以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態に係る冷凍装置(10)は、コンビニエンスストア等に設けられ、冷蔵庫および冷凍庫の冷却と、室内の空調とを同時に行うものである。
図1に示すように、冷凍装置(10)は、室外ユニット(11)と、空調ユニット(12)と、冷蔵ショーケース(13)と、冷凍ショーケース(14)とを備えている。室外ユニット(11)には、熱源側回路を構成する室外回路(40)が設けられている。空調ユニット(12)には、第1利用側回路を構成する空調回路(70)が設けられている。冷蔵ショーケース(13)には、第2利用側回路を構成する冷蔵回路(80)が設けられている。冷凍ショーケース(14)には、第3利用側回路を構成する冷凍回路(90)が設けられている。この冷凍装置(1)では、室外回路(40)に対して複数の利用側回路(70,80,90)が並列に接続されることで、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)が構成されている。そして、本実施形態では、空調回路(70)が第1利用系統を、冷蔵回路(80)および冷凍回路(90)が第2利用系統をそれぞれ構成している。
上記室外回路(40)と各利用側回路(70,80,90)は、液側連絡配管(31)と第1ガス側連絡配管(32)と第2ガス側連絡配管(33)とによって互いに接続されている。液側連絡配管(31)の一端は、室外回路(40)の液側閉鎖弁(21)に接続されている。液側連絡配管(31)の他端は、第1液分岐管(31a)、第2液分岐管(31b)および第3液分岐管(31c)の3つに分岐しており、第1液分岐管(31a)が空調回路(70)に、第2液分岐管(31b)が冷蔵回路(80)に、第3液分岐管(31c)が冷凍回路(90)にそれぞれ接続されている。第1ガス側連絡配管(32)は、一端が室外回路(40)の第1ガス側閉鎖弁(22)に接続され、他端が空調回路(70)に接続されている。第2ガス側連絡配管(33)の一端は、室外回路(40)の第2ガス側閉鎖弁(23)に接続されている。第2ガス側連絡配管(33)の他端は、第1ガス分岐管(33a)および第2ガス分岐管(33b)の2つに分岐しており、第1ガス分岐管(33a)が冷蔵回路(80)に、第2ガス分岐管(33b)が冷凍回路(90)にそれぞれ接続されている。
〈室外ユニット〉
上記室外ユニット(11)の室外回路(40)には、第1から第3までの3台の圧縮機(41,42,43)と、室外熱交換器(44)と、レシーバ(45)と、室外膨張弁(46)と、第1から第3までの3つの四路切換弁(47,48,49)とが設けられている。
上記各圧縮機(41,42,43)は、高圧ドーム式のスクロール型圧縮機で構成されている。第1圧縮機(41)は、可変容量式の圧縮機を構成している。つまり、第1圧縮機(41)は、インバータ制御によって回転速度が可変に構成されている。一方、第2圧縮機(42)および第3圧縮機(43)は、回転速度が一定の固定容量式の圧縮機を構成している。
上記各圧縮機(41,42,43)は、冷凍装置(10)の圧縮機構を構成し、該圧縮機構は、第1利用系統の圧縮機構と、第2利用系統の圧縮機構とから構成されている。具体的に、第1圧縮機(41)は、冷蔵・冷凍用の第2利用系統に固定的に用いられ、第3圧縮機(43)は、空調用の第1利用系統に固定的に用いられる。一方、第2圧縮機(42)は、第1利用系統と第2利用系統に切り換えて用いられ、第1利用系統および第2利用系統の応援用の圧縮機を構成している。
上記第1圧縮機(41)の吸入側には、第1吸入管(51)の一端が接続されている。第1吸入管(51)の他端は、上記第2ガス側閉鎖弁(23)に接続されている。第2圧縮機(42)の吸入側には、第2吸入管(52)の一端が接続されている。第2吸入管(52)の他端は、上記第3四路切換弁(49)に接続されている。第3圧縮機(43)の吸入側には、第3吸入管(53)の一端が接続されている。第3吸入管(53)の他端は、上記第2四路切換弁(48)に接続されている。
上記第1圧縮機(41)の吐出側には、第1吐出管(54)が接続されている。第1吐出管(54)の他端は、吐出配管(57)を介して上記第1四路切換弁(47)に接続されている。第2圧縮機(42)の吐出側には、第2吐出管(55)が接続されている。第2吐出管(55)の他端は、吐出配管(57)に接続されている。第3圧縮機(43)の吐出側には、第3吐出管(56)が接続されている。第3吐出管(56)の他端は、吐出配管(57)の途中に接続されている。
上記室外熱交換器(44)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、熱源側熱交換器を構成している。室外熱交換器(44)の近傍には、室外ファン(50)が設けられている。この室外熱交換器(44)では、室外ファン(50)が送風する室外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。室外熱交換器(44)の一端は、第1四路切換弁(47)に接続されている。室外熱交換器(44)の他端は、第1液管(58)を介して上記レシーバ(45)の頂部に接続されている。レシーバ(45)の底部は、第2液管(59)を介して液側閉鎖弁(21)に接続されている。
上記第1液管(58)の途中には、第1バイパス管(60)および第2バイパス管(61)の一端がそれぞれ接続されている。第1バイパス管(60)および第2バイパス管(62)の他端は、第2液管(59)にそれぞれ接続されている。第1バイパス管(60)には、室外膨張弁(46)が設けられている。室外膨張弁(46)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成されている。第2バイパス管(61)の途中には、液インジェクション管(62)の一端が接続されている。液インジェクション管(62)の他端は、上記第1吸入管(51)の途中に接続されている。また、液インジェクション管(62)には、開度が調節可能な流量調整弁(63)が設けられている。
上記各四路切換弁(47,48,49)は、第1から第4までのポートを備えている。第1四路切換弁(47)では、第1ポートが吐出配管(57)に、第2ポートが第2四路切換弁(48)の第4ポートに、第3ポートが室外熱交換器(44)に、第4ポートが第1ガス側閉鎖弁(22)にそれぞれ接続されている。第2四路切換弁(48)では、第1ポートが第3吐出管(56)に、第2ポートが第3吸入管(53)にそれぞれ接続される一方、第3ポートは閉鎖されている。第3四路切換弁(49)では、第1ポートが閉鎖される一方、第2ポートが第2吸入管(52)に、第3ポートが第3吸入管(53)に、第4ポートが第1吸入管(51)にそれぞれ接続されている。
上記各四路切換弁(47,48,49)は、第1ポートと第3ポートが互いに連通し且つ第2ポートと第4ポートが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートが互いに連通し且つ第2ポートと第3ポートが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とにそれぞれ切り換え可能となっている。
上記室外回路(40)には、各種センサや圧力スイッチも設けられている。具体的に、第1吸入管(51)には第1吸入温度センサ(111)および第1吸入圧力センサ(112)が、第3吸入管(53)には第2吸入温度センサ(113)および第2吸入圧力センサ(114)がそれぞれ設けられている。第1吐出管(54)には第1高圧圧力スイッチ(115)が、第2吐出管(55)には第2高圧圧力スイッチ(116)が、第3吐出管(56)には第3高圧圧力スイッチ(117)がそれぞれ設けられている。吐出配管(57)には、第1吐出温度センサ(118)および第1吐出圧力センサ(119)が、第3吐出管(56)には第2吐出温度センサ(120)がそれぞれ設けられている。室外熱交換器(44)には、その伝熱管に室外側冷媒温度センサ(121)が設けられている。また、室外熱交換器(44)の近傍には、室外温度センサ(122)が設けられている。
また、上記室外回路(40)には、一方向の冷媒の流通を許容しつつ、この方向とは逆の冷媒の流通を禁止する複数の逆止弁も設けられている。具体的に、第1吸入管(51)と第2吸入管(52)の間の配管には逆止弁(CV-1)が、第2吸入管(52)と第3吸入管(53)の間の配管には逆止弁(CV-2)がそれぞれ設けられている。また、第2吐出管(55)には逆止弁(CV-3)が、第3吐出管(56)には第4逆止弁(CV-4)が設けられている。第1液管(58)には逆止弁(CV-5)が、第2液管(59)には逆止弁(CV-6)が、第2バイパス管(61)には逆止弁(CV-7)がそれぞれ設けられている。なお、これらの逆止弁(CV-1,CV-2,…)は、図1の逆止弁を示す記号に付した矢印の方向への冷媒の流通だけを許容するように構成されている。
〈空調ユニット〉
上記空調ユニット(12)の空調回路(70)には、室内熱交換器(71)および室内膨張弁(72)が設けられている。室内熱交換器(71)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、第1利用側熱交換器を構成している。室内熱交換器(71)の近傍には、室内ファン(73)が設けられている。この室内熱交換器(71)では、室内ファン(73)が送風する室内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。上記室内膨張弁(72)は、パルスモータによって開度が調節可能な電子膨張弁により構成されている。
上記空調回路(70)では、第1ガス側連絡配管(32)と室内熱交換器(71)の間の配管に第1冷媒温度センサ(123)が、室内熱交換器(71)の伝熱管に第2冷媒温度センサ(124)がそれぞれ設けられている。また、室内熱交換器(71)の近傍には、室内温度センサ(125)が設けられている。
〈冷蔵ショーケース〉
上記冷蔵ショーケース(13)の冷蔵回路(80)には、冷蔵熱交換器(81)および冷蔵膨張弁(82)が設けられている。冷蔵熱交換器(81)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、第2利用側熱交換器を構成している。冷蔵熱交換器(81)の近傍には、冷蔵ファン(83)が設けられている。この冷蔵熱交換器(81)では、冷蔵ファン(83)が送風する庫内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。
上記冷蔵回路(80)では、冷蔵熱交換器(81)の流出側に第1出口冷媒温度センサ(126)が設けられている。冷蔵膨張弁(82)は、第1出口冷媒温度センサ(126)の検出温度に応じて開度が調節される感温式膨張弁で構成されている。冷蔵膨張弁(82)の上流側近傍には、開閉自在な第1電磁弁(SV-1)が設けられている。また、冷蔵熱交換器(81)の近傍には、冷蔵ショーケース(13)内の庫内空気の温度を検出する第1庫内温度センサ(127)が設けられている。
〈冷凍ショーケース〉
上記冷凍ショーケース(14)の冷凍回路(90)には、冷凍熱交換器(91)と、冷凍膨張弁(92)と、ブースタ圧縮機(94)とが設けられている。冷凍熱交換器(91)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、第3利用側熱交換器を構成している。冷凍熱交換器(91)の近傍には、冷凍ファン(93)が設けられている。この冷凍熱交換器(91)では、冷凍ファン(93)が送風する庫内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。
上記冷凍回路(90)では、冷凍熱交換器(91)の流出側に第2出口冷媒温度センサ(128)が設けられている。上記冷凍膨張弁(92)は、第2出口冷媒温度センサ(128)の検出温度に応じて開度が調節される感温式膨張弁で構成されている。冷凍膨張弁(92)の上流側近傍には、開閉自在な第2電磁弁(SV-2)が設けられている。また、冷凍熱交換器(91)の近傍には、冷凍ショーケース(14)内の庫内空気の温度を検出する第2庫内温度センサ(129)が設けられている。
上記ブースタ圧縮機(94)は、高圧ドーム式のスクロール型圧縮機であって、可変容量式の圧縮機を構成している。ブースタ圧縮機(94)の吸入側には第4吸入管(96)が、吐出側には第4吐出管(95)が接続されている。第4吐出管(95)には、第4高圧圧力スイッチ(130)と、オイルセパレータ(97)と、逆止弁(CV-8)とが設けられている。オイルセパレータ(97)には、冷媒から分離した冷凍機油をブースタ圧縮機(94)の吸入側に戻すための油戻し管(98)が接続されている。この油戻し管(98)には、キャピラリーチューブ(98a)が設けられている。
また、上記冷凍回路(90)には、第4吸入管(96)と第4吐出管(95)とを接続する第3バイパス管(99)も設けられている。第3バイパス管(99)には、逆止弁(CV-9)が設けられている。第3バイパス管(99)は、ブースタ圧縮機(94)の故障時等において、第4吸入管(96)を流れる冷媒をブースタ圧縮機(94)をバイパスさせて第4吐出管(95)へ送るように構成されている。
〈コントローラ〉
上記冷凍装置(10)には、冷媒回路(20)に設けられた各機器の運転制御を行うためのコントローラ(100)が設けられている。このコントローラ(100)は、冷媒回路(20)に設けられた各種センサの信号が入力されるように構成されている。
また、上記コントローラ(100)には、本発明の特徴として、電力制限部(101)、モード切換部(102)、優先度決定部(103)および優先時間決定部(104)が設けられている。
上記電力制限部(101)は、冷凍装置(10)の主電源に接続され、該主電源の使用電力が予め定められた設定電力値を超えると、デマンド信号を出力するように構成されている。なお、設定電力値は、電力会社との契約電力量、またはその契約電力量から所定量低い値に設定される。
上記優先度決定部(103)は、冷房運転において、電力制限部(101)がデマンド信号を出力した場合、店内の冷房を優先する「空調優先」か、冷蔵庫・冷凍庫の冷却を優先する「冷設優先」かを決定する。具体的に、優先度決定部(103)は、デマンド信号の出力時における室温(即ち、店内の温度)と、店舗の構造や商品の配置等に基づいて「空調優先」か「冷設優先」かを決定するように構成されている。つまり、優先度決定部(103)は、空調優先で店内の冷房を優先して行い、その冷却した店内の空気を庫内の冷却に利用した方が全体としての運転効率がよいのか、それとも、冷設優先で庫内の冷却を優先して行い、その庫内から漏れる冷風を利用して店内を冷却する方が全体として運転効率がよくなるのかという観点に基づいて決定する。例えば、室温が27℃以上の場合には「空調優先」が決定され、25℃未満の場合には「冷設優先」が決定される。
上記モード切換部(102)は、冷房運転において、図5に示す各「条件1〜8」の成立状態に応じて、第2圧縮機(42)を第1利用系統に用いる「空調応援モード」と、第2圧縮機(42)を第2利用系統に用いる「冷設応援モード」とに切り換えるように構成されている。図5において、条件1〜4が「冷設応援モード」への切換条件であり、条件5〜8が「空調応援モード」への切換条件である。そして、モード切換部(102)は、デマンド信号が出力されていない場合、条件1,3,5,6を対象の条件とし、デマンド信号が出力された場合、条件1〜8の全ての条件を対象として運転モードを切り換える。この詳細については、後述する。
ここで、図5に示す各条件の内容について説明する。先ず、「Tr」は、室内温度センサ(125)が検出した室温(即ち、店内の温度)を示し、「Set」は、その室温の設定温度を示し、「Ta」は、TrとSetとの温度差の所定値(例えば、3℃)を示す。また、「LP1」は、第1吸入圧力センサ(112)が検出した圧力(即ち、冷設の低圧圧力)を示し、「Lpm」は、その低圧圧力の目標圧力を示す。また、「冷蔵・冷凍能力UP条件成立」は、LP1がLpmより高くなると満足し、「空調能力DOWN条件成立」とは、TrがSetより低くなると満足し、「空調能力UP条件成立」とは、TrがSetより高くなると満足する。また、「高外気フラグ=0」とは、外気温度が高くないことを示し、「高外気フラグ=1」とは、外気温度が高いことを示す。また、第1圧縮機(41)の最大Hzとは、デマンド信号が出力されていない場合において、第1圧縮機(41)が発揮し得る最大の運転周波数を意味し、デマンド信号が出力されている場合において、電力制限部(101)による制限範囲内で最大の運転周波数を意味する。
上記優先時間決定部(104)は、図5に示す「条件2」および「条件4」における連続時間t1(以下、優先時間t1という。)と、「条件7」における連続時間t2(以下、優先時間t2という。)と、「条件8」における連続時間t3(以下、優先時間t3という。)を決定する。具体的に、優先時間決定部(104)は、優先度決定部(103)が「空調優先」と決定した場合、優先時間t1の値を優先時間t2およびt3の値よりも大きく設定する。また、優先度決定部(103)が「冷設優先」と決定した場合、優先時間t1の値は優先時間t2およびt3の値より小さく設定される。
−運転動作−
次に、本実施形態に係る冷凍装置(10)の運転動作について説明する。この冷凍装置(10)では、各ショーケース(13,14)の庫内を冷却しながら、空調ユニット(12)で室内を暖房する暖房運転と、各ショーケース(13,14)の庫内を冷却しながら、空調ユニット(12)で室内を冷房する冷房運転とが切換可能となっている。
〈暖房運転〉
ここでは、代表的な暖房運転について図2を参照しながら説明する。この暖房運転では、第1四路切換弁(47)および第2四路切換弁(48)が第2状態に設定され、第3四路切換弁(49)が第1状態に設定される。また、室外膨張弁(46)および流量調整弁(63)が全閉状態となり、第1電磁弁(SV-1)および第2電磁弁(SV-2)が開放状態となる。さらに、室内膨張弁(72)と冷蔵膨張弁(82)と冷凍膨張弁(92)との開度がそれぞれ適宜調節される。また、各ファン(50,73,83,93)と第1圧縮機(41)と第2圧縮機(42)とブースタ圧縮機(94)とがそれぞれ運転状態となる。
第1圧縮機(41)および第2圧縮機(42)でそれぞれ圧縮された冷媒は、吐出配管(57)で合流した後、再び2手に分流する。一部の冷媒は、第2四路切換弁(48)を通過して室外熱交換器(44)を流れる凝縮し、第1液管(58)、レシーバ(45)および第2液管(59)を順に流れて液側連絡配管(31)に流入する。残りの冷媒は、第1四路切換弁(47)を通過して室内熱交換器(71)へ流れる。室内熱交換器(71)では、冷媒が室内空気へ放熱して凝縮する。その結果、室内の暖房が行われる。室内熱交換器(71)で凝縮した冷媒は、室内膨張弁(72)で減圧された後、第1液分岐管(31a)に流入する。液側連絡配管(31)で合流した冷媒は、再び第2液分岐管(31b)と第3液分岐管(31c)とに分流する。
第2液分岐管(31b)に流入した冷媒は、冷蔵膨張弁(82)で減圧された後、冷蔵熱交換器(81)へ流れる。冷蔵熱交換器(81)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その結果、冷蔵ショーケース(13)の庫内の冷却が行われる。この冷蔵ショーケース(13)では、例えば庫内温度が5℃に維持される。冷蔵熱交換器(81)で蒸発した冷媒は、第1ガス分岐管(33a)に流入する。
第3液分岐管(31c)に流入した冷媒は、冷凍膨張弁(92)で減圧された後、冷凍熱交換器(91)へ流れる。冷凍熱交換器(91)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その結果、冷凍ショーケース(14)の庫内の冷却が行われる。この冷凍ショーケース(14)では、例えば庫内温度が−10℃に維持される。冷凍熱交換器(91)で蒸発した冷媒は、ブースタ圧縮機(94)で圧縮された後、第2ガス分岐管(33b)に流入する。各ショーケース(13,14)の庫内の冷却に利用された冷媒は、第2ガス側連絡配管(33)で合流した後、第1圧縮機(41)および第2圧縮機(42)にそれぞれ吸入される。
〈冷房運転〉
ここでは、代表的な冷房運転について図3および図4を参照しながら説明する。この冷房運転は、第2圧縮機(42)が空調用の第1利用系統に用いられる「空調応援モード」と、第2圧縮機(42)が冷蔵・冷凍用の第2利用系統に用いられる「冷設応援モード」とに切換可能になっている。
−空調応援モード−
この「空調応援モード」の冷房運転では、図3に示すように、第1四路切換弁(47)と第2四路切換弁(48)が第1状態に、第3四路切換弁(49)が第2状態にそれぞれ設定される。また、室外膨張弁(46)および流量調整弁(63)が全閉状態となり、第1電磁弁(SV-1)および第2電磁弁(SV-2)が開放状態となる。さらに、室内膨張弁(72)と冷蔵膨張弁(82)と冷凍膨張弁(92)との開度がそれぞれ適宜調節される。また、各ファン(50,73,83,93)と3台の圧縮機(41,42,43)とブースタ圧縮機(94)とがそれぞれ運転状態となる。
各圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒は、吐出配管(57)で合流した後、第1四路切換弁(47)を通過して室外熱交換器(44)へ流れる。室外熱交換器(44)では、冷媒が室外空気に放熱して凝縮する。室外熱交換器(44)で凝縮した冷媒は、第1液管(58)、レシーバ(45)および第2液管(59)を順に流れて液側連絡配管(31)に流入する。液側連絡配管(31)に流入した冷媒は、第1液分岐管(31a)と第2液分岐管(31b)と第3液分岐管(31c)とに分流する。
第1液分岐管(31a)に流入した冷媒は、室内膨張弁(72)で減圧された後、室内熱交換器(71)へ流れる。室内熱交換器(71)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。その結果、店内の冷房が行われる。室内熱交換器(71)で蒸発した冷媒は、第1ガス側連絡配管(32)、第1四路切換弁(47)および第2四路切換弁(48)を順に介した後、第2吸入管(52)と第3吸入管(53)とに分流して第2圧縮機(42)および第3圧縮機(43)に吸入される。
第2液分岐管(31b)に流入した冷媒は、冷蔵膨張弁(82)で減圧された後、冷蔵熱交換器(81)へ流れる。冷蔵熱交換器(81)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その結果、冷蔵ショーケース(13)の庫内の冷却が行われる。この冷蔵ショーケース(13)では、例えば庫内温度が5℃に維持される。冷蔵熱交換器(81)で蒸発した冷媒は、第1ガス分岐管(33a)を通って第2ガス側連絡配管(33)に流入する。
第3液分岐管(31c)に流入した冷媒は、冷凍膨張弁(92)で減圧された後、冷凍熱交換器(91)へ流れる。冷凍熱交換器(91)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その結果、冷凍ショーケース(14)の庫内の冷却が行われる。この冷凍ショーケース(14)では、例えば庫内温度が−10℃に維持される。冷凍熱交換器(91)で蒸発した冷媒は、ブースタ圧縮機(94)で圧縮された後、第2ガス分岐管(33b)を通って第2ガス側連絡配管(33)に流入する。第2ガス側連絡配管(33)で合流した冷媒は、第1吸入管(51)から第1圧縮機(41)に吸入される。
−冷設応援モード−
この「冷設応援モード」の冷房運転では、図4に示すように、上記の「空調応援モード」の状態において、第3四路切換弁(49)が第2状態に切り換えられ、それ以外はそのままである。つまり、冷房運転において、「空調応援モード」と「冷設応援モード」の切換は、第3四路切換弁(49)の切換によって行われる。
各圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒は、上記の空調応援モードと同様に、吐出配管(57)で合流した後、室外熱交換器(44)で凝縮する。この凝縮した冷媒は、液側連絡配管(31)を通って第1液分岐管(31a)と第2液分岐管(31b)と第3液分岐管(31c)とに分流する。
第1液分岐管(31a)の冷媒は、室内熱交換器(71)で蒸発し、店内の冷房が行われる。室内熱交換器(71)で蒸発した冷媒は、第1ガス側連絡配管(32)、第1四路切換弁(47)、第2四路切換弁(48)を順に通って、第3吸入管(53)から第3圧縮機(43)へ吸入される。
第2液分岐管(31b)の冷媒は、冷蔵熱交換器(81)で蒸発し、冷蔵ショーケース(13)の庫内の冷却が行われる。冷蔵熱交換器(81)で蒸発した冷媒は、第1ガス分岐管(33a)に流入する。第3液分岐管(31c)の冷媒は、冷凍熱交換器(91)で蒸発し、冷凍ショーケース(14)の庫内の冷却が行われる。冷凍熱交換器(91)で蒸発した冷媒は、ブースタ圧縮機(94)で圧縮された後、第2ガス分岐管(33b)に流入する。第2ガス側連絡配管(33)で合流した冷媒は、第1吸入管(51)と第2吸入管(52)とに分流した後、第1圧縮機(41)および第2圧縮機(42)にそれぞれ吸入される。
〈コントローラの制御動作〉
コントローラ(100)は、上述したように、各四路切換弁(47,48,49)や各膨張弁(46,72,82,92)などを制御して暖房運転と冷房運転を切り換える。また、コントローラ(100)は、冷房運転において、デマンド信号の有無によって、その切換タイミングを変更する。
−デマンド信号なしの場合−
電力制限部(101)からデマンド信号が出力されていない場合、コントローラ(100)は、図6に示すように、「空調応援モード」と「冷設応援モード」とを切り換える。
現在の運転モードが「空調応援モード」である場合、ステップST1において、モード切換部(102)により「条件1」または「条件3」が成立しているか否かが判定される。そして、何れかの条件が成立していると、第3四路切換弁(49)が第2状態に設定されて「冷設応援モード」に切り換えられる。また、ステップST1において、何れの条件も成立していない場合は、「空調応援モード」のまま運転が継続される。
具体的に、室温Tr−設定温度Set<所定値Ta(=3℃)の状態が所定時間t0(例えば、5分)以上継続し、且つ、低圧圧力LP1−目標圧力Lpm>0.15であると、「条件1」が成立する。つまり、「条件1」の前者の要件を満足すると、空調能力が十分であると判断され、後者の要件を満足すると、冷設能力が不足していると判断される。また、第1圧縮機(41)が最大Hzで運転され、且つ、空調能力DOWN条件を満足すると、「条件3」が成立する。つまり、「条件3」の前者の要件を満足すると、冷設能力が不足していると判断され、後者の要件を満足すると、空調能力が十分であると判断される。このように、「条件1」か「条件3」が成立することで、冷設能力が不足していると判断され、「冷設応援モード」に切り換えられる。
一方、現在の運転モードが「冷設応援モード」である場合、ステップST2において、モード切換部(102)により「条件5」および「条件6」の双方が成立しているか否かが判定される。そして、双方の条件が成立していると、「空調応援モード」に切り換えられ、少なくとも一方の条件が成立していないと、「冷設応援モード」のまま運転が継続される。
具体的に、空調能力UP条件を満足すると、「条件5」が成立する。つまり、「条件5」を満足すると、空調能力が不足していると判断される。また、低圧圧力LP1−目標圧力Lpm<0.15であり、且つ、高外気フラグ=0であると、「条件6」が成立する。つまり、「条件6」を満足すると、冷設能力が十分であると判断される。このように、「条件5」および「条件6」の双方が成立することで、空調能力が不足していると判断され、「空調応援モード」に切り換えられる。
以上のように、デマンド信号なしの場合、使用電力が制限されていないため、能力が不足している利用系統に第2圧縮機(42)を用いるようにモード切換が行われる。したがって、第2圧縮機(42)の切換が頻繁に起こることもなく、店内および庫内の温度をそれぞれの設定温度からそれ程ずれることなく運転することができる。
−デマンド信号ありの場合−
電力制限部(101)からデマンド信号が出力された場合、コントローラ(100)は、図7に示すように、「空調応援モード」と「冷設応援モード」とを切り換える。
先ず、ステップST11において、優先度決定部(103)により「空調優先」か「冷設優先」かが決定される。続いて、ステップST12に移行し、優先時間決定部(104)が優先時間t1、t2、t3の値を決定する。つまり、優先度決定部(103)が「空調優先」と決定した場合、優先時間t1が大の値(例えば、10分)に、優先時間t2および優先時間t3が優先時間t1よりも小の値(例えば、5分)にそれぞれ設定される。また、優先度決定部(103)が「冷設優先」と決定した場合、優先時間t1が小の値(例えば、5分)に、優先時間t2および優先時間t3が優先時間t1よりも大の値(例えば、10分)にそれぞれ設定される。
ステップST12で各優先時間が決定されると、現在の運転モードが「空調応援モード」である場合はステップST13へ移行し、「冷設応援モード」である場合はステップST14へ移行する。
ステップST13では、モード切換部(102)により「条件1」から「条件4」の何れか1が成立しているか否かが判定される。そして、何れか1の条件が成立していると、「冷設応援モード」に切り換えられ、何れの条件も成立していないと、そのまま「空調応援モード」で運転が継続される。
具体的に、「条件2」は、第1圧縮機(41)が最大Hzで運転され(要件1)、且つ、冷蔵・冷凍能力UP条件を満足し(要件2)、さらに空調応援モードでの運転が優先時間t1(空調優先の場合は10分、冷設優先の場合は5分)以上継続されると(要件3)、成立する。つまり、「条件2」では、要件1および2をもって冷設能力が不足していると判断された上で、空調応援モードでの運転が所定時間行われることが必要である。
また、「条件4」は、低圧圧力LP1−目標圧力Lpm>0.15であり(要件1)、且つ、第1圧縮機(41)が最大Hzで運転され(要件2)、且つ、空調応援モードでの運転が優先時間t1(条件2の場合と同様)以上継続され(要件3)、さらに要件4として、低圧圧力LP1−目標圧力Lpm>0.15の状態が10分以上継続されるか、低圧圧力LP1−目標圧力Lpm>0.3の状態が1分以上継続されるか、低圧圧力LP1−目標圧力Lpm>0.5であると、成立する。つまり、「条件4」では、要件1,2および4をもって冷設能力が不足していると判断された上で、空調応援モードでの運転が所定時間行われることが必要である。
このように、「条件2」および「条件4」によれば、単に冷設能力が不足している状態だけでは、冷設応援モードに切り換わらず、空調応援モードでの運転が優先時間t1行われて始めて冷設応援モードに切り換わる。つまり、空調能力の過不足状態ではなく、優先時間t1の経過をもって空調応援モードから冷設応援モードへの切換タイミングが図られている。したがって、冷設能力が不足しているからといって直ぐに冷設応援モードに切り換わらないため、従来のように頻繁に運転モードが切り換わらない。
ステップST14では、「条件5」が成立し、且つ「条件6」から「条件8」の何れか1が成立しているか否かが判定される。そして、成立していると、「空調応援モード」に切り換えられ、成立していないと、そのまま「冷設応援モード」で運転が継続される。
具体的に、「条件7」は、低圧圧力LP1−目標圧力Lpm<0.15で(要件1)、且つ、高外気フラグ=1で(要件2)、さらに低圧圧力LP1<2.5の状態が優先時間t2(空調優先の場合は10分、冷設優先の場合は5分)以上連続すると(要件3)、成立する。つまり、「条件7」では、要件1および2をもって外気温が高いにも拘わらず冷設能力が十分であると判断された上で、低圧圧力が所定値以下で所定時間維持されることが必要である。
また、「条件8」は、最大室温Tr>25℃で(要件1)、且つ、冷設応援モードでの運転が優先時間t3(条件7の場合と同様)以上継続されると(要件2)、成立する。つまり、「条件8」は、要件1をもって室温が高いと判断された上で、冷設応援モードでの運転が所定時間行われることが必要である。
このように、「条件7」および「条件8」によれば、単に空調能力が不足している状態だけでは、空調応援モードに切り換わらない。また、「条件7」によれば、空調能力が不足状態で且つ冷設能力が十分な状態でも、外気温が高いため、直ぐには空調応援モードに切り換わらない。これは、冷設能力が十分だからといって直ぐに空調応援モードに切り換えると、外気温が高いことから直ぐに庫内温度が設定温度より高くなってしまうためである。つまり、これらの条件によれば、冷設能力の過不足状態ではなく、優先時間t2または優先時間t3の経過をもって冷設応援モードから空調応援モードへの切換タイミングが図られている。
以上のように、デマンド信号が出力された状態では、空調能力および冷設能力の過不足状態だけで、運転モードが切り換えられるのではなく、優先時間t1、t2、t3の経過をもって運転モードが切り換えられる。つまり、デマンド信号が出力された状態では、空調能力および冷設能力の双方が不足するのが通常であり、その不足状態をもって運転モードを切り換えると、そのモード切換が頻繁に行われることになる。そうすると、図8に示すように、室温(店内の温度)および庫内温度の何れもが設定温度(SET温度)より次第に高くなってしまう。その結果、冷蔵・冷凍食品や店内のチョコレート等の品質保持ができなくなる。
ところが、本実施形態のように、運転モードの切換タイミングを優先時間の経過を条件として行うことにより、店内または庫内をある程度冷却した後で運転モードを切り換えることができる。さらに、その優先時間は、室温や店舗の構造等を考慮した優先度に応じて設定される。したがって、単に運転モードの切換タイミングを遅らせるだけではなく、同じ運転時間であっても店内および庫内の双方を効率よく冷却することができる。例えば、冷設優先の場合、冷設応援モードの運転時間が長くなり、図9に示すように、庫内温度がほぼSET温度に近い状態で推移し、室温がSET温度から徐々に高くなるがそれ程ずれることはない。また、空調優先の場合、空調応援モードの運転時間が長くなり、図10に示すように、室温および庫内温度の何れもSET温度より高くなるが、それ程ずれることはない。これにより、店内および庫内の双方においてバランスよく冷却することができる。つまり、店内温度および庫内温度が極端に上昇するのを抑制させることができる。