JP4544906B2 - 固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Description
この固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質の一側にカソードとなる空気極を、他側にアノードとなる燃料極を配したセルを用い、カソードに空気等の酸化剤ガスを、アノードに水素リッチな燃料ガスをそれぞれ供給し、水素と酸素から水を得る以下の電池反応によって起電力を得ている。
H2 → 2H+ + 2e− (アノード反応)
2H+ + 1/2O2 + 2e− → H2O (カソード反応)
また、接続部において凝縮した凝縮水がガス流れ中に滞留すると、燃料ガス流れを阻害してしまう。
さらに、接続部に生じる凝縮水によって下流側の積層体の動作が不安定になるという問題がある。
すなわち、本発明にかかる固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質の両側にそれぞれ燃料電極および酸化剤電極が配置され、これら電極の外側にセパレータが配置された単位セルが複数積層された積層体が、接続部を介して複数配置され、前記接続部には燃料ガスが流れる燃料ガス流路および/または酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス流路が設けられ、これらガス流路を通って燃料ガスおよび/または酸化剤ガスが各前記積層体内を順次流れる固体高分子形燃料電池において、前記接続部は、前記積層体間に配置された中間フランジとされ、該中間フランジには、前記燃料ガス流路および/または酸化剤ガス流路を流れるガスから凝縮した凝縮水を除去する凝縮水除去手段が設けられていることを特徴とする。
また、接続部に凝縮水除去手段を設けることとしたので、凝縮水を除去する機能を備えた燃料電池をコンパクトに構成することができる。
また、凝縮水は下方へと流れるので、下方に凝縮水を貯留させることができ、簡便に貯留水を外部に排出することができる。
温度調節を行う具体的構成としては、例えば、積層体に流れる冷却水流路と並列に接続部にも冷却水流路を設ける構成が挙げられる。
積層体に供給される冷却水の温度は、例えば、60〜70℃とされる。
図1には、本実施形態にかかる固体高分子形燃料電池1の概略を示した斜視図が示されている。この固体高分子形燃料電池1は、横置型とされており、上流ユニット(積層体)3と、下流ユニット(積層体)5と、これらユニット3,5を接続する中間フランジ(接続部)7とを備えている。
このように流路が形成された燃料用セパレータを積層することにより、燃料ガスの流路は、図1(a)に示すように、上流ユニット3の上方角部に設けられた燃料ガス入口10を有して積層方向に水平に延在する上流ユニット入口ヘッダ11と、上流ユニット3の下方角部に設けられて積層方向に水平に延在する上流ユニット出口ヘッダ12とを備えている。これらヘッダ11,12間は、各燃料用セパレータ9に形成された蛇行状の流路11aによって接続されている。
下流ユニット5における燃料ガスの流路は、図1(a)に示すように、下流ユニット5の上方角部に設けられて積層方向に水平に延在する下流ユニット入口ヘッダ13と、下流ユニット5の下方角部に設けられて積層方向に水平に延在する下流ユニット出口ヘッダ14とを備えている。これらヘッダ13,14間は、各燃料用セパレータ9に形成された蛇行状の流路11aによって接続されている。
下方流路20aには、その下部に貯留した凝縮水を外部へと放出する排水手段(貯留水排出手段)23が設けられている。この排水手段23には、自動弁23aが設けられており、下方流路20aに貯留した凝縮水の水位に応じて自動的に開弁して凝縮水を排出するようになっている。
接続流路20cは、燃料ガス流れからみて、下方から上方へと斜めに延在するように形成されている。また、接続流路20cには、その途中にフィルタ25が設けられている。このフィルタ25は、燃料ガスとともに飛散してくる不純物を除去するものである。不純物としては、燃料電池の構成材となるカーボンや電極触媒からの離脱物が挙げられる。
図2(b)に示すように、上流ユニット3および下流ユニット5の燃料用および空気用セパレータの表面には、冷却水流路30が蛇行状に形成されている。この冷却水流路30は、燃料ガスまたは空気のための流路が形成されたセパレータの面とは反対側の面(背面)に形成されている。
なお、燃料用セパレータ9および空気用セパレータのそれぞれの背面同士が当接した状態で組み立てられるので、いずれか一方に冷却水流路30を設けても良いし、両者に冷却水流路30を独立して設けても良いし、あるいは、両者に設けた冷却水用の溝をそれぞれ合わせることによって共通の冷却水流路30を形成するようにしても良い。
中間フランジ本体7bに接触した状態で配置される板状体7aの表面には、冷却水流路30が形成されている。ただし、冷却水流路30は、中間フランジ本体7bに形成された燃料ガス流路20とは干渉(連通)しないように形成されている。この冷却水流路30を通り、冷却水入口ヘッダ17から流れ込んだ冷却水が冷却水出口ヘッダ18へと導かれる。図3では、並列に配置された複数の直線状の溝によって冷却水流路30が形成されているが、燃料用セパレータや空気用セパレータに形成された冷却水流路と同様に、蛇行状の流路としても良い。
一方、燃料ガス用ヘッダ11,12の対称位置には、空気用の入口ヘッダ32及び出口ヘッダ33が形成されている。これらヘッダ32,33は、燃料用セパレータ、板状体7a及び中間フランジ7を貫通した状態で形成されている。
このように、中間フランジ7には、上流ユニット3及び下流ユニット5を流れる冷却水と並列的に略同じ温度の冷却水が流されるようになっているので、中間フランジ7は上流ユニット3及び下流ユニット5と略同一温度が保たれるようになっている。
なお、図1(b)に、燃料用セパレータ9に形成された空気用ヘッダ32,33を示す。
燃料ガスは、燃料ガス入口10から上流ユニット3内へと供給され、上流ユニット入口ヘッダ11へと導かれる。その後、上流ユニット入口ヘッダ11から各燃料用セパレータ9に形成された蛇行状の流路に沿って上流ユニット出口ヘッダ12へと流れる。各燃料用セパレータ9を流れる際に、燃料電極との間でアノード反応が行われる。一方、空気についても同様に上流ユニット3の酸素用セパレータに形成された蛇行状の酸素用流路に沿って流され、酸化剤電極との間でカソード反応が行われる。これらの反応が行われるとともに、固体高分子膜を水素イオンが移動することによって、電池反応が行われる。
接続流路20cの内壁を伝って下方へと流れた凝縮水は、下方流路20aの底部に貯留する。貯留した凝縮水は、排水手段23によって外部へと排出される。排水手段23には、自動弁23が設けられているので、貯留した凝縮水の水位に応じて自動的に排出される。
また、中間フランジ7は、冷却水が流されているので、上流ユニット3と略同じ温度に保たれている。したがって、上流ユニット3を通過した燃料ガスが中間フランジ7を通過する際に冷やされて必要以上に凝縮水が発生することを防止している。
燃料ガスは、下流ユニット出口ヘッダ14へと流れた後、外部へと排出される。
上下方向に配置した接続流路20cによって凝縮水を内壁に付着させた後に下方へと流すこととしたので、中間フランジ7の下流側に設けられた下流ユニット5に凝縮水が飛散したり流れ込んだりすることがない。したがって、凝縮水によって下流ユニット5のセル電圧が変動し、動作が不安定になることがない。
また、接続流路20cを上下方向に配置することによって燃料ガスが上方へ向かうように流路が配置されているので、凝縮水は、重力によってガス流れとは反対の下方へと流れ、燃料ガスの流れと反対方向に流れることになる。したがって、燃料ガスの流れに伴って下流ユニット5に凝縮水が飛散することがない。
また、中間フランジ7の水素ガス含有流路20を上下方向に配置するという簡便な構成で凝縮水除去手段を構成することとしたので、コンパクトな構成が実現される。
例えば、図4に示すように、縦置型としてもよい。このように縦置型とした場合、中間フランジ7に設けた燃料ガス流路20の接続流路20cは、上流側(図において右方)から下流側(図において左方)に行くに従い、下方から上方になるように傾けて配置されている。これにより、接続流路20cの内壁に付着した凝縮水は下方へと導かれる。
3 上流ユニット(積層体)
5 下流ユニット(積層体)
7 中間フランジ(接続部)
9 セパレータ
20 燃料ガス流路
Claims (4)
- 固体高分子電解質の両側にそれぞれ燃料電極および酸化剤電極が配置され、これら電極の外側にセパレータが配置された単位セルが複数積層された積層体が、接続部を介して複数配置され、前記接続部には燃料ガスが流れる燃料ガス流路および/または酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス流路が設けられ、これらガス流路を通って燃料ガスおよび/または酸化剤ガスが各前記積層体内を順次流れる固体高分子形燃料電池において、
前記接続部は、前記積層体間に配置された中間フランジとされ、
該中間フランジには、前記燃料ガス流路および/または酸化剤ガス流路を流れるガスから凝縮した凝縮水を除去する凝縮水除去手段が設けられ、
前記凝縮水除去手段は、内部を流れるガスが上方へ向かうように配置された前記燃料ガス流路および/または酸化剤ガス流路とされていることを特徴とする固体高分子形燃料電池。 - 前記凝縮水除去手段は、貯留した凝縮水を外部へ排出する貯留水排出手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の固体高分子形燃料電池。
- 前記燃料ガス流路および/または酸化剤ガス流路には、フィルタが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池。
- 前記各積層体には、各前記単位セルを冷却するための冷却水が流通する冷却水流路が設けられており、
前記接続部は、前記冷却水によって温度調節されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
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