JP3794809B2 - カップ式めっき装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体用のウエーハにめっきを施す技術に関するものであり、特にカップ式めっき方法及びそれに用いるカップ式めっき装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体用のウエーハにめっきを施す方法として、カップ式めっき方法が知られている(実開平2−122067号公報や特開平5−320978号公報参照)。
【0003】
このカップ式めっき処理は、めっき槽上部へ載置されたウエーハの被めっき面に、めっき槽の下方からめっき液を上昇させて供給するとともにめっき槽に設けられためっき液流出路からめっき液を排出させながらめっきを施すもので、小ロット生産やめっき処理工程の自動化に好適なものとして広く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のカップ式めっき方法によって金属シード付きウエーハにめっき処理をすると、均一な厚みのめっきを施すことが困難な事態が生じた。それは、例えばウエーハの被めっき表面へ予めCuが被覆されているシード付きウエーハに硫酸銅溶液のめっき液で処理する場合に生じる。つまり、金属シード付きウエーハのシード金属(予め被覆された金属)とその金属を溶解しやすいめっき液との組み合わせで、従来のカップ式めっき処理を行うとめっき厚が不均一になるのである。
【0005】
これは従来のカップ式めっき処理におけるめっき液を供給する際のめっき液面状態に起因するものである。そもそもカップ式めっき装置では、めっき槽の下方よりめっき液を上昇させて供給し、上昇しためっき液がウエーハの被めっき面に接触しつつ周辺に広がる流れを形成するように、めっき液流出路を放射状にめっき槽に形成した構造としてある。そのため、めっき液供給部はめっき槽に載置されるウエーハの中心の下方位置に設けられる。このような構造であるので、めっき処理開始前にめっき液をめっき槽内へ充満させる際のめっき液面形状はめっき供給部の上方が盛り上がった山形のものとなる。
【0006】
即ち、めっき処理開始前にめっき槽内へめっき液を充満させていくと、その供給されるめっき液面の形状から、まず初めに被めっき面の中心部分にめっき液が接触することになり、めっき液の充満が進むにつれその周辺部へと液接触が広がることになる。これはめっき液に溶解しやすいシード金属が被めっき面に被覆されいる場合、被めっき面の中心部分おいて最も多くのシード金属が溶解することになり、周辺部にいくにつれその溶解量は減少することとなる。そのような状態の被めっき面にめっきを施しても均一なめっき厚みが実現できないのである。そして、半導体用のウエーハに要求されるめっき厚みは数μmレベルであるため、上述したシード金属の溶解によるめっき厚の不均一は実用上問題となることが多い。
【0007】
そこで、本発明は、従来のカップ式めっき方法を改善し、めっき液に対して溶解しやすいシード金属が被めっき面に被覆されたウエーハ、即ち金属シード付きウエーハにめっき処理する場合でも均一な厚みのめっき処理を可能とするカップ式めっき方法及びそれに用いるカップ式めっき装置を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために請求項1に記載する発明では、カップ式めっき方法について、ウエーハの被めっき面とめっき液面との接触が、めっき液面を水平に保ちながらめっき液を供給することにより、被めっき面全面でほぼ同時になるようにしてめっきを施すものとした。これによりめっき液へ溶解しやすい金属が被めっき面に被覆してあっても、めっき液によるシード金属の溶解は全面でほぼ同時に始まり、その状態でめっきを施せばめっき厚を均一にすることが可能となる。この場合においてめっき液面を水平に維持しながら供給するには、めっき液供給を緩やかに行うことで可能となるが、例えばめっき液の供給ポンプをインバータ制御し、めっき液面の水平を維持できる程度の供給量で徐々にめっき槽内を充満すればよい。
【0009】
金属シード付きウエーハに均一な厚みのめっきを施す一手段として、上記した請求項1のめっき方法があるが、この方法ではめっき液供給に時間がかかるため生産性の面で劣ることになる。つまり、生産性を向上できる程度の時間でめっき液を供給することや、より良好なめっきを実現するためにめっき槽内にある空気を十分に排出しめっき液中にバブルを残留させないようにするためには、めっき液面が盛り上がる程度の供給量が不可欠となる。そこで、本発明者は、めっき液面が盛り上がる程度のめっき液供給を行っても、被めっき面とめっき液面との接触においての接触順序によって生じる時間的な差を短縮し、金属シードの不均一溶解を防止することを考えた。
【0010】
これを実現するために請求項2記載する発明では、ウエーハの被めっき面近傍までめっき液を一旦供給し、その位置でめっき液面を維持した後、めっき槽内に残留するバブルをめっき液流出路から外部に排出するとともに被めっき面の中心部から周辺部までの接触時間の差が最短となる程度の速さでめっき液を供給してめっきを施すものとした。ここでいうウエーハの被めっき面近傍とは、初めに供給されるめっき液面が盛り上がった形状であっても被めっき面に接触することがない程度の被めっき面から離れた位置をいう。
【0011】
この請求項2に記載のカップ式めっき方法によれば、めっき液面が被めっき面近傍までめっき槽内に充満されているので、その後のめっき液供給をより速くすることで、めっき液面と被めっき面との接触は中心部と周辺部とでほとんど時間差が生じない。そのため、被めっき面に被覆された金属の溶解もほぼ均一となり、その後のめっき処理よって均一なめっき厚が実現できる。この被めっき面近傍からのめっき液供給速度は、めっき槽内に残留するバブルをめっき液流出路から外部に排出できる程度の速度である。具体的な供給速度はめっき装置の大きさによっても異なるが、本発明では、めっき槽容量2リットルの場合、被めっき面近傍までは供給量で4〜6l/minで供給し、その後の供給量は15〜30l/min程度である。
【0012】
つまり、この請求項2に記載するカップ式めっき方法であれば、請求項1の水平状態を維持してめっき液を供給する場合と異なり、被めっき面近傍まではめっき液の供給が速くできるので、均一なめっき厚を実現できることに加えめっきの処理工程時間の短縮化も図れることになる。
【0013】
さらに、めっき液面が被めっき面に接触した後一定時間めっき液中のバブルを排出する場合には、被めっき面にめっき液が接触すると同時に被めっき面へ溶解防止電流を供給することにすれば、シード金属の溶解を有効に防止することができる。めっき液に対するシード金属の溶解量は液接触からめっき処理開始までの時間により計算できるが、実際の溶解量は液供給量や液温等に影響され正確には予測しづらい。そこで、本発明のようにシード金属の溶解を完全に防止すれば、予め被めっき面に被覆されている一定厚のシード金属上に必要な厚みのめっきを施すことで、要求される最終的なめっき厚みをより精確に実現することができる。
【0014】
上述した本発明のカップ式めっき方法に用いる装置は、めっき槽の上部開口に沿って支持部が設けられるとともに、この支持部の下側位置にめっき槽の内部から外部に貫通するめっき液流出路が設けられ、さらにめっき槽の内部にめっき液供給部が設けられ、そしてめっき液供給部から上昇流で供給されるめっき液にめっき液流出路からめっき槽の外部へ流出する流れを形成させ、このめっき液に支持部に載置のウエーハの被めっき面を接触させることでめっきを施すカップ式めっき装置において、めっき液流出路が段違いに複数設けられている装置とした。このような装置であれば、最初にめっき槽内へめっき液を供給する際、めっき液面の水平維持が容易となり、また、めっき槽内の所定高さ位置でめっき液面を維持することも容易となるので、本発明のカップ式めっき方法の確実な実施が可能となる。
【0015】
従来のカップ式めっき装置では、ウエーハの支持部下側に一段のめっき液流出路が設けたのみであった。そのため、請求項1に記載するめっき液面を水平維持しながら供給して処理することや請求項2記載する被めっき面近傍までめっき液を一旦供給した後、より速く供給充満してめっき処理することを実現するためには、供給ポンプの微妙且つ適切な制御を行わなければならない。
【0016】
しかしながら、本発明のカップ式めっき装置によれば、供給するめっき液面の上昇に従ってめっき槽下方側のめっき液流出路から順次めっき液が排出されることになるので、めっき液面の水平を維持して供給する場合、その液供給量が多少変動しても上昇するめっき液面の大きな揺動が抑制され水平を維持しやすくなる。
【0017】
また、請求項2に記載する方法で、初めにめっき槽へ被めっき面近傍までめっき液を一旦供給し、その液面高さで一定時間維持するには供給ポンプの制御を微妙且つ適切に行う必要がある。しかし、本発明の装置であればその維持する液面高さに対応するめっき液流出路位置で液面維持を行うこととすれば、一段しかめっき液流出路がない従来の装置よりもポンプ制御が比較的容易になり請求項2に記載するめっき方法が簡単に実施できるようになる。さらに、供給量とその際の液面状態にあわせて適宜維持する液面高さに対応するめっき液流出路を選択できるので、請求項2に記載のめっき方法を実施するために最適な被めっき面近傍位置を容易に決めることも可能となる。
【0018】
その上、このように段違いに複数めっき液流出路を設けるとめっき液中のバブルが効率よく排出され、より良好な表面性状のめっきを施すことも可能となる。めっき処理時にはアノードから発生する気体等がめっき液中にバブルとなって流動するものであるが、このバブルは供給するめっき液の上昇流に従ってウエーハの被めっき面まで到達し周辺に広がりながらめっき液流出路から排出される。従来の一段しかないめっき液流出路でもめっき液中のバブルはある程度排出されるが、めっき槽内での液対流による液巻き込み状態の場所にはバブルが残留しやすく、その残留するバブルがめっき性状に影響を与える傾向があった。ところが、本発明のように段違いに複数めっき液流出路を設けるとウエーハの支持部直下に設けられためっき槽内の最上位置のめっき液流出路から従来と同様にバブルが排出され、その下方に設けらている複数のめっき液流出路からのめっき液排出により、めっき槽内の液対流が変化しめっき液に巻き込まれて残留しやすいバブルの排出も可能となる。よって、従来の装置に比べるとめっき液中に残留するバブルをより低減できるので、良好な表面性状のめっき処理が可能となる。
【0019】
この段違いに複数のめっき液流出路はどのように設けてもよいが、好ましくは上下二段のめっき液流出路とし、上めっき液流出路と下めっき液流出路との断面積の比率が2:1とするほうがよい。このようにすれば、従来のカップ式めっき装置におけるめっき槽にもう一段めっき液流出路を設けることで簡単に本発明によるめっき方法に対応できる。また、上めっき液流出路を下めっき液流出路の2倍の断面積とするとめっき液中のバブルが効率的に排出され良好な表面性状のめっき処理が可能となる。
【0020】
さらに本発明のカップ式めっき装置ではバブルの排出をより効率よくするために、ウエーハの支持部内周面の断面形状を支持されたウエーハの被めっき面から続く略円弧状になるように形成するものとした。載置されたウエーハの被めっき面とめっき槽の支持部内周面で形成される角の部分にはめっき液の排出流れに従いバブルの集中が生じやすい。特に、その角の部分が角形であるとバブルが溜まり易く排出されにくい。そこで支持部内周面の断面形状をウエーハの被めっき面から続く略円弧状にするとバブルが滞留することなくスムーズにめっき液の排出流れに沿って排出される。これによりウエーハの被めっき面円周端部まで均一なめっき処理が可能となり歩留向上が図れることになる。ここでいうウエーハの支持部とは、ウエーハが直接載置されるシールパッキンとそのシールパッキンが組み込まれるめっき槽上方開口部とからなるもので、言い換えると、ウエーハの被めっき面とめっき槽の最上に設けられるめっき液流出路との間に挟まれる部分のことをいう。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を説明する。図1に本実施形態によるカップ式めっき装置のめっき槽断面を簡略化して示してある。図1に見られるように、本実施形態では、めっき槽1(液容量2リットル)の上部開口に沿って支持部2が設けられ、この支持部2の下側位置にめっき槽の内部から外部に貫通する放射状の上下めっき液流出路3、4が設けられている。そしてめっき槽1の内部にめっき液供給部5があり、そしてめっき液供給部5から上昇流で供給されるめっき液にめっき液流出路3、4からめっき槽の外部へ流出する流れ(図1中に示す二点差線で表示)を形成させ、このめっき液に支持部2に載置のウエーハ6の被めっき面7を接触させることでめっきを施すものとしている。また、ウエーハ6の被めっき面7とアノード8とには、図示せぬめっき電流供給装置が接続されており、それとは別に被めっき面7とアノード8との導通が生じると自動的に作動する溶解防止電流供給装置(図示せぬ)も接続してある。
【0022】
本実施形態では、Cuシード付きウエーハに硫酸銅溶液によるCuめっき処理を行う場合を示すが、そのめっき処理手順は次のように行った。まず、厚さ0.1μmのCuが被めっき面7に予め施さている、直径200mmのウエーハ6を支持部2に載置した。そして、めっき槽1上方に備えられた上下動可能な押圧体9によりその載置したウエーハ6を押圧固定した。
【0023】
このウエーハ6のセット後、図示せぬめっき液供給ポンプを作動させめっき供給部5よりめっき液を充満した。初めの供給量は5l/minで下めっき液流出路4まで供給した。このとき、めっき液面は若干山形となった状態で上昇したが、下めっき液流出路4まではその液面形状であっても被めっき面7にめっき液が接触することは生じなかった。さらに、下めっき液流出路4からめっき液が排出されるようになるとめっき液面はほぼ水平に維持された。
【0024】
下めっき液流出路4までめっき液が供給した後、めっき液供給量を30l/minとしてさらにめっき液を供給充満させた。このめっき液供給量の増加により、ウエーハ6の被めっき面7とめっき液面との接触をより速く全面に行え、めっき槽1内の空気も上めっき液流出路3から排出され、さらにめっき液中に残留するバブルも効率よく排出された。そして、めっき液中のバブルを排出するため、5秒間めっき電流を流すことなくその供給状態を維持した後、供給量を20l/minに落とした後めっき電流の供給を開始してCuめっきを施した。
【0025】
また、本実施形態の装置ではめっき液とウエーハ6の被めっき面7との接触が全面でほぼ同時になるように、めっき液面を水平に維持しながら徐々に供給できるよう図示せぬ供給ポンプをインバータ制御できるようにした。この場合のめっき手順は、めっき液が被めっき面全面に接触するまで、ポンプ出力の調整により供給量3l/min程度で液面を水平に維持し、めっき槽内を充満させた。そして、めっき液が被めっき面に全面接触した後、めっき液供給量20l/minまで増加するとともにめっき電流を供給してめっきを施した。
【0026】
本実施形態での上めっき液流出路3の断面高さは2mm、下めっき液流出路4の断面高さは1mmで形成しており、断面積比率が2:1となる。この場合の上下のめっき液流出路3,4から排出される液量比も2:1となり、めっき処理中にアノード9から発生するバブルは、主に上めっき液流出路3から排出され、めっき液の液対流による巻き込み場所に残りやすいバブルは下めっき液流出路4への排出流れに従って効率よく排出された。
【0027】
さらに、めっき槽1上方開口に沿って設けられているウエーハ6の支持部2内周面の断面形状Aは、そのA部を拡大して示した図2のようになっている。この支持部2は、めっき液漏れ防止用のシールパッキン10とそのシールパッキン10が組み込まれるめっき槽開口部11とからなっている。この支持部2内周面の断面形状が、ウエーハ6をセットしたときに被めっき面7からシールパッキン10及びめっき槽開口部11に続く角部が、図2に示すように被めっき面7から続く略円弧状となるように、言い換えるとあたかもR加工されたように、シールパッキン10とめっき槽開口部11との内周面に所定の面取り加工を施した。これにより、セットしたウエーハ6の被めっき面7とめっき槽1の支持部2内周面で形成される角の部分へ集中して流れてくるバブルも滞留させることなくスムーズに排出された。
【0028】
以上の説明した2つのめっき方法による処理の結果は、ともに均一な厚みを有したCuめっきが施されていた。特に、従来のカップ式めっき装置及び従来のカップ式めっき方法で生じていたウエーハ中心部と周辺部とのめっき厚の不均一は確認されなかった。また、被めっき面の円周端部付近まで均一なめっき厚を有し
たものが得られ、めっき表面性状も良好なものであった。
【0029】
【発明の効果】
このように本発明によれば、めっき液に溶解しやすい金属シード付きウエーハであっても、カップ式めっき方法でより均一な厚みでめっきを施すことが可能となり、得られるめっきの表面性状も良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態によるカップ式めっき装置のめっき槽断面概略図。
【図2】図1における支持部Aの拡大断面図。
【符号の説明】
1 めっき槽
2 支持部
3 上めっき液流出路
4 下めっき液流出路
5 めっき液供給部
6 ウエーハ
7 被めっき面
8 アノード
9 押圧体
10 パッキン
11 めっき槽開口部
Claims (2)
- めっき槽の上部開口に沿って支持部が設けられるとともに、この支持部の下側位置にめっき槽の内部から外部に貫通するめっき液流出路が設けられ、さらにめっき槽の内部にめっき液供給部が設けられ、そしてめっき液供給部から上昇流で供給されるめっき液にめっき液流出路からめっき槽の外部へ流出する流れを形成させ、このめっき液に支持部に載置のウエーハの被めっき面を接触させることでめっきを施すカップ式めっき装置において、
めっき液流出路は二段に設けられ、上めっき液流出路と下めっき液流出路との断面積の比率が2:1であることを特徴とするカップ式めっき装置。 - ウエーハの支持部内周面の断面形状は、支持されたウエーハの被めっき面から続く略円弧状になるように形成した請求項1に記載のカップ式めっき装置。
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