JP4541469B2 - 光半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光半導体装置及びその製造方法に関し、より詳しくは、光スポットサイズ変換器を備えた光半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ファイバ通信の適用範囲が広がっていくとともに、半導体レーザモジュールの小型化、低コスト化、低消費電力化の観点から、半導体レーザを温度制御せずに広い環境温度範囲で動作させることが必要になってきており、諸特性の温度依存性の低減が必要となってきている。また、小型化、低コスト化の点では温度制御を無くすとともに、半導体レーザとファイバとの間の結合系を簡略化することも求められており、スポットサイズ変換器を集積した放射角の狭い光半導体素子の開発が活発になっている。
【0003】
スポットサイズ変換器と半導体レーザを集積する理由は、半導体レーザではスポットサイズが1μm程度と小さいが、半導体レーザに結合される光ファイバのスポットサイズは4〜5μmと大きいので、スポットサイズ変換器によって光出力端のスポットサイズを拡大することにより、光ファイバのスポットサイズとの差を小さくして結合効率を改善するためである。
【0004】
スポットサイズ変換器を集積した半導体レーザは、活性層の延長上でテーパ形状の導波路コアを半導体クラッド層に埋め込んだ構造が主となっている。ここでは、特開平7-283490号公報に記載の半導体レーザを例にとり説明する。以下、この半導体レーザをテーパ導波路レーザと呼ぶ。
テーパ導波路レーザは、原理的に図1に示すような構造を有しており、光のコアとなる量子井戸層101の膜厚がほぼ一定の第1の領域とその量子井戸層101の膜厚がテーパ状に変化する第2の領域とに機能的に区分される。
【0005】
それらのうちの第1の領域は、電流が注入されて光利得を持つレーザ部Iであり、第2の領域は、スポットサイズ変換部IIとなる。
そのレーザ部Iでは、導波方向に垂直な面内の光分布は比較的小さく、コアを中心に集中している。また、スポットサイズ変換部IIでは、ダブルへテロ構造のコアの膜厚が出射方向に向かって小さくなっている。このような構造によって、光分布はレーザ部Iからスポットサイズ変換部IIの出射端に向かって連続的に拡大される。
【0006】
図1に示したテーパ導波路レーザにおいて、量子井戸層101は、例えば、n-InP よりなるn型クラッド層102とp-InP よりなるp型クラッド層103により上下から挟まれている。また、n型クラッド層102の下にはn側電極104が形成され、また、レーザ部I近傍のp型クラッド層103の上にはp側電極105が形成されている
そのようなテーパ導波路レーザ100においては、良好な電流−光出力特性を得るために、効率良くレーザ部Iの量子井戸層(活性層ともいう)101に電流を流す必要がある。これと同時に、テーパ導波路レーザ100と光ファイバ110の間の光結合損失を低く抑えるために、レーザ光の出射端において、出射方向に垂直な面の光強度分布の形状を真円に近い形にし、また、その光強度分布の中心位置を光導波路構造の中心位置、即ち、量子井戸層101のある位置に合わせる必要がある。
【0007】
次に、従来のテーパー導波路レーザの構造について図3(b) に基づいて詳細に説明する。
図3(b) において、n型クラッド層となるn-InP 基板112とp型クラッド層となる第1のp-InP 層113aの間に挟まれる量子井戸層(活性層)111の両側には、pn逆接合などの電流阻止機能を有するいわゆる埋込構造116が形成されている。その埋込構造116は、レーザ部Iの活性層111にだけ効率良く電流を注入するために設けられている。
【0008】
テーパ導波路レーザのスポットサイズ変換部IIとレーザ部Iのそれぞれの半導体層の断面構造は、図4(a),(b) に示すように、それぞれ活性層111の膜厚が異なるだけで、埋込構造116を含むそれ以外の構造に関しては、ほぼ同じ構造を持っている。例えば、埋込層116の上部を構成するn-InP 層(n型ブロック層)116bと活性層111の中心との最短距離Aをとってみても、スポットサイズ変換部IIとレーザ部Iではほぼ同じ長さとなっている。
【0009】
埋込構造116のp-InP 層116aの膜厚を図5(a),(b) に示すように厚くしても、その活性層111の中心とn-InP 層116bの最短距離Aはスポットサイズ変換部IIとレーザ部Iではほぼ同じ長さとなっている。
図1に示したような半導体埋込光導波路を有するテーパ導波路レーザは次のような工程に沿って作製される。
【0010】
まず、図2(a) に示すように、多重量子井戸構造(MQW)を有する量子井戸層111とp-InP 層113aからなるダブルへテロ構造層が堆積されたn-InP 基板(半導体ウェハ)112を用意する。その量子井戸層111は、特開平7-283490号公報に記載された方法にしたがって、レーザ部Iで膜厚が厚く、スポットサイズ変換部IIで膜厚がテーパ状に徐々に薄くなるように形成される。
【0011】
そして、図2(b) に示すように、ストライプパターンを有するSiO2よりなる誘電体マスク117を通常のフォトリソグラフィー法を用いてp-InP 層113aの上面に形成する。
続いて、誘電体マスク117に覆われない領域のダブルヘテロ構造とn-InP 基板112をエッチングして図2(c) に示すようなメサ構造118を形成する。
【0012】
次に、図3(a) に示すように、メサ構造118の上面に誘電体マスク117を残したままで、n-InP 基板112の上に結晶成長を施してメサ構造118上面以外の部分にp-InP 層116a、n-InP 層116bを順に埋め込む。このとき、特開平7-283490号公報に記載の技術においては、pn逆接合で構成される埋込構造118が素子全体に渡って一様に成長されるようになっている。
【0013】
その後、図3(b) に示すようにメサ構造118上の誘電体膜117を除去し、ついで、n-InP 基板112の全体に再度結晶成長を施してp-InP 層113bを形成してメサ構造118の上を平坦化する。量子井戸層111の上のp-InP 層113a、113bはp型クラッド層となる。
ところで、活性層上部のp型クラッド層の膜厚をスポットサイズ変換部IIにおいてレーザ部Iより厚くしてスポットサイズ変換部IIの屈折率を高くした構造が、特開平7-74396 号公報の図2に示されている。この場合、p型クラッド層とn型クラッド層の間の活性層を除く領域に関しては、特開平7-283490号公報に記載された素子と同様にスポットサイズ変換部IIとレーザ部Iの間で同じ構造を持つために、n型電流ブロック層とコア層の中心の間の最短距離も両部の間で等しくなっている。このような領域には、電流狭窄機能を持つpn逆接合などの、活性層やp型及びn型クラッド層とは元素組成、ドーピング濃度、屈折率が異なる層が含まれている。
【0014】
尚、集積されるスポットサイズ変換器には特開平7-283490号公報に記載されている膜厚が変化する構造の他に幅がテーパ状に変化する構造もある。特開平7-74396 号公報では、幅テーパ導波路を集積した半導体レーザの出射端の光強度分布を最適値まで拡大するための出射端のコア層の設計精度が厳しいという問題を解決するための技術を示している。
【0015】
次に、半導体レーザの温度特性について説明する。
光通信用の長波長帯の半導体レーザの温度特性については、光記録用に用いられているGaAs基板上に作製された短波長帯レーザに比べて著しく劣ることが古くから指摘されており、その原因については未だ明らかではない。しかし、埋込構造が大半を占める光通信用の半導体レーザにおいては埋込層でのリーク電流の存在がその温度依存性を更に悪化させていることがよく知られている。
【0016】
リーク電流を抑制するには図4(b) に示されたような、電流ブロック層の位置を最適化することがあげられるが、更なる対策の1つとして、図6に示すようなDCPBH(Double Channel Planer Buried Heterostructure)レーザに代表される、pnpn電流ブロック構造のクラッド層(基板の場合もある)のn型層と埋込層のp型層がなすpn接合との間の少なくとも一部にバンドギャップの狭い半導体層(再結合層)を設けた構造があり、サイリスタ構造の耐圧を上昇させることで漏れ電流を小さくできることが知られている。
【0017】
図6は、DCPBH構造の半導体レーザの断面を示しており、n-InP 基板121と第1のp-InP 層123の間に挟まれた量子井戸活性層122を有するストライプ状のメサ構造を有している。また、メサ構造の両側にはp-InP 埋込層124とn-InP 埋込層125が形成され、その埋込構造とメサ構造の上には第2のn-InP 層127が形成されている。これにより、メサ構造の両側にはn-InP 基板121を含めてpnpn接合が構成されている。また、メサ構造の両側から少し離れた領域では、p-InP 埋込層124とn-InP 基板121に挟まれた再結合層128が形成されている。その再結合層128は、量子井戸活性層122をストライプ状にエッチングする際、又はメサ形状活性層122を選択成長で形成する際に、ストライプから離れた部分では活性層122を残したままにしておき、これを再結合層128として利用したものである。選択成長を利用した構造では、スポットサイズ変換器を集積した半導体レーザも、Y Furushima et al., IPRM'98 ThP-57において報告されている。
【0018】
一方、図7は、半導体レーザの埋込構造116を形成する際に再結合層119を設けた構造である。即ち、再結合層119を活性層111を含むメサ側面には成長させずにメサ両脇の基板112面上だけに成長させるという技術が必要となるが、図6に示す素子に比べると活性層とは独立に再結合層を設計できるという利点がある。
【0019】
図6、図7のどちらの構造においても温度特性の改善が実現されており、InGaAsP系の半導体レーザにおいて閾値電流の特性温度として70Kを越える高い値が示されている。
なお、図6、図7においては、第2のp-InP層127,113bの上にはそれぞれp-InGaAsコンタクト層120,128が形成されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図4(a),(b) に示したテーパ導波路レーザにおいては、活性層の中心とnブロック層との距離Aの最適値がスポットサイズ変換部IIとレーザ部Iにおいては異なる。
例えば、図4(a),(b) は、距離Aの値がレーザ部Iにおいて最適化されて比較的小さい値を持つ構造である、これにより、効率良く電流Bを活性層111に流すことができる。これは、図4(b) に示すように、レーザ部Iにおいて活性層111の両脇のp-InP 層116aが狭くなり、この部分をリークする電流量(図中B)が小さくなるためである。
【0021】
しかし、この埋込構造を採った場合、図4(a) に示すスポットサイズ変換部IIにおいては、光強度分布の中心が活性層111の中心からp型クラッド層113a,113bへとシフトするという問題、或いは活性層111の周辺の屈折率不均一の影響を強く受け、光分布の形状は真円より歪んだ形状となるという問題が生じる。これは、距離Aが短くなることにより、n型ブロック層116bが活性層111に近づき、拡大された光強度分布がn型ブロック層116bの影響を強く受けるためである。n型ブロック層116bは、p型クラッド層113bに比べて小さい屈折率を持つため、拡大された光強度分布はn型ブロック層116bを避けてp型クラッド層113b内に分布するように、中心の位置と分布形状を変化させる。
【0022】
これに対して、図5(a),(b) は、埋込構造116のp-InP 層116aを厚く形成して距離Aの値を図4(a),(b) のそれよりも大きくした構造を採用している。これにより、スポットサイズ変換部IIにおいて、光強度分布の中心は活性層111の中心に重なるし、その分布形状が真円に近くなる。これは、屈折率の低いn型ブロック層116bが活性層111より遠ざかり、活性層111の周囲が屈折率の高いp型半導体で、より均一に満たされるからである。これにより、光強度分布は、活性層111周辺に均一に分布しやすくなる。
【0023】
しかし、活性層111の両脇のp-InP 層116aが広がると、レーザ部Iにおいて電流Bのリーク量が増えるために、活性層111に効率よく電流を注入することができなくなり、素子特性の劣化を招く。
以上のように、図4、図5に述べた構造の半導体レーザを採用する場合には、スポットサイズ変換部IIとレーザ部Iの埋込構造116は同一となり、それぞれの部分において埋込構造116を最適化することができない。即ち、素子全体に渡って図4の構造を採るか、図5の構造を採るかどちらかに限られていた。
【0024】
これに対して、JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, VOL 15, No 8, pp 1602-1607 (August 1997) "High-Coupling Efficiency of a 1.3- μm Spot-Size Converter Integrated Laser Diode with pn-Buried Heterostructure for High-Temperature Operation"においては、n型ブロック層の活性層に対する位置を微調整してこれを最適化する数値計算及び実験が行われている。しかし、この場合にも先に述べたようなトレードオフの関係は避けられていない。
【0025】
また、先に引用した特開平 7-74396号公報に記載された素子の上部クラッド層の膜厚を変化させるような構造でも、距離Aは、スポットサイズ変換部とレーザ部の間で等しくなることは避けられない。
ところで、温度特性を改善する構造を採用した図6に示す半導体レーザの活性層122と同時に再結合層128を形成した構造は、選択成長を利用したものであり、そのままスポットサイズ変換器を集積した報告例がY. Furushima et al., IPRM'98 ThP-57 に記載がある。
【0026】
しかし、そのような構造では、活性層と独立して再結合層を設計できないという不都合がある。
これに対して、図7の埋込再成長時に再結合層119を成長した構造は設計の自由度の高いものの、これを図4,図5に示すようなスポットサイズ変換器を集積した半導体レーザに適用しようとすると、スポットサイズの小さい部分では通常の半導体レーザと同様に光は再結合層119の影響を殆ど受けないが、出射端面に近いスポットサイズが大きい領域ではこの再結合層119での屈折率差が光のフィールドに影響してしまうという問題があった。
【0027】
埋込層116の漏れ電流を抑えるためには、再結合層119のバンドギャップは活性層111のバンドギャップと近くなるように設定することが望ましい。例えば、1.3μm帯の半導体レーザにおいて再結合層119のバンドギャップ波長を1.2μm等に設定する。
しかし、活性層111とその周りの埋込層116との屈折率差は、活性層111とクラッド層116の差と同等になるために、光のフィールドが再結合層119側に引っ張られてしまうことで変形し、光ファイバとの結合効率が低下してしまう。また、再結合層119のバンドギャップ波長と発振波長が近いために再結合層119での吸収も無視できなくなり、スポットサイズ変換器の損失が増大し、閾値電流の上昇、効率の低下を招いてしまうという問題があった。
【0028】
なお、図6に示した活性層122と同時に再結合層128を形成した構造で、上記したような問題が生じていないのは、再成長で形成する場合よりも再結合層118の位置が離れているためにスポットサイズの大きな出射端面でも光のフィールドが殆ど影響されないからである。しかし、上記したように設計の自由度が低くなるといった不都合がある。
【0029】
本発明の目的は、スポットサイズ変換部の出射端での光スポットを活性層の中心に重ねるとともに、活性層とは異なる再結合層を有する場合に光スポットが再結合層に影響されない構造を有する光半導体素子を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、図12〜図13に例示するように、活性層を含む多層構造を第1のクラッド層の上に形成する工程と、前記多層構造の上に、光閉じ込めを大きくする第1領域と光閉じ込めを小さくする第2領域とにまたがるストライプ状の第1マスクパターンと、前記マスクパターンの両側方に離間して、前記第2領域の出射端面側で短くなるように前記第1領域及び第2領域に第2マスクパターンと第3マスクパターンを形成する工程と、前記第1〜第3マスクパターンに覆われない部分の前記多層構造をエッチングして、前記第1〜第3マスクパターンに対応する第1〜第3メサ部を形成する工程と、エッチングされた前記第1〜第3メサ部の周囲に、前記第1のクラッド層よりもバンドギャップが狭く、前記第2領域のうち前記第1領域に隣接しない側の端部で膜厚が薄くなる再結合層を含む多層構造の埋め込み層を形成する工程と、前記第1〜第3マスクパターンを除去した後に、前記メサ部と前記埋め込み層の上に第2のクラッド層を形成する工程とを有することを特徴とする光半導体装置の製造方法によって解決する。
【0034】
次に、本発明の作用について説明する。
本発明によれば、コア層(活性層)の両側に形成される再結合層のうち、スポットサイズ変換領域の端部での膜厚は利得領域での膜厚に比べて薄く形成されている。
したがって、光スポットサイズが拡大する部分での再結合層による吸収が少なくなり、スポットサイズ変換器の損失が小さく、閾値電流の上昇や効率の低下が抑制される。
【0039】
【発明の実施の形態】
そこで、以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
図8,図9は本発明の第1実施形態に係る光半導体素子の製造工程を示す斜視図である。
【0040】
まず、図8(a) に示すように、n型(n-)InP 基板1の(100)面上にn-InP バッファ層2を形成した後に、そのバッファ層2の上にSiO2よりなる第1の誘電体膜15を形成し、ついで、第1の誘電体膜15をフォトリソグラフィー法によりパターニングしてレーザ部Iにストライプ状の第1の開口15aを形成するとともにスポットサイズ変換部IIではそれよりも広い第2の開口15bを形成する。
【0041】
その後に、誘電体膜15の第1及び第2の開口15a,15bから露出しているバッファ層2の上にアンドープの量子井戸活性層3、膜厚0.5μmの第1のp-InP 層4を減圧有機金属気相成長(減圧MOVPE)法により形成すると、それらの層3,4は、第1の開口15a内では厚くなるとともに、第2の開口15b内ではレーザ部Iから遠ざかるにつれて徐々に膜厚が薄くなるような膜厚テーパ形状となる。
【0042】
次に、第1の誘電体膜15を除去した後に、SiO2よりなる第2の誘電体膜16を全体に形成し、この第2の誘電体膜16をフォトリソグラフィー法によりパターニングしてレーザ部Iからスポットサイズ変換部IIに延びる幅1.5μm程度のストライプ状のパターンを第1のp-InP 層4の上に形成する。
そして、図8(b) に示すように、ストライプ状の第2の誘電体膜16をマスクに使用して、第1のp-InP 層4からn-InP 基板1の上部までをエッチングにより除去して高さ2μm程度のメサ部5を形成する。そのエッチングは、ウェットエッチングを用いても良いが、次の結晶成長段階での再結合層成長の制御の点からはドライエッチングによりほぼ垂直に近い側面を備えたメサ部5を形成することが望ましい。ドライエッチングとして、例えばエタン、水素、酸素の混合ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)法を用いる。ドライエッチングを用いる場合には、ドライエッチング後にメサ部5側面のダメージ層を硫酸系の溶液で除去する。
【0043】
続いて、CH3Cl 又はHCl 等の塩素含有ガスを流している結晶成長雰囲気で、減圧MOVPE法によりアンドープInP 層(不図示)を0.1μm、バンドギャップ波長1.2μmのInGaAsP よりなる再結合層6を0.1μm形成する。再結合層6の成長時にはメサ部5の側面の成長速度がなくなる量の塩素含有ガスを結晶成長雰囲気中に導入し、再結合層6はメサ部5の側面には成長せずに、メサ部5の両脇のn-InP 基板1の(100)面上にのみ成長する。一方、アンドープInP 層の成長時には塩素含有ガスを流さないか、もしくは、異常成長を抑える程度に塩素含有ガスを成長雰囲気内に微量導入することにより活性層3の側面を覆うことが、次に再結合層の一部を選択エッチングに除去するためには望ましい。
【0044】
その再結合層6を構成するInGaAsP のバンドギャップは、基板や後述する埋込層を構成するInP のバンドギャップよりも狭くなっている。その再結合層6は、単層又は多層の量子井戸構造を有していてもよい。
ここで、結晶成長を一旦停止してn-InP 基板1を結晶成長雰囲気から取り出してレーザ部Iの領域、又は、レーザ部Iからスポットサイズ変換部Iの一部にかけた領域をレジスト(不図示)で覆った状態で、InP に対して選択性のあるエッチング液、例えば、硫酸、過酸化水素水及び水の混合液を用いて、図8(c) に示すように、再結合層6を選択的にパターニングしてスポットサイズ変換部IIの領域全部又はその先端近傍を除去するとともに、レーザ部Iにはそのまま残す。再結合層6は、例えばスポットサイズ変換部IIの前端から後方へ150μmに至る領域まで除去するようにする。
【0045】
次に、レジストを除去し、さらにストライプ状の第2の誘電体膜16を残した状態で、図9(a) に示すように、減圧MOVPE法によって膜厚0.9μmの第2のp-InP 層7と膜厚0.7μmのn-InP 層8と膜厚0.1μmの第3のp-InP 層9を埋込層としてメサ部の両側方に形成する。その第2のp-InP 層7は、再結合層6とその前方のn-InP 基板1の上に形成されるとともに、ストライプ状にパターニングされたメサ部5の側面にも形成される。また、n-InP 層8は、いわゆる電流ブロック層と呼ばれるものであり、第2のp-InP 層7の上に形成されるとともに、メサ部5の近傍で盛り上がって膜厚が厚く形成される。
【0046】
これにより、スポットサイズ変換部IIに形成された埋込層は、その前端から後方150μmの範囲では、通常の構造となっている。
その後に、第2の誘電体膜16を除去した後に、図9(b) に示すように、減圧MOVPE法により、第1のp-InP 層4と第3のp-InP 層9の上に膜厚4μmの第3のp-InP 層10を形成し、続いて膜厚0.5μmのp-InGaAsよりなるコンタクト層11を形成する。
【0047】
なお、第2のp-InP 層7からコンタクト層9の各結晶層の膜厚は、メサ部5の近傍とメサ部5から離れた場所では膜厚が異なっているが、上記したそれらの膜厚はメサ部分から離れた平坦面上の値とする。
次に、コンタクト層11の上のレーザ部I近傍にTi/Pt/Auを材料とするp側電極12を形成し、ついでAuGe/Au を材料とするn側電極13を形成すると、図10に示すような膜厚テーパ導波路を集積した半導体レーザが形成される。
【0048】
以上のような工程により形成された膜厚テーパ導波路を集積した半導体レーザでは、活性層3に量子井戸構造を用いてスポットサイズ変化部で膜厚がテーパ状に変化し、出射端面近傍では量子井戸構造の吸収端波長が短波長へシフトするために、スポットサイズ変換部IIの導波路を構成する活性層3がレーザ光に対して透明となるので、その前端部には電流を注入する必要がなくなる。このため、p側電極12は後端面から350μmの領域に形成する。
【0049】
活性層3の構造は、本発明の効果に影響を与えないが、例えばレーザ部Iの平坦領域において、圧縮歪み0.7%で膜厚6nmのInGaAsP 層よりなる井戸層と、圧縮率0.1%でバンドギャップ波長が1.1μmで膜厚10nmのInGaAsP 層からなる障壁層との7層の歪量子井戸構造3aを備え、その上と下に圧縮歪0.1%でバンドギャップ波長が1.1μmで厚さ70nmのInGaAsP よりなるSCH層3bを備えた構造を有していて、波長1.3μmで動作する構造となっている。
【0050】
以上のようにスポットサイズの小さなレーザ部Iのメサ部の側方に再結合層6を形成するとともに、スポットサイズの大きなスポットサイズ変換部IIの前端近傍領域では再結合層6が存在せずに屈折率差による光のフィールドの歪みや損失の影響が生じない。
また、電流注入によりレーザ発振のための利得を与えるスポットサイズが小さいレーザ部Iの活性層3の平坦な領域では、両脇にInGaAsP 再結合層6があり、温度特性改善の効果が得られる。また、電流注入領域も後端面から350μmの領域に存在するために再結合層6が部分的に形成されていても十分な効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態ではn型InP 基板を使用したが、p型(p-)InP 基板を使用して膜厚テーパ導波路を集積した半導体レーザを形成することもでき、その実施形態を以下に説明する。
【0051】
図11(a) は、膜厚テーパ導波路を集積した半導体レーザのレーザ部の断面図、図11(b) はスポットサイズ変換部の断面図である。
図11(a),(b) において、p-InP 基板21の上には、第1実施形態と同じ量子井戸構造の活性層23と第1のn-InP 層24が形成されている。その活性層23と第1のn-InP 層24は、第1実施形態で示した第1の誘電体膜をp-InP 基板21上に形成した状態で減圧MOVPE法により結晶成長されている。従って、活性層23は、レーザ部Iでは図11(a) に示すように膜厚が厚くて平坦になっているが、スポットサイズ変換部では図11(b) に示すように前端に向けて徐々に膜厚が薄くなっている。
【0052】
また、第1のn-InP 層24からp-InP 基板21の上部までは、第1実施形態と同様に、ストライプ状の第2の誘電体膜をマスクに使用してストライプ状にパターニングされてメサ部25が形成されている。また、そのメサ部25の側壁とp-InP 基板21の上面には第1のp-InP 層22が形成されている。
さらに、ストライプ状の第2の誘電体膜を残した状態で、メサ部25の両側の第1のp-InP 層22上には第2のn-InP 層26と第2のp-InP 層27とInGaAsP 再結合層28が順に形成されている。その後に、第2のp-InP 層27に対して選択制のあるエッチング溶液、例えば硫酸、過酸化水素水、水の混合液を用いてスポットサイズが大きくなっているスポットサイズ変換部IIの前端面から150μm後方の領域で再結合層28を除去する。
【0053】
次に、メサ部25の上に残っている第2の誘電体膜を除去した後に、第1のn-InP 層24と再結合層28と第2のp-InP 層27を覆う第3のn-InP 層29を4.0μmの厚さに形成し、さらに、n-InGaAsP コンタクト層30を0.5μmの厚さに成長することで結晶層構造は完了する。
この後に、レーザ部I近傍のコンタクト層30の上にn側電極31を形成し、さらに、p-InP 基板21の下面にp側電極32を形成する。
【0054】
この実施形態においても、第1実施形態と同様に、スポットサイズの大きなスポットサイズ変換部IIの前端面近傍領域は通常の埋込構造であるために、屈折率差による光のフィールドの歪みや損失の影響は生じない。また、スポットサイズの小さなレーザ部Iでは両脇にInGaAsP 再結合層28があり、温度特性改善の効果が得られる。
【0055】
ところで、上記した第1、第2の実施形態では、選択成長を用いて作製した膜厚テーパ導波路を集積した素子について説明したが、膜厚テーパ導波路の集積を異なる成長で直接接合によって行っても良い。この場合も、テーパ導波路の全体をレーザ光に対して透明な材料を用いることができるので、電流注入はスポットサイズの小さな活性層を有する領域のみとなるために同様な効果が得られる。
【0056】
また、スポットサイズ変換器を導波路の厚さは一定で幅が端面に向かって狭くなっているいわゆる幅テーパ導波路として、レーザ部の両側に再結合層を選択的に配置しても良い。この場合には、スポットサイズの大きな領域でも吸収端波長が変化しないので、素子全体に電流注入を行ってスポットサイズ変換部での光吸収を防止する必要があるために、レーザ部では再結合層が部分的に存在することになるので温度特性向上等の効果は存在するが、温度特性向上等の効果は第1実施形態に比べて小さくなる。なお、幅テーパ導波路の基本的構造は次の実施形態で説明する。
【0057】
また、ここまでの実施形態では、両端面を反射鏡としたファブリペロー型の素子を示したが、他の構造のデバイス、例えばスポットサイズの小さな領域に回折格子を設けたDFBレーザや、両端面ともにスポット変換部を集積して低反射コートを施した半導体光増幅器等においても、利得領域の側方に再結合層を設けて、スポットサイズ変換部の出射端近傍で再結合層を除去する構造を採用すれば上記したと同様な効果が得られる。
(第3の実施の形態)
上記した第1及び第2の実施の形態では、レーザ部I又はレーザ部Iからスポットサイズ変換部IIの途中まで再結合層を形成するようにしたが、レーザ部I及びスポットサイズ変換部IIの双方に再結合層を形成する構造について以下に説明する。
【0058】
図12、図13及び図14は、本発明の第3の実施形態の幅テーパ導波路を集積した半導体レーザを形成する工程を示す斜視図である。
まず、図12(a) に示すように、MOVPE法等の結晶成長法を用いてn-InP 基板41の上に不純物濃度5×1017/cm3 で膜厚0.5μmのn-InP バッファ層42を形成し、続いて、アンドープの量子井戸活性層43と不純物濃度5×1017/cm3 で膜厚0.5μmの第1のp-InP クラッド層44を形成する。
【0059】
その活性層43の構造は、本発明の効果に影響を与えないが、例えば、圧縮歪1.0%で膜厚6nmのInGaAsP よりなる井戸層と、格子整合でバンドギャップ波長が1.1μmで膜厚10nmのInGaAsP よりなる障壁層とからなる7層の歪量子井戸構造であり、その歪み量子井戸構造の上と下には、格子整合でバンドギャップ波長1.05μmで厚さ30nmのInGaAsP よりなるSCH層43a、43bが形成され、これにより波長1.3μmで動作するようになっている。
【0060】
次に、第1のp-InP クラッド層44の上に膜厚250nmのSiO2よりなる誘電体膜を形成し、フォトリソグラフィー法によりその誘電体膜をパターニングして光進行方向に沿って第1のマスクパターン45aと、第1のマスクパターン45aの両側方に12μm離れて第2、第3のマスクパターン45b、45cを形成する。
【0061】
第1のマスクパターン45aは略ストライプ形状を有し、素子領域の後端から光進行方向に300μmの間の領域では幅が1.5μmと一定であり、出射端から200μmから25μmの範囲の領域では前端(出射端)に向けて幅が線形に減少して出射端から25μm離れた部分では幅が0.7μmとなっている。第2のマスクパターン45bと第3のマスクパターン45cは、それぞれ素子領域の後端から350μmの間の領域であって第1のマスクパターンからそれぞれ12μm離れた領域の全面に形成されている。
【0062】
そのような第1〜第3のパターンを用いて、図12(b) に示すように、第1のp-InP クラッド層44からn-InP 基板41の上部までをエッチングして、第1〜第3のパターン45a〜45cの下には、それぞれ高さ2μmの第1〜第3のメサ部46a〜46cを形成する。
そのエッチング方法は、ウェットエッチングを用いても良いが、次の結晶成長段階で形成される再結合層の成長の制御の点からは、ドライエッチングによりほぼ垂直に近いメサ部を形成することが望ましい。ドライエッチングとしては、例えばエタン、水素及び酸素の混合ガスを用いた反応性イオンエッチング法を用いる。
【0063】
そのような第1〜第3のメサ部46a〜46cを形成した後に、それらのメサ部46a〜46cの側面のダメージを硫酸系の溶液で除去した後に、MOVPE法を用いて第1〜第3のメサ部46a〜46cの周囲に、2回目の結晶成長工程に移る。
即ち、図12(c) に示すように、第1〜第3のメサ部46a〜46cの周囲のn-InP 基板41の上に、膜厚0.1μmのアンドープInP 層(不図示)と、バンドギャップ波長1.2μmで厚さが0.1μmのアンドープInGaAsP よりなる再結合層47と、不純物濃度2×1018/cm3で膜厚0.9μmのp-InP 層48、不純物濃度2×1018/cm3で膜厚0.7μmのn-InP 層49、不純物濃度2×1018/cm3で膜厚0.1μmのp-InP 層50aを順に成長する。p-InP 層48とn-InP 層49は、一般に埋め込み層と呼ばれる。
【0064】
ところで、図12,図13は、素子の構造を模式的に示した図であるために、埋込層48,49をほぼ平坦に描いているが、結晶基板上の結晶成長では実際の厚さは均一ではなく、メサ部46a〜46c近傍では選択成長効果等により変化する。このような結晶成長を行うと、素子領域の後端面近傍はマスクで覆われている領域が広いために、より多くの原材料が第1のメサ部46aと46b、46cに挟まれた狭い結晶成長領域に流れ込んで結晶成長速度が速くなり、結晶成長層の厚さは出射端面に比べて厚くなる。さらに、本実施形態のようにInとGaの2つのIII族元素を含む化合物の場合には、選択成長による原材料の成長部への原料供給量の増大効果がInの方がGaに比べて大きいために、厚さが増大すると同時にバンドギャップ波長が長波長化する。なお、上記した厚さ、濃度、バンドギャップ波長は全て後端面近傍の値である。
【0065】
また、InGaAsP よりなる再結合層47の成長中は、結晶成長雰囲気にCH3Cl やHCl 等の塩素を含んだガスを同時に反応雰囲気へ供給することで図示するようにInGaAsP 再結合層47をメサ部46a〜46cの側面(活性層の両面)上には成長させず、第1のメサ部46aの両脇の基板41面上のみに成長させることを可能にしている。本実施形態では、素子領域の前端面のInGaAsP 再結合層47の厚さは後端面の近傍の約1/3となっており、バンドギャップ波長も1.13μmと短波になっている。
【0066】
再結合層47の下のアンドープInP 層(不図示)については、メサ部の側面をまず半導体で覆ってしまう必要があるので、再結合層47とは逆にCH3Cl 等の塩素系ガスを添加しないか、又は、メサ部の頂部近傍の異常成長を抑制できる程度の微量の添加に留める。
3層目のp-InP 層48とそれ以降の層については、層厚分布が逆につかない方が望ましい。このため、本実施形態では、再結合層47までは成長雰囲気の圧力を100〜150Torrに設定して、レーザ部Iとスポットサイズ変換部IIとの成長速度を異ならせて選択成長する一方で、3層目とそれ以降の層では成長圧力を10〜30Torr程度まで下げて選択成長の効果が殆ど起こらないようにしている。これにより、本実施形態では3層目以降の層厚の低減は出射端面近傍においても後端面の厚さの約30%に留まっている。また、塩素系ガスについては、3層目とそれ以降の層の成長の際に、一層目のアンドープInP 層(不図示)の成長と同様に微量導入を行っている。
【0067】
以上のような埋込層48,49、p-InP 層50aの成長を終えた後に、第1〜第3のマスクパターン45a〜45cを除去する。その後に、図13に示すように、MOVPE法による3回目の結晶成長により、全面に第2のp-InP クラッド層50bを4μmの厚さに形成し、p-InGaAsP コンタクト層38を0.5μmの厚さに成長することにより、結晶層の成長の工程は終了する。
【0068】
この後に、コンタクト層38の上にp側電極39を形成し、n-InP 基板41の下面にn側電極40を形成する。そして、両端面を劈開した後に、必要ならばその端面に反射防止膜等を塗布して素子を完成させる。第2及び第3のメサ部46b、46cを除いた素子の斜視図を示すと、図14のようになる。
以上のような本実施形態によれば、再結合層47は、レーザ部Iではほぼ均一の膜厚であり、スポットサイズ変化部では光進行方向の前端に向けて徐々に薄くなっているので、電流注入によりレーザ発振のための利得を与えるスポットサイズが小さなレーザ部Iの平坦領域では両脇に厚いInGaAsP 再結合層47があり、温度特性改善の効果が得られる一方、スポットサイズ変換部IIではスポットサイズの大きな前端面近傍ではInGaAsP 再結合層47の厚さが薄くかつバンドギャップ波長が短波長化しているために、吸収、屈折率ともに低下しており、InP のみで埋め込んだ従来の構造に比べると影響はゼロではないものの、吸収による動作特性の低下及び高屈折率による光のフィールドの歪みの影響を結晶成長回数を増やすことなく実現できる。
(第4の実施の形態)
第1実施形態において、図10に示した膜厚テーパ導波路レーザでは、前端近傍から再結合層6を除去した構造を採用しているが、第3実施形態で示したように、前端近傍で再結合層を薄くする構造を採用しても良い。
【0069】
即ち、図15に示すように、メサ部5の両側に埋込層7,8を形成する前に、メサ部5の両側に再結合層17を形成する。その再結合層17は、レーザ部Iでは膜厚が厚く、スポットサイズ変換部IIの前端近傍では膜厚が薄くなっている。なお、再結合層17以外の構造は第1実施形態と同じであって、図15において図10と同じ符号は同じ要素を示している。
【0070】
再結合層17の具体的な層構造としては、厚さ4nmでバンドギャップ波長が1.3μmのInGaAsP よりなる井戸層と、厚さが10nmでバンドギャップ波長が1.1μmのInGaAsP よりなる障壁層とを有する10層の多重量子井戸構造があげられる。そのような量子効果を用いることで層厚の低下が吸収端波長をより短波化するために、スポットサイズの大きなスポットサイズ変換部IIでの吸収及び屈折率の低減の効果が大きい。
【0071】
その障壁層の材料としてはInP を用いてもよい。この場合、障壁高さが高くなるために吸収端波長の短波化は大きくなるという利点、及び、埋込層に用いる材料が2種類となり、InP 層については他の埋込層と同一材料なためにメサ部5の側面に成長してもよいことから、成長条件の範囲が緩くなるという利点があるが、障壁層17がキャリア溜めとならないために、温度特性改善の効果はやや小さくなる。
【0072】
なお、再結合層17を形成する場合には、例えば、図8(b)の状態で、図12(a)に示した第2及び第3のマスクパターン45b、45cをメサ部5の側方のn-InP基板1上に形成すれば、スポットサイズ変換部IIで再結合層17を膜厚テーパ形状に形成することができる。
なお、そのような量子井戸構造の再結合層17と同一構造を、第3実施形態の幅テーパ導波路を集積した半導体レーザの再結合層47に用いても良い。
(第5の実施の形態)
第2の実施の形態ではp-InP基板21を使用して膜厚テーパ導波路を集積した半導体レーザ半導体レーザを形成したものであり、その再結合層28は、レーザ部Iのみに形成した構造を有している。しかし、第4実施形態で示したように、その再結合層を前端近傍で薄くする構造を採用してもよい。
【0073】
即ち、図16に示すように、メサ部25の両側に埋込層26,27を形成した後に、メサ部25の両側に再結合層37を形成する。その再結合層37は、レーザ部Iでは膜厚が厚く、スポットサイズ変換部IIの前端近傍では膜厚が薄くなっている。なお、再結合層37以外の構造は第2実施形態と同じであって、図16において図11と同じ符号は同じ要素を示している。
【0074】
再結合層37の具体的な層構造としては、第4実施形態と同じような多重量子井戸構造があげられる。そのような量子効果を用いることで層厚の低下が吸収端波長をより短波化するために、スポットサイズの大きなスポットサイズ変換部IIでの吸収及び屈折率の低減の効果が大きい。
再結合層37を形成する場合には、第3の実施の形態と同様に活性層をストライプ状のメサに加工する際のマスクパターンに図12(a) に示した第2及び第3のマスクパターン45b、45cを形成し、エッチングによりメサ加工した後に、埋込層26、27の成長に引き続き再結合層37を形成することでスポットサイズ変換部IIで再結合層37を膜厚テーパ形状にすることができる。
【0075】
この場合、再結合層37は、活性層23よりも上に位置するためにn型基板のようにメサ部の側面には成長させずに基板上にのみ成長させるという条件はなくなり、製作は容易になる。この場合も、第3実施形態と同様に、再結合層37以外のInP 層の成長時には層厚変化を抑えるために低い成長圧力で成長する。
(第6の実施の形態)
図17は、スポットサイズ変換器を集積した半導体光増幅器の活性層の側方の基板上に再結合層を形成した実施形態を示している。
【0076】
図17において、n-InP 基板51の上には第3実施形態と同じ量子井戸構造を有する活性層52と第1のp-InP クラッド層53が形成され、第1のクラッド層53からn-InP 基板51の上部までは、それぞれ略ストライプ状にエッチングされてメサ部54となっている。そのエッチングの際には、ストライプ状の誘電体膜(不図示)が第1のp-InP クラッド層の上に形成されている。
【0077】
その活性層52は、中央の利得領域では幅が1.3μmと一定であり、その光進行方向の前方の第1の導波路領域では幅が前方に徐々に狭くなって前端では0.5μmとなり、さらに、後端側の第2の導波路領域では幅が後方に徐々に狭くなって後端では0.5μmとなっている。
そのメサ部54の両側方のn-InP 基板51の上には、MOVPE法により、InGaAsP よりなる井戸層とInP よりなる障壁層を有する量子井戸構造の再結合層55が形成されている。その再結合層55は、利得領域では膜厚が一定で厚く、第1の導波路領域では前方に徐々に薄くなり、また、第2の導波路領域では後方に徐々に薄くなっている。
【0078】
その再結合層55の上には、MOVPE法によって第1のn-InP 層56、第1のp-InP 層57、第2のn-InP 層58が順に形成されている。
そのような結晶成長を終えた後に、ストライプ状の誘電体膜を除去し、さらに、MOVPE法により全体に第2のp-InP クラッド層59、p-InGaAsP コンタクト層60を形成する。また、コンタクト層60の上にp側電極(不図示)を形成し、さらに、n-InP 基板51の底面にn側電極(不図示)を形成する。
【0079】
そのような半導体光増幅素子では、スポットサイズ変換器は直接結合で形成した幅テーパ導波路を用いている。スポットサイズ変換器を集積した素子では、光ファイバ等の外部の光導波路と直接結合をするために素子の活性層52に結合しないで素子を透過してしまういわゆる迷光が発生しやすく、消光比があがらないという問題がある。
【0080】
しかし、本実施形態の光半導体素子では、上記した実施形態で温度特性改善のために再結合層として用いていた量子井戸構造の層に迷光を吸収するための機能を持たせている。
この場合、スポットサイズの大きい第1及び第2の導波路領域では、再結合層55の吸収が利得特性を劣化させるので、吸収を抑えることが必要となり、層厚を薄くしてバンドギャップ波長を短波化することは有効である。
【0081】
この場合には、埋込層中に設けられた多重量子井戸構造は迷光を吸収するために設置しているので、再結合層55の上にのみに第1のn-InP層56を成長した後に、第1のp-InP層、第2のn-InP層、第2のp-InPクラッド層59の電流ブロック構造が成長されている。
なお、図17では、第1の光導波路領域の前端と第2の光導波路領域の後端で活性層52が露出するような構造となっているが、図18に示すように、それらの前端と後端から中央寄りに離れた位置で終端し、その上のn-InP層58を窓構造58aにしてもよい。これによれば、前端面及び後端面には多重量子井戸構造の再結合層55が存在する構造となる。
(第7の実施の形態)
本発明では、スポットサイズ変換部において、光のスポットが活性層から外れることを防止するための構造を備えたテーパ導波路レーザとその製造方法について説明する。
【0082】
まず、図19(a) に示すように、n型(n-)InP 基板61の(100)面上にn-InP クラッド層62を形成する。また、n-InP クラッド層62上にSiO2よりなる第1の誘電体膜63を形成し、ついで、第1の誘電体膜63をフォトリソグラフィー法によりパターニングしてレーザ部Iに<110>方向に長いストライプ状の第1の開口63aを形成するとともにスポットサイズ変換部IIではそれよりも広い第2の開口63bを形成する。
【0083】
その後に、第1の誘電体膜63の第1及び第2の開口63a,63bから露出しているn-InP クラッド層62上にアンドープの量子井戸活性層(コア層)64、第1のp-InP クラッド層65をMOVPE法により順に形成すると、それらの層64,65は、第1の開口63a内ではほぼ一定の厚さになるとともに、第2の開口63b内では<110>方向でレーザ部Iから遠ざかるにつれて徐々に膜厚が薄くなるような膜厚テーパ形状となる。その量子井戸活性層64は、例えば、圧縮歪1.0%で膜厚6nmのInGaAsP よりなる井戸層と、バンドギャップ波長が1.1μmで膜厚10nmのInGaAsP よりなる障壁層とからなる7層の歪量子井戸構造であり、その歪量子井戸構造の上と下には、格子整合でバンドギャップ波長1.05μmで厚さ30nmのInGaAsP よりなるSCH層(不図示)が形成され、これにより波長1.3μmで動作するようになっている。
【0084】
次に、第1の誘電体膜63をバッファドフッ酸により除去した後に、SiO2よりなる第2の誘電体膜を全体に形成し、この第2の誘電体膜を図19(b) に示すようにパターニングして光進行方向に沿ってストライプ状の第1のマスクパターン66aを形成し、さらに、第1のマスクパターン66aの両側方に離れて第2、第3のマスクパターン66b、66cを形成する。
【0085】
即ち、図20に示すように、第1のマスクパターン66aは、幅が1.8μmであり、光進行方向に延びるストライプ形状を有している。また、第2のマスクパターン66bと第3のマスクパターン66cは、それぞれスポットサイズ変換部IIの前端及びその近傍の領域であって第1のマスクパターン66aを挟んで互いに80μmの距離で離れ、それぞれ110μmの幅を有して形成されている。
【0086】
なお、第2の誘電体膜のパターニングは、フォトレジスト(不図示)をマスクとして使用し、バッファドフッ酸をエッチング液として用いるフォトリソグラフィー法により行われる。そして、第1〜第3のマスクパターン66a〜66cを形成した後に、フォトレジストは有機溶液により剥離される。
そのような第1〜第3のマスクパターン66a〜66cに覆われない領域の第1のp-InP クラッド層65からn-InP 基板61の上部までのダブルヘテロ構造をエッチングすることにより、第1〜第3のマスクパターン66a〜66cの下には、図19(c) に示すようにそれぞれ高さ2μmの第1〜第3のメサ部67a〜67cを形成する。そのエッチングは、炭化水素系ガスを用いる例えば反応性イオンエッチング法を用いる。
【0087】
そのような第1〜第3のメサ部67a〜67cを形成し、それらのメサ部67a〜67cの側面のダメージを硫酸系の溶液で除去した後に、第1〜第3のメサ部67a〜67cの間とその周辺のn-InP 基板61上に結晶成長を行う。即ち、図22に示すように、第1〜第3のマスクパターン66a〜66cに覆われない領域に、MOVPE法により第1のp-InP 層68aとn-InP 層68bを埋込層68として形成する。
【0088】
MOVPE法を用いた結晶成長において、第1〜第3のマスクパターン66a〜66c上では原料が消費されずにその周辺の領域に過剰に供給されるために、第1のマスクパターン66aと第2のマスクパターン66bに挟まれた領域と、第1のマスクパターン66aと第3のマスクパターン66cに挟まれた領域で結晶成長レートが最も大きくなり、さらに、第2及び第3のマスクパターン66c、66bに挟まれない領域での結晶成長レートが小さくなる。ただし、第2及び第3のマスクパターン66c、66bに挟まれない領域であっても第1のマスクパターン66aの近傍では膜厚が比較的厚くなって盛り上が生じてしまう。
【0089】
また、MOVPE成長においては、n-InP 層68bを成長する際のn型ドーパントの原料ガスとしてシラン(SiH4)を用いると、成長レートが大きくなるほど結晶中へのシリコンの取り込まれ量は小さくなる。これにより、成長レートの大きいスポットサイズ変換部IIではn型ドーパントの濃度が小さくなる。また、InGaAsP 等の半導体を成長する場合には、マスク近傍においてInの方がGaより多く成長領域に供給される。そのため、マスク周辺の成長レートが大きい領域ではよりInの組成が大きくなる。
【0090】
このような原理から、第2、第3のマスクパターン66b、66cの形状、位置に対応してストライプ状の第1のメサ部67aの両脇の埋込層68の膜厚、ドーピング濃度、混晶組成が光の導波方向に沿って連続的に変化する。
この性質を利用して、第1のメサ部67aの両脇のマスク形状を最適化することにより、素子の埋込層68を光の導波方向に沿って変化させ、各領域において最適な構造とすることができる。
【0091】
本実施形態では、第1〜第3のマスクパターン66a〜66cのそれぞれの間に挟まれたスポットサイズ変換部IIでの結晶成長速度は、第2及び第3のマスクパターン66b、66cに挟まれないレーザ部Iでの結晶成長速度に比べて約2倍としている。さらに、n-InP 層68bのシリコンの濃度は第1〜第3のマスクパターン66a〜66cに挟まれたスポットサイズ変換部IIで小さくしている。
【0092】
例えば、レーザ部Iにおけるp-InP 層68aとn-InP 層68bの膜厚をそれぞれ0.6μm、1.0μmとする。また、成長レートが相対的に大きくなっているスポットサイズ変換部IIにおいては、p-InP 層68aとn-InP 層68bの膜厚を、それぞれ前端で1.2μm、2.0μmとしている。但し、これらの膜厚は第1のメサ部67aから4μm離れた領域の埋込層68の成長面が(100)面に平行になっている部分での値である。
【0093】
また、p-InP 層68aのドーパント濃度を2×1018/cm3としてある。更に、n-InP 層68bのドーパント濃度は、成長速度の大きいスポットサイズ変換部IIで1×1018/cm3、成長速度の小さいレーザ部Iで2×1018/cm3となされている。
以上のような埋込層68の形成を終えた後に、第1〜第3のマスクパターン66a〜66cをバッファドフッ酸によって除去した後に、再びMOVPE法により基板全面に第2のp-InP クラッド層69、p-InGaAsコンタクト層70を成長し、少なくとも活性層64の膜厚が一定な領域、即ち、レーザ部Iとなる部分の基板61の上方の面を平坦化する。
【0094】
上記した実施形態では、レーザ部Iに比べてスポットサイズ変換部IIにおける埋込層68の膜厚が大きくなる。従って、第1のメサ部67aの両脇での埋込層68の盛り上がりが大きくなり、この領域におけるp-InP クラッド層69,p-InGaAsコンタクト層70の平坦化が従来技術と同様の膜厚では困難である。これらの層69,70を平坦化しようとする場合には、MOVPE成長において、原料ガスにCH3Cl ガスを適量添加する平坦化成長技術を用いると、その平坦化を促進することができる。
【0095】
その後に、レーザ部Iのコンタクト層70の上にp側電極71を形成し、さらに、n-InP 基板61の下にn側電極72を形成する。
以上のような工程により形成された光半導体装置では、活性層64は図21に示すようにクラッド層62と埋込層68に囲まれてレーザ部Iではほぼ一定の膜厚、スポットサイズ変換部IIでは膜厚がテーパ形状に変化している。また、レーザ部Iの光進行方向に対して垂直の断面形状は図22(a) に示すようになり、またスポットサイズ変換部IIの光進行方向に対して垂直の断面形状は図22(b) に示すようになる。
【0096】
次に、本実施形態における作用効果を説明する。
図22(a) において、活性層64周辺の屈折率の高いp-InP 層68aはレーザ部Iにおいて薄くなる。これは、レーザ部Iにおいては埋込層68の成長レートが小さくなることに起因する。その結果、レーザ部Iにおける活性層64とn-InP 層68bとの間隔Aが狭くなって、活性層64とn-InP 層68bの間隙に流れる電流量が小さくなり、活性層64への電流の注入効率が高くなる。
【0097】
一方、図22(b) において、活性層64周辺の屈折率の高いp-InP 層68aはスポットサイズ変換部IIにおいて十分に厚くなり、n-InP 層68bと活性層64との距離Aがレーザ部よりも広がる。これは、スポットサイズ変換部IIにおいては埋込層68の成長レートが大きくなることに起因する。その結果、スポットサイズ変換部IIにおける光分布の中心は活性層64の中心からズレないでその周辺に広がる。
【0098】
さらに、スポットサイズ変換部IIでは埋込層68のn-InP 層68bのドーパント濃度が小さくなっていることから、この部分における屈折率はレーザ部Iに比べると大きくなり、周囲のp-InP 層68a、69の屈折率に近づいている。これにより、スポットサイズ変換部IIにおいて導波方向に垂直な面内の光分布の歪みの発生が抑制され、真円に近い形状になる。
【0099】
この実施形態において本質的なことは、スポットサイズ変換部IIにおいて、活性層64の周囲の屈折率が高い部分の断面積を大きくすることと、活性層の周辺の埋込構造の屈折率分布を小さくすることである。
したがって、これらの構造が実現される限り、埋込層の構成の元素組成、ドーパントの種類、濃度、或いは活性層の両側の複雑な埋込層の形状などによらず、上記したような効果を得ることができる。
【0100】
しかも、本実施形態では、図2(b) に示した従来技術と比較してマスクのパターニングのためのフォトマスクの変更だけであり、従来技術に比べて何ら工程が複雑化せず、極めて簡単に図21、図22に示した構造が得られる。
(第8の実施の形態)
第7の実施の形態では、スポットサイズ変換部IIにおける埋込層68の層厚がレーザ部Iに比べて例えば約2倍程度に大きくなる。これに従って、第1のメサ部67aの両脇での埋込層68のn-InP 層68bの最上面の盛り上がりがスポットサイズ変換部において従来技術を用いたときよりも大きくなる。この盛り上がりを防止するために塩素添加成長技術を導入して盛り上がり量を小さくすることも可能であるが、レーザ部Iでの電流狭窄効果を考慮するとあまり用いたくはない。
【0101】
そこで、埋込層の全体の凹凸差を小さくするために、埋込層68を成長する際に、p-InP 層68aの成長時とn-InP 層68bの成長時とで成長圧力を変化させるのが好ましい。
例えば、p-InP 層68aを成長させる時の成長圧力を100Torrに設定し、また、n-InP 層68bを成長する時の成長圧力を10Torrと小さく設定すると、レーザ部Iとスポットサイズ変換部IIとのp-InP 層68aの成長レートの差を、n-InP 層68bの成長レートの差よりも大きくすることができる。これにより、例えば、p-InP 層68aの膜厚はスポットサイズ変換部IIで1.2μm、レーザ部Iで0.6μmと差が大きく変化するが、n-InP 層68bの膜厚はスポットサイズ変換部IIでは1.5μm、レーザ部Iで1.0μmとなって差が小さくなる。
【0102】
これにより、活性層64周辺のp-InP 層68aの断面積はスポットサイズ変換部IIにおいて第7実施形態と同様に大きくなるが、n-InP 層68bについてはスポットサイズ変換部IIでは第7実施形態よりも薄くなる。従って、埋込層の全体の盛り上がりを小さく抑えながら、p-InP 層68aのみを厚くすることが可能になり、その埋込層68を形成した後に、第2のp-InP クラッド層69、p-InGaAsコンタクト層70の最上面の平坦化が比較的容易になる。
(第9の実施の形態)
第8実施形態では、埋込層68のうちスポットサイズ変換部IIでのp-InP 層の膜厚を増やし、n-InP 層の膜厚を薄くする方法として成長圧力を変化させる方法を採用している。本実施形態では、p-InP 層とn-InP 層の間に中間層を形成することによってp-InP 層の膜厚を増加させることについて説明する。
【0103】
図23(a) は、本実施形態に係るテーパ導波路レーザのレーザ部Iでの光進行方向に垂直な断面を示し、図23(b) は、そのスポットサイズ変換部IIでの光進行方向に垂直な断面を示している。なお、図23(a),(b) において、図22(a),(b) と同じ符号は同じ要素を示している。
本実施形態の光半導体素子は、埋込層68の形成工程を除いて、第7実施形態と同じ工程で形成される。
【0104】
その埋込層68は、第6実施形態で示したp-InP 層68aとn-InP 層68bの間に中間層68cが形成されている。その中間層68cは、p-InP 層68aとn-InP 層68bと同じ結晶成長工程で形成される。インジウムのソースガスとしてはトリメチルインジウム、リンのソースガスとしてはホスフィンを使用し、また、p型ドーパント原料としてのジエチルジンク(Zn(C2H5)2))と、n型ドーパント原料としてのシラン(SiH4)を同時に使用する。この場合、結晶成長速度の小さい領域ではn型ドーパントであるシリコンが取り込まれやすく、p型ドーパントである亜鉛にはそのような性質がない。
【0105】
従って、シランとジメチルジンクの流量を調整することにより、結晶成長速度の小さいレーザ部Iでは中間層68cをn型にするとともに、結晶成長速度の大きなスポットサイズ変換部IIでは中間層68cをp型にすることが可能になる。例えば、レーザ部Iでの中間層68cは例えば不純物濃度5×1017/cm3のn型となり、スポットサイズ変換部IIでの中間層68cは例えば不純物濃度5×1018/cm3のp型となる。
【0106】
その中間層68cの膜厚をレーザ部Iにおいて0.2μmに設定する。また、レーザ部1では、中間層68cの上に形成されるn-InP 層68bの膜厚を第7実施形態よりも0.2μm薄くし、p-InP 層68aの膜厚を第7実施形態と同じにすると、埋込層68全体の膜厚は第7実施形態とほぼ同じになる。
これにより、スポットサイズ変換部IIの埋込層68では、p型の中間層68cを含めたp-InP 層の膜厚は厚くなって、n-InP 層68bと活性層64の距離Aは第7実施形態よりもさらに大きくなって光出射端での良好な光分布が得られる。
(第10実施の形態)
第7〜第9実施形態では、n-InP 基板を用いて光半導体素子を構成することについて説明したが、本実施形態では、p-InP 基板を用いて光半導体素子を構成することについて説明する。
【0107】
まず、図19(a) に示すと同様な工程に沿って、p型(p-)InP 基板81上にp-InP クラッド層82、アンドープの量子井戸活性層84、第1のn-InP クラッド層85をMOVPE法により順に形成することにより、それらの層を図24(a) に示すようにレーザ部Iではほぼ一定の厚さにするとともに、スポットサイズ変換部IIではレーザ部Iから光進行方向に遠ざかるにつれて徐々に膜厚が薄くなるような膜厚テーパ形状とする。その量子井戸活性層84は、例えば第7実施形態の量子井戸活性層64と同じ構造とする。
【0108】
次に、SiO2よりなる誘電体膜を第1のn-InP クラッド層85の上に形成し、この誘電体膜を図24(b) に示すようにパターニングして光進行方向に沿ってストライプ状の第1のマスクパターン86aを形成し、さらに、第1のマスクパターン86aの両側方に離れて第2、第3のマスクパターン86b、86cを形成する。
【0109】
即ち、図25に示すように、第1のマスクパターン86aは、幅が1.8μm、長さが500μmであり、光進行方向に延びるストライプ形状を有している。また、第2のマスクパターン86aと第3のマスクパターン86cは、それぞれレーザ領域の後端からスポットサイズ変換領域の後端にかけた領域であって、第1のマスクパターン86aを挟んで互いに80μmの距離で離れ、それぞれ110μmの幅を有して形成されている。
【0110】
そのような第1〜第3のマスクパターン86a〜86cに覆われない領域の第1のn-InP 層85からp-InP 基板81の上部までのダブルヘテロ構造をエッチングすることにより、第1〜第3のマスクパターン86a〜86cの下には、図24(c) に示すようにそれぞれ高さ2μmの第1〜第3のメサ部87a〜87cを形成する。
【0111】
その後に、エッチングにより発生したメサ部87a〜cの側面のダメージを硫酸系の溶液で除去した後に、誘電体膜86a〜86cに覆われない領域のp-InP 基板81上に結晶選択成長を行う。即ち、図26に示すように、誘電体膜86a〜86cに覆われない領域に、MOVPE法により第1のn-InP 層89a、n-InP 層89bと第2のp-InP 層89cを埋込層89として形成する。なお、第1のn-InP 層89bは、メサ部87側面とp-InP 基板81上面に沿って薄く形成される。
【0112】
MOVPE法を用いた結晶成長において、誘電体膜86a〜86c上では原料が消費されずにその周辺の領域に過剰に供給されるために、誘電体膜86aと86bに挟まれた領域と、誘電体膜86bと86cに挟まれた領域で結晶成長レートが最も大きくなる。しかし、マスクパターン86b、86cに挟まれない領域では結晶成長レートが小さくなる。
【0113】
従って、埋込層88の膜厚分布は、スポットサイズ変換部IIよりもレーザ部Iの方が厚くなる。
また、埋込層89の成長圧力については、n-InP 層89bの成長時には100Torrとし、第1及び第2のp-InP 層89a、89cの成長時には10Torrとすると、レーザ部Iとスポットサイズ変換部IIでの結晶成長速度の差を比較すると、n-InP 層89bの成長速度の差は、p-InP 層89a、89bの成長速度の差よりも大きくなる。
【0114】
これにより、スポットサイズ変換部IIにおいては、n-InP 層89bの膜厚が従来技術に比べて薄くなって活性層84の周囲のp-InP 層の領域が厚くなるので、第7実施形態と同様に導波路方向に垂直な面内で良好な光分布が得られる。 なお、レーザ部Iにおける第1のp-InP 層89aの膜厚を0.2μm、n-InP 層89bの膜厚を0.8μm、第2のp-InP 層89cの膜厚を0.6μmとする。また、スポットサイズ変換部IIにおける第1のp-InP 層89aの膜厚を0.13μm、n-InP 層89bの膜厚を0.4μm、第2のp-InP 層89cの膜厚を0.4μmとする。
【0115】
次に、誘電体膜86a〜86cをバッファドフッ酸によって除去した後に、再びMOVPE法により基板全面に第2のp-InP クラッド層90、p-InGaAsコンタクト層91を成長し、少なくとも活性層84の膜厚が一定な領域、即ち、レーザ部Iとなる部分の基板61の上方の面を平坦化する。
その後に、レーザ部Iのコンタクト層91の上にp側電極92を形成し、さらに、n-InP 基板81の下にn側電極93を形成する。
【0116】
以上のような工程により形成された光半導体装置では、活性層84は図26に示すようにクラッド層82,85,90と埋込層89に囲まれてレーザ部Iではほぼ一定の膜厚、スポットサイズ変換部IIでは膜厚がテーパ形状に変化している。
また、レーザ部Iの光進行方向に対して垂直の断面形状は図27(a) に示すようになり、またスポットサイズ変換部IIの光進行方向に対して垂直の断面形状は図27(b) に示すようになる。
【0117】
次に、本実施形態における作用効果を説明する。
図27(a) において、活性層84両側の屈折率の高いp-InP 層89aはレーザ部Iにおいて薄くなっている。その結果、レーザ部Iにおける活性層84とn-InP 層89bとの間隔が狭くなって、活性層84とn-InP 層89bの間隙に流れる電流が小さくなり、活性層84への電流の注入効率が高くなる。
【0118】
図27(b) において、活性層84周辺の屈折率の高いn-InP 層89bはスポットサイズ変換部IIにおいて十分に薄くなる。その結果、スポットサイズ変換部IIにおける光分布の中心は活性層84の中心からズレないでその周辺に均一に広がる。
なお、本実施形態においても、第9実施形態と同様に、埋込層89内で、レーザ部Iではn型、スポットサイズ変換領域IIではp型になるような中間層をn-InP 層89bと第2のp-InP 層89cの間に形成してもよい。
{付 記}
(1)半導体基板上で利得領域とスポットサイズ変換領域とに形成され、かつ、該スポットサイズ変換領域では光のスポットサイズを変化する形状に形成されたストライプ状のコア層と、前記コア層の上と下に形成された第1及び第2のクラッド層と、前記コア層の両側で前記第1及び第2のクラッド層の間に形成されたpn接合を有する埋込層と、前記スポットサイズ変換領域の少なくとも前記スポットサイズが拡大される端面近傍を除いて前記埋込層中に形成され、前記第1及び第2のクラッド層を構成する材料よりもバンドギャップの狭い材料からなる再結合層とを有することを特徴とする光半導体装置。
(2)前記再結合層は、前記第1のクラッド層寄り又は前記第2のクラッド層寄りに形成されることを特徴とする(1)に記載の光半導体装置。
(3)前記スポットサイズ変換領域において、前記コア層は前端に向けて膜厚又は幅がテーパ状に小さくなっていることを特徴とする(1)に記載の光半導体装置。
(4)前記再結合層は、量子井戸層を有する多重量子井戸構造を有することを特徴とする(1)に記載の光半導体装置。
(5)前記コア層は量子井戸層を含む多重量子井戸層からなり、前記スポットサイズ変換領域で厚さが変化することを特徴とする(1)に記載の光半導体装置。
(6)半導体基板上で利得領域とスポットサイズ変換領域とに形成され、かつ、該スポットサイズ変換領域では光のスポットサイズを変化する形状に形成されたストライプ状のコア層と、前記コア層の上と下に形成された第1及び第2のクラッド層と、前記コア層の両側で前記第1及び第2のクラッド層の間に形成れたpn接合を有する埋込層と、前記第1及び第2のクラッド層を構成する材料よりもバンドギャップの狭い材料からなり、前記スポットサイズ変換領域において前記活性層と平行な方向で膜厚又はバンドギャップが変化して前記埋込層に形成された再結合層とを有することを特徴とする光半導体装置。
(7)前記再結合層の前記膜厚は、前記利得領域よりも前記スポットサイズ変換領域で値が小さい、もしくは前記再結合層の前記バンドギャップは前記利得領域よりも前記スポットサイズ変換領域で値が大きいことを特徴とする(6)に記載の光半導体装置。
(8)前記再結合層は、前記第1及び第2クラッド層のうちの一導電型層と前記埋込層の反対導電型層とに挟まれていることを特徴とする(6)に記載の光半導体装置。
(9)前記再結合層は、前記第1及び第2クラッド層のうちの第1導電型層と前記埋込層の第1導電型層とに挟まれていることを特徴とする(6)に記載の光半導体装置。
(10)前記再結合層は、量子効果の生じる厚さ以下の層が少なくとも一層有することを特徴とする(6)に記載の光半導体装置。
(11)前記再結合層は、前記第1及び第2のクラッド層と同一材料からなる障壁層と、該障壁層よりもバンドギャップが狭い井戸層とを有する多重量子井戸構造を有していることを特徴とする(6)に記載の光半導体装置。
(12)活性層を含む多層構造を第1のクラッド層の上に形成する工程と、前記多層構造の上にストライプ状の第1マスクパターンを形成し、該第1マスクパターンに覆われない部分の前記多層構造をエッチングして、光閉じ込めを大きくする第1領域と光閉じ込めを小さくする第2領域を有するストライプ状のメサ部を形成する工程と、前記メサ部のうち前記第1領域において前記メサ部の両側面から離れた領域に第2マスクパターンと第3マスクパターンを前記半導体基板の上に配置する工程と、前記第1〜第3マスクパターンに覆われない領域に、前記第1のクラッド層よりもバンドギャップが狭い再結合層を含み且つ前記第2の領域のうち前記第1領域に隣接しない側の端部で膜厚が薄くなる層を含む多層構造の埋め込み層を形成する工程と、前記第1〜第3マスクパターンを除去した後に、前記メサ部と前記埋込層の上に第2のクラッド層を形成する工程とを有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
(13)前記再結合層は、塩素を含むガスを導入した雰囲気中で成長されることを特徴とする(12)に記載の光半導体装置の製造方法。
(14)前記埋込層を形成する際に、前記再結合層の成長圧力はその他の層の成長圧力よりも高いことを特徴とする(12)又は(13)に記載の光半導体装置の製造方法。
(15)基板側の一導電型クラッド層と、前記一導電型クラッド層の上に形成された半導体からなるコア層と、前記コア層の上に形成された反対導電型クラッド層と、元素組成、不純物濃度、膜厚の少なくとも1つが光導波方向に沿って連続的に変化し、かつ前記コア層の両側領域に形成された埋込構造とを有することを特徴とする光半導体装置。
(16)前記埋込構造はn型層とp型層を有し、前記n型層又は前記p型層のうち少なくとも一方の厚さが光りの導波方向に変化していることを特徴とする(15)に記載の光半導体装置。
(17)前記コア層の膜厚または幅を前記光導波方向に薄くまたは狭く変化させたスポットサイズ変換領域と、前記コア層の膜厚または幅を前記光導波方向に実質的に変化させない利得領域とを有することを特徴とする(15)に記載の光半導体装置。
(18)前記埋込構造はn型層とp型層を有し、前記スポットサイズ変換領域においては、前記利得領域よりも前記n型層と前記コア層との距離が広がっていることを特徴とする(17)に記載の光半導体装置。
(19)前記n型層と前記n型層が前記利得領域よりも前記スポットサイズ変換領域の方が厚く形成される場合に、前記p型層の膜厚の増加の割合が前記n型層の膜厚の増加の割合よりも大きいことを特徴とする(17)に記載の光半導体装置。
(20)前記一導電型クラッド層がp型クラッド層の場合に、前記埋込構造中のn型層の膜厚は、前記利得領域よりも前記スポットサイズ変換領域の方が薄く形成されることを特徴とする(17)に記載の光半導体装置。
(21)前記埋込構造はn型層とp型層を有し、前記n型層の不純物濃度は、前記利得領域よりも前記スポットサイズ変換領域の方が低く形成されることを特徴とする(17)に記載の光半導体装置。
(22)前記埋込構造は、光導波方向で一導電型層から反対導電型層に変化する層を有することを特徴とする(15)に記載の光半導体装置。
(23)半導体基板上に活性層と上側クラッド層を形成する工程と、 前記活性層から前記半導体基板の上部までの一部をエッチングすることによりストライプ状のメサ部を形成する工程と、前記メサ部の上の第1の領域と、前記メサ部の両側方に離れた前記半導体基板の上であって前記メサ部の延びる方向に形状が変化する形状の第2、第3の領域とを誘電体マスクで覆った状態で、前記第1〜第3の領域を除く前記半導体基板の上に、層数、層厚、元素組成、不純物濃度のうち少なくとも1つを光の進行方向に沿って連続的に変化させる埋込構造を形成する工程とを有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
(24)前記埋込構造の成長方法としてMOVPE法を用い、前記埋込構造を構成するn型層を形成する際に不純物の原料としてシランを用いることを特徴とする(23)に記載の光半導体装置の製造方法。
(25)前記埋込構造の成長において、圧力を変化させることを特徴とする(23)に記載の光半導体装置の製造方法。
【0119】
【発明の効果】
以上述べたように第1の発明によれば、埋込型光半導体装置において利得領域(レーザ領域)とスポットサイズ変換領域に形成されたコア層(活性層)の両側方において、利得領域または利得領域からスポットサイズ変換領域の前端近傍を除いた領域に、バンドギャップが小さい再結合層を形成したので、光スポットサイズが拡大する部分での再結合層による吸収が回避され、スポットサイズ変換器の損失を小さくし、閾値電流の上昇や効率の低下を防止することができる。
【0120】
第2の発明によれば、コア層(活性層)の両側に形成される再結合層のうち、スポットサイズ変換領域の端部での膜厚を利得領域での膜厚に比べて薄く形成したので、光スポットサイズが拡大する部分での再結合層による吸収を少なくし、スポットサイズ変換器の損失を小さくし、閾値電流の上昇や効率の低下を抑制できる。
【0121】
第3の発明によれば、コア層(活性層)と埋込構造のn型層との距離について、利得領域では狭く、スポットサイズ変換領域では広くするようにしたので、スポットサイズ変換領域では、光強度の中心はコア層の中心に重ね、真円に近くすることができる。これと同時に、利得領域では、コア層とn型層の間隔が小さくなるために、電流狭窄効果が高くなって電流を効率よく活性層に注入することができる。従って、良好な電流−光出力特性を持ち、かつ、素子と光ファイバとの結合損失が小さく、優れた素子を得ることができる。
【0122】
また、第3の発明によれば、埋込構造中のn型層の不純物濃度をスポットサイズ変換領域では低くし、利得領域では高くしているので、スポットサイズ変換領域でのn型層の屈折率を小さくして光分布を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術に係るテーパ導波路レーザの側断面図である。
【図2】従来技術に係るテーパ導波路レーザの製造工程を示す斜視図(その1)である。
【図3】従来技術に係るテーパ導波路レーザの製造工程を示す斜視図(その2)である。
【図4】従来技術に係る第1のテーパ導波路レーザの光進行方向に垂直な断面図である。
【図5】従来技術に係る第2のテーパ導波路レーザの光進行方向に垂直な断面図である。
【図6】従来のDCPBHレーザの断面図である。
【図7】従来の埋込型半導体レーザの断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る光半導体素子の製造工程を示す斜視図(その1)である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る光半導体素子の製造工程を示す斜視図(その2)である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る光半導体素子の斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る光半導体素子を示す断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る光半導体素子の製造工程を示す斜視図(その1)である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る光半導体素子の製造工程を示す斜視図(その2)である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る光半導体素子の斜視図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る光半導体素子の斜視図である。
【図16】本発明の第5実施形態に係る光半導体素子を示す断面図である。
【図17】本発明の第6実施形態に係る第1の光半導体増幅素子を示す斜視図である。
【図18】本発明の第6実施形態に係る第2の光半導体増幅素子を示す斜視図である。
【図19】本発明の第7実施形態に係る光半導体素子の製造工程を示す斜視図である。
【図20】本発明の第7実施形態における結晶成長工程で用いるマスクと基板との配置関係を示す平面図である。
【図21】本発明の第7実施形態に係る光半導体素子の斜視図である。
【図22】本発明の第7実施形態に係る光半導体素子の断面図である。
【図23】本発明の第9実施形態に係る光半導体素子の断面図である。
【図24】本発明の第10実施形態に係る光半導体素子の製造工程を示す斜視図である。
【図25】本発明の第10実施形態における結晶成長工程で用いるマスクと基板との配置関係を示す平面図である。
【図26】本発明の第10実施形態に係る光半導体素子の斜視図である。
【図27】本発明の第10実施形態に係る光半導体素子の断面図である。
【符号の説明】
I…レーザ部、II…スポットサイズ変換部、1…n-InP 基板、2…バッファ層、3…活性層、4…p-InP 層、5…メサ部、6…再結合層、7…p-InP 層、8…n-InP 層、9…p-InP 層、10…n-InP 層、11…コンタクト層、12…p側で、13…n側電極、17…再結合層、21…p-InP 基板、22…p-InP 層、23…活性層、24…n-InP クラッド層、25…メサ部、26…n-InP 層、27…p-InP 層、28…再結合層、29…n-InP クラッド層、30…コンタクト層、31…n側電極、32…p側電極、37…再結合層、41…n-InP 基板、42…n-InP バッファ層、43…活性層、44…p-InP クラッド層、45a〜45c…マスクパターン、46a〜46c…メサ部、47…再結合層、48…p-InP 層、49…n-InP 層、50a、50b…p-InP クラッド層、38…コンタクト層、39…p側電極、40…n側電極、61…n-InP 基板、62…n-InP クラッド層、63…誘電体膜、64…活性層、65…p-InP クラッド層、66a〜66c…マスクパターン、67a〜67c…メサ部、68a…p-InP 層、68b…n-InP 層、68c…中間層、68…埋込層、69…クラッド層、70…コンタクト層、71…p側電極、72…n側電極、81…p-InP 基板、82…p-InP クラッド層、83…誘電体膜、84…活性層、85…n-InP クラッド層、86…誘電体膜、87…メサ部、88a、88b…マスクパターン、89a…p-InP 層、89b…n-InP 層、89c…p-InP 層、89…埋込層、90…n-InP クラッド層、91…コンタクト層、92…p側電極、93…n側電極。
Claims (4)
- 活性層を含む多層構造を第1のクラッド層の上に形成する工程と、
前記多層構造の上に、光閉じ込めを大きくする第1領域と光閉じ込めを小さくする第2領域とにまたがるストライプ状の第1マスクパターンと、前記第1マスクパターンの両側方に離間して、前記第2領域の出射端面側で短くなるように前記第1領域及び第2領域に第2マスクパターンと第3マスクパターンを形成する工程と、
前記第1〜第3マスクパターンに覆われない部分の前記多層構造をエッチングして、前記第1〜第3マスクパターンに対応する第1〜第3メサ部を形成する工程と、
エッチングされた前記第1〜第3メサ部の周囲に、前記第1のクラッド層よりもバンドギャップが狭く、前記第2領域のうち前記第1領域に隣接しない側の端部で膜厚が薄くなる再結合層を含む多層構造の埋め込み層を形成する工程と、
前記第1〜第3マスクパターンを除去した後に、前記メサ部と前記埋め込み層の上に第2のクラッド層を形成する工程と
を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。 - 前記再結合層を形成した後に、前記埋め込み層を形成することを特徴とする請求項1記載の光半導体装置の製造方法。
- 前記再結合層は、塩素を含むガスを導入した雰囲気中で成長されることを特徴とする請求項1または2に記載の光半導体装置の製造方法。
- 前記埋め込み層を形成する際に、前記再結合層の成長圧力はその他の層の成長圧力よりも高いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光半導体装置の製造方法。
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