JP4548088B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、IC形成層上に圧電薄膜を積層して弾性表面波素子を備えた弾性表面波装置において、ICと弾性表面波素子の間の素子分離をし、ノイズの発生を防止する弾性表面波装置を提供することにある。
(第1の実施形態)
弾性表面波装置1は、半導体基板10にIC形成層11を備え、絶縁膜12を介して反射層20が積層されている。反射層20上には圧電薄膜層30が設けられ、圧電薄膜層30上には弾性表面波素子31が形成されている。弾性表面波素子31は、櫛歯形状のIDT電極32を備え、2つのIDT電極32がお互いに噛み合うように配置されている。
このように、IC形成層11の上部には弾性表面波素子31が設けられ、ICと弾性表面波素子31が一体となった弾性表面波装置1を構成している。
Siなどから構成された半導体基板10には、集積回路を形成したIC形成層11が設けられ、IC形成層11上にはSiO2から構成された絶縁膜12を備えている。IC形成層11には、弾性表面波素子31を励振させるための発振回路を含んでいる。そして、絶縁膜12上にはW(タングステン)から構成された反射層20が設けられ、反射層20上にはZnOから構成された圧電薄膜層30が備えられている。さらに、圧電薄膜層30上には、弾性表面波素子31を構成するAlなどの導電体で形成した櫛歯形状のIDT電極32が設けられている。
これらの材料の選択には、相接する層材料の音響インピーダンスおよび格子整合などを考慮して、適宜選択される。例えば、圧電薄膜層30をZnOとし、反射層20をWとする構成、あるいは圧電薄膜層30をAlNとし、反射層20をMoとする構成が挙げられる。
なお、絶縁層12と反射層20の間には、絶縁層12の上に積層する層の平坦化を目的として、平坦化層を設けても良い。このようにすれば、反射層20および圧電薄膜層30を平坦に形成でき、弾性表面波素子31を精度良く製作することができる。
(第2の実施形態)
この場合、弾性表面波素子31から励振された弾性波は、圧電薄膜層30を経て、反射層20に入射する。反射層20の厚さd1は、弾性波が反射層20を伝搬するときの波長の1/2の厚さに形成されているため、反射層20下面では反射層20上面に対して1/2波長(180°)進んだ弾性波が到達する。ここで弾性波が反射(位相反転)し、反射層20上面には入射した弾性波に対して540°進んだ(180°位相のずれた)弾性波が到達する。つまり、入射した弾性波と反射した弾性波が反射層20内で打ち消し合うように働く。このことから、弾性波は反射層20内で打ち消し合い、IC形成層11に入射しない。
(第3の実施形態)
この第1反射層21および第2反射層22は、お互いに接する層材料の音響インピーダンスの差が大きくなるように構成されている。第1反射層21は、絶縁層12及び第2反射層22に対して、相対的に高い音響インピーダンスを有している。また、第2反射層22は、第1反射層21および圧電薄膜層30に対して、相対的に低い音響インピーダンスを有している。
反射層20の厚さd2は、弾性表面波素子31から励振される弾性波が、反射層20を伝搬するときの波長の1/4の厚さで形成されている。この反射層20を伝搬する波長は、反射層20として用いられる材料を通過する音速および弾性波の周波数により決定され、用いられる材料で波長は異なっているが、例えば、第2反射層22上面(圧電薄膜層30と接する面)から入射した弾性波は、第1反射層21下面(絶縁膜12と接する面)で、1/4波長進んだ波長が到達するように、第1反射層21と第2反射層22のそれぞれの厚さが設計されている。
図4における弾性表面波装置3は、上記図3で説明した弾性表面波装置2と反射層20の構成のみ異なるため、同様の構成については同符号を付し説明を省略する。
反射層20は、第1反射層23、第2反射層24、第3反射層25、第4反射層26から構成されている。第1反射層23および第3反射層25はMo膜で形成され、第2反射層24および第4反射層26はSi膜で形成されている。
この第1反射層23から第4反射層26は、お互いに接する層材料の音響インピーダンスの差が大きくなるように構成されている。第1反射層23は、絶縁層12及び第2反射層24に対して、相対的に高い音響インピーダンスを有している。また、第2反射層24は、第1反射層23および第3反射層25に対して、相対的に低い音響インピーダンスを有している。第3反射層25は、第2反射層24および第4反射層26に対して、相対的に高い音響インピーダンスを有している。さらに、第4反射層26は、第3反射層25および圧電薄膜層30に対して、相対的に低い音響インピーダンスを有している。
反射層20の厚さd3は、弾性表面波素子31から励振される弾性波が、反射層20を伝搬するときの波長の1/4の厚さで形成されている。
弾性表面波素子31を表面に配置する圧電薄膜層30の下に、多層構造からなる反射層20を設け、その反射層20の厚さd2およびd3を弾性波が反射層20を伝搬するときの波長の1/4の厚さに形成することで、弾性波をIC形成層11に入射するのを防止できる。特に、第1反射層21および第2反射層22を、お互いに接する層材料の音響インピーダンスの差が大きくなるように構成することにより、進行する弾性波を有効に反射させ、弾性波を効果的に反射層20に閉じ込めることができる。そして、ICと弾性表面波素子の間の素子分離を可能とし、相互作用によるノイズの発生を防止することができる。また、本実施形態のように多層構造の反射層20に導電膜を含むことで、IC形成層11に形成したICを電磁シールドすることが可能となる。
(第4の実施形態)
この場合、弾性表面波素子31から励振された弾性波は、圧電薄膜層30を経て、反射層20に入射する。反射層20の厚さd2およびd3は、弾性波が反射層20を伝搬するときの波長の1/2の厚さに形成されているため、反射層20下面では反射層20上面に対して1/2波長(180°)進んだ弾性波が到達する。ここで弾性波が反射(位相反転)し、反射層20上面には入射した弾性波に対して540°進んだ(180°位相のずれた)弾性波が到達する。つまり、入射した弾性波と反射した弾性波が、反射層20内で打ち消し合うように働く。このように、弾性波は反射層20内で打ち消し合い、IC形成層11に入射しない。
(第5の実施形態)
図5は本実施形態の弾性表面波装置の構成を示す模式断面図である。
弾性表面波装置4は、Siなどから構成された半導体基板10と、半導体基板10に集積回路を形成したIC形成層11および、IC形成層11上にはSiO2から構成された絶縁膜12を備えている。そして、絶縁膜12上にはAlなどからなり、少なくとも5nm程度の厚さの導電膜40が設けられている。導電膜40上にはSiから構成された反射層20が設けられ、反射層20上にはZnOから構成された圧電薄膜層30が備えられている。さらに、圧電薄膜層30上には、弾性表面波素子31を構成するAlなどの導電体で形成した櫛歯形状のIDT電極32が設けられている。
反射層20の厚さd1は、弾性表面波素子31から励振される弾性波が、反射層20を伝搬するときの波長の1/4の厚さで形成されている。
(第6の実施形態)
この場合、第1の実施形態と同様に反射層20内で弾性波が打ち消し合い、IC形成層11に弾性波は入射しない。また、反射層20に導電性の膜が含まれていない場合に、反射層20と絶縁層12の間に、少なくとも5nm程度の厚さの導電膜40を設けることにより、IC形成層11に形成したICを電磁シールドすることが可能である。
このように、上記弾性表面波装置を共振器もしくは周波数フィルタとして利用することで、ICと弾性表面波素子の相互作用によるノイズの発生を防止でき、共振器もしくは周波数フィルタとして良好な特性を得ることができる。
Claims (3)
- ICと弾性表面波素子とが一体となった弾性表面波装置であって、
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成され、且つ、発振回路を備えたIC形成層と、
前記IC形成層上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成され、且つ、導電材料を用いて形成された反射層と、
前記反射層上に形成された圧電薄膜層と、
前記圧電薄膜層上に形成された弾性表面波素子と、を備え、
前記反射層の厚さが、前記弾性表面波素子から励起された弾性波が前記反射層を伝搬するときの波長の1/4である厚さに形成されたことを特徴とする弾性表面波装置。 - ICと弾性表面波素子とが一体となった弾性表面波装置であって、
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成され、且つ、発振回路を備えたIC形成層と、
前記IC形成層上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成され、且つ、導電材料を用いて形成された反射層と、
前記反射層上に形成された圧電薄膜層と、
前記圧電薄膜層上に形成された弾性表面波素子と、を備え、
前記反射層の厚さが、前記弾性表面波素子から励起された弾性波が前記反射層を伝搬するときの波長の1/2である厚さに形成されたことを特徴とする弾性表面波装置。 - 請求項1または2に記載の弾性表面波装置において、共振器もしくは周波数フィルタとして機能することを特徴とする弾性表面波装置。
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