JP4544029B2 - 携帯端末、ストリーミング通信システム、ストリーミング通信方法及びストリーミング通信プログラム - Google Patents

携帯端末、ストリーミング通信システム、ストリーミング通信方法及びストリーミング通信プログラム Download PDF

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Description

本発明は、携帯端末、ストリーミング通信システム、ストリーミング通信方法及びストリーミング通信プログラムに関し、特に、ストリーミング通信の実行判定を行う携帯端末、ストリーミング通信システム、ストリーミング通信方法及びストリーミング通信プログラムに関する。
近年、携帯電話などの携帯端末において、RTP(Real-time Transport Protocol)ストリーミングによる動画配信(音声配信)が行われている。
ストリーミングとは、インターネットなどのネットワークから動画データや音声データを配信するときに、ユーザがデータファイルをダウンロードし終えてからデータ再生を行うのではなく、ダウンロードしながらデータ再生を行うことである。一般に、動画データや音声データはデータ量が大きいので、データファイルのダウンロードを待たずしてこれを再生できるストリーミングは非常に有用性に富むものとなっている。
このストリーミングに関する技術としては、以下のものが知られている。
特許文献1では、安定した動画像の伝送及び視聴を目的として、動画像データを、通信環境によって変化する通信帯域と端末の処理能力とに基づく最適な符号化パラメータで変換して各端末に送信するサーバ、ゲートウェイが提案されている。
また、特許文献2では、AVデータなどの複数の連続メディアデータ伝送に際し、受信側で再生開始までに必要なバッファリング量を減少させ再生遅延の短縮を図るために、連続メディアデータの同期再生情報等の情報に基づいて同期関係にあるメディアデータの各パケットの送信優先順位を算出し、この送信優先順位に基づいてRTPパケットを受信端末に送信するパケットデータ中継装置が提案されている。
また、特許文献3では、1つのオーディオビデオデータ(動画像データ)における、指定された、第1及び第2の再生区間(クリップ)に対応するデータを途切れなく再生するために、サーバに対して第1、第2のクリップの再生要求を発行することのできるデータ受信再生装置が提案されている。
特開2001−313937号公報 特開2002−319971号公報 特開2002−176609号公報
このようなRTPストリーミングにおいてはUDP(User Datagram Protocol)を使用しているが、UDPにはデータの再送機能がないので、ストリーミング通信を行うの際には適度な回線速度を確保しておくことが必要となる。この適度な回線速度とは、再生対象コンテンツのビットレート値よりも大きい値のことである。適度な回線速度が確保されていない場合には、再生対象コンテンツを正常に再生することができず、また、再生できないにもかかわらずデータ通信のパケット料金が課金されてしまうのでユーザに非常に不利益なものとなってしまう。
ストリーミング通信を行うのに適度な回線速度が確保されているか否かは外観からは判断できないので、ユーザはストリーミング通信の実行可否の判断を行うことができず、ストリーミング通信の実行について消極的にならざるを得ない。
また、上述の従来技術についても、通信が可能であることを前提とした技術であるのでこの点を考慮しておらず、やはりユーザはストリーミング通信の実行可否の判断を行うことができない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ストリーミング通信時に適度な回線速度が確保されていない場合に、正常な再生ができずにパケット料金だけが課金されてしまうことを避けることのできる携帯端末、ストリーミング通信システム、ストリーミング通信方法及びストリーミング通信プログラムを提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、無線回線を介してコンテンツサーバから伝送されるコンテンツデータをストリーミング再生する携帯端末であって、データの送受信を行う通信手段と、通信状態についての情報を取得し、保持する通信状態情報保持手段と、前記コンテンツデータをストリーミング再生するのに必要なビットレート値である通信ビットレート値を、前記コンテンツサーバから取得する通信ビットレート値取得手段と、前記通信状態保持手段が保持する通信状態情報に基づいて、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する実効ビットレート値算出手段と、を有し、ストリーミング通信を行う前に、前記通信ビットレート値と前記実効ビットレート値とを比較判定し、前記実効ビットレート値が前記通信ビットレート値よりも大きい場合には、前記ストリーミング通信を行い、前記通信ビットレート値が前記実効ビットレート値よりも大きい場合には、前記コンテンツサーバとの通信を終了し、前記ストリーミング通信を行わないことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の携帯端末において、前記実効ビットレート値は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の携帯端末において、記実効ビットレート値は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値から、所定の値を減算したものであることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記所定の値は、前記携帯端末のアプリケーションが要するビットレート値であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、無線回線を介してコンテンツサーバから伝送されるコンテンツデータを携帯端末においてストリーミング再生するストリーミング通信システムであって、前記携帯端末は、データの送受信を行う通信手段と、通信状態についての情報を取得し、保持する通信状態情報保持手段と、前記コンテンツデータをストリーミング再生するのに必要なビットレート値である通信ビットレート値を、前記コンテンツサーバから取得する通信ビットレート値取得手段と、前記通信状態保持手段が保持する通信状態情報に基づいて、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する実効ビットレート値算出手段と、を有し、前記コンテンツサーバは、コンテンツデータと、前記コンテンツデータに対応して付されるコンテンツデータ制御情報と、を有し、前記コンテンツデータのストリーミング通信を行う際には、前記携帯端末は、前記通信手段を介して前記コンテンツサーバに対して前記コンテンツデータの取得要求を行い、前記コンテンツサーバは、前記コンテンツデータの取得要求に対する応答と、前記コンテンツデータ制御情報と、を前記携帯端末に送信し、前記携帯端末は、前記通信ビットレート値取得手段を用いて、前記コンテンツデータ制御情報から前記通信ビットレート値を取得し、前記実効ビットレート値算出手段を用いて、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出し、前記通信ビットレート値と前記実効ビットレート値とを比較判定し、前記実効ビットレート値が前記通信ビットレート値よりも大きい場合には、前記ストリーミング通信を行い、前記通信ビットレート値が前記実効ビットレート値よりも大きい場合には、前記コンテンツサーバとの通信を終了し、前記ストリーミング通信を行わないことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載のストリーミング通信システムにおいて、前記実効ビットレート値は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項5記載のストリーミング通信システムにおいて、前記実効ビットレート値は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値から、所定の値を減算したものであることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項7記載のストリーミング通信システムにおいて、前記所定の値は、前記携帯端末のアプリケーションが要するビットレート値であることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、無線回線を介してコンテンツサーバから伝送されるコンテンツデータを携帯端末においてストリーミング再生するストリーミング通信方法であって、前記携帯端末において、前記携帯端末から前記コンテンツサーバに対して前記コンテンツデータの取得要求を行う第1の工程と、前記コンテンツサーバにおいて、前記第1の工程における前記コンテンツデータの取得要求に対する応答と、前記コンテンツデータのビットレート値と、を前記コンテンツサーバから前記携帯端末に送信する第2の工程と、前記携帯端末において、前記無線回線への通信状態から、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する第3の工程と、前記第2の工程で得られた前記コンテンツデータのビットレート値と、前記第3の工程で得られた前記実効ビットレート値と、を比較判定する第4の工程と、前記第4の工程で前記実効ビットレート値が前記コンテンツデータのビットレート値よりも大きいと判定された場合に、前記コンテンツデータのストリーミング再生を実行する第5の工程と、前記第4の工程で前記コンテンツデータのビットレート値が前記実効ビットレート値よりも大きいと判定された場合に、前記コンテンツサーバとの通信を終了する第6の工程と、を有することを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項9記載のストリーミング通信方法において、前記第6の工程後に、前記ストリーミング通信が実行不可能であった旨を表示出力する第7の工程をさらに有することを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項9または10に記載のストリーミング通信方法において、前記第3の工程は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算することで、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する工程であることを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項9または10に記載のストリーミング通信方法において、前記第3の工程は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値から所定の値を減算することで、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する工程であることを特徴とする。
請求項13記載の発明は、無線回線を介してコンテンツサーバから伝送されるコンテンツデータを携帯端末においてストリーミング再生する通信系において、前記携帯端末に、前記携帯端末から前記コンテンツサーバに対して前記コンテンツデータの取得要求を行う第1の処理を実行させ、前記コンテンツサーバに、前記第1の処理における前記コンテンツデータの取得要求に対する応答と、前記コンテンツデータのビットレート値と、を前記コンテンツサーバから前記携帯端末に送信する第2の処理を実行させ、前記携帯端末に、前記無線回線への通信状態から、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する第3の処理と、前記第2の処理で得られた前記コンテンツデータのビットレート値と、前記第3の処理で得られた前記実効ビットレート値と、を比較判定する第4の処理と、前記第4の処理で前記実効ビットレート値が前記コンテンツデータのビットレート値よりも大きいと判定された場合に、前記コンテンツデータのストリーミング再生を実行する第5の処理と、前記第4の処理で前記コンテンツデータのビットレート値が前記実効ビットレート値よりも大きいと判定された場合に、前記コンテンツサーバとの通信を終了する第6の処理と、を実行させることを特徴とするストリーミング通信プログラムである。
請求項14記載の発明は、請求項13記載のストリーミング通信プログラムにおいて、前記第6の処理後に、前記ストリーミング通信が実行不可能であった旨を表示出力する第7の処理をさらに実行させることを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項13または14記載のストリーミング通信プログラムにおいて、前記第3の処理は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算することで、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する処理であることを特徴とする。
請求項16記載の発明は、請求項13または14記載のストリーミング通信プログラムにおいて、前記第3の処理は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値から所定の値を減算することで、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する処理であることを特徴とする。
本発明により、ストリーミング通信時に、ストリーミング通信を行うことができる場合にはストリーミング通信を実行し、ストリーミング通信を行うことができない場合にはストリーミング通信を実行せずに通信処理を抜けるので、余計なパケット通信をすることなくなりユーザに資することが可能となる。
<通信システム>
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における通信システムの構成を示す。
本実施形態の通信システムは、携帯端末10とコンテンツサーバ30とから構成され、両者は無線回線40で接続される。なお、図1においては、説明の簡略化のため、携帯端末10とコンテンツサーバ30を1対1に対応させたシステム構成を提示しているが、システム構成はこの形態に限定されるものではなく、1対多、多対多のシステム構成であっても何ら問題はない。
<携帯端末>
携帯端末10は、CPU11と、通信手段としての無線通信部12と、通信状態情報保持手段としての通信状態情報保持部13と、RTSP処理部14と、SDP処理部15と、通信ビットレート値取得手段としての通信ビットレート値取得部16と、実効ビットレート値算出手段としての実効ビットレート値算出部17と、比較判定部18と、RTP処理部19と、復号処理部20と、表示・出力部21と、を有する。
CPU(Central Processing Unit)11は、携帯端末10に構成された各部の制御を行う。
無線通信部12は、無線回線40を介して、外部装置(本実施形態ではコンテンツサーバ30)とデータのやり取りを行う。
通信状態情報保持部13は、無線通信部12が使用しているCS値を検知し、該CS値を保持する。また、無線通信部12が使用可能なダウンリンクスロット数を常時検知し、該スロット数を保持する。なお、CS(Coding Scheme)とは符号体系のことであり、ここでは1スロットあたりのパケットの伝送能力、すなわちビットレート値を定義する。また、ダウンリンク(Downlink)とは、通信回線の下り方向(ネットワークからユーザ端末方向)の回線のことであり、ダウンリンクスロット数とは、マルチスロット通信におけるダウンリンクにおいて、1キャリア(本実施形態では、携帯端末)が使用することのできるスロット数のことである。
RTSP処理部14は、コンテンツサーバ30とRTSPパケットの送受信を行う。なお、RTSP(Real Time Streaming Protocol)とは、RFC2326において規定される、オーディオデータやビデオデータ等のコンテンツデータを実時間転送(ストリーミング)するためのプロトコルのことである。
SDP処理部15は、コンテンツサーバ30から取得したSDP情報32の解析処理を行う。なお、SDP(Session Description Protocol)とは、RFC2327において規定される、圧縮方式やビットレート値(帯域情報)等のデータ制御情報を記述するためのプロトコルである。
通信ビットレート値取得部16は、コンテンツデータ31をストリーミング再生するのに必要なビットレート値(以下、「通信ビットレート値」と表記する)を取得し、これを保持する。なお、この通信ビットレート値は上述のSDP情報32に記載されており、通信ビットレート値取得部16は、SDP処理部15によるSDP情報の解析結果を得ることで通信ビットレート値を取得する。
実効ビットレート値算出部17は、通信状態情報保持部13が保持するCS値およびダウンリンクスロット数から、携帯端末10が実現・達成することのできる「実効ビットレート値」を算出し、これを保持する。この実効ビットレート値は、CS値に対応するビットレート係数とダウンリンクスロット数を積算することで算出する。この実効ビットレート値の算出処理については、後で詳細に説明する。
比較判定部18は、通信ビットレート値取得部16に保持される通信ビットレート値と、実効ビットレート値算出部17により保持される実効ビットレート値とを比較判定し、比較判定結果をCPU11に送信する。
RTP処理部19は、コンテンツサーバ30から取得したRTPパケットを解析して符号化フレームデータに変換し、これを復号処理部20に送信する。なお、RTP(Real-time Transport Protocol)とは、RFC1889において規定される、オーディオデータやビデオデータ等のコンテンツデータを実時間転送(ストリーミング)するためのプロトコルのことである。
復号処理部20は、RTP処理部19からフレームデータを取得し、このデータに対して復号処理を行う。
表示・出力部21は、ディスプレイ表示やスピーカ音源などを制御して、復号処理部20において復号されたコンテンツデータ31を再生する。また、コンテンツデータ31を再生することができない場合に、その旨をユーザに伝える。
<コンテンツサーバ>
コンテンツサーバ30は、ストリーミング用のコンテンツデータ31を有する。コンテンツデータ31には、SDP情報32がそれぞれに対応して付されている。このSDP32情報とは、SDPで記述された圧縮方式やビットレート値(帯域情報)等のデータ制御情報のことである。なお、1つのコンテンツサーバ30が持つコンテンツデータ31は複数であってもかまわない。
<無線回線>
無線回線40は、GPRS(General Packet Radio System)に準拠する。なお、GPRSとは、携帯電話の伝送方式GSM(Global System for Mobile Communication)をベースとしたワイヤレスパケットシステムのことである。
<ストリーミング通信処理制御>
次に、図2を参照して、本実施形態の通信システムにおけるストリーミング通信処理制御について説明する。図2は、本実施形態の通信システムにおけるストリーミング通信処理制御のフローを示す。
携帯端末10からコンテンツサーバ30が有するコンテンツデータ31にアクセスする際には、携帯端末10のRTSP処理部14はコンテンツサーバ30に対してRTSPパケットでのDESCRIBEメッセージを送信する(ステップS1)。
コンテンツサーバ30は、携帯端末10からDESCRIBEメッセージを受信すると、その応答としてRTSPパケットでのOK応答を携帯端末10に送信する(ステップS2)。このOK応答のRTSPパケット送信の際に、通信対象のコンテンツデータ31の圧縮方式やビットレート値(帯域情報)等のデータ制御情報が記述されたSDP情報32も一緒に送信する。
上記のSDP情報において、コンテンツデータのビットレート値(帯域情報)については、“b=<modifier>:<bandwidth-value>”の形式で記述され、この<bandwidth-value>の箇所にkbps(kilo bit per second)の単位でビットレート値が記述される。
コンテンツサーバ30からのOK応答を受信すると、携帯端末10のCPU11は、対象コンテンツのストリーミング通信を実行するか否かの判定を行う。具体的には、「通信ビットレート値」と「実効ビットレート値」とを取得し(ステップS3、S4)、両者を比較判定し(ステップS5)、その判定結果によりストリーミング通信を実行するか否かを決定する。
以下、ストリーミング通信の実行判定処理について詳細に説明する。
ステップS3においては、判定処理の判定材料の一方である「通信ビットレート値」を取得する。通信ビットレート値とは、コンテンツデータをストリーミング再生するのに必要なビットレート値のことである。
通信ビットレート値については、ステップS2において応答メッセージと一緒に送られてきたSDP情報32を解析処理することで取得する。具体的には、取得したSDP情報32をSDP処理部15において解析し、これにより得られたビットレート値を「通信ビットレート値」として通信ビットレート値取得部16において取得し保持する。
ステップS4においては、判定処理の判定材料の他方である「実効ビットレート値」を算出する。実効ビットレート値とは、携帯端末10が実現・達成することのできるビットレート値のことである。
実効ビットレート値の算出処理について、詳細に説明する。まず、携帯端末10の実効ビットレート値算出部17は、通信状態情報保持部13から、携帯端末10のCS値とダウンリンクスロット数を取得する。次に、実効ビットレート値算出部17に記憶されるビットレート係数変換表を用いて、CS値に対応するビットレート係数を求める。そして、得られたビットレート係数とダウンリンクスロット数とを積算することで、実効ビットレート値を算出する。
図3に、ビットレート係数変換表の一例を示す。ビットレート係数変換表において規定される各ビットレート係数は、使用可能なダウンリンクスロット数が“1”の場合においてのIPパケットレベルでの実効ビットレート値を表す。よって、ビットレート係数とダウンリンクスロット数とを掛け合わせることで、その時点(算出処理時)においてのIPパケットレベルでの実効ビットレート値が算出されることになる。
ステップS5においては、ステップS3で得られた「通信ビットレート値」とステップS4で得られた「実効ビットレート値」とを比較判定し、その判定結果によりストリーミング通信を実行するか否かを決定する。具体的には、携帯端末10の比較判定部18において、通信ビットレート値取得部16に保持される通信ビットレート値と、実効ビットレート値算出部17により保持される実効ビットレート値とを比較判定し、比較判定結果をCPU11に送信する。
ステップS5における比較判定の結果、通信ビットレート値よりも実効ビットレート値のほうが大きい場合には(ステップS6/Yes)、ストリーミング通信を問題なく行える回線速度が確保されていると判断し、RTSP処理部14はコンテンツサーバ30に対してRTSPパケットでのSETUPメッセージを送信する(ステップS7)。コンテンツサーバ30は、このSETUPメッセージに対応するOK応答をRTSPパケットで携帯端末10に送信する(ステップS8)。
携帯端末10のRTSP処理部14は、このOK応答を受信後、該当コンテンツデータ31のPLAYメッセージをRTSPパケットでコンテンツサーバ30に送信する(ステップS9)。コンテンツサーバ30は、PLAYメッセージに応答するOK応答を、RTSPパケットで送信する(ステップS10)。また、コンテンツデータ31をRTPパケットで送信する。
携帯端末10は、RTPパケットでコンテンツデータ31を受信すると、RTP処理部19において、受信したRTPパケットを解析し符号化フレームデータに変換し、これを復号処理部20に送信する。復号処理部20は、RTP処理部19からフレームデータを取得し、このデータに対して復号処理を行う。そして、表示・出力部21によりディスプレイ表示やスピーカ音源などを制御し、復号処理部20において復号されたコンテンツデータ31を再生する。このようにしてストリーミング通信によるコンテンツデータ31の再生が行われる(ステップS11)。
他方、ステップS5における比較判定の結果、通信ビットレート値よりも実効ビットレート値のほうが小さい場合には(ステップS6/No)、ストリーミング通信を行うのに充分な回線速度が確保されていないためコンテンツデータ31の再生ができないと判断し、コンテンツサーバ30とのRTSP(TCP)コネクションを切断する(ステップS12)。また、ユーザに再生不可の旨を通知するため、表示・出力部21を用いて『帯域不足のため再生不可』のメッセージを表示出力し(ステップS13)、処理を抜ける。
本実施形態の通信システムにおけるストリーミング通信処理制御では、上述の処理によりストリーミング通信実施の際にストリーミング通信可能か否かを判断し、ストリーミング通信可能である場合にはストリーミング通信を実行し、ストリーミング通信不可である場合にはストリーミング通信処理を抜けるので、無駄なパケット通信を実行することがなくなりユーザに資することが可能となる。
なお、上述の実施形態においては、通信プロトコル・通信方式として具体的なプロトコル・方式を提示して説明したが、本実施形態の通信システムは上述の通信プロトコル・通信方式に限定されるものではなく、種々のプロトコル・方式を利用することができる。例えば、GPRSの代わりに、GPRSをさらに進化させたEGPRS(Enhanced General Packet Radio System)を用いてもよい。
また、上述の実施形態において、携帯端末10は、いわゆる携帯電話であっても、無線回線でネットワークに接続されるパソコン端末であってもよい。
また、上述の実施形態においては、ビットレート係数とダウンリンクスロット数とを積算した値を実効ビットレート値としているが、この際に一定の補正値を差し引いて計算する、すなわち、ビットレート係数とダウンリンクスロット数とを積算し、その値から一定の補正値(所定値)を差し引いたものを「実効ビットレート値」とするとさらに好ましい。この一定の補正値については特に数値限定はしないが、他のアプリケーションが要するビットレート値程度の値でよい。このように実効ビットレート値を算出することにより、携帯端末10の実効ビットレート値の限界値でのストリーミング通信を実行することがなくなるので、通信制御に余裕を持たせることが可能となる。
なお、上述の実施形態の説明においては通信システムを基礎として説明したが、本発明は通信システムのみに係るものではなく、上記の通信システムに用いられる携帯端末、上記の通信制御処理を用いたストリーミング通信方法、携帯端末およびコンテンツサーバに上記の通信処理を実行させるストリーミング通信プログラムにも係るものである。
上述の携帯端末、ストリーミング通信システム、ストリーミング通信方法及びストリーミング通信プログラムについての実施形態はあくまで一実施形態であり、本発明の内容を制約するものではない。よって、本発明の技術思想および見地の範囲での種々の変更、修正、省略がなされることは想定の範囲内である。本発明は、特許請求の範囲およびその均等物として限定されるものについてのみ制約される。
本実施形態の通信システムを示す図である。 本実施形態のストリーミング通信処理制御のフローを示す図である。 ビットレート係数変換表を示す図である。
符号の説明
10 携帯端末
11 CPU
12 無線通信部
13 通信状態情報保持部
14 RTSP処理部
15 SDP処理部
16 通信ビットレート値取得部
17 実効ビットレート値算出部
18 比較判定部
19 RTP処理部
30 コンテンツサーバ
31 コンテンツデータ
32 SDP情報
40 無線回線

Claims (16)

  1. 無線回線を介してコンテンツサーバから伝送されるコンテンツデータをストリーミング再生する携帯端末であって、
    データの送受信を行う通信手段と、
    通信状態についての情報を取得し、保持する通信状態情報保持手段と、
    前記コンテンツデータをストリーミング再生するのに必要なビットレート値である通信ビットレート値を、前記コンテンツサーバから取得する通信ビットレート値取得手段と、
    前記通信状態保持手段が保持する通信状態情報に基づいて、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する実効ビットレート値算出手段と、を有し、
    ストリーミング通信を行う前に、前記通信ビットレート値と前記実効ビットレート値とを比較判定し、
    前記実効ビットレート値が前記通信ビットレート値よりも大きい場合には、前記ストリーミング通信を行い、
    前記通信ビットレート値が前記実効ビットレート値よりも大きい場合には、前記コンテンツサーバとの通信を終了し、前記ストリーミング通信を行わないことを特徴とする携帯端末。
  2. 前記実効ビットレート値は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値であることを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
  3. 前記実効ビットレート値は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値から、所定の値を減算したものであることを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
  4. 前記所定の値は、前記携帯端末のアプリケーションが要するビットレート値であることを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
  5. 無線回線を介してコンテンツサーバから伝送されるコンテンツデータを携帯端末においてストリーミング再生するストリーミング通信システムであって、
    前記携帯端末は、
    データの送受信を行う通信手段と、
    通信状態についての情報を取得し、保持する通信状態情報保持手段と、
    前記コンテンツデータをストリーミング再生するのに必要なビットレート値である通信ビットレート値を、前記コンテンツサーバから取得する通信ビットレート値取得手段と、
    前記通信状態保持手段が保持する通信状態情報に基づいて、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する実効ビットレート値算出手段と、を有し、
    前記コンテンツサーバは、
    コンテンツデータと、
    前記コンテンツデータに対応して付されるコンテンツデータ制御情報と、を有し、
    前記コンテンツデータのストリーミング通信を行う際には、
    前記携帯端末は、前記通信手段を介して前記コンテンツサーバに対して前記コンテンツデータの取得要求を行い、
    前記コンテンツサーバは、前記コンテンツデータの取得要求に対する応答と、前記コンテンツデータ制御情報と、を前記携帯端末に送信し、
    前記携帯端末は、
    前記通信ビットレート値取得手段を用いて、前記コンテンツデータ制御情報から前記通信ビットレート値を取得し、
    前記実効ビットレート値算出手段を用いて、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出し、
    前記通信ビットレート値と前記実効ビットレート値とを比較判定し、
    前記実効ビットレート値が前記通信ビットレート値よりも大きい場合には、前記ストリーミング通信を行い、
    前記通信ビットレート値が前記実効ビットレート値よりも大きい場合には、前記コンテンツサーバとの通信を終了し、前記ストリーミング通信を行わないことを特徴とするストリーミング通信システム。
  6. 前記実効ビットレート値は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値であることを特徴とする請求項5記載のストリーミング通信システム。
  7. 前記実効ビットレート値は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値から、所定の値を減算したものであることを特徴とする請求項5記載のストリーミング通信システム。
  8. 前記所定の値は、前記携帯端末のアプリケーションが要するビットレート値であることを特徴とする請求項7記載のストリーミング通信システム。
  9. 無線回線を介してコンテンツサーバから伝送されるコンテンツデータを携帯端末においてストリーミング再生するストリーミング通信方法であって、
    前記携帯端末において、
    前記携帯端末から前記コンテンツサーバに対して前記コンテンツデータの取得要求を行う第1の工程と、
    前記コンテンツサーバにおいて、
    前記第1の工程における前記コンテンツデータの取得要求に対する応答と、前記コンテンツデータのビットレート値と、を前記コンテンツサーバから前記携帯端末に送信する第2の工程と、
    前記携帯端末において、
    前記無線回線への通信状態から、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する第3の工程と、
    前記第2の工程で得られた前記コンテンツデータのビットレート値と、前記第3の工程で得られた前記実効ビットレート値と、を比較判定する第4の工程と、
    前記第4の工程で前記実効ビットレート値が前記コンテンツデータのビットレート値よりも大きいと判定された場合に、前記コンテンツデータのストリーミング再生を実行する第5の工程と、
    前記第4の工程で前記コンテンツデータのビットレート値が前記実効ビットレート値よりも大きいと判定された場合に、前記コンテンツサーバとの通信を終了する第6の工程と、を有することを特徴とするストリーミング通信方法。
  10. 前記第6の工程後に、前記ストリーミング通信が実行不可能であった旨を表示出力する第7の工程をさらに有することを特徴とする請求項9記載のストリーミング通信方法。
  11. 前記第3の工程は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算することで、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する工程であることを特徴とする請求項9または10に記載のストリーミング通信方法。
  12. 前記第3の工程は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値から所定の値を減算することで、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する工程であることを特徴とする請求項9または10に記載のストリーミング通信方法。
  13. 無線回線を介してコンテンツサーバから伝送されるコンテンツデータを携帯端末においてストリーミング再生する通信系において、
    前記携帯端末に、前記携帯端末から前記コンテンツサーバに対して前記コンテンツデータの取得要求を行う第1の処理を実行させ、
    前記コンテンツサーバに、前記第1の処理における前記コンテンツデータの取得要求に対する応答と、前記コンテンツデータのビットレート値と、を前記コンテンツサーバから前記携帯端末に送信する第2の処理を実行させ、
    前記携帯端末に、
    前記無線回線への通信状態から、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する第3の処理と、
    前記第2の処理で得られた前記コンテンツデータのビットレート値と、前記第3の処理で得られた前記実効ビットレート値と、を比較判定する第4の処理と、
    前記第4の処理で前記実効ビットレート値が前記コンテンツデータのビットレート値よりも大きいと判定された場合に、前記コンテンツデータのストリーミング再生を実行する第5の処理と、
    前記第4の処理で前記コンテンツデータのビットレート値が前記実効ビットレート値よりも大きいと判定された場合に、前記コンテンツサーバとの通信を終了する第6の処理と、を実行させることを特徴とするストリーミング通信プログラム。
  14. 前記第6の処理後に、前記ストリーミング通信が実行不可能であった旨を表示出力する第7の処理をさらに実行させることを特徴とする請求項13記載のストリーミング通信プログラム。
  15. 前記第3の処理は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算することで、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する処理であることを特徴とする請求項13または14に記載のストリーミング通信プログラム。
  16. 前記第3の処理は、前記携帯端末の1スロットあたりのビットレート値に前記携帯端末の使用可能なダウンリンクスロット数を積算した値から所定の値を減算することで、前記携帯端末が達成しうる実効ビットレート値を算出する処理であることを特徴とする請求項13または14に記載のストリーミング通信プログラム。
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