JP4547805B2 - β−メチルエピクロロヒドリンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
β−メチルエピクロロヒドリンは、類似化合物であるエピクロロヒドリンと同様に、化学品、エポキシ樹脂、医薬品製造時の原料または中間体などとして広く用いることができる化合物である。本発明は、その製造法に関するものであり、特に高純度のβ−メチルエピクロロヒドリン製品を容易に得る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にエピクロロヒドリン類は、アリルクロライド類を塩素ガス水溶液と接触させてジクロロヒドリンに転換した後、ジクロロヒドリンを石灰などのアルカリで脱塩化水素することにより製造できる(特開昭63−23829号公報、特開平2−115136号公報)。β−メチルエピクロロヒドリンを製造する場合には、出発原料としてメタリルクロライドを使用して上記の操作を行う。
エピクロロヒドリン類に関するその他の製造方法としては、アリルクロライド類とt−ブチルハイポクロライドの反応によって製造されるジクロロヒドリンを用いる方法(特公昭45−4042号公報)、アリルアルコール類を塩素化したのちアルカリで脱塩化水素する方法(特開昭62−286936号公報)、アリルクロライド類を直接酸化することによりエポキシ化する方法(特開平11−171880号公報)などが知られている。
【0003】
上記の製法のうちt−ブチルハイポクロライドを用いる方法は、t−ブチルアルコールを塩素化したり、t−ブチルアルコールを回収して再利用する必要がある点で製法が煩雑である。アリルアルコール類を出発原料とする製法も同様に煩雑である。
アリルクロライドの直接エポキシ化反応を利用する製法は、反応に用いる触媒寿命に問題があったり、酸化剤として過酸化物が必要であるので製造設備の安全性確保によりいっそう注意が求められ、工業的に有利とは言い難い。
【0004】
従って、エピクロロヒドリンまたはβ−メチルエピクロロヒドリンの工業的な製造方法としては、アリルクロライドまたはメタリルクロライドを塩素ガス水溶液と接触させてジクロロヒドリン化した後、アルカリで脱塩化水素するという方法が好ましい。しかしながら、この製法によってβ−メチルエピクロロヒドリンを製造する場合、高純度なβ−メチルエピクロロヒドリンが得られ難いという点が問題があった。すなわち、反応によって得られる粗β−メチルエピクロロヒドリンを蒸留により精製する際にどうしても除去できない不純物があり、ある水準以上に高純度なβ−メチルエピクロロヒドリンは得られなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、β−メチルエピクロロヒドリン(以下単にメチルエピクロロヒドリンということがある)の製造過程における中間体(ジクロロヒドリン)の段階で蒸留操作を組み込むことにより、従来最終的な粗メチルエピクロロヒドリンの蒸留で除去できなかった不純物がもはや粗メチルエピクロロヒドリン中にほとんど含まれないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、メタリルクロライドと塩素ガス水溶液を反応させてジクロロヒドリンを製造する工程で得られる、水層と有機層からなる反応生成液における有機層を分離し、該有機層を蒸留して低沸の不純物を除去した有機成分とアリカリ水溶液を接触させるか、または該有機成分および前記水層の混合物とアルカリを接触させることを特徴とするβ−メチルエピクロロヒドリンの製造方法である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる原料のメタリルクロライドは一般式(1)で表わされる化合物である(式中、Rはメチル基を示す)。
CH2 =CRCH2 Cl (1)
本発明においては、前記のとおり、まずメタリルクロライドと塩素ガス水溶液と反応させる。塩素ガス水溶液は水に塩素ガスを吹き込み、吸収させることにより得られる。この塩素ガス水溶液中には、塩素が分子状塩素、HOCl(次亜塩素酸)または塩素イオンの状態で存在する。水による塩素ガスの吸収方法としては、吸収塔における充填材の有無、濡れ壁式、併流式、向流式、反応器での攪拌式など如何なる方式でも良く、格別な限定はない。吸収温度によって水中の塩素ガス濃度は定まり、メタリルクロライドのジクロロヒドリンへの変換を効率的に行うためには、ガス吸収に使用される水の温度は5〜30℃が好ましい。
使用する水は通常の工業用水、精製水など格別な限定はなく、更に反応水を循環使用し、反応生成物を含んだものを使用することも可能である。
【0007】
メタリルクロライドと塩素ガス水溶液の反応は、反応器にメタリルクロライドと塩素ガス水溶液を連続又は断続的に仕込むことにより行うことができる。より好ましくは、塩素ガス水溶液を反応器に仕込んでおき、該水溶液を攪拌しながらその中にメタリルクロライドを滴下する方法であり、バッチ式も採用できるが、連続式がより好ましい。塩素ガス水溶液とメタリルクロライドの好ましい割合(重量比)は、メタリルクロライドに対し塩素ガス水溶液を10〜70倍の使用する割合である。
反応温度は5℃以上でメタリルクロライドの還流温度以下が好ましい。反応時間は通常1分から1時間程度である。
【0008】
上記の操作により得られた反応液は、通常ジクロロヒドリンおよびメタリルクロライドを主成分とする有機層とかなりの量のクロロヒドリンを溶解した水層からなるものである。ジクロロヒドリンの水への溶解度は6%程度であり、通常生成したジクロロヒドリンの2分の1程度が水槽に存在し、残りの2分の1程度が有機層に分配される。
上記の反応液は、本発明においては液液分離または蒸留等により有機層分と水層分を分離して、そのうち有機層分を蒸留して低沸点成分を留去する。以下、この有機層分の蒸留を中間体蒸留という。
上記反応の目的成分であるジクロロヒドリンの常圧下での沸点は180℃であり、中間体蒸留においては、これより沸点の低い不純物を除去することを目的とする。かかる低沸点成分を少なくすればするほど、高純度のβ−メチルエピクロロヒドリンが得られる。蒸留のエネルギーコストとの兼ね合いで、常圧下で沸点150℃以下の低沸点成分の含有量が1%以下のジクロロヒドリンを得るように蒸留することが好ましく、さらに好ましくは同低沸点成分を0.1%以下にすることである。
【0009】
中間体蒸留の操作条件の具体例としては、以下の条件が挙げられる。
すなわち、使用する蒸留塔の理論段数としては、5〜10段程度を選択し、還流比としては1以上が好ましくさらに好ましくは4以上であり、圧力20〜200torrの減圧で缶液温度は80〜120℃が好ましい。中間体蒸留に供する上記有機層分のうち、通常体積比で20〜50%の低沸カットを行う。
なお、カットされた低沸分中には、除去すべき不純物以外に原料物質であるメタリルクロライドが上記20〜50%のうちの10〜30%程度含まれているので、かかる低沸分はメタリルクロライドを分離するために再度蒸留する。
【0010】
中間体蒸留によって低沸点不純物が除去された有機層分は、単独でまたは前記反応液の水層分と合わせてアルカリと反応させる。有機層分、アルカリおよび必要に応じて追加の水を反応器に入れて攪拌すると、ジクロロヒドリンはアルカリと接触して環化反応を起こしすみやかにメチルエピクロロヒドリンに変換される。有機層分と前記水層分を併用してアルカリと接触させる場合も、上記と同様な操作を採用できる。
アルカリ化合物としてはアルカリ金属、又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が使用でき、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが挙げられ、これらの混合物を使用することも可能である。アルカリ化合物の好ましい添加量は、生成する塩化水素を中和し、かつ環化反応を完結させるという理由から、環化後の水相のpH値を7〜13の範囲とする量が好ましい。なお、用いるアルカリの性状は、固体、水溶液、スラリーなどのいずれかに限定されるものではない。
【0011】
反応は反応器に原料を一括して仕込む方法、ジクロロヒドリン化反応液にアルカリ水溶液を滴下又は固形状、スラリー状アルカリを添加する方法、反応器に原料を連続して仕込む方法、またはこれらの組み合わせが可能である。
反応温度としては、10〜100℃が好ましい。好ましい反応時間は10分〜2時間程度である。
【0012】
上記反応によりメチルエピクロロヒドリンが製造されるが、この場合の反応生成液も有機層と水層に2相分離したものである。この反応生成液から液液分離または共沸蒸留により、粗メチルエピクロロヒドリンが得られる。
上記反応と生成物の蒸留すなわち粗メチルエピクロロヒドリンの留出と同時に行うことも可能である。このような反応と蒸留を同時に行う操作は、一般的に反応蒸留と称されている。
高純度のメチルエピクロロヒドリンを得るためには、上記方法によって得られる粗メチルエピクロロヒドリンをもう一度蒸留することが好ましい。かかる蒸留によって得られた高純度のメチルエピクロロヒドリンは乾燥剤を加えて脱水することが好ましい。
【0013】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例】
直径5mmのガラスビーズを500mm高さに充填し、内部の温度を25℃に保持したガラス製吸収塔の上部から時間当たり15リットルの循環水を流した。
その吸収塔の下部より、時間当たり25リットルの塩素ガスを吹き込み、得られた塩素水を5リットル容の攪拌機付きガラス製反応器に送液した。その28℃に保持した反応器に時間当たりメタリルクロライド125g、蒸留水500gを滴下した。反応器から溢れ出てくるジクロロヒドリン化反応液を分液ロートに取り、全有機層と滴下蒸留水量に相当する水層を取り出し、残りの水層は循環水として、吸収塔に戻した。
【0014】
得られたジクロロヒドリン化反応有機層を、ラヒシリングを1000mm高さに充填した精留塔(理論段数10段)にて、圧力100torrで缶液温度100℃還流比4で、初留を40重量%カットした。
【0015】
この低沸点成分をカットした有機成分と一部取り出した水層を攪拌機付き反応器に仕込み、容器を氷水にて30℃以下に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液をこの混合水相部のpH値が11になるまでゆっくり滴下した。この環化反応液を単蒸留(水との共沸蒸留となる)したのち、さらに液々分離により粗メチルエピクロロヒドリンを得た。
【0016】
得られた粗メチルエピクロロヒドリンを、ラヒシリングを1000mm高さに充填した精留塔(理論段数10段)にて、還流比10で、初留と釜液をおのおの5重量%づつカットし、純度99.5%で、反応に用いた原料メタリルクロライドに対し、収率55重量%の精製メチルエピクロロヒドリンを得た。
【0017】
【実施例2】
環化反応用のアルカリとして、粒末状水酸化カルシウムを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、純度99.3%、収率57重量%の精製メチルエピクロロヒドリンを得た。
【0018】
【比較例1】
ジクロロヒドリン化の反応液の有機層についての蒸留を行わずに、該反応液をそのまま使用した以外はすべて実施例1と同様な操作を行い、粗メチルエピクロロヒドリンを得、さらに同様の精留塔を用い、還流比を20まで上げ、初留45重量%、釜液5重量%をカットした。
この場合、純度94.5%の精製メチルエピクロロヒドリンが収率45重量%で得られた。
【0019】
【発明の効果】
本発明によって製造されるメチルエピクロロヒドリンを蒸留することにより、高純度のメチルエピクロロヒドリンを効率的に得ることができる。
Claims (1)
- メタリルクロライドと塩素ガス水溶液を反応させてジクロロヒドリンを製造する工程で得られる、水層と有機層からなる反応生成液における有機層を分離し、該有機層を蒸留して低沸の不純物を除去した有機成分とアリカリ水溶液を接触させるか、または該有機成分および前記水層の混合物とアルカリを接触させることを特徴とするβ−メチルエピクロロヒドリンの製造方法。
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