JP4546449B2 - 車両のスタータモータ制御装置 - Google Patents

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本発明は、エンジンを始動するスタータモータと、運転者により操作されるスタータスイッチと、前記スタータスイッチの操作に基づいて前記スタータモータを作動させる制御手段とを備えた車両のスタータモータ制御装置に関する。
一般的に、車両のキースイッチにはロータリスイッチが用いられており、対応するキーを挿入して回転させることで電源状態を切り換えるようになっている。例えば、キーを挿入しただけのOFF位置からキーを右に回転させると音響機器等に給電するACC位置(アクセサリ位置)に切り換わり、そこからキーを更に右に回転させるとエンジンの運転状態を維持するON位置(イグニッションON位置)に切り換わり、そこからキーを更に右に回転させると、キーをその位置に保持している間スタータモータが作動するST位置(始動位置)に切り換わる。
エンジンの始動後にキーから手を離すと、キーは自動的にST位置からON位置に戻り、そこからキーを左に回転させるとACC位置に切り換わってエンジンが停止し、そこからキーを更に左に回転させるとOFF位置に切り換わってキーを抜くことが可能となる。従って、キーを抜いた状態では電源状態は必ずOFF位置になり、ACC位置のままになることはない。
上記従来のキースイッチを用いずに、押しボタンスイッチの操作で電源状態を切り換える車両の電源制御装置が、下記特許文献1により公知である。この車両の電源制御装置は、チップカードやトランスポンダのような認証素子を携行した運転者の操作により作動する押しボタンスイッチを備えており、OFF位置から押しボタンスイッチを押すとACC位置に切り換わり、ACC位置から押しボタンスイッチを押すとON位置に切り換わり、ON位置から押しボタンスイッチを押し続ける状態がST位置となり、ST位置から押しボタンスイッチを離すとON位置に切り変わり、ON位置から押しボタンスイッチを押すとACC位置に切り換わり、ACC位置から押しボタンスイッチを押すとOFF位置に切り換わるようになっている。
特開2000−85533号公報
ところで、この種の押しボタンスイッチを用いてスタータモータを作動させるとき、車両の飛び出しを防止するために、「ブレーキペダルが踏まれていること」および「シフトポジションがパーキングポジション(あるいはニュートラルポジション)にあること」の二つの条件が満たされないと、スタータモータの作動が禁止されるようになっている。
しかしながら、ブレーキペダルが踏まれていることを検知するブレーキスイッチが故障した場合、電子制御ユニットが「ブレーキペダルが踏まれていること」を確認できないため、実際にはブレーキペダルが踏まれていてもスタータモータの作動が禁止されてしまう可能性がある。このような不具合を解消するために、ブレーキスイッチの故障時に異常を報知する警報を発するだけでスタータモータの作動を可能にしてしまうと、ブレーキスイッチを修理しなくても車両の運転が継続して可能になるために、運転者がブレーキスイッチの修理を速やかに行わない可能性がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車両に搭載される機器に異常が発生したとき、利便性を大幅に損なわない程度の違和感を運転者に与えて修理を促すことを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンを始動するスタータモータと、運転者により操作されるスタータスイッチと、前記スタータスイッチの操作に基づいて前記スタータモータを作動させる制御手段とを備えた車両のスタータモータ制御装置であって、前記制御手段、車両に搭載される機器の異常を検知する異常検知手段と、前記異常検知手段が異常を検知したときに、前記スタータスイッチの操作後に所定の遅延時間が経過してから前記スタータモータを作動させる遅延手段とを備えたものにおいて、前記制御手段は、前記異常検知手段が異常を検知した回数を記憶する記憶手段を備え、前記遅延手段は、前記記憶手段に記憶された異常の検知回数の増加に応じて前記遅延時間を延長することを特徴とする車両のスタータモータ制御装置が提案される。
尚、実施の形態の電子制御ユニット15は本発明の制御手段に対応し、実施の形態の押しボタンスイッチ16は本発明のスタータスイッチに対応し、実施の形態のブレーキスイッチ17は本発明の車両に搭載される機器に対応する。
本発明によれば、運転者によるスタータスイッチの操作に基づいて制御手段がスタータモータを作動させてエンジンを始動する際に、異常検知手段が車両に搭載される機器の異常を検知すると、運転者がスタータスイッチを操作しても即座にスタータモータが作動せず、遅延手段が設定する所定の遅延時間が経過してからスタータモータが作動するので、利便性を大幅に損なわない程度の違和感を運転者に与えて車両に搭載される機器の修理を促すことができる。
また特に異常検知手段が異常を検知した回数を記憶手段に記憶しておき、記憶された異常の検知回数の増加に応じて遅延手段が遅延時間を延長するので、運転者が異常部分を修理せずに放置しておくと、エンジン始動時の違和感が次第に強まることで運転者に修理を強く促すことができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図5は本発明の実施の形態を示すもので、図1は車両のスタータモータ制御装置の構成を示すブロック図、図2は押しボタンスイッチの機能の説明図、図3は正常時におけるエンジン始動の作用を説明するタイムチャート、図4は異常時におけるエンジン始動の作用を説明するタイムチャート(その1)、図5は異常時におけるエンジン始動の作用を説明するタイムチャート(その2)である。
図1に示すように、車両は走行維持に不可欠なエンジンの点火制御装置、オートマチックトランスミッションの変速制御装置等の第1装置群11と、第1装置群11以外の音響機器、空調機器、ナビゲーションシステム、パワーウインドウ、パワーシート等の第2装置群12とを備えており、これら第1、第2装置群11,12にはバッテリ13から切換手段14を介して給電される。切換手段14は、第1装置群11および第2装置群12の両方に同時に給電する第1電源状態A(ON位置)と、第2装置群12に対してのみ給電する第2電源状態B(ACC位置)と、第1装置群11および第2装置群12に対する給電を遮断する第3電源状態C(OFF位置)とを選択可能である。
電子制御ユニット15には、運転者により操作される押しボタンスイッチ16と、運転者によるブレーキペダルの踏み込みを検知するブレーキスイッチ17と、オートマチックトランスミッションのパーキングポジションを検知するパーキングポジションセンサ18とが接続されており、それら押しボタンスイッチ16、ブレーキスイッチ17およびパーキングポジションセンサ18からの信号に基づいて、電子制御ユニット15は切換手段14、スタータモータ20および報知手段21(ブザーやランプ)の作動を制御する。電子制御ユニット15は、ブレーキスイッチ17のような車両搭載機器の故障を検知して報知手段21を作動させる異常検知手段22と、異常検知手段22が検知した異常の積算回数を記憶する記憶手段23と、記憶手段23に記憶された異常の積算回数に応じて、押しボタンスイッチ16が押されてからスタータモータ20が作動するまでの時間(遅延時間)を設定する遅延手段24とを備える。
図2は、第1電源状態A、第2電源状態Bおよび第3電源状態Cを切り換える押しボタンスイッチ16の機能を示すもので、第1装置群11および第2装置群12に対する給電を遮断する第3電源状態C(OFF位置)から押しボタンスイッチ16を押すと、第2装置群12に対してのみ給電する第2電源状態B(ACC位置)に切り換わり、第2電源状態Bから押しボタンスイッチ16を押すと第1装置群11および第2装置群12の両方に給電する第1電源状態A(ON位置)に切り換わる。第1電源状態Aから押しボタンスイッチ16を押し続けると、その間スタータモータ20が作動してエンジンを始動することができる(ST位置)。
但し、第2電源状態Bにおいてオートマチックトランスミッションのシフトポジションがパーキングポジションにない場合には、押しボタンスイッチ16を押しても第1電源状態Aに切り換わらず、第2電源状態Bに維持される。また第1電源状態Aにおいて、オートマチックトランスミッションのシフトポジションがパーキングポジションにない場合や、ブレーキスイッチ17がOFFしている場合には、車両の飛び出しを防止するために押しボタンスイッチ16を押し続けてもスタータモータ20は作動しない。そして異常検知手段22によりブレーキスイッチ17の異常が検知された場合には、押しボタンスイッチ16を押すと所定の遅延時間が経過してからスタータモータ20が作動する。その制御の詳細は後から詳述する。
エンジンが始動した後に押しボタンスイッチ16を離すと自動的に第1電源状態Aに復帰し、第1電源状態Aから押しボタンスイッチを押すと第2電源状態Bに切り換わり、第2電源状態Bから押しボタンスイッチ16を押すと、オートマチックトランスミッションのシフトポジションがパーキングポジションにある場合には第3電源状態Cに切り換わり、シフトポジションがパーキングポジションにない場合には第2電源状態Bを継続する。また第1電源状態Aから押しボタンスイッチを押すと、オートマチックトランスミッションのシフトポジションがパーキングポジションにあり、かつ車両が停止している(車速0km/h)場合には、第2電源状態Bを飛び越して第3電源状態Cに切り換わる。
これら第1電源状態A、第2電源状態Bおよび第3電源状態Cの切り換えは、押しボタンスイッチ16からの信号を受けた電子制御ユニット15が切換手段14を作動させることで行われる。
さて、第1電源状態Aにおいて、運転者がブレーキペダルを踏んでブレーキスイッチ17がONしており、かつパーキングポジションセンサ18がパーキングポジションを検知しているときに押しボタンスイッチ16を押すと、押しボタンスイッチ16を押している間だけスタータモータ20が作動してエンジンが始動する。この場合、仮にブレーキスイッチ17が故障していたとすると、運転者がブレーキペダルを踏んでいるのか踏んでいないのか判断できなくなる。このときスタータモータ20の作動を一律に禁止すると、オートマチックトランスミッションがパーキングポジションにあって車両が飛び出す虞がないにも関わらず,エンジンの始動が不能になって利便性が著しく損なわれてしまう。
そこで本実施の形態では、異常検知手段22がブレーキスイッチ17の異常を検知すると、報知手段21を作動させて運転者にブレーキスイッチ17の異常を報知するとともに、押しボタンスイッチ16を押しても即座にスタータモータ20を作動させず、遅延手段24が所定の遅延時間が経過してからスタータモータ20を作動すさせる。そのため、運転者は違和感を覚えて異常の発生を強く認識することになり、ブレーキスイッチ17の修理が促される。
異常検知手段22が異常が検知する度に記憶手段23が異常の積算回数を記憶し、その回数が増加するのに応して遅延手段24による遅延時間が延長される。これにより、ブレーキスイッチ17の修理が即座に行われない場合、エンジンを始動する度に押しボタンスイッチ16を押してからスタータモータ20が作動するまでの遅延時間が次第に増加することで、運転者の違和感を高めて修理をより強く促すことができる。
上記作用の一例を図3〜図5のタイムチャートに基づいて説明する。
図3のタイムチャートは、ブレーキスイッチ17が正常な場合の作用を示すものである。電源状態が第1電源状態Aにあり、かつオートマチックトランスミッションがパーキングポジションにある場合に、時刻t1に運転者がブレーキペダルを踏んでブレーキスイッチ17がONした状態で、時刻t2に押しボタンスイッチ16を押すとスタータモータ20が即座に作動し、時刻t3にエンジンが始動する。その後、時刻t4に押しボタンスイッチ16を離すとスタータモータ20が停止する。
図4のタイムチャートは、ブレーキスイッチ17がONしない異常な場合であって、記憶手段23に記憶されている異常検知の回数が1回(最初の異常検知)の場合の作用を示すものである。電源状態が第1電源状態Aにあり、かつオートマチックトランスミッションがパーキングポジションにある場合に、時刻t1に運転者がブレーキペダルを踏んでもブレーキスイッチ17がOFFしたままであると、異常検知手段22が異常を検知して報知手段21を作動させて運転者に報知を行う。この状態から時刻t2に押しボタンスイッチ16を押すとスタータモータ20は即座に作動せず、1秒遅延した時刻t5になってスタータモータ20が作動して時刻t6にエンジンが始動する。その後、時刻t7に押しボタンスイッチ16を離すとスタータモータ20が停止する。
図5のタイムチャートは、ブレーキスイッチ17がONしない異常な場合であって、記憶手段23に記憶されている異常検知の回数がN回の場合の作用を示すものである。電源状態が第1電源状態Aにあり、かつオートマチックトランスミッションがパーキングポジションにある場合に、時刻t1に運転者がブレーキペダルを踏んでもブレーキスイッチ17がOFFしたままであると、異常検知手段22が異常を検知して報知手段21を作動させて運転者に報知を行う。この状態から時刻t2に押しボタンスイッチ16を押すとスタータモータ20は即座に作動せず、N秒遅延した時刻t5′になってスタータモータ20が作動して時刻t6′にエンジンが始動する。その後、時刻t7′に押しボタンスイッチ16を離すとスタータモータ20が停止する。
このように、記憶手段23に記憶されている異常検知の回数が1回増加する毎に、遅延手段24によるスタータモータ20の作動の遅延時間が1秒ずつ増加するので、エンジンの始動時に運転者が受ける違和感が次第に強まり、かつ利便性も低下するため、異常部分の修理を強く促すことができる。尚、遅延時間の最大値は20秒に制限される。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では、本発明のスタータスイッチとして押しボタンスイッチ16を例示したが、スタータスイッチの形態は押しボタンスイッチ16に限定されるものではない。
また実施の形態では異常検知手段22がブレーキスイッチ17の異常を検知しているが、本発明はブレーキスイッチ17以外の任意の車載機器の異常を検知して修理を促すことができる。
車両のスタータモータ制御装置の構成を示すブロック図 押しボタンスイッチの機能の説明図 正常時におけるエンジン始動の作用を説明するタイムチャート 異常時におけるエンジン始動の作用を説明するタイムチャート(その1) 異常時におけるエンジン始動の作用を説明するタイムチャート(その2)
15 電子制御ユニット(制御手段)
16 押しボタンスイッチ(スタータスイッチ)
17 ブレーキスイッチ(車両に搭載される機器)
20 スタータモータ
22 異常検知手段
23 記憶手段
24 遅延手段

Claims (1)

  1. エンジンを始動するスタータモータ(20)と、
    運転者により操作されるスタータスイッチ(16)と、
    前記スタータスイッチ(16)の操作に基づいて前記スタータモータ(20)を作動させる制御手段(15)と備えた車両のスタータモータ制御装置であって、
    前記制御手段(15)、車両に搭載される機器(17)の異常を検知する異常検知手段(22)と、前記異常検知手段(22)が異常を検知したときに、前記スタータスイッチ(16)の操作後に所定の遅延時間が経過してから前記スタータモータ(20)を作動させる遅延手段(24)とを備えたものにおいて、
    前記制御手段(15)は、前記異常検知手段(22)が異常を検知した回数を記憶する記憶手段(23)を備え、
    前記遅延手段(24)は、前記記憶手段(23)に記憶された異常の検知回数の増加に応じて前記遅延時間を延長することを特徴とする、車両のスタータモータ制御装置。
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