JP4546632B2 - カップ式ウェーハめっき装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はウェーハめっき用のカソード電極に関し、特に、カップ式のウェーハめっき装置に好適なカソード電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体用ウェーハの製造工程では、ウェーハ表面へ、バンプや微細配線などをめっき処理によって形成することが行われる。このウェーハへのめっきを施す一つとして、めっき槽の開口部に配置したシールパッキンと該シールパッキン上に載置されるウェーハとの間に、リング状に形成されたウェーハめっき用のカソード電極を配置したカップ式のウェーハめっき装置が知られている。このカップ式のウェーハめっき装置は、シールパッキン上に、めっき対象面を下にしたウェーハを載置し、めっき槽底部よりめっき液を上昇流でめっき対象面に向けて供給し、リング状のカソード電極からウェーハにめっき電流を供給してめっき処理を行うものである。
【0003】
そして、このカップ式のウェーハめっき装置では、ウェーハを押さえ手段等にて加圧することにより、ウェーハの全周に渡って、ウェーハの周縁部を、シールパッキン上に配置されるリング状のカソード電極に接触させ、ウェーハ周縁全周からめっき電流を供給して、均一なめっき処理を実現しようとするものである。
【0004】
しかしながら、ウェーハ周縁全周に渡って、その周縁部をリング状のカソード電極に均一的に面接触させることは、非常に難しく、ウェーハの押さえ手段等による加圧力を調整しても、めっき対象面の全面において、より均一なめっき電流の供給を行うことに限界があった。即ち、ウェーハのめっき対象面におけるめっき厚みを、全面的に均一な厚さとすることに限界があるものであった。このことは、生産性の向上を図るために、供給するめっき電流を大きくしてめっき処理を行う場合、めっき対象面におけるめっき厚みのバラツキを大きくする傾向となるものであった。
【0005】
また、近年の半導体用ウェーハの製造においては、ウェーハのめっき処理におけるめっき厚みの均一性要求が、更に厳しくなってきており、ウェーハのめっき対象面全面において、より均一なめっき厚となるめっき処理技術が強く要求されている。更に、最近の半導体用ウェーハは、従来よりも大きな径のものが製造されるようになり、このような大きな径のウェーハをめっき処理する場合、従来のリング状のカソード電極では、めっき対象面全面におけるめっき厚みのバラツキがより大きくなることが懸念されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、カップ式のウェーハめっき装置に用いられるウェーハめっき用のカソード電極を改良することで、ウェーハのめっき対象面全面に極めて均一なめっき電流の供給ができる技術を提供し、ウェーハのめっき対象面全面において非常に均一なめっき厚みを実現できる、ウェーハめっき用に好適なカソード電極の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明は、めっき槽の開口部に配置したシールパッキンと該シールパッキン上に載置されるウェーハとの間に配置され、ウェーハの周縁部と接触してめっき電流を供給できるようにリング状に形成されたウェーハめっき用のカソード電極において、ウェーハの周縁部と接触するカソード電極の内周形状を鋸歯状に形成したものとした。
【0008】
本発明のカソード電極よれば、ウェーハの周縁部とカソード電極の内周側とがウェーハ周縁部の全周に渡って鋸歯状に接触することになる。このウェーハの周縁部とカソード電極との鋸歯状の接触によって、非常に緊密な接触状態が実現され、ウェーハのめっき対象面全面に極めて均一的なめっき電流を供給することが可能となる。
【0009】
本発明のカソード電極における内周形状の鋸歯状とは、ウェーハの周縁部全周において所定の間隔を有した状態でカソード電極とウェーハの周縁部とが接触する状態になるものであれば、その鋸歯状を形成する凹凸状の形については特に制限されない。
【0010】
従来におけるリング状のカソード電極では、カソード電極の内周側とウェーハ周縁部とがウェーハ周縁全周で面接触している。このような全周に渡った面接触状態を均一にすることは、押さえ手段等の加圧力を調整したとしても、カソード電極の加工精度、ウェーハの平面度などに左右され、非常に難しいものであった。特に、電極材料として硬質なものを使用する場合、ウェーハ周縁部の全周に渡って均一な面接触を実現することは更に難しいものであった。一方、本発明のように、カソード電極の内周形状を鋸歯状、即ち、ウェーハ周縁の全周において所定間隔を有した状態に形成すると、カソード電極とウェーハ周縁部とが所定間隔を有した状態で面接触するようになる。つまり、本発明のカソード電極では、ウェーハの周縁部に所定間隔をおいて接触することになるが、従来のように全周に渡って面接触する場合に比べて、ウェーハの全周で均一な面接触がウェーハの周縁部とカソード電極とで実現され、めっき対象面全面に対して均一なめっき電流の供給ができることになるのである。そして、このような鋸歯状の接触状態は、硬質な電極材を使用する場合にも有効なものである。
【0011】
従って、本発明のカソード電極を用いると、めっき対象面全面において、均一なめっき電流の供給が可能となるので、めっき対象面全面におけるめっき厚みを非常に均一にすることが可能となる。さらに、径の大きなウェーハを処理する場合や比較的大きなめっき電流を供給する場合であっても、本発明のカソード電極を用いることによって、めっき対象面全面において非常に均一なめっき厚みとなるめっき処理が可能となるのである。
【0012】
そして、ウェーハの周縁部とカソード電極との接触を、より確実なものとするには、シールパッキンと接触するカソード電極表面に、接触補助部を設けるようにすることが好ましい。このカソード電極表面に設ける接触補助部は、例えば、突起、バネ等の様々なもので形成することができる。例えば、シールパッキンと接触するカソード電極表面へ突起を設けておくと、押さえ手段などにより加圧されるウェーハは、その周縁部がカソード電極に接触することになり、ウェーハとの接触面と反対側のカソード電極表面に設けられた突起は、シールパッキン側に押し込まれることになる。そして、この突起がシールパッキンへ押し込まれると、シールパッキンの変形抵抗により、突起を押し戻そうとする力が働き、カソード電極はウェーハ側へ押し付けられることになる。そのため、ウェーハの周縁部とカソード電極との接触がより確実になるのである。即ち、本発明のカソード電極表面に設ける接触補助部とは、ウェーハの周縁部とカソード電極との接触が確実となるように、カソード電極をウェーハ側に押し付けるようにできるものいう。この接触補助部については、配置する位置、数等に制限はないが、ウェーハの周縁部と接触することになるカソード電極面の反対面側に設けるようにすることが、接触状態を確実にすることから望ましいものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を説明する。図1はカップ式めっき槽の概略断面図を示している。カップ式めっき槽1の上部開口部2には、めっき液漏洩防止用のシールパッキン3とカソード電極4とが配置されている。ウェーハ5は、その開口部2に、ウェーハ5のめっき対象面6を下方にした状態で、シールパッキン3及びカソード電極4上に載置される。載置されたウエーハ5は、ウェーハ5上方に備えてある、図示せぬ押さえ手段により加圧されることで、シールパッキン3に押さえつけられ、カソード電極4とウェーハ6の周縁部7が接触するようにされている。
【0014】
カップ式めっき槽1の底側には、めっき液供給口8及びウェーハ5に対向するようにアノード電極9が設けられている。また、カップ式めっき槽1にはめっき液供給口8から上昇流で供給されためっき液を外部に排出するめっき液流出口10が設けられている。
【0015】
図2は、本実施形態におけるカソード電極4の拡大平面図を示したものである。カソード電極4はリング状で、内周側に凸状のウェーハ接触部11が鋸歯状に等間隔で形成されており、図示せぬめっき電流供給用電源と接続される電極端子12を外周側に備えたものである。そして、図3は、図2で示すA−A線における断面を表したもので、図2で示すウェーハ接触部11の裏側にあたる部分、即ちシールパッキン3と接触する面側に、突起部13が設けられている。この突起部13は、カソード電極4の内周側にある各ウェーハ接触部11の全てに設けられている。
【0016】
ここで、上記した本実施形態におけるカソード電極によるウェーハめっき処理評価試験を行った結果について説明する。試験に用いたウェーハは直径200mmで、めっき対象面にCuのシード金属が施されたシード金属付きウェーハである。また、めっき液には硫酸銅溶液を用い、めっき対象面の理論電流密度が1A/dm2となるようにめっき電流を供給し、めっき厚みが1.0μm(めっき電流供給時間270sec)となるようなめっき処理を行ったものである。
【0017】
めっき評価試験に用いた本実施形態のカソード電極は、材質としてSUS304により形成し、突起部を設けたものと(実施例1)、突起部を設けていないもの(実施例2)とを用いた。また、Ti材により形成し、突起部を設けたもの(実施例3)、Cu材により形成し、突起部を設けたもの(実施例3)も用いた。その際のカソード電極4のウェーハ接触部11の形状は、図2で示す各寸法が、R=191mm、a=3°、b=10mm、c=3°で形成し、ウェーハ接触部11が内周側に60個設けられたものである。また、比較として、内周形状が単なる円状となっているもので、Tiバルク表面にTiNをコーティングした(比較例1及び2)、従来より用いているカソード電極を2つ用いた。この比較例1及び2のカソード電極は内周直径が188mmであり、ウェーハの周縁部とカソード電極とが、ウェーハの外周端から10mm幅で全周に渡って面接触するようにされたものである。
【0018】
めっき処理試験の評価は、めっき処理を行ったウェーハのめっき厚みを、めっき対象面の全面に対して測定することにより行った。めっき厚の測定は、めっき対象面の各測定部で、シート抵抗測定器(KLA−Tencor オムニマップRS−75)を用いて抵抗値(Ω)を測定し、その抵抗値をめっき厚みの代替値として用いた。具体的には、ウェーハのめっき対象面中心及びその中心から約30mm間隔の3つ同心円上において、合計49箇所の抵抗値を測定して、その抵抗値の平均値(Avg.)、最大値(MAX.)、最小値(MIN.)、偏差(STD)/平均値(Avg.)などを算出した。その結果を表1に示す。尚、表1に示す平均値(Avg.)、最大値(MAX.)、最小値(MIN.)の単位は10−2OHMS/sqであり、偏差(STD)/平均値(Avg.)の単位は%である。
【0019】
【表1】
【0020】
表1に示す結果から実施例1〜4のカソード電極では、従来のカソード電極である比較例1及び2に比べ、最大値と最小値との差、即ち、膜厚のバラツキ幅(Range.)が小さくなっていることが判明した。また、STD/Avg.(分散値を平均値で割った)値は、実施例1〜4のカソード電極が、明らかに小さい値を示しており、めっき厚みの均一性の高いめっき処理であることが確認された。特に、実施例1、実施例3及び4の突起部を設けたカソード電極では、STD/Avg.値が非常に小さく、めっき対象面全面において、極めて均一なめっき厚みであるめっき処理が行われていることが判明した。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のウェーハめっき用カソード電極によれば、ウェーハのめっき対象面全面に対して、均一しためっき電流の供給が可能となり、めっき対象面全面において均一した厚みのめっき処理を行うことが可能となる。そして、径の大きなウェーハを処理する場合やめっき電流を大きくして処理する場合においても、めっき対象面全面に極めて均一な厚みのめっき処理を行うことが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態によるカップ式めっき装置のめっき槽断面概略図。
【図2】本実施形態におけるウェーハめっき用のカソード電極の平面図。
【図3】図2におけるA−A線の断面図。
【符号の説明】
1 カップ式めっき槽
2 開口部
3 シールパッキン
4 カソード電極
5 ウエーハ
6 めっき対象面
7 周縁部
8 めっき液供給口
9 アノード電極
10 めっき液流出口
11 ウェーハ接触部
12 電極端子
13 突起部
Claims (1)
- めっき槽の開口部に配置したシールパッキンと、該シールパッキン上に載置されるウェーハとの間に配置され、ウェーハの周縁部と接触してめっき電流を供給できるようにリング状に形成されたカソード電極と、を備えるカップ式ウェーハめっき装置において、
カソード電極は、ウェーハの周縁部と接触する内周形状が鋸歯状に形成され、ウェーハの周縁部とカソード電極との接触を確実にするための接触補助部である突起が、シールパッキンと接触するカソード電極表面に設けられていることを特徴とするカップ式ウェーハめっき装置。
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