繊維材料37にレーザービームを照射するための複数のレーザー照射ヘッド44が各成形型32に対応して装備されている。このレーザー照射ヘッド44は、例えば多関節ロボットのアームの先端部に支持されている。また、このレーザー照射ヘッド44は、半導体レーザー装置あるいはYAG(Yttrium Aluminium Garnet)レーザー装置よりなり、そのレーザーヘッドから波長が800〜1100nmの範囲内のレーザービームが照射されるようになっている。
さて、図8に示すように、繊維材料37を充填した成形型32が回転テーブル43上に載置された状態で、その軸線を中心に回転される。それとともに、レーザー照射ヘッド44が成形型32の径方向の外周面と対向して、成形型32の外周面に沿って、上端部と下端部との間の位置を移動されながら、成形型32の外周面にレーザービームが照射される。この場合、成形型32の下型40及び上型41がレーザービームの透過性の高い材料で形成されているため、レーザービームは成形型32の周壁を透過して、成形型32内の繊維材料37中まで進入する。レーザービームは、成形型32及び繊維材料37を貫通して反対側に抜けることはないが、繊維材料37の中心部に達する程度の照射強度である。また、繊維材料37の主繊維37aはレーザービームの透過性が高く、かつバインダ繊維37bは着色されて、主繊維37aよりもレーザービームの透過性を低下させるように構成されているため、図12に示すように、バインダ繊維37bのみがレーザービームのエネルギーにより発熱溶融される。従って、この溶融状態のバインダ繊維37bを介して、主繊維37aが相互に結合される。
このとき、主繊維37aとして、長いものを用いれば主繊維37a同士の結合力が強化され、一方、主繊維37a間の空隙が複雑な形状になる。また、主繊維37aとして太いものを用いれば、フィルタ45全体に占める主繊維37aの割合が多くなり、空隙率が低くなり、一方、全体の剛性が向上する。また、バインダ繊維37bの割合が多くなれば、空隙率が低下し、一方、全体の結合力が向上する。従って、フィルタ等として要求される機能に応じて、主繊維37aの長さ及び径、主繊維37a及びバインダ繊維37bの割合が適宜選択されるが、一般的な空気フィルタとしては、前述した直径寸法S1,長さ寸法S2,配合割合等の値が適している。さらに、空隙率や繊維間の結合力については、前記振動付与装置42による振動付与度合い等よって繊維材料37の圧縮率あるいは密度を調整することにより、任意に設定できる。
ところで、成形型32の径が大きい場合や、繊維材料37の圧縮密度が高い場合には、レーザービームを成形型32の径方向の外周面から照射するのみでは、同レーザービームが成形型32内の上端部及び下端部付近、あるいは径方向中心部の繊維材料37に十分に到達しないおそれがある。
このような場合には、径方向外周面からのレーザービームの照射以外に、図9に示すように、成形型32が回転テーブル43により回転されながら、レーザー照射ヘッド44が成形型32の上端面に対向して、その外周縁と中心部との間を移動し、成形型32内の繊維材料37にレーザービームが照射される。これにより、前述した成形型32内の上端部及付近、あるいは径方向中心部の繊維材料37に対してレーザービームが重点的に照射されて、バインダ繊維37bの溶融により主繊維37aが相互に結合される。
さらに、図10に示すように、図示しない装置により成形型32が回転テーブル43上で上下反転されて、その回転テーブル43により回転される。それとともに、レーザー照射ヘッド44が成形型32の下端面に対向して、その外周縁と中心部との間を移動し、成形型32内の繊維材料37にレーザービームが照射される。これにより、前記と同様に、成形型32内の下端部付近、あるいは径方向中心部の繊維材料37に対してレーザービームが重点的に照射されて、バインダ繊維37bの溶融により主繊維37aが相互に結合される。
このように、成形型32内の繊維材料37に対するレーザービームの照射により、主繊維37aがバインダ繊維37bを介して相互に結合されて、成形型32にて規定された所定の形状に成形され、図13及び図14に示すような繊維集合体としてのフィルタ45が成形される。そして、このフィルタ45は成形型32内に収容された状態で、図1に示すコンベア31の周回移動により自然冷却領域T3に移送され、所定時間だけ自然放置することにより冷却されて、成形状態に固化される。その後、フィルタ45は同図の脱型領域T4に移送され、脱型機構35により成形型32内から取り出される。
そして、図13及び図14に示すように、このフィルタ45は全体として円柱状をなし、主繊維37aを集合させるとともに、主繊維37a間に空隙を形成した構成となっている。そして、このフィルタ45には、その下端面から内側に向かって、前記下型40のピン40aによる複数の孔45aが形成されるとともに、上端面から内側に向かって、前記上型41のピン41aによる複数の孔45bが形成されている。従って、このフィルタ45をエアの流体内に、上端面と下端面との間でエアを濾過するように配置して使用した場合、複数の孔45a,45bにて濾過面積を拡大することができる。
以上のように、この実施形態の製造装置を使用して、繊維集合体としてのフィルタ45を製造する場合には、成形状態の繊維材料37に加熱処理を施すことなく、レーザービームの照射によりバインダ繊維37bを溶融させて、主繊維37a同士を結合させることができる。よって、大規模な加熱設備を必要とすることなく、簡単な設備で短時間に製造することができる。また、フィルタ45が円柱状等の立体的な形状であっても、その形状が成形型32によって規定されるため、従来の製造方法とは異なって、繊維材料のほかに芯材等を使用する必要もない。よって、簡単な設備で製造できるとともに、低エネルギー消費ですみ、製造コストのアップを抑制することができて、安価なフィルタを提供することができる。
以上に述べた実施形態の効果を列挙すれば、以下の通りである。
・ 繊維材料37を成形型内に収容した状態で、加熱処理を施すことなく、レーザービームの照射によりバインダ繊維37bを溶融させて、繊維同士を結合させている。このため、大がかりな加熱設備が不要で、かつ実施形態のように複数の孔45a,45bを有する立体的な形状であっても、前述した従来のような芯材となる型も不要である。このため、簡単な設備で、短時間に製造することができる。
・ 成形型32の形状に従って自在な形状の繊維集合体としてのフィルタ45を成形できる。従って、フィルタ45が立体的な形状であっても、あるいは複雑な形状であっても、前述した特許文献1の従来技術とは異なり、形状保持のための芯材は不要であり、部品点数を少なくすることができる。
・ また、フィルタ45は成形型32の形状に従って自在な形状を得ることが可能であるため、小型であるにもかかわらず、表面積の大きな高効率のフィルタ45を製造することが可能となる。
・ レーザービームは、同ビームの透過性が低いバインダ繊維37bを選択的に、かつ瞬時に発熱させて溶融させるため、バインダ繊維37bとして高融点のものであっても、低融点のものであっても使用可能である。従って、バインダとして広い選択幅を確保でき、フィルタ45の機能に対応できるように材料選択の柔軟性を向上できる。
・ 繊維材料37の主繊維37aとして、レーザービームの透過性の高い材料を用いているため、レーザービームの照射時にフィルタ45の骨格を形成する主繊維37aが溶融するのを抑制することができて、繊維間に所要の空隙が形成された良好な機能のフィルタ45を得ることができる。
・ 直径が5〜30mmの繊維材料37を使用することにより、フィルタ45の成形の容易性を確保することがきるとともに、繊維間に所要の空隙を形成させることができる。
・ フィルタ45の形状や大きさ、あるいは繊維材料37の径,長さ,材質等に適合したレーザービームの波長を設定しているため、フィルタ45を効率よく製造することができる。
・ バインダ繊維37bとしてレーザービームの透過性が低い着色されたものが使用されている。よって、フィルタ45にレーザービームを照射したとき、バインダ繊維37bが容易に溶融されて、繊維同士を確実に結合させることができる。また、バインダ繊維37bとして主繊維37aと同材質のものを使用でき、主繊維37a同士の結合をより強固なものとすることができる。
・ バインダとして繊維37bを用いれば、レーザービームの照射により、バインダ繊維37bが小さな塊状をなすように変形して、主繊維37a同士を結合する。このため、主繊維37a同士を有効に結合させるとともに、バインダ繊維37bの表面積が小さくなってフィルタ45全体の空隙率を向上させることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 繊維材料37のバインダ繊維37bとして、主繊維37aよりも融点の低い合成樹脂繊維を使用してもよい。この場合、バインダ繊維37bは、無着色または着色のいずれでもよい。また、この場合は、主繊維37aとバインダ繊維37bとの結合の面から、バインダ繊維37bとして主繊維37aと同じ材質のものを用い、分子量を変えることにより融点を低くするのが好ましい。
・ 図15に示すように、繊維材料37の主繊維37aとして融点の高い合成樹脂繊維を使用するとともに、バインダ繊維37bとして、融点の高い合成樹脂製の芯体37b1の外周に融点の低い合成樹脂製の被覆37b2を施した鞘状の繊維を使用してもよい。この場合、主繊維37aを用いず、芯体37b1がフィルタ45の骨格を形成するようにしてもよい。
・ 繊維材料37のバインダとして粒体または粉体を用いて、それを繊維間に分散させてもよい。このようにすれば、レーザービームお透過性を向上させることが可能になる。この粒体または粉体よりなるバインダは、着色したものを用いても、あるいは、低融点のものを用いてもよい。
・ 前記実施形態において、繊維集合体としてのフィルタ45の形状を、図16〜図20に示すように、波形板状、平板状、円筒状、円錐台筒状、星形円筒状等の各種形状に変更してもよい。言い換えれば、これらの形状を成形できる成形型32を用いてもよい。
・ 前記実施形態において、図21に示すように、例えば波形板状あるいは平板状のフィルタ45を製造する場合、レーザー照射機構34のレーザー照射ヘッド44としてレーザービームを面状に照射するものを用いる。そして、このレーザー照射ヘッド44を図示しない成形型の外側面に沿って、レーザービームの延長方向と直交する方向に移動させながら、成形型の外部から繊維材料37にレーザービームを照射するようにしてもよい。このようにすれば、レーザービームの照射を効率よく行うことができる。
・ 図22に示すように、例えば円筒状のフィルタ45を製造する場合、レーザー照射機構34のレーザー照射ヘッド44を成形型32の内周面側に配置して、フィルタ45の内周側からレーザービームを照射するようにしてもよい。
・ 図19及び図20に示すような円錐台筒状、または星形円筒状のフィルタ45を製造する場合、前記円筒状のフィルタ45の製造時と同様に、フィルタ45の内周側からレーザービームを照射するようにしてもよい。
・ 前記の実施形態及び変形例においては、レーザービームの照射に際して、レーザー照射ヘッド44のみを移動するようにしたが、成形型32のみを移動したり、成形型32及びレーザー照射ヘッド44の双方を移動させたりしてもよい。
・ 前記実施形態のエアフィルタのほかに、オイルフィルタ、水フィルタ、吸音材、充填材等の他の用途に用いられる繊維集合体においてこの発明を具体化してもよい。
繊維集合体としてのフィルタの製造装置の一実施形態を示す平面図。 図1の製造装置における繊維材料供給機構を示す断面図。 図1の製造装置に使用する成形型を示す分解断面図。 図3の4−4線における断面図。 図3の5−5線における断面図。 図1の製造装置におけるフィルタの製造過程を示す断面図。 図6に続くフィルタの製造過程を示す断面図。 図7に続くフィルタの製造過程を示す断面図。 図8に続くフィルタの製造過程を示す断面図。 図9に続くフィルタの製造過程を示す断面図。 繊維材料中の繊維の分散状態を拡大して示す構成図。 フィルタ製造後の繊維の結合状態を拡大して示す構成図。 製造されたフィルタを示す縦断面図。 図13の14−14線における断面図。 使用する繊維の別の構造を示す斜視図。 繊維集合体としてのフィルタの別の構造を示す斜視図。 フィルタのさらに別の構造を示す斜視図。 フィルタのさらに別の構造を示す斜視図。 フィルタのさらに別の構造を示す斜視図。 フィルタのさらに別の構造を示す斜視図。 フィルタの製造装置の別の構成を示す要部斜視図。 フィルタの製造装置のさらに別の構成を示す断面図。
符号の説明
32…成形型、33…繊維材料供給機構、34…レーザー照射機構、37…繊維材料、37a…主構成体としての主繊維、37b…バインダとしてのバインダ繊維、40…下型、41…上型、43…回転テーブル、44…レーザー照射ヘッド、45…繊維集合体としてのフィルタ、S1…繊維の直径寸法、S2…繊維の長さ寸法。

Claims (6)

  1. 繊維が集合されるとともに、バインダが混入された繊維集合体に対し、レーザービームを照射し、そのレーザービームによってバインダを溶融させて、そのバインダにより繊維同士をそれらの間に空隙を形成した状態で結合させて、形状保持させる繊維集合体の製造方法において、
    レーザービームの透過性を有する成形型内に繊維集合体を収容した状態で、成形型の外側から繊維集合体にレーザービームを照射することを特徴とした繊維集合体の製造方法
  2. 前記レーザービームの波長は、800〜1100nmの範囲内であることを特徴とした請求項1に記載の繊維集合体の製造方法
  3. 前記バインダは、レーザービームの透過性を低下させるために着色されたものであることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の繊維集合体の製造方法
  4. 前記バインダは、繊維集合体の主構造体を構成する繊維よりも融点の低い合成樹脂により構成されていることを特徴とした請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載の繊維集合体の製造方法
  5. 繊維集合体の主構造体を構成する主繊維と、その主繊維よりも融点の低い合成樹脂製のバインダ繊維とを混合して繊維集合体が構成されていることを特徴とした請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項に記載の繊維集合体の製造方法。
  6. 前記バインダとして粒体または粉体を用い、それを繊維間に分散させることを特徴とした請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項に記載の繊維集合体の製造方法。
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