JP4541755B2 - 発熱パイプとこれを利用した機器 - Google Patents

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Description

本発明は、金属パイプの表面に電気絶縁性セラミックスのプラズマ溶射層と、この溶射層の上に電気伝導性セラミックスのプラズマ溶射層を積層形成し、この電気伝導性セラミックス溶射層の電気抵抗による発熱特性を利用した発熱パイプ及びこの発熱パイプを利用した機器を提供するものである。
1)電熱ヒーター
面状あるいは線状の電熱ヒーターは、各種の魚焼器や炒め物などをする熱板などの調理器、また、局部加熱する小型の暖房装置などに使用されている。この用途に使用される電熱式ヒーターは、ニクロム線を封入したシーズヒーターや耐熱ガラスパイプの内部にニクロム線を収容したものが周知である。
2)冷凍倉庫用冷凍機の熱交換器
冷凍機で冷却された冷媒で冷却する冷凍倉庫の内部には水分を多量に含む魚類や肉類や野菜類などの食品が収納されている場合が多く、そのためにその食品を低温で保管している間に多量の水分が蒸発する。その結果、冷凍機の熱交換器のパイプダクトの内面に水分が付着凍結して熱交換が困難となり、冷却能力を失うことになる(例えば、特許文献1参照)。
3)電気抵抗変化の大きい電熱ヒーター
近時、冬季の室温調節に室内空気を乱さない利点が認められて床暖房装置が広く実施されている。これには電気暖房式と温水暖房式とがあるが、前者は温度制御が容易であることとメンテナンスが簡単である点に優れているが、電気代がやや高くなるという問題がある。これに対して後者はガス代が安いことから稼働コストが低という特徴があるが、ボイラや床構造内の配管の寿命が8年程度と短く、従って、短期間にボイラや温水パイプの交換などを行なわなけれぱならない点が欠点である。
この電気式床暖房装置に使用される耐久性に優れ、安全性の高い発熱体として、熱可塑性樹脂とカーボン微粉末を使用した面状発熱ヒーターであって、温度上昇に応じて抵抗が大きく変化する特性(PTC特性)を持ったものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
実開平5−47730号公報 特公昭55−31598号公報
1)電熱ヒーター
各種の電熱ヒーターは、ニクロム線の電気抵抗を利用したものであるが、ニクロム線の電気抵抗は温度の上昇と共に上昇するが、この上昇の勾配は一定で変化率が小さいもので、従って、ヒーターの温度が上昇すると、更に上昇する特性を持っており、最後にはニクロム線が溶断するまで温度上昇する危険性がある。そこでこのような事故を防止するために温度ヒューズやサーモスタットなどの安全装置を設ける必要があった。
電熱ヒーターを安全に作動させるためには、温度が特定の範囲より上昇すると、急激に抵抗値が増加し、その結果、自動的に電流が抑制される、いわゆる正の温度特性(PTC特性)を持っていることが好ましいが、通常の電熱ヒーターにはこのような特性を持つものはなく、従って、電熱加熱ヒーターは温度ヒューズやサーモスタットなどの安全装置が必要であったのである。
2)冷凍倉庫の冷凍機の熱交換器
冷凍倉庫においては保管している食料品より多量の水分が発生するので、この倉庫を冷却するための冷凍機やダクトの冷却されている部分に、室内の空気中の水分が付着氷結して伝熱不良や通風不良を発生する。これを解消する方法としては、例えば、「ドーワテクノ工業株式会社」(福岡市)の“カタログ”あるいは平成16年2月19日の空調タイムスの記事などに記載されているように、冷凍機を所定時間、例えば12時間作動させ、次の12時間は冷凍機を休止する、「作動〜休止運転〜作動」交互運転ないし間歇運転が実施されている。
このように冷凍機が作動・停止を繰り返すことにより冷凍機の稼働率は1/2以下にならざるを得ない。更に、この交互運転を実施するために、多数の冷凍機を設置する必要があり、極めて効率が悪い冷凍倉庫とならざるを得なかった。
また、前記特許文献1に記載された技術は、通常の冷房温度より高い温度で氷結状態を保持する蓄熱材の状態変化するカプセル状の蓄熱媒体を使用するものであるが、これも冷凍機の熱交換器の氷結問題を解消する方法を提案するものではない。
更に、本発明者は、冷凍庫用冷風装置の氷結問題を解消する方法として、冷風噴出筒の周囲に面状電熱ヒーターを設けた装置を提案しているが、しかし、この発明は、前記熱交換器の伝熱管の氷結問題を解消する方法を提案するものではない(特願2003−33731号)。
3)電気抵抗変化の大きい電熱ヒーター
床暖房装置は電気暖房式と温水暖房式のものが提案実施されているが、電気暖房式のものとしては、前記特許文献2に記載されているように熱可塑性合成樹脂とカーボン微粉末を使用した面状発熱体(面状発熱ヒーター)が提案されている。
この面状発熱ヒーターは、所定の温度において電気抵抗が急上昇する、いわゆる正の温度特性(PTC)を持っており、床暖房装置に適した安全な面状発熱ヒーターとしてかなり以前から有効に使用されている。しかしながら、この面状発熱ヒーターはシート状であっても、発熱部の幅が20cm以上で、2〜3mm程度の厚さがあり、従って、取り扱い性が悪くて床暖房装置などに使用することができても、小型の装置の加熱手段として組み込むことができないものである。
前記課題を解決するための本発明に係る電気抵抗発熱体と冷凍機用熱交換器は次のように構成されている。
1)本発明に係る発熱パイプは、金属製パイプの表面に電気絶縁性セラミックス層からなる第1溶射層と、この第1溶射層の上に電気伝導性セラミックス層からなる、前記金属製パイプの熱膨脹により配列が変形する石垣状の構造の第2溶射層を積層形成し、この第2溶射層に間隔をおいて電極を固定し、この電極間に通電して前記第2溶射層を発熱させるように構成し、前記金属製パイプの温度上昇に伴う熱膨脹による前記第2溶射層の電気抵抗の変化にPTC特性を持たせたことを特徴としている。
2)本発明に係る発熱パイプは、1)の発熱パイプにおいて、前記金属製パイプをアルミニウムで形成したことを特徴とする。
3)本発明に係る発熱パイプは、1)又は2)の発熱パイプにおいて、前記第1溶射層はムライト系セラミックスを主成分とする層であり、更に、第2溶射層は酸化チタンを主成分とする層であることを特徴としている。
4)本発明に係る発熱パイプは、2)の発熱パイプにおいて、前記第1溶射層の厚さは70〜250μ、第2溶射層の厚さ20〜100μであることを特徴としている。
5)本発明に係る凍機用熱交換器は、表面に氷結が発生する熱交換器の金属製の熱交換用パイプの表面に、電気絶縁性のセラミックス層からなる第1溶射層と電気伝導性セラミックス層からなる、前記金属製の熱交換用パイプの熱膨脹により配列が変形する石垣状の構造の第2溶射層を積層形成し、前記第2溶射層に通電して熱交換用パイプを加熱するように構成し、前記熱交換用パイプの温度上昇に伴う熱膨脹による前記第2溶射層の電気抵抗の変化にPTC特性を持たせたことを特徴とする。
6)また、前記冷凍機用熱交換器は、冷凍倉庫に設置されることを特徴としている。 本発明に係る発熱パイプは、好ましくはアルミニウムパイプをベース材料として使用し、その表面に電気絶縁層としてムライト系セラミックスからなる第1溶射層と、この第1溶射層の上に電気伝導層として酸化チタンを主成分とする第2溶射層を積層形成し、更に必要に応じてこの第2溶射層の上に電気絶縁層である第3溶射層を積層形成して構成している。
第1溶射層(絶縁層)を構成する溶射層は、ムライト(3AL2 O3 ・2SiO2 )を主成分とするのが好ましく、このセラミックスの融点は1850℃で共有結合性が高く、高純度で粒子径が1〜2μmの微粉末から製造されたものである。微細な組織を持ち、高温強度と耐クリープ性に優れている。また、溶射によって金属パイプの表面に薄層を形成でき、500℃以下、特に450℃以下で優れた電気絶縁性を有しており、安定なヒーター用絶縁層として使用することができる。
また、第2層を構成する酸化チタン(TiO2 )は、融点が1870℃で電気伝導性を持っており、600〜1000℃の加熱温度範囲で多量の遠赤外線を放射できる特性を持っている。
本発明の発熱パイプのベース材料として使用する金属パイプは、鉄やステンレス製を使用できるが、好ましくは熱膨張率の大きな金属パイプ、特に、アルミニウムパイプを使用し、その表面に、少なくとも電気絶縁層と電気伝導層をセラミックス溶射によって二重に形成した点に特徴がある。
また、アルミニウムパイプなどの熱膨張率の大きな金属パイプの表面にセラミックス層を積層構造に形成し、温度変化による前記金属パイプの熱膨張により、このセラミックス層の伸縮でセラミックス層の電気的特性、特に温度上昇と共に抵抗を大きく上昇させ、それに対応してヒーター層を通過する電流を積極的に制限するように構成した点にも特徴がある。
本発明に係る発熱パイプは、その表面に少なくとも2層のセラミックス溶射層を形成した微細構造を持っており、高温で発熱させることが可能であるが、安定した特性を長時間発揮させるために、常用温度範囲を450℃以下とする。この温度範囲は、特に魚や肉を調理できる温度から冷凍庫の熱交換器の作動温度までの広い範囲をカバーするものである。
第1溶射層と第2溶射層の厚みについては制限がある。
即ち、耐熱性の電気絶縁層である第1溶射セラミックス層の厚さは70μ〜200μが適当である。この第2溶射層が70μより薄いと絶縁性が低下し、漏電の危険性がある。また、200μより厚いと金属パイプの熱膨張と共に微細な亀裂が発生してヒーターとしての機能劣化させる恐れがある。
電気伝導層(電気抵抗層)である第2溶射層の厚さは、20μ〜100μの範囲が好ましく、20μより薄いと抵抗値が必要以上に高く、安定性に欠けている。また、100μを超過すると温度変化に対応して変化する金属パイプの伸縮に追従することが困難となり、亀裂が発生して発熱量が不安定となり、最後には断線するからである。
アルミニウムパイプ等の膨張率の高い金属をベース材料とし、その表面に高温耐熱性と電気絶縁性のあるムライト(3Al2 3 ・2SiO2 )の微粉末をプラズマ溶射して第1溶射層を形成する。
そしてこの第1溶射層の上に通電発熱する酸化チタン(TiO2 )からなる第2溶射層を形成する。更に、必要に応じてこの第2溶射層の上に第3溶射層として第1溶射層と同種の絶縁性のある溶射層を形成するのが好ましい。
従って、この第2溶射層をセラミックス電気抵抗ヒーターに形成することができ、これに通電して安定して発熱させることができる。この第1溶射層の厚さは70〜250μ、第2溶射層の厚さは20〜100μの範囲で極く薄いセラミックス層を構成している。
この薄いセラミックス層が薄膜構造の電気ヒーターを構成しており、例えば、冷凍機の熱交換器の熱交換用パイプの表面にこの構造を採用すると、熱交換器内の通気空間を狭めることもなく、この熱交換用パイプを常時あるいは間歇的に良好に加熱して氷結を防止できる。
また、前記のような第2溶射層が電気抵抗発熱ヒーターとして作用して発熱することによって、ベース材料であるアルミニウムパイプが伸長し、その結果、その表面に形成されている絶縁層である第1溶射層と共に第2溶射層の電気抵抗発熱ヒーターが伸縮されてその抵抗が変化する。
この複合構造の溶射層を顕微鏡観察すると、セラミックス層を構成する粒状体同士が恰も「石垣状」に結合(配列)された構造になっている。そして前記アルミニウムパイプからなるベース材料が加熱されると大きく熱膨張し、この熱膨張と共に粒状体の石垣状の配列が僅かに変形する。その結果、ベース材料の温度上昇に追従して第2溶射層の電気抵抗値が大きく上昇することになる。
この第2溶射層の温度変化に対応する電気抵抗値の大きな変化は、「正の抵抗係数」、即ち、PTC特性を有していることを意味しており、この特性により電気抵抗ヒーターが所定の温度に加熱されると自動的に電流が制限され、それ以上の温度上昇を自動的に抑制する効果を発揮することができる。
このように電気抵抗ヒーター(発熱パイプ)自身が温度制御機能を有していることにより、温度センサーや温度フューズを省略でき、また、これを使用するとしても少数のもので安全性が図られるので極めて安価な加熱装置とすることができる。
本発明に係る発熱パイプの常用作動温度は450℃以下であり、実際の温度はその用途によって特定されるものである。例えば、この発熱パイプの中に魚を吊るして焼き調理する場合の温度は300℃〜250℃程度である。
また、本発明に係る発熱パイプを冷凍機の熱交換器に適用した場合は、その発熱温度はパイプに付着した氷が十分に融解できる温度、あるいは氷結を防止できる温度である。そしてこの発熱パイプの発熱部にセラミックス層を使用することで発熱部を厚い塗装した程度で薄膜化することができる。そして従来の装置のようにパイプの表面に電熱ヒーターを巻き付けたり、沿わせたりする構造のように、熱交換用パイプが太ることがなく、通気性を阻害しない熱交換器の氷結防止用の電熱ヒーターにできる。
このように本発明に係る発熱パイプを熱交換器の放熱パイプに適用することにより、従来の冷凍倉庫で行わざるを得なかった冷凍機の運転方法、例えば、12時間作動・12時間停止するようなオン・オフ制御を行う必要は全くない。
従って、冷凍機を常時作動させて冷凍庫内を連続して冷却できるので、従来の冷凍庫の冷凍機の運転に比較すると、冷凍機を小型化することができる。
先づ、本発明において適用した電気抵抗発熱体であるセラミックスヒーターに関する基礎的な知見について説明する。
例えば、サウナ装置のように比較的高温の発熱体より発生する放射エネルギーを人体の加熱などに使用できるように、ヒーターの放射面にセラミックス層をプラズマ溶射によって形成する方法が知られている。
この放熱面にセラミックス粉をプラズマ溶射して形成されたセラミックス層は、放射熱エネルギーを人体に吸収され易い波長に変換する性質があるので、優れた加熱装置を提供することができる。このセラミックス溶射層を顕微鏡で拡大して見るとセラミックス粒子の集合体であたかも石垣状に形成されている。
本発明者は、前記プラズマ溶射により形成されたセラミックス層の特徴、即ち、微粉体の石垣状の集合体である点に着目し、これを電熱ヒーターの特性を持たせることができないかどうかを検討した結果、本発明に到達したものである。
図1は、本発明の電気抵抗発熱体の基本構成を示すもので、他の金属よりも熱膨張率の大きなアルミニウム管2の表面にムライト(3Al2 3 ・2SiO2 )の第1溶射層3をプラズマ溶射により150μの厚さに形成し、その上に70μの厚さの酸化チタン(TiO2 )からなる第2溶射層4をプラズマ溶射により形成する。そしてこの第2溶射層4の両端の位置に環状の電極5、5aを固定して完成した電熱ヒーター1の上半分を断面したものを示している。
また、図2は、図1に示した電熱ヒーター1の一部を顕微鏡的に拡大した断面図であるが、この第1溶射層3と第2溶射層4とを拡大してみると、各層ともにセラミックスの微細な粒子からなる石垣状の集合体である。
そして電気絶縁層である第1層の厚さは、約70μ〜250μが好ましいが、この例においては150μの厚さを採用している。この厚さが70μより薄いと発熱層である第2溶射層4とアルミニウム管2との距離が少なくなって、十分な電気絶縁性を得ることができない傾向がある。また、200μより厚いと加熱・冷却を繰り返すことによって“ヒビ割れ”が発生して電気絶縁性が失なわれる可能性が大きい。
従って、第1溶射層3の厚さを前記範囲内のものを使用すると、通電によって発熱されてもヒビ割れや断層を発生することなく、安定して発熱させることができる。なお、第2溶射層4の厚さについては後述する。
この第2溶射層4(酸化チタン)に通電して発熱させると、次第にアルミニウム管2からなるベース材が加熱により熱膨脹し、このベース材料の膨脹はその表面に形成されている第1溶射層3と第2溶射層4が共に伸長することになる。
この現象について図3に温度変化に対応する電気抵抗の変化曲線の概念図を描いているが、例えば、この図3の温度1〜2の範囲は電気抵抗Rが3でほぼ一定しているが、温度Tが2〜3の間で急に上昇して電気抵抗Rが4〜6と大きく変化する。この抵抗Rが急激に上昇する特性は、前記した正の抵抗値変化であり、いわゆるPTC特性を持っていることを意味しており、この温度T/電気抵抗Rの変化は、ニクロム線などの特性とは全く異なる性質である。
また、図4は、アルミニウム管2の表面に形成されている発熱層である第2溶射層4の厚みと割れの関係の説明図である。各種の実験結果より、この第2溶射層4は20μ〜100μの範囲で、好ましくは50μから70μ程度の厚さがないと十分な発熱量を得ることができず、また、寿命も短い。
前記実験より理解できることは、アルミニウム管やアルミニウム板のような熱膨脹係数が鉄板やステンレス板に比較すると大きな金属材料をベース材料とし、その表面にプラズマ溶射によって少なくとも2層のセラミックス溶射層を形成し、この第2溶射層4を電気抵抗発熱体としているので、これに通電してベース材料の温度変化に伴なって、この第2溶射層に伸長作用を与える。その結果、第2溶射層が伸長して電気抵抗を変化させる特性があり、しかもこの電気抵抗の変化は、温度の上昇と共に上昇し、高温において急激に増加する性質、即ち、PTC特性を持っていることが分かる。
1)(実施例1)円筒形発熱体
図1は、円筒形加熱体である電熱ヒーター1で、例えば、この電熱ヒーター1を立てた状態で、1本あるいは2本程度のサンマなどを焼くのに便利な小型の魚焼器用ヒーターとして利用できるものである。
この電熱ヒーター1には直径が100mm、厚さが約3mm、長さが450mmのアルミニウム管2を使用し、その外表面に第1溶射層3として耐熱性を持ち、電気絶縁性の大きな“ムライト”をプラズマ溶射して厚さが150μの第1溶射層3を形成する。そしてこの上に酸化チタンをプラズマ溶射して厚さが50μの第2溶射層4を形成して電気抵抗加熱ヒーター1を形成した。
そして前記第2溶射層4の両端に、銅板をリング状に形成した電極5、5aを、距離400mmをおいて固定した。そして必要に応じて第2溶射層4の上に前記第1溶射層3と同じ材料のセラミックス層をプラズマ溶射して絶縁層である第3溶射層6を形成しても良い。なお、この第3溶射層6は、従来の石綿などの耐熱性の断熱材からなる被覆に代えることができる。
前記円筒形の電熱ヒーター1は100ボルトの電圧で消費電力は670Wであった。電極5,5aの間に100ボルトの電圧を印架して発熱させると、サンマ等の長い魚を焼き調理できる状態に発熱させることができた。
この焼き調理器は、アルミニウム管2の内面より放射される遠赤外線により魚を加熱するので、通常の魚焼器のように高温のガスに直接触れることがなく、また、表面だけ高温に加熱されるようなことはない。
なお、好ましい電熱ヒーター1の容量としては、100Vの電圧で、100W〜500W/mになるように第2溶射層4を形成するプラズマ溶融条件を調整しておくことが好ましい。
このようにして製造された円筒形の電熱ヒーター1を立てた状態とし、その上端の開口から支持具を利用して中程度の大きさの1本のサンマを吊り下げる。そして天井の開口部に開口率を変更できる回転式のシャッター板(図示せず)を配置してこれによって排気量を調節しながら焼き調理した。
その結果、このサンマは約20分で美味しく焼き調理することができた。そしてこのサンマは、円筒状の電熱ヒーター1の内周面の全面より放射する熱エネルギー(遠遠赤外線)による放射加熱であることから、全体的に均一に加熱でき、うま味が一段と増した焼き魚とすることができた。
この実施例における電熱ヒーター1は、ベース材料としてアルミニウム管2を使用した。このアルミニウム管2のその熱膨張率は、鉄の約2倍、チタンの約3倍と比較的大きいことから、その熱膨張の影響を受けて第2溶射層4、即ち、発熱ヒーターを形成している部分が膨張してこの第2溶射層4の電気抵抗が急激に増加することになる。そして、この熱膨張に伴なって、その温度以上の発熱が自動的に抑制され、温度制御が行なわれて安定して焼き調理をすることができる。
2)(実施例2)冷凍機の熱交換器
図5は冷凍倉庫に設置する冷凍機の熱交換器10の概略図である。この熱交換器10は支持体11の間に熱交換(吸熱)用の配管12を蛇行状に配置したものであり、端部12aは膨張弁13を介して図示しない冷凍機に接続されている。この冷凍機で圧縮され、冷却液化された冷媒は前記膨脹弁13を経由して膨脹し、急速に冷却状態となって前記配管12の中に送り込まれて周囲の雰囲気(冷凍庫内の雰囲気)より吸熱して冷凍庫内を冷却する。
ところで、本発明においては、冷凍機の配管12の一部に図1を参照して説明した電熱ヒーター1Aを形成しており、図6に示すように、この電熱ヒーター1Aの両端の電極5b−5cの間に低圧(例えば、20ボルトの低電圧の交流電源)の電源15が接続されるようになっている。
周知のように、前記熱交換器10は冷凍倉庫内において稼働して倉庫の内部を冷却するが、この冷却に伴なってその表面に食品などが発生した水分が付着し、低温に冷却されて氷結することになる。このようにして配管12の表面に氷結が発生し、これが成長してくると、次第に冷却能力が低下し、遂には熱交換器10の熱交換が不能となる。
そこで、この氷結発生の時期と成長速度を目視したり、稼働時間を見計らってチエックしたり、あるいは氷結センサーによって氷の成長程度を測定したデータにより、所定の通電による加熱サイクルを設定しておく。
そしてこの氷結による氷の厚さが許容範囲を越すと、タイマーMによって通電回路が閉じられ、電熱ヒーター1Aに一斉に、あるいは必要に応じて配分されたものに通電して発熱する。この発熱により配管12の表面に付着していた氷は溶かされ、再びこの配管12は熱交換に適した状態に復帰する。
この実施例における冷凍機に接続される熱交換器に、絶縁層である第1溶射層3と第2溶射層4と、更に絶縁層である第3溶射層の積層構造で形成された電熱ヒーター1Aを有していることから、この配管12に付着した氷の層を積極的に融解することができ、冷凍機の稼働率を大きく改善することができる。
この電熱ヒーター1Aは、前記実施例1における電熱ヒーター1のPTC効果を大きく期待しているのではなく、配管12の表面に直接に薄く発熱体を形成していることから、従来のように林立配置されている配管12の間に、例えば、棒状ヒーターを挿入して加熱する方法を採用することはなく、また、配管の表面にヒーターケーブルを巻くようなこともないことから、配管12の表面を太させることもなく、電熱ヒーターを付設することができる。
従って、従来の冷凍庫に設置されている熱交換器に比較して著しく稼働率を高めることができ、従来の冷凍機に比較して小型の装置を設置しても、十分な冷凍効果を期待できるのである。
円筒形電熱ヒーターの上半分を断面した正面図である。 図1のパイプの表面に形成した溶射層の拡大説明図である。 溶射層の温度に対応する電気抵抗変化の概念図である。 溶射層の厚さと割れとの関係の説明図である。 冷凍機より熱交換器の配管の正面図である。 電熱ヒーターを設けた配管の正面図である。
符号の説明
1、1A 円筒形加熱体
2 アルミニウム管
3 第1溶射層(絶縁層)
4 第2溶射層(電気抵抗発熱層)
5、5a、5b、5c 電極
6 第3溶射層(絶縁層)
8 抵抗体
11 支持体
12 膨張弁

Claims (6)

  1. 金属製パイプの表面に電気絶縁性セラミックス層からなる第1溶射層と、この第1溶射層の上に電気伝導性セラミックス層からなる、前記金属製パイプの熱膨脹により配列が変形する石垣状の構造の第2溶射層を積層形成し、この第2溶射層に間隔をおいて電極を固定し、この電極間に通電して前記第2溶射層を発熱させるように構成し、前記金属製パイプの温度上昇に伴う熱膨脹による前記第2溶射層の電気抵抗の変化にPTC特性を持たせたことを特徴とする発熱パイプ。
  2. 前記金属製パイプをアルミニウムで形成したことを特徴とする請求項1記載の発熱パイプ。
  3. 前記第1溶射層はムライト系セラミックスを主成分とする層であり、更に、第2溶射層は酸化チタンを主成分とする層であることを特徴とする請求項1あるいは2記載発熱パイプ。
  4. 前記第1溶射層の厚さは70〜250μ、第2溶射層の厚さ20〜100μであることを特徴とする請求項2記載の発熱パイプ。
  5. 表面に氷結が発生する熱交換器の金属製の熱交換用パイプの表面に、電気絶縁性のセラミックス層からなる第1溶射層と電気伝導性セラミックス層からなる、前記金属製の熱交換用パイプの熱膨脹により配列が変形する石垣状の構造の第2溶射層を積層形成し、前記第2溶射層に通電して熱交換用パイプを加熱するように構成し、前記熱交換用パイプの温度上昇に伴う熱膨脹による前記第2溶射層の電気抵抗の変化にPTC特性を持たせたことを特徴とする冷凍機用熱交換器。
  6. 前記冷凍機用熱交換器は、冷凍倉庫に設置されることを特徴とする請求項5記載の冷凍機用熱交換器。
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