JP4544035B2 - ポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ビルディングの屋上などの構造物本体の被防水施工面に敷設された既設のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化度合を診断するためのポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断方法に関する。
ビルディングの屋上などの構造物本体の被防水施工面には、例えば防水シート用接合板を点在状に固定した後、この上から防水シートを覆い被せ、防水シートの端縁どうし、及び防水シートと防水シート用接合板との所要部を溶剤溶着や熱融着により接合することによって行う、シート防水施工がなされることがある。
ここに施工される防水シートとしては、ポリ塩化ビニル系防水シートが使用されることが多く、このポリ塩化ビニル系防水シートは長期の年月を経ると、太陽光の紫外線、熱、雨水、湿度などの環境影響を受け、含有されている可塑剤の劣化消失を起こし、やがて硬化することとなる。硬化が進むと、ポリ塩化ビニル系防水シートに亀裂が発生するなど漏水のおそれが高くなる。したがって、既設のポリ塩化ビニル系防水シートに対しては、所定の時期をもって補修や張替えが必要となる。
補修や張替えの時期については、一般に、既設のポリ塩化ビニル系防水シートの敷設された場所の気温、日照条件、その他の環境はまちまちであるため、経過年数による予想は難しく、多くは、所定期間の後に既設のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化度合をそれぞれの現場で直接に診断することによって判定している。
劣化度合を診断する方法としては、既設のポリ塩化ビニル系防水シートの一部を切り取って、その可塑剤の残存率や引張り特性を測定することが一般的である。
しかしこの方法によれば、ポリ塩化ビニル系防水シートの一部を切り取ることとなるため、切り取った後のシートの補修作業が必要となり、また診断に際しても、切り取った後のシートは、別の測定機器のある場所で可塑剤の残存率や引張り特性を測定する必要があるため、時間がかかるといった問題があった。
そこで、ポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断を行うに当たり、補修作業を要せず、現場でできるといった利便性から、硬度計を用いた劣化診断方法が提案されている(特許文献1)
特開平6−27010
上記文献1にかかる劣化診断方法においては、表面温度計により既設のポリ塩化ビニル系防水シートの表面温度を測定し、その温度におけるバーコル硬度をバーコル硬度計により測定し、その硬度を測定温度を別に用意した温度依存率の図面に基づいて基準温度における硬度に補正して、診断が行われるものである。
しかし、この劣化診断方法では、バーコル硬度計の他に、表面温度計と温度依存性の図面が必要であり、またその図面に基づいて基準温度に換算する作業が必要となるため、手間のかかる問題があった。
また、この方法は、温度依存性の図面によって、標準温度に換算して行う方法であるため、低温時および高温時において誤差が発生する場合があり、バーコル硬度の補正が適用できる温度範囲は、−10℃〜30℃に制限されるものであった。
そこで、この発明は、補修作業を要せず、現場でできるとともに、簡便で、かつ温度の影響を受けることが少ない、ポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断方法を提供することを目的とする。
上記の課題に対し、発明者は、予め、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤を所定量含有させ、張替え目安となる柔軟性に調整した基準シートを準備しておき、劣化診断時に、その基準シートを既設のポリ塩化ビニル系防水シートと略同一温度になるように調整した後に、各々のバーコル硬度を測定し、それらの硬度を対比することによって、前記既設のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化度合を、簡便に、かつ温度の影響を受けることが少なく、診断することのできることを見出した。
すなわち本発明における請求項1にかかる発明は、構造物本体における被防水施工面に敷設されて、所定期間が経過した既設のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化度合を診断するポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断方法において、予め、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤を所定量含有させ、張り替え目安となる柔軟性に調整した基準シート片を準備しておき、該基準シート片と前記既設のポリ塩化ビニル系防水シートを略同一温度になるように調整した後に、各々のバーコル硬度を測定し、それらの硬度を対比することにより前記既設のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化度合を診断することを特徴とするポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断方法を要旨とする。
また、発明者は、請求項1にかかる発明において、予め、診断の対象となる既設のポリ塩化ビニル系防水シートに含まれる可塑剤の種類を調べておき、その可塑剤と同一の可塑剤をポリ塩化ビニル樹脂に所定量添加した基準シート片を準備することによって、簡便であるとともに、とくに温度の影響を受けることが少なく、既設のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化度合を精度よく診断することのできることを見出した。
すなわち、本発明における請求項2にかかる発明は、基準シート片に含有される可塑剤が、既設のポリ塩化ビニル系防水シートに含まれる可塑剤と同一である請求項1に記載のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断方法を要旨とする。
本発明によると、基準シート片を既設のポリ塩化ビニル系防水シートと略同一温度にした後に、基準シート片と既設のポリ塩化ビニル系防水シートのバーコル硬度を測定し、それらの硬度を対比するだけで、劣化診断を行うことができるため、作業が極めて簡便なものとなる。
また、基準シート片は、既設のポリ塩化ビニル系防水シートに含有されると同様に可塑剤が含有されているため、既設のポリ塩化ビニル系防水シートと温度依存性が類似したものとなり、低温時および高温時においても、温度の影響を受けることが少ないものとなる。
さらに、基準シート片の内部に既設のポリ塩化ビニル系防水シートと同一の可塑剤を含有させることにより、その基準シート片は、既設のポリ塩化ビニル系防水シートと温度依存性がより近似したものとなって、とくに温度の影響を受けることが少ないものとなる。
図1は、この発明にかかるポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断方法が採用される既設のポリ塩化ビニル系防水シート1が敷設された状態を示した断面図であり、図2および図3は、それを劣化診断する具体的な方法を説明するための断面図である。
以下、これらの図に従って、本発明にかかる劣化診断方法を説明する。
図1においては、ビルディングなどの構造物本体Mにおける被防水施工面Maに、絶縁材6が敷かれ、その所要箇所に防水シート用接合板2がカールプラグなどの固定具3によって固定され、その上からは、所定の年月を経て劣化の進行した既設のポリ塩化ビニル系防水シート1が敷設されている。そして、この既設のポリ塩化ビニル系防水シート1と防水シート用接合板2と所要部については、溶剤溶着または熱融着によって接合されている。
まず、既設のポリ塩化ビニル系防水シート1の劣化診断を行うに当たって、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤を所定率含有させ、張り替え目安となる柔軟性に調整した基準シート片5を準備する。この基準シート片5は、張替えを必要とするレベルとなるように可塑剤の含有率を調整したシート片であり、より劣化診断の精度を高めるためには、劣化のレベルが判るように可塑剤の含有率をそれぞれに変化させた複数のシート片を準備するのが好ましい。
つぎに、基準シート片5を、図1に示すように、測定しようとする既設のポリ塩化ビニル系防水シート1と同じ環境下に放置し、既設のポリ塩化ビニル系防水シート1と略同一温度となるように調整する。放置する時間については、基準シート片5の大きさにもよるが、例えば、持ち運びが自在な50mm角ほどの大きさのものであれば、10分ほどで十分である。
つぎに、図2に示すように、ポリ塩化ビニル系防水シート1の表面をバーコル硬度計4によって、その挿入針を押し付けることによって、バーコル硬度を測定する。そして、引き続き、図3に示すように、基準シート片5におけるバーコル硬度を測定する。そして、得られた硬度をそれぞれに対比して、劣化の度合を診断する。
対比においては、例えば、張替えを必要とするレベルとなるように調整した基準用シート片5に対して、既設のポリ塩化ビニル系防水シート1が、この基準用シート片5と同等、または、それ以上の硬度となっていれば、この既設のポリ塩化ビニル系防水シート1は、劣化が進んでいると判断され、張替えを薦めることとなる。
上記からわかるように、本発明においては、バーコル硬度計4によって、ポリ塩化ビニル系防水シート1と基準用シート片5のそれぞれの硬度を測定し、それらを対比するだけであるため、極めて作業が簡便である。また、基準シート片5にはポリ塩化ビニル系防水シート1に含有されると同様に可塑剤が含有されているため、その基準シート片5は既設のポリ塩化ビニル系防水シート1と温度依存性が類似したものとなり、温度の影響を受けることが少ない。
つぎに、本発明にかかる基準シート片5について説明する。
本発明にかかる基準シート片5は、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤を所定量含有させ、張り替え目安となる柔軟性に調整したものである。上述した通り、より劣化診断の精度を上げるために、可塑剤の含有率をそれぞれに変化させた複数のシート片を準備しておくのが望ましい。
ポリ塩化ビニル系樹脂は、既設のポリ塩化ビニル系防水シート1を構成する樹脂と同様のものが選択できる。例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂などの単重合体の他、塩化ビニルとエチレンー酢酸ビニル、エチレンーアクリル酸エステルなどとの共重合体も選択可能である。また、これらポリ塩化ビニル樹脂の単重合体または共重合体にエチレンー酢酸ビニル共重合体やエチレンーアクリル酸エステル共重合体など改質を目的とした他の樹脂がブレンドされたものであっても適用可能である。
可塑剤は、既設のポリ塩化ビニル系防水シート1に含有されると同様のものが選択できる。例えば、DOP、DBP、DHP、DIDP、DUPなどのフタル酸エステル系可塑剤、DOA,DOZなどの直鎖二塩基酸エステル系可塑剤、TCPなどのリン酸エステル系可塑剤があげられる。また、その他にエチレンー酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂など高分子系可塑剤もあげられる。
本発明にかかる基準シート片5は、ポリ塩化ビニル系樹脂と可塑剤を所定の比率で配合するとともに、安定剤、滑剤、充填剤、色剤など成形に必要な添加剤を適宜配合して、ロール成形、熱圧プレス成形、カレンダー成形、押出成形などの常法のシート成形法にしたがって作成される。
ここで、本発明にかかる基準シート片5においては、予め、診断の対象となる既設のポリ塩化ビニル系防水シート1に含まれる可塑剤を調べておき、その既設のポリ塩化ビニル系防水シート1に含まれるものと同一の可塑剤が選択されるのが好ましい。さらには、既設のポリ塩化ビニル系防水シート1と配合組成が基本的に同じで、可塑剤の含有率のみを変化させて、柔軟性を調整したものであるのがさらに好ましい。
こうすることで、温度依存性が既設のポリ塩化ビニル系防水シート1とより近似したものとなり、これを用いて既設のポリ塩化ビニル系防水シート1を診断した場合には、温度による影響を受けることをとくに少なくできるからである。つまり、地域、季節によらず、より精度の高い劣化診断が可能になる。
本発明にかかる基準シート片5においては、既設のポリ塩化ビニル系防水シート1における構成と同様に、シート層の中間や裏面にポリエステル系繊維やガラス繊維などのネットや不織布が介在されたものであってもよい。
基準シート片5の厚さについては、とくに制限はないが、バーコル硬度計4の挿入針の押し込み深さを考慮すると、精度よくバーコル硬度を測定するためには、0.5mm以上であるのが好ましい。実用性を考慮すると、1.0mm〜3.0mmほどであるのが好ましい。
サイズについては、バーコル硬度が測定できるほどの大きさがあれば、とくに制限はないが、持ち運びや、例えばサンプル台帳に収納しておくことのできる実用性を考慮すると50mm角ほどのものが好適である。
つぎに本発明で適用されるその他の構成部材について、図1に基づいて説明する。
まず、本発明にかかる構造物本体Mは、ビルディングの屋上や、住宅の屋根、陸屋根、傾斜屋根、ベランダ、バルコニー、瓦棒葺き屋根、折板屋根などがあげられる。これらの構造物本体Mを構成する材料としては、コンクリート、発泡軽量コンクリート(ALC)、金属板などがあげられる。
この構造物本体Mの被防水施工面Maには、防水シート用接合板2として鋼板に合成樹脂が被覆された樹脂被覆鋼板からなるものが敷設されるのが一般的である。この防水シート用接合板2は、例えばカールプラグなどの固定具3によって、構造物本体Mに対して固定される。
この防水シート用接合板2と被防水施工面Maとの間には、絶縁シートなどの絶縁材6が介在される場合があるが、このような場合でも、本発明の適用は可能である。もちろん、絶縁材6が介在されなくてもよい。絶縁材6としては、ポリエチレン製フィルムのクロスにポリエチレン製発泡シートが貼り合わせられた絶縁シート、この絶縁シートにアルミ箔が貼り付けられたピンホール検査用シート、断熱性をもたせるための発泡ポリスチレンからなる断熱発泡材などがあげられる。
既設のポリ塩化ビニル系防水シート1は、ポリ塩化ビニル系防水シートが被防水施工面Ma上に敷設されて、経過を経たものである。このようなポリ塩化ビニル系防水シートは、敷設時にポリ塩化ビニル系樹脂に対して所定量含有されていた可塑剤が減率したものである。本発明に適用される既設のポリ塩化ビニル系防水シートとしては、ポリ塩化ビニル系樹脂と可塑剤がシート内に含有されているものであるならば、全てにわたって適用が可能である。
また、本発明に適用される既設のポリ塩化ビニル系防水シート1には、シート内部または裏面にポリエステル繊維からなるネットなどの補強層1aが介されたものや、樹脂組成の異なる樹脂層が複層で積層されたものであっても適用可能である。
シート厚さについては、とくに制限されないが、0.5mm未満であると、バーコル硬度計4による硬度測定をした際に、その挿入針が防水シートの裏面に達し、精度よく測定できない場合があるため、0.5mm以上であることが好ましい。
つぎに実施例について、説明する。
1.基準シート片の作成
ポリ塩化ビニル樹脂にフタル酸エステル系可塑剤を、フタル酸エステル系可塑剤の含有率が、(1)35重量%、(2)31重量%、(3)27重量%、(4)24重量%、(5)21重量%となるようにそれぞれ比率を変えて添加して、樹脂組成物を配合した。これら樹脂組成物を押出成形によって、厚さ2.0mmに成形し、それを裁断して、サイズ50mm角の基準シート片を作成した。
これら基準片シートは、(1)〜(3)では、現状では張替えの必要がないレベル、(4)では、今すぐ張替えの必要はないが近年中に張り替えが必要となると予測されるレベル、(5)では、すでに劣化が進行しており張替えを薦めるレベルとランクされるものである。
2.既設のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断
<実施例1>
住宅A邸のバルコニーに敷設された既設のポリ塩化ビニル系防水シートの水下部分の劣化診断を行うことを目的として、以下の手順で診断を行った。
この既設のポリ塩化ビニル系防水シートのシート構成は、中間にポリエステル繊維からなるネットが積層されたもので、敷設当時のシート厚さは2.0mmであった。また、含有された可塑剤はフタル酸エステル系可塑剤で、含有率は敷設当時、ポリ塩化ビニル樹脂に対し38重量%であったものである。
まず、劣化診断を行うに当たって、(1)〜(5)の5種類の基準シート片を、診断しようとする既設のポリ塩化ビニル系防水シート上に置き、10分間放置した。放置後、表面温度を調べたところ、既設のポリ塩化ビニル系防水シート、基準シート片とも15℃であった。
つぎに、バーコル硬度計を用い、既設のポリ塩化ビニル系防水シートのバーコル硬度を測定した。引き続いて、(1)〜(5)の5種類の基準シート片のバーコル硬度を測定した。
それらの硬度を対比し、既設のポリ塩化ビニル系防水シートにおけるバーコル硬度が、(1)〜(5)までの5種類のどの基準シート片に相当するか、または最も近いかを特定した。その結果、(2)の基準シート片が特定された。これより、この既設のポリ塩化ビニル系防水シートは、現状ではまだ張替えが必要でないレベルと診断された。
<実施例2>
住宅B邸のバルコニーに敷設された既設のポリ塩化ビニル系防水シートの水上部分の劣化診断を行うことを目的として以下の手順で診断を行った。
この既設のポリ塩化ビニル系防水シートのシート構成は単層で、敷設当時のシート厚さは1.3mmであった。可塑剤の種類とその含有率は実施例1と同じであった。既設のポリ塩化ビニル系防水シートの表面温度を測定したところ、0℃であった。
実施例1と同様にして、それぞれのバーコル硬度を測定した。その結果、この既設のポリ塩化ビニル系防水シートとバーコル硬度が最も近かった基準シート片は(3)であった。これより、この既設のポリ塩化ビニル系防水シートは、現状ではまだ張替えが必要でないレベルと診断された。
<実施例3>
ビルディングの屋上に敷設された既設のポリ塩化ビニル系防水シートの水下部分の劣化診断を行うことを目的として以下の手順で診断を行った。
この既設のポリ塩化ビニル系防水シートのシート構成、敷設当時のシート厚さ、可塑剤の種類とその含有率は、実施例1と同じであった。既設のポリ塩化ビニル系防水シートの表面温度を測定したところ、30℃であった。
実施例1と同様にして、それぞれのバーコル硬度を測定した。その結果、この既設のポリ塩化ビニル系防水シートとバーコル硬度が最も近かった基準シート片は(4)であった。これより、この既設のポリ塩化ビニル系防水シートは、今すぐ張替えの必要はないが近年中に張り替えが必要となると予測されるレベルと診断された。
<実施例4>
住宅C邸のバルコニーに敷設された既設のポリ塩化ビニル系防水シートの水下部分の劣化診断を行うことを目的として以下の手順で診断を行った。
この既設のポリ塩化ビニル系防水シートのシート構成、敷設当時のシート厚さ、可塑剤の種類とその含有率は、実施例2と同じであった。既設のポリ塩化ビニル系防水シートの表面温度を測定したところ、15℃であった。
実施例1と同様にして、それぞれのバーコル硬度を測定した。その結果、この既設のポリ塩化ビニル系防水シートとバーコル硬度が最も近かった基準シート片は(5)であった。これより、この既設のポリ塩化ビニル系防水シートは、劣化が進行しており張替えを薦めるレベルと診断された。
上記、実施例1〜4によって得られた結果について、表1に記す。
Figure 0004544035
3.診断結果の適正評価
この診断結果が適正なものであったかどうか調べるため、実施例1〜4における既設塩化ビニル系防水シートの一部を切り取り、シート中に残存されている可塑剤含有率を測定した。そしてこれら測定された可塑剤含有率から、それぞれが、上記(1)〜(4)のどの基準シート片の可塑剤含有率に相当するか、または最も近かったか、その基準片シートの番号をもって特定した。その結果、A邸については、可塑剤含有率が32重量%であり、これは基準片シート(2)(31重量%)に相当した。B邸については、27重量%であり、これは基準片シート(3)(35重量%)に相当した。ビルディングについては、可塑剤含有率が25重量%であり、これは基準片シート(4)(24重量%)に相当した。C邸については、21重量%であり、これは基準片シート(5)(21重量%)に相当した。これらについて、表2に記す。
Figure 0004544035
表1および表2の結果から判る通り、本発明においてなされた、実施例1〜実施例4における劣化診断結果は、可塑剤含有率によって診断した劣化診断結果と一致していた。これより、本発明における防水シートの劣化診断は、確実に、かつ適正になされたことが判る。また、温度によっても影響を受けていなかったことが判る。
本発明が採用される既設のポリ塩化ビニル系防水シートが敷設された状態を示している断面図である。 本発明が採用される既設のポリ塩化ビニル系防水シートのバーコル硬度を測定している状態を示す断面図である。 本発明が採用される基準シート片のバーコル硬度を測定している状態を示す断面図である。
符号の説明
1 既設のポリ塩化ビニル系防水シート
1a 補強層
2 防水シート用接合板
3 固定具
4 バーコル硬度計
5 基準シート片
6 絶縁材
M 構造物本体
Ma 被防水施工面

Claims (2)

  1. 構造物本体における被防水施工面に敷設されて、所定期間が経過した既設のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化度合を診断するポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断方法において、予め、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤を所定量含有させ、張り替え目安となる柔軟性に調整した基準シート片を準備しておき、該基準シート片と前記既設のポリ塩化ビニル系防水シートを略同一温度になるように調整した後に、各々のバーコル硬度を測定し、それらの硬度を対比することにより前記既設のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化度合を診断することを特徴とするポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断方法。
  2. 前記基準シート片に含有される可塑剤が、前記既設のポリ塩化ビニル系防水シートに含まれる可塑剤と同一である請求項1に記載のポリ塩化ビニル系防水シートの劣化診断方法。
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