JP4546723B2 - 表示装置用基板及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

表示装置用基板及びそれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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本発明は、基板上に走査線、データ線及びスイッチング素子を備えた表示装置用基板及びそれを用いた液晶表示装置(Liquid Crystal Display:以下、LCDという)に関し、特に、基板上に形成された走査線、データ線及びスイッチング素子間を静電気による破壊や短絡から保護する静電気保護素子を備えた表示装置用基板及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
スイッチング素子を備えたアクティブマトリクス型のLCDは、優れた画像品質が得られるフラットパネル・ディスプレイとしてコンピュータやOA機器等に多用されている。このアクティブマトリックス型のLCDは、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTという)及び画素電極が形成されたアレイ基板と共通電極が形成された対向基板との間に封止した液晶に対して両電極から電圧を印加して液晶を駆動するようになっている。
図8は、従来のLCDに用いられるアレイ基板101を基板面に向かってみた状態を示している。アレイ基板101上には、図中基板左右方向に延びる走査線102が上下方向に平行に複数形成されている。また、複数の走査線102上には図示を省略した絶縁膜が形成され、絶縁膜上には走査線102に交差して複数のデータ線104が形成されている。複数の走査線102とデータ線104との各交差部には画素領域が形成され、各画素領域内にはTFTと画素電極(共に不図示)が形成されている。TFTのゲート電極は所定の走査線102に接続され、ドレイン電極は所定のデータ線104に接続され、ソース電極は画素領域内の画素電極に接続されている。
各走査線102の両端部近傍には、走査線用静電気保護配線部106が形成されている。走査線用静電気保護配線部106は、走査線用静電気保護配線108と、各走査線102と走査線用静電気保護配線108とを接続する走査線用静電気保護素子110とを有している。走査線用静電気保護配線108はドレイン金属で形成され、各走査線102の上層に絶縁膜を介して交差して形成されている。さらに、走査線用静電気保護配線部106から引き出された走査線用検査端子111が形成されている。走査線用検査端子111は、走査線用静電気保護配線108と各走査線102との短絡欠陥の有無を検査するために用いられる。
各データ線104の両端部近傍にはデータ線用静電気保護配線部112が形成されている。データ線用静電気保護配線部112は、データ線用静電気保護配線114と、各データ線104とデータ線用静電気保護配線114とを接続するデータ線用静電気保護素子116とを有している。データ線用静電気保護配線114はゲート金属で形成され、各データ線104の下層に絶縁膜を介して交差して形成されている。さらに、データ線用静電気保護配線部112から引き出されたデータ線用検査端子117が形成されている。データ線用検査端子117は、データ線用静電気保護配線114と各データ線104との短絡欠陥の有無を検査するために用いられる。
さらに、アレイ基板101上には、高抵抗部118が形成されている。高抵抗部118は、走査線用静電気保護配線部106とデータ線用静電気保護配線部112とを接続している。
各走査線102と走査線用静電気保護配線108との短絡欠陥検査は、走査線用検査端子111と各走査線102との間に順次電圧を印加して、走査線用検査端子111と各走査線102との間に流れる電流量を測定して行われる。同様に、各データ線104とデータ線用静電気保護配線114との短絡欠陥検査は、データ線用検査端子117と各データ線104との間に順次電圧を印加して、データ線用検査端子117と各データ線104との間に流れる電流量を測定して行われる。
ところで、走査線用静電気保護配線部106とデータ線用静電気保護配線部112とは、高抵抗部118で電気的にほぼ開放された状態になっている。このため、走査線用静電気保護配線部106及びデータ線用静電気保護配線部112に、それぞれ走査線用検査端子111及びデータ線用検査端子117が必要になる。従って、当該短絡欠陥検査において、走査線102又はデータ線104のそれぞれの短絡検査毎に、各端子111、117にプロービングして電圧を印加する必要があり、短絡検査に要する時間が長くなってしまう。さらに、短絡欠陥検査装置(不図示)の制約で、走査線用検査端子111及びデータ線用検査端子117を所定の場所に集中して形成する必要があると、走査線用検査端子111及びデータ線用検査端子117の引き出し線が長くなる可能性がある。これにより、当該引き出し線にノイズが混入し易くなって、微量な電流量の変化を検出し難くなり、短絡検査の精度が低下してしまう。
特開平8−179366号公報
図9は、短絡検査工程の短縮化を図るために、検査用端子120を1箇所に形成したアレイ基板101を示す図である。図9に示すように、走査線用静電気保護配線部106とデータ線用静電気保護配線部112とは低抵抗配線122で接続されて電気的にほぼ短絡された状態になっている。このため、検査用端子120を1箇所にすることができる。これにより、検査用端子120への1回のプロービングで、走査線102側の短絡検査及びデータ線104側の短絡検査を全て行うことができ、短絡検査工程の短縮化を図ることができる。また、検査用端子120の引き出し配線を短くすることもできる。
ところで、アレイ基板101に対向基板(不図示)を貼り合わせて各基板間に液晶層(不図示)を封止して形成した液晶表示パネルの検査項目の1つに一括駆動検査がある。一括駆動検査では、全ての走査線102を電気的に接続して同一の駆動信号を一括して供給し、全てのデータ線104を電気的に接続して同一の駆動信号を一括して供給して液晶表示パネルの表示不良が検査される。図10は、各走査線102及び各データ線104をそれぞれ接続した状態の等価回路を示している。図10に示すように、アレイ基板101上に形成された各配線は、並列接続された複数の走査線102と並列接続された複数のデータ線104とが低抵抗配線122で直列に接続された状態になる。走査線用静電気保護素子110を含み1本当たりの抵抗Rが2MΩの走査線102が768本形成されていると、走査線102の合成抵抗値は約2.6kΩになる。また、データ線用静電気保護素子116を含み1本当たりの抵抗Rが2MΩのデータ線104が3072本形成されていると、データ線104の合成抵抗値は約0.65kΩになる。低抵抗配線122の抵抗rが各合成抵抗に対して約0Ωと見做せると、各走査線102及び各データ線104をそれぞれ接続した状態の合成抵抗値は、約3.3kΩになる。
例えば、走査線102側に25Vの電圧を印加して、データ線104側に5Vの電圧を印加すると、走査線102とデータ線104とが互いに干渉して走査線102側の電圧は低下してデータ線104側の電圧は上昇する。このため、各画素領域内に形成したTFTのゲート電極に十分な電圧を印加できず、当該TFTのスイッチング機能が十分に発揮されないため所定の表示状態が得られなかったり、データ線104に印加した電圧が所望の電圧から変動して、所望の表示が得られなかったりする可能性がある。こうなると、液晶表示パネルで生じる不良なのか、一括駆動検査装置上の不具合なのかを判別し難くなる。また、走査線102とデータ線104との間の抵抗値測定等の電気的な検査も精度よく行い難くなる。さらに、走査線102とデータ線104との間の抵抗値を大きくするために、短絡検査終了後に、低抵抗配線122の切断工程を追加すると、LCDの製造工程が増加して、LCDが高コスト化してしまう。
本発明の目的は、静電気に対して十分な保護機能を備え、検査時間を短縮でき、精度の高い検査を行うことができる表示装置用基板及びそれを用いた液晶表示装置を提供することにある。
上記目的は、複数の走査線と、前記走査線に絶縁膜を介して交差する複数のデータ線と、複数の画素毎に形成されたスイッチング素子とを有する表示装置用基板において、前記走査線に接続された走査線用静電気保護配線部と、前記データ線に接続されたデータ線用静電気保護配線部と、前記走査線用静電気保護配線部と前記データ線用静電気保護配線部とを電気的に接続し、パネル切断工程で切断されるパネル切断線を跨いで形成された接続配線部とを有することを特徴とする表示装置用基板によって達成される。
本発明によれば、静電気に対して十分な保護機能を備え、検査時間を短縮でき、精度の高い検査を行うことができる表示装置用基板及びそれを用いた液晶表示装置を実現できる。
本発明の一実施の形態による表示装置用基板及びそれを用いた液晶表示装置について図1乃至図7を用いて説明する。まず、本実施の形態による表示装置用基板の概略の構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態のアレイ基板(表示装置用基板)1を基板面に向かってみた状態を示す液晶表示パネルの概略構成である。図1において、一部の画素領域内には液晶駆動のための等価回路を示している。アレイ基板1上には、図中基板左右方向に延びる走査線2が上下方向に平行に複数形成されている。また、複数の走査線2上には図示を省略した絶縁膜が形成され、絶縁膜上には走査線2に交差して複数のデータ線4が形成されている。複数の走査線2とデータ線4との交差部には画素領域が形成され、各画素領域内にはTFT6と画素電極8が形成されている。TFTのゲート電極は所定の走査線2に接続され、ドレイン電極は所定のデータ線4に接続され、ソース電極は画素領域内の画素電極8に接続されている。パネル切断工程で切断されるパネル切断線14とほぼ同一の大きさの不図示の対向基板には、共通電極12が形成されている。アレイ基板1と対向基板との間には液晶10が封止されている。
各画素領域内には、電荷保持用の蓄積容量電極16が形成されている。蓄積容量電極16は画素電極8を介してTFT6のソース電極に接続されている。また、蓄積容量電極16下層には絶縁膜を介して蓄積容量線18が形成されている。
所定の走査線2に出力された走査信号により当該走査線2にゲート電極が接続されたTFT6はオン状態となり、データ線4に出力された階調信号に基づく電圧が画素電極8に印加される。一方、対向基板の共通電極12にも所定の電圧が印加され、画素電極8と共通電極12とに印加された電圧により、画素電極8と共通電極12の間の液晶10が駆動されるようになっている。
各走査線2の両端部近傍には、走査線用静電気保護配線部20が形成されている。走査線用静電気保護配線部20は、走査線用静電気保護配線22と、各走査線2と走査線用静電気保護配線22とを接続する走査線用静電気保護素子24とを有している。走査線用静電気保護配線22はドレイン金属層で形成され、各走査線2の上層に絶縁膜を介して交差して形成されている。さらに、図中右側の走査線用静電気保護配線部20から引き出された検査用端子32が形成されている。検査用端子32は、走査線用静電気保護配線22と各走査線2との短絡欠陥の有無、及びデータ線用静電気保護配線28と各データ線4との短絡欠陥の有無を検査するために用いられる。
各データ線4の両端部近傍にはデータ線用静電気保護配線部26が形成されている。データ線用静電気保護配線部26は、データ線用静電気保護配線28と、各データ線4とデータ線用静電気保護配線28とを接続するデータ線用静電気保護素子30とを有している。データ線用静電気保護配線28はゲート金属層で形成され、各データ線4の下層に絶縁膜を介して交差して形成されている。
さらに、アレイ基板1上には、高抵抗部34が形成されている。高抵抗部34は、走査線用静電気保護配線部20とデータ線用静電気保護配線部28とを接続してパネル切断線14近傍の四隅にそれぞれ形成されている。
図2は、高抵抗部34の等価回路を示している。図2に示すように、高抵抗部34は容量結合性のトランジスタである第1乃至第3のTFT38、40、42及び導電体44を有している。静電気保護素子である第1のTFT38のソース電極(S)はデータ線用静電気保護素子部26に接続されており、他方のドレイン電極(D)は走査線用静電気保護素子部20に接続されている。第1のTFT38のゲート電極(G)はデータ線用静電気保護素子部26と走査線用静電気保護素子部20のいずれとも電気的に絶縁された導電体44に接続されている。
一方、第2のTFT40のソース電極(S)はデータ線用静電気保護素子部26に接続されており、他方のドレイン電極(D)は導電体44に接続されている。また、第3のTFT42のドレイン電極(D)は導電体44に接続されており、他方のソース電極(S)は走査線用静電気保護素子部20に接続されている。第2及び第3のTFT40、42のゲート電極(G)はいずれのパターンにも接続されておらず孤立している。
静電気により走査線用静電気保護素子部20に対して正の高電圧がデータ線用静電気保護素子部26に発生すると、第2及び第3のTFT40、42のゲート電極(G)にはそれぞれゲート−ソース間及びゲート−ドレイン間の寄生容量(不図示)によって内分された高電圧が印加されて第2及び第3のTFT40、42でチャネルが形成される。その結果、第2及び第3のTFT40、42を通して電流が流れ、導電体44の電位も上昇する。それにより第1のTFT38にチャネルが形成されて導電率が大きくなるため静電気による電荷が解放される。
走査線用静電気保護素子24及びデータ線用静電気保護素子30も高抵抗部34と同様の構成を有しており、走査線用静電気保護素子24及びデータ線用静電気保護素子30は同様の動作で走査線2やデータ線4に静電気によって蓄積された電荷を解放できる。
図1に戻り、アレイ基板1上には、走査線用静電気保護配線部20とデータ線用静電気保護配線部26とを電気的に接続し、パネル切断線14を跨いで形成された接続配線部36が形成されている。接続配線部36はパネル切断線14近傍の四隅に形成され、各高抵抗部34に並列に接続されている。接続配線部36は、走査線用静電気保護配線部20から引き出されてパネル切断線14を跨ぐ第1の配線36aと、データ線用静電気保護配線部26から引き出されてパネル切断線14を跨ぐ第2の配線36bと、第1及び第2の配線36a、36bを電気的に接続する第3の配線36cとを有している。第1の配線36aはAl(アルミニウム)等の低抵抗金属のドレイン配線層で形成され、第2の配線36bはAl等の低抵抗金属のゲート配線層で形成され、第3の配線36cはゲート配線層で形成されている。第1及び第3の配線36a、36c間には絶縁層(不図示)が形成されているので、第1及び第3の配線36a、36cは絶縁層に設けられたコンタクトホール(不図示)を介して接続されている。なお、第3の配線36cはドレイン配線層で形成してもよい。この場合、第2及び第3の配線36b、36cは絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して接続される。接続配線部36の抵抗値が高抵抗部34の非動作状態の抵抗値より低くなるように配線幅と配線長が形成される。例えば、高抵抗部34の非動作状態の抵抗値が1MΩであれば、接続配線部36の抵抗値は10kΩ以下になるように形成される。接続配線部36の上には腐食防止用の保護膜(不図示)が形成されている。
各走査線2と走査線用静電気保護配線22との短絡欠陥検査及び各データ線4とデータ線用静電気保護配線28との短絡欠陥検査は、検査用端子32と各走査線2及び各データ線4との間に順次電圧を印加して、検査用端子32と各走査線2及び各データ線4との間に流れる電流量を測定して行われる。
このように、走査線用静電気保護配線部20とデータ線用静電気保護配線部26とは、高抵抗部34と接続配線部36とで接続されている。接続配線部36の方が高抵抗部34より低抵抗になるように形成されているので、走査線用静電気保護配線部20及びデータ線用静電気保護配線部26間に流れる電流の多くは接続配線部36を流れることになる。短絡欠陥検査において、各走査線2又は各データ線4と検査用端子32間に流れる電流を十分に流せるように接続配線部36を形成しておけば、検査用端子32を1つにすることができる。これにより、検査用端子32の配置場所の自由度が向上し、検査用端子32の引き出し線を短くすることができる。従って、引き出し線にノイズが混入し難くなるので、微量な電流量の変化も検出することが可能になり、検出精度が向上する。
接続配線部36はパネル切断線14を跨いで形成されているので、アレイ基板1をパネル切断線14で切断すると、パネル切断線14を跨ぐ箇所で接続配線部36は切断される。一方、高抵抗部34はパネル切断線14の内側に形成されているので、アレイ基板1をパネル切断線14で切断しても、高抵抗部34は切断されない。従って、アレイ基板1をパネル切断線14で切断した後は、走査線用静電気保護配線部20及びデータ線用静電気保護配線部26は高抵抗部34のみで接続されることになる。これにより、全ての走査線2及び全てのデータ線4をそれぞれ接続しても、アレイ基板1上の各配線の合成抵抗は高抵抗になる。従って、一括駆動検査を行うために各走査線2及び各データ線4に印加された電圧は互いに干渉され難くなるので、各画素領域内に形成したTFT6は所定のスイッチング機能を発揮すると共に、データ線4には所望の電圧が印加されるので、液晶表示パネルには所望の画像が表示される。これにより、液晶表示パネルの表示不良の検査を正確に行うことができる。さらに、走査線2とデータ線4との間の抵抗値測定等の電気的な検査も精度よく行うことができる。
ところで、アレイ基板1をパネル切断線14で切断すると、第1及び第2の配線36a、36b端部はアレイ基板1切断面に露出する。第1及び第2の配線36a、36b上には保護膜が形成されていても、アレイ基板1切断面には第1及び第2の配線36a、36b端部の低抵抗金属配線層が露出する。この露出部に水分が付着すると低抵抗金属配線層が腐食してしまう可能性がある。そこで、接続配線部36を走査線2又はデータ線4の少なくとも一方の駆動回路を実装する端子部近傍に形成し、駆動回路や端子部の腐食防止に用いる防湿剤で第1及び第2の配線36a、36b端部を覆えば、第1及び第2の配線36a、36bの低抵抗金属配線層の腐食を防止できる。
図3は、データ線4駆動用の駆動回路46を実装する端子部48近傍に第1及び第2の配線36a、36bを形成した例を示している。図3に示すように、データ線4端部に形成された端子部48上には異方性導電膜50が形成されている。異方性導電膜50上に熱圧着で駆動回路46が実装され、駆動回路46は端子部48に電気的に接続されている。駆動回路46上と第1及び第2の配線36a、36b上の一部に防湿剤52が塗布されている。駆動回路46の実装工程はパネル切断工程後に行われるので、防湿剤52をパネル切断線14の切断面に塗布すれば第1及び第2の配線36a、36b端部を防湿剤52で覆うことができる。これにより、第1及び第2の配線36a、36b端部の腐食を防止することができる。さらに、駆動回路46実装面の裏面にも防湿剤52を塗布すれば、第1及び第2の配線36a、36b端部の腐食防止効果を一層向上させることができる。また、第1及び第2の配線36a、36bを端子部48近傍に形成しない場合であっても、第1及び第2の配線36a、36b端部を防湿剤52で覆うようにすれば、同様の効果を奏する。
図4は、導電性酸化物配線層で接続配線部36を形成したアレイ基板1のパネル切断線14近傍を拡大して示している。導電性酸化物配線層として、例えばITO(インジウム・ティン・オキサイド)が用いられる。図4に示すように、接続配線部36はパネル切断線14を跨いで形成され、接続配線部36の抵抗値が10kΩ以下になるように、配線幅や配線長が形成されている。ITOは水分で腐食し難いので、アレイ基板1の切断後、第1及び第2の配線36a、36b端部がパネル切断線14の切断面に露出しても、第1及び第2の配線36a、36b端部の腐食を防止することができる。
ところで、ITOはAl等の低抵抗金属配線層に比べて抵抗率が高い。また、接続配線部36の配線領域の制約で、10kΩ以下になるように配線幅や配線長を形成することができない場合には、図5に示すように、第1及び第2の配線36a、36bがパネル切断線14を跨ぐ部分のみをITO36dで形成し、残りの部分及び第3の配線36cを低抵抗金属配線層で形成すれば、接続配線部36の抵抗値を10kΩ以下にすることができる。さらに、アレイ基板1の切断後、パネル切断線14の切断面にはITO36dが露出することになるので、第1及び第2の配線36a、36b端部の腐食を防止することができる。
図4及び図5における導電性酸化物配線層で形成した接続配線部36においても、防湿剤を用いれば、第1及び第2の配線36a、36b端部の腐食防止効果を一層向上させることができる。
図6は、蓄積容量線18を静電気から保護するために用いられる高抵抗部54の等価回路を示しており、アレイ基板1のパネル切断線14近傍を拡大して示している。各蓄積容量線18は、ゲート金属層で形成された蓄積容量線束ね線部56で接続されている。蓄積容量線束ね線部56は不図示のトランスファを介して共通電極12に接続されている。蓄積容量線18に印加される電圧が走査線2やデータ線4に印加される電圧と干渉すると、各画素領域内のTFT6や液晶10が所望の動作をすることができなくなり、液晶表示パネルの表示不良を引き起こす可能性がある。
そこで、蓄積容量線束ね線部56と走査線用静電気保護配線部20及びデータ線用静電気保護配線部26とを電気的に分離するために、蓄積容量線束ね線部56は高抵抗部54を介して走査線用静電気保護配線部20に接続されている。これにより、蓄積容量線束ね線部56は走査線用静電気保護配線部20及びデータ線用静電気保護配線部26から電気的に分離されると共に、蓄積容量線18を静電気から保護することが可能になる。図6に示すように、高抵抗部54は高抵抗部34と同様の回路構成を有している。第1のTFT38’のソース電極(S)は走査線用静電気保護配線部20に接続されており、他方のドレイン電極(D)は絶縁膜(不図示)に形成されたコンタクトホール(不図示)を介して蓄積容量線束ね線部56に接続されている。第1のTFT38’のゲート電極(G)は走査線用静電気保護配線部20と蓄積容量線束ね線部56のいずれとも電気的に絶縁された導電体44’に接続されている。
一方、第2のTFT40’のソース電極(S)は走査線用静電気保護配線部20に接続されており、他方のドレイン電極(D)は導電体44’に接続されている。また、第3のTFT42’のドレイン電極(D)は導電体44’に接続されており、他方のソース電極(S)は第1のTFT38’のドレイン電極(D)に接続されている。第2及び第3のTFT40’、42’のゲート電極(G)はいずれのパターンにも接続されておらず孤立している。
高抵抗部54は高抵抗部34と同様の動作で蓄積容量線18に静電気で蓄積された電荷を解放する。
このように本実施の形態によれば、短絡欠陥検査では、接続配線部36に電流が流れるので、1つの検査用端子32から検査用の電圧を印加するだけで、各走査線2及び各データ線4の短絡の有無を検査することができる。また、パネル切断工程後は、走査線用静電気保護配線部20とデータ線用静電気保護配線部26とが高抵抗部34で接続されるので、一括駆動検査において、液晶表示パネルの表示不良を正確に検査できる。
次に、本実施の形態による表示装置用基板の変形例について図7を用いて説明する。図7は、本変形例のアレイ基板1を基板面に向かってみた状態を示す液晶表示パネルの概略構成である。図7において、画素領域内の液晶駆動用の等価回路は省略している。また、図1に示した上記実施の形態のアレイ基板1の構成要素と同一の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。上記実施の形態のアレイ基板1は走査線用静電気保護配線部20とデータ線用静電気保護配線部26とを接続する高抵抗部34を有している。これに対し、本変形例では高抵抗部34を備えていない点に特徴を有している。この場合も、パネル切断線14でアレイ基板1を切断すると、走査線用静電気保護配線部20とデータ線用静電気保護配線部26とは電気的に開放されて高抵抗で接続されていると見做すことができるので、同様の効果を奏する。
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
上記実施の形態では、高抵抗部34は第1乃至第3のTFT38、40、42を有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、高抵抗部34を1MΩ以上の高抵抗配線で形成しても、同様の効果を奏する。高抵抗部34の抵抗値は、接続配線部36の抵抗値(第1、第2及び第3の配線36a、36b、36cの合成抵抗値)より高い抵抗値を有していれば、同様の効果を奏する。
また、上記実施の形態では、液晶表示装置を例に説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、アレイ基板1は有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に用いることができる。
以上説明した実施の形態による表示装置用基板及びそれを用いた液晶表示装置は、以下のようにまとめられる。
(付記1)
複数の走査線と、前記走査線に絶縁膜を介して交差する複数のデータ線と、複数の画素毎に形成されたスイッチング素子とを有する表示装置用基板において、
前記走査線に接続された走査線用静電気保護配線部と、
前記データ線に接続されたデータ線用静電気保護配線部と、
前記走査線用静電気保護配線部と前記データ線用静電気保護配線部とを電気的に接続し、パネル切断工程で切断されるパネル切断線を跨いで形成された接続配線部と
を有することを特徴とする表示装置用基板。
(付記2)
付記1記載の表示装置用基板において、
前記接続配線部は、前記走査線用静電気保護配線部から引き出されて前記パネル切断線を跨ぐ第1の配線と、前記データ線用静電気保護配線部から引き出されて前記パネル切断線を跨ぐ第2の配線と、前記第1及び第2の配線を電気的に接続する第3の配線とを有することを特徴とする表示装置用基板。
(付記3)
付記2記載の表示装置用基板において、
前記第1乃至第3の配線の少なくともいずれかは、低抵抗金属配線層を有していることを特徴とする表示装置用基板。
(付記4)
付記2又は3に記載の表示装置用基板において、
前記第1及び第2の配線は、前記パネル切断線を跨いで形成された導電性酸化物配線層を有していることを特徴とする表示装置用基板。
(付記5)
付記2記載の表示装置用基板において、
前記第1乃至第3の配線の少なくともいずれかは、導電性酸化物配線層を有していることを特徴とする表示装置用基板。
(付記6)
付記2乃至5のいずれか1項に記載の表示装置用基板において、
パネル切断後の前記第1及び第2の配線の端部は、パネル切断面に露出していることを特徴とする表示装置用基板。
(付記7)
付記4乃至6のいずれか1項に記載の表示装置用基板において、
前記導電性酸化物配線層は、ITOであることを特徴とする表示装置用基板。
(付記8)
付記1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置用基板において、
前記接続配線部に並列に接続され、前記走査線用静電気保護配線部と前記データ線用静電気保護配線部とを接続する高抵抗部を有することを特徴とする表示装置用基板。
(付記9)
付記8記載の表示装置用基板において、
前記高抵抗部は、非線形抵抗特性を有する素子を有していることを特徴とする表示装置用基板。
(付記10)
付記8記載の表示装置用基板において、
前記高抵抗部は、前記第1、第2及び第3の配線の合成抵抗より高い抵抗値を有する高抵抗配線を有していることを特徴とする表示装置用基板。
(付記11)
付記1乃至10のいずれか1項に記載の表示装置用基板において、
前記複数の画素毎に形成された蓄積容量線と、
複数の前記蓄積容量線を束ねた蓄積容量線束ね線部と、
前記蓄積容量線束ね線部と前記走査線用静電気保護配線部とを接続する高抵抗部と
を有することを特徴とする表示装置用基板。
(付記12)
対向配置された一対の基板と、前記基板間に封止された液晶とを有する液晶表示装置において、
前記一対の基板の一方は、付記1乃至11のいずれか1項に記載の表示装置用基板であることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の一実施の形態による表示装置用基板であって、アレイ基板1を基板面に向かってみた液晶表示パネルの概略構成を示す図である。 本発明の一実施の形態による表示装置用基板であって、高抵抗部34の等価回路を示す図である。 本発明の一実施の形態による表示装置用基板であって、駆動回路46を実装する端子部48近傍に第1及び第2の配線36a、36bを形成した例を示す図である。 本発明の一実施の形態による表示装置用基板であって、導電性酸化物配線層で接続配線部36を形成したアレイ基板1のパネル切断線14近傍の拡大図である。 本発明の一実施の形態による表示装置用基板であって、パネル切断線14を跨ぐ部分のみをITO36dで形成した接続配線部36を示す図である。 本発明の一実施の形態による表示装置用基板であって、蓄積容量線18を静電気から保護するために用いられる高抵抗部54の等価回路を示す図である。 本発明の一実施の形態の変形例の表示装置用基板であって、アレイ基板1を基板面に向かってみた液晶表示パネルの概略構成を示す図である。 従来の表示装置用基板であって、アレイ基板101を基板面に向かってみた状態を示す図である。 従来の表示装置用基板であって、アレイ基板101を基板面に向かってみた状態を示す図である。 従来の表示装置用基板であって、各走査線102及び各データ線104をそれぞれ接続した状態の等価回路を示す図である。
符号の説明
1、101 アレイ基板
2、102 走査線
4、104 データ線
6 TFT
8 画素電極
10 液晶
12 共通電極
14 パネル切断線
16 蓄積容量電極
20、106 走査線用静電気保護配線部
22、108 走査線用静電気保護配線
24、110 走査線用静電気保護素子
26、112 データ線用静電気保護配線部
28、114 データ線用静電気保護配線
30、116 データ線用静電気保護素子
32、120 検査用端子
34、54、118 高抵抗部
36 接続配線部
36a 第1の配線
36b 第2の配線
36c 第3の配線
36d ITO
38、38’ 第1のTFT
40、40’ 第2のTFT
42、42’ 第3のTFT
44、44’ 導電体
46 駆動回路
48 端子部
50 異方性導電膜
52 防湿剤
56 蓄積容量線束ね線部
111 走査線用検査端子
117 データ線用検査端子


Claims (5)

  1. 複数の走査線と、前記走査線に絶縁膜を介して交差する複数のデータ線と、複数の画素毎に形成されたスイッチング素子とを有する表示装置用基板において、
    パネル切断工程で切断される枠状のパネル切断線の内側で対向して配置され、前記走査線に接続された一対の走査線用静電気保護配線部と、
    前記パネル切断線の内側で対向して配置され、前記データ線に接続された一対のデータ線用静電気保護配線部と、
    前記一対の走査線用静電気保護配線部と前記一対のデータ線用静電気保護配線部とを電気的に接続し、前記一対の走査線用静電気保護配線部と前記一対のデータ線用静電気保護配線部と共に環状となるように形成され、前記一対の走査線用静電気保護配線部及び前記一対のデータ線用静電気保護配線部から引き出されて前記パネル切断線を跨いで形成され、前記パネル切断線の四隅にそれぞれ形成された接続配線部と
    を有することを特徴とする表示装置用基板。
  2. 請求項1記載の表示装置用基板において、
    前記接続配線部は、前記走査線用静電気保護配線部から引き出されて前記パネル切断線を跨ぐ第1の配線と、前記データ線用静電気保護配線部から引き出されて前記パネル切断線を跨ぐ第2の配線と、前記第1及び第2の配線を電気的に接続する第3の配線とを有することを特徴とする表示装置用基板。
  3. 請求項2記載の表示装置用基板において、
    前記第1乃至第3の配線の少なくともいずれかは、低抵抗金属配線層を有していることを特徴とする表示装置用基板。
  4. 請求項2又は3に記載の表示装置用基板において、
    前記第1及び第2の配線は、前記パネル切断線を跨いで形成された導電性酸化物配線層を有していることを特徴とする表示装置用基板。
  5. 対向配置された一対の基板と、前記基板間に封止された液晶とを有する液晶表示装置において、
    前記一対の基板の一方は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置用基板であることを特徴とする液晶表示装置。
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